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スポーツの人権団体、虐待の被害に関する新たな報告書

2023年5月中旬、スポーツの人権団体「スポーツ・アンド・ライツ・アライアンス(SRA)」は、25名以上の虐待被害を受けたアスリートと被害者組織の代表者を対象としたフォーカスグループ調査とインタビュー等をまとめた報告書を発表した。 SRAは 、経験共有や学びの促進、より強力な提言を行う国際ネットワークの幅広い必要性が明らかになったとしており、調査結果に基づき、まもなく「アスリート被害者の世界ネットワーク」を立ち上げる予定である。

アンドレア・フローレンスSRA事務局長は、「今回の取組みは、アルゼンチン、ブラジル、米国、その他の国々における警察暴力に反対する母たちの運動に触発されたもの」と語り、「世界レベルのつながり、代表性、アドボカシー、支援を促進するため、被害者主導のネットワークを構築する機会を探っていたが、被害者の答えは「イエス」であった。我々はこのニーズを満たす後押しができることを、嬉しく思う」と述べた。

調査では、多様な層から視点を集めるため、交差的かつ横断的なアプローチが取られ、アフガニスタン、アルゼンチン、ブラジル、イラン、ケニア、マリ、南アフリカオーストラリア、カナダ、フランス、アイルランド、英国、米国から25名が参加した。

本調査を主導した元オリンピック選手で自身も虐待被害者であるヨアナ・マラニョン氏は、「我々が望む変化を得るためには、生きた経験を持つアスリートの声から始める必要がある」と述べ、「これまで黒人、先住民、有色人種はこうした議論から排除されてきた。あらゆる取組みの確固たる証拠基盤を確立できるよう、グローバルサウスのできるだけ多くの人々から話を聞き、周縁から始めることが重要だ」と強調した。

プロジェクトでは、被害者と関わる上で再トラウマ化や苦痛が生じるリスク等を認識し、トラウマに配慮した原則と「害を与えない」ケアの倫理を用い、すべての参加者の安全、ウェルビーイング、自律性が優先された。プロジェクトの進行を管理した、パラリンピック選手かつ研究者でもあるステファニー・ディクソン氏は、「我々のアプローチでは、参加者が認められ、肯定され、耳を傾けられるような空間を作ることを目指した」と述べ、「参加者の安心感や肯定感に配慮することは、チェックリストにあった事項ではなく、参加者の合意や継続的な傾聴、学習、成長へのコミットメントを通じて醸成・促進された」と振り返る。参加のレベルや参加方法には選択肢があり、不快感を伝えたり、苦痛を伴う話題から会話を遠ざけるよう、進行役に依頼したりすることも可能だ。

プロジェクトのコミュニケーションと被害者支援のコーディネーターであるレイチェル・コージー氏は、「最も驚いたことの1つは、被害者が、補償やサポートが提供されないまま、相談やインタビュー、スポーツにおける虐待の話について講演を求められることが、いかに多いかということ」と述べ、「スポーツにおいて彼らがすでに経験した被害を考えると、無償の労働を期待するこうした慣行と、それに伴ってしばしば生じるさらなる被害は、本当に衝撃的であり、終止符を打たなければならない」と強調した。

2022年5月から11月にかけて実施された調査を通じ、被害者であるアスリートの3つのニーズ(回復、声、正義)に焦点を当てた国際的な連帯ネットワークの必要性について、強いコンセンサスが得られた。

マラニョン氏は、「取り組まなければならないことが多くあるが、被害者がピアツーピアのサポート、研修、緊急資金を得ることができる場所、そしてアドボカシー、研究、代表活動を行うための基点となる場所を作りたい」と述べ、「その目的は、被害者による被害者のためのネットワークを構築することであり、すべての段階において被害者の利益を最優先することだ」と訴えた。

ブレンダン・シュワブ世界選手会担当局長は、「競技者の組合は、被害者に連帯し、虐待をめぐる組織化、安全な職場環境の交渉、被害者のニーズ充足に向けて尽力する。特に組織化する権利が尊重されていない国々において、この取組みは重要だ」とし、「世界選手会はこの新たなプロジェクトを全面的に支援しており、我々は制度改革に向けて被害者の声と要求を増幅させていく」と語った。

