ブログアーカイブ

クロアチアのビデオゲーム産業で初の団体協約

5月上旬、クロアチアの労働組合Novi Sindikatとゲームチャック社は、同国のビデオゲーム産業では史上初となる団体協約を締結し、組合は労働時間の短縮、休日の増加、従業員への10%の利益分配などを獲得した。

同社で働く組合員のイゴール・ガジッチ氏は、「クロアチアではビデオゲーム産業が急速に成長しており、同時に、特に悪名高い「クランチタイム」(長時間の残業をしたり週末も働いたりする納期前の期間のこと)になると、労働者が搾取される機会も増えている。幸い、ゲームチャックではクランチ文化は存在しないが、今後も発生しないとは限らない。今回の団体協約は、そのような状況からゲームチャックの労働者を守ってくれるものだ。これはクロアチアのビデオゲーム産業における労働者の権利にとって大きな一歩だ」と、協約の意義を強調した。

団体協約では、週33時間45分までの短縮労働、毎日45分の有給休憩、24日分の年次有給休暇、体系的な見直しと第3の年金制度への支払いが規定されている。

Novi Sindikatのトミスラフ・キシュ氏は、この協定は労使関係を調整したいという相互の願いから生まれたものだと指摘し、「我々は、純利益の10%を労働者に還元する『利益分配』など、積極的な取組みを開始している。今年は1000クーナになる予定で、小さな額かもしれないが、来年はもっと利益を上げようと労働者のモチベーションを高めている」と述べた。

クロアチアのビデオゲーム産業は活況を呈しており、同時に労働者が搾取される機会も増えていると、イゴール・ガジッチ氏は指摘する。

ベンジャミン・パートンUNI世界ICTS部会担当局長は、「ビデオゲーム産業は、クロアチアやその他の地域で組合が抑制しなければならない巨大な力となっている」とした上で、「ゲームチャックとの間で結ばれた今回の協定は、ビデオゲーム産業という成長部門を組織化しようとする他の組合に道筋を示している」と述べた。

今回の協約では、以下の内容が保証されている:
・賃金と会社事業の透明性
・労働者に対する利益の10%分配
・労働時間の短縮と柔軟な労働時間
・年休と自由時間の拡大
・著作権管理の改善
・労働者の尊厳の保護
・第三の年金制度への支払い
・年次有給健康診断


米CWA 傘下のユナイテッド・パイゾ・ワーカーズ、ホワイトハウスでアピール

5月初旬、全米通信労組(CWA)傘下のユナイテッド・パイゾ・ワーカーズの代表者が、ホワイトハウスでバイデン大統領、カマラ・ハリス副大統領、マーティ・ウォルシュ労働長官らと会談し、パイゾの労働者がどのように使用者から組合の自主的な承認を獲得したか等について議論を交わした。パイゾの労働者は、受賞歴のあるボードゲーム「パスファインダー」や「スターファインダー」シリーズの制作に携わっている。

バイデン大統領との会合に出席したアレックス・シュピーデル氏は、2021年秋、経営陣の不正疑惑に伴って複数の長期雇用の従業員が退職したことを受け、CWAの支援の下、同僚と共にユナイテッド・パイゾ・ワーカーズを結成した。さらに労働者たちは、一貫性のない雇用慣行、会社全体の不公平な賃金体系、幹部や経営陣からの暴言の疑惑、上層部が無視または隠蔽したハラスメント疑惑などについて懸念を示した。

ベンジャミン・パートンUNI世界ICTS部会担当局長は、「ゲーム労働者の組織化は、米国内外で勢いを増している」と指摘し、「ホワイトハウスでの、このハイレベルな会合は、労働者がより良い雇用を求めて集中的な取組みを始めたら、誰にも阻止できないことを示すものだ」と述べた。

会合の中でシュピーデル氏は、労働者が使用者からの組合承認を求めたことに連帯し、同社で働いていたフリーランスの労働者がパイゾからの仕事の依頼を拒否し始めたと報告した。そして、フリーランスのこうした行動によって労働者の立場が強化され、同社が組合の自主承認を決断をする一因になった可能性があるとの見解を示した。

