テレコム労働者を暴力・ハラスメントから守る:欧州社会パートナーの共同声明

欧州電気通信事業者協会(ETN)およびUNI欧州ICTS部会に代表される欧州テレコム部門の社会パートナーは、職場におけるあらゆる暴力とハラスメントを非難する。

我々は、職場における暴力とハラスメントが、労働者と組織の双方に影響を及ぼす深刻な問題であることを認識し、ジェンダーに基づく暴力やハラスメントを含む職場におけるあらゆる形態の暴力やハラスメントを排除し、すべての人にとって健康で安全な職場環境を促進するため、共に尽力する。

脅迫と差別は、良好な精神衛生に対する大きな脅威である(OECD, 2019年)。欧州生活労働条件改善財団による欧州労働条件電話調査によると、特にサービス業と販売業の労働者は、さまざまな種類の脅迫の標的になっている(12%)。同調査によると、「女性のサービス業・販売業の労働者のうち約4%が、望まない性的注目を受けたと報告し、7%が、暴力、いじめ、嫌がらせを経験したと報告している[1]」

我々は、職場における暴力やハラスメントの問題が、労働組合と使用者の間の社会対話と団体交渉を通じて対処され、職場の安全衛生に関する労働者の適切な共同決定権が尊重されるよう、望むものである。

我々はこうした状況において、従業員の職場での暴力の経験には、男女差があることを認識している。この全体的な取組みの一環として、我々は、ジェンダーに配慮したアプローチに対する認識を高め、労働条件におけるジェンダー不平等に取り組み、セクハラを含む職場における女性に対するあらゆる形態の暴力を排除していく。我々は、家庭内暴力が職場環境に影響を与えることを認識し、また使用者はパートナーである労働組合と協力し、家庭内暴力の被害者に対する適切な支援と安全対策を、団体交渉を通じて政策に組み込むことができるようにしていくことができるのである。COVID-19パンデミック、そしてリモートワークや新しい形態のハイブリッドワークの大規模な導入によって、家庭内暴力の問題が増大しており、仕事に関わる問題として、取組んでいかなければならない[2]。

また我々は、すべての労働者が第三者からの暴力やハラスメント、セクシャルハラスメント、差別を受けることがないようにすることを決意する。第三者からの暴力やハラスメントとは、スタッフが職場で受ける可能性のある、同僚によるものではない虐待を指す。これは、技術者が一般市民から攻撃を受けたり、コンタクトセンターの従業員が顧客から嫌がらせを受けたり、従業員がオンラインでの嫌がらせの標的になったりするようなケースを指す。

我々は、すべての労働者がいかなる暴力やハラスメントも存在しない安全な環境で職務を遂行できるよう協力し、すべての個人にとって安全な場所としての「仕事」を促進していく。より具体的には、我々は、「仕事に関する第三者による暴力・ハラスメントに取組み、これを防止するためのEU多部門社会パートナー指針(2010年)」の行動計画における関連する成果と勧告、およびEU部門横断社会対話プロジェクトの「仕事の世界における暴力とハラスメントの排除」における勧告を、統合していくこと想定している。

これらの目標の実現に向けて、我々は包括的な戦略を構築するために社会対話と団体交渉を促進し、実施と監視のメカニズムを確立または強化していく。また、救済措置の利用、被害者への支援、ツール、トレーニングに関する成功事例を共有する。

我々は必要に応じ、利用しやすい形で意識啓発を行っていく。可能な限り、仕事の世界における暴力とハラスメントが防止されるよう、使用者が適切な措置をとることを支援していく。

職場の暴力やハラスメントの予防に向けた包括的アプローチは、確固たる政策から始まる。労働安全衛生の管理に関する、包括的なアプローチにおいては、個人、グループ、組織への影響を含め、暴力とハラスメントの心理社会的リスクが考慮される。

次の段階では、危険を特定し、リスクの評価がなされる。ここに含まれるのは、職場において何が暴力やハラスメントの引き金になりうるか、また、それをいかにして防ぐことができるかを、認識することである。

