グローバルユニオン、イランで高まる人権・労働権および市民的自由の侵害を非難

グローバルユニオン評議会(CGU)による声明 (2023 年 9 月 12 日付)

グローバルユニオン評議会(CGU)は、国際労働組合総連合(ITUC)、国際産業別労働組合組織(GUFs)、経済協力開発機構(OECD)労働組合諮問委員会(TUAC)を通じ て2 億人以上の労働者を代表し、イランの様々な当局による労働組合指導者・ 活動家の人権・労働権および市民的自由の侵害がエスカレートしていることを、非難する。

特に、ジナ・マハサ・アミニさんが超法規的に死亡に至った2022年9月16 日から1年となる節目の日が近づいていることに鑑み、教員、ジャーナリスト、労働組合活動家、学生活動家、女性の権利擁護者を標的とした弾圧措置の強化に対し、CGUは深い懸念を表明する。我々は、この弾圧を糾弾し、その即時停止を要求する。そうすることで、労働組合員が、あらゆる民主主義社会の礎石である労働者の権利をイランにおいて擁護し、支持することができるようになる。

我々はまた、「道徳警察」の影響力の増大と、強制ハビド法の施行によって女性への嫌がらせが行われ、教育へのアクセスが妨げられていることを懸念する。

特に、教育インターナショナル(EI)、国際運輸労連(ITF)、国際ジャーナリスト連盟(IFJ)の加盟組織、すなわち、イラン教職員組合連絡協議会、テヘラン・郊外バス会社労働組合(VAHED労組)、イランジャーナリスト協会(AOIJ)は、執拗な嫌がらせ、逮捕、長期拘留、刑務所での拷問に直面している。

さまざまなグローバルユニオンの加盟組織、指導者、各部門の労働者は、以下を含む同様の人権侵害を報告している:

教師や労働組合の権利活動家を標的にした解雇: イランでは、教師や労働組合の権利活動家が不当に標的にされ、解雇されることで、彼らの生活が著しく損なわれている。強制的な「自白」の公開放送など、拘禁中に肉体的・精神的拷問が行われている。恣意的な不定期刑の下で、劣悪な環境で、医療を受けられずに投獄されている。

労働者の集会や平和的なデモを攻撃し、労働活動家、ジャーナリスト、抗議する労働者を威嚇し、恣意的な略式解雇を行い、労働組合活動家を逮捕し、「公の秩序を乱す」、「国家に反対するプロパガンダ」、「国家の安全に反する行為」などの罪で起訴されている。死刑を含む厳罰が科されることもある。

組合活動に関するニュースの自由な伝達が妨げられ、政権が支援する並列組織が設立されて善意の労働組合が妨害されている。メーデーに関連するものを含め、組合が公的行事を開催しようとする試みが、攻撃されている。

囚人の権利の侵害: 労働組合活動家を含むすべての被拘禁者は、国際法が規定する敬意と尊厳をもって処遇されるべきである。不法に拘留されている教師、学生、労働組合活動家、人権擁護者は、釈放されるべきである。また、すべての拘置所において、拷問を禁止すべきである。

労働組合指導者の家族に対する圧力:活動家の家族に対する圧力が高まっていることは、深く憂慮すべき事態である。家族には、報復の恐怖から解放され、平穏に暮らす権利がある。

組織化し、集会を開く権利:イランの労働組合員には、迫害の脅威なしに組合を組織し、総会を開く基本的権利が認められるべきである。

労働者の要求を敵視する政府:労働者の正当な要求と退職者の要求に無関心であることは不当である。我々は、公平な待遇と尊厳ある生活に値するすべての労働者・退職者と連帯する。

我々はイラン当局に対し、国際労働基準、特に結社の自由を尊重し、人権、正義、尊厳、 公正の原則が優先されるよう、求める。CGUは特に、民主的で公正な社会を求める女性の権利擁護者の闘いに対し、連帯を表明する。

我々は結束して、イランと世界の労働者、女性、教育者、ジャーナリスト、権利擁護者、活動家の権利擁護に取組む。


UNI、持続可能性リーダーシップで『ヴォーグ・ビジネス・イノベーターズ100』に選出

UNIはインダストリオールと共同で、持続可能性における先見的なリーダーシップが評価され、2023年『ヴォーグ・ビジネス・イノベーターズ100』に選出された。

ファッション業界のアカウンタビリティにおいて重要な節目となる今回の選出は、システム改革と持続可能性を求める声が世界的に高まる中で発表され、 持続可能性と労働者の権利にとって画期的な出来事となった。

UNIとインダストリオールがこのリストに入ったことで、当初、バングラデシュ・アコードとして知られていた「火災と建設物の安全に関する国際アコード」の設立において、両グローバル・ユニオンが果たした重要な役割にスポットライトが当たることとなった。

今回の選出は、ファッション業界に真の変革をもたらす国際アコードの有効性を強調するものである。バングラデシュのダッカで1,138人の命を奪い、さらに2,500人の負傷者を出したラナ・プラザの悲劇を受けて実施されて以来、アコードは、バングラデシュの2,400の縫製工場で56,000件近くの安全検査を実施してきた。安全に関わる14万件以上の 問題を改善し、その改善率は91%という驚異的な数字を誇る。

アルケ・べシガーUNI副書記長は、「単に我々にとって名誉なことではなく、ブランド企業と協力した組合と労働者の総意と努力の証だ。我々の取組みは、労働者の安全を保証する規則や規制の範囲内で、業界はビジネスを行えるし、またそうしなければならないということを示してきた」と述べた。

2023年1月現在、国際アコードはパキスタンを皮切りに、他の地域にも拡大していく予定だ。国際アコードが対象とする工場の労働者にプラスの影響を与えることは間違いなく、他地域への展開は、ファッション・ビジネスが持続可能かつ倫理的に営まれるあり方に、一大革命を約束するものである。

ファッションのサプライチェーンにおける賃金格差から植民地主義的なパワーダイナミクスまで、複雑な課題が山積する中、UNIとインダストリオールは、変革が可能であることを実証してきた。『ヴォーグ・ビジネス』誌からの今回の栄誉は、制度的な持続可能性を求める継続的な動きに大きな勢いを与え、UNIや労働組合のリーダーを、グローバルな変革の最前線に位置づけるものだ。

