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オーストラリアの介護労働者、歴史的な28.5%の賃上げを獲得

オーストラリアで高齢者介護を担う労働者にとって、大きな勝利となる画期的な決定が下された。公正労働委員会(FWC)が、高齢者介護部門全体で最大28.5%の賃上げを承認したのだ。この決定は、同部門で働く全従業員の25%の賃上げを提唱してきた医療サービス労組(HSU)が2020年11月に開始した法廷闘争を受けたものである。

HSUは、多くの場合ジェンダーに基づく偏見が原因で介護労働が歴史的に過小評価されてきたことを指摘してきたが、今回FWCはこの事実を認めた形だ。

ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長は、今回の賃上げを高齢者介護に携わる労働者の記念すべき勝利として祝福し、「今回の勝利は、単に数字だけの問題ではない。公正な報酬を求めて継続的に闘ってきた我々にとって極めて重要な瞬間であり、介護労働者が社会で果たしているかけがえのない役割を認めるものだ。介護労働者と介護専門職全体の明るい未来を祝いたい」と述べた。

2022年にFWCは、直接的に介護に従事する職員の賃金を暫定的に15%引き上げ、一定の懸念に対処したが、労働組合側は、賃金は依然として介護職員の深刻な不足を緩和するには不十分であると主張してきた。

今回の決定により、直接介護に従事する職員の時給は、従来の15%の暫定分を含め、18〜28%の引き上げに調整され、洗濯、清掃、給食などの支援サービスに携わる職員は、6.8%の賃上げとなる。これは、介護労組のキャンペーンにより、オーストラリア政府が昨年、高齢者介護に従事する労働者の賃金を15%引き上げるための公的資金を提供したことを踏まえたものである。

ユナイテッド・ワーカーズ・ユニオン(UWU)もこの決定を賞賛したが、高齢者介護部門で重要な役割を果たす支援サービスに関わる労働者の権利のために、まだやるべきことがあると強調した。

キャロライン・スミスUWU高齢者介護部門担当部長は、「高齢者介護を担う労働者が施設入居者のために質の高いケアの中核を担っており、それに見合った賃金が支払われるべきとの、今回の歴史的な認識を獲得したことを歓迎する」と述べつつ、「高齢者介護において重要な働きをしている支援サービスの従事者が十分に評価されないことは、組合員にとって非常に残念なこと。介護部門において、ケータリング、清掃、洗濯、保守管理に携わる労働者は、入居者の生活において重要な役割を果たしている」と強調した。

「高齢者介護の質と安全性に関する王立委員会」からの勧告を受けた今回の決定は、介護施設と訪問介護の両分野で働く20万人以上の介護労働者に影響を与えることが見込まれる。この委員会は、制度内での過重労働、ネグレクト、虐待を含む低賃金労働が引き起こしうる悲惨な影響について指摘している。

アンソニー・アルバニージー豪首相は、介護労働者に対する報酬改善の必要性を認め、「(オーストラリアの高齢者の)介護を担う労働者は、敬意とより良い報酬を得るべき」と強調した。同首相は、介護労働者の賃金を15%引き上げた以前の取組みと同様、政府がFWCの調査結果を見直し、対応することを約束した。


フィリピンのコミュニティ・ケアワーカーにまもなく大きな節目

フィリピンのバランガイ医療従事者(BHW)のマグナカルタ法案が、立法に必要なプロセスである最初の公式読会へと進んだ。これは、何十万人ものコミュニティ・ケアワーカーの福利強化を目的とした法整備の新たな推進を示す、極めて重要な一歩だ。この進展は、この部門の労働者等から好意的な反応を集めている。

UNI加盟組織であるBHW首都圏連盟のマーナ・ガイト委員長は、「長い間、BHWは自らの権利のために闘ってくれる存在を待ち望んでいた。公約を掲げる人は多くいたが、そのすべてが失敗に終わってきた」と振り返り、「アンジェリカ・ナタシュ議員をはじめ、真の思いやりと関心を我々に示してくれた人々に感謝したい」と述べた。

