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コービン英国労働党党首、UNI世界大会で連帯挨拶

第5回UNI世界大会は、2018年6月17日、開会式を迎えた。来賓として登壇した、ジェレミー・コービン英国労働党党首は、ナショナリズム(国粋主義)の高まりを厳しく非難し、進歩的で互いを尊重する国際主義のビジョンが各国に受け入れられるよう、国際労働運動が果たす役割に期待した。

「世界の経済システムは、グローバルノース(北半球の先進国)とグローバルサウス(南半球の途上国)のわずかな国のためだけに機能しているのは明らかだ。多くの人々が代替案を探している。国際労働運動は、我々が持つ社会志向の価値を、世界中の働く仲間のための代替案にするために頑張らなければならない」と訴えた。

英国ではコービン党首は、「合法的な従業員への責任を逃れようとするウーバーのような会社でも、全ての労働者が、採用された初日から完全な権利を得、偽の個人事業主をなくす」ための計画を打ち出した。

「歴史上、真に革命的な変化は、政治家や指導者によって後世に残されたわけではない。人々を組織することによって、共に成し遂げられたということを忘れてはならない」と、コービン党首は、労働者が国境を越えて組織化される必要性を繰り返し強調した。

コービン党首はまた、人類にとって4つの大きな脅威を挙げた。気候変動、難民の窮状、軍事力の行き過ぎた使用、世界におけるとてつもない格差のレベルである。

「これらの問題は、国際協力、連帯、そして共同のアクションがなければ、解決できない。そして、国際労働運動のサポートがなければ解決できない課題でもある。」

フィリップ・ジェニングスUNI書記長は、コービン党首の演説を受けて次のように述べた。「ジェレミーのビジョンは英国の何百万人もの人を感動させただけでなく、世界の何千万人もの人々を勇気づけた。今日、世界中から結集した労働組合リーダーは、彼の強力で明確なメッセージを聞くことができた。企業の強欲と格差と闘う喚声と受けとめるだろう。」

最後にコービン党首は、「我々は大きな障壁に直面しているが、自分たちの労働組合と、UNIのような国際産業別労働組合それぞれにおける団結の力によって支えられている」と述べ、「我々は一握りのためではなく、多くの人々のためにひとつになって、共に闘っている力強い運動だ。連帯!」と締めくくった。


UNI世界大会開幕

第5回UNI世界大会がリバプールで開幕した。アン・セリンUNI会長は、労働組合の街として知られるリバプールの歴史と精神に敬意を表した。会場となったアリーナ&コンベンションセンター、エコー・アリーナは世界中から参集した2,500人を超える労働組合リーダーで溢れかえった。「強力で誇り高き労働組合の街リバプールの歴史は、UNI世界大会を開催すのにふさわしい。会場からすぐのところにある、ビートルズ・ストーリー博物館は、最近、組合承認協定を結んだ。恐らく私たちの存在が役立ったのだろう」と喜んだ。

セリン会長は、アフリカ、アジア太平洋、米州、欧州のUNI加盟組織に、問題に直面している世界中の労働者に連帯を示し、共に立ち上がろう、と呼びかけた。「我々は日々様々な課題に直面している。デジタル革命、地球温暖化、格差や富の配分の不平等が拡大している。労働者の状況はもっとよくなっていいはずだ。」

国際連帯の重要性をあらためて強調し、セリン会長は、「事業が国内で行われていた時代は労働組合も国内課題を扱っていた。今は事業がますます国際化している。だから我々労働組合も、国際的な視野を持たねばならない。」

「我々は常に、貧困削減、正義、平等、ディーセントな仕事、公正な賃金、そして基本的人権を求める闘いの最前線にいなければならない。とりわけ、誰もが人間らしい有意義な生活を送り、職場で尊厳を得られるよう、平和を求めて闘わなければならない。」