報告書の全文は、こちらから(UNIウェブサイト内、英文)


UNI、世界選手会、ITUC、アムネスティ・インターナショナル等の組織が、スポーツ・アンド・ライツ・アライアンス(SRA)のパートナーとなっている。SRAは、主要なNGOや労働組合の世界的な連合体として、スポーツ団体、政府、その他の関係者が、人権、労働権、子どもの福祉と保護、腐敗防止に関する国際基準を保護、尊重、実現するスポーツ界を実現するため、連携している。


FIFAワールドカップ・カタール2022:労働組合の権利なくしてレガシーなし

ルワンダで開催されるFIFA総会を前に、UNIは他7つのグローバル・ユニオン(GUFs)とともに、FIFAとカタール政府に対し、湾岸諸国の労働者への広範な権利侵害を終わらせるべきとのメッセージを送っている。

労働組合によると、2022年のワールドカップが近づく中で、「労働法改正の実施に関する進展が鈍化し、使用者の間で無法状態が拡大し、GUFsや移民労働者との協力に関する対話が突然中止された」という。さらに、ワールドカップによってもたらされた世間の注目を浴びることなく、監視や取締りが弱まったため、悪質な使用者がワールドカップ前に導入された新たな保護措置を踏みにじっているのだ。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「ワールドカップが終わっても、世界の労働運動はカタールの移民労働者に背を向けることはないということを。カタールに理解してもらうことが重要だ。結社の自由と団体交渉の基本的な権利に対する取組みは、ずっと遅れており、ワールドカップに向けた『改革』へのステップは、空虚な宣伝活動以上のものにならなければならない」と述べ、「FIFAは、人権に関する約束についても責任を負わなければならない」と釘を刺した。

UNIは、国際建設林業労連(BWI)、教育インターナショナル(EI)、インダストリオール、国際ジャーナリスト連盟(IFJ)、国際食品関連産業労連(IUF)、国際公務労連N(PSI)、国際芸術・エンターテインメント連盟(IAEA)とともに、声明に署名した(英文はこちらからダウンロード可能)。


女子プロサッカー選手、妊娠中の賃金で画期的な勝利

2023年1月中旬、アイスランド出身のサラ・ビョーク・グンナルスドッティル選手が、妊娠中の賃金が全額支払われなかったとして、所属していたフランスのオリンピック・リヨンと争っていた裁判で、画期的な勝訴を獲得した。

この判決により、リヨンでチャンピオンズリーグを2度制した同選手は、FIFROからの圧力により導入されたFIFAの出産規定を通じ、クラブに賠償請求を行った初の選手となった。判決は、リヨンに対して82,000ユーロ以上の未払い賃金の支払いを求めている。

2021年1月以降、FIFAの出産に関する規定では、女性選手は妊娠してから産休(最低でも14週間、給与の三分の2をが支払われる)開始まで賃金の全額を受け取る権利がある。しかし、グンナルスドッティル選手がリヨンに在籍中、クラブは同選手が産休に入る前の賃金を支払っていなかった。

32歳のグンナルスドッティル選手は、判決が下った後、スポーツメディアの『プレイヤーズ・トリビューン』に「これは 『単なるビジネス』ではない」と記した。

「これは、労働者として、女性として、人間としての私の権利の問題」と語る、今はイタリア強豪ユベントスでプレーするミッドフィルダーは、「この勝利は自分のことよりも大きなもの。現役中に子どもを持ちたいと願うすべての選手にとって、経済的な保証になるということ。多分とか、不確かなものではない」と語り、FIFPROがクラブに適切な対応をとらせるために素早く介入してくれたことについても触れた。

ヨナス・バエル・ホフマン国際プロサッカー選手協会連盟(FIFPRO)事務局長は、「これは、サラ・ビョーク・グンナルスドッティル選手とその家族だけの問題でなく、世界中のサッカー選手にとっての勝利。選手が個人として、また集団として、変化を起こしたことを示す歴史的な好例となった」と祝した。

