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中南米のメディア・舞台芸術関連の労働者、約9割が暴力やハラスメントの被害に

UNIメディア部会と国際俳優連合(FIA)が3月18日に発表した調査報告書が、中南米の視聴覚・舞台芸術部門において労働者に悪影響を及ぼしている根深い性差別、差別、暴力、ハラスメントの文化に、スポットライトを当てた。この産業における暴力とハラスメントに関して、初めて組合が行った調査であり、最も被害を受けているトランスジェンダーおよびノンバイナリーの労働者を含めたものとして、初の地域レベルの取組みとなった。

調査は、中南米16か国を対象とし、1,423人から回答を得た。ただし、回答の大半は、アルゼンチン、ブラジル、チリ、コロンビア、メキシコ、ペルー、ウルグアイの7か国から寄せられたものであり、その他の国からの回答は36件である。

調査によると、回答者の89.4%が、職場で暴力やハラスメントの状況を経験したことがあると答えている。その内訳は、トランスジェンダーまたはノンバイナリーの労働者が95%、女性が87%、男性が70%であった。

回答者の37.4%が、職場でセクシャルハラスメントの被害を受けたことがあると答えた。また42%が、職場のハラスメントやセクハラ、ジェンダーに基づく暴力の事例を拒絶し、または報告するために介入したことがあると答えた。メキシコでは、半数以上の54%が、職場でセクシャルハラスメントを受けたことがあると回答した。

回答者の半数以上となる55.4%が、職場環境におけるセクシャルハラスメントの状況を認識したことがあると回答し、最も多いのはメキシコの68.5%であった。

ペルーでは、回答者の65.4%が、自分または同僚の誰かが暴力やハラスメントの被害を受けたために、仕事に行くのが怖い、または行きたくないと思ったことがあると回答した。その割合が最も低いウルグアイでも、半数以上の52%が同様に回答した。地域全体では、その割合はトランスジェンダーおよびノンバイナリーの人で86.5%、女性で61.7%に上った。

女性の81%、トランスジェンダーおよびノンバイナリーの労働者の76%が、職場環境で「マイクロマチズモ」(男性優位社会の日常生活に埋め込まれた、言葉使い、思考、意識、ふるまいや習慣的行動のこと)を経験したことがあると答えたのに対し、男性で同様の回答をしたのは、26%であった。これは、男性優位の思考やマッチョな行動が常態化しており、女性やトランスジェンダー、ノンバイナリーの回答者が、萎縮、抑圧させられ、追いやられた立場に置かれている状況を示すものだ。

トランスジェンダーおよびノンバイナリーの労働者の73%が、「上司や同僚の誰かに無視されたり、過小評価されたりしたことがある」と回答しており、女性の61%、男性の41%に比べ、その割合は高い。

また、トランスジェンダーおよびノンバイナリーの労働者の75.7%が、ジェンダーに基づく暴力によってキャリア形成が制限されたことがあると答え、女性の55%に比べて高い割合となっている。同じ理由でキャリア形成を制限されたと感じたことがあると答えた男性は27.5%であり、ちょうど女性の半数である。

暴力やハラスメントに対する苦情を言うことについて、回答者の70%が「内部告発は悪い結果につながる可能性がある」と考えている。さらに、使用者はこうした事例に対して取るべき措置を心得ていて信頼できる、と答えた回答者は、わずか26%であった。この2つの傾向は、調査で確認されたすべての国、部門で見られた。

UNI世界メディア部会副議長を務めるブラジルのソニア・サンタナSindcine委員長は、「今回の取組みは、中南米の各国に対する非常に重要な調査であり、職場の暴力やハラスメントを理解し、それに立ち向かっていくための知識を与えてくれる。中南米には全体的にマッチョな文化があり、立ち向かっていかなければならない。ハラスメントの形態を明らかにすることは、そのための方法の1つだ」と、調査の意義について語った。

アリシア・ドリオッティFIA副会長は、「職場環境における女性やトランスジェンダー、ノンバイナリーの労働者に対する暴力は、嫌がらせ、セクハラ、差別待遇、賃金差別、雇用制限、ガラスの天井など、さまざまな形で現れている。我々は、具体的な政策を推進していくために、明確で正確な分析を緊急に必要としていた。この調査は、より公平で望ましい労働条件を生み出し、安全で尊厳のある、平等で多様性を尊重する職場づくりをしていくために、分析を行い、必要なネットワークを構築していく上で、素晴らしいツールだ」と述べた。

また、この報告書には、こうした問題に関する教育・訓練・広報活動、プロトコル、団体交渉、地域間の労組ネットワークなど、組合に対する重要な提言も盛り込まれている。

調査で集まった匿名の証言:

―妊娠を理由に、2つのコメディーから、リハーサル途中で「引退勧告」を受けた。

―ある面接で部長からキスを求められ、断ると「本当にこの仕事がしたかったら、どんなことでもするはずだ」と言われた。

―役に起用する代わりに、飲みに誘ってくるプロデューサー

―監督の挨拶時に「社交上の義務」としてハグをする際、適切な時間よりも長かったり、合意のないまま接触する等の不適切な行為があった。

―舞台上での不当な扱い、冗談や軽蔑を含んだ口調での嘲笑や侮辱

―部下は全員男性で、私が上司になるのを嫌がっている。私の指示には疑問を持つが、男性が同じ指示を出せばそれに従う。

関連資料:UNIおよびFIAによる中南米における暴力とハラスメントについての調査(英文)


UNI、ウクライナ難民の支援に向けたプログラムを構築

photo@Shutterstock(2022年3月9日、ポーランド・ワルシャワの鉄道駅で
ウクライナ難民を支援するボランティア)

ポーランドに到着したウクライナ難民を支援するプログラムについて、UNIが準備を進めている。

このプロジェクトは、ポーランドにあるUNIの中欧組織化センター(COZZ)を通じて実施され、ポーランドに滞在するウクライナ人が自らの権利を知り、仕事を見つける手助けを受けられるよう、支援やアドバイスを提供する予定だ。

