UNI世界金融部会、ウェビナー「ミャンマーの労働者と連帯を:軍事政権への金融支援をやめよう」を開催

UNI世界金融部会は、UNI及びITUCのグローバル・アクションデーと連携し、9月15日(水)日本時間20:00-21:30、2021年2月の軍事クーデター以降のミャンマーの状況と、ミャンマー労働運動がミャンマーの軍事政権に対する包括的な経済制裁を求めていることについて、最新情報を共有するウェビナーを開催した。UNI世界金融部会は、銀行及び金融機関に対し、軍事政権と結びつきのある企業からの資本を引き揚げるよう求めている。

リタ・ベルロファUNI世界金融部会議長は、開会挨拶において、この闘いは、ミャンマーに自由と民主主義を取り戻すためのものであり、自分(ベルロファ議長)も軍事政権下の苦しみは経験しているのでよく理解できる。ミャンマーの人々と連帯し共に乗り越えていきたいと述べた。

ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長は、8月末、開催された「ASEAN+6 社会対話会合」において、UNI Aproとして軍政に反対する決議に参加した。UNI Aproは執行委員会で声明を採択したところ、これからも他のGUFsやITUC-APと連携し様々な場面で関与し、ミャンマーの民主主義を回復したい。また、サイバーセキュリティ法案に強く反対しており、多国籍IT企業による民主活動家のデータ集めには強く反対する。UNI加盟の豪FSUは使用者に対し、責任ある行動求め、ミャンマーで操業する多国籍企業に働きかけている。不服従運動に参加するミャンマーの銀行労組とも対話しており、連帯を示しているところ、今日は重要な機会となるよう期待していると述べた。

マウンマウン・ミャンマー労働組合総連盟(CTUM)会長は、2月1日、クーデター発生直後から、選挙結果を支持し、民主化を阻害する動きを非難する声明を出した。3日、軍部が動き出して以降、行動を続けてきた。鉄道が止まり、人の移動や物流が停止し、工場が停止し労働者が解雇されている。軍部は、半年で中央銀行職員を含む20万人の公務員を解雇した。市民社会は今も抵抗しているが、十分ではない。国にとって貴重で優秀な人材が失われている。軍事政権を止めなくてはならない。世界銀行の報告によると、GDPは18%下落し、国民の半分が貧困に陥っている。CTUMは組合同士連帯し、行動し続けているが、組合リーダーたちが次々に逮捕されているのが現状である。国連において、軍事政権ではなく国民統一政府(NUG)を認めるよう求めている。ILOは軍事政権に会議への参加資格を与えないとした。今次国連総会もGUFsやITUCと共に総会から軍事政権を追い出すキャンペーンを行っている。軍事政権に対する諸外国からの財政的な支援を断ち切ることが重要であり、みなさんの支援を必要としていると述べた。

シャラン・バロウITUC書記長は、軍事政権への資金の流れを断ち切るために、金融部門、特に銀行が責任を果たすことが重要である。欧米の口座からの送金など個々人からの送金が見逃されている。ミャンマーの状況は、自由と民主主義が否定されていることと同義である。ITUCとしてUNIのキャンペーンを支持する。我々は包括的な制裁を軍事政権に求めており、軍政を国連から閉め出したい。政府にもプレッシャーかけ、断固とした態度をとるよう求めていく。組合運動への経済的支援と併せて連帯して行動しようと呼びかけた。

リサ・ネイサンUNI投資家対話アドバイザーは、全体で650億米ドル以上の資金が結果的に軍部に流れている。NGOバンク・トラックによると10億米ドル以上の投資を行っている銀行には、日本の三井住友銀行、三菱UFJ銀行、みずほ銀行が挙がり、他には農林中金の投資も確認できる。軍事政権と歴史的な関係があり、クーデター前からの投資かもしれないが、結果的に弾圧に直接関わっていることになる。人権デューデリジェンスに基づき、投資をすぐにやめるべきであると述べた。

アンジェロ・デクリストUNI金融部会担当局長は、金融産業の労組として、我々はミャンマー国民と連帯すべきである。民主主義や労働組合主義が攻撃されているということであり、本ウェビナーは出発点である。スイスのUBSに書簡を送るキャンペーンを始める予定である。民主主義を守ために声をあげようと述べた。

Q&Aセッション
Q:軍政への資金の流れを断ち切ると労働者の立場が苦しくなることがないか。
A:ILOの報告によれば、この6か月で220万人が失業した。もちろん資金引揚は、労働者に一時的に影響するかもしれないが、それでも包括的な経済制裁は必要。労働者にとって痛みを伴うかもしれないが、自由と民主主義を取り戻すためならやる価値はある。
Q:NUGが武装するというニュースがあるが如何。
A:自衛のため、武器を取ることはあるが、武装ではない。もちろん我々は内戦を望んでいるわけでもない。みんなで交渉に参加し、話し合いによって解決したい。経済制裁により資金を断てれば、軍事政権は崩壊するだろう。国連からは既に閉め出された。これは我々の運動によるものだと考えている。
Q:UNIが多国籍企業ではなく金融機関に対象を絞っているのは特定の理由があるのか。
A:金融機関が果たす役割は重要である。事実650億米ドルもの投資が行われ、軍事政権の資金源になっている。人権への責任を果たし、資金源を断ち切るべきだと考える。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、本ウェビナーを総括し、マウンマウン会長の非常に厳しい状況下での出席に感謝。UNIとITUCは民主主義復活のために、様々な支援をしている。国連総会から軍事政権を閉め出せたのは、大きな前進である。暴力が横行し失業者が増えている。それでも国民は我々労働組合を支持し、過去には戻らないという確固たる意志の下、行動している。資金を断ち切れば軍は崩壊する。これからは更に課題にフォーカスしていく。これは団体交渉のための闘いではなく、民主主義を取り戻すための闘いである。世界はミャンマー国民の味方であると述べた。
マウンマウンCTUM会長は、保険業界についても取組みを期待する。ミャンマーには10社以上の国際保険会社が進出している。海運・航運共に保険が無ければ運用できず、短期的な規制でも軍事政権への資金流入が防げる。今日が民主主義を取り戻す長い旅路の始まりだと確信していると結んだ。


