底辺への競争を巻き返せ! UNI-Apro金融部会大会、対応を議論



今回のグローバル金融危機は、返済力を無視した借り入れを促し、投資銀行が住宅ローンを組み替えた高利回り商品を作り世界中の投資家に売りつけたことに 起因する。この数十年間は、各国で、金融ビッグバンと称して規制を緩和してきた経緯があり、規制や監督が適切に機能しなかったといえる。
「貯蓄を重視し、収入に相応しい消費を行う」という伝統的なアジアの価値観も、今回のグローバル金融危機の波及を防ぐことはできなかった。
加えて、労働法制に至るまでの規制緩和や、社会保障制度の見直しなどにより労働者を擁護する多くの制度・思想を一掃され、新たな資本主義の考え方が広まった。
この『新自由主義』は社会的な動揺をもたらし、ワーキングプア階級(格差社会)を生み出すなど社会問題化している。

「この危機への対応として、各国政府は国民の消費を促すための政策を実施している。今こそ政府と使用者は、労働組合を通して団体交渉を行い、労働者に適 正な報酬が配分されるように再考するにふさわしい時期だ。労働組合も組織化を推進し、交渉力を高めなければならない」と、開会挨拶でクリストファー・ウン UNI-Apro地域書記長は述べた。また、社会的責任を共有するASEAN経済共同体の関与は、UNI-Aproにとって需要な優先課題の1つであると 続けた。三者構成による社会対話を通してASEAN経済共同体の構築プロセスに貢献することは、我々労働組合の重要なミッションである。
この思いを踏まえ、ASEAN結成42年の歴史上初めて、三者構成会議がUNI-Apro金融部会大会に先立ちバンコクにおいて開催された。2009年 10月23~24日、ASETUC(ASEANサービス労組協議会)、BWI(国際建設・林業労組連盟)及びPSI(国際公務労連)と共に、UNI- AproはFES(フリードリヒエーベルト財団)の後援を受け、三者会議を開催した。ASEAN加盟7カ国から人材開発担当省の役員が参加し、2つの使用 者団体も出席した。今日ASEAN経済共同体は「労働組合は底辺への競争を巻き返し、利益追求より人間を第一とし、地域経済統合プロセスに社会的側面をも たらすために重要な役割を果たしている」と認識するようになった。

オリバー・レティクUNI世界金融部会担当局長は次のように述べた。「利益のみ追求し、消費者や従業員のことを考えない。こうした新自由主義が、グロー バル経済に破綻をもたらした。今我々が力を集結し底辺への競争を巻き返すことは大きなブレイキングスルーであり、2010年の長崎世界大会のスローガン “ブレイキングスルー”に合致する。」
欧州の多くの大手銀行マネジャーは、「顧客のためではなく、銀行利益のための最良の取引とは何か」を常に考えている。金融商品に関する適切なアドバイスを顧客へ提供することが銀行員の役割であるが、彼らは「ただ販売すればよいのだ」と主張する。
このように利益のみを優先する金融機関経営に対して適切な規制・監督を行ない、倫理的で責任ある金融産業を目指すことが、UNI金融部会の優先課題である、とレティクUNI局長は強調した。

アメリカで空前の住宅ローンブームの中、信用力の低い人々に貸し出されたサブプライムローンが含まれていたにもかかわらず金融工学上の技術革新により、 借り手にローン返済能力があるか否かは全く問われることなく融資が繰り返された。さらに投資銀行は、住宅ローンを組み替えたパッケージ商品を作り、高利回 り商品として世界中の投資家に売りつけた。また格付け機関も、適切な商品の格付けを実施することができなかった。開会挨拶の中で、石川耕治UNI Apro金融部会議長は、不誠実な企業活動をチェックする機能がはたらかなかったためにそれがグローバルな金融危機への引き金となった、と分析した。石川 議長は、UNI-Apro金融部会が優先課題とする、「金融商品の責任ある販売と、責任ある金融システムの構築」について講演を行った。

ジャヤスリ・プリヤラルUNI-Apro金融部会担当部長は、ジャカルタ開催の延期以降、短期間で再調整し、今大会に参加してくれた代議員全員に感謝の意を表した。

フィリピン大学のレネ・オフレネオ教授は、1997年からこれまでのアジア金融危機から学んだ教訓を発表した。金融危機の原因と影響について分析し、今 回のグローバル金融危機の類似点を10の教訓として挙げた。また、アジア太平洋地域の金融産業におけるGATSの影響と、それを真似た AFAS(ASEANサービス枠組み協定)の雇用状況に関し、UNI-Aproが研究していることを評価した。
さらに同氏は、「UNI金融部会はグローバルユニオンとして組織を強化・拡大し、発言力と影響力を有することが重要だ。そして影響力を行使して、銀行業 本来の役割であった『貯蓄家と投資家の橋渡し』へと回帰するように、さらには市場万能主義をやめるよう、G20に働きかけるべきである」と強調した。

大会では、下記のテーマについて議論を行った。
責任ある持続可能な金融システム
銀行における責任ある販売
保険労組ネットワーク
ジェンダー平等の促進

日本の代議員は、次の通り発表を行った。
UNI-LCJ金融部会、シンガポール調査報告:
労済労連書記長 照沼光二
日本における責任ある販売キャンペーン:
生保労連 金堀守男
日本の生保業界における世界金融危機の影響と現状:
生保労連副書記長 津田栄治
三井住友海上労組における非正規労働者の組織化:
損保労連中央執行委員 神先智雄
損保ジャパン労組におけるジェンダー平等促進の取組み:
損保労連中央執行委員 高田千鶴

 保険労組ネットワークのセッションでは、日本の保険業界および労組の取組みとして、津田生保労連副書記長と神先損保労連中執より、それぞ れ報告がなされた。これを受けて、韓国、シンガポール、パキスタン、フィリピン、マレーシアから、自国の取組み等について発言があり、積極的な意見交換が 行われた。まとめとして、オリバー・レティクUNI世界金融部会担当局長より、アジアの保険関係労組においてもアクサの欧州労使協議会のような連携強化を 進めたいとの構想が語られた。

 ジェンダー平等の促進のセッションでは、高田損保労連中執が女性専従者の登用や女性部会の設置など具体的取組みを紹介した他、ニュージー ランド、マレーシア、シンガポールにおける取組みが報告された。小川UNI-Apro女性担当部長は、UNIにおけるジェンダー平等主流化の取組みと、具 体的アクションとして女性代表40%達成の決議が世界大会に提出されることを報告した。

前進するUNI-Apro金融部会のセッションで、石川議長は長崎世界大会の準備状況について報告した。また、2009~2013年度のUNI-Apro金融部会の行動計画も承認された。

大会は、UNI世界金融部会規則の変更に合わせて、UNI-Apro金融部会規則を修正し採択した。新規則では、UNI-Apro金融部会運営委員会の メンバーの3分の1は女性の委員でなくてはならない。石川損保労連委員長は、UNI-Apro金融部会議長として再選された。

資格審査委員会報告
参加国数14カ国、参加組織数23組織
代議員30名(男性26名、女性4名)、オブザーバー8名(男性6名、女性2名)、ゲスト23名(男性13名、女性10名)  ラオス人民民主共和国からもオブザーバーとして1名参


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