国連によると、ウクライナの戦火から逃れてきた難民はこれまでに300万人に上り、そのうち180万人がポーランドに避難している。ワルシャワや首都近郊には、女性や子ども等23万人が仮設住宅に滞在しているが、プログラムはまず、この地域を対象とする。UNI関係者によると、難民はすでに仕事を探すため列をなしており、さらに数十万人以上のウクライナ難民がワルシャワを通過している。

10~15人程度が直接関わる予定のこのプロジェクトは、国内のUNI加盟組織と協力し、難民やウクライナ人コミュニティとすでに交流のある3つの支援団体と連携していく。

また、UNIはヘルプラインを設置し、必要とされる実用的な情報を提供する予定だ。

最初の取組みの1つとして、難民の権利や手当、適正な給与を含むポーランドのさまざまな種類の雇用契約に関する、ウクライナ語およびロシア語のリーフレットを作成する。

ラファル・トマシアクCOZZ事務局長は、「このプロジェクトは、必要なアドバイスと支援を提供し、難民が仕事を見つけるのを手助けし、搾取の危険にさらされないようにするものだ」とその意義を説明し、「人々ができるだけ早く現場にいけるようにしたい」と意気込んだ。

より長期的な戦略としてUNIは、ポーランド、チェコ、ハンガリーにおいて難民のケア分野への就職を支援する3か年計画を開始する予定だ。このプログラムでは労働者の職探しを支援すると同時に、語学研修も行い、労働者を優良な使用者につないでいく。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「UNIは、ロシア軍によるウクライナ民間人への容赦ない爆撃に慄然としており、一致して即時停戦を要求している。この戦争によって、多くのウクライナ人の住まいや生計が破壊されており、職を得ることは優先課題だ。このプログラムは、ポーランド、チェコ、ハンガリーに逃れた難民に実用的な支援を提供するものだ」と述べた。


UNI、ウクライナの平和と対話に向けたITUCの呼びかけを支持

UNIは、国際労働組合総連合(ITUC)と欧州労働組合総連合(ETUC)が発表したウクライナにおける平和の呼びかけ及び声明を支持する。

ITUCとETUCは、ウクライナ東部における敵対行為と紛争の即時停止と、人々の利益のために危機を解決するよう、誠実な交渉の実施を呼びかけている。

アントニオ・グテーレス国連事務総長は、ロシア大統領府が2つの分離派支配地域の独立を承認する決定を下したことについて、国連憲章の原則に反するものであり、ウクライナの領土保全に対する侵害であると指摘した。また、2015年の国連安保理決議第2202号で承認されたミンスク合意に従い、ウクライナ東部紛争の平和的解決を呼びかけた。欧州安全保障協力機構も非難を表明している。

シャラン・バローITUC書記長は、「ミンスク合意が履行されず、多くの人命が失われ、人々は7年間苦しみ続けてきた」と述べ、「紛争が人為的に煽られ、ここ数週間で、さらに何百もの停戦違反が起きている。平和の架け橋を築く代わりに巨額の軍事費が費やされ、攻撃的なレトリックによって、さらなる不安定が引き起こされている」と非難した。また、「現在生じている紛争によって、ロシアとウクライナの両国のみならず、欧州の他の地域の経済にも大規模な影響が及んでいる。紛争がエスカレートし、壊滅的な結果をもたらす危険性は現実のものであり、紛争の根本原因に対処する誠実な対話が行われるまで、この状況は続くだろう」と指摘した。

共通の安全保障

ETUCおよびITUC汎欧州地域協議会(PERC)のルカ・ヴィセンティーニ事務局長は、「欧州委員会と欧州理事会の議長、そしてEUの上級代表は、国連事務総長の声明と同様、ウクライナの領土保全とミンスク合意を支持する強い声明を発表している」とした上で、「すべての政治指導者は、戦争を回避し、妥協案を探り、合意を尊重する勇気と、人々に利益をもたらす、共通の安全保障に不可欠な基盤となる持続可能な経済を構築する知恵を持たなければならない」と力説した。

また同氏は、「検証や対話の手段を提供する INF 条約や領空開放条約といった共通の安全保障措置の崩壊は、50 年近く平和を支えてきたヘルシンキ合意における規定の全般的な弱体化と関連している」と指摘し、「この重要な枠組みが完全に崩壊し、すでに進行している欧州の軍事化がエスカレートする可能性が現実味を帯びてきた」との懸念を表明した。そして、「かつてヘルシンキでなされたように、共通の安全保障の枠組みを構築するため、関係する全ての政治指導者を結集させる緊急措置を求める。世界が必要としているのは新たな社会契約であり、これ以上の紛争ではない。我々に必要なのは、人々と雇用、平和と安定への投資だ」と訴えた。


国際労働運動、コロンビアに選挙監視団を派遣

3月13日にコロンビアで行われる議会選挙を監視するため、中南米、カナダ、米国から数十人の労働組合の活動家および人権活動家が、同国に入国予定だ。

この国際代表団は、コロンビアで社会的指導者の殺害が増加していることを懸念する同国の中央労働組合(CUT)、コロンビア労働総連合(CTC)、全国ストライキ委員会の招きを受け、UNIが組織したものである。

マルシオ・モンザネUNI米州地域書記長は、「コロンビアの人々は、公正で透明性のある、平和で自由かつ民主的な環境下で実施される選挙プロセスを手にして当然だ」と述べ、「我々が存在することで、公正な選挙を確保すべく世界が情勢を注視していると、知らしめることができる」と、その意義を語った。

UNIは、世界150か国、900加盟組織の2,000万人の労働者を代表し、団体交渉の拡大、社会的・経済的正義の促進、企業の責任追及、不公正な世界経済の変革を目指している。

男性54人、女性31人で構成されるこの監視団は、全国選挙管理委員会の認証を受け、同国の選挙監視団(MOE)が定めるガイドラインに従い、選挙プロセス、リスク、警告、勧告に関する観察結果を、随時速報として発表していく予定だ。選挙終了日には、民主主義の強化と選挙制度の改善に貢献すべく、結論文書を発行する。

クリスティ・ホフマンUNI書記長、ジェリー・ディアスUnifor委員長(カナダ)、マルシオ・モンザネUNI米州地域書記長、ワシントンDCに本部を持つ北米サービス従業員労組(SEIU)およびブラジルの金融労連CONTRAFの代表等を含むハイレベル代表団も、3月の議会選挙の際にコロンビア入りする予定である。