同氏は最後に、「バイデン大統領、ハリス副大統領、ウォルシュ労働長官と会うことができ、大変感激しました。ゲームやテックワーカーの組織化に向けたCWA のキャンペーンについて話し、ユナイテッド・パイゾ・ワーカーズと我々フリーランスのライターのチームが行っている素晴らしい取組みについて共有できたことは、本当に光栄で、ご招待いただき大変うれしく思います。あらゆる産業で組合加入に向け組織化している労働者を、行政が引続き支援することを願います。また、この勢いをCWAに持ち帰り、CODE-CWAキャンペーンを継続させていきたいと思います。すべての労働者が組合に加入できるべきです!」と喜びを語った。

CWAのCODE-CWA(デジタル労働者組織化キャンペーン)は、職場の変革を求めて組織化を行うテック及びゲーム業界の労働者を支援するプロジェクトだ。現在、アクティヴィジョン・ブリザード社のレイヴンソフトウェア・スタジオで働くCWAの労働者は、組合選挙の投票を行っている。また、CODE-CWAが支援し組織化されたアップルの小売労働者は、6月2日に同社で初めて行われる組合承認選挙の投票を開始予定だ。

バイデン大統領は、労働政策の前面に押し出しており、ハリス副大統領とウォルシュ長官は、労働者の組織化とエンパワーメントに関するホワイトハウス作業部会の議長と副議長をそれぞれ務めている。作業部会は、労働者の力、組織化、団体交渉を支援する上で行政機関が取り得る行動を特定することをミッションとしている。


第30回UNI Apro執行委員会、戦略目標、政策活動、アドボカシー活動の強化を確認

2022年4月20~21日、標記会議が開催され、12か国の組合指導者が地域全体の動向を共有し、組織化や団体交渉の拡大、また民主主義や人権、連帯の強化に向けた取組みを再確認した。

会議の冒頭、松浦昭彦UNI Apro会長は、COVID-19の犠牲になったすべての人々、組合員、労働者、ミャンマーの軍事クーデターと最近のロシアのウクライナ侵攻によるすべての民間犠牲者に追悼の意を表した。また、3月に64歳で亡くなったヤン・ビョンミン韓国金融労組(KFIU)前委員長を偲んだ。

会議のハイライト

松浦UNI Apro会長、クリスティ・ホフマンUNI書記長、ゲストスピーカーの吉田昌哉ITUC-AP書記長は、過去1年間にアジア太平洋地域で起きた民主主義と労働者の権利に対する攻撃に関して、最近の情勢に触れた。

香港、アフガニスタン、ミャンマー、フィリピンでは、労働組合と組合員は依然として厳しい圧力下にあり、またインドやインドネシアなどの国では、労働者の権利が損なわれる危険性がある。

世界的に見ると、新たな危機が人々の関心をパンデミックから遠ざけている。ロシアのウクライナ侵攻によって世界秩序に混乱と再編がもたらされ、世界経済に影響を与えるだろう。これらの新しい地政学的・経済的課題に加え、労働組合運動は、組織化と組合強化という既存の優先課題に引き続き取組みつつ、パンデミックによる現在進行中の問題に対処する具体的な措置を講じ続ける必要がある。

UNI Aproの組織化・組合強化計画

会議では、今後数年間の新たな組織化計画が承認された。この中には、他地域のUNIの組織化センターをモデルとして、南アジアと東南アジアに2つの組織化センターの設立が含まれている。また、地域の加盟組織のオンラインでの組織化活動を補完・支援するために、デジタルオルグ担当が配置される。

UNI Aproは引き続き、安全で持続可能な雇用の創出に向けて、建設的な社会パートナーシップと労使関係を追求し、グローバル協定の効果的な実施と、多国間ガイドラインを組織化ツールとして活用することによって、これらの取組みを強化していく。

