ブログアーカイブ

組織拡大を果たした米作家ギルド、「ブレイキングスルー賞」を受賞

米国作家ギルド東部(WGAE)は、コロナ禍において組織化が困難であるにもかかわらず、むしろ組合員数を増やし、新たな分野にも拡大したことが高く評価され、UNIブレイキングスルー賞を受賞した。

WGAEは多様なデジタルツールを駆使し、ロックダウン中にリモートで働いていた数百人の新規組合員を獲得した。過去6年間で組合員を6割以上増やした組織拡大の実績の上に実現した、更なる成果だ。

組織率を継続的に上げていくため、コメディ、バラエティ、放送、ケーブルニュース、デジタルニュース等、様々な分野をターゲットに組織化を進め、要求した全ての職場で、組合承認を獲得した。

ローウェル・ピーターソンWGAE事務局長は、「WGAEを代表して、UNIからこのように栄誉ある賞をいただき感謝する。長年に渡るUNIからの連帯と明確な支援は、WGAEにとってなくてはならないものだった」と述べ、「我々WGAEは、既存の組合員だけでなく、以前は未組織であったプロの作家のためにも組合の力を強化することに努め、近年、大きな成長を遂げることができた。コロナ禍も成長し続けた。むしろコロナで組織化が加速した」と振り返った。また、「クリエイティブな仕事をする専門職も、力を高めるために集団行動を望んでいることがわかった。考え抜かれた戦略があり、それを慎重に実行することで、グローバル経済が変容し、娯楽、ニュース、デジタルテクノロジー等の分野が優位に立つようになっても、労働運動は成長を続けることができる」と自信を見せた。

2020年3月以降、WGAEは、MSNBCのケーブルニュース事業、ノンフィクション番組制作会社のジグソープロダクション、デジタル事業のハースト、バッスルメディアグループ、そしてFTスペシャリストやチョークビートといった小規模なデジタル企業数社で、組合承認を獲得した。

同時にWGAEは、何百人もの組合員を対象とする団体協約交渉を、対面ではなく成功させた。新たな組織化キャンペーンもそうだが、WGAEはZoom等のビデオプラットフォームを使って会議を行い、メールや各種テキストメッセージ機能、Slack等のワーク共有プラットフォームを駆使し、組合員を動員した。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「WGAEが組織化のやり方を刷新し、コロナ禍の困難な状況を克服し、組織拡大ペースを加速させたことに、敬意を表したい。変化に迅速に適応し、デジタルツールを駆使して新しい分野の新規組合員を獲得する中で、リモートワークは必ずしも組織化の障壁ではないことを示してくれた。WGAEの成功は、我々の模範だ」と述べ、その成果を称えた。

UNIブレイキングスルー賞は、逆境の中でも革新的な組織化キャンペーンを展開し、組織力を強化した組合を表彰するものだ。


ミャンマーの民主化のために闘う労働者に「恐怖からの解放賞」

ミャンマー労働アライアンス及び労働者、UNI「恐怖からの解放賞」を受賞

UNIは、自らの自由と命を危険に晒しながらもミャンマーに民主主義を取り戻すために闘っている、ミャンマーの労働者とミャンマー労働アライアンスの並外れた勇気を称え、ミャンマー労働アライアンス及び労働者に「UNI恐怖からの解放賞」を贈った。

2021年2月1日にミャンマーで軍事クーデターが発生した。激怒した労働組合と市民社会組織は、アウンサンスーチー氏を中心とする民主的な選挙で選ばれた政権の回復を求め、市民の不服従運動を立ち上げた。

数千人もの公務員が政府の仕事を辞め、鉄道労働者が列車を止め、民間部門の労働者は全国ストを打った。ミャンマー銀行労組(MBU)やミャンマー銀行労連(BWTUFM)の組合員6000人もこれに加わった。

「UNI恐怖からの解放賞」の受賞に際し、ミャンマー労働アライアンスとミャンマーの労働者を代表して、ミャンマー労働組合総連合(CTUM)のサンダ・ソー副書記長は次のように述べた。

