ブログアーカイブ

UNI Apro、ミャンマー労働省と「パートナーシップ労使関係」に関する三者社会対話

2017年8月3~4日、UNI Aproはミャンマー労働省と共催で、ミャンマーにおける健全な労使関係の構築と、「パートナーシップ労使関係」の理念を普及する目的で、三者社会対話会議をネピドーで開催した。労働省、商工会議所、労働組合から70人が参加し、UNI Aproからは野田地域会長、ウンUNI Apro地域書記長ら、更には講師として、イオン労使、フィリピン、インドネシア、米国等から使用者または労組代表が出席した。

次の4つのテーマについて、パネルディスカッション形式で報告、議論した。

  • 第四次産業革命の新たな波において発生した経済・社会問題:いかに使用者と労働組合組合は対応すべきか
  • AECからRCEPへと地域経済統合の新たな波において発生した経済・社会問題:いかに使用者と労働組合は対応すべきか
  • 調整とパートナーシップに関する経験
  • 「労働の未来」への挑戦における、変化するミャンマーの社会契約

議論の中で認識されたのは、民主化、市場開放後に労働組合が急激に増加したが、労働法制面で不備があること、労使関係構築の営みに政府が参画していくことは有意義であること、各国の経験を参考にしながら、ミャンマーらしい制度を作り上げるべきこと、技術革新、第四次産業革命が労働者に与える影響を考慮する必要があること、等である。

閉会式には、ウー・テイン・スウェー労働大臣が挨拶し、「政労使三者構成主義の意義を認識している。ミャンマーにおいてパートナーシップ労使関係の普及に労働省も取組んでいく」と述べた。

「AECの中で経済・社会が変化しており、第四次産業革命により、更なる市場変革が起こる。労働法の適正化に取組む必要がある。」


UNI-LCJ「労働の未来」フォーラム

2017年8月1日、UNI-LCJは「労働の未来」フォーラムを開催し、UNI-LCJ加盟組織から役員をはじめ、連合、JILAF、GUF等80人を超える労働組合関係者が出席した。UNI本部から、デジタル化及び貿易協定等の部会横断的課題を担当するクリスティーナ・コルクロフ担当部長が来日し、人工知能(AI)、ビッグデータ、ロボット化等によって、いかに仕事や求められるスキル、働き方が変わるかを中心に講演を行なった。コルクロフ部長は、データ保護の重要性を強調し、なぜUNIが従業員のデータに関する使用者のガバナンスを定める国際基準づくりについて、IEEEと協力し始めたかを説明した。

「多くの企業が従業員から引き出したデータを使い、モニターし、蓄積している。個人が識別できる情報だ。業務の流れやパターンをモニターすることによって得られるデータもある。世界のどこでも、従業員は自分達に関するデータへのアクセス権がない。会社を辞める場合に個人データの消去を依頼することもできない。これは変えなければならない。IEEEと協力し、望ましい職場におけるデータのガバナンスに関する、世界中で適用可能な基準づくりができれば、と期待している。」

コルクロフ部長は、日本で非正規労働者が4割に達していることに驚愕し、世界中で同じように非正規雇用が拡大しているが、我々は一丸となって現行の社会保障システムの改変を要求していくべきだと述べた。

「多くの労働者が、ただ自営業であるということだけで、或いは標準的でない働き方をせざるを得ないというだけで、社会保障システムの対象から部分的に、或いは完全に外れている。これも我々は変えていかねばならない。全ての労働者が、雇用形態に関わらず、しっかりした同じ社会的・基本的権利を持たなければならない。デジタル経済の進展によって、労働市場の門戸がまさにグローバルに開かれ、未来の労働が更に流動的で柔軟になる中、社会保障制度を改革し、現状に合わせなければ、破壊的な結果をもたらすだろう。それは容認できない。」