この法案を強く支持するラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長も、「この法案の成立は、フィリピンのBHWにとって記念碑的な勝利であるのみならず、世界中の医療従事者にとって刺激となるもの。フィリピン上院にこの法案への支持を呼びかける」と賛同した。

「バランガイ医療従事者マグナカルタ」は、数十万人のBHWの福祉と利益を守ることを目的とした、画期的な法案である。同法案は、法案の主執筆者であるBHW党のアンジェリカ・ナターシャ・コー下院議員の尽力により、昨年12月12日の第3回および最終の読会で承認された。

上院保健委員会は3月11日、地方自治委員会、財務委員会と合同で、上院に存在する17バージョンのマグナカルタを統合するための技術作業部会を開催した。数年にわたる休眠状態を経て、連携した取組みの結果、法案は第一読会へと進むことになった。

ロランド・デラクルスUNIフィリピン加盟協議会議長は、この進展は、献身的なコミュニティ・ケアワーカーの福利を守る上で大きな前進を意味すると指摘し、「医療従事者が直面する要求や課題は前例のないものであり、この決定的な進展は、説明責任と透明性へのコミットメントを示すだけでなく、BHWによるかけがえのない貢献に対する深い敬意と感謝の念を強調するもの」と述べた。

BHWは、応急手当、妊産婦、新生児、子どもの健康、予防接種を含む地域社会への医療を、国内の数百万人に提供している。現在、数十万人のBHWがいるが、フィリピン人の人口が1億1700万人以上と増加しているため、フィリピン人の医療ニーズに十分な注意を払うには、現在のBHWの数は少なすぎるのであり、BHWは疲労や病気感染といった課題にも直面している。

BHWマグナカルタ法案は、医療従事者に対する包括的でより良い手当の提供を目的としており、これは以前の法律で規定されていた条件から大幅に改善されたものである。提供される手当の中には、危険手当、交通費手当、生活費手当、退職一時金、健康手当、保険、休暇・出産休暇手当、現金賞与、障がい手当、5年以上継続勤務したBHWへの公務員資格付与などがある。

この立法措置の推進と並行して、パンデミック時にBHWに支給されるはずであった重要な財政支援である医療緊急手当(HEA)の支給遅延にスポットライトが当てられている。これを受けてアンジェリカ・ナターシャ・コー下院議員は、この重要な資金がBHWの手に渡るのを妨げている問題を分析し、解決に向けて取組むため、主要な保健当局者との会合を開いた。

この法案は、USAID、フォード財団、CARE基金の支援を受け、医療・介護分野で熟練した労働力を育成し、女性の経済的安定を強化する画期的なイニシアティブである「Together We Care」を通じて、UNIが支援している。


UNI、アルゼンチンでストライキを行う50万人の医療労働者に連帯

アルゼンチンで50万人の医療労働者が、国内の高インフレに対応する賃上げを要求し、2024年2月22日に全国でストライキを実施する。

UNI加盟組織であるアルゼンチン医療労連(FATSA)は、病院経営団体が医療部門労働者の賃上げ交渉を拒否したことを受けて、争議行動を呼びかけた。

FATSAの声明は、「まだ2023年の給与改定を終了できておらず、1月に記録されたインフレ率は全事業の労働者の賃金の購買力を決定的に粉砕した。労働省で数え切れないほどの合同会議を開き、個人的にも合意に達するための代替案を探している。(…中略…)労働者に低い賃金を払うことで資金を確保する使用者を容認するつもりはない」と強調した。

中南米第三の経済大国アルゼンチンでは、2023年末に年間インフレ率が210%以上に達し、1月にはさらに20.6%上昇した。一方、アルゼンチン・カソリック大学の2024年1月の調査によると、貧困は20年ぶりの高水準に達し、人口の57.4%が影響を受けている。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「UNIと世界各国の加盟組織は、生活賃金を要求してストを決行するアルゼンチンの医療労働者に連帯する。インフレが高騰する中、労働者はそれに見合う賃上げを必要としている。(…中略…)我々は使用者に対し、今すぐ頭を冷やし、FATSAと対話するよう求める」と語気を強めた。