「この残忍な軍事政権との闘いは容易ではなく、非常に厳しい。危険を冒さなければならないことはわかっている。逮捕され、拷問され、投獄され、殺される。だが、他に選択肢がない。人々の力を取り戻すため闘わなければならない。兄弟姉妹の皆さん、皆さんからの連帯支援に支えられ、我々は勝利するまで闘い続ける。軍事独裁政権は撤退すべきだ。我々の革命が勝利しなければならない!」

1000人以上が殺害され、組合員を含む数千人の活動家が投獄され、60人以上が死刑を宣告されている。

UNIは、世界の労働運動と共に軍事クーデターを非難し、軍部が民主的秩序を回復し、全ての政治犯を釈放するよう要求している。

UNI世界運営委員会は、ミャンマーにおける権利と民主主義回復の闘いを支えるため、できる限りのことを行うとする声明を発表した。また、多国籍銀行に対しては、軍事政権と関わりのある企業から直ちに投資撤退するよう書面で要請し、9月15日の「ミャンマーのための世界行動デー」においても、この要請をあらためて強調した。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「ミャンマーの民主的選挙からちょうど1年となる今週、この賞を贈ることは意義深い。だがその政権は、暴力によって覆されてしまった。我々は、ミャンマーの労働者が、ミャンマー労働アライアンスと共に、民主主義を不屈の精神で粘り強く追求してきた勇気と決意を称えたい。ミャンマーの人々の勇気ある行動は、世界の労働運動、更には世界中を奮い立たせ、支持を集めている。我々は連帯し、民主主義が回復するまで支援の手を止めることはない」と力を込めた。

「UNI恐怖からの解放賞」は毎年、危険を冒しながらも組合の組織化や労働者の権利を促進し、恐怖のない世界の実現に貢献した個人や団体に贈られる。


UNI Aproファミリー、松浦新会長の就任を歓迎

2021年11月5日にオンライン開催された第29回UNI Apro執行委員会は、松浦昭彦UAゼンセン会長を、新たな会長に選出した。2015年から地域会長を務めた野田情報労連前委員長を引き継ぎ、UNI Aproを率いていくこととなる。

委員からは祝福の言葉が相次いで述べられた。ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長も、「松浦会長はこれまでも副会長を務め、UNI Aproの状況をよくご存知なので、非常に心強い。豊富なご経験と知見でUNI Aproを強化し、次のステージに導いてくださるだろう」と期待を寄せた。

松浦会長は就任挨拶の中で次のように述べた。「コロナ危機の中で、アジア太平洋各国の組合は政府や経営者と交渉し、労働者保護のための協約や制度を勝ち取り、重要な役割を果たしてきた。我々の取組みによって、“やはり組合は必要なのだ”と認識された。我々はより多くの労働者を組織化し、組織を強化することによって影響力を発揮し、労働者を保護するための取組みを更に進めなければならない。アジアはグローバル化の中で経済的に急速に成長してきた地域だが、その一方で、ミャンマーにおけるクーデター、香港の民主派活動家への抑圧、フィリピンの反テロ法等、深刻な民主主義への攻撃が起こっている。アジアの多くの国では労働組合権が十分に認められておらず、サプライチェーンの底辺で不安定な雇用と劣悪な労働条件下で働く人も多い。その他にも、AIやロボット等の新技術の進展、気候変動といった我々の労働の未来に大きな変化をもたらすであろう多くの課題がある。そのような状況で、UNI Apro会長という大役を担うことの重責を感じている。今後、地域会長として、ラジェンドラ地域書記長をしっかりと支え、この地域のUNI加盟組合の皆さんと共に、全ての労働者の権利保護、安全、労働条件向上のため精一杯取組む所存だ。」

野田会長は、次のように退任の挨拶を行った。「6年前にクアラルンプールのUNI Apro地域大会で会長に選出されてから、多くの国を訪問し状況の理解に努め、リーダーの皆さんと人間関係を築いてきた。この2年はコロナ禍で皆さんに会うことができず残念かつ心残りだ。UNI Aproには、UNI Aproらしい良さがある。松浦新会長のリーダーシップの下、UNI Aproの益々の発展を祈っている。」

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「UNI本部及びUNI Aproにおける書記長交代という重要な移行期をずっと支えてくださり、大変感謝している。野田会長はUNI Aproだけでなく、ICTS部会の偉大なリーダーとしても、思慮深く、献身的かつ現実的に部会を主導してくださった。お忙しい中でもUNIの取組みに大変なエネルギーを注いでくださったことに、UNIを代表して“ありがとう!”と申し上げたい」と、野田会長に感謝の意を表した。

