ブログアーカイブ

第25回UNI-LCJ年次総会、記念講演及びレセプションを開催

2024年2月16日(木)、第25回UNI-LCJ年次総会が東京で開催され、各加盟組織より運営委員、総会代議員、オブザーバー等約70人が出席した。

冒頭で石川幸德UNI-LCJ議長は、「国際労働運動において日本の労働組合が果たせる役割を常に意識し、この変化の激しい時代に世界中の働く仲間のネットワークを活用し、先見性ある柔軟な対応ができるよう、今後の活動を進めていきたい」と決意を表した。

その後、2023年度の活動報告、会計および監査報告が承認され、2024年度の活動計画及び予算が承認された。

続いて開催された記念講演には、UNI本部よりアルケ・ベシガーUNI副書記長、UNI Aproよりラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長が来賓として出席した。

ベシガーUNI副書記長は、欧州における人権デュー・ディリジェンス(HRDD)の法制化の現状を中心に共有するとともに、HRDDに関するスタッフ研修やグローバル枠組み協定への組み込みを強化していくと述べた。さらに、バングラデシュで始まった 繊維・衣料産業の安全衛生に関する国際協定「国際アコード」の取組みについて、結社の自由や苦情処理メカニズムを含め労働者の人権を強化する形で拡大していくとを報告した。

アチャリャUNI Apro地域書記長は、UNI Aproの優先課題として社会パートナーシップと対話促進、デジタル時代のディーセントワーク、平和、民主主義、人権状況などを挙げた。また、2024年11月下旬にタイ・バンコクで開催予定の第6回UNI Apro地域大会の準備状況とタイ国内の政治経済情勢等について共有し、大会への積極的な参加を呼びかけた。

質疑応答セッションでは、上杉雄太労済労連委員長が「日本では賃上げの機運が高まっているが、労務費を含む適正な価格転嫁が実現にむけた重要なカギの一つであり、サプライチェーンの取組みが避けられない」とした上で、サプライチェーンに関する取組みについて、助言を求めた。これに対してベシガー副書記長は「サプライチェーン全体の中に存在する様々なリスクについて把握する必要があり、どうしてもコストはかかる」としつつ、「消費者からの信頼や株価に影響が及ぶので、企業はリスク管理にしっかりと取り組まなければならなくなる。その一つが人権デュー・ディリジェンスだ」と述べた。

また、UNI Apro女性委員会の取組みに対する一層の支援を要請した中田綾子UNI Apro女性委員に対し、ラジェンドラ地域書記長は「バンコクで開催される地域大会の前や、3月にスリランカで開催される世界女性委員会の前段で、メンタリングのセッションが行われる。こうした機会に日本からもぜひオブザーバとして参加し、プログラムを受けてきた女性たちと交流してもらいたい」と応えた。

記念品を贈呈する北村UNI-LCJ副議長と並木UNI-LCJ副議長

レセプションでは、富田望厚生労働省大臣官房総括審議官より来賓挨拶を、また芳野友子日本労働組合総連合会会長および郷野晶子国際労働組合総連合(ITUC)会長より連帯挨拶を受けた。

UNI Apro会長を務める松浦UNI-LCJ副議長は、「 UNI-LCJは、UNI Aproが推進しているスマートパートナーシップを長期に渡って実践しており、UNI-LCJ加盟組合の知見をUNI Aproの取組みに生かし、つなげていくことで、役割を果たせると確信している。今後ともUNI Aproの活動への積極的な参画を改めてお願いしたい 」と述べて締めくくった。


アイルランドの労働組合、初の労働組合週間の実施を発表

アイルランド労働組合会議(ICTU)は、 2024年4月29日~5月6日にかけて、同国で初となる労働組合週間を開催する計画を発表した。ICTUによると、アイルランド全域の職場や地域社会で行事が企画されるこの1週間は、過去数十年で最大数の労働組合員が動員されるという。この行動は、CWU、SIPTU、FSU、FORSAといったアイルランドのUNI加盟組織の支援を得ている。

労働組合週間は、労働組合に加入することの価値と利益についてアピールするため、2月に開始したICTUの「Better in a Trade Union(労働組合で、もっと良くなる)」キャンペーンの集大成となる。このキャンペーンでは、アイルランド全域の公共・民間部門の労働者を取り上げ、雇用保障の強化、助言・支援、雇用条件や賃金の改善などの利点を強調している。