マルシオ・モンザネUNI米州地域書記長は、FATSAへ連帯書簡の中で次のように述べた。「高インフレの今、我々は医療労働者一人ひとりが購買力を失わないよう、賃金改定に取組む同労連のすべての要求と行動を支持する。また我々は、病院経営団体に対し、強権的な態度をやめ、医療労働者の要求に耳を傾けて対話を通じてFATSAと誠実に交渉するよう求める」


ネパールの女性コミュニティ・ヘルスワーカーに特別報奨金―完全雇用にむけてさらに前進

ネパールで2番目に人口の多いバグマティ州の保健当局は、2023年12月5日の女性コミュニティ・ヘルスワーカー・デイ(FCHW)に、女性のコミュニティ・ヘルス・ボランティア(CHV)1人につき5,000ネパール・ルピーの特別報奨金を支給した。女性のエンパワーメントとコミュニティ・ヘルスワーカーにとって、大きな成果である。この報奨金は、バグマティ州政府が最近、FCHVのために拠出型家族健康保険制度の半額を負担すると約束したことに基づくものだ。

これを受けて、ネパールで1万人以上の女性CHVを代表するUNI加盟組織、ネパール地域保健労連(HEVON)のバサンティ・マハルジャン委員長は、完全な権利を求める闘いは続くと強調し、「UNI世界ケア部会の支援を受けて、我々は引き続き、FCHV の完全雇用と完全な賃金、社会保障の適用を求めるキャンペーンに注力し、FCHV が政府医療サービスに従事する女性労働者と同等の給付と承認を受けられるようにしていく」と語った。

ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長は、「この画期的な動きは、他の州にとって称賛すべき手本となる。また、全国のFCHVの完全雇用と社会保障を確保するというHEVONの使命も強化され、献身的に医療に従事する人々が、その働きにふさわしい評価と支援を受けられるようになる」と述べた。

アラン・サブレUNI世界ケア部会担当局長は、「ネパールの医療制度は、こうした名もなき英雄たちの恩恵を大いに受けている。彼らの献身を認め、彼らが直面する課題に対処し、その重要なサービスが評価され、感謝の言葉だけでなく、日々、正当な報酬と十分な支援で報われるようにすべき時だ」と指摘した。

ネパールの医療制度は、長期ボランティア制度によって無報酬で働く5万1,000人以上のFCHVに大きく依存している。こうした献身的なコミュニティ・ヘルスワーカーは、母子の健康、家族計画、栄養などのテーマについて、必要不可欠な保健教育とカウンセリングを提供している。また、地域社会に働きかける取組みや、自然災害やパンデミック時の緊急対応においても、重要な役割を果たしている。

こうした多大な貢献にもかかわらず、彼らは地域社会で働く中で数多くの課題に直面している。最も重要な問題は、その仕事の重要性と、報酬に反映される低い社会的評価のギャップにある。


韓国保健医療労組、ポスト・コロナの公立病院に対する政府支援を要求

2023年12月13日、UNI加盟組織である韓国保健医療労組(KHMU)が、地方病院の代表35名および議員とともに国会議事堂前で記者会見を開き、コロナ患者の受入れに指定されていた病院の財政健全化を支援する予算法案を可決するよう、政府に求めた。

多くの地方病院は、パンデミック中に政府の呼びかけに応じ、コロナ患者の治療に特化してきた。コロナ以外の患者受け入れを断ってきたこれらの病院は、2年半経った現在も、財政的に回復していない。コロナ以外の患者が、診察や治療のためにこうした病院に戻ってきておらず、その結果、病院は深刻な経営危機に直面し、医療従事者は賃金未払いに苦しんでいる状況だ。

ナ・スンジャKHMU委員長は、与野党の議員に対し、「KHMUは保健福祉省と国会議員に対し、12月20日の本会議で行われる予算審議において、地方病院がコロナ前の正常な状況に回復するまで、運営を支えることができるレベルまで財政支援を回復させるよう、切に要請する」と訴えた。