アチャリャUNI Apro地域書記長も、「事務局を代表し、野田会長の力強いサポートに心から感謝する。退任されても、UNI Aproの発展にお力添えをいただきたい」と述べた。

また、並木自動車総連事務局長及び石川JP労組委員長はUNI Apro副会長に、安藤情報労連委員長はUNI世界副会長にそれぞれ確認された。須齋損保労連事務局次長はUNI Apro女性委員会副議長として運営委員会メンバーに確認された。

新たな役員体制の下、UNI Aproファミリーは、コロナ危機を克服し、前進していくことを確信した。


「ハリウッド映画のようなエンディングだ」―IATSE、暫定合意により、賃金、休憩、労働条件の改善を獲得

10月18日を期限としていたストライキを目前で回避し、UNI加盟組織であり北米エンターテインメント業界の技術者や職人を代表する国際舞台演劇映画組合(IATSE)は、映画テレビ製作者連盟(AMPTP)との間で暫定合意に達した。

この3年間の協定によって、IATSEが代表する全米6万人の映画・テレビ産業の労働者の労働基準が引き上げられるだろう。

マシュー・ローブIATSE委員長(UNI世界メディア部会議長)は、「我々は、世界で最も裕福で強力なエンターテインメント企業やテック企業と肩を並べてきたが、このたびAMPTPとの間で、組合員のニーズを満たす合意に達した」と述べ、「ハリウッド映画のエンディングのようだ」と喜んだ。

提案された内容は、労働者がほぼ満場一致でストライキを承認した重要な問題に対応するものであり、交渉で勝ち取った利益は以下の通り。

  • 最低賃金で働く労働者に生活賃金を獲得
  • ストリーミング業務に従事する労働者の賃金・労働条件の改善
  • 年3%賃上げの遡及
  • 食事時間についての罰則強化
  • 1日10時間の休息時間(除外規定なし)
  • 週末の休息時間54時間
  • 多様性、公平性、包摂性に関する取組みの導入 

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「今回の合意で基準が引き上げられた。ここ数週間、普段は舞台裏にいるクルーの問題にスポットライトが当てられた。IATSEは、こうした労働者が社会から注目されたことと労働者の集団の力を利用して、真の変革を勝ち取った」と祝福しつつ、「だが、厳しい長時間労働の問題は米国に限られたものではない。ドイツ、オーストラリア、英国や他の国々でも、UNIと加盟組織は、過酷な長時間労働の文化を打ち破るため、組織化を進めている」と語った。

UNI世界メディア部会は、20か国28加盟組織を対象に労働時間に関する調査を実施した。調査した全ての国で、クルーは50時間以上働いており、週60時間労働も一般的であることが分かった。

英国のBECTUは、テレビドラマの撮影現場での労働条件について、10月下旬に交渉を行う予定だ。

暫定協定は、数週間後にIATSE組合員によって票決される。


過剰な長時間労働で、世界中の映画・テレビ業界が苦しんでいる、米国だけではない

娯楽関連の組合が結集し、国際舞台演劇映画組合(IATSE)を支援すると共に、世界レベルで人道的な労働時間を取決めようとしている

UNI加盟組織である国際舞台演劇映画組合(IATSE)組合員が、米国の映画・テレビ産業における長時間労働に対するストライキを圧倒的多数で支持する中、世界15万人以上の舞台裏で働く労働者の組合を対象とした新たな調査によって、「非人道的な労働時間」は世界的な課題であることが明らかになった。

UNI世界メディア部会は、20か国28加盟組織を対象に、労働時間に関する調査を実施した。その結果、調査対象となった全ての国で、クルーは週50時間以上働いており、週60時間労働も一般的であることが分かった。このような長時間労働は、身体の健康、精神衛生、家庭生活に壊滅的な影響を及ぼしうる。

長時間労働が世界的な課題であることや、米国の使用者が持つ世界的な影響力を踏まえ、公正な労働契約と人道的な労働時間を勝ち取るためのIATSEの取組みを、世界中の組合が自らの問題と重ね合わせている。