若年労働者の約半数が労働組合への加入に関心
最近のRED Cによるオムニバス世論調査では、就業中の18~34歳の44%が、労働組合への加入に関心があると回答した。その主な理由は、労働組合によって職場における雇用保障が提供され、より良い賃金・条件を交渉してくれるからである。まだ労働組合に加入していない理由を尋ねたところ、最も多かった回答は「誰にも誘われたことがない」だった。

オーウェン・レイディICTU書記長は、労働組合週間の発表にあたり、組合員は非組合員よりも高い賃金の恩恵を受けており、特に若年労働者の間で労働組合のメリットに対する意識が高まっているとした上で、「労働組合に入れば、だれもがより良い条件を得られると知っている。特に若年労働者の中には、雇用保護や賃金・労働条件の改善を求めて闘う、自分たちの味方になってくれる人の必要性を認識している人々がいる。そして、これらの権利が団体行動を通じてのみ実現されることも理解している。だからこそ、労働組合週間はすべての人に参加を呼びかけている」と述べた。

団体交渉を支援するために必要な法律
また同書記長は、アイルランドでは組合に加入しようとする民間労働者が、使用者から反対されることがあると指摘した上で、「アイルランドではほとんどのEU諸国と異なり、多くの民間部門の使用者が、労働者が組合や団体交渉に参加することに拒否権を持っているという事実にスポットライトを当てたい。こうした状況は間違っており、変えなければならない。調査によると、何十万人もの労働者が労働組合への加入を望んでおり、労働組合に加入した方が良いと知っている。もはやこの権利を否定してはならない」と強調した。

UNI欧州はこの数年間、団体交渉を前進させるためにキャンペーンを展開し、 欧州の労働組合運動とともに、最低賃金に関するEU指令を可決させてきた。同法では、EU加盟国の団体交渉適用率に80%の目標が設定されている。アイルランドのようにこの目標に達していない場合、国別行動計画において団体交渉の障壁に取り組まなければならない。したがって、同法はアイルランドの労働者の状況を劇的に改善する強力な手段である。

同書記長は、「EUの適正な最低賃金に関する指令の実現にむけてアイルランドの義務を果たすことは、今後のアイルランド政府の責任である。これにより、生活水準と労働条件が改善されるが、決定的に重要なのは、賃金設定の手段としての団体交渉も促進されるということだ。ここ数世代で最も重要で進歩的なEU法だ」と指摘した。

オリバー・レティクUNI欧州地域書記長は、「ICTUのBetter in a Trade Unionキャンペーンは、ちょうど良いタイミングで展開される。第一に、アイルランドの若者の間には、労働組合の一員となり、より良い賃金・待遇を求めて集団的に闘おうという大きな意欲がある。第二に、EUの最低賃金法制によって、組合への加入と団体交渉への参加(特に民間部門)をはるかに容易にする、またとない機会が到来している。これが、アイルランドが団体交渉適用率 80%を達成する唯一の方法だ。第三に、ICTUのキャンペーンによって、我々は2025年3月にベルファストで開かれる4年に1度の地域大会に向けて、労働組合と団体交渉の強化を求める闘いを加速させている。そのため、欧州全土の労働組合員がベルファストで一堂に会して、アイルランド内外の運動の成功を祝うことができるだろう」と期待を込めた。


アルゼンチンのゼネスト、新政権の改革に対して強固な反対の意思表示

2024年1月24日、アルゼンチン全土で労働者がハビエル・ミレイ新大統領の極右・反民主主義的政策に抗議するためにストライキを決行し、数十万人の人々が国の機能を停止させた。

この日のゼネストは、就任7週間目の大統領が「ショック療法」に例えた、有害な経済・政治改革の数々に対する最大規模の反対運動であった。労働組合によれば、必要緊急大統領令(DNU)と国家改革法案(オムニバス法として知られる)は、労働者、環境、民主主義のために何十年にもわたって苦労して守られてきたものを後退させるものだ。

ブエノスアイレスのプラザ・デル・コングレソでの大規模集会で、CGTおよびUNI加盟組織FATSAのヘクター・デール書記長は、「DNUを打倒し、オムニバス法が否決されるまで闘い続ける」と宣言した。同氏はUNI米州地域会長も務める。

アルゼンチン国内での広範な支援に加え、ゼネストは世界中で連帯を生み出 した。

約170か国の労働者を代表するグローバルユニオン評議会は、次のように支援声明を発表した。
「我々は、アルゼンチン政府が一方的に法案を出すのをやめ、労働問題に対処する方法について組合と交渉を開始するよう、要求する。また、民主主義の基盤を脅かすこうした逆進的な政策に積極的に反対するため、アルゼンチンの組合を支援する世界各地の行動に連帯する。(…中略…)アルゼンチンの民主主義の後退を許すわけにはいかない。今、我々は行動しなければならない。」