コロナ禍とDXの影響を受ける印刷・パッケージング部会加盟組織、新たな行動計画を採択

2021年9月14日、9か国14加盟組織より34人と、来賓・スタッフ19人が出席し、第5回UNI Apro印刷・パッケージング部会大会がオンライン開催された。

大会は、2017~2021年度UNI Apro印刷・パッケージング部会活動報告、2021~2025年度UNI Apro印刷・パッケージング部会行動計画、UNI Apro共同声明を採択すると共に、2021~2025年度UNI Apro印刷・パッケージング部会委員会委員及び役員を選出した。議長にはロレイン・キャシン氏(オーストラリア)が再選され、副議長には、宍戸印刷労連委員長(日本、東アジア代表)、ラビ・ラマサミー氏(マレーシア、東南アジア代表)、ジャグディシュ・ゴッセ氏(インド、南アジア代表)が選出された。

また、古賀印刷労連副書記長が資格審査委員長、安部全印刷書記長が決議委員を務めた。

ロレイン議長は、開会挨拶の中で、「本大会では、新たな環境の中でいかに組織化を進めるか、いかにコミュニケーションを図るか、情報交換を密にしいかに労働者を代弁していくかを議論する」と述べた。「ワクチン接種の格差が拡大する中、最前線で働いている労働者の安全確保が重要であり、多国籍企業は賃金や安全衛生を疎かにしてはならない。DXが加速し、チャンスも到来し、持続可能なパッケージング産業の構築が必要だ。過去のような形には戻らない。大会で情報交換をし、職場に戻りそれぞれの計画を策定することが大切だ」と強調した。

ホフマンUNI書記長からは連帯挨拶を受けた。「印刷・パッケージング部門はエッセンシャルワーカーであり、職場における安全衛生の確保が重要だ」と述べた。「コロナ禍により原則した世界経済を復興させる上で、労働者が取り残されてはならない。多くの企業がコロナを口実に、ビジネスモデルを変更したり、賃下げを行っている。特に印刷部門、新聞業界では、活字媒体が廃刊に追い込まれている。広告収入もデジタル企業に取られている。印刷やメディアは独占企業であってはならない。業界の将来をどう形成していくか交渉できる組合の存在が重要だ。技術の変化に対応して、労働者のスキルアップが重要だ。民主的な社会において労働組合は極めて重要な存在であることを強調していく。」

ニコラUNI世界印刷・パッケージング部会担当局長は、「コロナ禍で印刷・パッケージング業界の中でも、大打撃を受けた新聞、セキュリティ印刷部門と、ティッシュやパッケージング等の生産が増え成長した部門もある。我々は国際会議をオンライン開催しタイムリーな情報交換に努めた。労働安全衛生に関するガイドラインを策定し、各産業の傾向分析も行った。国際ジャーナリスト連盟(IFJ)とも連携を強化している。セキュリティ印刷部門の情報交換も継続していく。アムコール社のUNI Apro労組ネットワークを強化していきたい。マレーシアで印刷・パッケージング部門の労連(UNI PACK)が結成されたことは大きな成果だ。ネパールで、デジタル組織化を始めた。今後はフィリピン、ラオス、ベトナムにも目を向け、強力な組合をUNI Apro地域で構築していく」と挨拶した。

続いて、ラジェンドラUNI Apro地域書記長から基調講演を受けた。「印刷・パッケージング部門のコロナ禍の影響には濃淡がある。デジタル化の影響で新聞は廃刊になる等影響を受けていたが、コロナ禍で更に深刻化した。一方、パッケージやティッシュぺーパー部門は、衛生用品や食料品の需要増により活況となった。これらの変化が永続的なものになるかどうかは不明だが、デジタル化、自動化が一気に加速した。非正規で不安定な低スキル・低賃金労働が増え、労使関係が蔑ろにされる新しい労働形態が出現し、所得格差が拡大している。人間を中心とした復興を目指すには、ILOが提唱するように、①人間の潜在能力への投資、②仕事に関わる制度への投資、③ディーセントで持続可能な仕事への投資の拡充が重要だ。UNI Aproは、パートナーシップ労使関係を促進しながら、全ての人にとって、包摂的かつ公正で持続可能な社会の実現を目指し、国民皆保険、疾病手当の確保、移民労働者の保護、労働安全衛生の遵守と基本的労働権の確保等に取組んでいく」と述べた。

以下は行動計画に沿ったテーマ別議論の要約である。

セッション1「組織化! エンパワーメント! より良い団体交渉に向けて力の構築!」

UNI Apro各国で事業を行う多国籍企業アムコール、テトラパック、キンバリークラーク、ウェストロック等の組織化に重点を置き、労組間の連携を図っていく。ホビッグUNI Apro組織化担当部長から同部会の計画を聞き、インド・プネ地区における多国籍パッケージング企業の組織化に向けた調査報告と計画について確認した。

セッション2「 デジタル化及びCOVID-19等の課題に対する革新的な対応」

宍戸印刷労連委員長は、産別労組として、働く立場から意見提起を行い、産業政策等について労使間での共有を目指しつつ、雇用の維持と創出、賃金・労働条件の維持向上に全力を挙げていくと発言した。

インドネシアASPEKのアリ印刷・パッケージング部会議長は、コロナ禍における政府及び企業への要請や、DXにおいても労働者が新しいスキルを習得できるよう支援している取組みを報告した。ラビ・マレーシア新聞労連書記長は、新聞業界は読者層が印刷媒体からSNSに移行し、縮小を続け、多くの組合員を失ったと述べた。組合つぶしも横行し、在宅勤務、契約労働・請負労働が増加し、組合に入りたがらない若年層もおり、組合員増につながらないと苦しい状況を報告した。