マシュー・ローブIATSE委員長(UNI世界メディア部会議長)は、米国の組合員の98%が全国ストを承認したという歴史的な投票結果について、「組合員の声は大きく明確だ。今回の投票は、映画・テレビ業界で働く人々の生活の質、そして労働安全衛生に関するものだ。我々の仲間には、食事休憩の時間、十分な睡眠、週末の休み等、人間としての基本的ニーズがある。最も賃金水準の低い人々は生活賃金を得るに値する」と主張した。

UNI世界メディア部会は、労働時間改善のための国際キャンペーンに向けて、団体協約、労働時間、労働条件に関するデータを収集した今回の調査の全貌を近々発表する予定だ。

スペンサー・マクドナルド英国BECTU書記長(UNI世界メディア部会 映画・テレビ制作作業部会議長)は、「米国、英国、そして世界中のクルーは、コロナ禍の間も、安全衛生基準を強化しながら、休むことなく働いてきた。労働者にプレッシャーをかけても、持続可能ではない。国際的な問題には、国際的な解決策が必要だ。全ての制作現場で、安全な労働時間が必要だ!」と語気を強めた。

オーストラリアのメディア・娯楽・芸術関連労組(MEAA)のケリー・ウッド娯楽・クルー・スポーツ担当部長(UNI世界メディア部会副議長)は、「我々は、尊厳ある労働条件、つまり労働時間を抜本的に是正するための公正な取決めを要求するIATSEの闘いを全面的に支持する。世界中の舞台裏で働く労働者の多くが、十分な休憩や休息を取れず、週末さえも奪われている。我々は世界中に蔓延する長時間労働に反対する国際キャンペーンに積極的に参加する」と決意を語った。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は次のように述べた。「頻発する時間外労働や、勤務中及び勤務間の休息が不十分な状況は、例外ではなく常習化している。制作クルーからは、もうたくさんだと言う声が聞かれる。労働者がストライキを圧倒的に支持したのは、多国籍企業の使用者に対して、今こそ変わる時だ、という明確なメッセージを送ったのだ。」

長時間労働が世界共通の課題であり、使用者が世界の映画・テレビ業界で影響力を持つことから、UNI世界メディア部会は近いうち、メディア及び娯楽関連労組の国際会議を開催し、IATSE組合員を支援すると共に、持続可能で人道的な映画・テレビ産業とするため、国際的な取組みを行う予定だ。

連帯し、共に立ち上がろう。


「安全衛生は職場の基本!」ディーセントワーク世界行動デー2021に際し、UNI Aproよりメッセージ

2021年10月7日の「ディーセントワーク世界行動デー」にあたり、UNIは世界に向けて「今こそ、全ての人々を守るため、交渉と規制を通じて、新しい安全基準を設定する時だ」と発信した。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、 「コロナ禍をきっかけに、世界中で労働安全衛生の問題が注目されるようになった。労働者の権利についての議論では中心課題となり、勤務中の、以前からある、或いは新たに発生した様々な危険から労働者を守るために欠かせない、労働組合が果たしている重要な役割が浮き彫りにされた」と述べた。

「職場の安全衛生は基本的な権利であることを認識しなければならない。」

UNIは、「ILOが職場の安全衛生は基本的な権利であると認定するよう、全ての組合に働きかけを要請するキャンペーン」を展開しており、UNI Aproはこれを強く支持する。

ILOは政労使から成る三者構成機関であり、労働組合は使用者及び政府に対し、労働安全衛生を最高レベルの国際労働基準に格上げするよう要求している。基本的権利とは、全ての国及び労働者に適用される権利である。 

2019年に政労使代表により満場一致で採択された、ILO創設100周年記念宣言では、全ての労働者にとって労働安全衛生が重要であることが認識されている。

その後、職場におけるテクノロジーの拡大使用によって発生したリスクに、コロナ禍中の危険が重なり、職場の安全衛生を基本的権利とする必要性の緊急度が高まると同時に、労働組合はその権利を徹底し行使する上で不可欠であることが示された。

「余りに多くの労働者が仕事中に感染し亡くなった。ILOレベルでのアクションがあれば、現場レベルで安全な職場を促進する組合の役割も果たしやすくなるだろう」と、ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長は述べた。

「新型コロナウィルスは、働く人々の健康を脅かす多くの新しい問題の1つに過ぎないが、加盟組織は全ての労働者にとって職場を安全に保つことができると確信している。」

UNI Aproは、加盟組織の各職場での取組みを強く支持します!