クリスティ・ホフマンUNI書記長とマルシオ・モンザネUNI米州地域書記長は、「アルゼンチン政府が行おうとしている違法な改革は、貴国が締結した国際協定に謳われているストライキやデモの権利など、基本的な国際法に明白かつ明確に反している」として、ストライキを支持するとともに法改悪を非難する書簡を、ミレイ大統領に送った。

ブラジル、ベルギー、カナダ、チリ、コロンビア、ドミニカ共和国、ドイツ、エルサルバドル、メキシコ、ペルー、パラグアイ、スペイン、英国、米国、ウルグアイなど、数十か国の労働組合が、街頭で連帯を表明した。


UNI書記長、ダボス会議でAIをめぐる交渉の必要性について訴える

2024年1月中旬にスイスの山村・ダボスで開催された世界経済フォーラムの年次総会では、人工知能が最重要テーマとなった。クリスティ・ホフマンUNI書記長は、特にAIのようなテクノロジーをめぐる団体交渉の必要性について、訴えた。

2024年の総会の全体テーマは「信頼の再構築」であり、ホフマン同書記長は、AIの導入に関して信頼が確立されるためには、使用者はこれについて労働組合と交渉しなければならないと指摘した。

デロイトやロレアルのCEOも参加した『オーグメンテーションを通じて考える』パネルでは、同書記長は「世界中の労働者は、AIが自らにとって何を意味するのか、不安を抱いている。解雇や職を失うことを心配しているのだ。この不安に対処するためには、そのプロセスに労働者を参加させなければならない」と強調した。

そして「労働時間をどのように再構築するかについて、広い視野を持つこと。生産性が向上すれば、解雇の代わりに週休3日制についての議論が高まる可能性もある。しかし、これも交渉次第だ」と加えた。

6万人以上の俳優や実演家を率いて、AIを中心課題として118日間のストライキを行った米国の組合SAG-AFTRAのダンカン・クラブツリー=アイルランド事務局長は、『労働者に焦点を当てる』の討議で、ホフマンUNI書記長と共にステージに上がった。そして、人工知能の導入に関する決定は、機械ではなく人間によって下されるものであるため、これらの選択に責任を持ち、人間を第一に考えるべきだと指摘した。そして、そのためには「労働者はそれらの決定を下す上で重要な役割を持つべきだ」と訴えた。

ホフマンUNI書記長は、ダボス会議でビジネス・リーダーや人権擁護に関わる活動家と会談したほか、アンソニー・ブリンケン米国務長官と会談したグローバル・ユニオン代表団の一員として、労働権の促進と労働組合の構築を目指すバイデン政権のグローバル・レイバー指令について語った。


UNI欧州が勝利:欧州委員会、公共調達の問題に取組むことを約束

2024年1月15日、UNI欧州のキャンペーン『団体協約なくして公契約なし』は、より良い雇用を求める闘いにおいて、突破口を開いた。

欧州委員会のニコラ・シュミット雇用・社会権担当委員が出席する中、欧州議会は公共調達指令に関する重要な本会議討論を行った。そして、欧州委員会は初めて、欧州議会が求める同指令の改正に直接応じた。シュミット同委員は「欧州委員会は、さらなる具体的な措置が必要となれば、立法的なものであれ検討することを約束する。つまり、現行の条文を見直す必要があり(…中略…)、これには社会的配慮も必ず含まれる」と述べた。

公共調達指令は、EU全域の公的機関が民間企業と物品・サービスの提供を契約する際の条件を概説している。残念なことに、あまりに多くの場合、価格だけが唯一の基準となり、賃金や労働条件、サービスの質に関して底辺へ向かう競争へとつながっているのが現状だ。清掃員やコールセンター労働者、通訳、安全監視員、看護師など、UNI欧州が代表する700万人のサービス労働者の多くが、公共入札の落札方法によって、直接影響を受けている。

改革を支援する欧州議会議員
UNI欧州の代表はストラスブールに赴いて討議をフォローし、欧州議会議員との会合の中で懸念を提起するとともに、会えなかった議員にはメッセージを送った。こうした取組みを経て、過半数の欧州議会議員が、ソーシャル・ダンピングの停止と公共調達指令の改革を求めるUNI欧州の要求を支持した。