UNI-LCJ記念講演「ニューノーマル時代の労働運動」

2022年2月15日、UNI-LCJは、第23回UNI-LCJ年次総会及び記念講演を開催した。(第23回UNI-LCJ年次総会の記事は、こちらをクリック)
「ニューノーマル時代の労働運動:ビジネスと人権、リモートワークとつながらない権利、デジタル化の影響、労働安全衛生、民主主義の危機への対応等」と題し、クリスティ・ホフマンUNI書記長及びラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長から、ポストコロナを見据えたこれからの労働運動とデジタル化等の技術革新によって今後起こりうる課題などについて講演を受けた。

クリスティ・ホフマンUNI書記長(オンライン)

Q:2022年の世界の動向とサービス産業労働者の主な課題について

ホフマンUNI書記長
私たちはこの2年間で、重い代償を払ったことを認識しなければならない。2019年以降、600万人近くの方が亡くなり、1億5000万人以上の雇用が失われ、更に貧困層は1億6000万人に上っている。一方、かつてないほどの多くの億万長者が生まれている。またコロナ禍からの回復においては、先進国と貧困国との格差・不平等がこれまで以上に拡大した。事実、OECD加盟国の経済は強固な回復を遂げている。しかし強固に回復する中でも、デジタル技術は、ほとんど全ての分野で働き方を変えた。ある場合には雇用の喪失を引き起こし、またある場合には新しい形態の仕事を支え、変革を促している。Eコマース、プラットフォーム、デジタル化によるリストラと外部委託などが課題となっている。

私たちが経験しているこのような変化は、UNIにとっても、あらゆる地域の組合にとっても、課題であり機会でもある。この変革によって創出された新しい雇用は、環境に配慮した良い雇用であり、組合が将来を形作るための雇用でなくてはならないと考える。

Q: 2022年のUNI活動の主な課題と計画、日本の加盟組織への期待について

ホフマンUNI書記長
2022年の主な課題について、現在4つの重要課題を考えている。1) グローバル企業との協働、2)世界各地の組織化を支援し、雇用の状況が変化する中で新しい労働者の組合加入を促進、3)リモートワーク、テクノロジーの影響、安全衛生、人権デューデリジェンスの重要課題に関し、継続した政策と取組みを展開、4)「Rising Together~共に立ち上がろう!」をテーマとしたUNI世界大会(2023年8月、米国フィラデルフィア)の開催準備である。

日本の加盟組織の皆さんは、パンデミック下においても、時差をいとわず様々なUNIの活動に多く参加していただいている。今後もUNI活動に積極的に参画いただきたいし、次回世界大会においても、日本の代表団は重要な役割を担ってもらえることと期待している。

Q:ビジネスと人権におけるUNIの活動について(OECDガイドラインの見直しへの積極的な関与、労働者の権利保護と組合の重要性に関する投資家への啓蒙活動、新しい国際協定の合意の成功など)

ホフマンUNI書記長
■企業の責任を問う人権デューデリジェンスの義務化
私たちは、労働者の団結権や交渉権を含む人権に関する義務について、企業に説明責任を持たせるツールの強化と拡大に取組んでいる。労働者は、自らの権利を守るために強制力のあるルールを適用されるべきであり、UNIは目的に適したグローバルなルールを構築するために闘っている。またUNIは、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に沿って労働者の結社の自由と団体交渉の基本的権利を実現しようとするグローバルな動きをリードしている。この原則を守るということは、その企業が労働者の人権を侵害していないことを知り、それを示す責任があることを意味している。更に私たちは、人権デューデリジェンスの法制化による義務化を強く支持している。こうした法律の対象となる企業は、世界中のどこでも、事業運営に対して責任を負うということになる。同時に法律がない場所においても、団体協約に盛り込むことで組合は、意味ある役割を果たすことができるため、人権デューデリジェンスを労働協約に設けるよう使用者と交渉を続けている。
■OECDガイドラインの強化
私たちはOECD多国籍企業行動指針の強化を支持しており、デューデリジェンス、団結権及び職場の労働安全衛生に関する指針に基づき、複数の訴訟を成功裏に導いてきた。
■新しい国際アコード
バングラデシュアコードは、今回の再交渉によって、バングラディシュ以外に新たな1か国が加わり、現在は国際協定と呼ばれることとなった。この協定により、バングラディシュにおいては、200万人の労働者が、安全な工場で雇用されることとなった。最終的には、グローバルなルールには強制力と拘束力を持たなければならない。UNIは、今回IndustriALLと共に、「国際労働仲裁和解調停のルール」と呼ばれる、国際労働訴訟のための新しい仲裁制度を策定した。
■資本戦略
UNIは、投資家と定期的に話し合い、投資家が所有する企業の人権問題に取組んでいます。アマゾンによる組合潰し、ミャンマー軍と密接な関係を持つ企業への投資、介護施設に関する共同声明など、投資家はあらゆる場所の労働者に対しても責任があるとして、この分野でも力を発揮している。

Q:企業のデューデリジェンスを確実に行うための強力なツール、グローバル枠組み協定(GFA)の成功例について

ホフマンUNI書記長
この2年間、対面の会議を持つことができなかったため、新たなグローバル枠組み協定(GFA)の締結には至っていない。新しい関係を築き交渉するためには、企業と直接会うことが非常に重要であると考えている。しかしGFAは、コロナ禍の影響に関する交渉を行う上で非常に重要なものと考えている。現在、テレフォニカ社とリモートワークの協定(リモートワークに適用される世界的なルールや条件)について交渉を行っている。また、商業部門7社と労働安全衛生についての検証についても交渉を行ったが、これらはほとんど、既にGFAを締結している企業である。また同様に協定を締結しているDHLやソシエテ・ジェネラルなど、デューデリジェンス計画についてや国際レベル並びに自国内及び世界中の拠点における組合の役割などについて交渉を行っている。

