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ポストコロナの世界において社会対話を推進し、保険部門労働者の仕事の未来を守る~UNI欧州金融部会ウェビナー

2021年6月21日(月)日本時間21:00~23:00、UNI欧州金融部会は「ポストコロナ:保険部門労働者と労働組合を取り巻く環境変化」と題するウェビナーを開催した。

「コロナ禍が欧州保険部門の労働者と労働組合に与えた影響に関する報告」 ピエール・シャルル・プラディエ パリ大学・パンテオン・ソルボンヌ校経済学部准教授
COVID-19パンデミックにより、保険部門の企業及び労働者は、特に大きな影響を受けた。社会的不安から保険に関する仕事量が増大し、労働者の負担が増した。もともと業界ではパンデミック前、ほとんどリモートワークは行われていなかったが、コロナ禍により、極めて迅速にリモートワークに切り替えた業界でもある。しかし、急激な感染拡大により、労働者に対するPCスキル研修やネットワーク環境の整備は十分でなかった。
国ごと、企業ごとに取組みにばらつきはあるものの、労働者に対する一定程度の支援は行われていると言える。しかしながら、仕事量の増加、家族的責任を有する労働者へのサポートに関しては、適切な対応できていない場合が多い。ロックダウン中でも業務目標の見直しがなかった、通勤時間が無くなり、その分労働時間が増える傾向があり、様々な不公平や問題が顕在化したことは、今後の交渉において重要な項目になる。企業にとってリモートワークがコスト削減につながっている現実を見なければならない。オフィスコストが最大60%の削減につながったという回答もあり、ある企業はリモートワークを前提としたオフィス建設すら始めている。「つながらない権利」を含めた新しい働き方に関する原則が必要になっている。労使協定は十分な内容を包含できているか、仕事量の分担のルール化、リモートワーカーに対する差別防止、ジェンダーの公平性は担保されているか等を考慮すべきである。スペインやスロバキアにおいてつながらない権利など各国で法制化の動きが早まっている。今後は各国、各企業からデータや好事例を集積し分析、研究することでより良い原則を作っていくことが重要である。更に労使の協力の下、データ保護と労働者のプライバシー、AI監視に対する対応については、法制化も含めて取組む必要がある。

「#InsuranceWORK2030 -フィンランド保険部門の新社会パートナー・プロジェクト」 リーサ・ハルメ PRO フィンランド
フィンランド保険部門においては、社会対話を通じた新しい取り組みが成果を上げている。「保険の仕事2030」と題したプロジェクトでは、3つのテーマでウェビナーを開催している。「AIと新たなテクノロジーと生涯教育(2021年5月)」、「生涯教育と新しい習慣(2021年9月)」、「多様性と包摂性について(2021年10月)」ポストコロナの時代において、社会対話と労使交渉、仕事の未来に備えるために正しい知識を手に入れることは重要である。保険部門の認知度を高め、産業としての魅力を伝え、次世代人材の育成も重要になっている。また、組合役員を対象に研修を行いAIの基礎、ロボット化、デジタルトランスフォーメーション、労働者の権利、コンプライアンス等、最新且つ正しい知識を得て使用者との交渉に臨むことが特に重要になっている。

「持続可能な欧州保険部門のための社会パートナーの関与」 ヴィック・ヴァン・ケルレブローク UNI欧州金融部会 欧州保険社会対話コーディネーター
UNIが取組んだAIプロジェクトは重要だった。欧州の労使の枠組み、社会対話の枠組みは重要であり、産業界が正しい方向に向かうように働きかけるものである。その意味からもEUのAI協定締結はとても重要だった。AIを作るのも運用するのも人間であり、人間が中心のAI活用でなければならない。EUの共同宣言は画期的であり、今後AIが保険部門労働者にとって脅威とならないように取り組まなければならない。AIがどのように影響してくるのかが重要であるので、みなさんからの情報共有をお願いしたい。また、保険業界ではまだ男女格差がある。給与、昇進などに差があるのが現実である。UNIでは、これから「多様性・包摂性・非差別に関する共同宣言」を発出する準備を行っている。あらゆる差別や排除が無い職場を作る必要がある。

