UNIから責任ある投資家へ:労働組合は必要不可欠な解決策!

世界最大の責任ある投資イベント「PRI in Person 2025」において、UNIは、グローバルバリューチェーンにおける労働者の権利侵害を是正するには、投資家と労働組合の対話が不可欠であると強調した。

ベン・リチャーズUNIシニア政策アドバイザーは、「ディーセントワークの実現:グローバルバリューチェーンにおける労働者の権利リスクに対処する投資家のツールと実践」セッションの開会挨拶の中で、労働組合と投資家は、グローバル・バリューチェーンにおける労働者の権利リスクへの対応において、共通の利益を有すると主張した。また、労働者が組合を結成する基本的権利は、持続可能性の構築とディーセントワークの達成に不可欠であり、「労働者が組織化できる環境では、安全衛生に関する自らの権利の保護を強化したり、職場での差別から身を守ったりできる。そして労働組合は、企業レベルや経済全体レベルでのリスクを軽減する長期的な解決策にとって、不可欠な要素だ」と訴えた。

その他にも、投資機関フィデリティ・インターナショナルの代表者も登壇し、リスクが不明確で困難な状況下における有意義なステークホルダー・エンゲージメントの価値について語った。

国際運輸労連(ITF)加盟組織CONTTMAFのホセ・アディルソン・ペレイラ氏は、自身が代表する港湾労働者等にとっての責任ある企業行動の重要性を説明した。彼は労働権尊重へのコミットメントを会議室から職場へ移行させるよう訴えた。

このイベントは11月4~6日にかけてブラジル・サンパウロで開催された。労働者の権利はグローバルユニオン労働者資本委員会のサイドパネルでも焦点となった。セッション参加者は、プラットフォーム経済における労働者の権利が責任投資原則(PRI)署名機関にとってなぜ重要か、また彼らがスチュワードシップをどう推進すべきかについて議論した。投資家は労働者、組合、同業者からリスク軽減のためのエンゲージメント戦略を探る意見聴取を行った。

UNIは2025年11月、欧州各地で労働者の権利投資家ネットワーク主催の投資家向けイベントシリーズを通じ、この対話を推進する。このネットワークは、運用資産総額3.9兆米ドルの54組織を代表するグローバル投資家ネットワークであり、結社の自由と団体交渉権に焦点を当てている。

下記イベントへの参加登録はこちら
• 11月18日ロンドン – 英国雇用権利法案:投資家が知るべきこと
• 11月19日:パリ- AI時代の労働者:リスク、権利、投資家エンゲージメント
• 11月25日:ジュネーブ – 団体交渉におけるグローバル課題:国連ビジネスと人権フォーラム・朝食サイドイベント


UNI Apro、永島智子新会長を歓迎

永島智子UAゼンセン会長が、UNI Aproの新会長に就任することが決定した。2025年10月28日に開催された臨時UNI Apro運営委員会での推薦を経て、UNI Apro執行委員会で承認された。

UNI Apro史上初の女性会長であり、アジア・太平洋地域の労働運動における女性のリーダーシップにとって画期的な出来事だ。

地域リーダーシップにおける歴史的節目
永島新会長の選出は、継続性と刷新の両方を体現している。継続性とは、UAゼンセンの長年にわたるUNI Aproへのコミットメントであり、刷新性とは、地域組織を率いる初の女性として永島新会長が担う先駆的役割である。永島新会長の任期は、アジア太平洋地域の労働組合が女性、若年労働者、非正規雇用・プラットフォーム労働者の代表拡大に尽力する時期に当たる。

ラジェンドラ・アチャリヤUNI Apro地域書記長は、「永島UNI Apro新会長の就任を心より歓迎したい。UNI Apro初の女性会長の誕生という、歴史的な出来事だ。同氏の就任を祝福するとともに、地域全体の運動強化に向け、緊密な連携を大いに期待している」と述べた。

永島新会長の略歴とリーダーシップ
永島UNI Apro新会長は、特に小売・商業分野において、組合指導者として深く多様な経歴を持つ。
• 2016年、イオンリテールワーカーズユニオン中央執行委員長、パートタイム労働者や非正規労働者の組織化活動を推進。
• 2018年、イオングループ労働組合連合会会長に就任、非正規労働者における同一賃金と組合加入率向上のための運動を推進。
• 2020年、UAゼンセン副会長 流通部門長。日本の商業部門の変革に対する同組織の構造的対応を主導。
• 2022年12月、UNI世界商業部会副議長に選出。
• 2024年9月、UAゼンセン第13回定期大会において会長に選出。UAゼンセンはパートタイム労働者の組織化と日本における賃金格差の縮小における功績を認められ、2024年11月に「UNIブレイキングスルー賞」を受賞。

強力なレガシーを継承
UNI Apro運営委員は、退任する松浦昭彦会長に対し深い謝意を表明した。松浦昭彦UNI Apro会長(同じくUAゼンセン)は2021年11月よりUNI Apro地域会長を務め、その任期中、地域の一体性が強化され加盟組織間の協力が推進された。同氏のリーダーシップのもと、UNI Aproはパンデミック後の複雑な復興期を乗り切りつつ、世界で最も多様性に富む地域の一つにおいて、労働者の権利、民主主義、労働組合の連帯を推進し続けてきた。
退任にあたり松浦昭彦UNI Apro会長は、「UNI Apro会長を務められたことを光栄に思う。この数年間、加盟組織の皆様からのご支援に深く感謝申し上げたい。永島新会長と新たな指導部のもと、UNI Aproが引き続きApro地域の労働者にとって不可欠な組織として成長していくことを確信している」と挨拶した。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は「永島UNI Apro新会長の就任を心よりお祝い申し上げる。我々の運動全体でより多くの女性が指導的立場に就くのは素晴らしいことであり、優れたリーダーになることを確信している。永島新会長と共に取組み、地域全体の労働者に対する新会長の力強い貢献を支援していく」とコメントした。

永島智子UNI Apro新会長は謝意を述べた後、「我々は地域的にも世界的にも多くの課題に直面している。これらに対処するには結束し協力しなければならない。運動の強化を継続する中で、皆様と協力できることを楽しみにしている」と挨拶した。

今後の展望
永島新会長の任期開始にあたり、UNI Aproは引き続き、増え続ける不安定雇用・パートタイム・プラットフォーム労働者の組織化、テクノロジーとAIが雇用に与える影響への対応、気候変動関連の混乱への対処、そして脅威にさらされているあらゆる場所での民主主義と人権の擁護に注力していく。


UNI Apro金融部会大会、アジア太平洋地域における強固な労働組合と持続可能な金融の道筋を示す

2025年10月15~16日にフィリピン・マニラで第7回UNI Apro金融部会大会が開催された。集団的な力を強化し、持続可能な金融を推進し、業界を再構築するデジタル変革に労働者として備えるべく、アジア太平洋地域の金融産業の労働者を代表する組合が結集した。

