ポストコロナの教訓:テック労働者は組織化を望んでいる

数年前には珍しかったテック労働者の組織化の動きが広がっている。そして、世界中の情報・技術・通信・サービス(ICTS)部門の労働組合が、こうした多様な労働者に対する支援を強化している。6月9日、UNI世界ICTS部会は、パンデミックの際に学んだ教訓について、テック労働者とオルグを集めた座談会を行った。

司会を務めたアンディ・カーUNI世界ICTS部会議長(英国通信労組副書記長)は、「この1年半の間に、テック労働者の組織化が急速に活発化した。リモートワークのため実際には離れていても、使用者側の反対があっても、労働者は結束を図ってきた」と述べ、「テック労働者達の団体行動によって、職種、業界、使用者の垣根を超えた重要な成果が得られている」と喜んだ。

米公共ラジオ局(NPR)で、デジタル・プラットフォーム担当シニアプロダクトマネージャーを務める、全米通信労組(CWA)の新しい組合員、ハ・ホア・ハマノ氏は、長時間労働によって直面していた燃え尽き症候群から、#MeTooやBlack Lives Matter(黒人の命は大切だ)といった大きな社会運動まで、どのようにして職場での活動や組織化に火をつけたかを語った。NPRの記者は団体交渉の対象となっていたが、デジタル労働者は対象から外れていた。ハマノ氏や同僚は、その状況を変えた。「私達は仕事にやりがいをもっている。持続可能なやり方で最高の仕事ができるような労働条件を勝ち取ることは、非常に重要だ。だからこそ、組織化を進め団結したのだ。」

韓国SAP労組のイム・スヨン氏は、業界全体の労働者がオンラインのメッセージ交換アプリを介して、テック部門で連帯を示すために活発な労働運動を構築している方法について、詳しく説明した。企業の枠を超えた助け合いによって、SAP労組は人員削減に抵抗することができた。更に、組織化してより公平な賃金と労働条件を勝ち取った経験を通じ、ホワイトカラー労働者は、テック産業おける組合の重要性について、身をもって理解することができたという。

同様に、ルーマニアSITT労組のクリスティナ・ザベルカ氏(インド系企業テックマヒンドラの従業員)も、組合がオンラインツールを利用して現実世界でコミュニティを構築し、実際に成果を挙げた経験を共有した。米国の同僚と同じように、ルーマニアの労働者も燃え尽き症候群と闘い、仕事以外の共通の関心事をベースにグループを作ることで、集団としての精神を育んできた。SITTは既に数社で組織化を推進しており、今後も組織化を続け、産別協定の締結を目指していく。

「これまでは苦情を個別に経営陣に伝えていたが、対応してもらえなかった。今は一丸となって行動し、状況は劇的に改善されている」とザベルカ氏は強調した。

賃金の良い直接雇用の従業員であっても、生計を立てるのに苦労している下請け労働者であっても、座談会に参加したテック労働者達は同じ思いを共有していた。


第28回UNI Apro執行委員会、ポストコロナを見据えた活動の展開を確認

2021年5月29日(土)日本時間14:00~18:00、第28回UNI Apro執行委員会がオンラインで開催された。本委員会は、 UNI Apro運営委員会(5月11日)、UNI世界運営委員会(5月19~20日)での重要議題の議論を経て、開催された。委員会では、過去1年のUNI Aproの諸活動を振り返ると共に、2021年度の活動計画・予算を承認した。特に今年は6部会大会を個別にオンライン開催する予定であり、その準備状況についても確認が行われた。

開会にあたり、野田三七夫UNI Apro会長(情報労連)は、 パンデミック発生から2年、感染はいまだ収束せず、様々な活動が制限を受け、労働者の生活が大きな影響を受けている。雇用制度が未成熟な国も多く、既存の格差が更に顕在化しており、包摂的で公正な復興を目指すグローバルな施策が必要だと述べた。吉田ITUC-AP書記長の連帯挨拶に続き、クリスティ・ホフマンUNI書記長が基調講演を行い、この間に行ったUNIの取組み(エッセンシャルワーカーを守る取組み、リモートワークに関する新たな課題、労働安全衛生の重視とCOVID-19を労災認定させる取組み、平等なワクチン接種、アマゾンキャンペーン等)について報告し、コロナ禍において、労働組合があれば、労働者を守れることが示された。組合の重要性をポストコロナに向けて更に強調していかなければならないと述べた。