危険が特定された場合、それについて労働者は知らされなければならず、また労働者は職場で暴力やハラスメントを引き起こす可能性のあるものは何か、またそれをどのように防ぐことができるのかについて、情報が必要である。労働者が職場で直面する可能性のある危険について認識できるようにするためには、トレーニングも重要である。

また、効果的で安全かつ信頼できる苦情処理メカニズムを確保するためのトレーニングも必要であり、これには、事件が発生した際の報告方法に関する従業員への研修も含まれる。従業員は、職場が暴力問題を提起する上で安全な環境であり、従業員の懸念が慎重かつ専門的で機密性の高い形で扱われるよう、保証されなければならない。目撃者や内部告発者の扱いも同様である。

また管理職にある者は、職場のハラスメントや性的暴行に関する苦情をどのように処理するのが最善であるかについて訓練を受けなければならず、また被害を受けた従業員が利用できる支援や救済措置について、熟知していなければならない。また、自組織内におけるいかなる種類の差別的な行動にも加担してはならないことを認識する必要がある。

また社会パートナーは、他の形態の暴力とは異なり、しばしば匿名の加害者によって行われる、あらゆる形態のサイバー暴力を非難する。また、社会パートナーは、 ETNOによる児童保護タスクフォースの取組みについても評価する。これは、ETNOメンバーが既存および潜在的リスク、新たな傾向を特定・理解し、新たな対策を導入し、既存の枠組みを改善できるよう、共通理解を構築し認識を深めること目指すものである。その上で、ICTサービスとその使用が子どもにとってより安全なものであるよう、貢献していく。

電気通信部門の社会パートナーは、暴力やハラスメントに抗する過程において、あらゆる組織が異なる段階にあるとを認識するが、各組織の特性と能力に応じ、模倣から学び、共通の認識を促進し、その他の適切な措置を構築できるよう、尽力する。

リセ・フールETNO事務局長は、「職場に暴力はあってはならず、いかなるハラスメントも最大限に強い言葉で非難されなければならない。オープンかつ包摂的な対話を通じてこそ、革新的な潜在能力を十分に引き出し、社会的な関わりを強化し、創造的思考を育むことができる。人々が職場で安全であるようにすることは、事業を成功させる上で核となる」と語った。

オリバー・レティクUNI欧州地域書記長は、「仕事の世界における暴力やハラスメントに、我々が共に取組んでいくことが重要だ。ICT部門の使用者を、この重要な取組みのパートナーにすることができ、喜ばしい。暴力やハラスメントの防止、苦情処理、効果的な救済には、トレーニング、実施、そしてモニタリングが必要だ。この強力な声明は、これらの目標を共に実現するという我々の決意を示している」と、述べた。

[1] EUROFOUND (2022), WORKING CONDITIONS IN THE TIME OF COVID-19: IMPLICATIONS FOR THE FUTURE, EUROPEAN WORKING CONDITIONS TELEPHONE SURVEY 2021 SERIES(WORKING CONDITIONS IN THE TIME OF COVID-19: IMPLICATIONS FOR THE (EUROPA.EU))

[2] ユーロバロメータの調査(2022年3月)によると、EUの女性の77%が、COVID-19パンデミックによって自国の女性に対する身体的・精神的暴力が増加していると考えている。(HTTPS://WWW.EUROPARL.EUROPA.EU/NEWS/EN/PRESS-ROOM/20220223IPR23904/NEW-EUROBAROMETER-SURVEY-HIGHLIGHTS-SEVERE-IMPACT-OF-COVID-19-PANDEMIC-ON-WOMEN)


スーパーマーケットをフランチャイズ化するデレーズに、ベルギーの労働者が反撃

最近、ベルギー最大のスーパーマーケット・チェーンの一つであるデレーズが、同国内の全店舗をフランチャイズ化する意向を発表した。この動きを自らの労働条件に対する直接的な攻撃であると解した労働者たちは憤慨し、労働組合Setca-BBTK、CNE、ACV-Puls、CGSLB-ACLBの下で、経営陣の権限強化に反発すべく、団結して行動している。

