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底辺への競争を巻き返せ! UNI-Apro金融部会大会、対応を議論



今回のグローバル金融危機は、返済力を無視した借り入れを促し、投資銀行が住宅ローンを組み替えた高利回り商品を作り世界中の投資家に売りつけたことに 起因する。この数十年間は、各国で、金融ビッグバンと称して規制を緩和してきた経緯があり、規制や監督が適切に機能しなかったといえる。
「貯蓄を重視し、収入に相応しい消費を行う」という伝統的なアジアの価値観も、今回のグローバル金融危機の波及を防ぐことはできなかった。
加えて、労働法制に至るまでの規制緩和や、社会保障制度の見直しなどにより労働者を擁護する多くの制度・思想を一掃され、新たな資本主義の考え方が広まった。
この『新自由主義』は社会的な動揺をもたらし、ワーキングプア階級(格差社会)を生み出すなど社会問題化している。

「この危機への対応として、各国政府は国民の消費を促すための政策を実施している。今こそ政府と使用者は、労働組合を通して団体交渉を行い、労働者に適 正な報酬が配分されるように再考するにふさわしい時期だ。労働組合も組織化を推進し、交渉力を高めなければならない」と、開会挨拶でクリストファー・ウン UNI-Apro地域書記長は述べた。また、社会的責任を共有するASEAN経済共同体の関与は、UNI-Aproにとって需要な優先課題の1つであると 続けた。三者構成による社会対話を通してASEAN経済共同体の構築プロセスに貢献することは、我々労働組合の重要なミッションである。
この思いを踏まえ、ASEAN結成42年の歴史上初めて、三者構成会議がUNI-Apro金融部会大会に先立ちバンコクにおいて開催された。2009年 10月23~24日、ASETUC(ASEANサービス労組協議会)、BWI(国際建設・林業労組連盟)及びPSI(国際公務労連)と共に、UNI- AproはFES(フリードリヒエーベルト財団)の後援を受け、三者会議を開催した。ASEAN加盟7カ国から人材開発担当省の役員が参加し、2つの使用 者団体も出席した。今日ASEAN経済共同体は「労働組合は底辺への競争を巻き返し、利益追求より人間を第一とし、地域経済統合プロセスに社会的側面をも たらすために重要な役割を果たしている」と認識するようになった。

オリバー・レティクUNI世界金融部会担当局長は次のように述べた。「利益のみ追求し、消費者や従業員のことを考えない。こうした新自由主義が、グロー バル経済に破綻をもたらした。今我々が力を集結し底辺への競争を巻き返すことは大きなブレイキングスルーであり、2010年の長崎世界大会のスローガン “ブレイキングスルー”に合致する。」
欧州の多くの大手銀行マネジャーは、「顧客のためではなく、銀行利益のための最良の取引とは何か」を常に考えている。金融商品に関する適切なアドバイスを顧客へ提供することが銀行員の役割であるが、彼らは「ただ販売すればよいのだ」と主張する。
このように利益のみを優先する金融機関経営に対して適切な規制・監督を行ない、倫理的で責任ある金融産業を目指すことが、UNI金融部会の優先課題である、とレティクUNI局長は強調した。

アメリカで空前の住宅ローンブームの中、信用力の低い人々に貸し出されたサブプライムローンが含まれていたにもかかわらず金融工学上の技術革新により、 借り手にローン返済能力があるか否かは全く問われることなく融資が繰り返された。さらに投資銀行は、住宅ローンを組み替えたパッケージ商品を作り、高利回 り商品として世界中の投資家に売りつけた。また格付け機関も、適切な商品の格付けを実施することができなかった。開会挨拶の中で、石川耕治UNI Apro金融部会議長は、不誠実な企業活動をチェックする機能がはたらかなかったためにそれがグローバルな金融危機への引き金となった、と分析した。石川 議長は、UNI-Apro金融部会が優先課題とする、「金融商品の責任ある販売と、責任ある金融システムの構築」について講演を行った。

ジャヤスリ・プリヤラルUNI-Apro金融部会担当部長は、ジャカルタ開催の延期以降、短期間で再調整し、今大会に参加してくれた代議員全員に感謝の意を表した。

フィリピン大学のレネ・オフレネオ教授は、1997年からこれまでのアジア金融危機から学んだ教訓を発表した。金融危機の原因と影響について分析し、今 回のグローバル金融危機の類似点を10の教訓として挙げた。また、アジア太平洋地域の金融産業におけるGATSの影響と、それを真似た AFAS(ASEANサービス枠組み協定)の雇用状況に関し、UNI-Aproが研究していることを評価した。
さらに同氏は、「UNI金融部会はグローバルユニオンとして組織を強化・拡大し、発言力と影響力を有することが重要だ。そして影響力を行使して、銀行業 本来の役割であった『貯蓄家と投資家の橋渡し』へと回帰するように、さらには市場万能主義をやめるよう、G20に働きかけるべきである」と強調した。