KHMUによると、地域の医療センターがコロナ前の患者数レベルに回復するには少なくとも4年かかるという。COVID-19パンデミックが2022年に終息宣言された後、韓国政府は6~12か月の部分的な財政支援しか行っていないのが現状だ。こうした支援不足は、地域の病院に深刻な影響を及ぼし、多くの病院が患者数回復の遅れのために財政難に陥るリスクを抱えている。

記者会見は、28病院の組合指導者による10日間のハンガーストライキの後に行われ、寒空の下、ナ・スンジャKHMU委員長も参加した。ハンスト参加者のうち6人は健康を脅かす合併症のために途中で脱落したが、18人は最終日まで持ちこたえた。

アラン・セーブルUNI世界ケア担当局長とラジェンドラ・アチャリヤUNI Apro地域書記長は、KHMUの呼びかけに賛同し、12月15日に与党と最大野党の国会指導者に共同連帯書簡を送り、これらの病院への支援維持に不可欠な予算案が12月20日に可決されるよう訴えた。


ポーランドの介護労働者、労働条件と介護の質の向上に向けて、キャンペーンを開始

ポーランドの介護労働者が、労働条件と介護の質の改善を求める全国キャンペーンを開始した。UNI加盟組織であるOPZZの「コンフェデラッチャ・プラシー(労働連合の意味=KP)」の労働者が、キャンペーン立ち上げのため、2023年12月6日、ワルシャワに結集した。

 介護業界はポーランド経済の急成長部門であり、55,000を超える労働者を雇用している。2050年までに、ポーランドにおける65歳以上の人口は33%に増加すると予測されており(2020年は19%)、介護労働者と介護制度に対して高まる圧力を緩和するため、組合は早急の改善を求めている。

このキャンペーンは、介護労働者が重要な仕事に対して適切な報酬を受け、尊重されるようにするため、また、この部門に十分な資金が確保され、規制が整備されるようにするため、労働者の団結と組織化への支援に重点が置かれる。利用者が人生の終盤にふさわしい質の高いケアを受けられるようにするには、十分な人員と時間が必要である。

パンデミックを経て、介護部門の専門家は、回復力と対応力を向上させるためにポーランドの介護人員に対する研修と投資を強化するよう、勧告してきた。だが組合は、まだ十分な変化は見られないと指摘する。

 OPZZ=KPのミハエル・レヴァンドフスキ議長は、 「我々は、労働組合、家族、NGO、その他のステークホルダーの連携を構築するとともに、介護労働者の組織化を引き続き支援し、ディーセントな労働条件と質の高い高齢者介護を確保するため、法整備を推し進めていく」と意気込む。

ポーランドのオルペア労組アニア・バシア委員長は、  「何よりも、我々は自らの仕事を可能な限りきちんと遂行し、利用者のために最善のケアを提供したい。オルペアでの5年にわたる取組みを経て、会社との間にグローバルなアクセス協定を結び、労働者の声を届けることができるようになった。300人近い組合員が一丸となって取り組んだ成果だ」と述べ、 「現在、労働条件と賃金のさらなる改善を求めて会社と交渉中だ。これまでの経験からわかっているのは、介護部門を管理する規制の枠組みを強化すれば、労働者に持続可能な労働条件を、利用者にはより質の高いケアを提供するよう、使用者により強く迫ることができるということだ。とりわけ、利用者に対する介護者の人数比率に合理的な基準を設ける規制の強化を求めている。これは、より良いケアの質を実現するために必要な多くの変革のうちのひとつだ」と続けた。 

また、公的介護施設の従業員を代表するバーバラ・ドースOPZZ=KP委員長は、「官民の施設で働く介護労働者の問題は、非常によく似ている。最も一般的なのは、働く人員が少なすぎるため、入居者の世話をする時間が必要以上に少なくなってしまうことだ。また、職員の給与は非常に低い。そのため、大変で責任の重いこの仕事をやりたがる人が少なく、結果的に現在の職員に過重な負担がかかっている。適正な労働条件と質の高いケアを提供するために必要な制度的改善について、政府とともに取り組んでいきたい」と述べた。