UNI Aproメディア部会、コロナ禍の影響とメディアへの抑圧に連帯して立ち向かう

2021年8月25日、第3回UNI Aproメディア部会大会がオンラインで開催された。12か国、19組織から代議員、オブ、ゲスト、スタッフ等77人が参加した。日本からは、日放労、民放労連が参加し、中村UNI Aproメディア部会議長が議事進行を務めた。

開会式では、クリスティ・ホフマンUNI書記長が連帯挨拶を行い、コロナ禍で浮き彫りになった労働安全衛生の重要性と共に、ワクチンの公平な接種の必要性を強調した。労働者だけに犠牲を強いてはならず、復興プロセスの中心に労働組合が積極的に関わり、より公平なコロナ後の世界を築いていかなければならないと訴えた。特に民主主義が大々的な攻撃を受け、多くの国で言論の自由に圧力がかけられている中、UNI Aproメディア部会加盟組織の奮闘に敬意を表した。

ヨハネス・ストゥディンガーUNI世界メディア部会担当局長も、厳しい状況の中でメディアは情報の伝え方について批判を受けているが、我々の仕事は単なる情報伝達に留まらず、前線から有意義な情報を提供していくことであり、民主主義に貢献することだと述べた。近い将来、対面の情報交換ができることを期待し、厳しい時こそ組合の国際連帯を強化していこうと鼓舞した。

続いて、アジア太平洋放送連合(ABUを代表し、ナタリア・イリーバ事務局長室室長から来賓挨拶を受けた。UNI AproとABUの協力は9年前に始まったが、両組織は、メディア労働者の安全と福祉を守り、技術変化や民主主義への脅威に対応する等、共通の目標を持っており、情報交換を重ねてきた。過去10年の技術革新で仕事のやり方も変化し、多様化した。効率性や柔軟性が増した一方で、労働条件の悪化やメンタルヘルスの悪化も生じているとし、特にジャーナリストの仕事へのAI適用については人間の管理下で行うことと、研修の強化を強調した。

最後に、ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長が、冒頭、香港、ミャンマー、アフガニスタンの市民に連帯を表明した後、「未来を創る:包摂的で、公正で、持続可能な未来に向けて」と題する基調講演を行い、UNI Apro全体の課題と今後の取組み方針を紹介した。大会は満場一致で、「UNI Apro部会大会共同声明」を採択した。

20172021年度活動成果報告

ミシェル・ベリーノUNI Aproメディア部会担当部長が過去4年間の主な活動とその成果について報告した。組織化、加盟組織の連携強化については、労働安全衛生、組織化等をテーマに、毎年マレーシアで能力開発研修を実施した結果、マレーシアにおける組織化が順調に進んでいる。業界団体との関係強化については、ABUと共同ウェビナーを開催する等して協力を強化した。UNI世界メディア部会女性ワーキンググループにもUNI Aproから積極的に参加し、ジェンダー平等の取組み経験等を共有した。

「メディア産業における、パンデミックによって引き起こされた変化及びメディアへの抑圧の高まりという課題に立ち向かう」

中村UNI Aproメディア部会議長が基調講演を行い、「新型コロナウィルスは、グローバル化された社会や経済システムを狙い撃ちするかのように感染が拡大している。私たち労働組合はコロナ禍において、労働者・組合員の命と健康を守るという課題と、雇用や処遇等、社会的かつ経済的なプレゼンスを守るという2つの課題に直面している。ひとり一人が人間として、また尊厳ある個人として生きていくために、公共性や文化は必要であり、私たちメディア労働者は、それを提供する極めて重要な仕事に従事している」と強調した。

この他、ジャーナリストでもあるカリンガ・セネビラトネ博士が、「経済モデルはメディアの自由の重要な要素」と題する講演を行った。博士は、「報道の自由は社会にとって重要だということはよく知られているが、本当に自由なメディアが存在するのか?」と問いかけ、ニュースメディアのビジネス性と公益性のバランスをいかに取るか、様々な実例を挙げながら解説した。最後に、UNI及び労働組合に対し、ポストコロナ時代に、オンライン学習へのコンテンツを提供することや、自らがメディアプレイヤー、メディアプロダクションになることを期待した。