店舗のフランチャイズ化は、デレーズが、スーパーマーケットで働く9,000人を直接雇用しなくなるということを意味する。代わりに、数百の個々のスーパーマーケット・フランチャイズが、賃金、労働時間、福利厚生を含む労働者の雇用に責任を持つことになる。国全体のブロックとしてではなく、経営に余裕のない多くの単一の使用者との交渉は、労働者の団体交渉力を大幅に弱体化することになる。

さらに、フランチャイズ店の労働者は、直営店の労働者よりも条件が悪い別の部門協約の下に置かれることになる。フランチャイズ店部門の労働者は、賃金が低く、労働時間が不安定で、解雇が頻繁に行われ、日曜日に働かされることもある。デレーズは、管理サービス部門でも247名の解雇を発表した。

労働組合は政府に対し、中小企業向けの部門に労働者を移動させないよう、要請した。組合は、労使協議会の会議にも動員したが、会議はわずか15分で終了した。その後の会議においても、経営陣は労働者代表に民間警備員による身体検査を課したが、労働者代表はこれを拒否したため、交渉は中断している。

同社はオランダに本社を置くアホールド・デレーズ・グループの傘下で、欧州、米国、インドネシアで毎週6千万人にサービスを提供しているとされる。デレーズのフランチャイズ化の動きは、企業がブランドや商品を管理する一方で、労働者に対する責任を回避するという、より広範な流れの一部である。

オリバー・レティクUNI欧州地域書記長は、「デレーズの労働者と組合は、人々が尊厳を持って働ける労働条件、職場の民主主義、そして繁栄の共有のために立ち上がっており、我々は彼らに連帯する。ベルギーのモデルは、近隣諸国の中でも最も低いレベルの不平等をもたらしている。その強力な団体交渉の仕組みは、労働者が同様の攻撃に直面している欧州全域を刺激するはずだ。パンデミックの間、大きな個人リスクと犠牲を払いながら棚に商品を補充し続けたスーパーマーケット労働者は、尊厳ある労働に値する。政治家は、バルコニーで拍手している場合ではない。今こそパンデミック時の英雄を支援するため、行動する時だ」と述べた。


チェコの労働組合、国内最大の介護施設事業者と団体協約を締結

UNIの支援を受けたチェコの介護施設労働者が、アルツハイマー患者の入居ホームを運営する同国最大の民間看護施設事業者との間で、初の全社的団体協約を締結した。

チェコのUNI加盟組織UZO傘下で福祉関係の労働者を組織する組合ALICEが、2022年3月21日、プラハで2年間の団体協約を締結した。

チェコの民間介護労働者のための協約として、史上最も強力な今回の協約は、チェコ国内32か所の同社介護施設で働く約1,500人の従業員に適用される。

平均6~8%の大幅な賃上げを実現し、最も低い賃金水準の労働者に最大の賃上げをもたらすだけでなく、安全衛生政策において労働者に強い発言力を与え、まだ組織化されていない介護施設では経営側に干渉されることなく組合が労働者と関われるようになった。

イフラヴァにある介護施設の労働者でもあるダナ・ブリコヴァALICE委員長は、「チェコの民間介護部門における画期的な協約であり、大きな成果だと認識している。今回の協約は、何百人もの介護士、看護師、洗濯係、受付係、その他スタッフの勇気と団結した取組みなしには不可能だった」と感慨深く語る。

3月21日、団体協約に署名するダナ・ブリコヴァALICE委員長(左)とペンタ病院グループのバルボラ・ヴァキュリコヴァCEO

協約の実現に向けたキャンペーンには、何百人もの労働者が参加し、動員や請願活動が行われ、一般市民からも幅広い支持を得た。

アルツハイマー患者の入居ホームを所有するペンタ病院グループのアリス・シュヴェロヴァ人事部長は、「交渉は複雑だったが、公正なものとなった。エネルギー価格その他の高騰の影響によって、施設が大きな打撃を受けた時期に交渉が開始したが、我々は相互合意に達することができた」と振り返り、「交渉に参加した方々の建設的な取組みに感謝したい」と語った。