ジュリア・アングリサノUNI Apro金融部会副議長が議長を務めた本大会には、13カ国24加盟組織から27名の代表者と67名のオブザーバが参加した。『アジア太平洋地域における強い金融労組の実現に向けて共に立ち上がろう』をテーマに開催され、テクノロジーおよび環境面での前例のない課題に直面する金融労働者の力の構築に向けたUNIのコミットメントが再確認された。

ラジェンドラ・アチャリヤUNI Apro地域書記長は、歓迎挨拶の中で、金融部会の組合強化における地域協力の重要性を強調して次のように述べた。「労働組合としての我々の任務は極めて明確だ。デジタル変革が労働者にとって不利益とならぬよう、労働者の利益となるようにしなければならない。それは公正な移行の保障、再訓練・スキルアップ・リスキリングの実施、そしてディーセントワークと社会対話を保護するということだ。」また同氏は、金融産業の企業慣行への懸念が高まっていることを強調し、収益を上げている銀行がAIを活用して雇用を削減しながらオフショアリングを継続している事例を挙げ、「これはシンプルに、企業が強欲だということ。我々は団結して、これを止めるよう声をあげなければならない」と訴えた。

人工知能とデジタル変革
人工知能と自動化が銀行・金融サービスを急速に変革する中、参加者は労働者の権利を保護する公正なデジタル移行の確保について深い懸念を表明した。会議ではUNI金融部会の新冊子『AIを形作り、仕事を守る:デジタル金融時代に向けた労働組合戦略』が発表された。これはAIが雇用・技能・職場ガバナンスに与える影響に対処するための主要な組合戦略と提言をまとめたものである。

加盟組織からは、雇用喪失、AI導入における透明性の必要性、アルゴリズム管理への懸念など差し迫った課題が提起された。参加者は、技術が労働者を置き換えるのではなく利益をもたらすものとなるよう、組合がAIリテラシー構築、公正なAIガバナンス枠組みの交渉、より強力な規制保護の提唱に取組む重要性を確認した。

持続可能な金融と気候変動への対応
大会では持続可能な金融と気候変動への対応策に重点が置かれ、参加者はグリーンファイナンス、再生可能エネルギー投資、気候レジリエンスに関する取組みを共有した。セッションでは、金融機関と労働組合が連携して責任ある融資慣行を推進しつつ、スキルアップ・再訓練プログラムを通じて労働者が環境に配慮した移行に対応できるよう準備する方策が検討された。

加盟組織は、特に排出量は少ないが気候リスクの高い脆弱地域において、労働者の再訓練、手頃な保険、気候対応戦略を含む公正な移行の緊急性を強調した。参加者は、公共資産の保険適用範囲拡大、持続可能な金融原則に関する継続的研修、環境配慮の銀行中核業務への統合など、成功事例を共有した。

デジタル時代における団体交渉
金融部会大会では、デジタル変革・アルゴリズム管理・雇用喪失に対処するため、団体交渉戦略を刷新することが急務であることが議論された。そしてテクノロジー導入に際しての透明性確保、職場変化に関する実質的な協議の実施、進化する金融産業に必要なデジタル・グリーンスキルを労働者に提供するため、組合が団体協約をどう活用できるかについて、検討がなされた。

加盟組織は、AIによる雇用削減への挑戦、持続可能性と包摂性を考慮した銀行業務に向けた影響力行使、技術変化に伴う公正な労働条件の交渉において、集団的力を活用した成功事例を共有した。セッションでは交渉力を構築し国境を越えたベストプラクティスを共有する上で、地域連帯の重要性が強調された。

2026~2030年の戦略的行動計画を採択
金融部会大会では包括的な「2026~2030年UNI Apro 金融部会戦略的行動計画」が採択された。地域全体の共同行動を導く明確な優先事項を定めた。
計画は5つの主要な柱に焦点を当てる:

  1. 南アジア・東南アジアにおける組織化を通じた組合の力の拡大
  2. リーダーシップ育成と技能訓練による能力構築
  3. デジタル変革と気候課題に対応する団体交渉
  4. 人権デュー・ディリジェンスを含む企業説明責任
  5. 公正な経済発展のための公正な移行と持続可能な金融

大会では、従来の労働者の権利を超えた企業説明責任の事例が強調された。ジュリア・アングリサノ議長は、UNIがBNPパリバに対し、占領下のパレスチナ地域で事業を行う企業への融資を停止するよう求めた事例を挙げ、金融機関に人権と倫理的金融の説明責任を問うことで組合が達成できる成果の証左とした。

行動計画は、ジェンダー平等、若年層の参加促進、そして十分な金融サービスを受けられないコミュニティに対する手頃な金融サービス提供における公的部門銀行の重要な役割に関するコミットメントを再確認している。

注目すべき大会セッション
大会では、地域の優先課題とパートナーシップに取り組む二つの重要なセッションが行われた。

アジア開発銀行(ADB)のステークホルダー協議枠組みに関する知識共有セッションでは、労働組合との協働における三つの優先分野が示された:市民社会の有意義な関与の拡大、知識共有と対話の強化、説明責任と透明性イニシアチブの推進である。本セッションでは、金融セ産業の労働組合が地域全体の持続可能な開発プロジェクトにおいてADBと連携する機会が強調された。

大会では、ミャンマーにおける人権改善に向けたUNI Aproの戦略的キャンペーンについて再確認がなされた。これには、金融産業労働者に対する権利侵害の記録、軍事政権を支援する団体の追跡、研究者・法律専門家・政策立案者による連合の構築が含まれる。加盟組織は、ミャンマー労働者の実態を広く伝え、対象を絞った制裁を推進し、ミャンマーに関するILO第33条決議の実施を各国政府に働きかけるよう尽力する。

連帯と地域支援
大会では、重大な課題に直面する加盟組織を支援する2つの連帯声明が採択された。一つ目はスリランカに関する声明であり、国有銀行の民営化と専門住宅金融機関を脅かす規制上の制約から銀行を守るための運動を展開するセイロン銀行従業員組合(CBEU)への連帯が表明された。また大会は、不利な規制変更を受けて労働権、雇用保障、独立管理退職基金を守るネパールの金融労組(FIEUN)による継続的な闘争を支持した。

リーダーシップと地域協力
大会では新たなUNI Apro金融部会委員会が選出され、中野剛損保労連委員長がUNI Apro金融部会議長として承認された。大会ではUNI世界金融部会委員会の代表者も選出された。
また、強力な団体交渉の必要性、若年層・女性の組合参加促進、新興市場における組織化活動の拡大など、グローバルな優先課題が示された。

