中南米のメディア・舞台芸術関連の労働者、約9割が暴力やハラスメントの被害に

UNIメディア部会と国際俳優連合(FIA)が3月18日に発表した調査報告書が、中南米の視聴覚・舞台芸術部門において労働者に悪影響を及ぼしている根深い性差別、差別、暴力、ハラスメントの文化に、スポットライトを当てた。この産業における暴力とハラスメントに関して、初めて組合が行った調査であり、最も被害を受けているトランスジェンダーおよびノンバイナリーの労働者を含めたものとして、初の地域レベルの取組みとなった。

調査は、中南米16か国を対象とし、1,423人から回答を得た。ただし、回答の大半は、アルゼンチン、ブラジル、チリ、コロンビア、メキシコ、ペルー、ウルグアイの7か国から寄せられたものであり、その他の国からの回答は36件である。

調査によると、回答者の89.4%が、職場で暴力やハラスメントの状況を経験したことがあると答えている。その内訳は、トランスジェンダーまたはノンバイナリーの労働者が95%、女性が87%、男性が70%であった。

回答者の37.4%が、職場でセクシャルハラスメントの被害を受けたことがあると答えた。また42%が、職場のハラスメントやセクハラ、ジェンダーに基づく暴力の事例を拒絶し、または報告するために介入したことがあると答えた。メキシコでは、半数以上の54%が、職場でセクシャルハラスメントを受けたことがあると回答した。

回答者の半数以上となる55.4%が、職場環境におけるセクシャルハラスメントの状況を認識したことがあると回答し、最も多いのはメキシコの68.5%であった。

ペルーでは、回答者の65.4%が、自分または同僚の誰かが暴力やハラスメントの被害を受けたために、仕事に行くのが怖い、または行きたくないと思ったことがあると回答した。その割合が最も低いウルグアイでも、半数以上の52%が同様に回答した。地域全体では、その割合はトランスジェンダーおよびノンバイナリーの人で86.5%、女性で61.7%に上った。

女性の81%、トランスジェンダーおよびノンバイナリーの労働者の76%が、職場環境で「マイクロマチズモ」(男性優位社会の日常生活に埋め込まれた、言葉使い、思考、意識、ふるまいや習慣的行動のこと)を経験したことがあると答えたのに対し、男性で同様の回答をしたのは、26%であった。これは、男性優位の思考やマッチョな行動が常態化しており、女性やトランスジェンダー、ノンバイナリーの回答者が、萎縮、抑圧させられ、追いやられた立場に置かれている状況を示すものだ。

トランスジェンダーおよびノンバイナリーの労働者の73%が、「上司や同僚の誰かに無視されたり、過小評価されたりしたことがある」と回答しており、女性の61%、男性の41%に比べ、その割合は高い。

また、トランスジェンダーおよびノンバイナリーの労働者の75.7%が、ジェンダーに基づく暴力によってキャリア形成が制限されたことがあると答え、女性の55%に比べて高い割合となっている。同じ理由でキャリア形成を制限されたと感じたことがあると答えた男性は27.5%であり、ちょうど女性の半数である。

暴力やハラスメントに対する苦情を言うことについて、回答者の70%が「内部告発は悪い結果につながる可能性がある」と考えている。さらに、使用者はこうした事例に対して取るべき措置を心得ていて信頼できる、と答えた回答者は、わずか26%であった。この2つの傾向は、調査で確認されたすべての国、部門で見られた。

UNI世界メディア部会副議長を務めるブラジルのソニア・サンタナSindcine委員長は、「今回の取組みは、中南米の各国に対する非常に重要な調査であり、職場の暴力やハラスメントを理解し、それに立ち向かっていくための知識を与えてくれる。中南米には全体的にマッチョな文化があり、立ち向かっていかなければならない。ハラスメントの形態を明らかにすることは、そのための方法の1つだ」と、調査の意義について語った。

アリシア・ドリオッティFIA副会長は、「職場環境における女性やトランスジェンダー、ノンバイナリーの労働者に対する暴力は、嫌がらせ、セクハラ、差別待遇、賃金差別、雇用制限、ガラスの天井など、さまざまな形で現れている。我々は、具体的な政策を推進していくために、明確で正確な分析を緊急に必要としていた。この調査は、より公平で望ましい労働条件を生み出し、安全で尊厳のある、平等で多様性を尊重する職場づくりをしていくために、分析を行い、必要なネットワークを構築していく上で、素晴らしいツールだ」と述べた。

また、この報告書には、こうした問題に関する教育・訓練・広報活動、プロトコル、団体交渉、地域間の労組ネットワークなど、組合に対する重要な提言も盛り込まれている。

調査で集まった匿名の証言:

―妊娠を理由に、2つのコメディーから、リハーサル途中で「引退勧告」を受けた。

―ある面接で部長からキスを求められ、断ると「本当にこの仕事がしたかったら、どんなことでもするはずだ」と言われた。

―役に起用する代わりに、飲みに誘ってくるプロデューサー

―監督の挨拶時に「社交上の義務」としてハグをする際、適切な時間よりも長かったり、合意のないまま接触する等の不適切な行為があった。

―舞台上での不当な扱い、冗談や軽蔑を含んだ口調での嘲笑や侮辱

―部下は全員男性で、私が上司になるのを嫌がっている。私の指示には疑問を持つが、男性が同じ指示を出せばそれに従う。

関連資料:UNIおよびFIAによる中南米における暴力とハラスメントについての調査(英文)