「グローバル化時代の最も効果的なキャンペーン」と称されたバングラデシュ・アコードは、バングラデシュの縫製産業の安全性に革命をもたらした。バングラデシュ・アコードは、工場を検査する独立機関を設立し、職場の危険を是正するための期限を定めた。検査と是正の要件に従わない工場は、世界最大級のファッションブランドを含むアコード調印企業のために商品を製造する資格がない。これらのブランド企業は、工場の修繕のための適切な資源を確保する責任を持つ。

小売業者2社が、是正費用の公正な負担を拒否した際には、UNIとインダストリオールは仲裁手続きを開始し、是正費用に充てるための相当額の和解金を確保した。

バングラデシュ・アコードが実施された結果、労働者と組合は現在、危険な作業を拒否する権利、報復を恐れずに安全に関わる問題を報告する権利、組合に加入する権利を有している。180万人以上の労働者が職場の安全に関する訓練を受け、労働者主導で何千もの危険が特定され、是正されてきた。

国際アコード:労働安全は新たな節目
2021年9月に、UNIとインダストリオールは、国際アコードの交渉を完了した。バングラデシュにおけるアコードの仕組みと要件は変わらないが、検査機能は、業界代表も参加する3者構成の既製服持続可能性協議会(RSC)に移管された。また2021年の合意は、ブランドと小売業者が他の衣料品生産国において工場安全プログラムを拡大することを約束するものである。

約200の調印企業を擁する国際アコードは、このモデルが永続的で信頼できるものであることを、証明している。


EU、労働者の権利を損なう企業に対して10億ユーロの助成金

ITUCが発表した2023年度版のグローバル権利指数は、労働者の基本的権利を損なう企業に対し、10億ユーロという途方もない金額が支払われていることを、明らかにした。ギリシャのディミトリオス・パパディムーリス欧州議会議員兼欧州議会副議長が、欧州委員会に書簡を送り、説明を求めた。

UNI欧州は、欧州委員会の回答は非常に不満足であると考えている。同委員会は、欧州全域の労働者に影響を及ぼしている問題の制度的性質を認識するのではなく、こうした状況を説明するために、法的拘束力のない社会規範(ソフト・ロー)と優良事例のガイドラインを提案しているのだ。

反対意見が高まるにつれ、より実質的な行動の必要性は明らかである。権利を侵害する企業に多額の財政支援が与えられている状況については、もっと強力で実効的な解決策が必要である。

公共調達指令の見直し
この差し迫った問題に対処するため、ディミトリオス・パパディムーリス欧州議会副議長は、労働者の権利を尊重し、団体協約を結んでいる企業だけが公的資金を受け取るべきだと提起している。同氏は、公共契約がディーセント・ワークの基準と団体協約を尊重する企業にのみ発注されるようにすることを目的としたUNI欧州のキャンペーン『ディーセント・ワーク調達宣言』に賛同した160名の欧州議会議員連盟の一人だ。

EUの公共調達は年間2兆ユーロ(GDPの14%)に相当する。公共入札の半分が、他のいかなる側面についての考慮もなく、最低価格であることのみが理由で落札されている。その結果、公的資金が労働者の底辺への競争に拍車をかけている。職場の民主主義を回避し、賃金や人件費を切り下げることを最も厭わない企業が、公的契約によって報われているのだ。

労働組合は、ディーセント・ワークを確保するには公的資金が不可欠だと主張している。団体協約を結んでいる企業にのみ公契約を発注することで、労働者の最低限度の尊厳が確保される。

今こそ、行動の時!
懸念が高まる中、具体的な行動が不可欠である。欧州委員会には真の変革をもたらす力がある。ソフト・ロー指針や優良事例はそれなりの役割を果たすであろうが、問題の深刻さに見合った、より強力な措置が必要である。今こそ、言葉だけでなくて、深く響く変化を実行に移す時なのだ。


クリスティ・ホフマンUNI書記長が再選

フィラデルフィアで開催された第6回UNI世界大会の最終日に、満場一致でクリスティ・ホフマンUNI書記長が再選された。

新たに選出されたジェラルド・ドワイヤーUNI会長は、2018年に始まったホフマン書記長の最初の任期を称え、「COVID-19パンデミックを機に、各国政府や組合、そして加盟組織間のつながりを深めた。UNIと世界の労働運動が困難な時代にも成功するための準備を整え、政府お要人や企業の重役に労働者のための力強い声を届けてきた。彼女が書記長を務めるUNIには、非常に明るい未来がある」と語った。

同書記長は過去5年間に、多国籍企業との協定や、訓練・能力・連帯を通じたキャンペーン支援で成果を出すなど、UNIの組織化プログラムを強化してきた。また、資本戦略や広報、OECDガイドラインのような国際的ツールの活用におい て、UNIの力を拡大してきた。さらには、UNIのエッセンシャルワーカーのためのキャンペーンを含め、UNI全部会でパンデミックとその労働者への影響について、交渉・政策対応を調整してきた。

ホフマン書記長は、UNI世界大会に出席した109か国の組合指導者に対し、「この世界ではあまりにも多くの人々が取り残されている。我々は、こうした状況を変えていく」と力強く語りかけ、「私たちは、グロテスクな不平等ではなく、共有できる繁栄を、ファシズムや戦争ではなく、平和と民主主義を、職場における尊厳、安全で環境に優しい仕事、そしてすべての人のための組合を、何度でも求めていかなければならない」と訴えた。

これらの目標を実現するため、同書記長は、次期任期における3つの重要な優先課題を概説した。

第一に、UNIは各部会の主要多国籍企業すべてとのグローバル協定の締結に向けた取組みをさらに強化していく。「すべての多国籍企業の事業の中で、団体交渉を規範として確立する必要がある。労働者が従業員であるか、請負業者であるか、フランチャイズ事業で働く労働者であるかは、関係ない。こうしたすべての労働者が、団体交渉でカバーされなければあらない」と語り、「会社の拠点が米国であろうと、ドイツであろうと、フランスであろうと、関係ない。今がその時だ。事業展開している国がパキスタンでもケニアでもペルーでも関係ないのだ。言い訳はできない。そして、きちんと機能するルールが必要だ。デューディリジェンスには実効性がなくてはならず、投資家は注意を払わなければならない」と続けた。