UNI、フィリピンのバランガイ・ヘルスワーカーの復職を要請

2023年12月1日、フィリピンの8万人以上のコミュニティ・ヘルスワーカー(一般にバランガイ・ヘルスワーカー=BHWと呼ばれる)が、何の通告もなく突然、職を失った。

10月30日に行われたバランガイ選挙で勝利した新役員が就任し、前任者が任命したすべてのBHWを無情にも解雇したのである。バランガイは村、地区、区に相当する基本的な行政区画であり、大都市圏では、この用語は都心の近隣地域または行政区を指す。

UNIフィリピン加盟協(UNI-PLC)は、2023年12月2日に声明を発表し、「最近のバランガイ選挙の結果、全国で8万人以上のバランガイ・ヘルスワーカーが不当かつ冷酷、非人道的に解雇された」と最も強い言葉で非難した。

BHWは、保健教育や、母子保健、予防接種、応急手当、環境衛生などの基礎的保健サービスを提供し、主要医療施設に紹介サービスを提供するなど、国の医療制度が地方レベルまで確実に行き渡る上で、重要な役割を果たしている。また、パンデミックのピーク時には自身の健康と命を危険にさらしながら、最前線で業務に従事してきた。

ジェンドラ・アチャリヤUNI Apro地域書記長は、「解雇された労働者に対し、何の通知もないこの大量解雇に非常に唖然としている。フィリピン政府と新たに選出されたバランガイ当局者に対し、地域社会における基本的な保健サービスが妨げられることのないよう、すべてのBHWを復職させるよう、強く求める」と述べた。

UNI-PLCはまた、この不当解雇は、内務・地方政府局(DILG)と保健省(DOH)による「バランガイ・ヘルスワーカーの雇用維持と勤務継続に関する共同覚書(No.2023-001)」に違反していると指摘した。

この共同覚書は、バランガイヘルスワーカーによる各コミュニティへの基本的保健サービスの継続的な提供を確保するために、共和国法第7883号とその施行規則を補足するものである。


労働者の権利に焦点を当てた資産家のグローバル・ネットワークが発足

2兆2,000億米ドルを超える運用・助言資産を持つ投資家が、投資先企業に対し、結社の自由および団体交渉に関する労働者の基本的権利を尊重するよう求めるため、結集した。

労働者の権利投資家ネットワーク(LRIN)は、スチュワードシップ(財産を管理することを任された者の責務)の実践に労働者の権利を組み込むことにコミットする、資産運用会社、資産家、投資サービス・プロバイダーを集めた世界的なイニシアティブである。LRINの参加組織には、ニューヨーク市職員退職金制度および教員退職金制度、スウェーデンのフォルクスサム、英国を拠点とする地方自治体年金基金フォーラム(LAPFF)等が含まれる。

LRINは、労働者資本の責任ある投資を提唱するグローバル・ユニオン労働者資本委員会(CWC)に置かれている。

同ネットワークの指針となる投資家声明において、労働者の権利は、国連や経済協力開発機構(OECD)によって認められているように、「人間の自由の基本的な柱」であると指摘されている。同声明は、「労働者の権利を尊重する企業は、生産性の向上、職場の安全性強化、従業員エンゲージメントの向上など、多くの利益を得ることができる」としている。

クリストファー・ヨンソン労働者資本委員会(CWC)委員長は、 「我々はこのネットワークによって、基本的権利を侵害されている労働者の声が、労働者の権利がポートフォリオの中で確実に守られるよう尽力している投資家の耳に届くようにしていく。これにより、投資家は人権デュー・ディリジェンスを改善し、リスクを軽減し、国際的な規範と枠組みの下で責任を果たすことができるようになる」と述べた。

投資家声明では、投資先企業の取締役会や上級管理職が労働者の権利について監督責任を負い、結社の自由や団体交渉に対する労働者の権利が尊重されるようにし、労働関連の指標に関する情報開示を行うよう、求めている。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「このネットワークは、世界中の労働者の権利を守る上で重要な役割を果たしている。介護やその他の部門において、投資家の効果的なスチュワードシップが、基本的権利の行使を望む労働者に変化をもたらすことを、我々は目の当たりにしてきた。また、投資家が投資先企業のリスクを理解し、軽減するためには、現場の組合からの情報が必要であることも分かっている」とその意義を強調した。LRINは、投資家メンバーがスチュワードシップの実践にこれを組み入れる上で必要な情報とツールを提供する。