梅原全印刷委員長は、デジタル化は回避できないが、国民サービスの質の低下を招かぬよう、新事業の確保に向け労使間で課題を明らかにしながら克服に取組んでいくと述べると共に、長年支援してきたインドのセキュリティ印刷9組織が近い将来団結し、UNI活動に積極的に参加することに期待を寄せた。

これを受け、ジャグディシュ・インドセキュリティ印刷労組書記長は、7月にUNIが情報交換セミナーを開催してくれたこと、特に梅原全印刷委員長の支援に感謝した。セキュリティ印刷部門はデジタル化の影響を大きく受け非常に厳しい。「インドでもデジタル通貨による決済が年末までに開始される予定だが、都市のみで使用され、地方では混乱が生じる可能性がある。横行するサイバー犯罪の殆どが未解決で、セキュリティ上のリスクが高い。雇用喪失にもつながる」と警戒し、更なる情報交換の開催と支援を要請した。ジョー・ニュージーランドEtu交渉担当は、使い捨てプラスチックを減らすため、新たなパッケージのニーズが生じており、公正な移行を推進していくと強調した。

セッション3「印刷・パッケージング産業のより良い未来に向けてネットワーク強化」

市村大日本印刷労組委員長は、組合員の社会に対する関心や知識を高める取組みとして、UNIの協力を得て、SDGsをテーマとしたウェビナーを開催し、サプライチェーンの問題や児童労働について紹介したことを報告した。

マヘンドラ・ネパールIMPRESSION委員長は、組合員への福利厚生の充実や教育、労働環境改善の取組みを通じて組合のイメージを刷新すると共に、労働契約の適正な締結を目指していると述べた。デジタルプラットフォームを活用して組合員とのコミュニケーションや社会対話を図ろうとしている。

吉永新聞労連委員長は、ジェンダー平等実現に向けた取組みを報告した。組合の「真の民主化」を実現するには、具体的な数値目標を立て、マイノリティ性のある立場の人の声を拾えるよう、制度、構造、システムを変え、その必要性を組合員に繰り返し説明し全体で取組むことが重要だと述べた。


UNI Apro ICTS部会、安藤新議長の下、 IT・テック・ゲーム産業の組織化を目指す行動計画を採択

2021年9月1~2日、第6回UNI Apro ICTS部会大会がオンライン開催され、29か国15組織より、300人(代議員37人、オブ27人、ゲスト209人、スタッフ27人)が参加した。女性比率は30%だった。情報労連からは本部及び3加盟組織より計16人(代議員9人、オブザーバー7人)が出席した。

大会は、2017~2021年度UNI Apro ICTS部会活動報告を総括し、IT・テック・ゲーム部門の組織化に取り組むことを盛り込んだ野心的な2021~2025年度UNI Apro ICTS部会行動計画を採択した。最後に、2021~2025年度UNI Apro郵便・ロジスティクス部会委員会を選出し、議長に安藤情報労連委員長を選出した。

開会式の挨拶や代議員の発言では、今大会で退任した野田前議長への感謝の言葉と、安藤新議長への就任のお祝いが述べられた。

主な大会議論

セッション1:リモートワークの課題への対応

アンディ・カーUNI ICTS部会議長は、コロナ禍でリモートワークが急増する中、使用者による労働者監視の強化、労働者のプライバシー侵害や、メンタルヘルスへの悪影響が問題となっている。労組はこうした課題について団体交渉で交渉すべきだと強調した。安藤情報労連委員長は、コロナ禍においてオンラインを活用した各種機関会議やセミナー・研修の開催、組織化、平和行動を実施した経験から、今後の労働組合にとって重要なのは、①情報発信力、②「つなぐ」役割、③参加型の活動展開の強化だ、と強調した。インドネシアASPEKのハンダヤニ代議員は、政府と協議し、リモートワークに関する規制を作るとともに労働者への啓発活動も行っていくと報告した。スリランカ・メディアプロテク労組のカマラナス代議員は、リモートワークへの保障を定めた法律が整備されておらず、組合が交渉に当たることが難しい現状を共有した。

 

セッション2:組織化に関する取組み

「主要なグローバル・地域通信企業の組織化」では、バングラデシュ・テレノール労組、マレーシア・エリクソン労組より、在宅勤務が続く中での組織化に苦労しているとの報告があった。一方、ネパール・アクシアタ労組では、労使関係は比較的良好で7度目の団体協約締結を目指して交渉中であること、コロナ禍に在宅勤務者向け研修や全職員へのPPEの支給、隔離施設やオンライン診療の提供等を行ったことが報告された。

「コンタクトセンターの組織化と労働環境向上」では、パートンUNI世界ICTS部会担当局長が世界中で急増するコンタクトセンターに特化した組織化戦略を策定し活動を展開していることを報告した。特に、GAFAをクライアントとし、フィリピンやインドで11万人以上を雇用するフランスのテレパフォーマンス社については、劣悪な労働環境について苦情申し立てを行い、労働者の自由と人権を尊重するよう会社側に求めている。今後4年間は特にUNI Apro地域での活動に力を入れたいと加盟組織の協力を求めた。

「グローバルIT企業における組織化と組織強化」では、レバックUNI世界ICTS部会組織化担当から、IT労働者はあらゆる部門の企業に存在するが、決して労働環境がよいとは言えず、ストレスや長時間労働、ハラスメント、賃金交渉等の様々な問題を抱えており、組合を必要としている現状が報告された。韓国KFCLUのキム代議員は、オラクル、マイクロソフト、ヒューレットパッカード労組の組織状況や労使関係について報告した。オラクル労組は2年間ストライキ後、昨年末に初の協約を締結し、賃金を交渉中である。定期的な労使協議も行っている。ネパールUNITESのレグミ代議員は、ジェンダー、社会対話、マッピングなどの定期的な組織化や研修を実施している他、独自のモバイルウェブアプリも活用し、デジタル組織化を推進していると報告した。インドNCUのプラサド代議員は、特に中小のIT企業でコロナの影響による解雇が発生していること、組織化にはSNSやズーム等を活用していることを報告した。