大会では、下記のテーマについて議論を行った。
責任ある持続可能な金融システム
銀行における責任ある販売
保険労組ネットワーク
ジェンダー平等の促進

日本の代議員は、次の通り発表を行った。
UNI-LCJ金融部会、シンガポール調査報告:
労済労連書記長 照沼光二
日本における責任ある販売キャンペーン:
生保労連 金堀守男
日本の生保業界における世界金融危機の影響と現状:
生保労連副書記長 津田栄治
三井住友海上労組における非正規労働者の組織化:
損保労連中央執行委員 神先智雄
損保ジャパン労組におけるジェンダー平等促進の取組み:
損保労連中央執行委員 高田千鶴

 保険労組ネットワークのセッションでは、日本の保険業界および労組の取組みとして、津田生保労連副書記長と神先損保労連中執より、それぞ れ報告がなされた。これを受けて、韓国、シンガポール、パキスタン、フィリピン、マレーシアから、自国の取組み等について発言があり、積極的な意見交換が 行われた。まとめとして、オリバー・レティクUNI世界金融部会担当局長より、アジアの保険関係労組においてもアクサの欧州労使協議会のような連携強化を 進めたいとの構想が語られた。

 ジェンダー平等の促進のセッションでは、高田損保労連中執が女性専従者の登用や女性部会の設置など具体的取組みを紹介した他、ニュージー ランド、マレーシア、シンガポールにおける取組みが報告された。小川UNI-Apro女性担当部長は、UNIにおけるジェンダー平等主流化の取組みと、具 体的アクションとして女性代表40%達成の決議が世界大会に提出されることを報告した。

前進するUNI-Apro金融部会のセッションで、石川議長は長崎世界大会の準備状況について報告した。また、2009~2013年度のUNI-Apro金融部会の行動計画も承認された。

大会は、UNI世界金融部会規則の変更に合わせて、UNI-Apro金融部会規則を修正し採択した。新規則では、UNI-Apro金融部会運営委員会の メンバーの3分の1は女性の委員でなくてはならない。石川損保労連委員長は、UNI-Apro金融部会議長として再選された。

資格審査委員会報告
参加国数14カ国、参加組織数23組織
代議員30名(男性26名、女性4名)、オブザーバー8名(男性6名、女性2名)、ゲスト23名(男性13名、女性10名)  ラオス人民民主共和国からもオブザーバーとして1名参


デジタル化が進む印刷産業の課題

UNI-Apro印刷部会委員会
前回会議(2008年9月15日、ザグレブ)以降発生した、UNI及びUNI-Apro印刷部会における人事変更を確認した。ローゼンツバイク前印刷部 会担当局長が本部に新設された組織化・キャンペーン局長に就任し、同ポストに前UNI-Apro印刷部会議長のウォルシュ氏が就任。同氏の後任として、 オーストラリア製造労組印刷部会書記長のキャシン氏が委員会新メンバーとして紹介された。空席になった議長ポストは、2011年に開催予定のUNI- Apro印刷部会大会における選挙まで当面、キャシン氏が議長代行を務めることが確認された。
竹井UNI-Apro印刷部会副議長は、先の衆議院選挙における政権交代と、セキュリティペーパー印刷事業の民営化阻止の可能性について報告した。チャ ンドラセカラン同副議長は、マレーシアにおける新聞産業の職が自動化により削減されていること、デジタル印刷やインターネットニュースなど電子媒体への移 行が急速に進んでいる現状を報告。タルワール同副議長は、インドにおけるドネリーのチェンナイ工場労働者へのコンタクトとケベコール組織化が難航している ことを報告し、UNI印刷部会の支援と介入を要請した。キャシン同議長代行は、オーストラリアとニュージーランドにおいて共通の多国籍企業が多いことか ら、両国労組間の強い協力関係があること、アジア太平洋地域の他の国にも労組ネットワークの協力を拡大する可能性を示唆した。