閉会
閉会にあたりジュリア・アングリサノ大会議長は、この集まりの意義と代議員が描いたビジョンについて「私たちは単なる作業計画の見直しを超えた——ビジョンを確立した。それは強固で未来に対応し、正義と民主主義に根差した組合のビジョンだ」と振り返り、「ソウルからシドニー、バンコクからコロンボまで、地域の隅々から経験が共有された。どの物語も私たちに同じ真実を思い出させてくれた。金融労働者は団結すれば、我々は公平性を実現する上で止められない力となることができる」と述べ、地域全体の連帯の力を強調した。最後に「各組合において、意思決定レベルで女性のための場を創出し続けるよう強く求める。次回の会議ではより多くの女性が参加することを期待する」と述べた。

新たに選出された中野剛会長は、参加者全員に感謝の意を表し、「議長としての私の最初の使命は明確であり、それはこの行動計画を具体的な成果に転換すること。この場に集う全ての加盟組織の集合的な知恵、経験、そして力を結集し、共に運動を築き上げよう」と訴えた。

大会は、2026~2030年活動計画の実施と地域協力の深化を通じ、アジア太平洋地域の金融労働者全員に公正で安全かつ尊厳ある労働を実現できる強固な組合を構築することを誓って閉幕した。次回のUNI Apro金融部会委員会は2026年後半に東南アジアで開催される。


UNI Apro ICTS部会大会、公正なデジタル労働と地域全体の組織強化に向けた方向性を示す

2025年10月13~14日にフィリピン・マニラで第7回UNI Apro ICTS部会大会が開催された。アジア太平洋地域のICTS労働者を代表する組合が、急速なデジタル変革が進むICTS産業における組織化の強化、労働基準の向上、労働者の力の構築に向けて結集した。大会には13カ国、22加盟組織から29名の代表者と48名のオブザーバーが参加し、技術的混乱の最前線における労働者の権利保護に向けたUNIの取組みが再確認された。

ラジェンドラ・アチャリヤUNI Apro地域書記長は歓迎挨拶の中で、開催を支援したフィリピン加盟組織に感謝を表明すると同時に自然災害に直面するフィリピン労働者と組合の回復力を称賛し、「繰り返し発生する自然災害など多くの困難に直面しているにもかかわらず、皆様は重要な活動を継続し、我々を温かく迎えてくださった。UNIはフィリピンの全ての労働者とコミュニティに連帯する」と述べた。

ビジネスサービス部門における基準向上と安全確保
大会では、労働安全衛生リスクや高負荷労働など、ビジネスサービス・BPO部門における喫緊の課題が指摘された。フィリピン・セブでの事例が議論され、地震の揺れが続く中、労働者が顧客の電話対応を継続した実態が明らかになった。この事例は、緊急時プロトコルが実践で軽視され、労働者が職場の安全規制があるにもかかわらず、個人の安全よりサービス継続を優先せざるを得ない状況への懸念を浮き彫りにした。

こうした現状を踏まえ、代議員は『ビジネスサービス部門における組織化と労働基準の向上に関する動議』の採択を満場一致で支持した。業界全体で組織化を強化し、交渉力を高め、実効性のある労働安全衛生(OSH)保護を確保する必要性が強調された。

デジタル変革、スキル、労働者保護
人工知能(AI)とデジタルシステムの急速な普及に伴い、代表団は労働者の権利を保護する公正なデジタル移行の確保について深刻な懸念を表明した。議論では生成AIの影響、データプライバシー、監視リスク、アルゴリズム管理、新たなスキル需要が取り上げられた。加盟組織はまた、有意義なスキルアップ機会、団体交渉の適用範囲拡大、社会対話を通じてデジタル化が職業生活を改善するよう持続的な取組みを要請した。

2025-2029年の戦略的行動計画を採択
大会では、地域全体の共同行動を導く明確な優先事項を定めた4か年の「2025~2029年のUNI Apro ICTS部会戦略的行動計画」が採択された。計画は以下5つの主要な柱に焦点を当てている:

  1. 多国籍・地域のICT企業における組織化と強化
  2. ビジネスサービス部門における労働基準と労働安全衛生の向上
  3. テック、ゲーム開発、デジタルサプライチェーンにおける組織化と公正な条件の促進
  4. ICTS部門の労働者のための政治的影響力と社会対話の強化
  5. データ権利と責任あるイノベーションを含むデジタル時代におけるディーセントワークの促進

本計画はまた、ICTS部会全体におけるジェンダー平等と若者のリーダーシップへの取組みを再確認している。

リーダーシップ、連帯、地域協力
新たなUNI Apro ICTS部会委員会が選出され、北野眞一情報労連委員長が、新たにUNI Apro ICTS部会議長として承認された。同氏は地域連帯の強化と、ICT労働者が自らの仕事に誇りを持てる環境づくりに尽力することを約束した。大会は退任する安藤京一議長のリーダーシップと部会への貢献に謝意を表し、委員会の活動を推進する全加盟組織の支援を称えた。


APECサミットを前に、東アジアのUNI加盟組織が公正な貿易と労働者の権利を訴える

東アジアのUNI加盟組織は、韓国・慶州で開催されるアジア太平洋経済協力(APEC)サミットに先立ち、多国間主義、公正な貿易、労働者の権利を守るよう、各国政府および国際社会に求める共同声明を発表した。

韓国・済州で開催された第 11 回 UNI Apro東アジア労組フォーラムで採択されたこの声明は、日本、韓国、台湾、香港、モンゴルの 23 労組が、より公平で協力的な国際経済秩序を求める声としてまとめたものだ。

声明は、世界がサプライチェーンの再構築と経済不安に直面する中、新たな単独主義と高関税政策が国際貿易秩序と労働者の生活権を深刻に脅かしていることを深く懸念している。これらの措置は、特定の国々に圧力をかけるだけでなく、相互信頼と協力に基づいて構築されてきた国際的な多国間主義のシステムそのものを揺るがすものである。

声明は、アジア太平洋地域が世界貿易の半分以上を占めることを指摘し、保護主義政策が各国の経済だけでなく、世界中の労働者の雇用、賃金、産業生態系をも脅かすと警告している。そして慶州で開催されるAPEC首脳会議に対し、このサミットが「一方的な行動に直面して沈黙する場」ではなく、「公正な貿易秩序と労働尊重における国際的連帯を想起する舞台」となるよう強く求めている。

主な要求

  • 多国間主義の回復:APEC首脳会議は、協調的かつルールに基づく国際貿易の再構築において明確な立場を取るべきである。
  • 一方的な関税と報復措置の拒否:各国政府は経済的強制に公に反対し、WTO体制と既存の国際協定へのコミットメントを再確認しなければならない。
  • 共同地域メカニズムの確立:アジア太平洋地域の政府は、関税圧力への対応を調整しサプライチェーンを安定化させるための協議機関を形成すべきである。
  • 労働者の参加の確保:労働者の声を排除した貿易協議は正当性を欠く。貿易政策の審議には必ず労働組合と市民社会が参加させるようにすべきである。
  • 労働基準と公正貿易規範の強化:地域経済はILO中核条約を遵守し、「共通の繁栄のための貿易秩序」を推進すべきである。