第二に、UNIは気候危機と新たなテクノロジーの導入の双方に対処するため、公正な移行を要求する。使用者の気候変動政策に労働者が発言権を持つ必要があるのと同様に、ホフマン書記長は、労働者がテクノロジーがどのように使用されるかについて、関わる必要があると述べた。

第三に、ホフマン書記長は、UNIのインフラと能力のさらなる強化を約束した。UNIは、労働者の複雑な生活を共有するために独自のプラットフォームを利用することを含め、世界の政策決定者を動かすための戦略と戦術を革新し続けていく。しかし、こうした取組みには資金が必要であり、UNIは財政的パートナーの裾野を広げていく。

UNI書記長に選出される前、同氏は2010年からUNIの副書記長を務め、UNIビル管理部会担当局長でもあった。その任期中には、UNIは投資家や法的戦略などさまざまな手段を通じて、労働者の権利擁護に積極的に取組んできた。

米国を拠点に労働組合の活動家として25年以上の経験を持つホフマン書記長は、ジェットエンジン工場でIAM職場委員としてキャリアをスタートさせた。その後、鉱山労働者、チームスターズ、SEIUなど米国の労働組合のオルグや法律顧問を務めた。

企業の説明責任を提唱し、現在では国際アコードとして知られる「バングラデシュの火災・建設物の安全に関する協定」の交渉において、重要な役割を果たした。これは、同地域の労働者の人権保護を目的とした画期的な協定であった。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、ニューヨーク大学ロースクールで法学博士号を、スミス・カレッジで経済学の学士号を取得。彼女のリーダーシップは、特に世界がデジタル時代の複雑な労働問題に取り組む中で、尊厳ある労働を求める影響力のある発言で、高い評価を得ている。


UNI世界大会3日目:「民主主義と正義を求めるグローバルな闘い」に向けたコミットメントを確認し、閉幕

2023年8月30日、第6回UNI世界大会は3日間の日程を終えた。109か国の組合活動家が集い、世界の労働者に影響を与える差し迫った問題について議論した刺激的な1週間が、幕を閉じた。

世界大会3日目の最初のセッション『平和、民主主義、人権のために共に立ち上がろう』では、活動家、労働組合の指導者、政府高官等による熱のこもったスピーチと討議が展開された。コロンビアのエドウィン・パルマ・エゲア労働副大臣は、労働組合主義におけるグローバルな団結の必要性を強調し、「民主主義と正義を求める闘いをグローバルに展開することは、労働組合運動とUNIにとって重要なポイントだ」と述べた。

フロアから発言した石川幸德代議員(JP労組)は、ロシアのウクライナ侵攻に強く抗議することを表明すると共に、同組織がウクライナ支援のカンパ活動に取組んでいること、連合主催の平和集会が毎年行われていること等を報告した。

ミャンマーのカイン・ザー労働組合総連合代表は、ミャンマーにおける軍事支配との闘いにおける国際連帯の必要性について発言し、UNIの支援に感謝した。

平和と民主主義を求めるソフィア・エスピノーサ代議員の呼びかけから、コールセンター労働者の生活に関するミレーネ・カバロナ代議員の発言に至るまで、大会では、多岐にわたりつつも、相互に結びついた闘いがアピールされた。

企業の説明責任に関するパネルの中で、カバロナ代議員(フィリピン、BIEN)は、「フィリピンのコールセンターの労働は、非常に厳しい。ほとんどの労働者は深夜に働かなくてはならず、睡眠不足に陥っている。顧客が電話するのは、サービスに満足しているからではなく、問題や緊急事態があるから。顧客のフラストレーションは、何千マイルも離れた場所で睡眠不足に陥っている労働者に向けられている。多くのコールセンター労働者の月給は300米ドル以下であり、多くは家族を養うことができず、貧困にあえいでいる。これらの企業は、その気になればもっと給料を支払うことができるはず」と、訴えた。

討議の中で、コロンビアのディエゴ・ベラスコ代議員は、見過ごされがちな課題として、インターネットの安全を守るコンテンツモデレーターの精神的負担について発言した。この問題に共感を示したスペインのルシア・トレノール代議員は、労働者は国に関係なく、多くの同じ課題に直面していると強調した。

国際アコードの成果に関するセッションでは、アルケ・ベシガーUNI副書記長が、企業の人権デュー・ディリジェンスに対するUNIの取組みを概説、ルールを変えるための取組みに尽力しつつも、「我々は今あるツールも活用しなければならない。 企業の説明責任に対する我々のアプローチの重要な1つは、グローバル企業と協定を交渉することであり、協定を通じて、我々は現地の法律を超える権利、特に団結権や交渉権を確保することができる」と語った。

久重道正代議員(自動車総連)は、同組織の人権デュー・ディリジェンスに関する取組みを共有した。企業が進める人権デュー・ディリジェンスに労働組合もステークホルダーの一員として参画していけるよう、加盟する労連・単組の役員の理解を促進すべく、有識者によるセミナー開催などに力を入れていると報告し、ディーラーの組合員が、人権侵害に加担した製品を取り扱うようなことがないよう、製造、輸送、部品など、すべてのサプライチェーン、バリューチェーンで人権デュー・ディリジェンスに取組む必要があると発言した。

アミン・ハク代議員(バングラデシュ、全国縫製労連)は、火災安全のための国際アコードを労働運動の偉大な成果として称え、「衣料品・繊維産業の多国籍企業200社がこの法的拘束力のある成果に署名している。グローバル・サウスでは雇用が必要だが、必要なのは、尊厳、公正な賃金、安全な労働条件が伴った雇用だ」と述べた。

国際アコードの活動は継続中である。アトレ・ホイエ・インダストリオール書記長は、国際アコードの拡大を目指しているとし、「我々は、衣料・繊維部門の生産を行っている全ての国々で、労働者安全プログラムを策定しなければならない。我々の服を製造している人々を苦しめるわけにはいかない」と述べた。

イブラヒム・ママドゥ代議員(セネガル、SYTS)は、気候変動に対処する緊急の必要性について注意を喚起し、「気候変動に国境はなく、その影響は世界中の労働者に及んでいる」と訴えた。