 

セッション3:ミャンマー問題が通信産業に与える影響

アチャリャUNI Apro地域書記長からミャンマーの労働者や労働組合を巡る状況とITUCや他のGUFと連携したUNI Aproの取組みについて報告を受けた後、2人の来賓が講演した。石橋参議院議員は、ミャンマー民主化を支援する議員連盟事務局長として日本政府や外務省への要請行動等の取組みについて報告し、通信規制問題に関してUNI Aproと引き続き連携していきたいと述べた。国際人権NGOヒューマンライツ・ウォッチのロバートソン氏は、軍による通信規制や取り締まりの状況と多国籍企業の対応について報告した。フランス・テレノール社は、通信監視の要請に最後まで抵抗していたが7月に事業を売却・撤退を表明。売却先企業の軍事政権との関係は不透明であり、人権の尊重を担保するため、労働組合の協力を要請した。春川KDDI労組委員長は、ミャンマーにおける事業の現状と現地で働く組合員や従業員の安全確保の取組みについて報告した。

セッション4:デジタル時代のICTS労働者の組織化と代表制

鈴木NTT労組委員長は、NTT労組のオンライン組織化の取組み事例と課題について報告した。新入社員研修に合わせ対面一括で行っていた加入説明会をオンラインで1年に渡り断続的に実施した結果、100%の組織化を達成した。ズームの技術的な運用面の改善と加入拒否者への対応が課題である。台湾CTWUのリウ代議員は、競争が激化する中業績が低迷しており、コストカットの名の下に、教育研修の機会が減っていると報告した。シンガポールUTESのシン代議員は、ナショナルセンターNTUCと連携し、デジタル化による変化に対応できるよう最新の技能研修を労働者に提供していると報告した。パキスタンAPNEUのカン代議員は、2021年6月に協約を締結し、勤続3年の契約社員の正規化などに成功したものの、強制的な配置転換等の組合に対する嫌がらせが続いており、苦しい状況だと訴えた。


UNI Apro、ミャンマー国民統一政府の国連総会での承認を求める共同決議に参画

2021年8月30日に開催された、労働組合、国会議員、ミャンマー国民統一政府(NUG)によるASEAN+6地域社会対話(ARSD)で、ディーセントワークの推進に向けて同国の民主主義の回復を求める決議が採択された。

決議では、9月14日から開催される第75回国連総会において、NUGをミャンマーの正当な代表として承認することを国連に要請する等、重要な勧告がなされた。

今回の社会対話は、NUGと軍事政権のどちらの代表が国連総会に出席できるかを決定する国連総会の信任状委員会の審議に先立ち、特別に開催されたものだ。

ミャンマー国民は、民主的に選出された亡命中の立法機関が4月16日に設立したNUGを、国際社会が承認することを求めている。協議の中で重点的に検討されたのは、そうしたミャンマーの人々の声を後押しする方法である。NUGには、国民民主連盟(NLD)、すべての少数民族グループ、様々な政党、労働組合、青年・女性組織の代表者が参加している。

UNI Aproは、志を同じくするグローバルユニオンのアジア太平洋地域組織、ASEANサービス従事者労働組合評議会(ASETUC)とともに、国際労働組合総連合アジア太平洋地域組織(ITUC-AP)、ASEAN労働組合協議会(ATUC)、ASEAN人権議員連盟(APHR)、ミャンマー労働組合総連盟(CTUM)の協力を得て、NUGの承認を求める広範な活動の一環として、今回の社会対話を開催することとなった。

ASETUC書記長でベテラン組合活動家のモハマド・シャフィー・BP・ママルUNIマレーシア加盟協議会(UNI-MLC)議長が労働組合を代表して歓迎の言葉を述べ、ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長は、パネルセッション「ミャンマーでビジネスを行うということ」の中で司会を務めた。

シャフィーUNI MLC議長は、「今回の社会対話が、ミャンマーの友人たちを勇気づけ、国際社会がNUGを正当な代表として認めることを望むミャンマーの人々に、希望を与えるものとなることを心から願う」と述べた。

ARSDは、ASEANで毎年開催されている三者社会対話であり、様々な問題に対する社会パートナーの対応を集約し、人々を中心としたASEANの構築に向けてディーセントワークのアジェンダを推進している。今回、参加国を拡大して特別版として開催されたARSDには、ASEANの主要な経済パートナーである5か国(日本、韓国、インド、オーストラリア、ニュージーランド)も加わった。

国連総会前日の9月13日、グローバルユニオン評議会(CGU)は、政府間組織にNUGを承認するよう求める世界行動デーを実施する予定。


70社以上のブランドが署名する衣料品産業労働者の安全衛生に関する国際協定が発効

2021年9月1日、77のグローバルブランド及び小売業者が署名した「繊維・衣料品産業の安全衛生に関する国際協定(国際アコード)」が発効した。

この26か月間の法的拘束力を持つ協定には、今後より多くのブランドが署名することが期待されている。本協定は、火災及び建物の安全性に関する協定「バングラデシュアコード」の期限切れと共に発効した。

新たに署名したのは、世界最大のファッション小売企業、H&M、Inditex(ZARA)、ユニクロをはじめ、C&A、Marks & Spencer、米国Calvin Klein、Tommy Hilfiger、American Eagle等である。(署名企業リスト(英語)はこちら)

これらの衣料品ブランドは、UNI及びインダストリオールと国際アコードに署名することで、バングラデシュにおいて既に実施されている安全衛生活動に加え、2013年及び2018年の協定の原則に基づいた国別安全衛生プログラムの拡充を約束することとなる。新しい協定は、オランダの国際アコード財団を通じて実施される。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は「本日、世界の衣料品産業労働者は、大きな一歩を踏み出した。グローバルブランドと小売業者は、この国際アコードに署名することで、バングラデシュの工場の安全性に対するコミットメントを強化すると共に、必要性が高く、強制力と透明性ある安全衛生プログラムを、少なくとも他の衣料品生産国においても確立することに同意した。私たちは、多くのグローバルブランドや小売業者がこの国際アコードに署名し、サプライチェーンにおける衣料品労働者の安全に責任を持つと約束したことを喜ばしく思う。一刻も早く、より多くの署名を進めたい」と述べた。