「イタリア保険部門のリモートワークに関する社会パートナーとの画期的合意」 モーリーン・ヒック UNI欧州金融部会担当部長
2021年2月、イタリアの保険部門において45,000名の保険労働者をカバーする協定を締結した。本協定の主な内容は、リモートワークは任意であり、労働者が選択できなければならない。団体交渉で得た権利はリモートワーカーを含めすべての労働者に有効である。ワークライフバランスの確保、つながらない権利の保障、IT機器、通信環境整備、安全衛生、食事補助、研修の権利などUNIが発表した原則に則る協定が締結できたのは大きな意味を持つ。労使双方の参画によって策定されたプロトコルが、団体協約に読み替えられ、各企業で実践されることが合意された。
https://www.uni-europa.org/2021/02/italys-insurance-sector-unions-signs-landmark-agreement-on-remote-work/

「危機的状況下における持続可能な枠組みに関するGenerali EWC共同宣言」 キャロル・ブルナー FBA CFDT フランス
コロナ禍によるロックダウンに端を発した新たな働き方の急激な進行に関して、当初経営側は消極的だった。喫緊の危機に関する共同宣言に取り掛かったのはちょうど1年前、粘り強い交渉と社会対話により、労働安全衛生、つながらない権利、経済的負担に関する共同宣言を発出することができた。本宣言の主な内容は、メンタルヘルスを含めた労働安全衛生の保護、リモートワークの基本原則を順守し、正しく活用すること、管理職、経営職を含めた研修機会の保障と提供、包摂性と機会均等の担保、家族的責任を有する労働者への支援及びリモートワークに関する経済的負担の補償等である。今後、リモートワーク及びAI利用に関する共同文書を発出する予定である。

アンジェロ・デクリストUNI世界金融部会担当局長
コロナ禍がリモートワークを始めとする新たな働き方を急激に進めてしまった。我々は、この急激な変化がメリットばかりではないことを自覚する必要がある。使用者はリモートワークの推進がコスト削減に繋がることを知ってしまった。今後は、デジタルアウトソーシングという流れを注視すべきである。銀行では支店の閉鎖、撤退が続いており、保険部門においては、オフショア化が進む懸念がある。社会対話が更に重要になってくる。プロトコルや共同宣言は協約ではないが、はじめの一歩として重要であり、我々の好事例の集積が世界各地域の加盟組織の助けになるはずである。


加速するDXに組合はどう立ち向かうのか UNI商業部会ウェビナー「デジタルトランスフォーメーションと小売業の未来」

2021年6月17日(木)日本時間14:00、UNI世界商業部会は「デジタルトランスフォーメーションと小売業の未来:部門別デジタル化に対処する労働組合の戦略」と題したウェビナーを開催した。
アジア太平洋地域のみならず、世界中の商業部門企業がデジタル化や自動化など新しいテクノロジーの導入を加速させる中、労働組合は大きな課題に直面している。この傾向は、コロナ禍により更に加速している。商業部門の仕事の未来は、大きな転換を迫られており、労働組合としてどのように対応すべきか、実態調査報告、労使関係、組織化、第三者からの暴力の防止等に関する報告が行われた。

ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長
コロナ禍によって脆弱だったアジア太平洋地域の労働環境が打撃を受けた。特にサプライチェーンへの打撃が大きく、加盟組織は労働安全衛生の確保に努力している。コロナ禍で商業部門の労働者は、メンタルヘルスのリスクや第三者からのハラスメントの脅威にさらされている。先日開催されたUNI Apro執行委員会では、活動計画において、より建設的な労使関係構築を進めデジタル組織化を含めた組織化を推進していくことを採択した。エッセンシャルワーカーの基本的な権利と労働安全衛生の確保に取組んでいく。
マタイアス・ボルトン UNI世界商業部会担当局長
これまでも商業部門労働者は、変化や危機に対応してきた。コロナ禍前から、デジタル化によるEコマースの台頭や第三者からの暴力の悪化を経験してきた。多国籍企業の考え方が変化し、食品小売労働者は、エッセンシャルワーカーとして社会の中で重要な位置づけと認識された。しかし、アパレル部門では危機感が高まっており、ビジネス環境の厳しさから労働者が守られなくなっている。

物流倉庫のロボット化・自動化と商業部門における従業員の追跡・監視デバイスの使用:新技術に関する最新情報と生産性及び労働条件への影響
マルセル・スパタリ氏 シンデックス・ルーマニア

コロナ禍の中、東アジアの企業では2020年の設備投資額が増加している。特に無形資産投資が増えているのは、デジタルツールやソフトウェアへの投資が増えていると分析している。世界中でデジタル化がかなり早いペースで進んでおり、無形資産への投資が増加している。アジアでは、Eコマースが激増しており、以前と比べて日用品、食料品が大きな割合を占めるようになった。また、コロナ禍で物流倉庫のロボット化、自動化に拍車がかかっている。アジア地域では完全自動化こそ最高のソリューションだと回答する企業も多い。単純作業の自動化によって、労働者はAIに監視されるリスクがある。明らかにプライバシー侵害に当たる対応も出てきている。労働組合はこうした技術についてしっかり監視しなければならない。

