
UNIは、国際労働組合総連合(ITUC)と欧州労働組合総連合(ETUC)が発表したウクライナにおける平和の呼びかけ及び声明を支持する。
ITUCとETUCは、ウクライナ東部における敵対行為と紛争の即時停止と、人々の利益のために危機を解決するよう、誠実な交渉の実施を呼びかけている。
アントニオ・グテーレス国連事務総長は、ロシア大統領府が2つの分離派支配地域の独立を承認する決定を下したことについて、国連憲章の原則に反するものであり、ウクライナの領土保全に対する侵害であると指摘した。また、2015年の国連安保理決議第2202号で承認されたミンスク合意に従い、ウクライナ東部紛争の平和的解決を呼びかけた。欧州安全保障協力機構も非難を表明している。
シャラン・バローITUC書記長は、「ミンスク合意が履行されず、多くの人命が失われ、人々は7年間苦しみ続けてきた」と述べ、「紛争が人為的に煽られ、ここ数週間で、さらに何百もの停戦違反が起きている。平和の架け橋を築く代わりに巨額の軍事費が費やされ、攻撃的なレトリックによって、さらなる不安定が引き起こされている」と非難した。また、「現在生じている紛争によって、ロシアとウクライナの両国のみならず、欧州の他の地域の経済にも大規模な影響が及んでいる。紛争がエスカレートし、壊滅的な結果をもたらす危険性は現実のものであり、紛争の根本原因に対処する誠実な対話が行われるまで、この状況は続くだろう」と指摘した。
共通の安全保障
ETUCおよびITUC汎欧州地域協議会(PERC)のルカ・ヴィセンティーニ事務局長は、「欧州委員会と欧州理事会の議長、そしてEUの上級代表は、国連事務総長の声明と同様、ウクライナの領土保全とミンスク合意を支持する強い声明を発表している」とした上で、「すべての政治指導者は、戦争を回避し、妥協案を探り、合意を尊重する勇気と、人々に利益をもたらす、共通の安全保障に不可欠な基盤となる持続可能な経済を構築する知恵を持たなければならない」と力説した。
また同氏は、「検証や対話の手段を提供する INF 条約や領空開放条約といった共通の安全保障措置の崩壊は、50 年近く平和を支えてきたヘルシンキ合意における規定の全般的な弱体化と関連している」と指摘し、「この重要な枠組みが完全に崩壊し、すでに進行している欧州の軍事化がエスカレートする可能性が現実味を帯びてきた」との懸念を表明した。そして、「かつてヘルシンキでなされたように、共通の安全保障の枠組みを構築するため、関係する全ての政治指導者を結集させる緊急措置を求める。世界が必要としているのは新たな社会契約であり、これ以上の紛争ではない。我々に必要なのは、人々と雇用、平和と安定への投資だ」と訴えた。