財政及び人事関連の報告・確認に続いて、ミャンマーにおける民主主義の回復に関する声明及びアジア人へのヘイトに関する声明の採択が行われると共に香港のライハ委員から、香港の民主主義への引き続きの連帯支援要請を受けた。
地域書記長及び各部会/専門委員会担当部長より、前回委員会以降の主要な取組みと、2021年度の計画が報告され、ホビッグ組織化担当部長から、デジタル組織化を中心とした組織化を進め、UNI Aproに組織化センターを設立する旨の報告・提案を受け、確認された。


UNI Apro印刷・パッケージング部会委員会、部会大会準備を確認

2021年6月9日、UNI Apro印刷・パッケージング部会委員会がオンライン開催され、9月の部会大会の準備を中心に、各国の加盟組織の活動状況を共有した。

委員会には、オーストラリア、日本、インド、インドネシア、マレーシア、ネパール、タイから、議長、副議長、委員、オブ、スタッフ等26人が出席した。日本からは、梅原副議長(全印刷・中央執行委員長)、佐藤委員(印刷労連・中央執行委員長)をはじめ、全印刷、新聞労連、大日本印刷労組、UAゼンセンからオブが参加した。

2020~2021年度活動報告/計画は、下記の通り確認された。

  • 今年5月に開催されたアムコール・グローバルアライアンス会議を受け、地域でもUNI Aproアムコール労組ネットワーク会議を開催し、オーストラリア、インドネシア、ニュージーランド、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムのアムコール労組に呼びかけ、情報・経験交流を図る。(7~8月頃)
  • インド・プネ地区のパッケージング工場の組織化に向けた調査が今年2月に完了しており、インドの労組RSEM、インド加盟協と、感染状況を見つつ、組織化戦略を立て、組織化に着手する。
  • 2020年9月にUNI印刷・パッケージング部会/IFJ(国際ジャーナリスト連盟)共同で新聞(印刷メディア)部門会議を開催、UNI Aproからも新聞労組が参加、声明を採択した。IFJとは今後も連携を図っていく。
  • 2020年10月に、キャッシュレス化の動向に関して、世界各国のセキュリティ印刷関係労組間の情報共有を行った。UNI Aproから日本(全印刷)及びインドのセキュリティ印刷労組が参加し、現状と課題を報告した。
  • パキスタンのパッケージ・コンバータ労組(PCLWU)の加盟申請が、UNI Apro執行委員会で承認され、11月の世界執行委員会で最終確認の予定。

UNI Apro印刷・パッケージング部会大会準備については、主に下記の計画が確認された。

  • 日程:2021年9月14日(火)日本時間19:00~22:00(3時間)
  • プログラム構成として、常設議題に加え、行動計画案の3テーマに沿ったパネルディスカッションを計画。
  • 2017~2021年度UNI Apro印刷・パッケージング部会活動報告案及び2021~2025年度UNI Apro印刷・パッケージング部会行動計画案の原案が出され、加盟組織は修正案があれば6月30日までに送付する。
  • 議長、副議長への指名は6月14日まで受け付ける。

事務局は、オンライン開催の機会を最大限活用し、できるだけ多くの女性・青年役員に参加してもらいたいと強調した。

組織化及び組合強化計画について、ホビッグUNI Apro組織化・キャンペーン担当部長から説明を受けた。デジタル組織化は従来の組織化に代わるものではなく、コロナ禍が収束すれば対面の組織化に戻ることを前提とするが、デジタルツールの利点は今後も活用していく。

この他、各国のメンバーから状況報告を受けた。

印刷労連の佐藤委員長は、日本の印刷産業の状況、コロナ禍における製造部門の職場環境整備や、在宅勤務の作業環境整備支援の取組み、ポストコロナの組合の対応について報告した。