放送ジャーナリストであり公認メンタルヘルス応急処置士でもあるエバリン・サミュエル氏は、「パンデミックがメンタルヘルスに及ぼす影響と、これに対処する現実的なアプローチ」について概説した。従業員自身によるモチベーション維持から基本的なセルフケアの方法まで紹介すると共に、使用者側がメンタルヘルス対応にはコストがかかることを認識し、様々な福利厚生を提供したり、ビデオコールによってコミュニケーションを図ったりして、労働者の状況を定期的に把握する必要があると述べた。

マレーシアのカイルザマン・モハマド代議員は、コロナ禍に感染予防対策の徹底を図ると共に、メディア業界労働者の雇用の維持と、再訓練を受け新しい仕事に就けるよう取組みを進めていると報告した。

香港のエレン・チェン代議員は、政治不安とコロナ禍により、労働者は失業し、経済も悪化している状況を報告し、若年層の政治参加は進んだが、治安維持法導入後は民主主義が後退していると述べた。労働組合も解体の危機にあり、組合員数も激減しており、国際労働運動からの支援が必要だと訴えた。

日本の岩崎代議員(民放労連書記次長)は、「メディア業界にダイバーシティを求めて」と題し、メディアの業界団体に対して、女性管理職の登用を増やすよう要求したことや、民放労連が行った民間テレビ・ラジオ各社の女性役員比率調査結果を紹介した。日本はジェンダー指数120位と低く、メディア業界でも喫緊の課題である。責任ある立場におけるジェンダーアンバランスは番組制作上でも無意識の偏見につながる恐れがあるとし、ダイバーシティ推進の観点からもジェンダーバランス改善に取組んでいくと述べた。

また、韓国メディア労組(NUMWから、韓国の国会では言論仲裁法を強行採決しようとしており、これが可決されると、報道機関や記者は虚偽報道に法的責任を負わされ、虚偽報道の流布を是正するだけでなく損害賠償金を課されることになり、脆弱な立場に置かれるようになるとの報告と、連帯支援の要請を受けた。UNI Aproメディア部会大会として、そのような改正が韓国メディアの表現の自由の制限につながることを懸念し、韓国メディア労組の闘いを支援する連帯声明を確認した。

20212025年度UNI Aproメディア部会戦略的行動計画の採択

大会は、コロナ感染拡大防止、新しい仕事への対応、安全労働衛生確保、加盟組織の能力開発及び組織化支援、非正規労働者対応、ジェンダー平等推進等の課題について、他の組織との交流・情報交換・優良事例共有の促進や、業界団体/ABUとの協力を通じて、取組んでいく行動計画を採択した。

20212025年度UNI Aproメディア部会委員会の選出 最後に、新たな部会委員会メンバー・役員が選出され、議長に日放労・中村氏が再選され、閉会した。


UNI、原爆投下76年目の広島・長崎の犠牲者を追悼

第二次世界大戦中の1945年8月6日に広島、8月9日に長崎に原子爆弾が投下された。原爆投下から76年目を迎えるにあたり、UNIは一瞬にして命を奪われた多くの犠牲者に哀悼の意を表すると共に、その後も長期にわたり放射線の影響を受け続けた被ばく者の苦しみに心を寄せる。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「世界がコロナウィルスという新たな脅威と闘う一方で、このような苦しみが繰り返されないように、平和と核軍縮を訴え続けていかなければならない」と訴えた。

UNIは、人権の基本要件である核兵器のない世界の実現に向けて積極的に取組んでおり、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)にも参加している。人権や労働者の権利を擁護するUNIは、2010年の世界大会を長崎で開催し、軍縮に焦点を当てた議論を行った。

2010年の世界大会前から、UNIは長崎や国際的な平和運動との強い絆を築き、核兵器がもたらす恐怖と破壊力について理解を深めてきた。

またUNIは、核兵器廃絶を目指す世界的なキャンペーンを支援する取組みとして、毎年、平和大使の訪問をUNI本部で受け入れてきた。だが残念なことに、この2年間はコロナ禍のため、平和大使の訪問ができなくなっている。UNIは一日も早いコロナの収束と、平和大使の訪問を切望している。