アニット・シン代議員(フィジー、銀行金融部門労組)は、「フィジーの炭素排出量は0.006%に満たないが、フィジーとオセアニアへの影響は極めて大きい。たとえゼロになったとしても、それは変わらない。だからこそ、気候変動はすべての人の問題だ。ライフスタイルを変えなければならない。地球は一つしかないのだから」と呼びかけた。

ヤン・シンプソン代議員(カナダ、CUPW-STTP) は、気候変動から郵便労働者を守るための交渉と、雇用環境の保護に向けた同労組の取組みについて、共有した。また、マリン・ナイベルグ代議員(スウェーデン、Handels) は、過剰消費ではなく、リデュース、リユース、修理について話し合うことで、組合員が変化をもたらすことができると語った。

UNI世界青年委員会議長のルシマラ・マラキアス代議員は、「今後 10 年間で 10 億人の若者が労働市場に参入するが、90%は発展途上国の若者。こうした労働者は、機会、ディーセント・ワーク、生活可能な賃金が欠如した、非正規雇用、不安定雇用、非正規雇用の未来に直面するだろう」と訴え、若年労働者に影響を及ぼす問題に注意を促した。

斎藤優輔代議員(JP労組)は、「若者への投資」の重要性について発言し、金銭的な支援にとどまらず、機会、指導、資源を提供することで、永続的な変化の種が撒かれ、成長と発展の文化を育むことにつながるのであり、若者が自らの成長に主体性を持てるような取組みへの支援が必要だと述べた。

大会の最後に行われた選挙では、クリスティ・ホフマンUNI書記長が再選され、ジェラルド・ドワイヤー代議員(オーストラリア、SDA)が、新たにUNI会長に選出された。

松浦昭彦UNI Apro会長は、ジェラルド・ドワイヤーUNI新会長への激励の挨拶の中で、力強くUNIの運動を展開していくことを期待するとともに、「Apro地域としても、新たな体制を支え、連携し、UNIの活動のさらなる発展のために力を尽くしていきたい」と述べて、新会長の誕生を歓迎した。

ホフマンUNI書記長は、世界中の組合が直面する大きな課題と機会について語り、「一瞬の変化を永続的な変化につなげ、交渉の適用範囲を飛躍的に拡大するための野心と戦略が必要だ。これまで何度も言われてきたように、職場交渉は必要だが、それ以上の産別交渉も必要だ。我々には、組合が細々と生き延びるのではなく、組合が発展していくことを可能にする仕組みが必要だ。我々に必要なのは、一部の人々のためではなく、すべての人々のための組合だ」と語った。

大会は、労働者の権利、民主的価値、社会正義のための闘いが普遍的なものであること、そして集団的な行動は、世界中の人々の生活に影響を与えられるのだということを強く喚起させるものとなった。

ルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァ・ブラジル大統領は、UNI世界大会にあてた書簡の中で、聴衆に呼びかけた。―「私たちは同じ言葉を持っています。それは労働者の言葉であり、抑圧された人々の闘いを表現しています。その言葉は、平等の歌を歌い、尊厳ある生活とより良い未来を夢見るのです」


UNI世界大会2日目:世界中の労働者の緊急課題に取り組む

2023年8月30日、第6回UNI世界大会2日目は、松浦昭彦代議員(UAゼンセン)が司会を務める中、ルーク・トライアングルITUC書記長代行が基調講演を行い、「労働者の力を高め、ルールを変えるために共に立ち上がることによってのみ、企業権力に打ち勝つことができる。それが私たちの共同の闘いだ」と呼びかけた。

最初のセッション『公正で包摂的な経済』では、フランク・ヴェルネケ代議員(ドイツ、veri.di)が、より良い団体交渉を確保するためにストライキや産別行動が有効であることを強調し、その証に同労組の組合員数が14万人増加したことを挙げた。

また、インフレとの闘いにおける成功を引き合いに出したヘクター・デール代議員(アルゼンチン、FATSA) も、「我々は交渉の場でも街頭でも労働組合の力を高めている」と同様の見解を示した。地球の反対側では、日本の小川敬太代議員(自動車総連)が、春闘がいかにして物価上昇から労働者を守ることに成功し、過去数十年で最大の賃上げを実現したかを強調した。また、自動車総連として、大企業の動向に関わらず、それぞれの企業組合が自ら目指すべき賃金水準を実現し、中小企業の底上げを実現していきたいと発言した。

フロアから発言した松田惣佑代議員(生保労連)は、同労組では「人への投資」を重視し、賃金改善をはじめとする総合的な労働条件の改善に向けた取組みを積極的に展開しており、今後も生保産業で働くすべての組合員の経済的・社会的地位の向上、ひいては生保産業の健全な発展に努めていく、と力強く発言した。

また、セッション『不平等、人種主義、差別に対抗して立ち上がろう』では、深見正弘代議員(全労金)が、日本が現在もILO第190号条約を批准できていない経緯に触れつつ、ILO条約に基づく整備が必要であるとの認識の下、同組織が労働組合内における議論と業界団体との協議を進め、2020年4月に国内法を上回る内容で「労働金庫業態におけるあらゆるハラスメント禁止ガイドライン」を策定したことを報告した。

モーリス・ミッチェル働く家族の党代表は、セッション『不平等、人種差別、差別に反対して共に立ち上がろう』の基調講演において、「経営側は、労働者が互いに対立すれば、自分が勝利することを知っている。労働者が自身の勝利を自らのものだと考える時、我々は勝利する」と呼びかけて、UNIの参加者を鼓舞した。

この基調講演後、清掃員、警備員、全米サービス従業員労組(SEIU)32BJ 支部の組合員が、ドラムとコールを響かせながら会場に入り、清掃員の公正な契約を求めてアピールした。UNI世界大会の参加者は、この米国最大のビル管理部門の組合キャンペーンに連帯すべく、フィラデルフィアの街頭で展開された集会に参加し、路上を練り歩いた。クリスティ・ホフマンUNI書記長は、グローバルな連帯の力を強調し、「世界中の組合員が今日、フィラデルフィアで清掃員を支援できることを誇りに思う。公正な協約を求めて闘う勇気ある清掃労働者は、単に生活のために闘っているのではなく、この国のハートとソウルのために闘っている。パンデミック時の彼らの献身は、尊厳を守り、家族を守り、地域を再建する協約を得ることで、正当に評価されなければならない。この極めて重要な連帯行進は、フィラデルフィアの街をはるかに超えて響き渡り、あらゆる場所で働く人々の模範となるものだ」と呼びかけた。