UNI世界印刷部会運営委員会
ミシェル・ミュラーUNI世界印刷部会議長は開会の挨拶で、国際的な金融危機と、印刷部門における技術革新が雇用に大きな影響を及ぼしつつある中、開催 された同会議への出席者を歓迎すると共に、日本の政権交代という労働者にとって明るい出来事は来年の長崎大会に向けて大きな励みになると述べ、日本の労働 組合の努力に賛辞を送った。
アドリアーナ前局長は、過去4年に渡り、国際的な労組ネットワーク作りを推進してきた多国籍企業ごとの活動状況と、その結果としてのUNI印刷部会のプレゼンス強化及びグローバル協定締結の成果(現在、ナンパック、ケベコール、イーランダーの3社と締結)を報告した。
ジェニングスUNI書記長は、「UNI印刷部会ブレイキングスルー」と題するプレゼンの中で、UNI設立後10年をかけてGUFの中でも主導的位置を確立 してきたが、今後の10年を見据え現状に満足せず絶えず前進しなければならない、そのためにブレイキングスルー『変革』が必要だと訴えた。米国や日本で政 治的ブレイクスルーがあった、UNIにおいてもスタッフの世代交代が進み、局長が10人入れ替わった。UNI欧州では最近、テレコム部会とIBITS部会 が統合してICTS部会が発足した。紙からデジタル印刷・オンライン媒体へと急速にシフトしていく中、UNIメディア部会やICTS部会との連携が不可欠 だ。森林を伐採し化学薬品を使用する印刷産業が環境問題に対応するには、政策提言を含めNGOなど他の組織との協力も模索していく必要があろう。加盟費の 統一を果たしたが、支払額が実質減額となる組合には是非、その分を組織化基金に拠出することでUNIの活動を継続的に支えてほしい、と要請した。
竹井運営委員は、長崎で世界大会を開催する意義と準備状況を報告すると共に、核兵器廃絶1000万人署名への協力を呼びかけた。
ミュラー議長は最後に、日本の加盟組合の努力に感謝し、長崎大会に向け、印刷部会としても「印刷産業のデジタル化への対応」をテーマに次回運営委員会(2010年6月、ニヨンの予定)までに議論をまとめることとし、閉会した。


自由化と規制、新技術導入の課題に立ち向かう世界の郵便

UNI世界郵便・ロジスティクス部会委員会が、10月1~2日、メキシコシティにおいて開催され、JP労組から、竹内委員長、中田国際部長、栗原国際担当の3名が参加した。今回の会議には世界から約60名が集まり、「自由化と規制」、「世界経済危機」、「UNIとUPUの関係」、「多国籍企業キャンペーン」、「ニューテクノロジーと郵便会社の近代化」等の郵便を取り巻く世界情勢について議論が進められた。会議の最後には、来年に迫ったUNI長崎世界大会の概要と準備状況について竹内委員長が報告し、閉会した。
今回の会議を通して、この国際金融危機、民営化・自由化の危機を乗り切るために、一層の国際連帯と情報の共有化を図ることが合意された。

自由化と規制
<日本>
竹内委員長は、「政権交代に伴う郵政事業の今後の方向性」について報告した。その中で、総選挙の結果、英国の労働党、米国の民主党、ドイツの社会民主等のように、市民、労働者、消費者を支持基盤とする政党である民主党が勝利し、政権を担当することになり、企業の目線にたった政治から決別し、福祉や環境を重視する生活者中心の社会が実現する方向になったとした。
また郵政事業についても、選挙の争点となり、マニフェストにおいて、「持株会社」、「ゆうちょ銀行」、「かんぽ生命」の株式売却凍結、「郵政事業の4分社化」の見直し等を掲げたことから、政権与党は見直しについて検討中だ。JP労組としては、パブリックな使命を持続的に維持することを大前提に、企業として収益力を確保するための経営の自由度や3事業の一体的なサービスの確保の観点から、新たな郵政事業の発展のために制度設計に全力を挙げる旨を報告した。

<米国>
NALCのジム・サーバー氏からは、経済の縮小に伴い、郵便も減少していることが報告された。金融危機によって、ヘビーユーザーである不動産関係、銀行関係、出版関係、新聞等の広告の郵便物が大幅に減少した。またインターネットの発展に伴う危機もある。経済危機を受け、2008年に最悪の減少となった。郵便事業は4.5%減少し、28億ドルの損失を出した。その結果、ダウンサイジングが行われ、過去1年だけでも100,000の雇用喪失、3,800局が削減された。
このような状況に対応するため、インターネットにリンクした新たなビジネスモデルの構築、選挙の郵便での投票、コスト削減に寄与する環境に優しいハイブリッド車や天然ガス車を用いた配達システムの構築などを推し進めているとの報告があった。

<フランス>
民営化されたケースを見ると、サービスの低下や郵便局の閉鎖など、国民生活に支障をきたすことが多く、労働組合のみならず、国民も、フランス郵政事業の民営化を望んでいない。同国民の74%が民営化に反対、特に、小さな村や町の人々は反対している。

UNIとUPUの関係
IFS送金サービスの重要性が述べられた。経済のグローバル化に伴い、世界中の移民労働者が故国の家族へ送金する必要性が高まっている。郵便局の送金システムでは銀行よりも安い手数料で送金できるので、これを広げていく必要性がUNIから強調された。