ケアの現場における暴力の蔓延と労働組合の反撃-新たなUNI報告書

国際ケア・サポート・デーに合わせ、UNIの新たな報告書がケア部門における暴力とハラスメントに関する世界的な危機-ケア労働者の10人中8人以上が職場でひどい扱いを受けたり目撃したことがあるという事実を明らかにした。

報告書『ケアする者を守る:ケア労働者への暴力・嫌がらせ防止に向けた組合の取組み』は、80カ国15,000人以上のケア労働者を対象とした2025年の世界調査に基づき、政府や使用者の対応が遅れる中、組合がどのように変革を推進しているかを記録している。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、今年の国際ケア・サポート・デーに向けた行動要請として調査結果を次のように述べた:「仕事をしているだけで虐待や脅迫、嫌がらせを受けるべき人は誰もいない——特に他者をケアする人々がそのような仕打ちを受けてはならない。ケア労働者は恐れを抱くことなくケアできる環境が必要だ。つまり政府は法律を執行し、雇用主は安全を確保し、組合は責任追及の場に参加しなければならない」

報告書によれば、ケア労働者の86%が職場で暴力・嫌がらせ・差別を経験または目撃している。約3分の1が少なくとも月1回の発生を報告し、6人に1人は週1回の暴力被害に遭っている。被害者の3分の2は女性である。

労働者は、利用者やその親族、さらには管理者から侮辱、脅迫、身体的接触、暴行を受けた経験を語る。「暴力は権利侵害ではなく、仕事の一部として扱われてきた」と報告書は指摘する。
慢性的な人員不足と資金不足の介護医療制度が暴力の主要な要因と特定されている。人員不足の施設で働く労働者は、虐待に直面する可能性が2倍以上高い。「システムが機能不全に陥ると、職員がその失敗の象徴となり、不満の矛先となる」と報告書は警告する。

主な調査結果
• 広範な虐待:ケア労働者の86%が職場で暴力・差別・嫌がらせを経験または目撃したと報告している。
• 危険な職場環境:4人に1人以上(27%)が職場で「安全でない」「非常に安全でない」と感じている。
• 頻発する事案:3人に1人近く(30%)が月に1回以上暴力や嫌がらせに直面——看護師では37%に上昇する。
• 慢性的な東:17%が週1回の暴力被害を経験、4%は毎日の被害を報告している。
• 支援の欠如:調査対象8,000人超の労働者の69%が、暴力や差別被害後に使用者から十分な支援を受けられなかったと回答している。
• ジェンダーによる影響:被害者の3分の2が女性であり、ケア部門における構造的なジェンダー不平等を反映している。

こうした厳しい統計にもかかわらず、報告書は職場の安全向上に貢献する組合主導の取り組みの示唆に富む事例を紹介している:
• ガーナでは、保健サービス労組(HSWU)が、ジェンダーに基づく暴力防止を団体協約に組み込み、秘密報告の義務化、被害者支援、加害者への制裁を定めた条項を設けている。
• カナダでは、Uniforが労働者主導の研修と雇用主が出資する教育センターを構築。医療分野の暴力・ハラスメント対策専門コースを開講し、暴力発生リスクのある状況での単独勤務を禁止する団体協約を交渉成立させた。
• アルゼンチンでは、FATSAが暴力・ハラスメントに関するILO条約第190号を根拠に保護措置の交渉とジェンダー平等推進を行い、レイ・ミカエラ研修法を全国モデルとして活用している。
• 日本では、UAゼンセン傘下の日本介護クラフトユニオン(NCCU)がカスハラ対策法(2025年施行)の制定を推進し、事業主に対し利用者・家族によるハラスメントの防止・調査義務を課した。
• チリでは、労働組合が主導して画期的なレイ・カリン法を成立させ、性的ハラスメントと労働ハラスメントを定義・禁止するとともに、全ての職場での予防プロトコルを義務付けた。
• ペルーとアイルランドでは、労働組合が団体交渉や国の保健政策に保護措置を組み込んだ。一方、ベルギーの労働組合イニシアチブICOBAは、ケア施設に無料の加害防止ツールと研修を提供している。

本報告書は、ケア労働における暴力とハラスメントが避けられないものではないと強調する。各地域で労働組合は認識を再構築している:安全は特権ではなく権利である。データ収集、より強力な協定の交渉、法改正の推進を通じて、組合は長年隠されてきた実態を可視化している。

アラン・サブレUNIケア部会担当局長は、「ケア労働が過小評価され、低賃金で保護が不十分な場所では、暴力とハラスメントが蔓延してしまう」と指摘し、「こうした状況を終わらせる先頭に立っているのは労働組合だ。ケア労働者のためだけでなく、ケアそのものの未来のために」

UNIは各国政府に対し、以下の措置を要請している:
• 暴力とハラスメントに関するILO条約第190号及び付随する勧告第206号の批准と実施。
• 予防システム、人員配置、執行メカニズムへの資金提供。
• 労働組合と連携し、リスク評価、研修、被害者中心の報告システムを構築すること。

UNIは使用者に対し、明確なゼロトレランス方針、研修、秘密保持された報告経路を整備し、予防を職場の核心的義務とするよう要請する。そして国際ケア・サポート・デ―にあたり、UNIとUNI加盟組織は、ケア労働者が虐待ではなく尊厳、安全、尊重に値することを改めて表明する。


ICT産業における労働の強化と急速な変化-加盟組織による調査結果

過重な業務負荷、絶え間ない業務編成の変更、そして人工知能(AI)の活用拡大を含む急速なデジタル変革は、ドイツのICT産業労働者の日常となっている。

UNI加盟組織ver.diが実施した最新の従業員調査によれば、こうしたプレッシャーによってストレスが増加し、将来への懸念が高まっている。2025年5~7月にかけて、ドイツ全土の通信業界、IT業界、ゲーム業界で働く13,400人以上の従業員が、調査に参加した。

本調査では、ICT産業の労働者が直面する大きな負担と強い意欲、そしてデジタル変革を乗り切る上で共同決定と集団的規制が極めて重要であることが浮き彫りになった。

ver.diのフロリアン・ハーゲンミラーICT部門担当部長は、「組織変革やAIを含むデジタル変革は懸念を引き起こし、従業員への要求が高まっている」と述べた。そして「回答者の3分の1以上が職業的な未来を懸念している。これは変革プロセスへの従業員参画と、団体協約・社内規定による保護がいかに重要かを示している。また、回答者の約3分の1が将来の要求を満たすのに十分な資格を持っていないと感じていることから、さらなる研修と資格取得に対するニーズも非常に大きい」と付言した。