8月25日に発表されたこの国際アコードは、国際労働組合組織であるUNI及びインダストリオールと、グローバルブランドとの数か月にわたる交渉の末に生まれたものである。国際アコードには、バングラデシュアコードを成功に導いた法的拘束力のある公約や、結社の自由の尊重、管理・監視体制の独立性が含まれている他、対象を他国にも拡大し、人権デューデリジェンスを含む適用範囲拡大のオプションも用意されている。
(国際協定全文(英語)はこちら)


UNI Aproユース、デジタルツールによる青年の組合参加を推進

2021年8月28日、第17回UNI Apro青年委員会が昨年に続きオンラインで開催された。各国委員からは、コロナ禍により依然として対面の活動が大幅に制限される中でも、デジタルツールを活用し、啓発活動や研修の提供、新規組合員の獲得や組織化、ネットワークの維持・強化など、青年の組合への参加を促進する様々な取組みを粘り強く継続していることが報告された。

日本からは、太田委員(情報労連・新任)、藤原委員(UAゼンセン)、松波委員(日放労)、齋藤委員(JP労組・新任)他オブザーバーが出席し、各組織の青年活動について報告した。また、7月に初めてオンライン開催された第20回UNI-LCJユース英語セミナーについて、出席した藤原委員が報告を行った。

UNI Apro青年委員会構成の変更については、情報労連の齋藤前委員から太田委員、JP労組の小野前委員から齋藤委員への交代を含む各地域の変更が確認され、レイズ議長からUNI Apro青年委員会を代表して新メンバーへの歓迎と退任した委員への感謝の言葉が述べられた。

最後に、2018~2022年活動計画の進捗状況と今後の予定(2021年末からのオンライン研修、2022年UNI Apro青年大会をバーチャルまたは対面で開催等)について確認し、閉会した。

 

各国報告(要約)

  • 松波清美副議長(日本 日放労):メディア・放送業界の若年労働者へのコロナの影響について報告。オリンピック、パラリンピックの取材・番組制作のために全国から多くの若い労働者が集められたが、若年層のワクチン接種が進んでおらず感染者が出た例もある。同僚との関係の希薄化や対面によるOJT研修ができないため、メンタルヘルスや人材育成にも影響が出ている。若手組合員の声を活動に反映させるべく、テーマごとにチーム化し、情報共有や意見交換の場を設ける計画である。
  • 太田佳織委員(日本 情報労連):青年層の課題は、組合活動へ参加する組合員、組合役員の担い手が少ないことである。組合員教育や役員研修に参加してもらい、組合活動への理解促進に努め、人材育成を図っている。組合活動を通じ、幅広い知識や人脈、キャリアアップの機会が得られることを伝えている。自由な発想で若年層のニーズにあった活動を行い、情報発信だけでなく組合員が気軽に相談できる窓口としてSNSを活用していく。
  • 藤原尚子委員(日本 UAゼンセン):流通部門で行っている次世代役員育成・青年組合員の参画拡大に向けた取組みについて報告。 流通部門に所属する青年組合員10人が2年間に渡って議論し、提言をまとめた。組合が「ミレニアル世代」「デジタルネイティブ」と呼ばれる世代の特徴やニーズを的確に把握することが必要。彼らはワークライフバランスを重視し、社会問題や社会貢献の意識が高く、「モノ」よりも「コト」の消費に高い価値を感じており、こうしたニーズに対応した新しい組合活動が求められる。7月20日に第20回UNI-LCJ英語セミナーがオンライン開催され、6組織21人が参加。UNIの取組みについて学び、コロナ禍の青年への影響等について議論、共有した。
  • 齋藤優輔委員(日本 JP労組):全国の組合員24万人のうち4万人が30歳以下のユース組合員。組織拡大が処遇改善につながる重要な要素であることを青年世代に伝えている。労使交渉による政策実現には限界があり、政治活動が特に重要であるため、青年層の政治意識や投票率の向上に重点的に取り組んでいる。また、組合員による相互扶助活動である共催制度への参加率向上にも取り組んでいる。
  • ガディス・レスマナ委員(インドネシア ASPEK):コロナ禍の対応について政労使共同宣言を策定した。政労使それぞれが取組み項目を設定し、取組んでいる。労働条件の引き下げを行わない、景気刺激策導入、不利益な取り扱い、差別の禁止など。ASPEK青年活動としては、2020年の雇用創出オムニバス法への抗議行動への参加、献血活動、組合を通じた基礎研修などの提供などを行った。
  • ムハマド・ニザム・ビン・ハジー委員(マレーシアUNI加盟協):青年活動として、年金基金に関する取組み、医療従事者への募金活動、労働者のワクチン接種加速化を求める署名活動と政府への要請行動をUNI-MLCと連携して実施。今後の計画としては、SNSを活用した青年メンバーとの定期的な情報共有、小グループによるチームワーク養成、スポーツ、ワークショップの実施。青年組合リーダーの育成(役割を与え達成感を得て自信をつけてもらう)に努めていく。
  • カイ・フック・タン委員(シンガポールUNI加盟協):コロナ禍によってシンガポールの若者はいくつかの問題に直面している。デジタル化への対応、コミュニケーションの希薄化、人間関係の希薄化、リモートワークによる長時間労働、メンタル面でのプレッシャー、自宅の環境整備など。シンガポールでは政労使による諮問会議が設立され、例えばメンタルヘルス対策について、個人、チーム、企業それぞれのレベルで取り組めるよう勧告した。信頼関係を築くことがより重要になっている。ワークライフバランスとリモートワーク、個人のバランスを実現する取組みである。
  • ベルナデット・レイズ議長(フィリピンUNI加盟協):パヤタス地区への支援活動として、子どもたちの栄養改善活動、奨学金プログラムを継続していく。現在100人の奨学生がいる。日本の個人および加盟組合からの支援に感謝。昨年ファンドレイジングを行った結果、7610米ドルの資金が集まり、500家族以上への支援をすることができている。
  • ロイ・タパン委員(バングラデシュUNI加盟協):バングラデシュでは、専門家、官僚、研修者等多様なステイクホルダーが参加するデジタル・ファイナンス・フォーラムが設立され、自分も執行委員を務めている。規制に関する取組み、能力開発、官僚のリーダーシップスキル向上、情報共有等を使命とし、学びの場の提供、知識のデータベース化、デジタル金融コンテンツ制作等の活動を行っている。青年もデジタル技術を活用して活動を活性化すべきだ。UNIバングラデシュ加盟協ユースは、デジタル技術を活用した情報共有、ジェンダー平等の啓発、持続環境な労働環境づくり、SDGsの達成、青年ネットワーク強化等を目指して活動していく。
  • キマヤ・ウキダブ委員(インドUNI加盟協):女性のための生理休暇導入に取り組んでいる。「一人が一人を勧誘する」という方法で組合加入者を増やし、自分たちの組合であるという意識向上を図っている。UNI-LCJ/UNIインド加盟協セミナーには多くの青年女性が参加し、自分たちの問題について議論することができた。青年に自らの権利を認識し、組合に入ることのメリットについて教えるウェビナーを開催している。
  • ジョティ・シュレスタ副議長(ネパールUNI加盟協):コロナ禍の中、暴力やメンタルヘルスにおいて若年層の被害が増えている。特に労働者の7割以上を占める非正規雇用やインフォーマル部門労働者の状況は厳しく、社会的保護が必要。非正規、フリーランス労働者を組織化し、声を上げることができる仕組み作りが必要。インフラの課題はあるが、デジタルプラットフォームを活用し、組織化や研修を進めていきたい。
  • ミヒリ・ハプアラチャチ委員(スリランカUNI加盟協):小売部門(スーパー、モール)の若い労働者の組織化に力を入れており、産別労組の結成と団体医療・生命保険の設立を目指しているが度重なるロックダウンにより、大きく影響を受けている。青年の研修や医療支援活動も引き続き取り組んでいきたい。
  • シャーリーン・ペレラ副議長(オーストラリアSDA):小売部門には青年が多く、顧客からのハラスメントに直面することが多いため、カスハラキャンペーンに取り組んでいる。労働者、会社、顧客それぞれへの啓発活動が重要。コロナ禍で青年労働者へのカスハラやセクハラは増えている。マクドナルド労働者への啓発キャンペーンでは、デジタルと対面の併用でコミュニケーションを取り続け、組織化を進めている。デジタル組織化にも注力しており、オンライン組合加入システムを導入したことでこの2年間で大幅に組合員が増加した。