世界中の選手協会のリーダーが、母親である選手や母親になることを望む選手への支援を強化する必要性を、女性スポーツの成長にむけた重要な課題であり機会の一つであるとして、強調している。UNI世界選手会は、グンナルスドッティル選手を祝福する声明の中で、「効果的なプロトコルの導入と選手の取組みがあれば、万人のためにスポーツを発展させることができるのだということが示された。競技者は人間第一であり、産休は差別を防ぎ、女性の働く権利を守るために絶対に必要なもの」 と指摘している。


UNI世界選手会声明:ロシアのウクライナ侵攻に対する世界のスポーツ界の対応について

2022年2月28日、スイス・ニヨン

UNI世界選手会は、ウクライナの国民や選手、各選手会、市民社会、平和を求める世界中の人々と連帯し、ロシアのウクライナ侵攻を明確に非難する。ロシアの行動は、主権国家に対する攻撃であるのみならず、人権、民主主義、法の支配を含む国際社会の基本的価値に対する攻撃でもある。

世界のスポーツ界は、あまりにも長きにわたり、人権と国際的な行動規範を平然と損なうロシアの「スポーツウォッシング」を容認してきた。世界のスポーツ界は今、その大きな影響力を行使し、各国政府や世界の関係機関とともに、制裁を含め可能な限り強力な対応を取らなければならない。世界のスポーツ界が効果のない対応をとれば、世界的な取組みの有効性や連帯が損なわれる恐れがある。

ロシアがオリンピック休戦協定に繰り返し違反している状況を鑑み、特に国際オリンピック委員会(IOC)および国際パラリンピック委員会(IPC)は、即刻、以下の項を実施しなければならない。

・国際的なスポーツ競技会におけるロシアの即時出場停止(特にロシアオリンピック・パラリンピック委員会)。この侵略戦争が終わるまで、遺憾ながら、ロシアのナショナルチームおよび選手を国際的なトーナメントやイベントから排除せざるを得ない。
・ロシアが主催するイベントの即時中止、即時停止。
・制裁の対象となったロシア人、またはそれに近い人物が、国際スポーツ連盟の理事会において指導的地位に就くことを禁じる。

さらに我々は、各スポーツ競技団体に対し、ビジネスの取引関係を見直し、制裁対象となった企業やロシア国家の指導部とつながりのある個人との関係を断つことを求める。

こうした措置は、これ以上スポーツに対する評価が悪者によって損なわれぬよう、世界のスポーツ界のあらゆる関係者が深く熟考し、真摯に責任を果たし、求められている体系的な変化をもたらすものでなければならない。

世界の選手会運動は長年、世界の競技団体が人権に関する拘束力ある取組みを行い、人権デューデリジェンスを引き受け、競技者や影響を受ける人々と有意義に関わり、人権に関わる被害を特定し緩和することを提唱してきたが、これらは、遅すぎた変革への道筋に向けて不可欠な改革だ。

我々は、この恐ろしい戦争を終わらせるためのあらゆる取組みを支援、後押しし、結束し続ける。

UNI世界選手会は、プロスポーツ選手や競技者を組織し、意見を代弁する唯一の国際組織で、60か国以上、100を超える選手会の85,000人もの選手が結集している。その役割は、組織化された選手の意見が、国際スポーツの意思決定機関の最高レベルに届くようにすることである。


世界選手会、グローバルスポーツの司法制度改革に向けた戦略を発表

2022年1月18日、グローバルスポーツの悪名高い司法制度を改革する包括的な構想として、世界選手会は「効果的な救済措置の確保 ―司法を求める競技者の戦略的道筋」を発表した。グローバルスポーツが長年にわたって被害や不正を防ぎ対処してこられなかった事実に焦点を当てつつ、最終的に被害者が意義ある効果的な救済を受けられるようにすることを目的としている。

世界選手会による戦略は、スポーツと人権の両立に向けた権威ある基準である国連ビジネスと人権に関する指導原則(UNGPs)に基づくものであり、スポーツが正義を確保・実現するために不可欠な6つの改革の道筋を示すものである。

  1. 人々を第一に考える。
  2. スポーツ団体は人権尊重を根付かせなければならず、国家はスポーツにおける人権保護の義務を守らなければならない。
  3. 修復的司法のための革新的な道筋を創り出す。
  4. 法に基づく新しいスポーツと人権の苦情処理メカニズムを構築する。
  5. スポーツ仲裁裁判所など既存の機構を改革する。
  6. スポーツによって、またはスポーツの名の下に被害を受けた人々のため、継続的な集団行動や戦略的な訴訟等を通じ、積極的に正義を追求する。