Q:「新しい仕事の世界」の分野で、労働者の権利を守るためのUNIが行っている取組みについて

ホフマンUNI書記長
リモートワークや監視、アルゴリズム管理などによる危機感の高まりが目立っており、コロナ禍において更に加速化している。組合として、UNIとして、これらの問題に取組まなければならない。
リモートワークは、多くの人がもっと増やしても良いと望んでいるが、労働時間の延長、労働者の組織化方法、使用機材の費用負担、組合が接触する機会をどうするのかといった問題があり、無視することはできない。また、現在毎週のように労働者を監視する新しいシステムが導入されており、プライバシーの侵害、不当な目標を課せられるという問題も出てきている。リモートワークは、経営者にとって単なる大きなコスト削減でなり、労働者を保護するものにならない恐れがあることを認識しなければならない。
昨年、金融部会とICTS部会は「リモートワークに関する10原則」を発表した。このテーマについて使用者と交渉する際には、この原則を参照していただきたい。今後は、団体協約の雛形となるような文書を発信する予定である。
またデジタル化による影響についても同様である。新たな監視やアルコリズム管理が急増していることも、将来、重要な問題となってくる。そして、私たちはこれに対してもガイドラインを公開しており、今後、UNI全体から好事例を集めて、皆さんと共有していきたいと考えている。私たちは交渉と規制を通じて、この新しい現実を再構築することができると考えている。

Q:労働安全衛生を基本的権利とするためのグローバルキャンペーンについて

ホフマンUNI書記長
コロナ禍においても全ての労働者に安全な職場が与えられるべきだが、多くの政府は、この労働者にとって最も重要なことができていないことが明らかになった。2019年、ILOは100周年宣言において、労働安全衛生を労働者の「基本的権利」にすることを求め、世界中の労働者に影響力を発揮することができた。昨年、グローバルユニオンがキャンペーンを展開した結果、ILO理事会は今年6月の国際労働会議での決定を見据えた計画を採択した。これが採択されることを確信しているが、各国政府を味方に付け、使用者側に反論や遅延戦術をさせないように圧力をかける取組みを行っていく。

サービス労働者にとって安全衛生は重要であり、組織化の課題としてUNIの各部会でも取組む必要がある。例えば、店舗での暴力に反対する商業部会のキャンペーンなどは、世界中で取組まれ、大きな成功を収めた。アフリカや米国のいくつかの地域では、療養時の有給休暇取得を求めるキャンペーンを実施している。
労働安全衛生委員会の重要な役割も認識すべきである。この委員会は、安全な職場づくりの中心的な機能として認識されているが、これまでサービス産業は一般的に安全だと考えられていたため、UNIの多くの部門では優先事項になっていなかった。しかしコロナ禍によって、労働安全衛生は、組合が職場で課題に取組み、組合の役割と可視性を確立できる重要なツールとなった。
この先には大きな課題があり、同時に私たちが望む未来を再構築する機会でもある。私たちの連帯とグローバル・コミュニティは、声を一つにして発言する能力を強化し、孤立した労働組合よりも大きな影響を与えることを可能にした。私たちが今直面している課題は、より公平で安全な世界を目指す闘いに新たな活力を与えてくれたと確信している。私たちは、以前よりも強く、共に立ち上がることができる。

ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長(オンライン)

Q:2021年のUNI Aproの活動について

アチャリャUNI Apro地域書記長
■6部会大会で次の4年間の部会別優先課題を承認/各組織とのパートナーシップの強化
2021年、UNI Aproは、8月のメディア部会大会から11月の金融部会大会まで、6つの部会大会を開催した。各部会大会において今後4年間の優先課題が承認された。組織化、組合の成長と強化、パートナーシップ労使関係の普及に取組み、政府間機関や地域組織、例えば、APPU(アジア太平洋郵便連合)、ABU(アジア太平洋放送連合)、ASETUC(ASEANサービス労働組合協議会)、AICHR(ASEAN政府間人権委員会)などと密接な協力体制が構築されている。パートナーシップを改めて強めていくことが決められた。
■組織化と組合強化
組織化と組合強化については、金融部会、郵便・ロジスティクス部会、印刷・パッケージング部会、ケア部会、ICTS部会、ビル管理などに新しい組合が加盟している。また地域およびグローバル企業(アクシアタやエリクソン等)の組合の強化を行った。また、デジタル組織化に関する取組みとして、ウェビナーを開催し、約300人が参加した。
■調査研究の実施/機会均等キャンペーン/ILO第190号条約
調査や研究に関し、商業・小売におけるデジタル化の調査研究、IFI(国際金融機関)が投資しているプロジェクトにおける中核的労働基準の実施状況や、インドを中心とした南アジアにおける労働形態の変化の調査を実施した。
11月25日(女性に対する暴力撤廃の国際デー)から16日間のILO190号条約(暴力とハラスメント)批准キャンペーンを実施した。今年は、女性と青年に向けのメンタリングプログラムを構築する予定である。

Q:アジア太平洋地域の動向と課題について

アチャリャUNI Apro地域書記長
■デジタル化-自動化
デジタル化の影響について調査したところ、アジア太平洋地域では、デジタル化、自動化の加速度が高く、経済のあらゆる分野に影響を与えていることがわかった。私たちはデジタル化を受け入れる必要があり、進化のペースが非常に速いため、政府や使用者と話し合い、スキリング(スキル取得)とリスキリング(再訓練)に力を注ぐ必要がある。
■インフォーマル経済
アジア太平洋地域において、各国約65%近くはインフォーマル経済である。ASEAN諸国、ほとんどは南アジアだが、インフォーマル経済の割合は70~80%である。私たちは正規雇用をするための戦略を立ててきたが、労働形態の変化やコロナ禍の影響でインフォーマル化が進んでおり、組織化が難しく、不安定な雇用と非正規労働が増えている。
■民主主義と労働組合のための空間が減少
民主主義と労働組合活動が日々縮小されてきており、独裁的な行動をとる政府が増えている。特にミャンマー、フィリピン、カンボジアなどがあげられる。南アジアでは、政府や使用者が労働組合がこれらの協議をすることを認めておらず、むしろエスカレートしている。
■気候変動、気候危機とその影響
気候変動に関して、人類、企業、仕事への影響は甚大である。残念ながらいくつかの労働組合では、この問題は優先課題として取り上げられていなかったが、UNIはこの課題に着手し始めている。
■人口動態の課題
LCJの講演であるので、人口動態の課題にも触れたい。日本以外でも東南アジア、東アジアは、かなり前から少子高齢化の問題に取組んできた。しかしネパールであっても最近の国政調査では、人口増加率が1%未満(0.93%)であることに驚かされた。この傾向が続けば、影響は甚大になる。労働力についてどのように管理していくのか、全て自動化で進めるのか、大きな課題である。