主な調査結果
• 組織変革は広範に及んでいる:回答者の81.7%が社内で頻繁な再編、外部委託、または組織再編があると報告している。
• 高まる要求: 回答者の3分の2(64.6%)がデジタル変革に伴う知識・技能の要求増大を経験している。
• 将来への不安: 回答者の37.7%が職業面で将来を懸念している。
• 高い業務圧力: 回答者の過半数(53.3%)が恒常的に時間のプレッシャーに直面しており、48%が過去1年間に高い業務負荷がかかっていたと報告。
• ストレス要因:66.1%が、ストレスの主因は同時進行するプロジェクトや業務の多さであると回答。
• 昇進機会の制限:回答者の71%がキャリアアップの機会がほとんどない、あるいは全くないと認識している。
• スキルギャップ:回答者の70.3%が現在の業務を遂行する上で十分なスキルを有していると感じる一方、将来の業務に対応できると感じるのは61.8%に留まった。過去1年間に追加研修を受けなかった者は約39%に上る。


一方で調査結果は、労働者の次のような認識も明らかにした。
• 回答者の77.3%が自身の仕事に強い意識を持ち意義あるものと認識している。
• 回答者の88.4%が同僚から強力な支援を得ている。
• 回答者の95.5%が労使協議会を非常に重要であると認識し、労使協議会が設置されていない職場でも76.1%が設置を望んでいる。

本調査は団体協約と企業レベルでの共同決定がもたらす好影響も明らかにした。従業員が職場において強力に代表され集団的規制(柔軟な労働時間制度、リモートワーク選択肢など)を利用できる環境では、ストレスレベルが低く、職務満足度が高い。

本調査結果は、ver.diがICT産業のデジタル変革形成に継続的に関与する指針となる。今後これらの知見を労使協議会、従業員代表者等と共有・議論し、ICT部門を良質な職場とするための具体的な要求事項と施策を決定する。


UNIとカルフール、グローバル協定を更新-労働者の権利に関するグローバルな取組みを再確認

2025年10月17日、UNIと世界最大級の小売企業カルフールが、グローバル協定を更新した。これにより、カルフールの直営店とフランチャイズ店舗の双方において労働者の権利を強力に保護する基盤を築いてきた24年にわたるパートナーシップが強化される。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「カルフールとのグローバル枠組み協定は、その範囲と強固さだけでなく、労働者へのプラスの影響においても成果を上げ続けている」と述べ、「更新された協定は、カルフールのグローバルな事業展開全体におけるディーセントワーク、社会対話、労働者の団結権に対する我々の共通のコミットメントを反映しており、トルコからコートジボワールに至るまで、確かな成果を生み出している」と称賛した。

更新された4年間の協定には、労働組合の権利と団体交渉、ジェンダー平等、性的指向や性自認に基づく差別を含む反差別、職場における暴力とハラスメントからの保護に関する強力な条項が含まれている。これは、仕事の世界における暴力とハラスメントに取組むILO第190号条約を統合した世界初のグローバル協定の一つだ。

クリスティ・ホフマンUNI書記長とジェローム・ナンティ・カルフール人事資産担当執行役員による更新調印式は、パリで開催されたカルフール欧州労使協議会の年次総会の最終日に行われ、フランス、スペイン、イタリア、ベルギー、ルーマニア、ポーランドの代表者が出席した。欧州労使協議会は、ジェンダー平等、女性に対する暴力その他の重要課題に関する支援文書を通じて、グローバル枠組み協定の強化に重要な役割を果たしてきた。

このグローバル協定は、カルフールとの建設的な社会対話を促進し、アルゼンチン、ルーマニア、チュニジア、トルコ、ドミニカ共和国、ウガンダ、カメルーン、ケニア、コートジボワールなどにおける労働者の組合代表権を強化してきた。

グローバル展開に変化があったにもかかわらず、同社はフランチャイズ網全体を含め、本協定のデュー・ディリジェンス義務へのコミットメントを維持している。

ホフマンUNI書記長は、「多くの企業が保護策を後退させ、労働者への責任から背を向ける中、カルフールは確固たる姿勢を示している。(‥‥中略‥‥)このグローバル協定を更新することで、カルフールは労働組合の権利、平等、包摂性を尊重することが、今日の不確実な世界で責任ある事業活動を行う上で不可欠であることを示している」と述べた。

UNIは、世界中の2000万人のサービス労働者(うち400万人が商業部門)を代表している。
カルフールは現在、フランス、スペイン、ポーランド、ベルギー、ルーマニア、アルゼンチン、ブラジルで直接事業を展開し、アフリカ、アジア、欧州、南北アメリカ全域でフランチャイズ事業を展開している。


「保護主義や人口減少問題は共通の課題」UNI Apro東アジア労組フォーラムに130名が集結!

第11回目を迎えたUNI Apro東アジア労組フォーラムが、日本、韓国、台湾、モンゴル、香港各国・地域の労働組合代表129名が済州島に集い、保護主義、AIの進展、少子高齢化、ジェンダー平等、若者のエンパワメントなど、労働者を取り巻く多様な課題について意見を交わした。各国からは、民主主義や労働権の危機、女性や若者の参画促進、国際連帯の重要性が強調された。基調講演では、保護主義の経済的影響と労働界の対応が論じられ、配送業やメディア業界における過酷な労働環境や表現の自由の問題も共有された。また、ジェンダー平等に関する取り組みとして、女性の意思決定参画や健康支援制度の整備が報告され、若年層のキャリア支援や組合活動への参加促進の重要性も確認された。本フォーラムを通じて、各国の労働組合が直面する共通課題への理解が深まり、持続可能で包摂的な社会の実現に向けた国際的な連帯の強化が再確認された。なお、次回の開催年と開催地:2026年に台湾となる。

 1日目 

■開会式

冒頭でホスト国を代表してキム・ヒョンスン(IFIU委員長)UNI-KLC議長が、済州(チェジュ)は正義と和解の象徴として、世界にその存在を知られるようになった。この島は、かつての苦難を乗り越え、民主主義を守り抜いた歴史を有している。米国発の新たな経済戦争の波が押し寄せ、世界的な危機が労働者に重くのしかかっている。しかし、労働者はこれまでも幾多の困難を連帯の力で乗り越えてきた。済州に集った我々は、改めてその連帯の精神を確認し、平和で公正な社会の実現に向けて歩みを進める決意を新たにしている。済州の風は、抵抗と希望の風であると連帯挨拶を述べた。