メンタルヘルスに関するUNI Aproメディア部会/ABU共同ウェビナー

UNI Aproメディア部会とアジア太平洋放送連合(ABU)は、2021年第1四半期に一連のウェビナーを成功裏に共催してきた。両組織は、コロナ禍から派生した問題にメディア専門職が対応できるよう支援する、共同の取組みを継続している。

メディア労働者は仕事を失うか、または安全でない条件下で働く等、困難な状況にある。これにリモートワークが加わり、メディア専門職の心身の健康に影響が及んでいる。

約40人が参加し、6月28日に開催されたウェビナーでは、共通のメンタルヘルスの問題を緩和するのに役立つ現実的な助言が与えられた。

ウェビナーにはゲストスピーカーとして、オーストラリアから著名なメンタルヘルス専門家であるフェイ・ジャクソン氏を迎えた。司会は、マレーシアのベテランアナウンサーでありトレーナやコンサルタントとしても活躍するエバリン・サミュエル氏が務めた。

参加者にとって、ジャクソン氏の長年の専門家としての経験に基づく現実的で応用しやすい助言は非常に参考になった。

ジャクソン氏は、メンタルヘルスの問題はたいてい、人生の中で経験するトラウマ(心的外傷)によって引き起こされることをまず認識しなければならないと述べた。そして、極度の不安を癒し回復を助けるための、有効性が実証されたいくつかの方法を紹介した。例えば、身体的健康に気を配ること、同僚のサポートが不可欠であること、セルフケアの実践等である。

閉会にあたり、ミシェル・ベリーノUNI Aproメディア部会担当部長は、ABUの多大な協力に感謝すると共に、メンタルヘルスの問題解決にウェビナーで得られた助言が役立つことを期待した。


UNIインド加盟協女性・青年/UNI-LCJ共同セミナー

2019~2022年度UNI-LCJ「海外活動の方向性」に従い、毎年インドで支援セミナーを開催することとしているが、昨年はコロナ禍で実施できなかった。今年も未だ感染が収束しない中、6月27日にオンラインで開催され、インドから34人、日本からが15人参加した。開会式で、ミリンドUNI-ILC議長は、UNI-LCJの継続的な支援と、アチャリャ地域書記長による講演や野田会長の出席等、UNI Aproの協力に感謝した。松浦UNI-LCJ議長は、未曽有の困難に立ち向かうための連帯を参加者に呼びかけると共に、日印関係がビジネス・経済面で今後ますます発展する中、両国の労働組合が連携を図り、互いの文化や労働組合の活動について理解を深め、それぞれの組合活動に活かしていく意義を強調した。

アチャリャUNI Apro地域書記長は、「コロナ禍・ポストコロナにおける労働組合及びUNIの役割」と題する基調講演を行った。インドの現状や課題について述べ、困難な中でもインドの労働組合が交渉やロビー活動で勝ち取った成果を評価した。また、UNI Aproが注力する女性・青年の育成に協力する形で、インドの女性・青年向けのセミナーを継続しているUNI-LCJに対して感謝した。基調講演に続き、インドの新聞労組、医療労組、IT労組の参加者がそれぞれ、労働組合がコロナ禍に取組んだ活動を報告した。インドでは「つながらない権利」という概念が認知されておらず、在宅勤務により労働時間が長くなり、ストレスが増したという意見が出された。

日本からは3人の講師が講演を行った。景中損保労連事務局次長は、コロナ禍が女性及び若年層に与えた影響と組合の取組みについて説明した。相対的に女性が多く従事する窓口業務や書類を扱う業務はテレワークが難しく、職場の感染防止対策の徹底や、テレワークの環境整備、テレワークが可能な業務の拡大に取組んだ。若年層については従来対面で育成・指導してきたが、リモート環境下での有効な育成・指導方法への柔軟な変更や、社員間のコミュニケーション強化に向けたルール作りを行っている。また、with/afterコロナにおいて、柔軟な働き方を推進する観点からも「長時間労働につながる商習慣」の見直しは有効であり、全ての労働者が働きやすい環境の実現につなげたいとした。