Q:デジタル組織化の推進について

アチャリャUNI Apro地域書記長
■ソーシャルメディアの活用
既に多くの労働組合が、組織化にSNSを活用している。オーストラリアやニュージーランドでは、かなり前からオンラインのオルグを実施している。シンガポールでは、プラットフォームを使用して組合員の管理と拡大に活用している。デジタル化は、組合員の拡大や管理を推進する重要な要因として機能してきた。ポストコロナの戦略の1つとして残り続けていくだろう。
■デジタル化の推進
労働組合は様々なキャンペーンで組合員を動員し、勧誘や加入のためにデジタルプラットフォームを利用してきた。しかし、単に組織化のために利用しているわけではない。UNIには、テレパフォーマンス社(フィリピン)の搾取行為問題等が報告されたが、いくつかの事案は、OECDに提訴している。
■UNI/UNI Aproのウェビナーとデジタル組織化研修
オンラインでの組織化は容易ではなく、やはり直接対面で話し合うことがより有効である。これからもハイブリッド(オンラインと対面の併用)が上手く活用されることになるだろう。

Q:民主主義と人権の問題について

アチャリャUNI Apro地域書記長
■ミャンマー
軍事クーデターから1年以上経過し、軍が支配権を握って以来、100人以上の子供を含む約1,500人が殺害された。多くの政治家や労働組合関係者、1万2千人近くが逮捕され、数十人の民主主義活動家が死刑を宣告されている。
UNIは、ミャンマー軍事政権に関連した投資を行っている多国籍銀行に対し、同国に保有する株式を手放すように要求している。UNI AproはUNIと共に、世界中の労働組合にミャンマーの民主主義闘争を支援する役割を果たすよう呼び掛けている。
昨年9月のUNI Apro ICTS部会大会では、ミャンマー情勢に関するセッションを設けた。UNI金融部会でもウェビナーを開催し、銀行に圧力をかけるための支援を行った。UNI Aproは、ASETUC(ASEAN労働組合協議会)と共に、NUG(国民統一政府)とミャンマー労働同盟を招いて多者間の社会対話を実施し、多くの加盟組織がストライキ基金を支援、CTUM(ミャンマー労働組合総連盟)を支援した。残念ながら、軍事政権が考えを変える兆候は見られないが、私たちはプレッシャーをかけ続けていかねばならない。
■香港
香港は、国際連帯や支援が政府には、国際的共謀と解釈されることから、深刻な問題となっている。香港国家安全維持法は、民主化運動組織に対して適用されており、HKCTU(香港労働組合連盟)をはじめとする様々組織が解散している。このような状況下においても、まだ存続し機能している組織に対して、私たちは支援を続けていく。
■フィリピン
フィリピンにおける超法規的殺害、反テロ法、メディアの封殺、放送センターの閉鎖、表現の自由、集会の自由、結社の自由への脅威は、ドゥテルテ政権によって課されている。今年5月に大統領選挙が予定されており、状況が良くなることが期待されている。2019年にILOハイレベル三者構成ミッションが開始されたが、コロナ禍のため、物理的評価は行われていない。昨年はオンラインでの討論は行われたので、今年も取組みが続くことを望んでいる。

Q:2022年、UNI Aproが取り組む重点課題について

アチャリャUNI Apro地域書記長
■組合の組織化と強化
今般、東南・南アジア組織化センターというアイデアを採用した。デジタル組織化は1つの方法であり、組織化できていない分野を開拓してきたい。コロナ禍に対応できるように、既存の組合を維持すること、悪影響を防ぐこと、同時に、多くの産業部門で新しい組合をつくるイニシアチブが開始されている。先日のUNIスタッフ会議で、各地域組織や部会での計画をまとめ、「組織化」と「組合の拡大」が重点事項であることを確認した。介護、清掃、商業、コンタクトセンター、宅急便、配達などのエッセンシャルサービスの組織化もその1つである。

■パートナーとの連携強化
デジタル化の悪影響の中で、スキリング(スキル取得)とリスキリング(再訓練)が非常に重要である。同様に、資金政策を含む様々な労働政策を強化する必要がある。多国籍企業だけでなく、各国の地元企業の組織化や労働条件を引き上げる取組みも行っていく。コロナ禍により、社会保障やセーフティネットにも影響が出ている。これも我々の優先課題である。機能的なソーシャル・パートナーシップに基づく協調的労使関係の推進である。社会対話のプラットフォームを確立し、UNI Apro加盟組織が自分たちの経験を共有できるような場をつくりたいと考えている。
女性と青年のエンパワーメントの取組みは、革新的なアプローチで実施される予定である。3月には「メンタリング・プログラム」を開始するが、特に、若手の女性組合員に重点を置いていく。今年はUNI Apro青年大会が開催されるが、状況によりオンライン開催となる可能性もある。来年は、テーマ別フォーラムの開催を検討しており、対面開催としたいと考えている。


第23回UNI-LCJ年次総会、石川新議長を選出

2022年2月15日、第23回UNI-LCJ年次総会が東京で開催された。長引くコロナ禍の影響で、昨年に引き続き今年もオンライン併用での開催となり、各加盟組織より運営委員及び総会代議員、オブザーバー等約65人が出席した。2021年活動報告、会計報告の承認に続き、2022年度活動計画及び予算が承認された。

2022年度役員体制が確認され、昨年11月開催の第29回UNI Apro執行委員会において松浦UNI-LCJ議長(UAゼンセン)がUNI Apro会長に選出されたことに伴い、今次総会をもって議長を退任、新たに石川第9代UNI-LCJ議長(JP労組)が選出された。またに佐久川UNI-LCJ監査委員(日放労)、上田智亮UNI-LCJ事務局長(UAゼンセン)、森川容子UNI-LCJ事務局次長(UNI Apro)が新たに選出された。