またUNI Aproは、パンデミックの沈静化に伴い、UNIと連携して、地政学や気候変動の観点からの正義や、その他の現代的課題に関する政策提言活動に再び力を入れていく。加盟組織が集中的に関わりながら、アジア太平洋の文脈に適した政策の方向性を打ち出していく予定だ。

加盟組織からの報告

会議の中で加盟組織は、直面する課題と獲得した成果について報告した。

ネパール唯一の金融労組であるFIEUNは、組織化イニシアティブを通じたUNI/UNI Aproの支援により、2021年にはUNI加盟人員を400%近く増やすことに成功した。台湾のテレコム労組であるCTWUは、中華テレコムの再編計画について組合と対話するよう圧力をかけるべく、ストライキを開始したにもかかわらず、賃上げと複数の手当を獲得したと報告した。

また、自国の労働者の権利にかかわる法律について、前向きな動きを報告した加盟組織もあった。

インドネシアの憲法裁判所は2021年末に、雇用創出に関するオムニバス法は違憲であり、2年以内に是正する必要があるとの判決を下した。ASPEKインドネシアは、この展開を注意深く見ており、労働者の権利を害する法律の条文が削除されるよう、関係する全ての社会パートナーと対話している。

ベトナム情報通信労組(VNUICW)は、最近の労働法改正により、どの産別交渉単位でもカバーされていない労働者への福祉給付の適用が拡大されたことを紹介した。残業時間の上限は、ほとんどの産業で年間200~300時間となっている。また、同国は2023年にILO第87号条約(結社の自由及び団結権の保護)を批准予定だ。

同様に、韓国の金融産業労組(KFIU)は、2022年4月20日にILO第29号条約(強制労働の禁止)、87号条約(上記)、98号条約(団結権及び団体交渉権)が発効したと報告した。これらの条約は、韓国の組合が国内法や政策について改善を要求していく力をさらに強化するものとなる。

オーストラリアの店舗流通関連労組(SDA)は、商業労働者に対する第三者からの暴力に対する罰則を強化する法案が成立したと報告した。同様に、多くの加盟組織が、ILO第190号条約の批准に向けて、自国政府への働きかけを行っている。

民主主義、人権、労働組合の情勢について

ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長がミャンマーの最新情勢を報告し、同国に関する新たな声明が全会一致で採択された。声明は、2021年2月1日の軍事クーデターに対する非難を改めて表明し、国際的・地域的な努力にもかかわらず、1700人以上が殺害され、数万人が恣意的に拘束され、40万人以上が避難している状況が改善していないことを指摘した。また、アジア太平洋地域のすべての指導者に対し、民主的に選出された文民指導者に政権を返還するようミャンマー軍事政権への圧力を強化すること、またグローバル及び地域の企業に対しては、ミャンマー国民の人権に対する軍事政権の攻撃に資金提供するような事業を一切行わないよう求めている。そして最後に、ミャンマーのすべての人々に対する連帯を再び強調した。

この声明を地域の全加盟組織に配布し、自国内でのロビー活動のツールとして活用するよう、奨励することが合意された。クリスティ・ホフマンUNI書記長は、報告と声明文に謝意を表し、この声明を次回のUNI世界運営委員会に提出し、さらなる支持を得る予定だと述べるとともに、UNIは対話中の多国籍銀行に対し、ミャンマーでの金融事業を停止または縮小するよう、引き続き圧力をかけていくと約束した。

会議ではさらに、韓国とフィリピンの加盟組織が最新状況を報告した。韓国では最近の大統領選で保守派の候補者が当選したが、この候補者は反組合的な公約を掲げてきた。一方、フィリピンでは、大統領選の有力候補として独裁者フェルディナンド・マルコス元大統領の息子が、副大統領には麻薬撲滅のため血みどろの戦争を展開した前大統領の娘であるサラ・ドゥテルテ氏があがっている。また、会議は、2020年に成立した国家安全維持法によって、加盟組織が安全かつ積極的に国際会議に参加することが妨げられている香港の困難な状況に留意した。

第6回UNI Apro地域大会の準備について

第6回UNI Apro地域大会に向けた準備を開始すること、パンデミックによる混乱を考慮し、2023年ではなく2024年に地域大会を開催することに合意し、会議を終了した。


4月28日、安全衛生をILOの基本的権利に!