「生態系の持続可能性も優先課題だ。子供たちのために地球を救わなければならない。地球が死んでしまえば仕事も何もない。」

「この偉大な街からインスピレーションを受けている。我々は勇敢で、挑戦する勇気があり、他とは違う。」

力強い演説の最後に、セリン会長は「何事も成功するまでは不可能に思えるものだ」というマンデラの言葉を引用した。「リバプールで大きな夢を抱こう!我々は世界中の労働者にとって希望の光となる。我々は実現している。」


UNI Apro執行委員会、パートナーシップ労使関係の重要性を再認識

第24回UNI Apro執行委員会が、2018年5月9~10日、シンガポールで開催された。

開会にあたり、野田UNI Apro会長は、「2015年のUNI Apro地域大会で採択されたブレイキングスルー戦略に基づき、アジア太平洋地域の各加盟協・各部会を中心とした活動は着実に前進をしている。アジアの時代が到来する中、労働組合の果たすべき役割もますます高まっている。本委員会の意思統一を踏まえ、更に運動を強化していこう」と挨拶した。

ジェニングスUNI書記長の代理として出席したホフマンUNI副書記長は、現下の世界政治情勢に触れ、フランスやブラジル等において労働運動や民主主義に対する攻撃が続く一方、ジャーナリスト、エコノミスト、思想家等が、「団体交渉は経済成長に寄与する社会的公共財。労働組合は格差是正の解決策になる」との認識を持ち始めるなど良い兆しもある、と述べた。野田UNI Apro会長は、39日後に迫ったUNI世界大会で選出予定のホフマン新書記長を、UNI Aproとして支えていくと激励した。

ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro書記次長から各部会の成果報告を受けた後、各国の委員から報告を受けた。

宮井UNI Apro金融部会議長は、アジア開発銀行(ADB)との関係強化の取組み成果を報告し、継続の重要性を訴えた。八野UAゼンセン副会長は、昨年の各部会大会で確認した声明に明記された、公平な成長と包摂的社会経済開発を維持するためのパートナーシップ労使関係の重要性を想起し、国や労働法は違っても、UNI Aproとして推進していくことをあらためて提起した。

これを受け、ウン地域書記長は、パートナーシップ労使関係の実践によって、労働組合が脅威とは見られず、パートナーとして経済統合プロセスへの関与を歓迎されるようになったASETUC(ASEANサービス労組協議会)の実例を繰り返し強調した。また、ADBとの関係強化については、UNI Aproの信頼性が高まるだけでなく、UNI Aproの影響力を高める上でも有益であると述べ、関係強化の取組みを継続していくと約束した。

2019年の第5回UNI Apro地域大会、女性大会については、ネパール・カトマンズでの開催を決定した。

 


フィリピン金融労組との情報交換

UNI-LCJ金融部会代表団は、フィリピン・マニラで開催されたUNI Apro金融部会委員会並びにADBとの共同フォーラムに合わせ、2018年5月4日、フィリピンの加盟組織、金融労組(NUBE-IFO)と情報交換を行った。

午前中、UNIフィリピン加盟協(UNI-PLC)青年委員会が10年以上に渡り取組んでいる社会貢献活動の1つ、パヤタス地区の貧困家庭の児童への給食活動を体験した。レイナー・クルスNUBE-IFO副委員長(元青年委員会議長)は、社会一般、特に若年層が抱く労働組合のイメージを刷新する目的で、このパヤタス給食プロジェクトを始めた、と経緯を語った。「労働組合は企業内の労働者の条件改善のためだけの、抵抗する、古い組織だと思われている。貧困対策等の社会的課題にも目を向け、働く者どうし連帯することにより、また社会パートナーとの建設的な対話を通じて、社会を変えていくことができる組織であることを伝えたい。」

貧困対策は産別ではなくナショナルセンターが取組むべき課題ではないか、という質問には、フィリピンの労働運動はナショナルセンターが複数存在するなど分裂しており、結束して課題解決に取組む体制が弱いとの実情が吐露された。