■基調講演

テグ大学 経済学部 キム・ヤンヘ准教授は、日本・台湾・韓国は輸出主導型経済を築いてきたが、現在の保護主義の台頭により国際協力が困難になっている。韓国・慶州でのAPEC開催を前に、米韓関係への注目が高まる一方、APECの交渉は実質的成果に乏しいとの批判もある。トランプ前大統領の関税政策は、統治手段として機能し、インフレや投資コストの上昇を招いた。中国との資源を巡る対立や、同盟国への圧力も強まっている。再登場の可能性があるトランプ氏の影響で、国際通商体制の不安定化が懸念される中、各国労働界の連携と米国労働界の対応が重要となる、と言及した。

■テーマ別セッション:4つのテーマについて、各国の加盟組織より報告が共有された。

サブテーマ1:東アジアの労働者が直面する現在の政治的、経済的、社会的状況と課題

  • 日本(西谷涼子 JAW国際局局長):自動車産業は関税戦争の影響が懸念され、国内販売も2012年以降500万台を下回っている。2035年までに電動車化が進む中、公正な移行が重要である。約3万点の部品で構成される自動車は、サプライチェーンの安定が不可欠。自動車総連は税制の見直しや投資支援を求め、国内需要の喚起と持続的な発展に向けて取り組んでいる。
  • 韓国(ナ・ヨンミョンKHMU保健医療労組企画室長):米国の保護主義的な圧力により、韓国経済は関税や投資条件で不利な状況に置かれ、成長率の低下や雇用不安が広がっている。社会では高齢化や格差、極右勢力の台頭も進行中。こうした中、労働組合は労働時間の短縮、非正規職の正規化、地域交渉の活性化、医療・教育負担の軽減など4つの戦略を掲げ、組織拡大と政治的連携を強化しながら、内需中心の経済と国際連帯の構築を目指している。
  • 台湾(リン・イーフン CPWU国際部長):台湾は保護主義の圧力や米国との交渉の前提に直面し、経済安全保障の強化が求められている。IT産業は成長しているが、2025年には超高齢社会に突入し、人口の30.6%が高齢者となる見通しで、経済への影響が懸念される。賃金の低下や労働力不足も課題であり、58%の人が対中貿易を望んでいる。今後は、エネルギー・AI・産業交渉など多角的な政策と社会の体系化、リスク分散、デジタル化による安定的な発展が必要である。
  • モンゴル(バンディ・バヤガルマー ICN労組):2024年、モンゴルの貿易総額は274億ドルで、中国とロシアが80%以上を占める。輸出は石炭や銅など鉱物資源が中心。2025年、トランプ米大統領は全輸入品に10%の関税を課す政策を導入し、モンゴルのカシミヤなど主要輸出品に影響が及ぶ。これにより物価上昇や経済不安が懸念され、国内では教師や医師による賃上げ要求のデモが起きている。
  • 香港(マイケル・シウ RCCIGU): 2025年4月、トランプ米大統領は「解放記念日」として相互関税の停止を発表したが、中国には145%の関税を課し、香港・マカオにも影響が及んだ。香港では米国が中国製品と同等の関税を適用し、株式市場が急落。香港政府はWTOに提訴した。労働組合は保護主義の影響から労働者の権利を守るため、企業や政府との交渉を強化し、国際連携を通じて公正な貿易ルールを求めている。

 2日目 

サブテーマ2:人口構造危機-少子化、雇用年齢や定年年齢の延長、年金制度改革および年金基金の管理

2-1)人口構造危機と少子化:労働組合は何ができるか?

  • 日本(鈴木基子 JP労組中央執行委員):日本郵政グループは、少子高齢化による労働力不足や業務量の減少に直面している。社員数や新卒採用数の減少、郵便物や保険契約件数の減少が続く中、JP労組は65歳定年制度や短時間勤務制度、育児・介護休業応援一時金などを導入。地域ニーズに応じた柔軟な働き方や効率的な運営体制を提言し、持続可能な事業と安心して働ける環境づくりに取り組んでいる。
  • 韓国(シン・スンイル FKMTU):少子化は財政赤字だけでなく、社会保障制度の持続性に関わる深刻な問題である。特に交代勤務の現場では支援制度が機能せず、代替人員の確保が課題となっている。労働組合は賃金問題にとどまらず、子育て支援や制度改善に取り組む必要がある。少子化は東アジア全体の共通課題であり、労働組合の連帯によってこの危機を乗り越えることが求められている。
  • 台湾(シューチーチェンCPWU青年活動委員会議長):台湾の公共テレビとその組合員構成、同労組による長時間労働是正と勤務形態の多様化に向けた取組みについて、概説した。組合として次の勤務までの休息時間の確保、等に取組んでいる。高齢化が進む中、交渉によって年5日の有給の介護休暇を獲得した。また「報道者」について、残業削減に向けて、超過勤務指示が直前に行われた場合には代休時間を増やすことを協約で定めた。
  • 韓国(キム・ジンホン KFIU副委員長):韓国の金融労組KFIUは約10万人の組合員を擁し、産業別交渉を通じて労働環境の改善を推進している。2002年に週5日勤務制を導入し、2025年には週4.5日勤務制を提案。金曜日午後の自由時間は地域経済の活性化や少子化対策に寄与する。韓国の労働時間はOECD平均を上回り、AIの進展により事務職の働き方も変化している。KFIUはAIによる人員削減ではなく、労働時間の短縮と仕事の分かち合いを選択。6か月の交渉の末、金曜日の1時間短縮を実現し、制度化に向けた議論を開始した。
  • 香港(チェン・ライハ RCCIGU書記長):香港の出生率は世界最下位レベルで、経済的・政治的圧力や雇用環境が大きく影響している。教育環境を求めて移住する家庭も多く、若年層の流出が社会構造に影響を与えている。1997年以降、中国本土からの入国者は約203万人に達し、人口減少を部分的に補っている。2023年には新生児1人につき2万香港ドルの給付制度が導入されたが、効果には限界がある。労働組合は育児休暇や家族支援制度の拡充に取り組み、民主主義と自由の保障が出生意欲に直結することを訴えている。
    • 雇用年齢や定年年齢の延長
  • 日本(市川勝也 生保労連 中央副書記長):生保労連の組合員は約70%が営業職員、90%が女性で構成され、年7回の労使交渉で賃金や雇用制度を協議している。高齢化に伴い、65歳以降も働ける制度が整備されつつあり、一部企業では70歳定年・同水準の処遇を提案。組合員からは評価の声がある一方、若手の働きやすさや退職金制度への懸念もあり、慎重な制度設計が求められている。
  • 日本(西川由起 UAゼンセン流通部門執行委員):UAゼンセン流通部門では高齢化と人手不足に対応し、定年延長や再雇用制度の整備を推進。多くの企業が60〜65歳定年で、再雇用は97%が導入済み。「まいばすけっと」では75歳まで働ける「シニアパートナー制度」を導入し、健康診断や社保加入も実施。組合は、働き方の選択ができる社会の実現を目指している。
  • 台湾(ワン・スーユCTWU常任理事):台湾では高齢化が急速に進む中、高齢者の労働参加率は約10%と低く、労働力活用が課題となっている。CTWUは定年延長や再雇用制度の改善を提言し、2024年には抗議活動も実施。政府は補助金や再訓練支援を行っているが、年齢差別や早期退職の問題も残る。中華電信では従業員の3分の1以上が51歳以上で、若年層の採用が進まず、CTWUは柔軟な勤務制度や再教育の充実を通じて持続可能な雇用を目指している。
  • 持続可能な国民年金または年金基金の管理
  • 日本(金織すみえ 損保労連 中央執行委員): 日本の年金制度は3階建てで、公的年金(国民年金・厚生年金)に加え、企業年金やiDeCoなどの私的年金が老後を補完している。少子高齢化により公的年金の給付水準は低下傾向にあり、私的年金の重要性が高まっている。企業年金は確定給付型(DB)から確定拠出型(DC)への移行が進み、損保労連はDC制度の改善や投資教育の充実を企業に求めている。
  • KFSWU書記長):韓国では出生率の低下と高齢化が進み、2060年には労働人口1人が高齢者1人を支える社会になると予測されている。年金制度は3階建てで、退職年金の準備金は2024年に431兆ウォン、収益率は4.77%。政府は2025年に基金型退職年金制度の導入を提案し、NPSによる管理や専門機関の設立を検討。安定性と収益性の両立を目指し、海外事例も参考に制度改革が進められている。
  • 台湾(チャン・フイチェン CTWU主任):韓国では出生率の低下と高齢化が進み、2060年には労働人口1人が高齢者1人を支える社会になると予測されている。年金制度は3階建てで、退職年金の準備金は2024年に431兆ウォン、収益率は4.77%。政府は2025年に基金型退職年金制度の導入を提案し、NPSによる管理や専門機関の設立を検討。安定性と収益性の両立を目指し、海外事例も参考に制度改革が進められている。