新技術の導入
新技術は進展している。経営側はその点について敏感であるべきである。また、競争相手が新技術を導入した際には、競争に打ち勝つために郵便事業者も導入するべきである。労働者も、新技術の導入について理解する必要がある。技術は労働者の敵ではなく、雇用を脅かすのもではなく、労働を楽にするものと考えるべきである。  一方、新技術の導入に伴い、外務員は外出時間が多くなり、昼食や休憩時に一緒に過ごす時間がなくなり、組合運動的にはマイナス面があることを否定できないとの声もあった。


商業多国籍企業に対し国際労組同盟を通じた対話と連携を

 



2009年9月30日~10月2日、アイルランド・ダブリンにおいて世界商業部会大会が開催され、日本のUIゼンセン同盟6人、自動車総連4人、サービス・流通連合7人を含め、世界36カ国52組織より、190人が出席した。
スポールディングUNI商業部会議長(米UFCW)は今大会のテーマ『より多くのよりよい雇用創出』を紹介し、主要多国籍企業に焦点をあて、労働者に便 益をもたらすことができるよう、連帯とネットワーク作りのための活発な議論を期待する、と述べた。続いて、昨年退任したフルステンボルグ前部会担当局長を 迎え、長年に渡る商業部会への献身的な活動に対し、多くの加盟組合から感謝の言葉が贈られた。
議題、議事規則の採択、大会委員会の選出に続き、本年1月より新たに就任したアルケ・ベッシガー同部会担当局長が2005~2009年の主な活動と成果 を報告した。商業企業は母国での需要減少と激化する価格競争を背景に、特に新興市場への進出を積極的に図り、寡占化とグローバル化を続けていること、金融 危機以降は消費者の低価格志向と買い控えが更に顕著化し、ディスカウント業者が隆盛を極めていること、価格競争に生き残りをかけ企業は新技術を導入し人件 費の抑制傾向に拍車がかかるなど、商業労働者へのインパクトは計り知れない。このように商業労働者を巡る厳しい状況の中で、巨大化する多国籍企業と社会対 話を通じグローバル協定を締結・実施させるためには労働者側の国際連帯、情報共有と連携が不可欠である。UNIは長崎世界大会までに50のGFA締結を目 標とし、商業部会においてもカルフール、H&M、メトロ、日本企業として初めて高島屋と締結し、今大会でインディテックスとも調印式を行う。ま た、テスコに続き、センコスッド(南米)、ショップライト(アフリカ)など地域労組同盟も結成され、今大会でもカルフール及びインディテックスの国際労組 同盟を結成する。今後は加盟組合の協力も得ながら労組間のコミュニケーションと情報収集力を更に高めていきたいと抱負を語った。
ブランドソンUNI-Apro商業部会議長は、地域の活動を総括し、マレーシア、インド、ベトナムにおける商業多国籍企業の組織化の成果と、インドネシ ア・ヒーロースーパーマーケットにおける労使パートナーシップモデルの成功を報告し、タイのテスコロータス労使やインドのメトロ労使などへの同モデルの適 用を目指して努力を続けていると述べると共に、日本の加盟組織の貢献に感謝した。

商業部門における経済危機の影響を乗り越え、いかにディーセントワークを達成するか
ILOのマイヤーズ氏は、2009年のILO総会で確認されたグローバルジョブスパクトを紹介し、経済回復には雇用創出と労働者保護を政労使一体となっ て取り組む必要があると強調した。ユーロコマース(欧州商業事業者団体)のサボイニ氏は、UNI欧州商業部会とユーロコマースの協力による中小企業強化と 自由貿易促進への貢献、フレキシビリティと労働者のセキュリティとのバランスを確保するための多様な機会及び訓練・再訓練の提供などの事例を報告し、社会 パートナー間の対話による経済危機克服の取り組みの重要性を使用者の立場からも訴えた。島田UIゼンセン同盟書記長は、日本の政権交代を報告した後、日本 においては365日24時間営業が可能であると述べ、特に商業部門における名ばかり管理職の長時間労働の実態を指摘し、UIゼンセン同盟の是正の取り組み を紹介した。アイルランド・マンデート労組のフォーブス氏は、「ケルトの虎は過去のものとなり、仕事があっても常に貧困の恐怖にさらされている。既存組合 員の既得権を守るだけでなく、未組織の労働者も組織しなければならない」と述べた。