UNI-LCJ幹部会役員

総会の最後には、今次総会で監査委員を退任する中村正敏氏(日放労)及びUNI Apro東京事務所長を退任する小川陽子氏(UNI Apro)へ松浦議長より、記念品を贈呈した。

続く記念講演を開催し、各加盟組織及び来賓等約100人が出席した。

開会にあたり石川UNI-LCJ議長は、今次総会においてUNI-LCJ議長に選出された旨挨拶し「2年にわたるコロナ禍で労働組合の力がかつてないほど必要とされており、私たちは働く仲間を守るため、決して立ち止まることなく団結して課題解決に取り組まなければならない。今後もパートナーシップ労使関係を基盤に、これからの労働運動を発展させていきたい。」と抱負を述べた。

続いて来賓として、達谷窟 庸野(たがや のぶなお)厚生労働省大臣官房総括審議官及び芳野 友子連合会長による連帯挨拶があった。
達谷窟氏は、「昨年、ILO総会において、ILO100周年宣言を基盤として「新型コロナウイルス危機からの人間を中心に据えた回復に向けて世界的な行動を呼びかける決議」が政労使全会一致で採択された。この危機を克服し回復を進めていくためには、世界の政労使の協力が不可欠であり、日本でも社会的対話を続けていく一層の取組みを進めていきたい」と述べた。
芳野氏は、「今般のコロナ禍においてUNI-LCJと連合がより一層の連携を図り、労働者の雇用や生活を守ることが重要であることは言うまでもない。国際労働運動の益々の発展と労働者の労働基本権の確保のため、引き続き共にがんばりましょう」と呼びかけた。

達谷窟 厚生労働省大臣官房総括審議官 と芳野連合会長

「ニューノーマル時代の労働運動:ビジネスと人権、リモートワークとつながらない権利、デジタル化の影響、労働安全衛生、民主主義の危機への対応等」と題し、クリスティ・ホフマンUNI書記長及びラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長から、ポストコロナを見据えたこれからの労働運動とデジタル化等の技術革新によって今後起こりうる課題などについて講演を受けた。

(記念講演の記事は、こちらをクリックしてご覧ください。)

質疑応答のセッションでは、寺嶋UNI Apro女性委員(UAゼンセン)、藤原UNI Apro青年委員(UAゼンセン)、三崎UNI Apro女性委員(大日本印刷労組)より、以下の質問があった。
Q:寺嶋UNI Apro女性委員「若年層のエンパワーメントについて」
組合トップリーダーに対して、正社員・男性以外の育成の重要性を伝える効果 的な方法をご教示ください。
A:アチャリャUNI Apro地域書記長
使用者と交渉するためのスキルや知識を身につける研修、青年・女性大会等で、女性を含めた若年層を中心に、みんなで経験を共有することが重要です。現在オンライン研修等を活用しているが、女性や若年層が参加しやすい場となったと考える。この手法は、組合トップリーダーである、三役等にも活用できるのではないか。今後、UNI Aproは引き続き機会均等に関する活動を計画をしており、女性や若年層をターゲットにした能力構築に特に力を入れていきたい。

Q:藤原UNI Apro青年委員「ポストコロナのオンライン・コミュニケーションの可能性について 」
対面でのコミュニケーションが最適であると認識しているが、コロナ収束後のUNI活動におけるオンラインコミュニケーションの可能性について、ご教示ください。
A:ホフマンUNI書記長
オンライン会議は今後も活用していくことになるだろう。全てがコロナ前に戻ることはないと考えている。現在は、オンラインと対面会議をどのように組み合わせていくかを検討している。例えば、全ての部会で年一回の機関会議に関しては、対面開催とする等、仕組みを検討している。

会場で質問をする寺嶋UNI Apro女性委員と藤原UNI Apro青年委員

Q:三崎UNI Apro女性委員「組合に対し、若年層に関心をもってもらうための取組みについて」
(オンラインから質問)日本では、特に若年層における組合に対する関与意識はあまり高くないと感じており、「ビジネスと人権」の様な重要な活動をもっと広く知ってもらい、「より良く働く」ということを自分自身の問題として捉えてもらうためには、どのような活動が必要かご教示ください。
A:ホフマンUNI書記長
組合とは、団体交渉や協約締結交渉だけをやっている組織だと思われている。例えば、世界でUNI以上に貧困撲滅活動に取組んでいる組織はない。このようなことをもっと広報することで、私たちのイメージを変えていきたい。TikTokや動画等を活用し、新しいコミュニケーション手法で、より多くの人に私たちの活動を知ってもらうことが重要である。

松浦UNI-LCJ副議長

閉会にあたり、松浦副議長は「お二人の講演は、大きなインスピレーションを私たちUNI-LCJメンバーに与えていただいた。このような状況下でも、UNI、UNI Aproは着実に運動を進めており、UNI-LCJは石川新議長のもと、しっかりと連携を取りながら、今後も様々な活動に最大限貢献を図っていきたい。」と述べた。


国連は、パレスチナ被占領地と関わりを持つ企業のデータベース更新を!

UNIは、占領下パレスチナのイスラエル入植地で事業を行う企業を掲載したデータベースを早急に更新するよう、国連に求めている。データベースは、国連人権高等弁務官事務所が管理している。またUNIは、この問題に関して2月上旬にITUCが開始したオンライン請願を支持する。

4年の遅れを経て2020年に初めて公開されたこのデータベースは、「直接・間接的に、入植地の建設と拡大を可能にし、促進し、そこから利益を得ている 」企業を特定する上で、非常に貴重な資料である。これら入植地は国際法上違法であり、このデータベースは、市民社会、人権擁護活動家、社会的責任ある投資家など、幅広い層によって活用されている。

現在、このデータベースは大幅に古くなっており、違法な占領に対する企業の加担を暴露し、これを終わらせるため、早急に更新する必要がある。このデータベースに新たな企業を加えたり、削除したりすることで、撤退に向けた動機付けと、イスラエル違法入植地の産業と関わることに対する抑止力が生み出される。