しかし、この日の勢いはここで終わらなかった。ジュリー・スー米国労働長官代行は、熱気に包まれたUNI世界大会で講演し、「バイデン=ハリス政権は皆さんを支持しており、労働者を第一に考えている」と述べ、低賃金労働者や移民労働者を擁護してきた自身の経験についても語った。「労働者に対する虐待をなくし、すべての人の雇用の質を向上させる上で、皆さんとともに行うグローバルな活動が、我々の使命にとって不可欠であることを認識している」と発言し、米国政府は外交を通じて労働者の権利を促進する活動を継続するため、世界労働戦略を発表する予定であると述べた。

続いて、セッション『安全衛生のために共に立ち上がろう』において司会を務めたジェラルド・ドワイヤー代議員(オーストラリア、SDA)が、 労働者が直面するメンタルヘルスの危機、長時間労働、生産性に関するプレッシャー、第三者からの暴力について、概説した。パンデミックはケア部門の労働者に大きな打撃を与えたが、そうした労働者のメンタルヘルスの課題は、長い間見過ごされてきた。

ミゲル・ズビエタ代議員(アルゼンチン、FATSA)は、同労組によるメンタルヘルス課題への取組みと、ケアに関わる労働者への支援について語り、「労働組合は、メンタルヘルス問題を可視化する必要がある。労働者がそうした課題について語ること、そして組合がそれに共感し、理解することを促していく必要がある」と発言した。

また、スウェーデン、フィンランド、日本から、商業における暴力やハラスメントを阻止する取組みが共有された。リンダ・パルメッツホファー代議員(スウェーデン、Handels)は、暴力やハラスメントから商業労働者を守るための同国の法律について語り、「顧客を出入り禁止にする法的権利も重要だが、労働組合や使用者のためのさまざまなツールを備えた包括的なワークショップも必要」と発言した。

永島智子代議員(UAゼンセン)は、「サービスを受ける側も提供する側も共に尊重される社会を創る!」というコンセプトのもと、小売業におけるカスタマーハラスメントや第三者による暴力の根絶に向けた同労組の取組みを報告し、従業員に対するアンケート調査の実施や、国会集会の開催等に触れた。地方自治体が独自にカスタマーハラスメント対策に着手している事例などを紹介し、「カスタマーハラスメント対策が社会全体で推進されるよう必ずや対策推進法の法制定を実現させる」と力強く発言した。

菅野秀則代議員(損保労連)は、長時間労働の是正に向けた取組みについて発言した。長時間労働の要因の一つに、時間外における問い合わせや至急対応依頼などの「商慣習」があり、これらの課題を解消する必要があるとした上で、「お互いに相手の働き方に配慮する」という考えを社会全体に広げていくことも有効だと述べた。また、同労連ではこうした課題認識のもと、世論喚起を図るべく、政労使学のキーパーソンを招いてシンポジウムを開催したことを報告した。

エリカ・カハラ代議員(フィンランド、PAM)は、「顧客が常に正しいとは限らない。攻撃的な行為や侮辱的な行為を非難することは、悪いカスタマーサービスではない。脅迫や侮辱、個人的な誹謗中傷を受けることは、誰の仕事でもない。労働者は自分自身を守る力を得る必要がある」と指摘した。

エンターテイメント業界では、過重労働や長時間労働が横行している。マシュー・ローブ代議員(米国、IATSE)は、労働者の休息時間増を求めて闘い、それを実現した同労組の革新的なキャンペーンについて「この業界のプレッシャーが、エンターテイメント制作労働者の安全衛生リスクを増大させ続けるなか、労働組合はグローバルな連携と団体交渉を通じて反撃し、安全な職場を提供するという第一義的な責任を使用者に負わせなければならない」と述べた。

続くセッション『デジタル時代のディーセント・ワークのために、共に立ち上がろう』では、司会を務めたピーター・ヘルバーグ代議員(スウェーデン、Unionen)が、スウェーデンのテック企業スポティファイで働く労働者の、UNIを通じた国際的な組織化の取組みについて紹介した。

アラン・マカヴィニー代議員(米国、CWA)は、アルファベット労働者間の国際連帯の高まりに言及し、「我々は使用者がグローバル戦略を持っていることを知っている。我々もまた、グローバルに戦略を持たねばならない」とメッセージを発した。

フロアから発言した高須玲衣代議員(情報労連)は、変化の激しい環境の中、スキル向上のために求められるリスキリングへの対応について、会社と団体交渉を積み重ねてきたと述べた。そして人材育成政策を整備する事で合意したことを報告し、「再チャレンジやリカバリができるセーフティネットをつくるのが労働組合の役割であり、誰1人取り残されないために、仲間を守る私たちの役割はとても重要だ」と発言した。

中熊英樹代議員(JP労組)は、日本郵便が取組むデータ駆動型のオペレーションサービスや業務効率化などの取組み等に触れつつ、DX化の取組みは、働く環境や働き方に大きな変化を及ぼす可能性があり、雇用を守りつつ、労働生産性を高める取組みとなるよう、変化に合致した人事制度や処遇の見直しも必要であると指摘し、「先端技術を活用し、その結果を働く者の幸せに繋げていくためには、労働組合が将来を見据えて能動的に取り組むことが重要」と発言した。

クァク・チャンヨン代議員(韓国マイクロソフト労組)は、マイクロソフト労組のキャンペーンと、韓国におけるテック労働者の組織化の状況について報告した。同労組から始まった取組みは、グーグル、アマゾン・ウェブ・サービシズ、ツイッター、セールスフォース・ドットコム、メタにおける組織化も刺激している。