インド準備銀行、アマゾンのような営利目的のデジタル決済システムを撤回

インド準備銀行(RBI)は「データセキュリティへの外国企業の関与」に対する懸念を理由に、アマゾンのような企業に利益をもたらす新たな営利目的のデジタル決済システム構築計画を撤回した。今回の発表は、UNIがインドステート銀行従業員労働組合(AISBISF)、IT for Change、外資系小売電子商取引に反対する共同行動委員会(JACAFRE)と共にアマゾンは、反組合的・反競争的な行為を行っており、システム開発を撤回するよう銀行に要請したことによるものである。

6月、JACAFREはRBI宛の書簡において「アマゾンという企業は、公平・公正の原則に反しており、インドを含む複数の国・地域で、不正・虐待・反競争的な行為を行っているとして調査を受けている」と述べた。
ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長は「RBIが新決済システム開発・運営事業体(NUE)計画を保留したことは、正しい方向への一歩である。我々が以前から訴えているとおり、インドは非倫理的、反労働者的、反競争的な慣行の歴史を持つ企業にデジタル決済システムを与えるべきではない。」と述べた。
現在、アマゾンは外国直接投資規則違反および反競争的行為があったとして、インドの執行局、外国為替管理局、インド競争委員会から調査を受けている。また、小規模業者や小売業協会からもアマゾンに対していくつかの申立てがなされている。ロイター通信は、アマゾンがインドの電子商取引プラットフォームにおいて、特定の「特別な」販売者を優先していると報じており、アマゾンの売上の大半は、アマゾンが株式を保有している等、何らかの形でアマゾンと関係がある少数の大手業者によるものであるとしている。

世界的に見ても、アマゾンは執行機関の監視下に置かれており、米国においては、アマゾンは、自社プラットフォーム上の第三者販売者の扱いに関し、「広範な反競争的行為」を行っているとの指摘がなされており、米国連邦取引委員会による反トラスト調査も行われている。これまでにアマゾンは、配達員との契約に違反したとしてFTCに数百万ドルを支払い、容疑を解決している。
同様に、アマゾンはEUにおいて競争法に違反した疑いで調査を受けている。本件は、アマゾンが販売業者とオンラインマーケットプレイスの所有者という二重の役割を利用し、他の業者に不利益を与えているとされたものである。
EU議会は、アマゾンの倉庫労働者の安全確保の必要性が世界的に高まっていることや、米国の大手ハイテク企業の労働者の扱いに対する批判が高まっていることを受けて、ジェフ・ベゾス・アマゾンCEOに雇用・社会問題委員会において証言するよう求めている。2020年10月、EU議会議員37名は、アマゾンによるEUの労働法、データ法、プライバシー法違反に関し、労働組合が欧州全体での調査を要求したことに対し、同氏に緊急対応を求める書簡を提出した。


バングラデシュ・アコードを継承・拡大する新たな安全協定締結

国際的な繊維小売業の代表者は、UNI及びインダストリオールとの間で26か月間の新たな協定に合意した。画期的な協定「バングラデシュ・アコード」の成果を踏まえ、その法的拘束力のある責務の範囲を拡大する内容となっている。