ドイツのデニス・ラトケ議員は、討議の開始にあたって「本日この場で、この公共調達の問題を議論し、委員にこの質問を投げかけることは、非常に重要なことだ」と述べ、オランダのキム・ファン・スパレンタク議員は、「労働者を犠牲にして企業が利益を最大化する一方で、基準を引き下げることはもはや許されない」と述べた。

オランダのアグネス・ヨンゲリウス議員は、「労働者と団体協約を結んでいない企業に、これ以上公契約を結ばせないようにする必要がある」と同意を示し、デンマークのニコライ・ヴィルムセン議員は、「公共調達指令をできるだけ早く改正することが重要だ。団体協約を結ばない企業に、納税者の資金が使われるべきではない」と語った。討論に先立ち発表された論説では、4つの異なる政治系列の欧州議会議員4人が、欧州委員会に対して改革の道を拓くよう求めている。

討論会では、スペインのマリア・ロドリゲス・パロップ議員、イタリアのダニエラ・ロンディネッリ議員、マルタのアレックス・アギウス・サリバ議員、スペインのエストレラ・ドゥラ・フェランディス議員、スロベニアのミラン・ブルグレス議員など、他の複数の欧州議会議員も、改革を支持している。

欧州委員会のコミットメント
討論の最後にニコラ・シュミット委員は、欧州委員会が法制化も含めたさらなる措置と改革を検討することを約束するとともに、「不正行為を行い、労働者の権利を尊重せず、労働者の保護を尊重しなければ、企業は最安値で取引できるだろう。だがそれは誰が負担する価格なのか」と述べ、法的な不確実性が問題であるという重要な事実を認めた。

これは、EUの公共調達規則を改革するUNI欧州のキャンペーンにとって大きな勝利だ。今後、UNI欧州は加盟組織とともに、言動を行動に移すよう、働きかけていく。


フィリピン上院、全会一致でILO第190号条約の批准を承認-フィリピン労働者に歴史的な瞬間

2023年12月11日、フィリピン上院が「仕事の世界における暴力およびハラスメントに関するILO第190号条約」の批准を全会一致で承認し、フィリピン労働者の権利にとって画期的な勝利がもたらされた。

ILOがこの条約を2019年に採択して以来、UNIフィリピン加盟協(UNI-PLC)は、フィリピンの他の労働組合、労働団体、権利擁護団体とともに、職場におけるあらゆる形態の暴力やハラスメントから労働者を保護するこの重要な条約の批准に向けて、キャンペーンを精力的に展開してきた。広範なロビー活動、大規模集会、政策立案者との対話、さらに労働者の権利保護における190号条約の重要性について認識を高めるための草の根アドボカシーなどを行ってきたのである。

UNI-PLCは、組合活動家やこの大きな成果のために取組んできた他の労働組合に敬意を表し、次のようにコメントした。「ILO第190号条約の批准は、フィリピン人労働者とその権利擁護のために取組んできた人々の声を結集した重要な勝利。ILO第190号条約が国内法の一部となるということは、フィリピンの労働組合・労働運動にとって重要な勝利として記憶される歴史的瞬間だ。この条約は、意味のある変化をもたらし、労働者の権利を前進させる上で、集団行動とアドボカシーの力がいかに重要であるかを示すものである。この画期的な勝利は、フィリピンのあらゆる労働者が暴力やハラスメントを受ける恐れを抱くことなく、まっとうな雇用に従事し、国内の職場で敬意と平等、安全の文化を育む未来への道を拓くものだ」

UNI-PLCはさらに、条約の批准という決定的な一歩を踏み出すことは、持続可能な開発と社会進歩の目標に沿い、すべての労働者の尊厳と権利を守る職場環境を構築するという国際労働基準と人権原則に対するフィリピンのコミットメントについて強力なメッセージを送ることになる、と期待している。

フィリピン政府は現在、法的枠組みの確立、執行のメカニズム、被害者への支援サービス、この問題に関する教育・啓発の促進など、包括的な施策を実施する体制を整えている。

ラジェンドラ・アチャリヤUNI Apro地域書記長は、「UNI Aproは、この画期的な成果を達成したUNI-PLCと加盟組織の精力的な活動、フィリピン労働運動への貢献を非常に誇りに思う」と述べ、勝利を祝した。

ILO第190号条約は、職場における暴力やハラスメントに対処・防止することを目的とし、そのような行為が人権や職場における基本原則・権利を侵害するだけでなく、個人の尊厳や社会全体の健全性を損なうものであるとしている。現在、ILO加盟国のうち36か国がこの条約を批准しており、うち太平洋地域からはオーストラリア、フィジー、パプアニューギニアの3か国が批准しているが、今回の画期的な決定により、フィリピンはアジアで初めて190号条約に加盟した国となった。


第22回UNI-LCJユース英語セミナーを開催!