以下は労働者の権利投資家ネットワークに参加した投資家のコメントである。
「何千人もの労働者の退職貯蓄を預かる金融資産管理者として、我々は投資先企業が確実に労働者に投資するようにしたい。基本的な労働者の権利を無視することは、長期的な株主価値を損なうリスクがある。労働者の権利が尊重されるよう求める歴史的な運動は、何十万人もの労働者に目に見える利益をもたらしてきた。我々はCWCと共に力強く立ち上がり、この重要な取組みを発表できることを誇りに思う」 — ニューヨーク市会計監査官 ブラッド・ランダー氏

「LRINは、我々のスチュワードシップ強化に真価を発揮するものであり、早期に参加できたことを嬉しく思う。投資先企業が結社の自由や団体交渉を尊重することを期待しているが、現実にはあまりに多くの場合、そうはなっていないことも知っている。情報を得たり、労働組合から直接見識を聞いたりすることで、LRINがこの問題に取組む一助になると信じている」 ―フォルクサム責任投資・コーポレートガバナンス部門責任者 エミリー・ウェストホルム氏

「LRINの発足を支援できることを大変嬉しく思う。長年にわたり、我々は労働力の管理をめぐって多くの企業や労働組合と関わってきており、こうしたテーマが提起される頻度も高まっている。また、気候変動のような問題については、協力的なネットワーキング・イニシアチブが投資家のスチュワードシップ活動の効果を高めることも分かっている。ゆえに、労働者の権利に焦点を当てたネットワークの設立については、これ以上良いタイミングはないだろう」 ―ダグ・マクマートLAPFF議長


国連の第1回国際ケア・サポート・デー:労働組合が質の高いケアの道を拓く

国連が定めた「国際ケア・サポート・デー」の第一回目となる2023年10月29日に、世界中でケアに関わる労働者の果たす重要な役割にスポットライトが当てられる中、世界の労働組合が、この分野における団体交渉の拡大とケアの質の向上を目指して行動を起こしている。

国連が10月29日を正式に「国際ケア・サポート・デ―」に定めるのに先立ち、この日を機にUNIやITUCを含むケアに関わる労働者の権利を擁護する広範な連合体は、世界中でケア部門への投資拡大を訴えた。

介護・ケア労働者は、緊急にさらなる支援を必要としている。UNIが3,000人の労働者を対象に実施した2021年の世界的な調査では、広範な人員不足、貧困レベルの賃金、ハラスメント被害、危険な労働条件が明らかになった。調査対象となった介護・ケア労働者の半数以上が、日々の基本的なニーズを賄えないほどの賃金水準について報告し、30%以上が個人用保護具を十分に利用できなかったと訴えている。

2年経った今も、十分な変化は見られない。しかし、「ケア・サポート・デー」は、ケアに関わる労働組合がいかに闘い、成果を勝ち取ってきたかを示す機会となる。

アラン・サブレUNI世界ケア部会担当局長は、「圧倒的に女性が多く、そのほとんどが過重労働と低賃金の世界中の介護労働者は、もっと多くを受け取るべきだ。国際ケア・サポート・デーを祝うとともに、このような名もなき英雄たちが日々立ち向かっている闘いを認識し、彼らが職場で声を上げるために組織化する支援をさらに強化していく」と決意を語り、「#TogetherWeCareというハッシュタグを使っている。この部門を変革するには、介護労働者が団結して集団の力を発揮し、より良い労働条件とケアの質の向上を求めて闘うことが必要だからだ」と説明した。

COVID-19パンデミックの際、介護・ケア部門において組合が不可欠であることが証明され、感染症制御と安全衛生の強化につながった。英国を含む数カ国で、介護労組の主要な要求である人員配置比率の改善が実現した介護施設では、COVID-19感染が少なかったという証拠がある。米国では、組織化されている介護施設ではCOVID-19による死亡と症例が大幅に少なかった。未組織の施設よりも職員配置比率が改善され、個人防護具(PPE)を多く使用できたためである。