エクシー委員長は、フィリピンの金融産業の現状と傾向、労働組合の課題、労使関係を説明し、デジタル化時代に合わせた銀行労組(旧名称NUBE)の組織改革について説明した。組織化については、未組織のユニバーサルバンク、農村銀行、保険会社、銀行へのITサービスプロバイダー等をターゲットとする他、どの産別にも未加盟の独立労組の加盟や、管理職の組織化を重点目標とする。重点課題は、労働基準の遵守及び監督システムの改善、ジェンダーに基づく暴力の廃絶、業務の自動化・AI化への組合の効果的な対策策定、契約労働をはじめとする不安定な雇用形態の蔓延防止等である。フィンテックへの意識啓発活動としては、まず将来の働き方への影響を分析し、従来の対応では不十分であることを踏まえ、労働組合として、この大きな変化を止めるのではなく、コントロールすることが重要であることを組合員に周知していく。フィンテックへの対応としては、AI導入に関するルールの策定に労働組合も参画すること、AIシステムに「人間が指揮する」アプローチを採用すること、前線で働く従業員をAIで置き換えるのではなくサービス強化のために使うことを原則に、「倫理的なAI」条項を協約に入れるよう交渉していく。

NUBE代表団は2016年3月に来日し、UNI-LCJ金融部会と情報交換を行っている。エクシー委員長は、UNI Apro金融部会加盟組織として、今後もUNI-LCJ金融部会と情報交換を密にしていきたいと述べた。

 


ADBとの共同フォーラム「金融産業におけるデジタル化の傾向と雇用へのインパクト」

第2回UNI Apro金融部会/アジア開発銀行(ADB)共同フォーラムが、2018年5月3日、フィリピン・マニラで開催され、65人が参加した。「金融産業におけるデジタル化の傾向と雇用へのインパクト」をテーマに、活発な意見交換が行われ、デジタルディスラプション(デジタル化の波がこれまでのビジネス秩序を覆し破壊すること)が続く中、金融産業で働く労働者にとっての急務の課題に対応するため知見を共有した。

ADB年次総会に合わせ、UNI Apro金融部会が共同フォーラムを開催するのは2回目である。

「ASEAN+3(日本、韓国、中国)におけるデジタル化の仕事、スキル、雇用への傾向」と題する知識共有セッションではまず、ADBの経済開発部のラナ・ハッサン部長から、テクノロジーと仕事に関するADB調査報告書の概要について報告を受けた。続いて、モーテン・クラウセンUNI欧州金融部会規制政策担当が、フィンテックと雇用喪失に関するUNI金融部会アンケートの結果を説明した。

向浦全信連副議長と、ボビー・テイ・シンガポール銀行労組書記長は、日本とシンガポールそれぞれにおけるフィンテックの影響について現状と課題を報告した。

「フィンテックにおける、人工知能を活用したイノベーションのインパクト」と題するセッションでは、インテリジェント・ソリューション&コンサルタンシー社取締役、マノダ・ガマジ博士から基調講演を受けた。このセッションでは、顧客の新たな期待に応える新たなビジネスモデルを開発するプラットフォーム等、人工知能(AI)を活用した銀行・保険会社にとっての新たなビジネスについてのアイデアや提案が議論された。司会を務めたクン・ワルダナUNI Apro ICTS部会担当部長は、「AIで人々のライフスタイルも変化し、金融機関の仕事も変わり、機会も生まれている。イノベーションには、迅速さと創造性、生涯学習の意欲が鍵となる。労働組合として、連帯してベストプラクティスを共有し、社会パートナーとの対話に積極的に関わっていくことが重要だ」とまとめた。

宮井UNI Apro金融部会議長は閉会に際し、ガマジ博士からの「銀行だけでなく個人もイノベーションを受け入れること、AIと人との組み合せで最良の顧客対応ができるはずだ」というメッセージを受け、「一人ひとりが考え、行動を変えていかなければならない。労働組合は組合員のチャレンジを後押しできる環境整備を、会社や行政に働き掛けていく必要がある」とし、「人間に焦点を当てた取組みが今一層求められている」と述べた。