コルクロフ部長のプレゼン資料

コルクロフ部長の講演に続き、経済産業省産業人材政策室の伊藤参事官から、「第4次産業革命と『働き方改革』をめぐる動向」について講演を受けた。デジタル化時代に向けて、日本政府は多くの取組みを行なっている。とりわけ伊藤参事官は、正規社員の労働時間短縮の必要性を強調した。一方で、収入が不安定で断片的な仕事に就く非正規労働者も増えていることは矛盾しているように見える。

日本における急速な人口減少が、日本企業や労働者が職場におけるロボットやAIの導入に前向きな理由の1つである。しかし、多くの中小企業が直面する課題は山積しており、伊藤参事官は良き解決策を見出すために、労使の建設的な協力が不可欠だと述べた。デジタル化が労働者に及ぼす影響についての政府の取組みはこれからである。

これらの講演を受けて、フロアからは多くの意見や質問が出た。将来の社会契約はどのようなものであるべきか?という質問に、コルクロフ部長は「全ての労働者が社会的・基本的権利によって守られるようにしなければならない。自営業であろうと、雇用形態に関わらず、全ての労働者に訓練の権利と機会が与えられるよう要求すべきだ。労働者の要求が尊重されるには、労使関係においてパワーバランスが図られなければならない。そのためには組織化、組織化、組織化だ!」と繰り返した。

伊藤参事官には、TiSA(新サービス貿易協定)への日本政府の立場についての質問が出された。UNIの最近の報告書は、TiSAが及ぼす労働者及び労働条件への影響だけでなく、データ保護やデータの権利に対する負の影響について警鐘を鳴らしている。なぜ日本政府は、WTOをはじめ様々な貿易交渉において、データの自由な流通に異議を唱えないかについては明確な答弁はなかった。

「労働の未来」はUNIの重点課題の1つである。UNIは世界のサービス産業で働く仲間の声を代弁しており、常に新たな分野に踏み出してきた。ビッグ6と言われる世界の大手テクノロジー企業との新たな展開があるかもしれないので、UNIの「労働の未来」ウェブサイトにご注目を!


UNI-LCJ青年・女性、アジアの仲間と情報交換

2017年7月22~24日、福島で開催された第17回UNI-LCJユース英語セミナーに参加するため、ミシェル・ベリーノUNI Apro青年活動担当部長をはじめ海外から7人の講師が来日した。

セミナーの翌日、東京で、「アジア太平洋地域の労働組合運動と青年・女性の参加」をテーマに、UNI-LCJ青年・女性意見交換会が行なわれた。

ベリーノ部長から、UNI Aproの青年活動について概要報告を受けた後、アロック・マーラUNIネパール加盟協(UNI-NLC)コーディネーターは、2015年に発生したネパール大地震の直後から、同加盟協が取組んでいる被災地支援活動について報告すると共に、日本をはじめ世界中のUNIの仲間からの支援に感謝した。

スリランカのツシャンティカ・バンダラ郵便労組(UPTO)支部執行委員及びジャナス・プラサンカ銀行上級職労連(FBOSL)執行委員は、UNIスリランカ加盟協(UNI-SLAC)の青年・女性活動について報告した。特にJP労組関東地本が支援している奨学金プロジェクトについては、奨学生の選考過程から授与式まで、UNI-SLAC青年委員会が全面的に関わっており、UNI-SLAC青年委員の育成にも役立っている。JP労組関東地本の長年の支援に感謝した。

また、マレーシアのフランシスカ・ドゥラウ・サバ銀行労組(SBEU)支部執行委員及びアスリワン・ナントン同支部執行委員、ローレンス・サイマン・ゲンティン労組財務次長は、UNIマレーシア加盟協(UNI-MLC)及び自組織の青年・女性活動について報告した。

日本人参加者は、スリランカのスーパーで働く非正規労働者の組織化や、女性組合員・役員の参加を増やす取組み、ネパールの被災地支援等について、積極的に質問し、各国の状況について理解を深めた。

ベリーノ部長は、「UNI Apro青年委員会に参加するだけでなく、このような機会やSNSを活用し、日本の青年・女性のみなさんも積極的にUNIの海外の仲間と情報共有をしてほしい」と呼びかけた。