国際労働災害犠牲者追悼日の4月28日、世界中の労働組合は、業務中に死傷・罹患した人々を思い起こし、職場の安全衛生に向けた闘いを強化する日としている。今年、世界の労働組合運動は、「労働安全衛生をILOの基本的権利にしよう」のメッセージを発信している。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「人々は仕事で尊厳と自信を得るべきであって、怪我や病気をしたり、まして死んではならない」と述べ、「安全衛生を国際労働機関(ILO)の中核的権利とすることで、労働者の死や病気が1つでも多すぎるということが明確になる。また、特にパンデミックの発生以来、より安全な仕事を求めてきた労働組合と協力するよう、使用者と政府にメッセージを送っている」と強調した。

世界では、業務に関連した病気や事故で毎年300万人以上の労働者が死亡しており、3億7,400万人が業務中に負傷したり病気に罹患したりしている。労働安全衛生に関連したサービスを受けられるのは、わずか2割に過ぎない。

4月28日のグローバルな行動を調整しているシャラン・バローITUC書記長は、「我々は、ILOが労働安全衛生を職場における基本的権利として採択することを要求する。労働安全衛生は、結社の自由や、強制労働、児童労働、雇用における差別の撤廃と同様に重要な課題だ」と述べた。

ILOは政労使の三者構成組織である。労働安全衛生をILOの基本原則および権利として制定することで、加盟国は、関連する他のILO条約を批准しているかどうかにかかわらず、この権利の尊重、促進に責任を持つことになる。また多くのILO加盟国は、基本的な基準を憲法に組み込んでおり、基準が実現され、人々の生活を向上させることを保証している。

2019年のILO創設100周年記念宣言では、すべての労働者にとっての労働安全衛生の重要性が認識された。以来、COVID-19パンデミックと、業務上のテクノロジーの使用拡大によって生じた危険が相まって、安全衛生を基本的権利とすることに新たな緊急性が加わった。過去2年間の経験から、この権利の実現と行使にあたって、組合が不可欠であることも示された。

パンデミックの間、UNIはすべての部会で安全衛生の指針を発表した。UNIは、安全衛生を基本的権利とすることを一貫して求めており、最近では、テレパフォーマンスにおけるリモートワークが健康に及ぼす影響に関する研究、アマゾン等におけるプライバシーを侵害するような監視行為が労働者の健康に及ぼす影響、そしてエッセンシャルワーカーの保護に向けた組合の取組みに関する部会横断的調査を発表している。


UNIマレーシア加盟協、使用者による在宅勤務者の賃金削減案に反撃

経済再開に伴い、在宅勤務を選択する労働者の賃金を削減するという、マレーシア経営者連盟(MEF)のショッキングな提案に対し、 UNIマレーシア加盟組織連絡協議会(UNI MLC)が 反発している。

モハメド・シャフィーUNI MLC議長は、この提案に対し「在宅勤務は、安い賃金で働くということではない」と猛反発し、地元メディアもこの発言を取り上げている。

「パンデミックの2年間、労働者は使用者に協力し、賃金が減らされても文句を言わず、状況が厳しいことを理解して、昇給やボーナスを要求することもなく、いつも通り在宅勤務を続けてきた。使用者のために犠牲を払い続けた後、今MEFは労働者に不当な扱いをしようとしている。従業員は休暇をとっていたわけではなく、仕事を家に持ち帰っていたのだ」と語気を強めた。

MEFは、在宅勤務の従業員の賃金を10~12%減額することを提案している。会社によっては交通費を支給し続けており、通勤しないならば支給額を減らすべきだとして、この不必要な賃金カットを正当化しようとしている。