新聞労連の及川書記は、新聞協会へのジェンダーバランス改善申し入れ、テレワーク学習会、春闘で会社にPCR検査費全額を負担させたこと等を報告した。

大日本印刷労組の植野書記長は、製造職場の安全対策、在宅勤務者の健康維持のためのイベント、UNIと連携したSDGs啓発活動実施等を報告した。


Youth Rise up!世界青年オンライン・フォーラムが初開催

本フォーラムは、2020年12月にブラジルで開催される予定だった第5回UNI世界青年大会が新型コロナウィルス感染症の感染拡大により延期されたことを受け、2021年6月3~4日の2日間に渡りオンラインで開催された。「ユース・ライズアップ!(立ち上がれ、ユース!)」のスローガンの下、世界70ヵ国・161組織から計505人(代議員208人、オブザーバー49人、ゲスト248人)が参加し、活発な議論を交わした。日本からは、7組織(印刷労連、情報労連、全印刷、UAゼンセン、大日本印刷労組、日放労、JP労組)59人(代議員45人、オブザーバー2人、ゲスト12人、女性比率47パーセント)が出席した。

2021年~2025年の行動計画案に沿った5つのテーマ(社会運動、組織化、組合活動・リーダーシップへの参画、スキルと能力向上、不安定雇用の改善)でセッションが行われ、「組合活動・リーダーシップへの青年の参画」に関するセッションでは、日本のUNI Apro青年委員4人(UAゼンセン藤原代議員、情報労連齋藤代議員、JP労組小野代議員、日放労松波代議員)が各組織の取組みや課題を報告した他、他のセッションでも発言や質問を行うなど積極的に参加した。

また、UNIの各部会において青年の代表性を高める提案については、各地域青年委員会および世界青年委員会議長・副議長会議で詳細な議論を行った上でUNI世界執行委員会へ提出することを確認した他、2021~2025年の行動計画案を採択して閉会した。


UNI Apro女性委員会:公正な未来の構築に向け、ジェンダーを超えた連帯呼びかけ

パンデミックの間、労働組合が雇用と労働者の安全を守るために邁進する中、UNI Apro女性委員会は、状況に甘んじることなく、すべての人にとって公正な未来をもたらすため、労働者は挑戦し続けるべきだと考えてきた。

この信念に突き動かされ、またUNI Apro女性メンバー間の既存ネットワーク及びコミュニケーション・チャンネルを強固なものにしてきた過去1年の経験から、UNI Apro女性委員会は、2021年5月22日にウェビナーを開催した。メーデーと国際女性デーを記念し、アジア太平洋地域の全域から加盟組織が集った。

このイベントは、アリス・チャンUNI Apro女性委員会担当部長、アンジャリ・ベデカー南アジア担当コーディネーター、ミシェル・ベリーノ東南アジア担当コーディネーター、森川容子東アジア担当コーディネーター(ウェビナー全体の司会も務めた)がコンセプトを練り上げて実現したものである。

ウェビナーは、今回のテーマ「より公正な未来の構築に向けてジェンダーを超えて連帯しよう」に沿って、東アジア、南アジア、東南アジア、太平洋地域と、全小地域の加盟組織から強力なスピーカーが勢揃いした。

ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長とベロニカ・メンデスUNI世界機会均等局長が、開会の挨拶を行った。冒頭の挨拶の中で、今回のパンデミック中に特に女性を苦しめた喫緊の課題について、概要が説明された。逼迫した資源と限られた制度面での能力が、女性の脆弱性をさらに悪化させることとなった。また挨拶では、今回のウェビナーが、女性メンバーの能力を紹介し、全ての女性に自信を持たせる上で最適な時期に開催されたことを歓迎した。

ミラ・スミラットUNI Apro女性委員会議長は、基調講演の中で、最前線で業務に従事する労働者やエッセンシャルワーカー、パンデミックで亡くなった人々に敬意を表すとともに、パンデミックによって引き起こされた地域の女性の喫緊の課題を聴衆に訴えた。とりわけ、大量解雇、精神的ストレス、家庭内暴力によって、何百万人もの女性が影響を被った。

Apro地域の女性は、各国政府が打ち出した不当な労働法や政策に対し、抵抗してきた。また、若い女性やLGBTIQの人々など、社会的弱者や脇に追いやられた人々を含めた団体交渉を通じ、ディーセントな労働条件を維持し、エッセンシャルワーカーの権利を守っていく必要性を声高に訴えた。

同様に重要な点は、香港、ミャンマー、そして最近ではパレスチナなど、平和的な集会や言論の自由が弾圧され、女性に悪影響が及んでいる地域の人々への連帯である。とりわけスミラット議長は、長年の不平等に取組んでいくためには、「ニューノーマル」が、すべての経済復興計画の中心に女性が含まれることを意味しなければならないと訴えた。