2023年12月8~10日、東京・府中においてUNI-LCJユース英語セミナーが4年ぶりに対面開催された。6組織(情報労連、全印刷、全労金、UAゼンセン、大日本印刷労組、JP労組)14名の参加者(男性5名、女性9名)は、海外から招いた3人のリソースパーソンを交え、英語でコミュニケーションをはかりながら、国際労働運動について理解を深めた。

「2023~2027年UNI-LCJアクションプラン」の重点課題に挙げられる「国際労働運動で活躍できる人材の育成」という方針に沿って開催された本英語セミナーの開会式では、北村聡太UNI-LCJ副議長が英語で開会挨拶を行い、「将来、日本のみならずアジア太平洋地域の労働運動のリーダーとなる皆さんにとって、このセミナーへの参加は国際労働運動への第一歩となる。ぜひ職場の仲間にも、この合宿で得た体験を共有してほしい」と呼びかけた。

自己紹介とオリエンテーションを経て、参加者は、上田智亮UNI-LCJ事務局長より国際労働組合運動の概要やUNIの取組みについて説明を受けた。また、インド出身のプージャ・カパヒUNI Aproオルグ(デジタルコミュニケーション・キャンペーン担当)は、同国における貧富の差や女性差別などの問題に触れつつ、非正規層や青年女性の組織化、縁故主義の蔓延する労働組合運動の課題を指摘した。マレーシアのメディア労組のアメリア・ナディアKESTMB労組副書記長は、多文化共生の同国の風土、メディア産業、労働組合の現状、女性や青年の課題、組合の活動などについて報告した。また、オーストラリア出身のホビッグ・メルコニアンUNI Apro組織化・キャンペーン部長は、同国の労働組合運動の概要や、出身組織である店舗流通関連労組が取組んできたハラスメント撲滅キャンペーンやフランチャイズ店舗における移民労働者搾取に対する闘い等について、報告した。進藤葉月UAゼンセン国際局職員は、11月に開催されたUNI Apro青年委員会及びワークショップについて報告するとともに、UAゼンセンの青年組織である「ヤングリーブス」の取組みについて紹介した。

最終日には、前日より準備と練習を重ねてきた最終プレゼンテーションが行われた。

グループ1は、Make Amazon Payやジェンダーに基づく暴力に反対するキャンぺーン等を事例にUNIの取組みを説明し、組合の下で団結すれば変革していく力を得ることができる、とまとめた。

グループ2は、青年や女性がどのように労働運動の中で闘ってきたか、いくつかの事例をもとに歴史を振り返った。同時に、寸劇とクイズを盛り込み、参加者を惹きつける対話型の構成で発表を行った。

グループ3は、日本に来た外国人労働者が、日本の独特の職場文化に触れて違和感を表明しつつ、日本の労働者もそれによって視野を広げていくというストーリーで寸劇を行った。

いずれのグループも本セミナーで学んだ内容を盛り込みつつ、短い練習時間の中でもチームワークを発揮して、助け合いながらプレゼンテーションを成功させた。

またセミナー中、上記グループワーク以外にも、プレゼンの司会進行を担う「モデレーター」、参加者同士のアクティビティを企画・実施する「ソーシャルファン」、その日の出来事を英文記事にしてFacebookにアップする「レポーター」の3委員会が設置され、参加者は各委員会の中で積極的に役割を果たした。さらに懇親会や休憩時間、ソーシャルファンのセッションを通じて、参加者同士やリソースパーソンとの活発な交流が行われ、懇親と友情を深めた。

参加者からは、「日本と異なる組合の課題や社会問題を聞くことができて視野が広がった」、「英語への興味を今まで以上に持つことができた」、「他労組のメンバーと共に団結して達成感を味わい、横のつながりをのばすことができた」といった前向きな感想が寄せられた。


UNI欧州、欧州労働組合連合のテレワーク法制化要求を支持

UNI欧州は、使用者による欧州社会パートナー協約の締結拒否を受け、欧州委員会がテレワークとつながらない権利に関する迅速な立法措置を開始するよう求める欧州労働組合連合(ETUC)の呼びかけを支持する。