サブテーマ3:ジェンダー平等と若者のエンパワメント

3-1)UNIの3Mキャンペーンとジェンダー平等に関する組合活動

  • 日本(浅野祥 情報労連中央執行委員):日本ではジェンダー平等の整備が遅れており、情報労連は1998年から女性参画を推進。2025年度からは「第2次ジェンダー平等推進計画」を策定し、クォータ制やトップの発信で数値目標の達成を目指している。中央執行委員会の女性参画率は46%、KDDI労組では30%以上の登用を目標に掲げ、職場の風土改革が進行中。今後はダイバーシティ推進と心理的安全性の確保に取り組む。
  • 日本(大西裕加 UAゼンセン):UAゼンセン総合サービス部門では女性組合員が60%以上を占める一方、役員比率は27%と低く、意思決定への参画が課題。2015年にダイバーシティ推進委員会を設置し、2024年からは委員会に女性枠を導入。「Uni女会」ではネットワーク構築やリーダー育成を進め、更年期などの課題も共有。女性リーダーワーキングチームによる研修も実施し、意思決定への女性参画拡大を目指している。
  • 台湾(カン・ウエンチー CPWU 三重分会理事長):台湾では女性の健康に配慮した休暇制度が整備されつつあり、月経休暇は法的に保障されているが取得率は低い。台湾金融労連は2021年に更年期休暇を提案し、2025年には診断書不要の原則が確立。制度は一般化し、企業が拒否できない仕組みとして定着しつつある。労働組合は職場文化の改善と法整備を通じて、女性が安心して働ける環境づくりを目指している。

3-2)若者のエンパワメントに関する現状報告

  • 日本(北堀卓思 全信連議長):日本企業では健康経営や社内副業制度など、従業員を尊重した柔軟な働き方が広がっている。信託銀行業界では専門性が高く、若手の焦りも見られる中、全信連はキャリア支援として異業種交流会や座談会を開催。若者が自己肯定感を高め、主体的にキャリアを築けるよう支援しており、労働組合はその後押し役として重要な存在となっている。
  • 台湾(イェ・チンユ CTWUストライキチームメンバー):台湾では一人当たりGDPが34,000米ドルに達する一方、若年層の賃金は低く生活に余裕がない。CTWUは退職金制度の改善や雇用主拠出金の引き上げを求め、2023年には2,000人以上が集会に参加し成果を上げた。青年キャンプや交流イベントを通じて若者の参加意識を高め、組合の力強化と社会への好影響を目指している。

サブテーマ4:特別報告

  • FSU-全国クーリエ労組クーパン本部議長):韓国のクーパンは自社物流子会社CLSを通じて垂直統合型配送モデルを展開し、365日・深夜配送を標準化。業界全体に過剰なサービス要求が広がり、CLSでは週60時間超の労働が常態化し過労事故も発生。2021年の社会合意を守らず、労働組合は夜間作業の制限や強制休息の法定化を求めている。「スピードより命」を掲げ、持続可能な産業構造の構築が急務となっている。
  • 韓国(リー・ホーチャンNUMW委員長):韓国では虚偽情報への制裁強化が進み、最大10億ウォンの懲罰的損害賠償を可能とする法改正が議論されている。判断の曖昧さから言論の自由が抑圧される懸念もあり、報道への捜査がメディアの萎縮を招いている。NUMWは表現の自由を守るため法改正に反対し、慎重な制度設計と社会的議論の必要性を訴えている。

■閉会式

第11回東アジア労組フォーラムには、日本、韓国、台湾、香港、モンゴルから129名が参加。保護主義の台頭、グローバル秩序の変化、少子高齢化、ジェンダー平等、若者のエンパワメントなど、労働者を取り巻く課題について活発な議論が行われた。

基調講演では保護主義の影響と労働界の対応が取り上げられ、各国からは政変、産業構造の変化、生活費高騰への対応が報告された。特別報告では、過労死対策や言論の自由の擁護についても認識が共有された。

韓国加盟協議長のキム・ヒョンスン氏はクロージングメッセージで、「韓国の悩みを分かち合えたことに感謝する。保護主義や人口減少問題は共通の課題であり、皆で解決策を見出し、共に道を切り拓いていこう」と語った。

次回フォーラムは2026年に台湾で開催される予定で、CTWUとCPWUの両委員長がホスト国として歓迎をしますとメッセージを参加者に送った。

なお、各セッションでは以下の方々が司会を務めた。

  • サブテーマ1:(韓国)シン・キオン    KFIU国際担当部長
  • サブテーマ2:(日本)豊福麻実      労済労連 副書記長 
  • サブテーマ3:(台湾)トゥー・ユーウェン CPWU書記長 
  • サブテーマ4:(韓国)キム・オクラン   FKMTU政策企画部長
  • 閉会:        UNI-KLC ジェイ・チョイ事務局長

第2回、UNI Apro東アジア金融労組フォーラムを韓国・済州島で開催!