その後、ジュリア・アングリサノ・オーストラリア金融労組(FSU)書記長が、同国におけるリモートワークとつながらない権利にかかわる問題について、経験を共有した。多くのメンバーから要望の高いテーマであった。

インド郵便労組(FNPO)のレッカ支部書記次長は、同国の郵便労働者が、組合員、特に女性の郵便労働者のニーズに対応しながらも、一般市民へのサービスを維持するため、パンデミックによる諸課題に対処すべく奮闘している状況について熱く語った。

台湾の公共テレビ放送労組から参加したジャーナリストのパトリシア・ハン氏は、組合が実践する参加型のアプローチと、男女平等の促進に向けた実践手段について、生き生きした報告を行った。

オーストラリアのジュリア・フォックス店舗流通関連労組(SDA)書記次長(UNI世界女性委員会副議長)は、COVID-19や小売店従業員に対する暴力から労働者を守り安全な職場を確保したことや、パンデミック中の賃上げとエッセンシャルワーカーへの支払い獲得など、組合が勝ち取った主な成果を概説した。さらに、SDAが現在行っている調査など表立たない部分の活動についても紹介したが、これらはジェンダーの側面が強く、多くの加盟組織が関心を寄せる内容となった。

安藤賢太UAゼンセン流通部門副事務局長は、日本の現場スタッフを長年悩ませ、パンデミック時にさらに悪化した、悪質クレームに対するUAゼンセンの重要な模範的取組みについて、経験を共有した。

ジョシュ・グラホUNIフィリピン加盟協青年委員会副議長は、LGBTIQに対する偏見との闘いにおいて、労働組合がどのような役割を果たしうるか、取組みを共有した。LGBTIQに関する偏見への取組みは、最近UNI Apro女性委員会の活動にも組み込まれた課題である。

ウェビナーの最後に、アリス・チャンUNI Apro 女性委員会担当部長が、全てのスピーカーがダイナミックに意見交換したことを称賛するとともに、女性問題に焦点を当てるのは、国際女性デーの1日だけにすべきでないと訴えた。

現在、パンデミック前に得られた進歩が深刻な脅威にさらされており、さらに悪化する可能性もある。チャン担当部長は、UNI Apro女性委員会があらゆる形態の不公平と暴力に反対する立場であることを繰り返した。そのためには、あらゆる人の尊厳と権利を十分に守り、推し進めていくため、労働組合が女性の関心事をきちんと取り込んでいく必要がある。具体的な課題の1つとして、仕事の世界における暴力とハラスメントを包括的に扱うILO条約の批准キャンペーンを展開していくことが強調された。


UNI Aproは、国際産業別労働組合組織のアジア太平洋地域組織とともに、ミャンマーにおける暴力と抑圧を止めるため、より具体的な行動を求める

国際産業別労働組合組織(GUF)のアジア太平洋地域組織は5月下旬、2021年2月1日にミャンマー軍が衝撃的なクーデターによって政権を奪取して以来、軍事政権による広範な労働者の権利侵害を詳述した概況報告書を発表した。

ミャンマーの人々がこの不当な権力掌握に果敢に抵抗する様子を、世界中が目撃してきた。人々の間では、素晴らしい市民的不服従運動(CDM)が自然発生的に生まれた。官民双方の多くの労働者や労働組合員が、この運動を後押ししてきた。

しかし民衆の要求は、銃弾や軍隊による残忍な殴打でかわされたのである。

政治犯支援協会(AAPP)によると、この3ヶ月間で、5,000人以上の人々が逮捕または拘留され、少なくとも812人が軍によって殺害されたことが確認された。

国際社会や地域社会は、軍事政権の行動に否定的な反応を示してきた。ミャンマーが民主的な文民統治を回復することを求める声は、国連や他の様々な地域組織の間でたびたび繰り返されてきた。また、4月24日にはASEAN各国の首脳が集まり、暴力を終結させるための「ASEAN5項目合意」が採択されたことも知られている。

だが、さらに多くの民間人や活動家、労働組合員が政権の銃弾に倒れ、あるいは恣意的な容疑で逮捕される一方、ほとんど成果が見られないまま1カ月が過ぎた。

UNI Aproは、国際産業別労働組合組織(GUF)のアジア太平洋地域組織とともに、国際社会に対し、軍事政権による抑圧と暴力を即刻終結させるため、以下を要請する。

• ミャンマーにおける全ての労働者と労働組合員を支援すること。
• 国民統一政府を承認し、非合法の国家行政評議会とのいかなる外交関係および業務上の関係も断絶すること。

民主主義や人権、労働者の権利の尊重をミャンマーに根付かせよう!