グローバル企業、グローバルな組織化、グローバル協定
センコスッド労組同盟(南米)、ショップライト労組同盟(アフリカ)、テスコ労組同盟(グローバル)それぞれの代表から、多国籍企業労組同盟を結成する までの経緯や、情報・経験共有と使用者との対話を通じてグローバル協定の締結と各国における確実な実施・遵守を目指していく決意が語られた。
インドのグラフUNICOME(商業組織化プロジェクト)担当は、94年以降毎年7%の急成長を遂げてきた経済下、労働市場の75%以上がインフォーマ ルセクターで未組織である膨大な国において、UNICOMEは主に都市部の商業労働者の組織化に着手したと報告。ターゲットは、メトロ、ビッグバザール、 パンタローン等で、3都市にオルグを配置、マンツーマンで連絡を取りながら、新しい組合のコンセプト普及に努めている。
桜田UNI-LCJ議長は、昨年、日本で初めて締結された高島屋とのグローバル協定の背景には、労使共に社会的責任に取り組む環境と良好な労使関係が あった点を強調し、「スリーピング協定にしてはならない」との信念のもと、この1年間着実に課題を実行し、8月にはUNI本部とモニタリングを実施したこ とを報告した。

インディテックスとのグローバル協定締結
大会3日目には、カルフール及びインディテックスそれぞれのグローバル労組同盟が結成され、続いてインディテックス社CEO、UNI、スペインの2加盟 組合との間でグローバル協定が締結された。これで、来年の長崎大会までに50社とグローバル協定を締結するという目標は33社にまで達した。

行動計画、動議の採択及び選挙
資格審査委員会を代表し、村山代議員(自動車総連)は、代議員115名(女性41名、男性74名)、オブ59名、ゲスト16名、計190名、女性比率37%、青年比率6%であると報告した。
大会は行動計画を提案通り採択し、「UNI商業部会-ブレイキングスルー」と題する文書については、「各地域のニーズに従って」という文言追加など若干 の修正を含めて採択した。この他、スペイン、イタリア、ベルギーから提出された3つの連帯決議と、ジェンダー平等促進決議が採択された。
新しいUNI世界商業部会運営委員会が選出され、アジア太平洋地域(4議席)からは、オーストラリアSDA・デブリュン氏、日本UIゼンセン・橋本副書 記長、日本JSD・八野会長、シンガポールSMMEU・チュア氏が選出された。退任した島田書記長や桜田UNI-LCJ議長には感謝の意が示された。世界 議長には米UFCWのスポールディング氏が、またアジア太平洋地域選出の副議長にはデブリュン氏が再選された。予備委員と、ジェンダー平等促進決議に従い 各地区に割り当てられた女性議席については今後各地域で指名・選出することになった。
スポールディング議長は、ベッシガー局長率いる新チームの大会に向けた準備を労い、UNI商業グローバルユニオンの発展と、長崎大会で更なる成果を披露できることを期待し、閉会した。


テレコム部会、アジア各国の被災組合員への連帯支援

台湾
今年8月に台湾南部を襲った台風8号により、約700人が死亡・行方不明となった。UNI加盟のCTWU(中華電信工会)においても多くの組合員の家屋 が損壊した。CTWUは朱理事長の陣頭指揮の下、役員が被災地入りし、被災した組合員を激励した。野田事務局長はCTWU本部を訪問し、NTT労組からの 義捐金100万円を贈呈し、「復興支援に役立てて欲しい」と激励した。

インドネシア
9月30日に西スマトラ州でマグニチュード7.6の地震が発生し、テレコム労組組合員の家族1名が死亡し、300人以上の組合員の家屋が全損壊した。情 報労連・永井組織局長とNTT労組・水野財政総務部長は被災地パリヤマンとパダンと訪問し、テレコム労組に義捐金150万円を贈呈した。
セカテルコム(PT Telkom労組)・ワルトノ議長は、「多くの組合員が自宅を失った。そのような中、組合員は使命感を持って必死に通信ネットワークの復旧に取り組んだ。 地震直後2時間は不通となったが、予備バッテリーを使って1日で80%、3日で100%復旧させた。」と説明した。
セカテルコムは被災した組合員へのテント配布や、食料配給を行っている。また、会社と連携して、通信局社の敷地をボランティアへ開放、食料配給を行うなどの側面支援を実施している。

フィリピン
9月末、台風16号が首都マニラを襲い、記録的な降雨を記録した。MKP(PLDT一般従業員労組)においては組合員の家屋浸水被害は200軒を超えた。
情報労連・永井組織局長とNTT労組・水野財政総務部長はMKPを慰問、アーサー委員長に50万円の義援金を贈呈するとともに、緊急物資として組合員の被災者にコメや缶詰などの緊急物資を、直接、手渡した。
フィリピンは地理的に台風被害を受けやすい。それにも関わらず、国の被災防止策が弱く、排水などのインフラ整備が未熟である。引き続き発生した台風17号は農業地帯を襲来し、コメの収穫も危ぶまれる。また、被災地での感染症患者の激増など、二次災害が深刻な状況だ。

