
デジタル化によって銀行業務の一部が自動化されても、それを担う労働者まで雇用から排除する必要はない。
これはUNIと、UNI加盟の銀行労組がASEANの枠組みで活動するために設立した地域プラットフォームであるASEAN銀行労組協議会(ASEAN Bank Unions Council)が共同で開催した対話の中で、特に明確に示されたメッセージの一つである。2026年10月6日にジャカルタで開催されたこのイベントには、インドネシアの銀行労働組合に加え、規制当局、政府関係者、使用者、銀行経営陣、研究者が参加した。
セミナーで発表された調査によると、調査対象となった5行すべてが従業員のスキル向上に取り組み、デジタル化を理由とする解雇を防ぐ方針を掲げていた。しかし、現場の労働者は依然として雇用への不安やストレスを抱えていた。特に、営業現場の職務が、マーケティングや販売など、目標達成を求められる不慣れな業務へと移行していることが課題となっていた。
この調査は2024年にUNI Aproが委託し、インドネシア大学のリアニ・ラフマワティ博士が独立して実施したものである。調査結果は、2024年11月のUNI Apro地域大会で初めて発表された。
本調査は、インドネシアの5つの銀行で働く労働者の経験を掘り下げた質的調査であり、インドネシアの銀行業界全体を代表することを目的としたものではない。

登壇者は、業務効率、金融包摂、顧客サービスの向上に向けたテクノロジーの活用を支持した。一方で、大きな変革を導入する前に、労働者が必要な準備を整え、協議に参加できるようにすることが重要だと強調した。
インドネシア金融サービス庁のインダルト・ブディウィトノ氏は、銀行は職務の変化を把握し、他の業務にも活用できるスキルを特定したうえで、リスキリングや社内異動の機会を提供すべきだと述べた。また、人間による監督、サイバーセキュリティ、データ保護、責任あるAIガバナンスの必要性も強調した。
インドネシアのイスラム銀行であるバンク・シャリア・インドネシアのアリエフ・アディ・サンジャヤ氏は、業務の自動化は、職務全体の廃止を意味するものではないと指摘した。複雑な案件への対応、判断力の発揮、顧客との関係構築、共感を伴う対応には、引き続き労働者が必要である。
政府、使用者、労働組合の代表者は、有給の学習時間、スキルの把握、配置転換、メンタルヘルスについても議論した。複数の登壇者が、新しいシステムを導入する前に、銀行と労働組合の対話を強化する必要性を訴えた。
マレーシアAMCOのビンドゥ・パテル書記長は、銀行と労働組合が共同でデジタル化に関する委員会を設置することを提案した。労働者は銀行業務の実態や顧客のニーズを理解しているため、労働組合をパートナーとして扱うべきだと述べた。
ジャヤスリ・プリヤラルUNI Apro金融部会担当部長は、アンジェロ・ディクリストUNI金融部会担当局長に代わって発言し、生涯学習、労働組合の団体交渉力の強化、そして業務負担、プライバシー、つながらない権利をめぐる保護の重要性を強調した。
ラジェンドラ・アチャリヤUNI Apro地域書記長は、「ジャカルタでの対話を通じて、明確になったことがある。それは、インドネシアの銀行業界は、労働者を取り残すことなくデジタル変革を進められるということだ。労働者には、研修を受ける機会、雇用の安定、そして自らの仕事に影響を及ぼす決定が下される前に、実質的に意見を述べる機会が必要だ。今回の対話が、業界の変化が続く中で、インドネシアの銀行労組、使用者、規制当局、政府の協力関係を強化する一助となることを期待している」と述べた。
セミナーでは、デジタル変革を管理するための単一の正式なモデルが採択されたわけではない。しかし変革の早い段階から労働者を関与させること、継続的な学習、社内での配置転換、AIに対する人による監督について、幅広い支持が示された。
ジャカルタでの対話は実りあるものとなり、その後に開催されたASEAN銀行労働組合協議会およびUNI Apro金融部会の会議にも、具体的な検討材料を提供した。また、東南アジア各国のUNI加盟銀行労働組合が、インドネシアでの経験を踏まえ、デジタル変革の推進と労働者の権利の保護に向けた地域全体の取り組みについて考える機会となった。