今回の組合の勝利は、UNIの中欧組織化センター(COZZ)が支援する、迅速な組織化キャンペーンによる成果でもある。ALICEは約1年前の2022年4月に、アルツハイマー患者の入居ホームで締結した最初の団体協約に署名した。10月には、組織化の取組みが功を奏し、さらに4つのアルツハイマー患者の入居施設の労働者が組合に加入し、現在では10施設に拡大し ている。

新しい団体協約はすべての労働者に利益をもたらすが、今後、さらに残りの約20のアルツハイマー患者の入居施設で働く労働者を組織化する道も開かれている。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「より良い労働条件と賃金を求めて組織化し、キャンペーンを展開し、そして立ち上がる決意を持って取組んできた施設労働者とALICEに協力できることを、誇りに思う。この成果はチェコ全土の民間介護施設で働いている人たちを勇気づけている。この地域の組織化に対するUNIの支援が実を結び、労働者の生活に真の変化をもたらしていることは、素晴らしい」と称えた。


UNI、マスマートに南アでの組合潰しを止めるよう要求

UNIとUNIアフリカ・マスマート労組アライアンスが、小売業のマスマートに対し、南アフリカのマクロ(マスマートが展開する大型量販店)店舗での組合潰しを止め、不当解雇された約400人の労働者を直ちに復職させるよう求めている。

マスマートは、マクロ労働者379人を解雇、さらに70人を停職にした。UNI加盟組織の南アフリカ商業飲食関連労働組合(SACCAWU)が、ブラックフライデーの週末を含む2022年11月26日と27日に、マクロ食料品店で組織した一連の「違法スト」や「違法ピケ行為」に参加したとの理由をつけている。

マスマート経営陣は、解雇や懲戒処分を実施するたけでなく、ストを中断させ、労働者の団結を弱めるために、スト労働者の代わりに派遣社員を配置したり、労働者を脅迫したり、組合を脱退する代わりに金銭的インセンティブを供与するなど、さまざまな戦術を駆使してきた。

SACCAWUは、労働者の復職を要求するため、この問題を調停・仲介・仲裁委員会に持ち込んでいる。

キース・ジェイコブズUNIアフリカ地域書記長は、「組合を弱体化させるために、組合潰しのあらゆる汚い手を使ってきたマクロを、断じて許すことはできない。我々はマクロ労働者とSACCAWUに連帯し、マクロ経営陣が解雇された労働者を直ちに復職させ、誠実にSACCAWUとの公正な協約を交渉するよう、強く求める」と語気を強めた。

米小売大手ウォルマートが所有する同社と、組合との間の交渉は、SACCAWUの12%の賃上げと最低月給8000ランド(435米ドル)の要求に対し、マスマートがわずか4.5%の賃上げを提示したため、決裂した。

7か国の労働組合が加盟するUNIアフリカ・マスマート労組アライアンスのメンバーは、マクロ経営陣に対し、解雇された労働者を復帰させ、SACCAWUの公正な要求を受け入れるよう、求める文書を提出した。

労働組合の要求の全文は以下の通り:
・ 全面的な賃上げ、900ランドまたは12%のいずれか大きい方
・最低賃金8000ランド
・販売員の手数料マージンを10%から20%に上げる
・カテゴリー3の労働時間を月160時間から195時間に増やす。
・13か月目の賃金を12月の賃金から分離
・制服手当100ランド
・協約期間中の人員削減の停止

マタイアス・ボルトンUNI世界商業部会担当局長は、「南アの兄弟姉妹は一人ではない。UNI世界商業部会は、世界中で160以上の労働組合と400万人の商業労働者を代表し、SACCAWUとマクロ労働者に全面的な連帯を表明する。マクロは組合潰しをやめ、労働者に仕事を戻さなければならない」と強調した。


戦火の中で組織化するウクライナの医療従事者を支援

ウクライナの医療従事者が、戒厳令の制約、砲撃の絶え間ない脅威、戦中に医療専門職として働くことの重圧に負けず、自らの権利を求めて立ち上がり、不正と闘い、労働組合を結成している。