人間の価値、労働の質、人財力の向上によるイノベーションで未来を創る
八野 正一氏 UAゼンセン副会長、UNI世界商業部会運営委員会副議長、UNI Apro商業部会委員会副議長

グローバル化とデジタル化により経済社会構造が大きく変質する中、コロナ禍が加わり、私たちには、生産性をめぐる政策、経営、技術革新、働き方が問われている。持続的な成長のためには、付加価値を継続的に創出し、人材の価値、良質な雇用を中軸に置き、生産性を向上させていく以外に道はない。デジタル化を生産性改革の中心に置き、付加価値を高める視点からのチャレンジが必要である。今まで解決できていない構造的な課題とコロナ禍によって破壊されたものを建て直し、「生産性改革」を労働運動の視点からどう前進させていくかを考える必要がある。本講では「人間の価値、労働の質、人材力の向上によるイノベーションで未来を創る」という位置づけから、以下2つの提言を行う。提言1「企業ビジョンの再定義を図るべきである(成長経営から生産性経営へ)」提言2「持続可能なディーセント・ワークを構築し、人間の価値を高めるべきである」イノベーション創出の根幹は人材であり、人的資本に投資し、DXを動かしていく。
人材育成は、新しい価値を創造する人材と、その基盤を支える人材、両軸の育成が重要である。

オーストラリアの物流倉庫・Eコマース企業における組織化
バーニー・スミス氏 SDA、アレックス・ヴェリコビッチ氏 SDA
Eコマース企業への組織化に関し、オムニチャネル化した既存の小売企業については、既存の関係を活用し新しい事業の労働者を組織化している。生産性を増加し、労働者が公正な配分を得るためには何をすべきか。公平な税制が必要になっている。従来型の店舗のバックヤードがEコマースの倉庫として活用され融合が進んでいる。SDAでは、新しい業態における使用者、労働者が誰かを特定しなくてはならない。ギグワーカーの組織化に取組んでいるが、労働条件の向上、労働安全衛生の確保など課題は多い。物流センターの組織化には変化がみられる。組合加入には関係作りが重要であり、労働者を巻き込んでいくことが重要、信頼にこたえ、組合は事業を阻害するものではないことを理解してもらう。改善点は指摘しつつ、共通の価値を追求していくことが重要。会社と建設的な労使関係を構築し、通勤途上災害手当を勝ち取ったことで、組合員が増加し、今では入社研修時に組合加入を勧めるビデオまで流せるようになった。

「第三者からの暴力やハラスメントの防止:店舗におけるボディカメラの活用」 
ジェニファー・トラッド氏 SDA
現在、ウールワースでは一部の店舗マネジャーを対象として、顧客からの暴力防止を目的にボディカメラを活用する試みを行っている。長年、店舗における暴力撲滅キャンペーンを行っているが、撲滅には程遠い。該当する行為が発生しそうな場合、顧客に録画を開始すると伝えると、顧客の態度が変わるなど一定の効果が出ている。この取組は、あくまで顧客からの嫌がらせを減らすために使うものであり、正しく使用すれば問題ないと感じている。自分のチームメンバーが安全だと感じられるよう、話し合っておくことが重要である。ヨーロッパでは受け入れがたいかもしれないが、新しい技術であり、今後議論されることになると思う。SDAとしては、抑止力の面が大きいと考えている。コロナ禍で、顧客も不満が増えたと同時に小売労働者を見下す風潮がある中、プライバシーと人権尊重の検討が必要である。顧客を犯罪者にする前に食い止めることが重要であり、SDAは正しい一歩を踏み出したと考える。


UNI Apro/FESアジア共催「デジタル組織化ウェビナー」を開催

2021年5月6日、UNI Aproは、フリードリヒ・エーベルト財団(FES)アジアとの共催で、「デジタル組織化ウェビナー」を開催した。
コロナ禍により、世界中の多くの人々が在宅勤務となり、労働組合のオルグ活動においても、この新たな現実に適応するため、デジタル組織化の活用が劇的に加速する中、今回のウェビナーでは、UNI本部及びUNI Aproとその加盟組織が、労働者の力を集約する上で活用したデジタル組織化の成功事例を取り上げた。