人々をつなぎ未来を届ける―世界の郵便・ロジスティクス労組、世界大会で連帯

アマゾンキャンペーンに参加するJP労組の大会代議員

世界で200万人を超える郵便・ロジスティクス部門の労働者を代表する労働組合が、5月25~27日、UNI世界郵便・ロジスティクス部会大会に参集し、労働者の結束を高め、郵便サービスを強化していくことを誓った。コロナ禍のためオンラインで開催された世界大会には、60か国85労組の代表ら300人以上が出席した。

大会では、以下の4つの目標を含む今後4年間の戦略計画が採択された。

  1. 郵便の自由化・民営化と闘い、強力な公的郵便サービスを守ること
  2. 郵便サービスの多角化と、その強化のためのインセンティブを支援すること
  3. 環境にやさしく持続可能な産業を促進し、新たな技術やデジタル化に直面する中で雇用を守ること
  4. Eコマースが郵便・ロジスティクス部門を変える中、適正な賃金と労働条件を求めていくこと

増田UNI Apro郵便・ロジスティクス部会議長は、郵便サービスの多角化に関する日本やアジアの事例を挙げながら、多角化のプロセスに労働組合が関与する重要性を訴えた。

パンデミックで「郵便労働者はエッセンシャルワーカー」であることが証明された1年だったが、郵便部門では、技術革新の進展と相まって、郵便物量が激減し、小包の量が大幅に増加している。クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「新しい技術やデジタル化は、将来的にも郵便事業に影響を与えていく。未来を決定づけるこれらの重要な問題に取組むため、郵便労組は団体交渉の戦略を新技術に対応させていかなければならない」と訴えた。

大会代議員は、団体交渉の適用範囲の拡大、社会対話の重要性、組織化の推進、グローバル枠組み協定の締結交渉と実施の確保、多国籍企業のデューデリジェンス・プロセスを通じ郵便・ロジスティクス産業全体での労働条件改善に向けた戦略計画を支持した。

大会では、世界中で繰り広げられている、アマゾンの労働組合権確保の闘いを支援する動議が採択され、動議を提案した米国の郵便労組は、各国においてもアマゾン労働者組織化の取組みを支援するよう、重ねて加盟組織に呼びかけた。また、増田UNI Apro郵便・ロジスティクス部会議長は、ミャンマーにおける平和、民主主義、人権・労働組合権を擁護する声明の採択を、UNI Aproを代表して提起し、大会は満場一致で承認した。この他、コロンビア、パレスチナ・イスラエルにおける平和、民主主義、人権・労働組合権の確保を求める声明も採択された。

来賓として基調講演を行った、国際運輸労連(ITF)のノエル・コード内陸運輸部会部長は、多国籍企業に責任を負わせるためのUNIとITFの協力関係強化を訴えた。

本大会はもともとセネガル・ダカールで開催されることになっており、開会式では同国のヤクバ・ジャタラ・デジタル・経済・通信大臣からのメッセージが代読された。大臣は、郵便サービスの品質向上とサービス拡大に向けた共同戦略を策定する手段として、労使の社会対話の重要性を強調した。

また、国連の機関である万国郵便連合(UPU)のシバ・ソマスンドラム規制・市場政策部長は、郵便事業の成功は、郵便労働者をもっと評価し支援することにかかっていると強調し、そのためにUPUはUNIと緊密な連携を図っていると述べた。

この他にも、来賓として、ポスト・ヨーロッパのボトンド・ゼベニー事務局長及びUPU諮問委員会のウァルター・トレゼク議長が、Eコマースに関するセッションで見解を述べた。バーゼル大学のジャクリン・カルベルマター氏は、「郵便・ロジスティクス部門の雇用に対するデジタル化の影響」に関し、UNIが委託した研究結果を報告した。

