英コンサル企業の報告書、テレパフォーマンスの役員報酬指標に一石

欧州最大級の独立系コーポレートガバナンス・コンサルティング会社PIRCの調査は、『Grate Place to Work』(働きがいのある会社、略称:GP2W)の認定は、離職率や、CEO:従業員の給与比率といった、厳密で検証可能な指標の代わりにはならないことを明らかにした。

コーポレートガバナンスの分野で優れた実績をもつPIRCは今週、テレパフォーマンス等の企業が巨額の役員報酬を正当化し、企業イメージを「ソーシャルウォッシング」するために用いている疑わしい指標について、調査を発表した。

この調査は、FTSE EuroFirst指数に含まれる大手上場企業12社の報告書と報酬に関する方針を調査したものである。PIRCが明らかにしたのは、役員報酬を設定したり、不適切な慣行や規制リスクから注意をそらしたりするために、多くの場合これらの企業が、不透明で検証不可能な「ブラックボックス」のデータが横行する、規制の整備されていない巨大な認定業界に依存しているという実態だ。

労働分野の専門家であるPIRCのアリス・マーティン氏は、「雇用基準を評価する場合、企業側の主張や、企業に雇われた営利目的のプロバイダーの評価を、文字通り受け取ってはならない」とし、「世界的な巨大使用者であるテレパフォーマンスは、従業員の使用する画面を監視・記録していると非難されているが、この事例は、企業が行った従業員意識調査が、従業員の実際の処遇について意味あることを何も教えてくれない理由を示している」と鋭く指摘し、「このような欺瞞的な尺度に基づいて役員報酬を支給することは、ソーシャルウォッシングに等しい」と批判した。

ビジネスサービス大手のテレパフォーマンスが、『GP2W』認定を利用しているのは、まさにその典型的なケースだ。40万人近い従業員を抱えるこのフランス企業は、事業を行う80か国以上で定期的に『GP2W』の認定を公表している。テレパフォーマンスは、こうした認定に関連し、手数料を支払っている。

同社は、前年度の認定件数と、子会社を対象とした従業員意識調査「E.sat」を用いて、役員報酬を決定している。ダニエル・ジュリアン会長兼CEOは、これらの指標を基にした非財務的指標に関する業績に対し、2021年に262万5千米ドルを受け取った。

しかしPIRCは、Grate Place to Work Instituteが採用しているE.sat等の従業員意識調査は、透明性に欠け検証不可能であり、価値の低い情報を提供していることが多いと指摘している。また、テレパフォーマンスのように監視の厳しい職場の従業員は、こうした調査は機密性に欠けていると感じている可能性がある。

国際的なメディアで取り上げられ、OECDのフランス連絡窓口に提出された、労働者に対する数々の虐待的な待遇の記録に照らせば、テレパフォーマンスが従業員意識調査データを使用することには限界があるのは明らかだろう。

『働きがいのある会社』認定は、労働慣行に関する2つの重要な指標である、従業員離職率および、CEO対従業員の給与比率とも矛盾しているようだ。テレパフォーマンスの2021年の離職率は90.55%と極端に高く、世界中の事業所でほぼすべての労働力が毎年入れ替わっている。4分の3以上の労働者が、1年以内に辞めているのだ。フランスの週刊誌Politisは、同社のCEOと従業員の給与比率が1255:1と、他のCAC40企業(ユーロネクスト・パリに上場する銘柄の中から、時価総額上位で出来高の大きい40銘柄で構成される)の10倍以上であることを明らかにした。 ジュリアンCEOの給与は2019年に195%跳ね上がり、今年も上昇する予定であることを考えると、この巨大格差が縮まったとは考えにくい。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「PIRCの調査が我々に気付かせてくれるのは、『働きがいのある会社』と呼ばれているからと言って、まっとうな職場であるとは限らないということだ」と述べ、「この調査が示しているのは、ESG(環境・社会・ガバナンスを考慮した)投資家は、企業慣行を真に理解するためには、売買される従業員満足度調査ではなく、労働組合など現場のステークホルダーと連携しなければならないということだ」と強調した。