なお、UNI日本加盟協(UNI-LCJ)は、インドネシアASPEK及びフィリピン加盟協にそれぞれ50万円ずつカンパを行った。


日比共同セミナー「国際金融危機:組合の経験と対応を共有」

 



開会
ウマリUNIフィリピン加盟協(UNI-PLC)事務局長は、「グローバル金融危機のテーマは、我々に身近な問題であり、積極的な参加を期待する」と述 べた。伊藤UNI日本加盟協(UNI-LCJ)事務局長は、日本からの講演者を紹介した後、「今回で共同セミナーは10回目となる。この二国間セミナーを 通じ、UNI-PLCとUNI-LCJの友好・連帯は発展してきた。更に友好を深めていこう」と挨拶した。日本からは、桜田UNI-LCJ議長の他、石川 損保労連委員長、矢鳴UIゼンセン同盟常任中央執行委員、福岡JP労組教育部長、高橋JSD組織局部長が出席した。

基調講演
桜田UNI-LCJ議長は、「グローバル金融危機、労働組合、日本社会」の表題で基調講演を行った。「内需不足が企業マインドを萎縮させ、雇用・労働現 場に大きな負荷をもたらした。ジョブレス・リカバリー(雇用なき景気回復)などの現実が少子高齢化を促進し、日本は自律的回復の道からそれていった。」 「オバマ政権の誕生が、私たちにやれば出来るとの確信を与え、民主党の大勝利につながった。」桜田議長は、「新自由主義経済が破綻した今、国際社会は市場 経済を前提とした持続可能な新たなパラダイムシフトを求めて動き出している」と結論付け、参加者に問題提起を行った。

石川損保労連委員長は、「グローバル金融危機と日本の金融部門」の演題で講演した。石川委員長は、「2008年9月15日に何があったか」という質問か ら開始し、「リーマンブラザースの退場に続いて、多くの金融機関、企業が倒産した。経済の不況はまだまだ続く。この中で我々がすることは何か。」と問題提 起した。

高橋JSD組織部長は、商業部門への影響を説明。JSDの現状から、グローバル金融危機以前の日本経済、グローバル経済危機の商業部門への影響まで、女性、パートタイマーが多い点やJSDの取組を詳述した。

ウマリUNI-PLC事務局長はフィリピンの金融労組の状況を報告。フィリピン経済もグローバル金融危機の影響を受けている。経済危機からの教訓として 「強力な銀行を作る」を旗印に、基本的な銀行の機能すらアウトソースしようとしている。CSRは、こうした銀行経営陣の反組合主義を改めさせる上で有効で ある。日本の銀行が、グローバル枠組み協定を結べば、我々にも助けになる、と述べた。

オフレネオ・フィリピン大学労使関係学科教授
「寂しさを感じたら組合へ」のスローガンは良い。1929~33年の強行の際、資本主義はどう対応するかわからなかった。その後ケインズが登場し、需要 と供給を強めることと対応策を出した。生産しても大衆が消費しなければ意味は無い。しかし1980~2009年までネオリベラル経済によって、大恐慌以前 に戻ったが、今再び希望の時を迎えている。「地球は資源が豊かで、十分に豊かに暮らしていける。ただし貪欲に対しては、地球の資源も十分ではない」という ガンジーの言葉を引用した。

矢鳴UIゼンセン労働条件局長は、UIゼンセン同盟について説明した後、生産性三原則、労働三権、整理解雇の4要件など、労働者保護の法的枠組みを整理 した。UIゼンセン同盟の対応方針として、事前協議制の確立、職場討議の強化、情報公開、完全雇用と就学権などを説明した。その後具体的事例で、合理化に 対する対処を報告した。

福岡JP労組教育部長は、まずJP労組の説明からはじめ、郵政改革の現状を説明した。民主党政権の下、郵政事業4分社化の見直し、「日本郵政」、「ゆう ちょ銀行」、「かんぽ生命」の株式売却の凍結の柱に要求している。組合員教育では、役員教育と通信教育を中心に進めている。その上で、主要企業の組織化、 関連企業の組織化に全力を挙げている。

