団体交渉を通じてデジタル化の恩恵を公平に

デジタル化の影響は今後も大きくなるだろう。2019年11月4日、UNIは世界執行委員会に先立ち、デジタル化の危険性を軽減し、明るい見通しを最大化するための優良事例を共有するフォーラムを開催した。

参加者の多くがフォーラム開催のタイムリーさを評価し、変化する労働の世界において労働者の権利を確保することは国際労働運動にとって急務の課題であると認識した。デジタル化に関わる問題、例えばダウンサイジング、スキルアップ、自動化等は、多くの組合の交渉において重点事項となっており、フォーラムからは、組合は課題に備えなければならないという強いメッセージが打ち出された。

「デジタル化への移行の過程で、誰一人取り残されてはならない。団体交渉こそ、デジタル化された職場で働く全ての労働者に正義と平等を確保するために、適切な手段だ」とアルケ・ベシガーUNI副書記長は強調した。

英国ユナイト・ザ・ユニオンからは、デジタル化時代の組織化及び団体交渉を強化するため、組合のあらゆるレベルで実施している訓練や準備について聞いた。南アフリカSASBOは、自動化によって金融産業の組合員が置き換えられるなど影響を受けている中、組合の力を高めるための革新的な戦略について語った。

ノルウェーHKは、使用者が設備を自動化した後、倉庫で働く労働者の仕事を維持または改善することができた経験を共有した。「デジタル化の交渉には強力な組合が必要だ。既存の団体協約では解決できるとは限らないので、組織化し備えなければならない」と強調した。

テレサ・カセルターノUNI世界ICTS部会担当局長は、つながらない権利に関する革新的な取組みを紹介し、フランスFOは、つながらない権利が国レベルでどのように組合によって活用されているかの事例を報告した。

アンディ・カーUNI世界ICTS部会議長(英国CWU)は、UNI欧州地域が策定している人工知能に対する労組のアプローチについて説明した。

米国CWAは、AIによるコールセンター労働者の監視の現状と、組合が労働者のデータをもっと管理できるよう交渉に成功したことを報告した。「この問題に関して、組合があれば変化を起こせることが示された。例えば、英国のサンタンデール銀行のコールセンター労働者は、まだ組合の無い米国のサンタンデール銀行で実施されているような過度な監視の下には置かれていない」とカー議長は語る。

クリスティーナ・コルクロフUNIプラットフォーム・派遣・デジタル化担当部長は、画期的なUNIプロジェクト「スポットライト」について説明した。労働者が自身の労働条件に関する詳細なデータを保存し、データのコントロール権を持てるようにするものだ。

マット・ロブUNI世界メディア部会議長は、組合員は伝統的な雇用形態、いわゆる「典型」労働者には分類されないが、彼の組合IATSEが演劇・テレビ制作労働者のために行っている取組みについて報告した。「労働者や組合が互いに競争し合わなくて済むように、産業を超えて、全国、地域、国際的な基準を設定しなければならない」とロブ議長は訴えた。

フォーラムのまとめとして、クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「デジタル化は将来の課題ではなく、現在の課題だ。デジタル化によって企業はますます豊かになり、格差が拡大している1つの理由にもなっている。労働者は公平な配分を受けていない。公正なデジタル化への移行に向けて交渉するため、今日、共有された事例から多くを学ぶことができるだろう。交渉テーブルで解決できないことは、ルールを変えることによって解決していく」と述べた。