柏木JP労組中央執行委員は、各種統計や連合が実施したアンケート結果等から、コロナ禍の女性に対する影響の深刻さを説明した。連合は有識者を交え、コロナ禍におけるジェンダー平等課題に関する意見交換を実施し、指摘された諸課題について政府に必要な対策を求めていくこととしている。また、コロナ禍にJP労組が交渉で勝ち取った、特別な有給休暇や見舞金支給等の成果についても紹介した。

水野情報労連組織対策局長は、コロナ禍・ポストコロナにおける労働組合のコミュニケーションについて詳細に報告した。コロナを理由に活動を止めないため、感染防止対策の徹底と共に、オンライン活用や業務のデジタル化推進、対話・参加型の取組みに対する工夫、オンライン団交の向き・不向き等、経験に基づく具体的事例を詳細に紹介した。コロナ制約下でのオンラインの取組み成果を活かす多様なコミュニケーションツールの活用により、Face to Faceの取組みを追求しつつ、「つなぐ」役割の強化が重要だ、とまとめた。

インド人参加者からは、下記のような質問やコメントが出された。

  • ビデオ会議を含むテレワークに関する行動基準やガイドラインの有無
  • 郵便局におけるコロナ禍の交代出勤、妊婦や障がい者の保護対策、テレワークの可否等
  • 女性の在宅勤務に関する問題は組合が取組み改善していかなければならないことに同感する
  • オンラインレクやオンラインゲームはクリエイティブな試みだ、是非、インドの組合でも真似したい

この他、インド人参加者からも報告を受けた。

レッカD.M.(郵便労連)は、 コロナ禍でインドの女性が受けた影響について、郵便局の貢献及び職場で女性労働者が直面した課題と郵便労連の取組み、他産業の女性労働者が直面した問題とそれを克服するためのステップ等を報告し、コロナ禍から学んだ教訓でまとめた。

ロヒット・カプール(バローダ銀行管理職労組)は、インドの感染状況の深刻さを報告し、バローダ銀行は、ロックダウン中も預金・引出・送金等の不可欠サービスは提供し続け、中小企業を積極的に支援したことを説明。組合は、貧困層への食料配給、献血、育児中の母親・妊婦・障がい者等の在宅勤務化交渉、メンタルヘルスに関するウェビナー開催、遺族への弔慰金交渉等の成果を報告した。

グループワークでは、①女性・青年が組合に期待すること、②自分たちが貢献できることを議論し、各グループの討議結果が発表された。

①については、若年層や女性の課題を真剣に取り上げてほしい、若年リーダー育成・機会の提供、定期的なコミュニケーションを通じた組合活動の周知、組合員との双方向のコミュニケーションの重視、女性の参画を強化するため、女性だけでなく男性の意識啓発も促すこと等の提言がなされた。②については、若い労働者との信頼関係の構築、組合の意義や活動を正しく従業員に伝え、共感し、自ら積極的に取組むこと、楽しい方法で組合参加を促すアイデアを出し実行すること、SNSの活用、女性委員会の強化等、積極的な意思が表明された。アンジャリ・ベデカーUNI-ILCコーディネータは、短時間でも前向きなグループ討議ができ、良い意見がまとめられたことを称えた。

閉会式では、飛び入り参加した野田UNI Apro会長が、2017年秋の訪印時、成長するインドの勢い、能力とモチベーションの高さに感銘を受けたことを振り返り、インドは世界経済を牽引する存在でもあり、南アジアの組合の強化は、UNI Aproとして最も重要な戦略であると述べた。参加している女性、青年に対しては、女性の価値観や若年層の価値観をUNIの活動に活かしてほしいと激励した。ミリンドUNI-ILC議長は、UNI-LCJ及びUNI Aproの支援にあらためて感謝し、今後も協力関係を深めていきたいと述べた。また、働き方が変わっていく中で、組合役員の経験を活かすと共に、若きリーダーの成長に期待し、共に新しい労働運動をつくっていこうと激励した。森川UNI-LCJ事務局長は、オンライン開催だったからこそ、インド全土から多くの参加が得られ、日本側も講師だけでなく、野田UNI Apro会長をはじめ多くの傍聴が可能になったと述べ、対面開催ができる時まで、コロナ禍で学んだ経験や教訓を活かし、UNI活動を推進していこうとまとめた。


uni logo
最近のコメント
    アーカイブ