第17回UNI-LCJユース英語セミナー、福島で初の開催

 

2017年7月22~24日、第17回UNI-LCJユース英語セミナーが福島で開催され、10組織から45人の参加者と、海外から講師7人(ミシェル・ベリーノUNI Apro青年活動担当部長、マレーシア3人、ネパール1人、スリランカ2人)が参加した。

ふだん国際労働運動になじみのない若手組合役員/組合員が、日本にいながらにして経験できる貴重な機会として、またUNIに集う他産別の同年代が苦楽を共にすることが好評を博している。今年9月に福島で印刷・パッケージング部会大会とUNI Aproメディア部会大会が開催されることになっており、特に両部会加盟組織からの参加者が多かった。

冒頭、松浦UNI-LCJ議長から英語で激励の言葉をいただいた。参加者は緊張しながらも、「“連帯”を体感し、多くの友人を作り、楽しもう!」というメッセージをしっかり受け止め、2泊3日の英語漬け合宿がスタートした。

英語レベルも組合経験もバラバラな参加者が、東南アジア訛り、南アジア訛りの様々な英語に苦労しながら、UNI、UNI Aproの青年活動、スリランカやマレーシア等における青年・女性の組合参加促進活動等について学んだ。グループワークでは互いに助け合い、全員参加で発表を行なった。夜は歌やダンスで大いに盛り上がった。国や産業は違っても、青年や女性の課題には共通点もあることを知った。アロック・マーラUNIネパール加盟協コーディネーターから、2年前の大地震後の被災地支援活動について聴き、「困っている人がいたら助ける」という労働運動の原点をあらためて認識した。

中村UNI Aproメディア部会議長(日放労委員長)からは英語で、福島の日本における歴史的位置や、豊かな自然に恵まれ多くの有名な俳句や和歌ができたこと、そして東日本大震災後の悲劇について説明を受けた。

最終日にはグループ別に学んだ内容を、ドラマやミュージカル風等、様々なスタイルで表現した。参加者による投票でトップ3のグループが表彰された。海外講師も、日本人参加者と相部屋を経験し、勇気をもって大浴場や食べたことのない日本の食べ物にチャレンジするなど、日本文化を満喫することができた。日本人のチームワーク、時間厳守、真面目さ、規律、ホスピタリティ(おもてなしの心)に感銘を受け、日本の大ファンになって帰国した。

 


APPU、タイ郵便労組と共同セミナーを開催

UNI Apro郵便・ロジスティクス部会/APPU共同セミナー及びUNI Apro郵便・ロジスティクス部会/タイ郵便労組セミナーは、2017年7月11~14日、バンコクのAPPU(アジア太平洋郵便連合)で開催され、開催地タイを含め11か国、16労組から21人の参加者(うち女性11人)が出席した。JP労組からは、山本和紀・東京地本支部女性フォーラム議長、竹田茜・北陸地本石川中央支部組合員が参加した。両セミナーはJP労組の支援を受け、アジア太平洋地域の若手郵便労組役員の育成を目的に、毎年開催されてきた。セミナーは、通訳はつかず全て英語で行なわれる。

UNI Apro郵便・ロジスティクス部会/APPU共同セミナー(7月11~12日)開会式ではリン・ホンリャン事務局長から、「APPUへようこそ。本セミナーはAPPUとUNI Aproとの間で継続開催されており、長い伝統を持っている。2日と短期間だが効果的なプログラムを用意している。みなさんで協力してセミナーを成功させてほしい」と激励の挨拶を受けた。大崎部長は「今次セミナーでは、郵便事業の将来について学ぶと共に、一人ひとりの能力開発を主な目的としているが、参加者間のネットワーキングも重要な目的の1つ。セミナー後も交流を続け、組合活動に良い影響を与え合ってほしい」と述べた。セミナーでは、リン事務局長から、「グローバルな郵便を取り巻く環境とUPU、APPUの役割」、アミタフ・シン講師から、「新しい経済での郵便事業、将来のビジネスモデル」、「現代の人事管理」、「郵便、小包、ロジスティクスのオペレーション」、「問題を解決するための議論:グループワーク」、タイポストの経営側から「タイポストの郵便・ロジスティクス戦略」、大崎部長から「UNIとUNI Apro、労組の役割」等の講義が行われた。また参加者は小グループに分かれ、「職場の人員不足」、「事業の収入不足」、「職員の低賃金」、「低い顧客満足度」などの問題に対し、原因分析と解決策を議論し、話し合った内容をグループ毎に発表するなど、チームワークを培うセッションも豊富に行った。セミナー最終日には同敷地内にあるラクシ・メールセンター及びバンコクEMSセンターを見学した。