UNI Apro金融部会、金融包摂にデジタル化の活用を

第20回UNI Apro金融部会委員会が、2018年5月2日、フィリピン・マニラで開催され、日本、マレーシア、フィリピン、シンガポール、スリランカ、ネパールから委員及びオブザーバー、事務局等、24人が出席した。5月3日から開催されるアジア開発銀行(ADB)年次総会に合わせてUNI Apro金融部会委員会が招集され、翌3日には、昨年の横浜に続き、第2回目のUNI Apro金融部会/ADB共同フォーラムが開催される。

開会式では、地元フィリピンの金融労組(NUBE-IFO)を代表し、エクシー委員長が参加者を歓迎した。NUBE(銀行労組)は、デジタル化の進展に合わせ、保険労組や他の金融機関労組も組織するため最近、組織範囲を拡大し、NUBE-IFOへと名称変更を行った。1980年代、銀行にATMが導入された時にも雇用喪失が懸念されたが、今日起きている変化の流れは止めることができない。だからこそ、組合は変化の有り様を管理しなければならず、そのため、金融産業で働くより多くの労働者を結集し、変化にうまく対応するため政労使の議論に積極的に関与していくべきだと訴えた。

ウンUNI Apro地域書記長は、労働組合のイメージを変えることがメーデー生まれの自分のミッションであると強調した。「労働組合は一企業の労働者だけのための組織ではなく、産業及び国を発展させていくことができる建設的な組織であるという理解が、まだ社会に定着していない。」同時に労働者に対しても、「権利があるから組合をつくるのではなく、社会に対する責任があるから組合に入る」という意識を持たせることに取組んできた。「でなければ、単に自分たちの利益を守るためだけの組織になってしまう」と40年に渡り訴え続けてきた。ADB年次総会に合わせて共同フォーラムを開催する意義についても、「職場の労働争議に影響力を行使するだけではなく、国際的課題の戦略を形成する場に労働組合ももっと積極的に参画していかなければならないからだ」と繰り返し強調した。ADBは重要な国際機関であり、開発支援や雇用に関する政策は我々に大きく関係する。

宮井UNI Apro金融部会議長は、「フィンテックの影響にはネガティブな側面とポジティブな側面がある。両方の側面について知見を共有し、職場の課題や社会の様々な課題をフィンテックの活用により解決していく知恵を出し合おう」と述べた。

UNI世界金融部会委員会(サンパウロ)の報告として、宮井議長は、米国の銀行産業で100万人が雇用されているにもかかわらず組合が無いために、弱い立場に置かれた労働者が過剰なノルマを課される他、銀行への批判が起こりにくいことから、様々な問題が発生していると指摘し、「組織化を進めなければ、欧米のみならずUNI Aproでも同じ問題が起こるだろう」と警鐘を鳴らした。

プリヤラルUNI Apro金融部会担当部長は、世界経済フォーラムが主催した、金融産業におけるデータ保護に関するワークショップの議論を共有した。「選挙で情報操作が行われると政治に影響する。金融産業においてもデータが濫用されると顧客の懐疑心が高まる」と述べ、データ保護をもっと意識すべきだと強調した。

第5回UNI Apro金融部会大会(ジャカルタ)で採択されたUNI Apro金融部会行動計画について、マレーシアのキャサリン委員がASEANにおける取組み計画を説明した。ASEANには多くの金融・銀行労組が存在するが、組合員数が減少しており、特にマレーシア、フィリピン、シンガポールの加盟組合に対し、タイ、ベトナムの労組との関係強化に協力を要請した。タイ、ベトナムの労組との連携を確立した後、リーダー育成を行い、ASEAN銀行労組協議会(ABUC)の再構築を図る計画である。

スリランカには34の銀行があり、うち19銀行しか組織されていない。従業員の平均年齢は低下しており、若年層は組合に対する関心が低い。このような世代を組織化するため戦略を練り直し、従来とは異なる手法での組織化に取組み始めたところである。

保険産業における気候変動及びインシュアテックのインパクトについては、宮井議長が、世界的な異常気象を背景とした日本の保険業界及び労組の取組みを報告すると共に、インシュアテックの実例を紹介した。また、インシュアテックの進展により保険産業の構造や組合員の働き方が大きく変化することが想定される中での労組の取組みについても述べた。


女性役員の育成には共感力が必要!