ミルコ・グエンターFESアジア事務所長は、開会挨拶で「コロナ禍により、労働者は現在も厳しい環境にある。今こそ共に連帯が必要であり、新時代の労働組合として、デジタルを駆使した新しい組合活動のメリットとその課題を共有したい。」と述べた。

ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長は、同じく開会挨拶で、デジタル組織化に取組む必要性を強調し、「コロナ禍により、新しい労働形態が急速に普及し、それに伴い、この新しい現実の中で労働者に働きかけるための代替手段として、デジタル化の必要性が高まっている。本ウェビナーは、UNI AproがFESアジアの支援を受けて開催するもので、デジタル組織化がいかに組合の組織拡大と労働者の力の結集に寄与するかを理解することを目的としている。私たちは、どのような状況下でも、労働組合として組織を拡大し、労働者の力を高めることに妥協は許されない。」と述べた。

アンディ・スノッディUNI SCORE(連帯・キャンペーン・組織化・リサーチ・教育)局長より、デジタル組織化に関する国際的な概要が報告され、次にジョシュ・ピーク・オーストラリアSDA(店舗流通関連労組)本部デジタル担当局長・同サウスオーストラリア支部書記長より、同労組がコロナ禍前の2019年から取り組んでいる「デジタルプログラム」に関する報告が行われた。

次にホビグ・メルコニアン UNI Apro組織化部長がモデレーターとして、ミカラ・ラフェティ UNI SCORE シニアオルグ、モハメド・シャフィーBPママル UNIマレーシア加盟協議長及び ティラック・カッカ UNI Apro組織化コーディネーターをパネリストにフィッシュボウル・ディスカッションが行われ、デジタル組織化を通じて逆境を乗り越えるための施策が議論された。

続いて、東欧におけるデジタル組織化に関し、フロレンシア・イアンクSITT労組委員長より、自組織で開発した労働組合活動のためのプラットフォーム・ツールの活用好事例が報告された。

最後に モイラ・カリー・オーストラリア・ビクトリア州労働組合デジタル化担当及び エミリー・ホルム・豪金融部門労組デジタル化担当より、労働組合が開発した非営利のオンライン・プラットフォーム「メガフォン」を活用したデジタルキャンペーンの成果に関する報告があった。

本ウェビナーを総括し、ホビグ・メルコニアンUNI Apro組織化部長は「私たちは、今回のウェビナーで様々な取り組みを学んだ。デジタルによって、組合はこれまで不可能だったことを可能にすることができる。デジタル化は、瞬時の双方向コミュニケーション、遠隔でのトレーニング、交渉への直接参加などを通じて、組合員に力を与えることができる。 対面が困難な状況下でもデジタルを使えば補完できる。デジタルに走りすぎず、人と人のつながりを大切に今後も活動していくことが重要である。今後、Apro地域の多くの加盟組織が、デジタルを活用して戦略的能力を高め、さらなる成果を上げることを期待している。」と結んだ。


EUはプラットフォームワークの偽装請負に終止符を打つ時だ

欧州委員会は、「プラットフォームワークの労働条件に関わる課題に取組むために可能な行動」についての協議を開始した。労働者に偽装請負(偽装自営業)を強要するプラットフォームは、過去10年間にわたり欧州の労働者の不安定雇用を増大させる大きな要因となってきた。

オリバー・レティクUNI欧州地域書記長は、「労働者は労働者だ。ウーバーのロビー活動資金がどれだけあろうとも、このシンプルな事実を変えることはできない。ウーバーは、米カリフォルニアで労働者の権利を取り戻した法律を覆すのに2億ドルを費やした後、今度は欧州で牙を剥こうとしている。欧州委員会は明確な態度を取り、労働者保護の立場を示さなければならない」と主張した。

偽装請負のプラットフォームは長い間、法的なグレーゾーンで運営していると主張してきた。スペイン、フランス、英国、そして最近ではイタリア等、多くの国で、グレーゾーンは存在せず、こうした企業は単に法律に違反しているとの判決が示されてきた。

欧州委員会が協議を開始したまさにその日、ミラノ検察庁は大手フードデリバリー4社に対し、労働者と雇用契約を結ぶよう命じた。ミラノだけでも何千人もの労働者に関わる今回の命令は、EU全体の問題の大きさを示唆している。

これらの企業は、違法行為によって労働者が得るはずの収入を奪い、不正競争によって巨大な市場シェアを獲得してきた。それによって大規模な投資を集め、今度はEUで法を変えようとしている。