2025年10月、韓国・済州島にて日本と韓国のUNI加盟金融労組より30名が一堂に会し、第2回UNI Apro東アジア金融労組フォーラムが開催された。2023年10月に開催されてから、2年振り2回目の開催となった。LCJ金融部会からは、*敬称略(損保労連)中野剛、原田龍人、山口悠、金織すみれ、(全信連)北堀卓思、塩谷麻子、西村匡史、植田莉帆、(生保労連)市川勝也、植木英之、(労済労連)豊福麻美、(全労金)深見正弘、(JP労組)安達正美、中野博之、鈴木基子、宮城千絵、事務局上田が参加した。

■開会

歓迎の挨拶では、キム・ヒョンスンKFIU委員長は、関税政策による分断が労働者に影響を与える中、東アジア金融フォーラムは連帯と民主主義の強化を通じて、新たな経済秩序の構築を目指す重要な機会である、と述べた。連帯の挨拶では、中野剛 UNI Apro金融部会議長は、フォーラム開催に尽力したKFIUとKFSWUへの感謝を述べ、韓国・日本の金融労組が連携し、地政学リスクや気候変動、AI・デジタル化など歴史的転換期にある課題に共に取り組む重要性を強調。金融機関には社会的責任が求められており、雇用安定とディーセント・ワークの確保には国際連帯と協力の強化が不可欠だと訴えた。ラジェンドラ地域書記長は、現在の課題は過去の問題の積み重ねであり、今後の予測も困難だと指摘。気候変動による災害は保険業に影響を与えているが、すべてが気候要因ではないとし、UNI Apro金融部門は労働・環境・持続可能性の観点から積極的に関与していると述べた。金融は経済の中心であり、組合やプラットフォーム間の連帯が不可欠であると強調。台湾では公的部門の弱さが課題であり、過去にはパリバ銀行の紛争解決にも関与したことに触れ、中野議長の尽力に感謝を表した。

■概要

今回のフォーラムでは、JP労組の中野副委員長が司会を務め、開会の挨拶を通じて金融産業の課題の重要性が共有された。続いて、保険・銀行・郵政・協同組合など各労組から現状や課題、取り組みについて報告が行われた。議論では、少子高齢化、地政学的リスク、技術革新、金融の公共性といった共通課題が確認され、CMIM(チェンマイ・イニシアティブ・マルチ化)の強化やILO条約の活用、地域連携による安定化策などが提案された。協力と構造改革を通じて、持続可能な金融モデルの構築を目指す方向性が共有された。

■基調講演

ジャヤスリ・プリヤラルUNI Apro金融部会担当部長は、金融は経済のOSであり、2008年以降もグローバル金融システムは脆弱性を抱えている。ビッグテックやAI、ブロックチェーン、デジタル通貨の進化により、銀行は従来の仲介モデルからの脱却を迫られ、非銀行金融の台頭も加速。公共性と安定性が問われる中、地域連帯と協同の強化が重要となる。東アジアでは過去の金融危機を教訓に協力体制の構築が進み、地政学的緊張下での連携も課題。量的緩和や暗号資産の影響も含め、持続可能で責任ある金融モデルの確立が求められている、とした。

■加盟組織より報告

日本から金融部会6組織(生保労連、損保労連、全信連、JP労組、全労金、労済労連=発表順)が、韓国からKFSWUが、それぞれ組織紹介および重点取り組み等の報告をし、互いの組織と重点取り組み活動などについて理解を深めた。

  • 韓国(全国事務金融サービス労働組合)イ・ドングン事務総長:韓国の保険産業は、超高齢化・気候変動・低成長・資本規制強化などのリスクに直面。MG損保の清算問題や外資系の撤退もあり、AIや介護・ヘルスケア分野への関心が高まっている。保険の役割は事後対応から生活の質向上へと変化し、日本と韓国の市場は類似。収益源の多様化が課題であり、労働組合は産業活性化に向けた取り組みを進めている。

以下、日本の加盟組織

  • 生保労連(植木英之 中央副執行委員長):生保労連は生命保険産業唯一の産業別労組として発足し、19組合・25万人が加盟。営業職7割・女性9割が特徴で、年7回の労使交渉を通じて賃金や産業課題を協議。震災やコロナ対応では1兆円超の給付を実施し、金融教育や地域安全活動、ジェンダー平等推進を通じて社会的理解の拡大に努めている。
  • 損保労連(原田龍人 中央執行委員):損保労連は、保険代理店による不正請求や料率操作などの業界不祥事に対応。代理店が保険の90%を扱う中、自動車事故での過剰修理や不適切な加入推奨が問題化し、金融庁から是正指導を受けた。信頼失墜を経営任せにせず、説明会やユニオンミーティング、労使懇談会を通じて信頼回復と産業別組織としての役割強化を全国で進めている。
  • 全信連(塩谷麻子 副議長):銀行業界は急激な人口減少と若年層の減少により、企業活動や人材確保に影響を受けている。従来の終身雇用型制度から脱却し、年功序列に依らないキャリア形成が求められる中、労働組合は制度改革や組織風土の変革を支え、組合員の意識変容を促す重要な役割を担っている。
  • JP労組(宮城千絵 中央執行委員):JP労組は郵政関連企業の雇用安定や福祉社会の実現を目指し、職場環境改善に取り組む。金融業界では少子高齢化や金融排除が課題。ゆうちょ銀行は金利変動による収益不安定やデジタル化の遅れ、かんぽ生命は契約減少や人材確保が課題。組合ではユニオンショップ協定や組織活性化を推進している。
  • 全労金(深見正弘 中央執行委員長):全労金は13の労働金庫と関連会社で構成される協同組織金融機関の労組連合で、利益はメンバーに還元される。非正規職員の組織化、ジェンダー平等推進、平和行動、災害支援に加え、若年層の離職対策としてポジティブキャンペーンを展開。金利上昇やデジタル化への対応、業界の将来像について10年を見据えた視点で経営陣と協議している。
  • 労済労連(豊福麻実 副書記長):労済労連は、こくみん共済co-opと関連会社の労組で構成され、9組合が加盟。2026年度はWEB活用など新たな活動スタイルを模索し、次世代活性化と効率性を追求。国際協同組合年への参画や組織統合への対応、協同組合の理解促進を重点に、社会課題に柔軟に取り組む姿勢を強めている。

■閉会

報告の締めくくりとして、中野副委員長は「韓国と日本が直面する課題には多くの共通点がある。社会のサイクルは数カ月で大きく変化し、金融も過渡期にある。今後、フォーラムのさらなる活性化に取り組んでいきたい」と語った。


uni logo
最近のコメント
    アーカイブ