2018年4月24日、東京で、UNI-LCJ女性ネットワーク会議が開催され、10組織から40人が出席した。

目的は、UNI及びそのアジア太平洋地域組織(UNI Apro)の女性委員会が取組むジェンダー平等促進活動について、理解を深めることと、UNI-LCJ構成組織で活躍する女性役員から経験を聞き、UNI-LCJ構成組織の女性のネットワークを広げることであった。

第1部ではまず、小川UNI Apro機会均等担当部長が、UNI/UNI Aproのジェンダー平等促進活動及び6月のUNI世界女性大会について簡単に紹介した。

続いて、UNI Apro女性委員を務める、杉山真裕子全印刷中央執行委員と、新田真帆損保労連中央執行委員から、昨年11月のUNI Apro女性委員会での議論や出席した感想、組織における女性を含めた役員の育成等についての有益な経験を聞いた。

第2部では、UNI-LCJ構成組織の中央本部で役員を務める、古賀初代印刷労連副中央書記長、高橋桂子生保労連中央副執行委員長、小出真理子全労金書記次長、三木佳世子日放労中央執行委員をパネリストに迎え、組合役員になったきっかけから、ワークライフバランスの秘訣、政府が進める女性活躍推進政策に対する意見、労働組合における女性の参画の進展、更にはデジタル化によって女性労働者の働き方はどう変わるか、まで示唆に富んだ経験や意見を聞いた。また、自らの経験から、組合役員としての苦労や良かった点についても共有し、最後に後輩女性へのアドバイスがあった。

また、UNI世界女性委員会の議長を務める、英国Prospectのデニス・マクガイア委員長から、参加者にビデオメッセージが届いた。冒頭、2010年、長崎でのUNI世界大会に参加した経験を懐かしみ、リバプールでも良い思い出をつくってほしいと述べた。リバプールは「労働組合の街、強い女性の街」であると紹介し、UNI世界女性大会・世界大会で、日本の多くの女性代議員が大会議論に積極的に参加することを期待した。


UNI世界金融部会、ブラジルの民主主義を守る闘いに連帯を表明

UNI世界金融部会委員会が2018年4月5日、開催され、16か国から26人が出席した。今回はベルロファ議長が所属するContraf-CUT大会に合わせて、ブラジル・サンパウロで開催された。UNI Apro金融部会から、宮井議長、プリヤラル担当部長が出席した。

ベルロファ議長は、開会挨拶の中で、ブラジルの労働運動全体が取組んでいる民主主義擁護の闘いについて説明した。ルーラ元大統領は労組出身で、任期中、貧困削減と格差是正に取組み成果をあげた。しかし現在は収賄・資金洗浄等の嫌疑がかけられ、今年10月の大統領選挙に出馬できないようにする動きがある。前日、ブラジル全土のみならず南米中が注目する中、最高裁が同氏に対する人身保護令適用を却下したことで、逮捕され12年の刑に服する可能性が出てきた。ベルロファ議長は、これはブラジルの民主主義に対する攻撃だと懸念し、委員会出席者から次々とブラジルの労働運動への支援が表明された。