さらに、労働組合に加入している介護労働者は、一般的に収入が高く、離職率が低く、燃え尽き症候群になりにくい。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「ケアに関わる労働者は、変化を待っているのではなく、求めているのだ。まさに今、安全な仕事、適正な人員比率、安定した労働時間、家族を支えられる賃金を必要としている。パンデミック後のケア部門における組織化の急増は、労働者がいかにケア部門を再建し、家族、利用者、入居者の利益につなげているかを示している」と語った。

UNI加盟組織は、前進している。例えば、ドミニカ共和国では、組合が労働者向け研修の強化、労働条件の改善、高齢者介護職の正規雇用化を勝ち取った。チリでは、組合が民間部門の介護労働者の「休息権」を確保し、介護労働者のメンタルヘルスへの配慮の重要性が認識された。

米国では最近、ケアに関わる労働者が国内最大規模のストライキを実施し、賃金とケアの改善をもたらした。一方、フィリピンでは、フレゼニウス社の労働者が問題のある雇用慣行と闘っている。スロベニアでは今年、障がい者の介助者が、資金強化と雇用改善を勝ち取るために歴史的なストライキを決行した。

こうした世界中で行われている数百のキャンペーンは、人々の雇用と生活を変えていくだろう。だが、もっと多くのことをしなければならない。公正で良質、公共性の高い、ジェンダー役割を変革していくような医療・介護制度への投資が急務であることは、強調してもしすぎることはない。介護を必要とする人の数は、 2030年までに23億人に達すると予想されており、この急増する需要に対応するためには、介護部門において4億7500万の良質な雇用を創出する必要がある。

UNIが国際ケア・サポート・デーだけでなく、日々、世界中の労働組合とともに介護労働者の支援に取り組んでいるのは、そうした理由からだ。共に力を合わせれば、成果を獲得できる。


ネパールの組合、コミュニティ・ヘルス・ワーカーに画期的な無償の医療保険を獲得

ネパールの労働組合が、UNIの大幅な支援のもと、絶え間ないキャンペーンの集大成として、バグマティ県 の女性コミュニティ・ヘルス・ワーカー(FCHW)とその家族に完全無償の医療保険を確保した。この画期的な取組みは、ネパールにおける組合の力強い提言活動を浮き彫りにするものだ。

今回の成果は、バグマティ県全域の無数のFCHVが恩恵を受け、無償の医療保険の提供を通じて福利の向上と安全が保証される。

これまで、地域の医療ボランティアは1,750ルピーの保険料に悩まされていたが、今回の成果によって経済的負担が完全に軽減された。ヘボンFCHW労組のバサンティ・マハルジャン委員長は、「我々は少しずつ組織化し、組合の力を得ている。関係する政府当局に要求を提出しており、活動成果の始まりとなる」と述べ、前向きな決意を示した。UNIは、ヘボンFCHW労組の影響力と活動の強化に大きく寄与し、バグマティ県の地域保健ボランティアに大きな改善をもたらした。

ラジェンドラ・アチャリヤUNI Apro地域書記長は、ネパールにおける組合の重要な役割を強調し「この功績は、ネパールの労働組合の回復力と熱意の証であり、組合がネパールで果たす重要な役割を浮き彫りにしている。我々はともに、すべての人のために、より明るく健康的な未来を築いていく」と述べ、組合の勝利を祝福した。

同州のウッタム・ジョシ保健相は2023年9月下旬に公式発表を行い、連邦政府が5割を拠出し、州政府が残りの保険料を負担することで、包括的な医療保険制度が確保されることを強調した。

この事業は、女性ヘルスワーカーの福祉に対するコミットメントを重視し、公衆衛生と社会的公正の推進における労働組合と政府機関の相乗的な取組みを示すものである。UNIが支援するヘボンFCHW労組などの組合のたゆまぬ努力は、進歩的な変化を推進し、ネパールにおける労働者の権利と社会正義の確立に向けて、力強く前進している。


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