2022年6月、欧州の3つの使用者団体はETUCとの社会対話作業プログラムに署名したが、その中には、指令の形で導入予定のテレワークに関する法的拘束力のあるEU全体レベルの協約を交渉することが盛り込まれていた。

しかし1年以上にわたる交渉の末、3つの使用者団体のうち2組織が、いかなる文書の提出も拒否し、成功への道筋を提示できないまま交渉から離脱したのである。

パンデミック以降、欧州においてテレワークに関する強力な規制の必要性は、さらに緊急性を増している。EUの労働条件調査では、常時在宅勤務をしている労働者は、自由時間に仕事をする傾向が6倍高く、48時間勤務の可能性が2倍高いことが示されているのである。

欧州委員会は、在宅勤務をする労働者のために適切な労働条件を確保するための立法措置を直ちに行うべきである。UNI欧州は欧州委員会に対し、以下のような指令の提出を求める:

・既存のつながらない権利を保証する。
・情報への権利やデジタル・アクセス権など、労働組合の権利を保証する。
・テレワークを行う人々の賃金と待遇の平等を確保する。
・プライバシーを保護し、人権侵害的な監視を防止する。
・テレワークの決定が労働者の手に委ねられ、職場を代替するものではないことを保証する。
・テレワークの設計と提供について、団体交渉を通じて労働組合の関与を保証する。


組合は、労働者がテクノロジーについて交渉できるようにしなければならない

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「AIと公共の利益」と題された幅広い討論の中で行われた基調講演において、労働者がAIの影響と導入について交渉する必要性を強調した。

2023年11月15日に オープンマーケッツ・インスティテュートとAIナウ・インスティテュートが、ワシントンDCで主催したイベントでは、AIの出現後に我々が地域社会や職場で直面する将来予測、脅威、規制上の課題について、議論が展開した。欧米から第一線の政策立案者、規制当局者、技術者、起業家、作家、音楽家、政策専門家、学者が集った。

ホフマン書記長は講演の中で、AIの使用に関する懸念について、職場における新技術の導入をめぐる集団的闘争という、より広範な歴史的文脈の中に位置づけた。産業革命の黎明期から、労働者は団結して、今日で言うところの「公正な移行」を要求してきたのである。

1980年代にホフマン書記長が交渉担当を務めたジェットエンジン工場を含め、現代の労働組合運動は1970年代からロボットやオートメーションといった技術をめぐって、本格的な交渉を開始した。同書記長は、今日のテクノロジーをめぐる闘いには、数十年前の闘いと同じ力が必要だと指摘し、次のように述べた。「我々が主に求めてきたのは、技術導入前の事前通告と、雇用、安全衛生、トレーニングの分野におけるリスクに対処する機会でした。また、新しい機械やテクノロジーを導入するための最善の方法を提案する機会も求めてきました。そして、こうした要求は現代にも通じることなのです…(中略)…しかし、より長期的には、新たな効率化によってもたらされるメリットを分かち合いたいと考えていました。実際にこの時代、自動車産業では、自動車製造に必要な労働者数が減ったという事実を踏まえ、賃金をめぐって大規模なストライキが起こりました。そしてまた、これこそ、私たちが生成AIに関して直面している重要な課題なのです」

ホフマンUNI書記長は、非常に人権侵害的なアルゴリズム管理など、他のタイプの職場技術に保護措置を設置することで、世界中の組合が成功を収めていることを指摘した。このようなプログラムは通常、継続的な監視とフィードバックによって生産性を向上させ、労働者を安全上好ましくない、持続不可能な速度で働かせている。

労働運動は、団体交渉と社会対話を必要とする規制枠組みの両方を通じて、職場監視の量と労働者のデータの使用方法を規制してきた。その例として、コールセンターにおける全米通信労組(CWA)とATTの団体協約や、ドイツの労使協議会とアマゾンの個別データに関する協約が挙げられる。

同様に、昨年登場した生成AIは、生産性の向上が期待されているが、アルゴリズム管理とは異なり、これらの利益は、単に労働者を過酷に働かせて搾り取るのではなく、作業の自動化や労働者の能力の増強によってもたらされる可能性がある。 生成AIを職場で使用することに関する唯一の大規模な調査研究のひとつは、コールセンターを対象としたもので、そこではこのテクノロジーによって通話時間が14%短縮され、顧客満足度が向上した。

ホフマン書記長は、 「これは良い話であり、労働者の離職率が下がり、雇用が安定するということになるかもしれない…(中略)…しかし、より多くの電話に応対できるようになったからといって、労働者の賃金は上がるのでしょうか? スピードアップによって、仕事のストレスはさらに増えるのでしょうか? これらの疑問は、こうした労働者が交渉の席で交渉し、ある程度の力を発揮できるかどうかによって多くの部分が決まる、未知の問いなのです」と続けた。