組合・コミュニティ・オルグのラーナー氏は、米国における銀行組織化の取組みがなぜ必要か、なぜ米国以外の労働組合の支援が必要かを、「金融労働者の集団行動で生まれる下からの規制」を事例に説明した。20世紀末に経済活動における金融市場や金融機関の重要性が増す中で、銀行の役員報酬が高騰し、レバレッジドバイアウトやプライベートエクイティによる投機的投資が当たり前になり、金融機関はハイリスクでハイリターンを得ることが可能になった。米国の銀行業界は大手6行で支配されており、世界の金融システムにも影響を及ぼす力を持つ。6行で米国のGDPの6割に匹敵する資産を有し、5行で世界の資本市場の7割を占める。大手米銀は規制を回避するようロビー活動を行う政治力と経済力を持つ。一方、中流階級以下の賃金は停滞し、格差は拡大、経済は不安定化し、経済危機を引き起こす結果となった。多くの国で銀行の従業員を代表する組合があり、基本給は高い。リスクの高い商品を押し売りすることなく、責任ある販売を奨励し、労働者と消費者を保護する交渉もできる。米国の銀行には組合が無いため、団体交渉ができず、低賃金で保護が殆ど無く、パフォーマンスは毎日モニターされ、ボーナスやインセンティブは成果に基づき払われる。過度なノルマからくるストレスやプレッシャーも抱えている。そのような中で、ラーナー氏は、「銀行改善委員会」と全米通信労組(CWA)を通じ、ウェルズファーゴとサンタンデール銀行で、顧客に有害かつ威圧的な雇用関係を明るみにした集団行動の成功事例(下からの規制)を挙げた。ウェルズファーゴでは、最高額の罰金を科せられトップが辞任に追いやられたスキャンダルの発覚につながった。スペインに本社があるサンタンデール銀行は米州で広く事業を展開しており、殆どの国に組合はあるが米国やプエルトリコ等には無い。米国サンタンデール銀行従業員は団結し、オートローンの略奪的かつ欺瞞的な販売行為を内部告発した他、中米プエルトリコの経済破綻につながった同行の利益誘導行為と規制逃れの実態を喚起した。ラーナー氏は、「銀行の交渉相手として組合が認知されれば、米国だけでなく、世界の金融システムの安定と、各国経済にプラスの影響を及ぼし得る」とした。団体としての権利が強化され組合があれば、従業員のより良い賃金・労働条件を交渉することができ、従業員は失職を恐れることなく、略奪的な商品の販売、役員の天下り、規制逃れ等、濫用的な行為を内部通報することもできる。南米の委員からは、「これは米国の銀行だけの問題ではない、米国の大手銀行の悪しき慣行が他国に広まらないよう、米国の銀行における組合結成に向け全力で支援していく」との連帯が表明された。

 

各地域報告として、宮井UNI Apro金融部会議長は昨年開催されたUNI Apro金融部会大会の議論の概要を報告し、ブドルフセンUNI欧州金融部会議長は2月に開催されたUNI欧州金融部会大会について報告すると共に、リバプール世界大会動議3「持続可能なグローバル経済のための労働組合」にESGの支持等を含める文言をUNI世界金融部会として追加提案することを提案・説明し、委員会はこれを確認した。

また、2019年に開催予定のUNI世界金融部会大会の開催地・時期について、10月頃、ポーランド・ワルシャワとの提案があった。理由は、政府や使用者が労働者を尊重しない国で奮闘する金融部門の労働者に連帯を示すためである。

4月6日夕方から、第5回Contraf-CUTが開催された。労働組合関係者及びUNI金融部会代表団は6日、逮捕令が出されたルーラ氏が滞在する金属労組本部にかけつけ、同氏を激励した。ルーラ氏は7日に出頭し収監された。UNIをはじめとする国際労働運動とブラジルの加盟組織は、この間一貫してルーラ氏の無罪を主張している。


UNI Apro金融部会、ADBとの協力強化

2018年3月12日午前、UNI Apro金融部会代表団はフィリピン・マニラにあるアジア開発銀行(ADB)本部を訪問し、赤松範隆シニアアドバイザーと、5月のADB年次総会に合わせて開催予定の共同フォーラムのコンセプトについて意見交換を行った。昨年、UNI Apro金融部会は横浜でADBと初めて共同フォーラムを開催し、デジタル化や新たなテクノロジーが金融サービスと雇用に及ぼす影響について現状認識を行った。第2回目となる今回は、FinTechがもたらし得る新たな金融サービス及びビジネスモデルの可能性や、サイバーセキュリティ防止の観点からの国際協力の可能性について議論を行う方向性で一致した。

UNI Apro金融部会代表団は、同日午後、フィリピンの加盟組織NUBE(銀行労組)事務所を訪問し、NUBE役員と面会した。エクシー・ニエダNUBE委員長は歓迎の挨拶を行うと同時に、NUBEの新しいロゴの意味を説明した。宮井UNI Apro金融部会議長は、新生NUBEの更なる発展を祈念し、ASEANにおける金融労組の組織拡大と結束強化への貢献を期待した。


