クリスティUNI書記長、ラジェンドラUNI Apro地域書記長の記念講演 ~第26回 UNI-LCJ年次総会~

クリスティUNI書記長とラジェンドラUNI Apro地域書記長

★講演1:「生成AIがもたらす労働の未来」 クリスティ・ホフマン UNI書記長

現在、世界は激動の時を迎えており、米国のトランプ政権は政府機構を解体し、国際機関からの脱退を進めています。その影響は世界中に及び、AIを含む技術革新にも大きな影響を与えている。

特に、AIの職場への導入については、労働組合の関与が不可欠だ。その理由は、①最良の結果を得るため、②労働者への悪影響(解雇など)に対応するため、③生産性向上の利益を労働者と共有するためである。しかし、使用者側は「テクノロジーについて交渉するのは非現実的」として反対しているが、それでもフランスの70以上の企業が社会対話に合意するなど、前向きな動きもある。

AI技術の中でも特に影響が大きいのはアルゴリズム管理と生成AIだ。アルゴリズム管理は、監視や労働者への圧力に利用され、Amazonの倉庫やコールセンターなどで広く導入されている。一方、Chat GPTなどの生成AIは、文章作成やデータ分析などを自動化し、多くの業務の一部を代替する可能性がある。IMFの予測によると、全雇用の40~80%が何らかの形で生成AIの影響を受ける、特に事務職やバックオフィス業務がリスクが高いとされており、コールセンターやプログラマーも影響を受けており、今後、経済全体への普及が加速する可能性がある。

労働組合は、AI導入に関する交渉を進めるべきだ。既にいくつかの成功例もある。例えば、米国の脚本家組合はAIの使用を制限する協約を勝ち取り、オーストラリアやドイツの労働組合もAIに関する協議の枠組みを確立した。これにより、AIが労働者に与える影響を最小限に抑えつつ、技術の利点を生かす道が開かれると期待している。しかし、多くの国ではまだAIに関する労働規制が整っていない現状もある。そのため、労働組合の活動を奨励し、雇用主が技術導入の際に労働者と協議することを義務化するなどの政策が求められている。労働者のスキル向上を支援し、新たな仕事を創出するためのインセンティブも必要だ。

テクノロジーの発展は不可避ですが、それが労働者にとって公平で持続可能な形で進められるよう、労働組合は交渉の場に立ち、積極的に関与することが重要である。UNIは今後もこの課題に取り組み、労働者の利益を守るために国際的な対話を推進していきたい。

★講演2:「平和・人権・民主主義」 ラジェンドラ・アチャリャ UNI Apro地域書記長

アジアにおける民主主義の状況は国によって異なり、日本、韓国、インドは民主主義を維持しているが、他の国々では依然として厳しい状況が続いている。

ミャンマーでは、軍事クーデターから4年が経過し、大規模な避難、暴力的な弾圧、そして活動家の投獄が続いている。労働組合は民主主義勢力とともに、民主主義を復活させるための国民統一政府(NUG)を結成した。香港では、中国の国家安全法の下で制限が強化され、言論の自由や報道の自由が制約されている。バングラデシュでは、政治的な状況が不安定であり、前政権は反対派の声を抑圧していたことで批判された。現在の指導者は、同様の手段に頼ることなく、安定した政治運営を行うことが重要である。

アジアにおける平和は依然として不安定であり、国境を巡る争いや南シナ海での緊張や、朝鮮半島における終わりの見えない紛争の脅威が地域の安定を脅かしている。 また、ミャンマー、アフガニスタン、フィリピン、パキスタンの一部地域では内戦が続いており、平和と安全を取り戻すための障壁となっている。

人権:続く闘い

アジア全体で人権侵害が広がっており、政府は言論の自由を制限し、報道機関を弾圧し、人権活動家を迫害している。また、監視体制や強制労働、政治的抑圧が根強く存在している。多くの国々で進展が見られる一方、依然として女性やジェンダー平等に対する制約が続いている。

労働組合の権利と労働条件:

アジアの労働者は、特に労働保護が不十分な国や権威主義的な国々で重大な課題に直面しており、多くの国では団体交渉が制限され、労働者は搾取され続けている。湾岸諸国では移民労働者が非人道的な労働条件に苦しんでいる。しかし、バングラデシュのラナ・プラザ事故後、繊維業界の安全基準が改善され、国際安全衛生協定はバングラデシュとパキスタンで進展を見せている。

国際労働基準と人権デューデリジェンス:

アジアにおける国際労働基準の施行は国によって異なる。いくつかの国々は主要な国際労働機関(ILO)の条約を批准しているが、その実施は一貫していない。強制労働、児童労働、そして安全でない労働環境は、繊維、農業、建設業、さらにはサービス業でも依然として続いている。人権デューデリジェンスは注目を集めており、日本、韓国、オーストラリアは企業責任規制を強化している。

デジタル時代における労働と労働組合の権利:

技術革新、デジタル化、自動化はアジアの労働市場に変革をもたらし、製造業やサービス業で雇用の安定性が脅かされている。ギグエコノミーの拡大に伴い、特に新興経済国で労働者保護が不十分だ。職場の監視やアルゴリズム管理には倫理的懸念があり、強力な規制が求められている。労働組合は、技術革新が労働者の権利を守りつつ進むよう役割を果たすべきである。

UNI Apro: 私たちの役割と取り組み

UNI Aproは、民主主義、人権、労働組合の自由を守るため、ミャンマーの強制労働問題やフィリピンの労働組合弾圧に対する活動を行っている。インドネシアのオムニバス法に挑戦し、香港のRCCGUを支援。さらに、フィリピン、インド、パキスタン、ネパールで労働組合権利強化を進めている。

アジアにおける民主主義、平和、人権、労働組合の自由の闘いは続いており、権威主義や労働搾取は依然として課題である。労働組合の強化、国際労働基準の施行、デジタル変革の責任ある導入が重要だ。

講演後には、福井洋損保労連事務局長は、アルゴリズムによる労働管理が日本に導入される可能性について言及し、「その際に労働者の納得感や働きがいに差が生じるかどうか。もし差が生じる場合、労使協議で特に重視される観点は何か、またアルゴリズム導入後に従業員からフィードバックを得る仕組みや、働きがいを高めるためにどのような工夫がされているか」と質問した。

また、UNI Apro青年委員を務めている横内愛咲UAゼンセン運動推進局局員は、UAゼンセンの多くの組合が若者への教育機会を設けているものの、意思決定機関に若者を参加させる進展が低い現状を報告し、「青年が意思決定機関に参加するために一番大切なことは何か、また海外での先進的な青年活動の事例」について質問した。