UNI Apro郵便・ロジスティクス部会/タイ郵便労組共同セミナー(7月13~14日)タイ郵便労組(SEWU-THP)との共同セミナーでは、ウィラートSEWU-THP委員長から「タイポストの挑戦」と題し、当日結ばれた経営側との覚書や、労組が取り組んでいる運動課題について報告を受けた。経営側からもタイポストの経営戦略についてのプレゼンを受けた。大崎部長は、「UNI Apro郵便・ロジスティクス部会の課題」についてプレゼンを行った。そして、参加者から各国の郵便事業の変革や新サービス、そして労組の活動と現在取り組む課題についての報告及び質疑応答を行い、活発に議論した。タイポスト職員は公務員であり、組合活動では公務員の反腐敗運動も行うなど、運動は多岐にわたっている。各国共通の課題について理解を深める場となった。日本からは日本郵政グループの概要、ユースや女性の活動などJP労組の活動について報告を行った。SEWU-THP参加者からは「(赤字に転落したとのことだが)職員にはボーナスはあるのか」、「(職員数が非常に多いが)郵便処理センターなどでは機械化は進んでいるのか」といった質問が出された。

 

 


UNIモンゴル加盟協(UNI-LCM)青年代表団、日本のパートナーシップ労使関係を学ぶ

2017年7月3~7日、UNIモンゴル加盟協(UNI-LCM)よりガントゥルガ団長以下、青年代表団7人が来日、UNI-LCJ加盟組合を訪問し、日本のパートナーシップ労使関係を学んだ。

松浦UNI-LCJ議長は、初日の歓迎夕食会で、過去20年近いモンゴル労組支援の歴史を振り返り、モンゴル社会の変化と共に、次世代のリーダー育成や組織拡大など新たな課題が出てきているとして、未来を担う代表団メンバーを激励した。

代表団は、情報労連、UAゼンセン、自動車総連、損保労連を訪問し、日本の労使関係、組織化、国際活動の理解促進、広報、人材育成など幅広い分野について講義を受け、積極的に質問して、理解を深めた。

最終日の総括で、ガントゥルガ団長(ゴビ労組)は、今回の訪問についてUNI-LCJに感謝し、「全体を通じて日本とモンゴルの共通の課題は、組織化だということが分かった。今回の訪問で学んだことをモンゴルに持ち帰り、仲間に伝え、自分たちの活動に活かしていきたい。UNIやUNI Aproの活動に積極的に取り組んでいくために英語力を強化し、加盟組合間のコミュニケーションを取りながら、活動を進めていきたい」と力強く語った。

次回のセミナーは、2018年夏にウランバートルで開催予定。


UNI-LCJ金融部会、欧州のフィンテック等に関する情報収集

2017年7月3~4日、宮井UNI Apro金融部会議長(損保労連委員長)を団長とし、全信連、JP労組から成るUNI-LCJ金融部会代表団が、ベルギー・ブリュッセルにおいて、金融部門の現状と今後、労働組合の課題・取組み等を見聞した。特に、「第4次産業革命」「デジタル革命」等と称されるAIの飛躍的な進化、フィンテックの出現、国際金融危機後の規制強化等が金融部門の労働者に及ぼす影響を、労働組合及びEUはどう分析し、対策をとっているかを、ベルギーの金融関係労組、欧州中央銀行労組、UNI欧州地域書記長、UNI欧州金融部会担当、欧州委員会(通信ネットワーク・コンテンツ・技術総局「デジタル経済及びスキル」課)等から聞き、意見交換を行なった。