UNIは以前、このデータベースの情報を活用し、ノルウェー最大の年金基金KLPと対話を行い、KLPがヨルダン川西岸地区のイスラエル入植地と関係を持つ16社を投資先から除外することにつなげた。またUNIは、ノルウェー銀行が運用する政府系ファンドにも働きかけ、同ファンドはパレスチナ被占領地における建設・不動産会社から手を引いた。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は「このデータベースの中で、入植を促進していると国連が判断・特定した企業は、容認しがたいレベルで人権侵害と絡み合っている。データベースは、入植地で活動する企業を白日の下に晒す重要なツールであり、企業に撤退を促す圧力を加えるものだ。だが、データベースは、含まれている情報が状況を反映してこそ有用だ。だからこそ、データベースを早急に更新し、今後も維持していくことが絶対に必要」と指摘した。

2014年および2018年のUNI世界大会で採択された決議には、平和の阻害要因であり、2国家共存構想を手の届かないものにしている違法入植地への経済支援を終わらせるための行動を、明確に呼びかける内容が含まれている。

UNIはすべての加盟組織に対し、ITUCによる国連人権高等弁務官への請願に名を連ねるよう、呼びかける。


トルコのBBC労働者、15日間のストライキを経て賃上げを獲得

トルコのBBC労働者が、2週間のストライキを経て、32%の賃上げと諸手当を獲得した。

UNI加盟組織のトルコジャーナリスト労組(TGS)に加入するトルコBBCの労働者は、氷点下の気温をものともせぬ勇敢さで、ストライキ期間中にイスタンブールのBBC放送局本部にピケットを張った。

組合はBBCと1年間の団体協約を結び、32%の年俸引き上げ(会社側からの前回の提示額は10%であった)に加え、家族の民間健康保険への加入、昼食券、眼鏡やコンタクトレンズの購入費用などを獲得した。

今回、トルコのBBC労働者は初のストライキ決行となったが、その原因は、英国放送協会BBCが、トルコのインフレによるコスト高騰にもかかわらず、従業員への合理的賃上げを拒否したことにある。

TGSは声明の中で、「BBCイスタンブール放送局の従業員の成功は、出発点に過ぎない。ストライキによって得られたモチベーションと士気は、社会保障の欠如、低賃金、劣悪な労働条件を経験しているメディア部門の仲間たちが、組合の下で団結して闘うことを後押しするだろう」と述べた。また同労組は、UNIおよびUNI加盟組織の英国BECTU、国際ジャーナリスト連盟、欧州ジャーナリスト連盟、英国ジャーナリスト労組、トルコ労働組合連盟の連帯およびストライキ前からの揺るぎない支援に感謝した。

ゴカン・ドゥルムシュTGS委員長は、「今回のストライキが示すのは、勝利のためには国際連帯と支援が不可欠であるということだ。仲間である英国BECTUとUNIは、あらゆる段階でTGSを全面的に支持してくれた。UNIの加盟組織であることを嬉しく思う」と述べた。労働運動全体、そして世界中のBBC従業員が、 BBCで働くTGS組合員に連帯と支援のメッセージを送った。

ヨハネス・ストゥディンガーUNI世界メディア部会担当局長は、「この重要な勝利を達成するべく、一歩も引かずに踏ん張ったTGSおよびBBC労働者に祝意を表したい。トルコのBBC労働者は、同国のインフレ率の高騰により賃金が急落し、生計を立てるのに苦労してきた。公正な補償を受け、世界中の他のBBC職員と比較しても公正に扱われるのは、至極当然のことだ」と述べた。


トルコのBBC労働者、尊厳ある賃金と医療アクセスの改善を求めてストライキ

およそ5か月に及ぶ難交渉の末、1月中旬にトルコのBBCジャーナリストがストに突入した。英国放送協会BBCが、トルコのインフレ率に見合った賃上げ、医療へのアクセス改善、その他の重要な問題に関して、トルコジャーナリスト労組(TGS)への合理的回答を拒否したことへの抗議である。英国のメディア労組BECTUとUNIが支援している。

BBCによるとインフレ率は36%近くに達しており、TGSは30%の賃上げと年間賞与の追加支給を要求している。

ゴカン・ドゥルムシュTGS委員長は、「世界で最も高く評価されるメディアの一員として、組合員はBBCの強力な価値観の下で働くことを誇りに思っている。ただ我々は自身を守り、賃金価値の暴落に対する補償を受け、他のBBC職員と同様の権利を享受できるようになりたいだけだ」と述べると共に、「要求は合理的なものであり、BBCは予算に新たな負担をかけることなく、容易に要求を満たすことができるはずだ。2020年1月以降、英ポンドはトルコリラに対して80%も価値が増大した。つまり使用者は、1年足らずの間に、トルコリラで賃金を支給される組合員の給与から8割も人件費を減らすことができたからだ」と説明した。

さらに、パンデミック中にも最前線で業務に従事してきたジャーナリストは、トルコの公的医療制度がコロナ禍で逼迫していることを指摘し、自らとその家族が十分な医療を受けられるよう、民間健康保険に加入することを要求している。しかし、同局は職員が十分に医療を受けられるようにすることを拒否してきた。

BBC労働者を代表する英国BECTUのフィリッパ・チャイルズ委員長(UNI世界メディア部会副議長)は、「トルコの仲間は公正な報道をしており、BBCは待遇についてそれと同じ公正さを示すべきだ。我々はトルコのジャーナリストに連帯し、BBCが国際労働基準を弱体化することは許さない。経営陣は速やかにTGSとの誠実な交渉に戻るべきだ」と主張した。TGSの組合員は、尊厳ある賃金、医療へのアクセス改善に加え、交通費や勤務中の食事手当、BBCが英国や他国で採用しているのと同じ年金制度を要求している。

オリバー・レティクUNI欧州地域書記長は、「トルコの勇敢なジャーナリスト・チームは、猛威をふるうパンデミックの間も、世界で最も報道の自由を敵視する国の1つで業務にあたってきた」と述べ、「BBCが交渉の席で、彼らの質の高い報道、勇気、自己犠牲の精神を認めなかったことに衝撃を受ける。トルコのBBC労働者が、基本的な経済保障と質の高い医療を受けるべき時が来た」と語気を強めた。BECTUとTGSは共に、150か国でサービス産業の労働者を組織するUNIメディア部会の加盟組織である。