これまで、独立した専門家や国連機関から広範な提言や勧告がなされてきたにもかかわらず、国際オリンピック委員会、スポーツ仲裁国際理事会、世界アンチ・ドーピング機構など、スポーツに関わる国際機関の多くは、依然、変化に対して頑なに抵抗を示している。スポーツの倫理基盤強化を目指す団体PlaytheGameが、独立した競技者団体に対して行った最近の調査では、スポーツ仲裁裁判所に対する競技者の信頼および信用は、極めて厳しい状況であることが示された。

今回発表された戦略は、虐待や差別、迫害、発言権や経済的権利の否定など、構造的かつ予防可能な被害に遭った競技者を含む多くの人々の実体験に基づくものである。スポーツの規範および利益が、国際的に認められた人権よりも優先されることは、あまりにも一般的である。勇気と信念を持った被害者、活動家、組合員の取組みによって初めて明らかにされた被害の事実は、グローバルスポーツの社会的立場に疑問を投げかけている。

ブレンダン・シュワブ世界選手会担当局長は、「この戦略は、選手会が競技者の司法アクセスを確保すべく取組んできた長い実績と、UNIが国際的なビジネスと人権の分野において標準となるような協定『バングラデシュ・アコード』を構築した経験から形作られたものだ。こうした実績は、何が可能であるかを示しており、グローバルスポーツが正義を実現し、人々の信頼と信用を回復する上で、まさに必要なものだ」と語った。

UNI世界選手会副議長を務めるヨナス・バエル・ホフマンFIFPro事務局長は、「人々を中心としたアプローチの実現に向けて、最終的にグローバルスポーツは、競技者をはじめスポーツの実現を可能にしている多くの人々を、ビジネスの中心に据えていかなければならない。つまり、人権侵害被害者の司法および救済措置の利用に関する周知の欠陥に対し、早急に対処するということだ。人々を保護し、プロスポーツの興行許可を守るため、我々はすべての関係者と協力し、これが実現されるよう尽力している」と訴えた。

UNI世界選手会は、プロスポーツ選手や競技者を組織し、意見を代弁する唯一の国際組織で、60か国以上、100を超える選手会の85,000人もの選手が結集している。その役割は、組織化された選手の意見が、国際スポーツの意思決定機関の最高レベルに届くようにすることである。


世界の労働組合運動、「世界人権デー」にフィリピンと連帯

12月10日の世界人権デーに、グローバルユニオン評議会(CGU)のメンバー組織として、UNIは世界中の労働組合と共に、フィリピンの組合活動家に対する暴力の終結を要求する。世界の労働組合運動は3年連続して、人権デーの取組みをアジアの国における虐待に焦点を当てることとなった。

CGU副議長を務めるクリスティ・ホフマンUNI書記長は、「我々はフィリピンの人々に連帯し、労働者の権利侵害、労働組合員に対する暴力、人権擁護者に対する攻撃と闘っていく」と語り、「現地の労働組合運動は、脅迫、暗殺、抑圧に直面しながらも、正義のために闘っている。我々は彼らと共に、ドゥテルテ政権がこうした暴力行為に対する免責をやめ、ILOなどの国際機関に協力することを要求する。これは世界中が注目している問題だ」と語気を強めた。

2016年のロドリゴ・ドゥテルテ大統領の就任以来、労働組合員に対する少なくとも50件の超法規的殺人が発生している。今年9月にILOが行った調査は、フィリピン政府は組合指導者への攻撃を止めるための具体的な措置を何ら取っていないと指摘している。

2020年に発効した「反テロ法」の下、フィリピンにおける結社の自由の権利に対する弾圧は悪化した。ドゥテルテ大統領が主導する「地方共産党の武力紛争を終わらせるための全国タスクフォース(NTF-ELCAC)」は、しばしば合法的な労働者組織を摘発している。

特に悪質なのは、平和的に労働者の権利を主張する活動家を、国家の敵である共産主義者と決めつけてレッドタギングを行う過激派組織の行為だ。反テロ法に基づいてレッドタギングされると、市民社会の指導者たちは、根拠も罪状もなく拘束され、監視され、銀行口座やその他の資産が凍結される危険がある。