ローウェル・ピーターソン代議員(米国、全米東部脚本家組合)は、「我々がテクノロジーをコントロールすべきなのであり、テクノロジーが我々をコントロールしてはならない」と強調し、米国のテレビ・映画脚本家が、デジタル時代における公正な業界を求めて決行しているストライキについて報告した。UNI世界大会の参加者は、脚本家組合や俳優労組のSAG-AFTRAに連帯し、集会に参加した。


UNI世界大会1日目:組織化、ジェンダー平等、立ち上がるアマゾン労働者

2023年8月28日、 第6回UNI世界大会が米国・フィラデルフィアで初日を迎え、組合の力、女性の権利、Make Amazon Pay(アマゾンに支払わせる)をテーマに、盛りだくさんの議題で幕を開けた。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「我々はこの大会に結集し、次の4年間を展望すると同時に、グローバルな労働組合主義の力を称え、再確認していく。労働者に敵対する勢力が大きくとも、我々の力はもっと大きい。世界最大の民主主義運動であり、さらに大きくなる可能性を秘めている。我々は団結し、戦略的でなければならない。礼儀正しくお願いしていては、これらの目標を勝ち取ることはできない。闘わなければならない。闘えば、勝利を得られる」と呼びかけ、「我々の使命は、労働者の生活を向上させ、グローバルなパワーバランスを変えるために組合を強化すること。そしてこれは、ただ単に語るだけでなく、実際に変化をもたらし、物事を成し遂げるということ。そして、我々はそれを実践している」と参加者を鼓舞した。

この日の第1部「すべての人のために組合の力を構築しよう」は、ロシオ・センツ代議員(米国、SEIU)の司会で進められ、各地域のUNI加盟組織による、組織化の成功にスポットライトが当てられた。

トニー・クラーク代議員(米国、メジャーリーグ選手会)は、組合が初めてマイナーリーグを組織化して協約を締結し、健康手当や年金、そして報酬の改善を獲得したことを報告した。

松坂武敏代議員(UAゼンセン)は、今年の春闘での部門全体の賃金交渉における、歴史的に高水準となった成果について報告するとともに、「労働組合に対する社会の注目を大いに集め、特に労働組合への関心が低いとみられる青年労働者や、組合未加入のパートタイマー労働者に、労働組合の重要性を訴えることが出来た。この賃上げの流れを来年以降も推し進めることで、労働組合の存在意義を社会に示し、組織化や組合への新規加入につなげていきたい」と意欲を語った。

グローバル協定を通じた組織化
UNIと多国籍企業の間のグローバル協定は、厳しい環境で組織化を進める労働者を支援する上で、大きな役割を果たしている。クリスティーナ・ゴゲスク代議員(ルーマニア、FSC)は、 UNIがスーパーマーケット小売業のオーシャンと締結したグローバル協定によって、今年3月にこのスーパーマーケット・チェーンで組合結成の道が拓かれたことを共有し、「我々の目標は、団体協約の交渉を開始できるよう、来年4月までに組織率を少なくとも35%にすること。今のところ、組合員数は順調に伸びており、予定通り法的承認を得られると確信している」と期待した。

同様に、リズ・パサロ代議員(ペルー、SutraH&M)も、UNIの支援を受け、スウェーデンのファストファッション大手H&Mとのグローバル協定を活かした同労組のキャンペーンについて「初の団体協約を締結し、6年以上ぶりの昇給を実現した。経営側は中立の立場を維持することを約束した」と語った。

UNI組織化センター
大会では、東欧(COZZとUNISEEOC)、コロンビア(COE)、西欧(EPOC)にあるUNIの地域組織化センターによる優れた活動についても、それぞれ参加者に共有された。

オリバー・レティクUNI欧州地域書記長は、「我々はポーランド、ハンガリー、チェコで、ケア、ICTS、印刷・パッケージングの各部門において、組合のない職場で組織化を行い、商業部会と金融部会では組織率を高めるキャンペーンを実施した。昨年だけでも、COZZはポーランドのタレス、ハンガリーのエランダース、チェコのアルツハイマーに特化した介護施設の組織化に成功しており、現在も、グーグルやオルペアを含む6つのキャンペーンを継続中だ。この戦略が目指すのは、単に少数の企業、部門、国で成功することではなく、新自由主義の新たな攻撃に耐えられる強靭な労働組合の機構を欧州全土で実現することだ」と報告した。

マルシオ・モンザネUNI米州地域書記長は、「我々のブレイキング・スルー組織化キャンペーンは、世界中の組合が設定した戦略の中でも最も重要な一つだ。このキャンペーンを実施することで、人々の生活に真の変化をもたらしうる労働者の力を構築できると期待しており、不平等や貧困と闘う上で役立つだろう。 米州で70人以上がCOEで働いており、組織化の発展、より良い団体交渉の実現、民主主義の擁護を後押しする、より広範な戦略の一部だ」と述べた。

キャロル・シェファー代議員(アイルランド、CWU)は、「EPOCの利点は、草の根の代表から上級組合役員に至るまで、組合の全レベルで能力を開発できること。このアプローチによって、労働者の力を高める最善の方法について、一貫した共通の理解を得ることができる」と説明した。

グローバル労組アライアンス
大会では、力を構築するための国際ネットワークとグローバルな連帯の重要性についても、強調された。

アフリカにおけるUNIのDHL労組アライアンスは、世界最大のロジスティクス企業であるDHLの組織化において目覚ましい成功を収め、これまでアフリカ大陸の5か国から32か国に拡大している。イブラヒム・サール代議員(セネガル、SNTPT)は、「国際的なアライアンスを持つことは重要であり、多くの国々で、団結する自由と組合を持つことで、さらに多くの人々が恩恵を受けられるようになる」と、述べた。

ロザリナ・ンガコプ代議員(ニュージーランド、Etu)は、警備労働者の公正な賃金協約の確保に向けた同労組のキャンペーンについて語った。この協約は部門全体レベルでの全国交渉の土台を築くものであり、E tūは、このキャンペーンでUNI米国加盟組織SEIUの支援を受けている。

UNIはまた、新たな資金調達イニシアチブを立ち上げ、個人がオンラインで資金を拠出することで世界的な連帯を示し、世界中の組織能力を高めることができるようにすることを発表した。