レティクUNI欧州地域書記長は次のように糾弾した。「ビジネスモデルとして組織的に法を破っている企業と、組織犯罪は何が違うのか? 長年に渡り労働条件を侵害し、弱体化させた後、偽装請負プラットフォームが規則に違反しているということに、欧州中の裁判所が気付き始めている。EUが今頃になって目を覚まし、こうした強欲な企業にフリーパスを与えるために介入し、労働者には結局、最賃にも満たない時給や手当しか払われないとしたら、歴史的な大失敗だ。欧州委員会は、プラットフォームを介して働いているか否かによらず、労働者を保護しなければならない。欧州では、ウーバーや他の企業がカリフォルニアで義務を免れようとしているようなことはできない。」

団体交渉

基本的労働権を攻撃して公正な競争を弱体化しようとする、偽装請負企業の特定の利益によって決められるデファクトスタンダード(事実上の業界標準)ではなく、労働者を中心としたアプローチを採用すべき時が来ている。その中心は、労働者の団体交渉権が守られ、確実に実行されるようにすることだ。

立証責任

これまで労働者は、自身の権利を行使するために、自らの労働者性を証明すべく裁判所に出向かねばならず、これには個人に莫大な金銭的、時間的コストがかかっていた。UNI欧州は、欧州委員会に対し、この立証責任の所在を反転させることを要求している。もしプラットフォーム企業が労働者を自営業者として分類するならば、企業側こそが、その主張の合法性を証明するため、法廷に出向くべきなのである。

制裁

労働基準監督署と検察官には、労働法を効果的に執行する権限が与えられなければならない。欧州委員会の目標は、未払いの賃金・社会保障費の清算に加えて罰金という形で、労働者に偽装請負を強いる企業に対する真の抑止力となるような制裁を、EU全体で実施することでなければならない。


団体交渉を通じてデジタル化の恩恵を公平に

デジタル化の影響は今後も大きくなるだろう。2019年11月4日、UNIは世界執行委員会に先立ち、デジタル化の危険性を軽減し、明るい見通しを最大化するための優良事例を共有するフォーラムを開催した。

参加者の多くがフォーラム開催のタイムリーさを評価し、変化する労働の世界において労働者の権利を確保することは国際労働運動にとって急務の課題であると認識した。デジタル化に関わる問題、例えばダウンサイジング、スキルアップ、自動化等は、多くの組合の交渉において重点事項となっており、フォーラムからは、組合は課題に備えなければならないという強いメッセージが打ち出された。

「デジタル化への移行の過程で、誰一人取り残されてはならない。団体交渉こそ、デジタル化された職場で働く全ての労働者に正義と平等を確保するために、適切な手段だ」とアルケ・ベシガーUNI副書記長は強調した。

英国ユナイト・ザ・ユニオンからは、デジタル化時代の組織化及び団体交渉を強化するため、組合のあらゆるレベルで実施している訓練や準備について聞いた。南アフリカSASBOは、自動化によって金融産業の組合員が置き換えられるなど影響を受けている中、組合の力を高めるための革新的な戦略について語った。

ノルウェーHKは、使用者が設備を自動化した後、倉庫で働く労働者の仕事を維持または改善することができた経験を共有した。「デジタル化の交渉には強力な組合が必要だ。既存の団体協約では解決できるとは限らないので、組織化し備えなければならない」と強調した。

テレサ・カセルターノUNI世界ICTS部会担当局長は、つながらない権利に関する革新的な取組みを紹介し、フランスFOは、つながらない権利が国レベルでどのように組合によって活用されているかの事例を報告した。

アンディ・カーUNI世界ICTS部会議長(英国CWU)は、UNI欧州地域が策定している人工知能に対する労組のアプローチについて説明した。

米国CWAは、AIによるコールセンター労働者の監視の現状と、組合が労働者のデータをもっと管理できるよう交渉に成功したことを報告した。「この問題に関して、組合があれば変化を起こせることが示された。例えば、英国のサンタンデール銀行のコールセンター労働者は、まだ組合の無い米国のサンタンデール銀行で実施されているような過度な監視の下には置かれていない」とカー議長は語る。

クリスティーナ・コルクロフUNIプラットフォーム・派遣・デジタル化担当部長は、画期的なUNIプロジェクト「スポットライト」について説明した。労働者が自身の労働条件に関する詳細なデータを保存し、データのコントロール権を持てるようにするものだ。