CGUフィリピンの報告では、少なくとも17人の労働組合指導者が、労働組合活動を主導したという理由で治安維持部隊や警察からレッドタギングを受け、16人が捏造された罪で犯罪者となり、12人の労働組合員が隔離拘禁されたままになっている。

12月10日、CGUフィリピンはマニラで抗議集会を開催し、政府に以下の項目を要求する。

―フィリピンに関するILOバーチャル意見交換報告書の結論を実施するための期限付きロードマップについて、労働組合と直ちに協議すること。

―フィリピンへのILOハイレベル三者構成ミッションを遅滞なく受け入れること。

―労働組合員に対する超法規的殺人についての調査を迅速化し、免責をなくすこと。

―労働組合員とその合法的な活動に対するレッドタギングの廃止について、具体的な政策と実践をもって取組むこと。

シャラン・バローITUC書記長は、「フィリピン政府は、市民を守ることなく、基本的人権や労働組合の権利を侵害し、組合活動家を殺害しても処罰することなくこれを容認してきた」と厳しく非難するとともに、「まず第一歩として、期限付きの行動計画について組合と協議し、2019年のILO基準適用委員会の結論を実施するために、ILOハイレベル三者ミッションを遅滞なく受け入れなければならない。しかし最終的には、我々が望むのは、この政権が変わることであり、民主的な権利と自由のために立ち上がる政府だ」と語った。

ITUCとCGUは、フィリピンの人権を守るため、世界中の労働者を動員している。


ミャンマーの民主化のために闘う労働者に「恐怖からの解放賞」

ミャンマー労働アライアンス及び労働者、UNI「恐怖からの解放賞」を受賞

UNIは、自らの自由と命を危険に晒しながらもミャンマーに民主主義を取り戻すために闘っている、ミャンマーの労働者とミャンマー労働アライアンスの並外れた勇気を称え、ミャンマー労働アライアンス及び労働者に「UNI恐怖からの解放賞」を贈った。

2021年2月1日にミャンマーで軍事クーデターが発生した。激怒した労働組合と市民社会組織は、アウンサンスーチー氏を中心とする民主的な選挙で選ばれた政権の回復を求め、市民の不服従運動を立ち上げた。

数千人もの公務員が政府の仕事を辞め、鉄道労働者が列車を止め、民間部門の労働者は全国ストを打った。ミャンマー銀行労組(MBU)やミャンマー銀行労連(BWTUFM)の組合員6000人もこれに加わった。

「UNI恐怖からの解放賞」の受賞に際し、ミャンマー労働アライアンスとミャンマーの労働者を代表して、ミャンマー労働組合総連合(CTUM)のサンダ・ソー副書記長は次のように述べた。

「この残忍な軍事政権との闘いは容易ではなく、非常に厳しい。危険を冒さなければならないことはわかっている。逮捕され、拷問され、投獄され、殺される。だが、他に選択肢がない。人々の力を取り戻すため闘わなければならない。兄弟姉妹の皆さん、皆さんからの連帯支援に支えられ、我々は勝利するまで闘い続ける。軍事独裁政権は撤退すべきだ。我々の革命が勝利しなければならない!」

1000人以上が殺害され、組合員を含む数千人の活動家が投獄され、60人以上が死刑を宣告されている。

UNIは、世界の労働運動と共に軍事クーデターを非難し、軍部が民主的秩序を回復し、全ての政治犯を釈放するよう要求している。

UNI世界運営委員会は、ミャンマーにおける権利と民主主義回復の闘いを支えるため、できる限りのことを行うとする声明を発表した。また、多国籍銀行に対しては、軍事政権と関わりのある企業から直ちに投資撤退するよう書面で要請し、9月15日の「ミャンマーのための世界行動デー」においても、この要請をあらためて強調した。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「ミャンマーの民主的選挙からちょうど1年となる今週、この賞を贈ることは意義深い。だがその政権は、暴力によって覆されてしまった。我々は、ミャンマーの労働者が、ミャンマー労働アライアンスと共に、民主主義を不屈の精神で粘り強く追求してきた勇気と決意を称えたい。ミャンマーの人々の勇気ある行動は、世界の労働運動、更には世界中を奮い立たせ、支持を集めている。我々は連帯し、民主主義が回復するまで支援の手を止めることはない」と力を込めた。