最後に、今後4年間の意欲的な戦略計画を実行に移していく、UNI世界郵便・ロジスティクス部会委員会メンバーと役員が選出された。増田UNI Apro郵便・ロジスティクス部会議長が世界副議長に再選された他、新設された女性枠の第5副議長に、モザンビークSINTAC郵便労組のビクトリア・フェリスベルト氏が選出された。また、世界委員会に青年議席1席の追加が確認され、各地域が2年間の輪番制で青年代表を推薦することとなった。議長については、英国のデイブ・ウォードCWU書記長が再選された。ウォード議長は就任挨拶の中で、労働組合が、今後数年間の、労働者の雇用と権利、サービスを守るため、喫緊の課題に立ち向かう必要性と国際連帯の重要性をあらためて強調した。


グローバルユニオンとファッションブランド、「バングラデシュ・アコード」の3か月延長に合意

UNI、インダストリオール及び国際的なファッションブランドは、2021年5月31日に失効予定であったバングラデシュ・アコードの今後について5月30日、以下の共同声明を発表した。

グローバルユニオンと国際的ファッションブランドは、交渉を継続するため、2018年の移行協定を3か月延長することに合意する。

2018年に締結されたバングラデシュ・アコードの移行協定が5月31日に失効する前に、UNI、インダストリオール、及び大手ファッションブランドを代表する交渉委員会は、交渉継続のために2018年に結ばれた現行の協定を3か月延長する暫定的な合意に達したことを発表する。この暫定合意にも、個別ブランド企業による署名が必要である。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、この延長を歓迎して、次のように述べた。「この延長により、アコードを引き継ぐ協定を交渉する時間を確保することができた。既製服持続可能性評議会(RSC)の成功と信頼性を確保し、何百万人もの労働者にとって安全な職場を実現するためのメカニズムを整備しなければならない。」

バングラデシュ高等裁判所の判決によって、昨年、アコードの日常的な運営は、ブランド、工場所有者、国内外の労働組合から成る三者構成の組織のRSCに引き継がれていた。


第34回UNI世界運営委員会、世界的な民主主義と人権の危機に強い懸念を表明

2021年5月19-20日、第34回UNI世界運営委員会がオンライン開催され、日本から野田三七生UNI Apro会長(情報労連)、増田光儀UNI副会長(JP労組)が正委員として出席した。運営委員会では、UNI加盟組織が直面している様々な課題(組織化、グローバルキャンペーン、ビジネスと人権、リモートワークとアルゴリズム管理、民主主義と人権、職場の労働安全衛生)について議論された。その他、2022年11月にオーストラリア・ブリスベンで予定されていたUNI世界大会・世界女性大会開催に関し、豪政府の渡航・入国制限の状況から、開催延期や開催方法・開催地の変更等を検討中する旨が提案・確認された。更に世界的な民主主義と人権の危機に強い懸念が表明され、ミャンマー問題、イスラエルによるガザ攻撃に関する2つの声明が採択された。野田UNI Apro会長は、ミャンマー、香港、アジア人ヘイトクライムに関し、アジア太平洋地域を代表し、世界の加盟組織の連帯に感謝すると共に引き続きの支援を要請した。

1日目(5月19日 日本時間19:00~21:30)

書記長報告:クリスティ・ホフマンUNI書記長
新型コロナウィルス・ワクチン普及に向けたグローバルなイニチアチブにUNIも積極的に貢献している。各地域で高まる民主主義への脅威に強い懸念と連帯を示したい。2021年前半はオンラインで多くの活動が行われ、デジタル組織化の進展、リモートワーク原則の確立、新型コロナウィルス感染症の労災認定を求める労働安全衛生の取組みなど多くの成果があった。今後はポストコロナを見据えて、店舗閉鎖などによる失業や非正規雇用の増加、アルゴリズムによる労働者監視強化などの課題に取り組むため、強い労働組合が必要だ。

組織化報告:アンディ・スノッディUNI SCORE(組織化)局長
デジタルツールを利用した組織化が各国で行われ成果を上げている。経験共有のためのウェビナーも開催し、多くの参加があった。東欧の組織化センターで開発されたオンライン加入システムが他地域の組織化にも活用されるなど、グローバルに連携して組織化を進めている。各部会でもコロナ禍で変化に対応した組織化の取組みやGFAの見直しなどが進められている。