マット・ロブUNI世界メディア部会議長は、組合員は伝統的な雇用形態、いわゆる「典型」労働者には分類されないが、彼の組合IATSEが演劇・テレビ制作労働者のために行っている取組みについて報告した。「労働者や組合が互いに競争し合わなくて済むように、産業を超えて、全国、地域、国際的な基準を設定しなければならない」とロブ議長は訴えた。

フォーラムのまとめとして、クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「デジタル化は将来の課題ではなく、現在の課題だ。デジタル化によって企業はますます豊かになり、格差が拡大している1つの理由にもなっている。労働者は公平な配分を受けていない。公正なデジタル化への移行に向けて交渉するため、今日、共有された事例から多くを学ぶことができるだろう。交渉テーブルで解決できないことは、ルールを変えることによって解決していく」と述べた。


第8回UNI Apro東アジア労組フォーラム

第8回UNI Apro東アジア労組フォーラムは、「労働の未来、決めるのは私たち」というスローガンの下、2019年10月16~17日、韓国・ソウルにおいて開催された。日本、韓国、台湾、モンゴルより156人(うち女性45人、女性参加率29%)が出席した。日本からは9組織41人(うち女性14人、女性参加率34%)が参加した。香港は民主主義を求めるデモの影響で出席できなかったが、今回初めてモンゴルが参加した。

開会式では、ホスト国を代表し、ナ・スンジャUNI韓国加盟協議長から歓迎挨拶を受けた。松浦UNI-LCJ議長は、ナ議長をはじめ、韓国加盟協の受入れ準備ともてなしに感謝し、本フォーラム出席が最後となるクリストファー・ウンUNI Apro地域書記長にも感謝した。そしてUNI-LCJが長年、強化を支援してきたモンゴルの加盟組織の初参加を歓迎すると共に、参加できなかった香港の加盟組織に連帯を表明し、平和的に解決が図られることを祈念した。

ウンUNI Apro地域書記長は特別講演の中で、デジタル化のマイナス影響を最小化し、ビジネスの発展と雇用維持・創出を両立するためには、経済・労働政策の一貫性が必要であると訴えた。そして、ディーセントワークを確保し、包摂的で持続可能な社会経済的秩序を築くためには、労働組合の関与が不可欠であり、政労使による建設的な対話と大局的な連携強化の必要性を強調した。講演後に、ホスト国、韓国の労働運動との思い出を振り返り、「労働界は団結して、大きな課題に立ち向かわなければならない」と東アジアの全ての労働組合に激励の言葉を残した。

続いて、韓国労働社会研究所のキム・ジョンジン副所長から、「雇用可能性を高めるためのスキル開発と良質な仕事」と題する基調講演を受けた。韓国における労働市場の現状、とりわけプラットフォーム労働の問題等について詳細に説明し、「プラットフォーム労働者も、正規労働者と同じ労働条件とすることが重要であり、共存できるようにすることが課題だ」と述べた。 フォーラムでは、「各国の政治、経済、社会、労働事情の報告」、「労働時間短縮とワークライフバランス」、「プラットフォーム労働者及びIT部門の組織化」、「ジェンダー平等」というテーマで、各国の取組みを共有した。

最後にフォーラムのまとめとして共同宣言を採択した。第9回フォーラムは、2020年10月、台湾・台北で開催する予定。


クレディ・アグリコル、UNIとグローバル協定締結

フランスの協同組合銀行グループ、クレディ・アグリコルと5か月にわたる建設的な交渉を重ねた結果、UNI2019731日、グローバル協定を締結した。同社が事業を行う47か国の労働者が、職場の権利と保護の恩恵を受けることになる。

重要なのは、この協定が、結社の自由、団体交渉、社会対話及び情報提供と協議等の基本的人権と労働組合権の尊重を公約していることである。

同社は、組合員に対するいかなる脅し、嫌がらせ、報復、差別も容認しないことを誓う。いかなる形のモラハラやセクハラも防止し撲滅するため、明確で厳しい手続きが実施され、被害者には十分な支援が提供される。

クレディ・アグリコルは、どの従業員にもキャリアの各段階において平等な待遇と機会を提供し、多様性のある包摂的な職場を保障する。例えば、前例のなかった16週の有給の産休の導入も含まれる。