過度の長時間労働と不十分な休息が命を脅かす―映画・テレビ業界の世界的調査で明らかに

UNI世界メディア部会の調査によって、世界各国の映画・テレビ制作スタッフの労働時間が初めて明らかになり、長時間労働、不十分な休息、生命を脅かすレベルの疲労が、労働者の心身の健康や家庭生活に非常に大きな影響を与えていることがわかった。

調査では、長編映画、独立系テレビ、ストリーミングコンテンツの制作に携わる舞台裏スタッフ15万人以上を代表する22か国の28組合から、団体協約、労働時間、労働条件に関するデータを収集した。

調査対象者の62%が、非常に厳しい勤務スケジュールが 「メンタルヘルスに悪影響を及ぼす」と回答しており、また、独立系テレビ番組の制作に携わる回答者の4分の1以上が、極度の疲労により重大事故が生じた経験があると回答した。

調査で明らかになったのは、度重なる残業、不十分な休息、頻繁な週末労働、基本的な安全要件の軽視という世界的な風潮であり、多くの労働者にとって映画・テレビ産業での労働が、不公平・不平等で、危険かつ持続不可能なものになっている。

ヨハネス・ストゥディンガーUNI世界メディア部会担当局長は、「メディア産業は長きにわたって、スタッフの情熱に依存して長時間労働を強い、多くの場合、労働者の犠牲の上に成り立ってきた。労働者が主張しているのは、質の高い作品制作は、搾取の上に成り立ってはならないということであり、すでに限界に達している。多国籍企業が支配する映画・テレビ産業においては、あまりに多くの労働者が、危険を招くほどに不十分な休息時間しか与えられず、家庭の時間をほとんど持てないような劣悪な労働条件で働いている。我々が全面的な変革を要求しているのは、そのためだ」と強く指摘した。

今回の調査結果は、『舞台裏の尊厳を求めて:世界の映画・テレビ産業における長時間労働に終止符を』と題する報告書にまとめられており、労働時間短縮、最低基準の引上げ、安全な労働時間・条件の確保を目指す世界的キャンペーンにおいて、映画・テレビ部門のUNI加盟組織を動員し、団結させた。

米国・カナダの国際舞台演劇映画組合(IATSE)の委員長を務めるマシュー・ローブUNI世界メディア部会議長は、「世界の映画・テレビ業界に変革をもたらし、エンターテインメントが制作されるあらゆる現場において長時間労働の文化に終止符を打つべく、世界中の加盟組織が、全力を注いでいる。これは長期的な取組みであり、世界レベルでの努力が必要だ。変革は一夜にしてならず、一歩ずつ状況を改善していく闘いの中で、我々は国を越えて支え合い、協力していく。グローバルキャンペーンでは、危険な労働条件や労働時間の影響について業界全体の認識を高め、組合活動を強化し、使用者だけでなくステークホルダーにも関与していく」と意気込んだ。

調査報告書では、次の点について、提言がなされている:結社の自由と団体交渉の権利。賃金と労働時間は、労働協約、それがない場合には国の法的基準を尊重しなければならない。残業は任意であり、常に割増賃金が支払われる。ジェンダー平等と多様性を促進する政策。暴力や嫌がらせのない安全な職場。制作会社のエネルギー使用と環境への悪影響を最小限に抑えるための措置。

主な調査結果
調査によると、労働者は1日平均11時間以上働き、さらに撮影の前後に最低でも1〜2時間、いわゆる「プレップ&ラップ(準備・片づけ)」と呼ばれる作業時間が存在することがわかった。これは映画とテレビの両方の制作に携わる労働者に当てはまる状況であり、その結果、すべての国で労働時間は1日あたり平均12〜13時間以上となっている。

週50時間、あるいは60時間を超える労働が一般的である。例えば英国では、「プレップ&ラップ」の作業時間を除いた平均労働時間は、週当たり50時間である。アイスランドやスウェーデンなど他の国では、日常の「プレップ&ラップ」の時間は、最長労働時間の基準に含まれている。

全回答者の41%が平日の残業が頻繁にあると答え、35%が常に残業を要求されていると答えた。回答者の25%が、時間外労働に対して割増賃金が支払われていないと回答している点は、憂慮すべき点だ。

業界全体で、シフトとシフトの間にあるべき休息・回復のための勤務間インターバルが、労働者に十分に与えられていない。このことは、心身の健康に影響を及ぼすため、この業界の最も過酷な側面のひとつである。勤務間インターバルに関する団体協約の規定は、10時間から12時間まで幅があるが、実際にはもっと少ないことが多く、この中には自宅や宿泊先から現場までの往復にかかる移動時間は含まれていない。加盟組織は、団体協約の勤務間インターバルに関する条項を改善し、勤務間の最低休息時間を奪おうとする制作会社から労働者をいっそう保護するべく、キャンペーンや交渉を続けている。良い進展が見られているものの、この問題は依然として組合にとって最重要課題である。

家族との時間、健康や休息に必要な時間を奪う週末労働は、回答者の41%がよくある問題だとし、18%が常に週末労働を要求されていると答えた。

調査やUNI加盟組織との会議で明らかになったのは、金曜日の撮影が土曜日の早朝にまで及ぶ、いわゆる「フラタデー」がより頻繁に生じるようになっており、厳しい勤務スケジュールによって、多くの労働者が完全な週末を得られなくなっている実態である。

調査した22か国のうち12か国では、団体協約によって1日および1週間の最長労働時間と時間外労働が定められている。また、夜間勤務、休憩時間、現場への移動、ワークライフバランスを確保するための措置についても、協約に盛り込まれている場合が多い。

しかし、団体協約が存在していても、すべての企業が実際にその条項を尊重しているとは限らない。数か国の組合が、1週間の最長労働時間は協約で規定された時間より長いと報告している。例えばアルゼンチンでは、団体協約の条項に反して、スタッフは週50時間以上働き、週末に頻繁に時間外労働を行っている。

団体協約を無視しているだけでなく、制作会社が労働時間に関する国内法に違反している事例もある。オーストラリアのメディア・娯楽・芸術関連労組(MEAA)によると、法律では週38時間までと規定されているにもかかわらず、実際には恒常的に週50時間以上、働いている。


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