ジェンダー平等のために立ち上がろう!
午後には、テレサ・モーティマー代議員(バハマ、BFSU)が、ジェンダーの視点に立った交渉を提唱するUNI世界女性大会の動議について紹介し「協定の中に女性のニーズを盛り込むことで、女性だけでなく、家族や地域社会全体に影響を与え、女性が労働組合運動に参加する門戸を開くことになる」と述べた。

パネル・ディスカッションでは、職場で無視されがちな女性の問題が取り上げられ、パトリシア・ナイマン代議員(南アフリカ、SACCAWU)は、「不妊、流産、人工妊娠中絶、死産は、肉体的・精神的に壊滅的な影響を母親に与えうるのであり、肉体的回復には数カ月、喪失感から精神的・心理的に回復するにはさらに多くの時間を要する」と述べた。

アレハンドラ・エストゥープ代議員(アルゼンチン、ラ・バンカリア)は、「女性を支援するための条項を交渉してきた。卵子凍結治療休暇は、女性がこの治療を受けるために1労働日の休暇を全給与で取得できるものであり、代理母を通じて子どもを授かる場合の代理懐胎休暇もある」と付け加えた。

ルクサナ・パーベン代議員(バングラデシュ、GPEU)は、自身が主導した、衣料品工場における衛生設備の改善と安全性を求めるキャンペーンについて説明し、 「女性たちは、この問題がいかに重要かを理解し、闘ってきた。今は、専用のトイレがあるし、必要なときに着替えることができる。要すればトイレ休憩をとることもできる。そして最も重要なことは、脆弱であると感じることもなく、危険にさらされていると感じることもない、ということ」と語った。

世界中で労働組合が、ドメスティック・バイオレンスの被害者を支援する立場をとるようになってきている。キャロル・シェファー代議員(アイルランド、CWU)は、「アイルランドでは秋に、5日間の有給DV休暇に関する法律が導入される予定であり、被害者、使用者、そしてアイルランドの労働組合運動の勝利だ」と報告した。

また、寺嶋雪乃代議員(UAゼンセン)は、日本における生理休暇の取得率が0.9%と非常に低いことについて、有給ではないこと、名称が直接的すぎること、異性の上司には申し出にくいこと、まわりで誰も取得していないことなどを理由に挙げ、生理休暇を有給で休むことができるよう、組合として推進している、と報告した。また、更年期症状についても、セミナーやリーフレットを通して、職場における健康意識の向上に取り組んでいる他、更年期休暇制度の支援や、生理や更年期の症状で休んだ場合の有給義務化などについて、組織内議員とともに進めていると報告した。そして、性別や働き方を問わず、誰もが活躍できる社会を目指していく旨、力強く発言した。

MakeAmazonPay

大会初日の最後のセッションでは、世界的大企業アマゾンに関する熱のこもった議論が展開された。

討議の先頭に立ったのは、スチュアート・アップルバウム代議員(米国、RWDSU)で、アマゾンの慣行に対する責任を追及し続けることが急務であると強調し、「アマゾンほど21世紀経済の不正と行き過ぎを体現している企業はない。悪質な反組合主義、過酷な生産性目標、労働者の監視、不安定労働の利用、独占的なビジネス慣行、租税回避、極端なグリーン・ウォッシング等、この企業は、労働者、地域社会、地球、そして我々の未来に対する脅威だ」と訴えかけた。

アラバマ州ベッセマーのアマゾン倉庫で働くジェニファー・ベイツ代議員(米国、RWDSU)は、「これまで、組合潰しに何百万ドルも費やすことを良しとする企業で働いたことはなかった。だから組織化が始まったとき、辞めて転職するか、残って正義のために闘うか、決断しなければならなかったが、私は残って闘うことにした」と語った。

ステファイン・ヌッツェンベルガー代議員(ドイツ、ver.di)は、アマゾンの過剰な監視とアルゴリズムによる悪質な管理に反撃する必要性について、「我々は、アマゾンが労働者の行動を監視し、労働者にまともな仕事を提供しないような世界を望んでいない。アマゾンとの団体協約を求めて闘っていく」と訴えた。

地元フィラデルフィアから、ジェシー・モレノ代議員(米国、チームスターズ)は、アマゾンがそのすべての労働力に対して責任を負うよう要求し、「我々はアマゾンの荷物を配達し、アマゾンの車両を運転しているが、会社は世界に向けて、我々はアマゾンの労働者ではない、と言い続けている。我々には変革が必要であり、変革の時は、今だ」と呼びかけた。


ウクライナの医療従事者労組Be Like Ninaに、UNI『恐怖からの解放賞』

UNIは、戦時下で労働者の権利を求めて闘い続けるウクライナの医療従事者の労働組合、Be Like Ninaに『恐怖からの解放賞』を授与した。

米国・フィラデルフィアで開催されているUNI第6回世界大会で、医療従事者で同組織の共同設立者であるオクサナ・スロボディアナ氏が賞を受け取った。

看護師のニーナ・コズロフスカ氏がフェイスブックでウクライナにおける厳しい労働条件について懸念を表明した後、2019年に設立された同組織は、その後82,000人以上の組合員を抱えるまでに成長した。2020年にはウクライナの社会運動団体として、2021年には労働組合として登録された。

ウクライナで戦闘が勃発して以来、労働者は戦地で医療・看護を提供するために奮闘してきただけではない。戒厳令が敷かれ、身の安全が脅かされる事態が頻発する中、ゼロ時間労働制が導入されたことで、すでに押しつぶされそうであった状況に、さらなる重荷がのしかかった。

このような状況にもかかわらず、Be Like Ninaは、ますます高まる危険にさらされている医療従事者を支援するため、活動を続けてきた。リヴィウ地方とポルタヴァ地方では、不法解雇された看護師の復職を勝ち取る手助けをし、また多くの医療機関で未払賃金を取り戻した。さらに、研修や、国内避難民のための住宅、医療従事者のための医薬品やその他の必需品、危機的状況に陥った医療労働者のための心理的サポートといった人道的支援を強化してきた。

オクサナ・スロボディアナ代表は、「ウクライナのすべての労働者を代表して、この賞を受けたい。世界中のUNIの仲間が、私たちの日々の闘いを支援してくれていることに励まされる思いだ。私たち労働組合活動は、労働者の基本的権利と人権を擁護しており、非常に重要なもの。そして、失った権利を回復し、人々の公正な労働条件を確保することは、戦争が終わってからも同じく重要になってくる。私たちの取組みに共感いただき、感謝します」と語った。

