アマゾン労働者、一般データ保護規則に基づきデータの透明性を要求

3月14日、ドイツ、英国、イタリア、ポーランド、スロバキアのアマゾン倉庫で働く労働者が、EUの一般データ保護規則(GDPR)に基づき、巨大テック企業が労働者の個人データをどのように扱っているかを知るため、GDPR第15条に基づいてアクセス要求を提出した。UNIおよびプライバシー権について取組むNGOの「noyb.eu」が、労働者を支援してきた。

「アマゾンは世界最大級の企業かもしれないが、我々のデータをアルゴリズムに利用し、データを使って片っ端から解雇したりと、勝手なことをすることはできない。我々には労働者としてプライバシー権があり、知る権利もある」こう力説するのは、ドイツの労働組合ver.diの労働者代表を務め、今回要求を提出した一人、アンドレアス・ガングル氏だ。

アマゾンは高度なシステムを使ってワークフローを監視しているが、労働者は自身のデータがどのように使用されているのか、何も知らないままだ。アマゾンは1か月以内に回答し、労働者の個人情報の取扱いについて、完全に開示しなければならない。

「アマゾンでは、データに対する貪欲さと反組合的な行動が組み合わさり、非常に厄介だ」と述べるクリスティ・ホフマンUNI書記長は、「会社は従業員に対する監視を行っている。労働者には、ビデオや音声の記録、ソーシャルネットワークの情報や労働組合への加入状況、その他アマゾンが収集した諸データが、EUプライバシー法に違反して使用されているかどうかを、知る権利がある」と指摘した。

労働者に対する監視行為-アマゾンが労働者に対して一定の監視活動を行っていることは、各国の労働組合の内部文書で確認されている。例えば、同社が労働者の身元調査を行い、プライバシーを侵害する様々なツールによって、労働者の仕事ぶりを常に監視していることは明らかだ。

労働者は闇の中に取り残されている-アマゾンが収集したデータはその後どうなるのか?労働者は、アマゾン倉庫内での自らの労働を形作る、自身に対する集中的な追跡について、ほとんど何も情報を受け取っていない。どのような情報が、どのような目的で収集され、誰と共有されているのか、知らされていないのだ。労働者は、個人情報保護方針が存在するかどうか、ましてや、追跡データに基づいて倉庫での自らの未来について何らかの自動的な決定がなされているかどうかなど、知る由もない。

データ処理を明らかにするGDPR- GDPR第13条および第14条に基づき、EU市民は誰でも、自分の個人データの処理について知らされる権利を有する。今回、欧州5か国のアマゾン倉庫で働く労働者は団結し、同社が労働者のデータを利用して過酷な労働条件や危険なレベルの生産効率を助長しているかどうかを明らかにするべく、アクセス要求を提出した。

データ保護を専門とするnoyb.euのステファノ・ロゼッティ弁護士は、「情報と管理の非対称性を示す典型的な事例だ。一方には、大量の個人データを収集する民間企業があり、他方には、時流に巻き込まれ、経済的にこうした企業の雇用に依存している個人がいる。我々が試みているのは、組織的なアクセス要求を通じた、このアンバランスの解消だ」と説明した。

アマゾンには、労働者の権利をないがしろにしてきた経緯がある。アマゾン労働者のプライバシーに侵入してくる、包括的な監視システムについて報告したUNIの報告書『アマゾン・パノプティコン』によると、労働者のプライバシーを大きく侵害する、同社の超高速の配送プロセスは、130万人の労働者に対する有害な影響を隠している。従業員は執拗に監視され、評価され、プレッシャーの高い過酷な環境に置かれている。このモデルはあまりに非人道的であり、最近ニューヨークタイムズが報じたように、「アマゾンはあまりに早く労働者を使い捨てるので、幹部らは人材が不足するのではないかと心配している」のである。ブルームバーグニュースも、アマゾンのドライバーは、実在の管理者ならば無視するような、些細な不運な出来事が原因で「アプリによって解雇された」と報じている。

UNIは以前から、倫理的なデータ収集とアルゴリズム管理を提唱してきた。2017年には、職場のデータを管理するための原則を発表し、団体交渉を通じてアルゴリズムによる管理の乱用を抑制するための取組みを開始した。150か国で2000万人以上の労働者を代表するUNIは、サービス産業におけるディーセントワークを確保し、組合が代表する権や団体交渉権等、労働者の権利を擁護することをミッションとしている。 

♦noyb.eu:デジタル権のための欧州センター。欧州データ保護規則に関連した取組みを行う非営利団体noyb.euは、これまでに、グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン等の企業を含む、多数の意図的なプライバシー侵害に対して600件以上の訴訟を提起してきた。4,600人以上の賛助会員がnoyb.euの活動に資金を提供している。