2023年2月下旬、ポーランドにあるUNIの組織化センターCOZZが設立した「ユニオン・ヘルプ・レフュジーズ(UHR)」が、 Be Like Nina のリーダーやメンバー20人を対象に、会議を開催した。 Be Like Ninaは、戦争が始まる前に草の根の動員を開始し、その後、医療従事者の労働運動/労働組合へと成長した。

3日間にわたる会議では、労働組合の戦略に関するトレーニングが行わ、また心理学を専門とする2名のUHRスタッフによるワークショップでは、戦時下での生活や仕事による精神的負担に対処するための方策が共有された。

UHRにとっては、戦争によって看護師や医師が日々経験している苦難を直接聞く機会となった。多くの参加者が、2022年2月にロシアが侵攻して以来、今回ポーランドで開催された会議で初めてぐっすり眠れたと語った。ウクライナでは、今も毎日空襲警報が発令される地域があり、いつロケット攻撃があるかも分からない厳しい状況だ。

医療従事者からは、戦争や過重労働による緊張からくる不安、疲労、集中力の低下といった共通の症状が報告された。戦争のトラウマで感情が「凍りついている」と語った参加者もいた。ある看護師は、ストレスレベルが高すぎて手が震え、集中力が低下し、30年来行ってきたレントゲン撮影を正確に行うことが難しくなってしまったと言う。さらに、使用者から叱責されるのではないかという恐怖も、彼女の不安を増幅させている。

雇用の安定は、医療部門の労働者にとって大きな不安となっている。なぜなら、離職して仕事を失った他の医療従事者に、簡単に取って代わられる可能性があるからだ。労働者は、陰湿な賃金政策や看護師と医師の間の不平等な地位を報告し、看護師は医療ミスのスケープゴートとして濡れ衣を着せられたりする等の状況を語った。さらに、この部門の賃金はもともと非常に低かったが、戦争による物価の上昇で、生活が一層困難になった。

医療従事者が直面する困難にさらに拍車をかけるように、昨年7月には、ゼロ時間契約の合法化が議決され、国の労働法による保護から労働者の7割を除外する法案が可決された。また戒厳令によって、一週間の労働時間が40時間から最長60時間に引き上げられ、最低休息時間は24時間に短縮された。

しかし、Be Like Ninaの活動家たちは、恐れることなく反撃している。この運動は、2019年11月にUNIの会合に出席していたニナ・コズロフスカ氏が、医療部門の劣悪な労働条件と低賃金を是正するという政府の空約束に対する不満をFaceBookに綴り、他の医師や看護師たちにも自らの困難な経験を共有するよう、促したことから始まった。

Be Like Ninaの共同設立者であるオクサナ・スロボディアナ氏は、「以前は、医療従事者には何の影響力もなく、使用者と政府だけが政策を議論し、我々に多くの心理的圧力をかけてきていた。しかし、この状況が変わりつつある。使用者や政府は、我々が医療従事者の大きな運動であることを認識し、我々の要求に耳を傾け始めている」と振り返る。

戦争によって、多くの医療従事者が国内外に避難し、ウクライナからの脱出を余儀なくされた人もいれば、国内で数ヶ月間働いた後に再び海外で働く人もいる。ポーランドに難民として逃れてきた医療従事者だけでなく、UHRはトレーニングを通じて、国境の両側で働く人々の支援も始めている。

ラファル・トマシャクCOZZ事務局長は、「このトレーニングが、勇気ある(主に)女性たちにとって、どれほど価値のあるものであったかを、見聞きすることができ、感慨深く、やりがいのあるまたとない経験となった。逆境にもかかわらず、組合を結成しようという強い意欲を持って、会議を終えてくれたことを知り、とても嬉しい。現在ポーランドや欧州の他の国々で活動しているBe Like Nina運動のメンバーがおり、今回のトレーニングは、この12ヶ月間、UHRのプログラムがポーランドで行ってきた支援との間に明確なつながりがある。UHRがこうした素晴らしい労働者と組合を支援する新たな方法を構築したことは、誇らしい」と述べた。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「UNIは、戦争の試練やトラウマにもかかわらず、自らの権利を求めて闘い続けているウクライナの勇気ある医療従事者を支援することができ、誇りに思う。UNIの加盟組織による難民支援プログラムが、国外脱出を余儀なくされた労働者や、ウクライナで組織化する医療従事者を支援することができて、喜ばしい」と語った。