フィリピンの加盟組合から現状報告を受けた後、「組合の活性化のために何が必要か」のテーマで討論が行われた。「新しいメンバーの教育が重要である。 JP労組では教育に力を入れている。」「統一が重要だ。日本の労組は統一している。フィリピンは分裂している。この弱さを分析することが必要だ。」「新し いメンバーをリクルートすることが重要だ。組織化するためには、毎月ニュースレターを出すことが重要だが、そのためには資金が要る。」「サービス産業は女 性労働者が多い。女性をいかに組織するかが課題。」などの意見が出された。ボビットUNI-PLCコーディネーターは、これらを表にまとめ、討論を終え た。キーワードは、教育・訓練、チーム、組織化、青年委員会、リーダーシップの転換、女性の登用、若いバイタリティの確保、雇用確保、インターネットの活 用である。

report


UNI書記長、G20サミットで日本の新首相と会談

フィリップ・ジェニングスUNI書記長は、国際労組代表団の一員として首脳らと会見し、世界的不況に終止符を打つためには、雇用創出、金融規制改革に加え、働く人々を中心とした計画など、重点的取組みを継続するよう要求した。世界の経済大国指導者との一連の会談の中で、ジェニングス書記長は高木剛連合会長らと共に、新たに就任した日本の鳩山由紀夫総理大臣に挨拶する機会を得た。
ジェニングス書記長は鳩山首相に就任の祝辞を述べ、2010年11月に長崎で開催されるUNI世界大会開会式での挨拶を正式に依頼した。
「鳩山政権樹立は日本の政治におけるブレイクスルーであると同時に、世界にとっても重要な出来事。“ブレイキングスルー”はUNI世界大会のテーマでもある」、「世界中のUNIメンバーは、新政権の日本やアジア、国際経済及び社会開発への取組みに非常に関心を寄せている」とジェニングス書記長は述べた。
UNI世界大会には、世界250カ国から2000人の組合員が平和都市、長崎に結集する。
「世界が平和に向けた新たな時代に踏み出そうとしている」とジェニングス書記長は述べた。「先週、バラク・オバマ米大統領が議長を務めた国連安全保障理事会は、核兵器のない世界をつくる決意を表明する決議を採択した。国際労働運動の仲間は、長崎が最後の被爆地となければならないと信じている。」
ジェニングス書記長はまた、G20サミットが経済危機問題に焦点を当てる中、日本の首相が米大統領の提唱する核兵器のない世界づくりを支持したことは重要だったと述べた。鳩山首相は、UNIが長崎を世界大会開催地としたことは先見性ある選択だと称えた。
首相はまた、世界は未だ経済危機から脱していないが、雇用対策、より環境にやさしい国際経済の実現、国際開発の新たな憲章を支援していきたいと強調した。
この会談は、国際労働運動のリーダーがG20に合わせて行う「シャトル外交」の一環であった。
ジェニングス書記長は他の労組リーダーらと小グループに分かれ、先週、ピッツバーグで世界各国首脳と会談した。木曜の晩、労組リーダーは一時間のうちに、鳩山日本国首相、オバマ米大統領、メルケル独首相をはじめとする6カ国首脳と次々に会談し、G20に出席した国家元首のうち計12名と会うことができた。
短期間に集中して行われたロビー活動の目的は、世界のリーダーに、雇用拡大策の継続がいかに重要であるかというメッセージを届けることだった。
国際労働組合総連合(ITUC)は、組合が協力して世界各国のリーダーにロビー活動を行うために会議を企画し、米労組ナショナルセンターAFL-CIOが労組リーダーをピッツバーグに受け入れた。


「ブレイキングスルー」の勝利、日本の政治に大きな変化の兆し

UNIは今日、54年間にわたり政権の座に就いてきた自由民主党に民主党が勝ったという感動的な勝利の知らせを受け、日本のメンバーに心からお祝いを申し上げたい。
 最終的には、労働組合が支援する民主党は、衆議院480議席中、308議席を獲得した。
 これは日本にとって歴史的な出来事で、UNIとしても選挙運動に奔走した仲間の皆さんを祝福したい。日本の労働組合はこれから、労働者を支える政治的アジェンダを推し進めるために、政府と共に協力していく絶好の機会を手にした。
 UNIは2010年、11月9~12日、長崎で世界大会を開催する。
 「大会のテーマは『ブレイキングスルー』だが、日本の政治におけるこれほど見事なブレイクスルーは願ってもいないことだ」と、フィリップ・ジェニングスUNI書記長は述べた。「この選挙結果によって、日本の労働組合が確実にブレイキングスルーを遂げており、真の政治的変化を起こしたい、起こす準備はできている、起こす力を持っていることが示された。」
 日本のナショナルセンター、連合は、総選挙の勝利を喜ぶと共に、大きな責任も自覚している。新政権には深く関わり、「雇用の安定こそ社会の安心・安全の最大のポイントであり、着実な景気回復も図っていかなければならない」と声明の中で述べている。
 UNIとしても、労働者を中心とした政治を発展させ実行していくための日本の労働組合や政府の取組みをサポートしていく、とジェニングス書記長は述べた。
 ジェニングス書記長は選挙運動の終盤まで日本に滞在しており、UNI加盟組合や連合役員を訪問した。
 「加盟組合は、民主党を支持するキャンペーンに全力を挙げてきた。」「雇用情勢は戦後最悪の状況にあるが、加盟組合は日本の労働政策を見直すために新政権と協力することを期待している。日本で歴史的な変革が起こったこの時期に、歴史的な町でUNI世界大会を開催することができ大変意義深い。加盟組合と共に準備を進めているところだ。」
 民主党に祝意を表すると共に、UNIは来年のUNI世界大会開会式で、新しい首相に演説をしてもらうことを期待している。


