世界選手会、グローバルスポーツの司法制度改革に向けた戦略を発表

2022年1月18日、グローバルスポーツの悪名高い司法制度を改革する包括的な構想として、世界選手会は「効果的な救済措置の確保 ―司法を求める競技者の戦略的道筋」を発表した。グローバルスポーツが長年にわたって被害や不正を防ぎ対処してこられなかった事実に焦点を当てつつ、最終的に被害者が意義ある効果的な救済を受けられるようにすることを目的としている。

世界選手会による戦略は、スポーツと人権の両立に向けた権威ある基準である国連ビジネスと人権に関する指導原則(UNGPs)に基づくものであり、スポーツが正義を確保・実現するために不可欠な6つの改革の道筋を示すものである。

  1. 人々を第一に考える。
  2. スポーツ団体は人権尊重を根付かせなければならず、国家はスポーツにおける人権保護の義務を守らなければならない。
  3. 修復的司法のための革新的な道筋を創り出す。
  4. 法に基づく新しいスポーツと人権の苦情処理メカニズムを構築する。
  5. スポーツ仲裁裁判所など既存の機構を改革する。
  6. スポーツによって、またはスポーツの名の下に被害を受けた人々のため、継続的な集団行動や戦略的な訴訟等を通じ、積極的に正義を追求する。

これまで、独立した専門家や国連機関から広範な提言や勧告がなされてきたにもかかわらず、国際オリンピック委員会、スポーツ仲裁国際理事会、世界アンチ・ドーピング機構など、スポーツに関わる国際機関の多くは、依然、変化に対して頑なに抵抗を示している。スポーツの倫理基盤強化を目指す団体PlaytheGameが、独立した競技者団体に対して行った最近の調査では、スポーツ仲裁裁判所に対する競技者の信頼および信用は、極めて厳しい状況であることが示された。

今回発表された戦略は、虐待や差別、迫害、発言権や経済的権利の否定など、構造的かつ予防可能な被害に遭った競技者を含む多くの人々の実体験に基づくものである。スポーツの規範および利益が、国際的に認められた人権よりも優先されることは、あまりにも一般的である。勇気と信念を持った被害者、活動家、組合員の取組みによって初めて明らかにされた被害の事実は、グローバルスポーツの社会的立場に疑問を投げかけている。

ブレンダン・シュワブ世界選手会担当局長は、「この戦略は、選手会が競技者の司法アクセスを確保すべく取組んできた長い実績と、UNIが国際的なビジネスと人権の分野において標準となるような協定『バングラデシュ・アコード』を構築した経験から形作られたものだ。こうした実績は、何が可能であるかを示しており、グローバルスポーツが正義を実現し、人々の信頼と信用を回復する上で、まさに必要なものだ」と語った。

UNI世界選手会副議長を務めるヨナス・バエル・ホフマンFIFPro事務局長は、「人々を中心としたアプローチの実現に向けて、最終的にグローバルスポーツは、競技者をはじめスポーツの実現を可能にしている多くの人々を、ビジネスの中心に据えていかなければならない。つまり、人権侵害被害者の司法および救済措置の利用に関する周知の欠陥に対し、早急に対処するということだ。人々を保護し、プロスポーツの興行許可を守るため、我々はすべての関係者と協力し、これが実現されるよう尽力している」と訴えた。

UNI世界選手会は、プロスポーツ選手や競技者を組織し、意見を代弁する唯一の国際組織で、60か国以上、100を超える選手会の85,000人もの選手が結集している。その役割は、組織化された選手の意見が、国際スポーツの意思決定機関の最高レベルに届くようにすることである。