UNI、国際家事労働者連盟のエリザベス・タン書記長に全面的に連帯

UNIは、国際家事労働者連盟(IDWF)および世界の労働組合運動の仲間とともに、優れた組合指導者であるエリザベス・タンIDWF書記長の状況を、憂慮しつつ注視している。同書記長は、2023年3月9日、「国家の安全を脅かす」との嫌疑で香港の警察当局に逮捕され、現在は保釈中で進展を待っている。

UNIと同書記長の協力関係は、彼女が香港労働組合連盟を率い、そのエネルギッシュで若いチームが、警備員や清掃員の労働基準を引き上げる世界的なキャンペーンを積極的に支持していた20年近く前まで遡る。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、タン書記長について、「献身的な労働組合活動家であり、極めて誠実な人柄。幸運にも2000年代にタン書記長と密接に仕事をすることができたが、彼女は常に、取り残されて『見えなくされている』弱い立場の労働者に、とりわけ焦点をあててきた。彼女のアプローチは一貫して、より恵まれた環境にいる労働者だけでなく、すべての労働者の賃金と条件を引き上げなければならないというものであり、UNIの全幅の信頼を得てきた」と語った。

UNIは、世界で最も強い信念を持つ優れた労働組合活動家の女性の一人であるタン書記長に、全面的に連帯を表明する。

タン書記長は、UNIと世界中の2000万人の組合員の全面的な支持を受けている。我々は、この状況の前向きな解決と、世界中の労働者の権利促進に向けて、共に取組みを続けていく機会を待ち望んでいる。


FIFAワールドカップ・カタール2022:労働組合の権利なくしてレガシーなし

ルワンダで開催されるFIFA総会を前に、UNIは他7つのグローバル・ユニオン(GUFs)とともに、FIFAとカタール政府に対し、湾岸諸国の労働者への広範な権利侵害を終わらせるべきとのメッセージを送っている。

労働組合によると、2022年のワールドカップが近づく中で、「労働法改正の実施に関する進展が鈍化し、使用者の間で無法状態が拡大し、GUFsや移民労働者との協力に関する対話が突然中止された」という。さらに、ワールドカップによってもたらされた世間の注目を浴びることなく、監視や取締りが弱まったため、悪質な使用者がワールドカップ前に導入された新たな保護措置を踏みにじっているのだ。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「ワールドカップが終わっても、世界の労働運動はカタールの移民労働者に背を向けることはないということを。カタールに理解してもらうことが重要だ。結社の自由と団体交渉の基本的な権利に対する取組みは、ずっと遅れており、ワールドカップに向けた『改革』へのステップは、空虚な宣伝活動以上のものにならなければならない」と述べ、「FIFAは、人権に関する約束についても責任を負わなければならない」と釘を刺した。

UNIは、国際建設林業労連(BWI)、教育インターナショナル(EI)、インダストリオール、国際ジャーナリスト連盟(IFJ)、国際食品関連産業労連(IUF)、国際公務労連N(PSI)、国際芸術・エンターテインメント連盟(IAEA)とともに、声明に署名した(英文はこちらからダウンロード可能)。


解雇に抗してスト決行のグーグル労働者に連帯

2023年3月15日の午前中、スイス・チューリヒで約400~500人のグーグル労働者が、解雇された同僚のためにストを行い、抗議行動に参加した。同社は、前日の3月14日に解雇を発表していた。今回のストライキは、UNI加盟組織シンディコムのグーグル労働者が主催した。