ニヨンで世界平和と核軍縮を呼び掛ける日本の高校生

日本の高校生グループが核兵器廃絶と世界平和を推進する運動の一環として、8月19日、ニヨンのUNI本部を訪れた。高校生平和大使は平和のメッセージを世界中で訴えている。平和大使の一人、大渡ひかるさんは「平和への願いや核兵器廃絶を多くの人に伝えたい。広島と長崎の悲劇が繰り返されないよう核兵器はただちに廃止されるべき」と訴えた。
 大渡さんは被爆三世である。被爆者とは原爆の生存者とその子孫を表す言葉で、被爆二世は生存者の子供、被爆三世は孫である。
 平和大使の多くは長崎市の出身。米国は第二次世界大戦末期、広島と長崎に原爆を投下した。日本人学生12人、韓国人学生1人、長崎の原爆生存者3人、広島の生存者1人が訪れた。
 彼らは毎年、国連や欧州各地で核軍縮を訴えているが、ニヨンのUNI本部訪問も恒例行事となっている。
 平和大使の訪問をUNI本部で受け入れている間、フィリップ・ジェニングスUNI書記長は長崎におり、11月にニヨンで開催されるUNI世界執行委員会で演説してもらうよう長崎市長を招待した。
 「平和は、グローバルユニオンとして、よりよい世界をつくるための基盤だ。私たちが原爆の恐怖を決して忘れないよう、平和のメッセージを伝えるための若者の役割は極めて重要だ」とフィリップ・ボイヤーUNI副書記長は述べた。
 UNIは過去4年に渡り、平和大使の訪問を歓迎してきた。2010年11月には日本の長崎でUNI世界大会が開催される。
 世界大会を控え、UNIは平和大使と日本のナショナルセンター連合等が推進する平和活動に参加する。潘基文国連事務総長に宛てた、核兵器廃絶と恒久平和を求める嘆願書に1000万人の署名を集めることである。国連は2010年5月にニューヨークで核拡散防止条約再検討会議を開く。
 大使たちは、ダニエル・ロゼラ・ニヨン市長からも歓迎を受け、ニヨンの若者とも交流した。


平和への呼びかけ -長崎原爆の日-

フィリップ・ジェニングスUNI書記長は、2009年8月10日、長崎で行なわれた第7回平和市長会議総会にて、核戦争の終結を訴えた。
 8月9日、長崎は64回目の原爆の日を迎えた。
 ジェニングス書記長は、「長崎を世界最後の被爆地に」と呼びかけた。
 長崎で始まった平和市長会議は、世界3,000都市の市長が核兵器廃絶の闘いのために集結している。
 正義と人権を追求する取組みの一環として、UNIは世界平和推進の様々な活動に寄与してきた。平和のメッセージを伝えるため、UNIは2010年11月の世界大会の開催地に長崎を選択した。
 「皆さんの活動は、世界中の市民が核兵器を非人道的なものと認識し、その廃絶を求めていることを全ての権力者に訴える市民活動だ。UNIは、互いにどのような協力的な行動をとれるか考えていきたい」と、ジェニングス書記長は、平和市長会議で述べた。
 UNIは毎年、長崎平和大使の訪問をスイスのニヨン本部で受け入れている。平和大使とは、ジュネーブの国連に核兵器廃絶と世界平和のメッセージを届ける日本の若者である。今年は、ダニエル・ロゼラ・ニヨン市長も、平和大使を歓迎することになっている。
 2010年11月の長崎世界大会を前に、UNIは連合が呼びかけた平和イニシアティブに参画している。その目的は、世界の核兵器廃絶と恒久平和を求める潘基文国連事務総長宛の嘆願書に1000万の署名を集めることである。国連は、2010年5月、ニューヨークで核不拡散条約(NPT)運用検討会議を開催する。
 「平和を願う市長、グローバルユニオン運動、世界中の市民が一体となって、核兵器の無い世界を実現しよう」と、ジェニングス書記長は呼びかけた。
 ジェニングス書記長は8月、2010年長崎世界大会準備に加え、平和集会に参加したり、加盟組合を訪問したりする。また、8月7日には、核兵器廃絶2009平和ナガサキ大会にてスピーチを行なった。


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