協定は、金融産業として初めてデジタル化に特化した章を設けた。今後、同社は、新技術が従業員及び労働条件に及ぼす否定的な影響の抑制に努めると同時に、将来の仕事に必要な研修、再訓練、スキル向上訓練を全ての労働者が受けられるようにする。協定は、UNIの労働者データの権利保護のための10大原則及びクレディ・アグリコルの個人データ保護憲章からヒントを得て、労働者データのプライバシー保護条項を導入した。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は次のように評価した。「クレディ・アグリコルにおける結社の自由や団体交渉といった基本的人権を保障するだけなく、この協定には、セクハラ撲滅のための強力な方針と労働者の権利及びデジタル化に関わる画期的な保護条項が含まれている。クレディ・アグリコルが研修及びスキル向上訓練を公約したことは、デジタル化が必ずしも解雇を意味するものではないことを示している。企業が労働者の幸せを約束するなら、デジタル化はより良い仕事や新たな仕事を意味する場合もある。クレディ・アグリコルとの生産的なパートナーシップを楽しみにしている。」

クレディ・アグリコルのベネディクト・シュレティン人事部長は、「人材はグループの新たな戦略計画の核心である。我々は、グループの全ての従業員のために信頼の枠組みを提供する強力な社会協定を頼りにしている。この協定は、世界中の全てのクレディ・アグリコル従業員にとって共通の社会基盤となり、国際レベルで人材への責任を強化するものだ」と語った。

協定は3年有効で、進捗をモニターし、その実施を巡る紛争解決の強力な仕組みを持つ。

クレディ・アグリコル欧州労使協議会とUNI金融部会クレディ・アグリコル労組アライアンスが土台を築き、協定は締結された。


UNI Apro、アジア太平洋の労働組合と共に、最近のRCEP交渉に懸念を表明

東アジア地域包括的経済連携(RCEP)は当初、より広域にわたるアジア太平洋地域において、ASEANブロックの「中心性」を確立するために、インドネシアによって概念化された。しかし、国際舞台における中国のダイナミズムに対する懸念から、米国主導の環太平洋パートナーシップ協定(TPP)に匹敵する地域的対応としてのRCEPへと、その概念が変わってきた。TPPは事実上、米国の政策により頓挫し、協定は「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)」という形でかろうじて復活した。更に最近では、米中貿易摩擦によって、当地域の多くの指導者の間に不安が高まり、交渉国が2019年までにRCEPを締結することが促された。

労働組合は、RCEPが結果としてこの地域にもたらす地政学的変化を認識している。しかし、労働者及び人々の権利、持続的な開発、民主主義に及ぼし得る否定的影響への懸念は、2013年の交渉開始以来続く秘密主義によってますます高まった。元のTPPとは異なり、RCEPが公表した分野には、環境や労働に関する重要な問題に関する章が欠けていた。

UNI Aproの見解としては、労働・社会的側面を欠いたこのような協定は、多国籍企業にのみ利益をもたらすが、格差を深め、底辺への競争を加速させるものである。

このような悪影響の可能性を軽減する方法の1つが、ASEAN統合プロセスにおいて労働者の意見を制度化するためのASETUCの戦略的アプローチを、RCEPにも同じように社会的側面を持たせるためにとることである。

ASEAN統合プロセスは20年近くかかっており、いまだ進化を遂げている。この過程で、労働組合が関与する様々な機会が生まれてきた。このような好機を通じて、UNI Apro2007年、BWI APPSI APと共に、ASEAN各国政府及び使用者団体と対話を行うメカニズムとして機能するASEANサービス労組協議会(ASETUC)を結成した。10年に渡る粘り強い取組みを経て、ASETUCは今ではASEAN政府間人権委員会の対話パートナーとなり、ASETUCが参加する年次三者構成対話は、ASEAN労働事務次官級会合(SLOM)の20162020年活動計画に含まれている。

労働組合は、RCEPプロセスにもこのような道筋を作り、貿易・サービスの自由化における多面的な社会・経済リスクと機会を議題として取り上げるため、その道筋を活用する必要がある。このような希望を抱いて、アジア太平洋地域の貿易の正義のための労組ネットワーク(Unions for Trade Justice Network)のメンバーとして、当地域の他の労組と共に、UNIは、我々の要求に注意を払うよう、現在、オーストラリアで行われているRCEP交渉参加国政府に要請する。