UNIは毎年、組織化と労働者権利の促進、そして 「恐怖のない世界」の実現に向けて尽力した個人や団体に『恐怖からの解放賞』を授与している。過去には、米国・アラバマ州で組織化したアマゾンの労働者や、不当に投獄された人権活動者でバーレーンのサッカー選手ハキーム・アル・アライビなどが受賞している。今年は、組合活動のために脅迫・銃撃されたコロンビアの労働組合指導者、ルイス・フェルナンド氏も受賞する。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「圧倒的な困難に直面しながらも、労働者の正義をあくなき姿勢で追求するBe Like Ninaの姿は、連帯の力と人間の回復力の証しだ」と称え、「オクサナ代表とウクライナの何万人もの医療従事者の経験を分かち合うため、オクサナ代表をここにお招きできて、嬉しく思う。この賞は、暴力や抑圧に直面しながらも、患者や利用者、そして自らの権利を守るために立ち上がった看護師、介護士、医師、医療従事者一人ひとりの勇気を称えるものであり、我々全員を奮起させてくれている」と語った。


コロンビアの屈強な組合指導者に、2023年のUNI『恐怖からの解放賞』

UNIは、第6回世界大会で、コロンビアの組合 SINTRAPULCAR の不屈の指導者、ルイス・フェルナンド・ロドリゲス氏に、2023年の『恐怖からの解放賞』を授与した。同賞は、労働者の権利を促進しながら逆境に直面した際に並外れた勇気を示した個人を称えるものである。

ルイス・フェルナンド・ロドリゲス氏の道のりは、労働者の権利と求める揺るぎないコミットメントの証である。スマーフィット・カッパの元労働者であり、同社を組織する組合で委員長を務めていたルイス氏は、仲間の労働者のために立ち上がる中で、困難な試練に直面してきた。激しい嫌がらせを受け、命を脅かされ、暗殺未遂事件にまで直面したにもかかわらず、正義と平等を追求すべく、断固とした姿勢を貫いた。 

正義と尊厳を求める闘い
ルイス氏の闘いは、かつての雇用主であったスマーフィット・カッパが、不祥事を理由に彼を解雇するために根拠のない訴訟をでっちあげたことから始まった。冤罪にもめげず、法廷に立ち、自分自身と同僚のために正義を求めた。

彼は、金銭提供によって決意を揺さぶろうとする企てに直面し、次いで彼の弁護活動を陥れようとする企てにも直面した。こうした卑劣な手段に直面しても、同氏の決意は揺るがず、真実を明らかにするために闘い続けた。

そんな彼の転機となったのは、衝撃的で心が痛むような出来事である。仲間のスマーフィット・カッパの労働者たちとの会合に向かう途中、雇われの殺し屋による残忍な暗殺未遂の犠牲になったのである。3発の銃創を負い、重篤な病気と何度もの手術という長く苦しい期間を耐え忍んだにもかかわらず、ルイス氏は逆境をはねのけ、生還した。 

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「彼の目覚ましい回復は、その屈強な精神と、労働者の権利を擁護し続ける決意を物語っている。…(中略)…今日、彼は希望の象徴として立ち、逆境に直面しても耐え抜くよう、人々に勇気を与えている。彼に恐怖からの自由賞を贈ることができて、光栄だ」と語った。 


公正な賃金と手当を求める歴史的デモ行進-フィラデルフィアの清掃労働者とともに1,000人を超える世界中の組合員が参加

第6回UNI世界大会に参加する109か国の1000人以上の労働組合員が、8月29日(火)、現地フィラデルフィアの清掃労働者の公正な団体協約を求めて、連帯行動に参加する。

2023年10月15日に期限が切れる現地清掃員の公正な団体協約を要求するため、約1000人の全米サービス労組(SEIU)の清掃員、保守労働者、整備士とともに、UNI世界大会の参加者がフィラデルフィアの街中を行進する。

この歴史的行進は、今年最大の民間部門の交渉の1つとなっている米国での取組みをさらに拡大するもので、全国13万4,000人のSEIU清掃員が、インフレに見合った賃上げと、命を守る医療給付の保護を求めている。

2023年8月22日に、SEIUの32BJ支部と、ビルディング・オーナーズ・レイバー・リレーションズ社(BOLR)との交渉が開始した。相手方は、フィラデルフィアの清掃労働者2,000人の大幅な減給と手当減額につながる厳しい削減を提案しており、労働組合コミュニティの間で憤激を巻き起こしている。

地元の清掃員オードラ・トレイナム氏は、「都市の根幹である労働者が生活必需品も買えないのに、どうやって都市を再生できるのか」と疑問を呈し、「国際的な組合員からの支援は、単に高揚感を与えるだけでなく、ディーセントな労働条件と公正な賃金を求める普遍的な闘いの証しだ。これは世界的に共感を呼ぶ闘いだ」と語る。

10億ドル産業は不公正に取り組まなければならない
ブランディワイン・リアルティ・トラストやシルバースタイン・プロパティーズのような不動産大手は、パンデミック中でも大きな利益を上げているが、生活費が高騰する中、清掃員は賃金の低迷に苦しんでいる。

初任給が時給20.14ドルの組合員は、賃上げ、使用者負担の家族医療、有給休暇、退職手当などを求めて闘っている。「私の健康管理は、単なる予算項目ではなく、家族の生死にかかわる問題だ」と指摘する清掃員のリチャード・ソープ氏は、「我々は皆、生活賃金と充実した福利厚生を受ける資格がある」と訴えた。

SEIUのマニー・パストライヒ32BJ支部長は、「エッセンシャルワーカーである組合員への投資は、地域経済への投資だ。盤石な基礎がなければ家を建て直すことができないのと同じように、我々は力強い経済を促進するため、家族を支える賃金と福利厚生を備えた良質な組合員の仕事が必要だ」と語気を強めた。

今回の連帯行進が改めて強調しているのは、フィラデルフィアや米国だけでなく、世界中のエッセンシャルワーカーの重要性であり、労働者の権利を求める闘いに、国境はないということだ。


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