フィリピンで、ジェンダーに基づく暴力の撲滅に向けた医療従事者向けワークショップを実施

職場でのジェンダーに基づく暴力(GBV)と闘うため、UNIフィリピン加盟協(UNI-PLC)は最近、『安全で包摂的な職場づくりージェンダーに基づく暴力への取組み』と題した一連の集中的な研修セッションを実施した。

セッションは、バランガイ医療従事者(BHW)と民間医療従事者を対象に行われ、さまざまな形態のジェンダーに基づく暴力(GBV)とその根本原因、より安全で尊重される職場環境を促進するために必要な予防と対応のためのさまざまな戦略の理解など、重要なテーマを扱った。

研修では、医療従事者への影響を中心に、GBVについての徹底的な調査と事例研究が行われた。フィリピン労働組合会議(TUCP、ナショナルセンターの一つ)の教育・広報担当者であるキャスリン・ガヨ=ヴィヨン氏の指導のもと、このプログラムでは、言葉による虐待、感情的虐待、心理的虐待など、さまざまな形態のジェンダーに基づく暴力を定義した上で、これらの問題は多くの場合、目立たず分かりにくいものであり、女性に大きな影響を与えていることが強調された。参加者はまた、社会規範や制度的不平等など、GBVの根本原因について議論し、個人や職場文化への影響について考察した。

研修の大部分は、GBVに関連するさまざまな法律や政策についての徹底的な議論を含め、GBVを予防し対応するための実践的な戦略に焦点を当てたものであった。参加者は、職場におけるGBVと闘う上で極めて重要な法的権利と利用できる保護措置について学んだ。セッションは行動への呼びかけで締めくくられ、地域社会や職場で変化を提唱するよう参加者に働きかけ、安全、尊重、包摂性が日々の職場に不可欠なものだと強調した。

中国総合病院従業員協会から参加した保健ワーカーのキャサリン・グティエレス氏は、さまざまな形態のGBV、特に非言語的・言語的暴力を認識することの重要性を強調し、「研修前は、こうした微妙な形態のハラスメントを見過ごすことが多かったが、今ではよく理解できるようになった。身体的な攻撃だけでなく、ジェンダーに基づく暴力のさまざまな現れ方について学ぶことは、非常に貴重な経験。今回のセッションを受けて、以前は気づかなかったかもしれない問題に気が付き、対処することができるようになり、誰にとってもより安全な環境を作ることができるようになった」と振り返る。

同様に、ケソン市のバランガイ医療従事者連盟のメイベル・ナポレス会長は、労働者を保護する法的枠組みを理解することの重要性を強調し、「コミュニティの最前線にいる我々にとって、特に女性を保護する法的保護について知っておくことは不可欠だ。関連する法律や政策についての議論は非常に洞察に富んでおり、自身の役割への取組み方や、我々がサービスを提供する人々を支える方法について、間違いなく参考になるものだ。自らの権利と救済手段を知ることは、仕事にとって大きな違いをもたらす」と意欲的だ。

『Together We Care』プロジェクトのリード・オルグを務めるUNI-PLCのアントニオ・フルガド氏は、「参加者は、安全で包摂的な職場の醸成に向けた決意を新たにした。研修セッションの成果は顕著だ」と述べ、この研修は医療部門におけるGBVに対処するための後半な取組みの始まりに過ぎないと強調した。

ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長は、「我々は、尊重された安全な職場環境を育むために必要な知識とツールを労働者に与える取組みを続けていく。すべての医療従事者が支援され、保護されていると感じられるようにするため、UNIは今後もこうした価値観を後押しする政策と慣行を推進していく」と述べた。

この取組みは、 USAID、フォード財団、ケア基金のサポートを得て、 『Together We Care』プロジェクトを通じ、UNIが支援している。 同プロジェクトでは、医療・介護部門においてエンパワーされたスキルのある労働者を育成することにより、女性の経済的安定の強化を目指している。