「UNI恐怖からの解放賞」は毎年、危険を冒しながらも組合の組織化や労働者の権利を促進し、恐怖のない世界の実現に貢献した個人や団体に贈られる。


UNI Aproファミリー、松浦新会長の就任を歓迎

2021年11月5日にオンライン開催された第29回UNI Apro執行委員会は、松浦昭彦UAゼンセン会長を、新たな会長に選出した。2015年から地域会長を務めた野田情報労連前委員長を引き継ぎ、UNI Aproを率いていくこととなる。

委員からは祝福の言葉が相次いで述べられた。ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長も、「松浦会長はこれまでも副会長を務め、UNI Aproの状況をよくご存知なので、非常に心強い。豊富なご経験と知見でUNI Aproを強化し、次のステージに導いてくださるだろう」と期待を寄せた。

松浦会長は就任挨拶の中で次のように述べた。「コロナ危機の中で、アジア太平洋各国の組合は政府や経営者と交渉し、労働者保護のための協約や制度を勝ち取り、重要な役割を果たしてきた。我々の取組みによって、“やはり組合は必要なのだ”と認識された。我々はより多くの労働者を組織化し、組織を強化することによって影響力を発揮し、労働者を保護するための取組みを更に進めなければならない。アジアはグローバル化の中で経済的に急速に成長してきた地域だが、その一方で、ミャンマーにおけるクーデター、香港の民主派活動家への抑圧、フィリピンの反テロ法等、深刻な民主主義への攻撃が起こっている。アジアの多くの国では労働組合権が十分に認められておらず、サプライチェーンの底辺で不安定な雇用と劣悪な労働条件下で働く人も多い。その他にも、AIやロボット等の新技術の進展、気候変動といった我々の労働の未来に大きな変化をもたらすであろう多くの課題がある。そのような状況で、UNI Apro会長という大役を担うことの重責を感じている。今後、地域会長として、ラジェンドラ地域書記長をしっかりと支え、この地域のUNI加盟組合の皆さんと共に、全ての労働者の権利保護、安全、労働条件向上のため精一杯取組む所存だ。」

野田会長は、次のように退任の挨拶を行った。「6年前にクアラルンプールのUNI Apro地域大会で会長に選出されてから、多くの国を訪問し状況の理解に努め、リーダーの皆さんと人間関係を築いてきた。この2年はコロナ禍で皆さんに会うことができず残念かつ心残りだ。UNI Aproには、UNI Aproらしい良さがある。松浦新会長のリーダーシップの下、UNI Aproの益々の発展を祈っている。」

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「UNI本部及びUNI Aproにおける書記長交代という重要な移行期をずっと支えてくださり、大変感謝している。野田会長はUNI Aproだけでなく、ICTS部会の偉大なリーダーとしても、思慮深く、献身的かつ現実的に部会を主導してくださった。お忙しい中でもUNIの取組みに大変なエネルギーを注いでくださったことに、UNIを代表して“ありがとう!”と申し上げたい」と、野田会長に感謝の意を表した。

アチャリャUNI Apro地域書記長も、「事務局を代表し、野田会長の力強いサポートに心から感謝する。退任されても、UNI Aproの発展にお力添えをいただきたい」と述べた。

また、並木自動車総連事務局長及び石川JP労組委員長はUNI Apro副会長に、安藤情報労連委員長はUNI世界副会長にそれぞれ確認された。須齋損保労連事務局次長はUNI Apro女性委員会副議長として運営委員会メンバーに確認された。

新たな役員体制の下、UNI Aproファミリーは、コロナ危機を克服し、前進していくことを確信した。


「安全衛生は職場の基本!」ディーセントワーク世界行動デー2021に際し、UNI Aproよりメッセージ

2021年10月7日の「ディーセントワーク世界行動デー」にあたり、UNIは世界に向けて「今こそ、全ての人々を守るため、交渉と規制を通じて、新しい安全基準を設定する時だ」と発信した。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、 「コロナ禍をきっかけに、世界中で労働安全衛生の問題が注目されるようになった。労働者の権利についての議論では中心課題となり、勤務中の、以前からある、或いは新たに発生した様々な危険から労働者を守るために欠かせない、労働組合が果たしている重要な役割が浮き彫りにされた」と述べた。