労働者によると、解雇を回避するためのグーグル従業員の提案は広く支持されていたが、会社はこれを十分に検討しなかったという。従業員代表委員会は、解雇を回避するため、協議の過程でいくつかの選択肢を提示してきたが、会社側は、そのいずれも承認しなかった。例えば、チューリッヒのグーグル従業員2,500人は、労働時間を自主的に短縮することを希望していた。

今回のストに参加したグーグル従業員は、スイスをはじめ、世界中の解雇された労働者に連帯を示すとともに、不透明な手続きや、グーグルを所有するアルファベット社が、数十億ドル規模の利益を上げているにもかかわらず、社員の5%を解雇するという事実に憤慨している。同社は、解雇実施の経営上の必要性について、いまだ納得のいく説明をしていない。

シンディコムの助言を受けた従業員代表委員会は、現在、ソーシャルプランの延長を交渉するため、グーグルと協議中だ。このソーシャルプランには、影響を受ける従業員の数をさらに減らし、できるだけ早期に新たな雇用を確保するための具体的な措置が含まれていなければならない。

ベンジャミン・パートンUNI世界ICTS部会担当局長は、「グーグルは、労働者を不当かつ恣意的に扱う多くのテック企業の1つであり、今回の解雇は、世界中のテック労働者がなぜ組織化しているのかを示している。チューリッヒでは、労働者が一丸となり、実行可能な解雇の代替案を提示したが、聞き入れられなかった。我々は、今日ストに参加したシディコムの組合員、そして非情にも解雇されたグーグル労働者に連帯する。会社はもっとうまくやれるし、またそうすべきだ」と指摘した。


2030年にむけた銀行部門:社会対話を通じ、AIリスクに対応

人工知能(AI)とデジタル技術によって、銀行部門やその事業展開のあり方が、急速に変化している。こうした進歩は多くの利点をもたらす一方、労働者と労働条件に大きな影響も及ぼしている。

銀行部門の労働者が直面する重要な課題の1つは、AIを含む新しいデジタルツールを使用するための新しいスキルの必要性であり、使用者は、労働者が訓練やスキルアップの機会を受けられるようにしなければならない。

また、AIやアルゴリズムの倫理的使用、データ保護、モニタリングや監視についての懸念も存在する。AIやデジタルツールは、労働者や顧客の膨大なデータの収集と分析を可能にするが、これらの個人データはどのように使用されるのだろうか?また、偏ったアルゴリズムやAIは、差別や不平等を永続させるなどの影響をもたらしうる。アルゴリズムやAIがどのように意思決定を行うかについての透明性が欠如していることで、倫理的懸念がさらに高まっているのである。

社会パートナープロジェクト
こうした問題に対応するため、欧州の銀行部門の社会パートナー(UNI欧州金融部会と、使用者団体であるEBF、EACB、ESBG)は、『Banking 2030:現在の世界的なトレンド、特に人工知能(AI)は、欧州の銀行業界とその従業員の未来をどのように形作っていくか? 』と題するプロジェクトを開始した。プロジェクトはEUが資金提供している。

プロジェクトの最初のワークショップが、2023年2月17日にパリで開催され、デジタル化、新技術、AIなど、銀行業を変革する主要なメガトレンドに焦点が当てられた。

ワークショップでは、変化を予測し対処する方法としての社会対話の意義が強調された。社会パートナーは、社会対話と団体交渉を通じて、初期段階からデジタルツールの使用を決定する上で重要な役割を担っていることを認識し、デジタルやその他の将来的動向を管理し、悪影響が及ばないよう、責任ある方法で移行していくために協力していく必要がある。

複数の講演者が、責任ある倫理的な方法でデジタル移行を管理する上での、社会対話と団体交渉の重要性を強調した。マーク・ピアソンOECD雇用労働・社会問題局副局長は、労働者の適切なスキルアップとトレーニングを確保し、新しい職場への適応を支援するためには、団体交渉が重要であると指摘した。

ビアンカ・クチニエロOECD-TUAC副会長は、AIの責任ある倫理的な使用には「人間によるコントロール」の原則が不可欠であると強調し、包摂性を促進するデジタル移行を呼びかけた。ミカエル・ブドルフソンUNI欧州金融部会議長は、社会パートナーによる積極的な関与の必要性と、労働者が職場のデジタル変革に適応するためのトレーニングと再技能教育を受けられるようにすることの重要性を強調した。