グローバルキャンペーン:ニック・ルディコフUNIキャンペーン局長
アマゾンに対する世界各国で加盟組織と連携した取組みが続いている。スペイン、イタリアでストが行われ、ドイツ、英国、スウェーデンでもキャンペーンが開始された。欧州ではアマゾンが管理するデータの取扱いについて議論が行われており、インドではデジタル決済の認可申請を阻止する取組みを進めている。法人税の不払い、労働者の監視等、各国のアマゾンで共通の問題を解決するには、NGOや政府とも連携した国際的な取組みが重要である。

ビジネスと人権:クリスティ・ホフマンUNI書記長、アルケ・ベシガーUNI副書記長
人権デューデリジェンスの義務化に関する法制化が特に欧州を中心に進んでいる。今般、ケア部会は、多数の投資家と連携し、介護施設の株式保有者に労働安全衛生基準や労働権確保を求める声明を発表した。また、OECD多国籍企業ガイドライン更新への積極的な関与を目指している。5月末に期限を迎えるバングラデシュ・アコードの移行協定として設置されたブランド、工場オーナー、組合で構成される三者機関「持続可能な既製服評議会(RSC)」において、ブランド側は、組合側と法的拘束力のない協定の締結を求めており、ブランド側の説明責任が果たされない恐れが高まっていることから、UNIはこの提案を拒否し、信頼できる選択肢が提示されない限り、RSCからの離脱も辞さない姿勢で臨んでいる。

リモートワークとアルゴリズム管理:クリスティ・ホフマンUNI書記長
デジタル化が国際的に加速する傾向があり、リモートワークをめぐる使用者による労働者監視、特にアルゴリズム等のAIを使った管理が強化されていることに強く警戒すべきである。これらがニューノーマル時代の「当たり前」となる前に行動を起こし、各国における今後の労使交渉課題に盛込むべきである。

民主主義と人権:クリスティ・ホフマンUNI書記長
特に現在問題となっている3つの危機(イスラエル軍によるガザ攻撃、コロンビア政府による労働運動弾圧、ミャンマー軍事政権による民主主義と労働運動の危機)について強い懸念と連帯が示された。また、香港、フィリピン、ベラルーシ等をはじめ、今なお世界各地で民主主義が危機に陥っている地域があることを憂慮する旨、述べた。

野田UNI Apro会長は、ミャンマー、香港、アジア人ヘイトクライムの3点について発言した。ミャンマーについては世界の加盟組織の連帯とストライキ基金へのカンパに感謝し、ILOやITUCと連携して働きかけを続けていく。ICTS部会としても、軍事政権が導入しようとしている「サイバーセキュリティ法」を非難し、通信事業者の権利と安全を守るための声明を発表した。香港については、新国家安全法の下で民主主義と人権に対する危機が益々高まっているが、国際的な連帯や支援がかえって労働組合活動家を危険に晒すことにもなる。更に世界的にアジア人ヘイトクラムが多発している状況に強く懸念を示したい。UNI Apro執行委員会でも声明を採択する予定であると述べた。

その他、各地域の運営委員からコロンビアにおける労働運動弾圧の解決に向けた取組み報告や、イスラエルのガザ攻撃に抗議する追加声明要請、政治的紛争に伴って発生する移民問題への対応、米国から野田UNI Apro会長の発言に対する支持表明など多くの発言があった。
以上を踏まえ、世界運営委員会として、①ミャンマー軍事政権を非難し同国における民主主義回復のための連帯と行動を加盟組織に呼びかける声明、②イスラエルによるガザ攻撃を非難する声明を採択した。

2日目(5月20日 日本時間19:00~21:30)

職場の安全衛生:クリスティ・ホフマンUNI書記長
職場の労働安全衛生については、ILOの100周年記念宣言にも労働者の基本権として盛り込まれた重要な活動であり、2022年のILO総会においては、政労使合意を目指していく。更に、新型コロナウィルス感染症に関しては、職場で感染する例が多く、感染症罹患を労働災害として認めさせる活動が重要である。また、コロナ禍の中、職場の安全衛生において組合が果たすべき役割も重要な分野である。各国において組合以外にどのような機関が労働安全衛生部門を担っているか把握するための実態調査を実施予定である。

