
欧州33か国で、労働者5,000人以上、サービス利用者2,000人以上、数百のサービス提供事業者を対象に実施された大規模調査により、労働者の賃上げと、個人・家庭向けサービス(PHS)を利用しやすい価格で提供することが急務であると明らかになった。PHSの労働者は、子ども、高齢者、障がいのある人のケアから、料理、清掃、庭の手入れなど、日常的な家事に至るまで、多岐にわたる業務を担っている。
この調査「PHS Employment Monitor」は、欧州の労使社会対話のパートナーであるEFFE、EFSI、EFFAT、UNI欧州が、2024年の開始以来、2回目となる調査として実施したものである。調査結果に基づく報告書では、各国および欧州の政策決定者に向けた明確な要求が示されている。労働者と提供事業者は賃金改善を求める一方、利用者と提供事業者は、手頃な価格でのサービス提供を求めている。2024年以降、EU全体の累積インフレ率が6.2%に達するなか、欧州で続く生活費危機の双方の問題を解決するには、社会に不可欠な基盤となるサービスへの公的投資が必要であると、報告書は指摘している。
雇用・社会権担当の元欧州委員ニコラ・シュミット氏は、報告書の序文で次のように述べている。「パンデミックが深刻だった時期には、何百万人もの人々が医療・社会福祉従事者に拍手を送った。しかし今日、誰もが口にするのは、競争力や規制の簡素化である。今回の調査で特に注目されるのは、生活費危機が依然として続いていること、そして雇用関係にある双方で、費用負担の重さに対する懸念が高まっていることだ。この問題に取組むことは、すべての民主主義勢力に課せられた責務だ。」

調査対象となったPHS労働者のほぼ半数(47.5%)が、過去3年間にPHS分野での仕事を辞めることを考えたと回答しており、その最大の理由は低賃金だった。また、PHS労働者の確保・定着が「困難」または「非常に困難」と回答したサービス提供事業者のうち、10社中8社が、その理由として賃金の低さを挙げた。
サービスの利用しやすさについては、利用者の約80%が、サービス料金を「多少の問題」または「大きな問題」と捉えている。利用者の声からは、在宅ケアや家事支援の労働者を利用できなくなった場合、仕事と生活の両立が難しくなり、家庭環境が悪化し、ケアの質も低下することが示されている。
調査結果は、低賃金とサービス料金の高さが、未申告労働の要因にもなっていることを示している。未申告労働が場合によっては正当化されると回答した労働者のうち、約半数が、仕事を申告すると賃金が低くなりすぎることを理由に挙げた。また、同様に回答したサービス利用者の約36%は、仕事を申告するとPHSのサービス料金が高くなりすぎることを理由として挙げた。
さらに労働組合がPHS労働者にとって、自らの権利に関する重要な情報源となっていることも明らかになった。労働組合に加入していない労働者は、組合員に比べ、権利に関する情報を政府のウェブサイト、ソーシャルメディア、友人や家族から得る傾向が有意に強かった。
PHSのサービス提供事業者の五分の2は、産業別または企業別の労働協約を締結していないと回答した。

調査を実施した労働組合の一つであるUNI欧州のオリバー・レティク地域書記長は、「PHSの労働者は、高齢化が進む欧州社会において、誰もが尊厳をもって生活するために不可欠な役割を果たしている。だがこの分野では、労働者、使用者、利用者のいずれにとっても、サービスの費用負担が大きな危機となっている。労働者に公正な賃金が支払われ、使用者が人材を確保・定着させ、利用者がサービスを利用できるようにするには、強固な社会対話と団体交渉が不可欠だ。」と述べた。
その他の主な調査結果
- 週35~40時間の通常の労働時間で働くことは例外的であり、週35~40時間働いていると回答した労働者は全体のわずか4分の1だった。
- PHS分野で働く労働者の10人中6人が、腱炎や腰痛など、仕事が原因の筋骨格系障害に悩まされていると回答した。
- 住み込みで、呼び出しに応じて働くケア労働者の約6割が、仕事のために睡眠に問題を抱えていると回答した。また多くの労働者が、食事の不足や非人道的な生活環境を経験していた。
- 調査に回答したPHSサービス提供事業者の3分の2が、労働者の採用は「困難」または「非常に困難」であると回答し、約40%が、PHS労働者の定着は「困難」または「非常に困難」であると回答した。
(2026年10月13日)