フランスのエリック・ペレスFO Cadres書記長は、職場でAIがどのように導入されるか、特に監視に関して警戒するよう、組合に呼びかけた。また、職場で使用されるツールが責任ある倫理的なものであるようにするため、実際の開発者を社会対話と団体交渉に参加させるよう、訴えた。

銀行部門におけるAIとデジタル技術の利用拡大は、労働者や労働条件に大きな影響を及ぼしている。労働者への適切なスキルアップとトレーニングの確保、包摂性の促進、監視や偏見などの悪影響の防止など、AIが銀行部門に及ぼす影響に対処するために、社会対話と団体交渉は明らかに必要である。

このプロジェクトは、まさにそのような実践を高めるものであり、次回ワークショップは、2023年6月13日にストックホルムで開催予定となっている。


UNIと加盟組織がノルウェー投資ファンドと会談、労働者の権利について協議

UNIは最近、ノルウェーの加盟組織HKおよびFSUとともに、世界第2位のノルウェー政府系ファンドの投資管理部門であるNBIMと会談し、労働者の権利を含む人的資本管理に関する期待文書の実施状況について、協議した。

今回の会談は、同ファンドのポートフォリオ9,000社以上との協議において、労働者問題を提起するよう、UNIが長年にわたってNBIMに働きかけてきたことの重要な節目となった。NBIMは、世界の全上場企業の1.5%以上、欧州の上場企業の2.7%以上の株式を保有しており、欧州の上場企業においては、概ね第2~3の大株主となっている。 その保有株式の大きさと世界的な地位により、同行は世界中の責任投資分野における基準を打ち立てている。

NBIMの期待文書が完璧だったわけではないが、昨年発表された期待文書では、労働者の権利を重視する姿勢について大きな進展が見られ、「結社の自由や団体交渉などの良好な労使関係は、企業が人的資本管理戦略を効果的に導入・実施するための基盤」であると記されている。

期待文書の発表後すぐに、UNIと加盟組織は、この文言を裏付ける強力な行動を求めてきた。今回の会合では、長年、多くの権利侵害や労働者に対する不当な扱いをしてきたアマゾン等の事例を取り上げ、なぜ実行することが重要なのかを強調した。

これらの懸念に対する銀行の対応は、UNIと加盟組織が注視していくことになる。また銀行を監督し、UNIとHKノルウェーとも会談したノルウェーの国会議員も、その動向について把握していく。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「今回の協議は、同行がその大きな影響力を用いて、どのように企業で労働者の権利が尊重されるようにしていくか、その転換点となりうるもの。他の投資家にも波及効果をもたらすだろう」と指摘し、「これは大きな変化であり、大きな出来事。我々は今、この明確に認識された基本的権利が、どのように実践されるかをしっかり見ていかなければならない。結局のところ、それが重要なのだ」と強調した。

UNIは10年以上にわたって、労働者の権利を促進するために銀行と関わり、労働問題を抱える特定の企業を取り上げ、労働基本権に焦点を当てるよう求めるとともに、ファンドによる影響力行使の強化を求めてきた。

今回のNBIMとの会談は、UNIがグローバルユニオンの労働者資本委員会(CWC)と共著した報告書『Shared Prosperity(繁栄の共有)』の発表を受けて、投資家に結社の自由と団体交渉の尊重に向けて行動を起こさせるための大きな取組みの一環である。同報告書は、企業が労働者の組合加入や団体交渉の権利を侵害する場合、投資家がなぜ、どのように対応すべきかについて、概説している。

労働者資本委員会(CWC)とは、労働者資本の責任ある投資に関して対話し行動を起こす国際労働組合ネットワークである。国際労働組合総連合(ITUC)、グローバルユニオン(GUF)、OECD労働組合諮問委員会(TUAC)の共同イニシアチブであり、UNIは事務局に参加している。


uni logo
最近のコメント
    アーカイブ