2021年9月1日に発効する「繊維・衣料品産業の安全衛生に関する国際協定」は、法的拘束力のある責務、結社の自由の尊重、独立した運営とモニタリング等、最初の協定を成功に導いた基本的要素を更に前進させたものである。今回の国際協定の主なポイントは以下の通り:

  • 独立した「既製服持続可能性協議会(RSC)」を通じて、バングラデシュにおける安全衛生プログラムを継続する取組み
  • この協定を他の国に拡大することについての合意
  • 人権に関するデューデリジェンスに対応するために協定の範囲を拡大するオプション
  • 協定の条項を執行するための任意の合理的な仲裁プロセス

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「この新協定は、アコード・モデルがうまく機能することを更に証明するものだ。説明責任、透明性、法的拘束力のある責務を備えた国際協定は、バングラデシュやその他の地域における今日のデューデリジェンスのあり方を示す一例となっている」と評価した。一方、バングラデシュの衣料品産業における取組みはまだ終わっていないと認識しており、「RSCの強化と、製品をつくる人々に対するブランドの責任を深めることに寄与するだろう」と新たな協定に期待を寄せた。

前身となるアコードと同様、今回の合意も、既製服や繊維工場を安全にするために、企業と労働組合の間で結ばれた法的拘束力のある協定である。バングラデシュでは、ブランド企業、労働組合、業界団体の三者で構成される独立した全国組織「既製服持続可能性協議会」によって協定は実施されている。

この合意に至るまで何か月もの粘り強い交渉が続けられた。2021年5月にはアコードの移行協定を3か月延長した。前身となるバングラデシュ・アコードは、2013年4月24日に1,100人以上の労働者が犠牲になったラナプラザ事件から3週間後に、アパレルブランドと国際産業別労働組合組織の間で締結された。

アコードでは、独立した安全検査を実施する現場組織、透明性ある改善手順、労働者の苦情処理メカニズムや研修等が確立された。約200のグローバルブランドが署名し、2018年の協定では1,600以上の工場と200万人の労働者を対象としていた。

アコード、UNI、インダストリオールは、全ての衣料品・繊維企業がこの協定に署名し、安全で持続可能な既製服及び関連産業を構築するという共通の目標達成に協力するよう、働きかけてきた。

国際協定の署名企業の第一陣は、9月1日に発表される予定だ。


UNI Aproメディア部会、コロナ禍の影響とメディアへの抑圧に連帯して立ち向かう

2021年8月25日、第3回UNI Aproメディア部会大会がオンラインで開催された。12か国、19組織から代議員、オブ、ゲスト、スタッフ等77人が参加した。日本からは、日放労、民放労連が参加し、中村UNI Aproメディア部会議長が議事進行を務めた。

開会式では、クリスティ・ホフマンUNI書記長が連帯挨拶を行い、コロナ禍で浮き彫りになった労働安全衛生の重要性と共に、ワクチンの公平な接種の必要性を強調した。労働者だけに犠牲を強いてはならず、復興プロセスの中心に労働組合が積極的に関わり、より公平なコロナ後の世界を築いていかなければならないと訴えた。特に民主主義が大々的な攻撃を受け、多くの国で言論の自由に圧力がかけられている中、UNI Aproメディア部会加盟組織の奮闘に敬意を表した。

ヨハネス・ストゥディンガーUNI世界メディア部会担当局長も、厳しい状況の中でメディアは情報の伝え方について批判を受けているが、我々の仕事は単なる情報伝達に留まらず、前線から有意義な情報を提供していくことであり、民主主義に貢献することだと述べた。近い将来、対面の情報交換ができることを期待し、厳しい時こそ組合の国際連帯を強化していこうと鼓舞した。

続いて、アジア太平洋放送連合(ABU)を代表し、ナタリア・イリーバ事務局長室室長から来賓挨拶を受けた。UNI AproとABUの協力は9年前に始まったが、両組織は、メディア労働者の安全と福祉を守り、技術変化や民主主義への脅威に対応する等、共通の目標を持っており、情報交換を重ねてきた。過去10年の技術革新で仕事のやり方も変化し、多様化した。効率性や柔軟性が増した一方で、労働条件の悪化やメンタルヘルスの悪化も生じているとし、特にジャーナリストの仕事へのAI適用については人間の管理下で行うことと、研修の強化を強調した。

最後に、ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長が、冒頭、香港、ミャンマー、アフガニスタンの市民に連帯を表明した後、「未来を創る:包摂的で、公正で、持続可能な未来に向けて」と題する基調講演を行い、UNI Apro全体の課題と今後の取組み方針を紹介した。大会は満場一致で、「UNI Apro部会大会共同声明」を採択した。

2017~2021年度活動成果報告

ミシェル・ベリーノUNI Aproメディア部会担当部長が過去4年間の主な活動とその成果について報告した。組織化、加盟組織の連携強化については、労働安全衛生、組織化等をテーマに、毎年マレーシアで能力開発研修を実施した結果、マレーシアにおける組織化が順調に進んでいる。業界団体との関係強化については、ABUと共同ウェビナーを開催する等して協力を強化した。UNI世界メディア部会女性ワーキンググループにもUNI Aproから積極的に参加し、ジェンダー平等の取組み経験等を共有した。

「メディア産業における、パンデミックによって引き起こされた変化及びメディアへの抑圧の高まりという課題に立ち向かう」

中村UNI Aproメディア部会議長が基調講演を行い、「新型コロナウィルスは、グローバル化された社会や経済システムを狙い撃ちするかのように感染が拡大している。私たち労働組合はコロナ禍において、労働者・組合員の命と健康を守るという課題と、雇用や処遇等、社会的かつ経済的なプレゼンスを守るという2つの課題に直面している。ひとり一人が人間として、また尊厳ある個人として生きていくために、公共性や文化は必要であり、私たちメディア労働者は、それを提供する極めて重要な仕事に従事している」と強調した。