UNIメディア部会の加盟組織による最近の勝利が示しているのも、集団的な行動の力だ。こうした組合は、労働者の補償と雇用が完全に保護されるよう、AIの規制について交渉することができたからだ。

このことは、今後の組合闘争のモデルになるはずだ。ホフマンUNI書記長は次のように締めくくった。「米国で議論されているAIに対する規制は、組合を作るのが難しすぎるという核心的な問題を回避しています。実際、肖像権や知的財産の保護を強化する必要があるのです。 監視は継続的なものであってはならず、安全衛生規則は強力に実施されるべきであり、すべての労働者が休憩を得られるべきです。しかし最も重要なことは、労働組合結成への障壁を減らすことによって、すべての労働者がテクノロジーに関して交渉できるようにすることなのです。…(中略)…労働者には、我々が組織化の進んだ部門で何十年も行ってきたように、テクノロジーに関して使用者と交渉するための本当の力が必要です。 我々はその方法を知っています。ただ、扉を開くだけでいいのです」


第10回UNI Apro東アジア労組フォーラム(2日目)

テーマ2:各国で進む働き方改革と労働組合の対応-長時間労働、少子高齢社会、労働力不足等、東アジア共通の課題解決に向けた取組み
2-1)長時間労働の是正に向けた取組み
●日本(中島遥香 損保労連事務局次長):同労組の中期重点取組み課題において、多様な働き方の実現が掲げ、その一つに「長時間労働につながる商慣習の見直し」がある。時間外電話や至急の対応依頼などの行動を見直し、相手の働き方への配慮が重要である。連合と連携したシンポジウム開催や他産別との意見交換、労使協議等を行い、組合員の行動変革を促している。
●韓国(キム・ミュンソ KFIU副委員長):労働時間短縮に向けた同労組の取組みについて概説した。2002年に金融労使交渉の成果として同国で初の週5日制が導入され、他産業に対しても起爆剤となった。他に昼食休憩の一斉付与、パンデミック時の営業時間短縮などを要求してきた。現在は週休3日制を目指している。
●台湾(ナガオ・クナウ TPTSEU委員長):台湾の公共テレビとその組合員構成、同労組による長時間労働是正と勤務形態の多様化に向けた取組みについて、概説した。組合として次の勤務までの休息時間の確保等に取組んでいる。高齢化が進む中、交渉によって年5日の有給の介護休暇を獲得した。また「報道者」について、残業削減に向けて、超過勤務指示が直前に行われた場合には代休時間を増やすことを協約で定めた。
●モンゴル(バトチメグ・ナサンバータル 新国際空港労組):政労使で公正される国家労働安全衛生委員会があり、2023年7月に労働条件の基準が改定、これにより労働安全衛生管理に重点がおかれることになった。最近はメンタルヘルス課題にも注力している。組合として、公務員の給与水準の統一、勤務歴に応じた手当、地方勤務手当の支払い、インフレに見合わない賃金水準の改善と求めている。

2-2)女性が働きやすい職場作り
●日本(阪本裕実子 生保労連中央副執行委員長):同労組では「誰もが安心と働きがい・生きがいをもてる職場の実現」に向けて、ジェンダー平等に向けたポジティブ・アクションの推進、両立支援制度の拡充・活用推進を柱に、働き方を柔軟に選択できる制度の整備に取組んでいる。ジェンダー平等に関する意見交換会、管理職フォーラム等を開催し、今後さらに女性が活躍できる環境を整備していく。
●韓国(バン・キウォン KHMU教育委員会議長):約9万人の組合員のうち、多くが女性看護師である。過重労働ゆえに高離職率で、看護師有資格者で実際の稼働率は約5割である。組合は、長時間労働の是正、交代勤務の改善、ワークライフバランス向上について、病院や政府と交渉・闘争し、成果を勝ち取ってきた。
●台湾(リュウ・チュンハン CPWU企画部長):台湾における女性の安全衛生に関する法的保護、中華郵政による女性が働きやすい職場環境促進に向けた措置、(各種休暇や補助金、育児支援など)ワークライフバランスの取組みなどを紹介した。 