「職場の安全衛生は基本的な権利であることを認識しなければならない。」

UNIは、「ILOが職場の安全衛生は基本的な権利であると認定するよう、全ての組合に働きかけを要請するキャンペーン」を展開しており、UNI Aproはこれを強く支持する。

ILOは政労使から成る三者構成機関であり、労働組合は使用者及び政府に対し、労働安全衛生を最高レベルの国際労働基準に格上げするよう要求している。基本的権利とは、全ての国及び労働者に適用される権利である。 

2019年に政労使代表により満場一致で採択された、ILO創設100周年記念宣言では、全ての労働者にとって労働安全衛生が重要であることが認識されている。

その後、職場におけるテクノロジーの拡大使用によって発生したリスクに、コロナ禍中の危険が重なり、職場の安全衛生を基本的権利とする必要性の緊急度が高まると同時に、労働組合はその権利を徹底し行使する上で不可欠であることが示された。

「余りに多くの労働者が仕事中に感染し亡くなった。ILOレベルでのアクションがあれば、現場レベルで安全な職場を促進する組合の役割も果たしやすくなるだろう」と、ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長は述べた。

「新型コロナウィルスは、働く人々の健康を脅かす多くの新しい問題の1つに過ぎないが、加盟組織は全ての労働者にとって職場を安全に保つことができると確信している。」

UNI Aproは、加盟組織の各職場での取組みを強く支持します!


UNI Apro、ミャンマー国民統一政府の国連総会での承認を求める共同決議に参画

2021年8月30日に開催された、労働組合、国会議員、ミャンマー国民統一政府(NUG)によるASEAN+6地域社会対話(ARSD)で、ディーセントワークの推進に向けて同国の民主主義の回復を求める決議が採択された。

決議では、9月14日から開催される第75回国連総会において、NUGをミャンマーの正当な代表として承認することを国連に要請する等、重要な勧告がなされた。

今回の社会対話は、NUGと軍事政権のどちらの代表が国連総会に出席できるかを決定する国連総会の信任状委員会の審議に先立ち、特別に開催されたものだ。

ミャンマー国民は、民主的に選出された亡命中の立法機関が4月16日に設立したNUGを、国際社会が承認することを求めている。協議の中で重点的に検討されたのは、そうしたミャンマーの人々の声を後押しする方法である。NUGには、国民民主連盟(NLD)、すべての少数民族グループ、様々な政党、労働組合、青年・女性組織の代表者が参加している。

UNI Aproは、志を同じくするグローバルユニオンのアジア太平洋地域組織、ASEANサービス従事者労働組合評議会(ASETUC)とともに、国際労働組合総連合アジア太平洋地域組織(ITUC-AP)、ASEAN労働組合協議会(ATUC)、ASEAN人権議員連盟(APHR)、ミャンマー労働組合総連盟(CTUM)の協力を得て、NUGの承認を求める広範な活動の一環として、今回の社会対話を開催することとなった。

ASETUC書記長でベテラン組合活動家のモハマド・シャフィー・BP・ママルUNIマレーシア加盟協議会(UNI-MLC)議長が労働組合を代表して歓迎の言葉を述べ、ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長は、パネルセッション「ミャンマーでビジネスを行うということ」の中で司会を務めた。

シャフィーUNI MLC議長は、「今回の社会対話が、ミャンマーの友人たちを勇気づけ、国際社会がNUGを正当な代表として認めることを望むミャンマーの人々に、希望を与えるものとなることを心から願う」と述べた。

ARSDは、ASEANで毎年開催されている三者社会対話であり、様々な問題に対する社会パートナーの対応を集約し、人々を中心としたASEANの構築に向けてディーセントワークのアジェンダを推進している。今回、参加国を拡大して特別版として開催されたARSDには、ASEANの主要な経済パートナーである5か国(日本、韓国、インド、オーストラリア、ニュージーランド)も加わった。

国連総会前日の9月13日、グローバルユニオン評議会(CGU)は、政府間組織にNUGを承認するよう求める世界行動デーを実施する予定。


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