欧州におけるフィンテックのハブはロンドンとストックホルムだが、ブリュッセルの銀行経営者はフィンテックを脅威とは見ておらず、買収するか協業すればよいと考えているとのことである。遅れをとっていたデンマークは2016年、コペンハーゲンに欧州規模または世界規模のフィンテックハブをつくり、資本だけでなくスキルも集める目的で、政労使が協力して「コペンハーゲン・フィンテック」を設立した。フィンテックの動向・情報収集と、それに従事する労組に関心のない若い人に接触する場ができることに、金融労組も参加する意味がある。フィンテックに関わる若い人に労組のメリットを説明する機会はできたが、同時に今までのオルグのアプローチでは難しいことがわかった。

欧州委員会はまだフィンテックを規制すべきかどうかを決めかねている。いずれは必要となるだろうが、規制してしまうと、結果として欧州以外に移ってしまうのではないかという懸念や、法律制定までにかかる時間と、それを凌ぐ技術革新のスピードが問題だ。フィンテックが雇用に及ぼす長期的影響の評価も難しい。

 

 


UNI世界金融部会議長・副議長会議

2017年6月30日、イタリア・トリノのILO研修センターにおいて、第2回UNI世界金融部会議長・副議長会議が開催され、ベルロファ議長、各地域選出副議長、デクリスト局長をはじめ担当スタッフが出席した。UNI Apro金融部会からは宮井世界金融部会副議長(UNI Apro金融部会議長)が出席した。

世界金融部会の議長・副議長は、同部会の方針に沿った活動を着実に実行に移すため、定期的かつ密接に進捗を報告・共有・見直すことが重要であるとの理由から、四半期毎の電話会議に加え、年に1度、各地域で議長・副議長会議を開催することが、ベルロファ議長就任時に彼女の発案で確認された。昨年6月には米国・ワシントンで開催し、合わせて米国の銀行労働者の組合結成を支援する諸活動を行なった。2回目となる今回は、UNI金融部会が展開する途上国における金融労組強化活動を能力開発面から支援しているILOの研修センターで行われ、労働者活動局(ACTRAV)の担当者から歓迎を受けると共に、ACTRAVの活動概要並びにUNI金融部会と協力して進めている活動について説明を受けた。

各地域報告として、宮井世界金融部会副議長はUNI Apro金融部会の直近の活動概要を報告した。日本の金融部門労組はFINTECHの動向に関心を示しており、UNIの最新情報は非常に参考になると述べた。また、5月にアジア開発銀行(ADB)と共催で開催した初のシンポジウムの重要性と今後の協力強化計画について共有した。

幹部会では、FINTECH調査報告第1稿の概要が説明された他、今年のUNI世界金融部会委員会の議題や2019年に開催予定のUNI世界金融部会大会のテーマや開催地について意見交換を行なった。


Eコマースとデジタル化:国際労働運動にとって新たな領域

Eコマースの成長と流通産業のデジタル化によって、国際労働運動において新たな連帯の機会が生まれている。UNI世界商業部会大会での議論は、我々がいかに働き、いかに買い物をするか、変化に対する組合の対応に集中した。

ピータールー・リサーチ社のハーベイ・マッケオン研究員は、デジタル化の現状について、大手オンライン企業だけが時価総額と雇用の両面で更に大きくなる一方で、伝統的な実店舗は多くの市場で縮小していると説明した。マッケオン氏によれば、アマゾンのような流通企業で見られる労働力の拡大は、会社に直接雇用される労働者と、労働者の権利に関しては法的にグレーゾーンで運営されている巨大な下請けネットワークで働く労働者から成り立っているという。同氏は調査結果として、Eコマース労働者の保護政策と、この分野での組織率の拡大の必要性を指摘した。