共同声明 


UGTとグーグル、スペインで労働者へのデジタルスキル訓練に関して協力

グーグルは、デジタル変革に向けた主なツールやテーマを取り上げ、専門家向けのデジタルスキルに特化した無料のオープンオンラインコース(MOOC)を開発する。

グーグルは(無料で)UGT(スペイン労働総同盟)の200人の組合に訓練を行い、彼らはその後、同様に他の労働者を訓練する。UGTは労働者のエンプロイアビリティ(雇用可能性)を高めるための労働者向けのデジタル訓練ツールとして、この協定を促進する。ペペ・アルバレスUGT書記長とスペイン・ポルトガルのグーグル最高責任者、フエンシスラ・クレマレス氏は、労働者へのデジタルスキル訓練に関して協力することを公約する協定に署名した。

オリバー・レティクUNI欧州地域書記長は、「UGTはサービス産業の組合がいかに、使用者と共に、デジタルスキルアップの課題に取組むことができるか、素晴らしい模範を示した。うまくスキルアップにつなげるには、労使の緊密な協力が必要だ」と述べた。

合意事項として、グーグルが無料のオープンオンラインコース「専門職のためのデジタル能力」を開発することとされている。デジタルツールがいかに日々の仕事に役立つかを学びたい労働者のために特別につくられる、40時間のコースだ。

次に、グーグルは200人のUGT組合員を訓練する。訓練を受けた者はその後、異なる産業も含め他の組合員や労働者に、この新しい知識を伝授していく。こうすることで、UGTはネズミ算式に多くの人々に接触することができるという、野心的なプログラムだ。

コースの内容は以下の7本柱に重点を置いている。

  • テクノロジー及びオペレーションシステムの基本的な活用
  • 情報の扱い(検索エンジン、情報の真偽の見極め)
  • ソーシャルプラットフォームの活用
  • コンテンツ作成(文書の保管、画像編集、コンテンツ使用権)
  • データのセキュリティ及びプライバシー、顧客及び従業員にとって安全なインターネット環境づくり)
  • トラブル解決
  • 社会的力量(問題及び解決策の見極め)

デジタル化は我々の職場に大きな影響を及ぼすだろう。今後10~15年のうちに、世界で2100万の新たな仕事が創出され、その90%は何らかのデジタルスキルを必要とすると予測される。

グーグルとのこの協力協定を通じて、UGTは、デジタル化の課題に直面する労働者のエンプロイアビリティを高めるための基本ツールとして、訓練へのコミットメントを強化していく。

 

 


UNIデジタル組織化フォーラム

201952728日、ベルギー・アントワープで、第2UNIデジタル組織化フォーラムが開催され、30か国120人を超える組合役員・活動家が、労働者の力を構築する上でのデジタルツールの活用経験及びテクニックを共有した。

冒頭、クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「いかに労働者に組合活動に積極的に参加してもらい、動員するか、この課題を克服するために皆さんはここにいる」と述べ、「今すぐ取り掛からなければならない。この機会を逃してはならない。働く仲間が公正な配分を得られるよう、Facebookやツイッターだけでなく、あらゆるツールを活用する、という意味だ」と参加者を鼓舞した。

欧州、オーストラリア、米州、アフリカから集まった参加者は、広範な問題を議論し、いくつかの解決策を導き出した。パネリストからは、うまくいった戦術や方法論、失敗から学んだ教訓等が示された。例えば、米国の全国家庭内労働者同盟から、不安定雇用労働者に便宜を図るためのアプリについて聞いた。また、AIを活用して、組合員の質問に答え、キャンペーンに参加してもらう事例や、労働運動がインターネット上での認知度を高める取組み等について学んだ。その中で、共通テーマは試行錯誤の必要性だった。AIチャットボットを構築するとか、組合員をワッツアップでつなぐにしても、うまくいったことは拡大し、うまくいかないことは修正する。

「デジタルツールは息をしている生き物で、投資が必要だ」と米国サービス労組のメーガン・スウィーニーは言う。巨額なコストをかけずに利用できるツールはあるが、成功するための明確な目標とベンチマークを定め、熟考した上で展開しなければならない。

オーストラリア、ユナイテッドボイスの、メル・ガトフィールドは、「オンライン上の組織化にも、従来の方法と同じ基本がある」とした上で、「しかし、オンラインの手法を使えば、大勢いる会議では発言しなかったかもしれない、または組合事務所から遠く離れた所に住む、新しいリーダーを見つけることができる」と利点を強調した。

このように、組合の及ぶ範囲を拡大することができれば、組合強化に極めて有効である。

「知恵を結集し、経験を共有することは、労働運動のカギとなる」とオリバー・レティクUNI欧州地域書記長は述べ、「デジタルツールは、我々の組織化に役立つだけでなく、産別レベルでの団体交渉力の強化にもつながる」と期待した。

 


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