2023年6月上旬、スペイン・マドリードで、メディア、娯楽、芸術の各分野のグローバルユニオンが一堂に会し、これらの部門で働くフリーランサーや自営業者が直面する課題と、組合が組織化を行う上で直面する障害を克服する方法について、議論が交わされた。
UNI、国際俳優連合(FIA)、国際音楽家連盟(FIM)、欧州ジャーナリスト連盟(EFJ)が参加した今回の会議は、この部門の非典型労働者に関する3年間のEUプロジェクトの集大成である。
これまで多くの国で、この分野のフリーランス労働者は組合に加入することが法的に認められておらず、また競争法によって労働者が団体交渉を行うことができなかった。しかし、2022年に9月に欧州委員会が策定した「単独自営業者の団体協約に対するEU競争法の適用に関するガイドライン」によって、EU競争法による障壁が取り除かれ、こうした労働者のために組合が代弁し、団体交渉を行う可能性が開かれた。ガイドラインの起草にあたっては、今回会議に参加した各組織が、協議を受けている。
この会議の重要な要素は、非典型労働者に効果的に働きかけ、特にデジタル手段を通じて、フリーランサーの権利と利益を代表できるようにするための、優れた戦略の決定である。
この会議で発表された新たな調査報告では、デジタル化と新しい働き方が非典型労働者に及ぼす影響、特にソーシャルメディアや多くの制作がストリーミング・プラットフォームに移行していることによる業界の収入と労働条件への影響が、浮き彫りになった。
EUプロジェクトには充実した訓練も含まれており、参加組合は非典型労働者の組織化に関する個々の状況に対応した個別訓練を受け、組合は能力とリソースを強化した。会議ではキャンペーンの成功事例や組合成長に関する報告も、共有されている。
ヨハネス・ストゥディンガーUNI世界メディア部会担当局長は、 「いくつものプロジェクトで姉妹組織と連携できたことで、非典型労働者をめぐる問題を掘り下げて調査する継続性が生まれ、労働環境の変化に取組む機会が得られた」と振り返り、「今後もパートナーシップを継続し、成果を土台に共同戦略を練り上げていくことを期待している」と語った。