2-3)多様な働き方(リモートワーク、フレックス勤務、ワークライフバランス、つながらない権利等)
●日本(水野和人 情報労連書記長): 2020年よりテレワークが急速に拡大、ICT産業で特に顕著であるが、東京と地方、業種間や事業所規模により開きがある。情報労連では加盟組織では7割以上がテレワークを実施、勤務時間管理や業務に必要な現物や手当ての支援、柔軟な働き方等について取組んできた。在宅勤務によるメンタルヘルス維持、つながらない権利が課題であり、労働条件と職場環境の改善に引き続き取組む。
●日本(井上克彦 UAゼンセン常任中央執行委員/イオンフィナンシャルサービスユニオン中央執行委員長):男性の育児休業取得率は2020年以降100%であり、取得日数も増加している。全国規模でのサテライトオフィスの活用や、誰でも時短制度の導入など、多様な働き方の促進に取組んでいる。

テーマ3:賃金・労働条件交渉の成果と今後の課題-物価高騰に対応した労働者への公正な分配・労働条件の向上は実現したか?
●韓国(キム・オクラン FKMTU政治部長):全国医療産業労連は大学病院と交渉、週休3日のパイロット事業の期間と部署を拡大した。また仁荷大学病院労組は2023年に医療労組として初めて中央労働委員会の調停制度を活用、賃金引上げについて早期に協約を締結しただけでなく、適正な人材配備による業務強度の改善、及び病院サービスの質の向上等、労働条件と密接な関連がある部分に対する合意を導出できた。
●日本(徳田和宏 自動車総連国際局部長):2023年の春闘は、全体的または中小組合についてもほぼ30年ぶりとなる水準の賃上げが実現した。2023年度は自動車販売部門においても物価上昇、人手不足を背景に、高い賃上げを獲得、自動車総連全体の底上げ・底支えに確実につながった。整備士を含むサービス職についても、資格手当や役職手当の新設、手当額の引上げを獲得した組合もある。
●日本(中田綾子 UAゼンセン流通部門執行委員):物価上昇やマイナスの実質賃金などを背景に2023年には全加盟組織より署名を集め、UAゼンセンとして賃上げ促進を政府に要請した。結果、政府や経営者団体の間で賃上げの必要性について認識が広がって賃上げの機運も大きく高まり、高い賃金妥結水準となった。短時間組合員の賃金引上げも8年連続で正社員の引上げを上回り、雇用形態間格差是正につながっている。また、労働時間の改善や、カスタマーハラスメント対策などについても多くの加盟組合で交渉が行われた。
●台湾(スー・ホンティン CTWU台北支部長):中華電信および組合、台湾の経済状況、CTWUの方針や戦略枠組みについて概説した。実際の成果として、会社収益に関わらず賃上げを確保すること、育児対策と補助の拡充、永年勤続者の賞与改善などがある。また労働権益の向上にむけた取組みとして、労使協議や政府陳情、労働者教育という3つのチャネルを説明した。
●モンゴル(バトチメグ・ナサンバータル 新国際空港労組):組合の意見も反映した上で2021年に改定された同国の労働法では、雇用契約、労働時間、賃金・手当、柔軟な労働条件などの点において改善が見られた。リモートワークやパートタイムの環境整備を団協協約で決められるようになり、超過勤務や深夜勤務の手当、同一労働同一賃金も明記された。また一度のシフトにおける勤務上限は12時間となり、健康面で大きな成果である。また、男性の育休や障がい者の雇用割合についても規定された。

■閉会式
砂川翔UNI Apro青年委員(JP労組)より、今回のフォーラムを総括し「今後もUNI、UNI Aproと連携し、東アジアの加盟組織間の情報交換を継続しながら、政労使の社会対話を促進し、労働者の声を政府および使用者に届けていく」ことを確認する共同声明が読み上げられ、採択された。また、次回フォーラムホスト国である韓国のキム・ドンホKPWU委員長が、次回は2025年にキョンジュで開催することを発表した。最後に、安藤京一UNI-LCJ副議長が、二日間で学んだことを生かし、UNIファミリーとして「共にこの地域の社会・経済の発展に貢献していこう」と挨拶し、閉会した。

なお、各セッションでは以下の方々が司会を務めた。
• 開会/基調講演:(日本)山下茂美 日放労中央執行委員
• サブテーマ1 :(日本)加藤友樹 全印刷組織部長
• サブテーマ2 :(韓国)ヨン・ユンギュ KHMUプサン支部長 
• サブテーマ3 :(台湾)ジュリア・ロー CPWU書記長 
• 閉会 :(日本)大澤佳之 全労金ろうきんセントラル労組 執行委員


uni logo
最近のコメント
    アーカイブ