この他、ジャーナリストでもあるカリンガ・セネビラトネ博士が、「経済モデルはメディアの自由の重要な要素」と題する講演を行った。博士は、「報道の自由は社会にとって重要だということはよく知られているが、本当に自由なメディアが存在するのか?」と問いかけ、ニュースメディアのビジネス性と公益性のバランスをいかに取るか、様々な実例を挙げながら解説した。最後に、UNI及び労働組合に対し、ポストコロナ時代に、オンライン学習へのコンテンツを提供することや、自らがメディアプレイヤー、メディアプロダクションになることを期待した。

放送ジャーナリストであり公認メンタルヘルス応急処置士でもあるエバリン・サミュエル氏は、「パンデミックがメンタルヘルスに及ぼす影響と、これに対処する現実的なアプローチ」について概説した。従業員自身によるモチベーション維持から基本的なセルフケアの方法まで紹介すると共に、使用者側がメンタルヘルス対応にはコストがかかることを認識し、様々な福利厚生を提供したり、ビデオコールによってコミュニケーションを図ったりして、労働者の状況を定期的に把握する必要があると述べた。

マレーシアのカイルザマン・モハマド代議員は、コロナ禍に感染予防対策の徹底を図ると共に、メディア業界労働者の雇用の維持と、再訓練を受け新しい仕事に就けるよう取組みを進めていると報告した。

香港のエレン・チェン代議員は、政治不安とコロナ禍により、労働者は失業し、経済も悪化している状況を報告し、若年層の政治参加は進んだが、治安維持法導入後は民主主義が後退していると述べた。労働組合も解体の危機にあり、組合員数も激減しており、国際労働運動からの支援が必要だと訴えた。

日本の岩崎代議員(民放労連書記次長)は、「メディア業界にダイバーシティを求めて」と題し、メディアの業界団体に対して、女性管理職の登用を増やすよう要求したことや、民放労連が行った民間テレビ・ラジオ各社の女性役員比率調査結果を紹介した。日本はジェンダー指数120位と低く、メディア業界でも喫緊の課題である。責任ある立場におけるジェンダーアンバランスは番組制作上でも無意識の偏見につながる恐れがあるとし、ダイバーシティ推進の観点からもジェンダーバランス改善に取組んでいくと述べた。

また、韓国メディア労組(NUMW)から、韓国の国会では言論仲裁法を強行採決しようとしており、これが可決されると、報道機関や記者は虚偽報道に法的責任を負わされ、虚偽報道の流布を是正するだけでなく損害賠償金を課されることになり、脆弱な立場に置かれるようになるとの報告と、連帯支援の要請を受けた。UNI Aproメディア部会大会として、そのような改正が韓国メディアの表現の自由の制限につながることを懸念し、韓国メディア労組の闘いを支援する連帯声明を確認した。

2021~2025年度UNI Aproメディア部会戦略的行動計画の採択

大会は、コロナ感染拡大防止、新しい仕事への対応、安全労働衛生確保、加盟組織の能力開発及び組織化支援、非正規労働者対応、ジェンダー平等推進等の課題について、他の組織との交流・情報交換・優良事例共有の促進や、業界団体/ABUとの協力を通じて、取組んでいく行動計画を採択した。

2021~2025年度UNI Aproメディア部会委員会の選出 最後に、新たな部会委員会メンバー・役員が選出され、議長に日放労・中村氏が再選され、閉会した。


フランスNCP、テレパフォーマンスに人権尊重を要求

経済協力開発機構(OECD)に対する相談窓口であるフランスのナショナルコンタクトポイント(NCP、フランスのNCPは、政労使の代表からなる三者構成の組織)は、2021年8月2日、パリを拠点とするコールセンター大手のテレパフォーマンスに対し、同社のグローバルな事業活動全体において、労働者の健康と安全のプロトコルおよび結社の自由の権利に関する欠点を是正するよう、一連の強力な勧告を発表した。

80か国に383,000人の労働者を擁するテレパフォーマンスは、フランス最大のグローバルな使用者のひとつであり、世界最大手のコールセンター企業として、Apple、Google、Amazon、Orangeなど、世界の大企業のサポートを行っている。

UNIは、テレパフォーマンスにおけるデューデリジェンスと労働者の権利尊重の強化を長年求めてきたが、2020年4月17日、UNIおよびフランスの4加盟組織(CFDT Fédération Communication Conseil Culture、CGT-FAPT、CGT Fédération des Sociétés d’Etudes、FO-FEC)は、フランスのOECDに特定事案について提訴した。この事案は、アルバニア、コロンビア、フランス、ギリシャ、インド、メキシコ、フィリピン、ポルトガル、英国、米国を対象とするものだ。

ここで提出された文書では、テレパフォーマンスがOECD多国籍企業ガイドラインに規定された労働者の権利を侵害した旨が主張されており、パンデミック期間中の同社コールセンターにおける衝撃的で非衛生的な環境や、より良い条件を求めて組織化した労働者に対する報復や組合潰しなどが詳細に言及されている。

提訴を受けてNCPは調査を行い、今回の勧告を発表した。勧告の重要なポイントのひとつは、同社が 「OECDガイドラインに規定された労働者の結社の自由と団体交渉の権利を尊重するために、デューデリジェンスならびに労働者を代表するステークホルダーとの関与を強化すること 」としている点である。また、言及された解雇事案については、「OECDガイドラインで推奨されている労働者の結社の自由に反しており、反組合的な行為に近い」と指摘している。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「社会対話、労働組合、労働者主導の独立した安全衛生委員会の重要性を強調した今回の勧告は、国際的に認められた人権基準の遵守を強化し、職場の健康と安全を確保するための明確なロードマップをテレパフォーマンスに提供するものだ」と述べ、「NCPが事実を徹底的に調査してくれたことに感謝するとともに、会社がこの勧告に従い、地域および世界の労働者代表と有意義な関わりを持つことを求める。1年後には、テレパフォーマンスの経営陣が、労働者とその組合を敵ではなくパートナーとして扱うようになることを期待する」と語った。

NCPは、12ヶ月後に勧告をフォローアップすることを約束している。


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