OECD報告書、介護部門の変革を求める

2023年6月下旬にOECDが発表した新しい報告書は、介護労働者の低賃金と劣悪な労働条件を浮き彫りにし、介護部門における人員不足と離職率の高さを改善するため、多くの提言が示されている。

『拍手喝采のその先へ』と題された報告書によれば、OECD加盟国において、

  • 介護労働者の賃金は、全国平均時給の70%に過ぎない。介護労働者の4分の1は、平均賃金の54%以下しか得ていない。エストニア、ラトビア、リトアニア、ポーランド、ポルトガル、英国では、2018年の介護労働者の賃金は平均賃金の60%以下であった。
  • 低賃金につながる可能性のある背景要素(学歴、勤続年数、労働時間、性別など)を考慮すると、介護労働者の賃金は同様の要素を持つ他の労働者より12~16%低い。
  • 介護部門の女性労働者の賃金は、同様の要素を持つ男性介護労働者よりも7〜8%低い。
  • 介護労働者の4分の3が、身体的リスク(重い負荷、疲労、疲れや苦痛を生じる姿勢)を訴えているが、労働者全体ではこの値は59%である。介護労働者の3分の2が、精神的リスク(業務量、時間的プレッシャー、困難な利用者)を訴えているのに対し、全労働者では、この値は43%である。
  • 日本、ポーランド、スペイン、スウェーデンでは、介護労働者の4分の1以上が、有期雇用契約の労働者である。

報告書では、以下のような有益な提言が示されている:

  • 最低賃金の引上げ(最賃制度がある場合)及び/又は、部門別最低賃金の引上げを含む、賃金の引上げ(OECDは最近、オーストラリア、ドイツ、ラトビアが最低賃金を引き上げたとしている)。
  • 業務量の削減(例えば、フィンランドが今年行ったように、利用者:職員の比率を、利用者1人当たり職員0.5人から0.7人に引き上げるなど)。
  • 職員が団体交渉の適用対象となることを条件に、介護部門に公的資金を提供する(OECDはこの例としてドイツを挙げている)。
  • 問題を議論し共通の解決策を見出すために、政府が国レベルで社会対話フォーラムを設置する。
  • 税制を通じて組合加入を奨励し(OECD はフィンランド、ノルウェー、スウェーデンをこの例として挙げている)、団体交渉をすべての介護労働者に拡大することによって(OECD はオーストラリア、ベルギー、フランス、ドイツ、イタリアの例を挙げている)、 団体交渉と社会対話を支援する。

エイドリアン・ドゥルチUNI世界ケア部会担当局長は、この報告書について、「労働組合として、我々は介護部門が深刻な労働力不足と高水準の離職率に悩まされていることを知っている。これらの問題は、介護労働者に悪循環をもたらし、組織化、団体交渉、社会対話を弱体化させている。OECDの報告書は、単に重要な統計を提供しているだけでなく、前進する道を提示している。すべての OECD 加盟国の労働組合は、介護労働者を尊重するよう主張する上で、この報告書を参照できるようになった。そして OECD 加盟国自身も、社会パートナーと連携し、これらの提言を現実のものとしていく必要がある」と述べた。

ベロニカ・ニールソンOECD-TUAC書記長代行は、「OECDは介護部門の問題点を浮き彫りにし、この部門で働く魅力を向上させるための提言を行うことで、すべての人々に貢献している。OECDの報告書は、ほぼすべてのOECD加盟国において、労働者の交渉力を均衡させるため、注目を受け、対策を講ずるに値するものだ。大切な人のケアは、決して安上がりに行われてはならない。COVIDパンデミックの際に拍手喝采を受けたにもかかわらず、介護部門は低賃金、劣悪な労働条件、高い離職率とスタッフ不足という危機的状況にある」と訴えた。