労働組合と平和―UNIは平和への取組みを続ける

7年ぶりに長崎を再訪したフィリップ・ジェニングスUNI書記長は、「核兵器の終わりか、それとも、私たちの終わりか」という、ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)がノーベル平和賞を受賞した際の、ベアトリス・フィン事務局長の演説の一節を引用した。長崎は、2010年のUNI世界大会の開催地。その大会でUNIは、核兵器のない世界を創る取組みを確認した。「私たちが終わる」脅威。世界中にはまだ1万5千発を超える核兵器が存在する。ジェニングスUNI書記長は、長崎の平和大使として世界に核兵器廃絶を訴え続けてきた。

UNI-LCJは3月1日、長崎で、ジェニングスUNI書記長の再訪を歓迎する会を開催し、当時のUNI長崎連絡会役員及び加盟組織役員等40人が集まった。中村法道長崎県知事、田上富久長崎市長も出席した。田上市長は挨拶の中で、「分断された世界において、平和の構築に労働組合の声は極めて重要だと認識している」と述べた。生存する被爆者が減っても、平和へのメッセージが忘れられてはならない。ジェニングスUNI書記長は、「労働組合は平和運動と連携し、長崎及び広島の被爆者の経験を語り継いでいく義務がある」と訴えた。

中村県知事は、UNIが長崎で大会を開催したことにあらためて感謝した。その上で、6月に退任するジェニングスUNI書記長に、今後も「長崎奉行」として長崎の思いを世界に発信し続けてほしいと期待を寄せた。

2010年以降も、UNIと長崎との友好関係は続いており、毎年スイスにあるUNI本部に長崎からの平和大使を受け入れ交流している。UNIはICANとIPB(国際平和ビューロー)のメンバーでもある。「平和」は6月に英国・リバプールで開催される第5回UNI世界大会の議題としても取り上げられる。平和はUNIの取組みの中心にある。なぜなら、社会正義がなければ平和が構築できるはずがないからだ。「平和なくして正義なし、正義なくして平和なし。」

UNI運動の目標は150か国から集う加盟組織の間に連帯を構築することである。2017年だけで15万7千人もの尊い命が紛争で失われた。犠牲になるのは人々であり、荒廃した国を再建するのも人々である。150年前、英国・マンチェスターで初の労働組合会議が開催された時から、労働運動は常に平和運動の推進者でもあった。

世界を見れば、労働運動はいつも勇気をもって危険をかえりみず、平和を求める闘いの中心にあった。独裁者に立ち向かい、民主主義と人権を求めて闘い、時には命を落とすこともあった。コロンビア、南アフリカ、北アイルランド、チュニジア、チリ、ブラジル、アルゼンチン、フィリピン、ネパール、インドネシア…労働組合がいかに民主主義、社会正義、そして平和のために立ち上がったかはあまり語られないが。

2007年のICAN創設以来、より多くの平和・核兵器廃絶推進団体が連携を図り、2017年7月7日、122か国が賛成し、核兵器禁止条約が採択された。現在まで50を超える国が批准した。地雷及びクラスター爆弾禁止条約もこの動きを後押しした。

2010年のUNI長崎世界大会で、核兵器のない世界の構築に向けた新たな勢いが感じられた。世界週末時計が深夜まであと2分と迫る中、我々はこの取組みを継続していかなければならない。

ジェニングスUNI書記長は最後に、2017年のノーベル平和賞受賞式で演説した広島の被爆者、サーロー節子氏の言葉を引用した。「今日私は皆さんに、広島と長崎で非業の死を遂げたすべての人々の存在を感じていただきたい。皆さんに、私たちの上にそして私たちの周りに、 25万人の魂の大きな固まりを感じ取っていただきたいと思います。その一人ひとりには名前がありました。一人ひとりが、誰かに愛されていました。彼らの死を無駄にしてはなりません。」

UNIリバプール世界大会では、 時が流れても、犠牲者の死が決して無駄にならないよう、我々は取組みを進めていくことを示す。


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