UNI世界大会、UNI世界女性大会:クリスティ・ホフマンUNI書記長
大会スローガンやロゴなどの準備は順調に進んでいるものの、開催国オーストラリアの渡航・入国制限解除の時期や世界のワクチン接種状況を考慮する中、2022年11月のUNI世界大会及び女性大会の開催に関し、今後いくつかの選択肢を検討していく旨が示された。野田UNI Apro会長もホスト地域として支持を表明しつつ、2010年、長崎世界大会をホストした経験から、世界大会は、ホスト地域のUNI労働運動を盛り上げるという意味において大きな意義があるとして、対面開催の重要性を強調し、慎重に検討するよう求めた。
世界大会動議案のひとつである2023~2026年UNI加盟費については、各地域代表2名、UNI書記長、副書記長、財政局長で構成される財政委員会に対し、原案を策定するよう求める勧告が提案され、確認された。

地域報告:各地域書記長
アフリカ:ワクチン接種に関して各国の格差(ワクチン・アパルトヘイト)が生じている。地域大会を2021年3月に開催予定だったが、12月にオンライン開催することになった。
米州:昨年地域大会をオンライン開催し多くの参加を得た。コロンビアの組織化センターでオルグ担当者を配置し、清掃部門を中心に組織化を進めている。労働法の改悪が各国で進んでおり、コロナの状況も悪化しているが、米国やチリでは労働組合に好意的な政権が発足する明るいニュースもあった。
アジア太平洋:ワクチン接種の不平等が生じており、雇用や労働時間が減少している。人権状況はミャンマーだけでなくフィリピンでも悪化している。新たな地域経済統合RCEPはインドが入っていないことが残念だが、労働分野への影響について注視していく。ASEANの政労使社会対話会合に関しては、今年ブルネイで開催されるが、労働組合が認められていない国でどのように関わっていくかが課題である。今年後半は6部会大会のオンライン開催を予定している。
欧州:3週間前に地域大会をオンライン開催し、多くの参加があった。今後は、団体交渉を強化するため、組合の交渉力をいかに高めるかがテーマである。組織化等のボトムアップとEUにおけるロビー活動や法改正等のトップダウンの両方のアプローチを取っていく。加えて既にGFAを締結している多国籍企業へのデューデリジェンス強化の取組みも進めていく。

その他、2020年度会計報告、2021年度予算、財政委員会報告、スタッフ人事及びUNI加盟に関する報告・提案が行われ、それぞれ承認され、次回2020年9月、同委員会を開催することを確認し、閉会した。


第35回UNI Apro運営委員会、ミャンマーへの連帯を確認

2021年5月18日(火)日本時間15:00~16:50、第35回UNI Apro運営委員会が開催された。今次運営委員会は、コロナ禍によりアジア太平洋地域を含め世界中で未だ渡航制限が続く中、オンライン開催となった。

開会に先立ち、野田三七生UNI Apro会長(情報労連)の提案により、物故されたUNI Apro役員、サフィアン・ウノス氏(マレーシア)、ウィリー・タン氏(シンガポール)、コロナ禍で亡くなった組合員及び全ての犠牲者に黙とうを捧げた。

開会にあたり、野田会長は、部会大会日程等を提起し、ミャンマーへの対応等について議論したいと述べた。

ホフマンUNI書記長は、開会挨拶において、インド、ネパール等での感染拡大を懸念すると共に平等なワクチン接種を訴える必要があると述べた。「ミャンマー問題に関しては、翌日のUNI世界運営委員会でも議論する。また、バングラデシュアコードが5月末をもって失効となるが、ブランド側が拘束力のある協定を交渉する意思がなければ無意味なものになると考えており、当面推移を見守ることとしている。なお、2022年開催予定のブリスベンでのUNI世界大会に関し、オーストラリア政府が感染拡大防止のため、2022年後半までの入国制限措置を継続すると発表していることから、世界大会開催について再検討する必要が生じている」等、最近の課題について述べた。

運営委員会では、2020年度UNI Apro財務及び監査報告、2021年度同予算・2022年度同暫定予算の承認、UNI Apro執行委員会・各部会大会の準備状況報告、UNI加盟申請の承認、ミャンマー問題に関するUNI Aproの対応、ブリスベン世界大会(2022年)等について議論された。最後に、ミャンマーに対する連帯声明と、 アジア人ヘイトに対する非難声明を、次のUNI Apro執行委員会として出すことを確認した。

日本からは、野田UNI Apro会長、松浦UNI Apro副会長、増田UNI世界副会長、景中UNI Apro女性委員会副議長他、オブザーバーが出席した。


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