続いて、大会代議員は各国の取組み事例を共有した。オーストラリアSDAのネバート代議員は、同国のギグエコノミー(単発の請負労働者が多い経済)における組織化の成功を報告し、この分野では創造性が不可欠だと述べた。「革新的な部門の組織化には革新的な方法が必要だ。」

スウェーデンのユニオネンのヘルバーグ代議員は、組合がそのプロセスに積極的に関与すれば、Eコマースによって質の高い雇用が創出される可能性があると述べた。生涯学習を強調することで、ユニオネンは商業部門のスキルレベルを上げる原動力になっている。「より高いスキルがあれば、高い賃金の良い仕事につくる可能性も高くなる。」

スウェーデンの商業労組、パルメゾファー代議員は、大きな成果をあげているEコマース組織化の3か年プロジェクトについて報告した。最初の1年だけで、組合員数と協約数共に、大幅に伸びたという。

チリの商業労組、サガルディア代議員は、同国で2012年以来165%の成長を見せた、通販の急速な拡大に懸念を示した。

アルゼンチンの商業労組、ロベラ代議員は、持続可能な職場に向けて新しい文化をつくるべきだと述べ、政治的動員も必要だと力説した。「どこで働いているかにかかわらず、デジタル労働者と彼らの権利を擁護する法律が必要だ。組合には、より包括的なグローバル協定が必要だ。そのためには政治活動も継続しなければならない。」


労働の未来には公正な移行が必要

ドイツ連邦労働社会省のトーベン・アルブレヒト事務次官は、ドイツ・ベルリンで開催されたUNI世界商業部会大会に特別ゲストとして出席し、労働の未来における公正な移行について基調講演を行なった。アルブレヒト事務次官は大会代議員に問いかけた。「問題は、我々が将来どのような働き方をしたいのか、である。」それがドイツにおいて「労働4.0」が投げかけた問題である。

「労働者のニーズや価値が優先されなければならない。つまり、ディーセントで質が高く、賃金も高い仕事という意味だ。労働の未来は、人間が中心でなければならない。デジタルツールは使うが、現場の人間を監視するアルゴリズムに従属するのではない。」

「デジタルな職場を形作るのは人間でなければならない。悲観することはないが、油断せず、議論と交渉を通じて、意見の相違があってもそれを克服することで、デジタルな職場を作っていかなければならない。」

アルブレヒト事務次官は、デジタル革命によって「中間クラス」の雇用が空洞化する危険性を警告した。従って、労働者にはスキルアップや再訓練が必要になるだろう。特に低賃金労働者のスキルアップが重要である。職場で求められるスキルに投資するのは会社の責任であり、全ての労働者がスキルアップに参加できるよう、労使協議会に資源と専門性を持たせることが重要だと述べた。

更に、従来の仕事から新しい仕事への公正な移行を実現することが不可欠であり、そのためには例えば、国が失業手当を支給するより、失業する前に労働者が再訓練を受けられるよう投資することを提案した。

また、アルブレヒト事務次官は、見せかけの自営業者対策を最優先するとも明言した。「小さなコンピュータ会社を設立した起業家と、権利も年金も無いタクシー運転手は大きく違う。ドイツにはウーバーのビジネスモデルを防止する法律がある。同じ様に、デジタル・プラットフォームは使用者としての責任をクラウド労働者に負う。ドイツには、家で働く裁縫師の権利擁護を目的とする在宅労働法がある。同様の法律がクラウド労働者に適用できない理由はない。」

アルブレヒト事務次官は、多くの答えは、従来の解決策である、団体交渉、交渉の自由、組織化の自由にかかっていると述べた。「ドイツではこれらの権利は法律に書かれているが、効果的な労使協議会がない場合には、濫用されることもある。この点では、なすべきことは多い。」

最後に、本社がシリコンバレーのように他の国にあるとしても、プラットフォームがある国で事業を行うのであれば、その国の法律が適用されるべきである、とアルブレヒト事務次官は述べた。同様に、国境を超えて収入が生み出されているにも関わらず、租税回避ができるような税の抜け穴を暴く方法も見つけなければならない。


uni logo
最近のコメント