これに対してシャフィー議長は、パンデミック時に多くの労働者がリモートワークを行うことで家計の負担が増え、健全でない環境で仕事をしていたことを引き合いに出し、反論している。

組合がパンデミック時に団体協約を交渉する際の指針となるよう、UNIは2021年2月初旬にリモートワーク主要原則を発表している。この原則は10の勧告からなり、そのうち4つは今回のMEFの提案に特に関連している。

・リモートワークは、雇用の権利と雇用関係を損なうものであってはならない。
・作業機器とリモートワークスペースの費用は、使用者が負担しなければならない。
・ リモートワークは「ジェンダーに中立」で、全ての人に開かれたものでなければならない。
・リモートワークのルールを導入または拡大する前に、労使はその影響を徹底的に評価し、文書化しなければならない。

ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長は、「UNI MLCがこの提案に強く反対していて頼もしい。マレーシアの使用者側の動きは非常に残念なことだ。パンデミックはまだ正式に収束しているわけではなく、状況によっては在宅勤務への復帰が求められる可能性があることを忘れてはならない」と述べた。


スリランカ情勢に関するUNI Apro声明

UNI Aproは、スリランカの政治経済状況の悪化について、深い憂慮を表明する。

スリランカは、独立以来最悪の経済危機に直面している。深刻な外貨不足により、食料、燃料、その他の生活必需品の輸入代金を支払うことができない状況に陥っている。

物資の不足と停電は国民の不満に拍車をかけ、首都をはじめ全国各地で非暴力抗議運動が勃発し、コロンボでは、ゴタバヤ・ラジャパクサ大統領の退陣を求める平和的デモが行われている。

その後の政治的混乱によって、国民の怒りはさらに高まった。2022年4月3日、首相を除く内閣の全26閣僚が総辞職し、続いて4月5日(火)には、同盟政党の40人以上の議員が、連立政権への支持を取り下げた。

セイロン銀行労組(CBEU)や郵便労組(NPTWU、SLPTSU、UPTO)など多くのUNI加盟組織が、スリランカの政治経済崩壊の終結を求めて連帯している。

UNI Aproは、同国のすべてのUNI加盟組織との連帯を拡大する。スリランカ政府に対し、国民の声に応えて人々の苦難を直ちに和らげる施策を立案・実施し、法と秩序を回復させると同時に、表現および結社の自由に対する人々の権利を抑制するいかなる措置も取らないよう、求める。


オランダのOECD連絡窓口、バングラデシュのVEONが労働者の基本的権利を今も認めていないとの判断

オランダのOECD連絡窓口(NCP)は、バングラデシュにおけるVEONの事業活動に対して異例の厳しい見解を示した。その中でNCPは、改善を求めてから2年が経過した後も、アムステルダムの通信会社VEONおよびバングラデシュの子会社バングラリンクが、バングラデシュにおいてOECD多国籍企業行動指針を遵守していないと結論づけた。

3月下旬に発表された評価報告書は、2020年2月11日にNCPが出した勧告に対するオランダ政府のコンプライアンス・レビューの一環であり、バングラデシュにおけるVEONの活動は、「労働組合や代表組織を持つ労働者の基本的な権利について、いまも認めていないようだ 」と指摘している。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は「VEONがOECDの指針に反していることは2020年の時点で明らかだったが、残念ながら今日にいたっても状況は全く同じだ。オランダNCPはこの件の調査に多大な時間を費やしてきた。今こそVEONは、その破たんした労働慣行を正すべき時だ」と指摘し、「バングラリンクの労働者は、6年間も基本的人権を否定され続けてきた。VEONは言い逃れをやめ、労働者の結社の自由と団体交渉の権利を認めなければならない」と語気を強めた。

オランダNCPの2020年の調査結果は、2016年にUNIが提訴した特定事例に対応したものである。提訴した中でUNIは、VEONとその子会社が、バングラリンク労働組合(BLEU)の組織化を抑え込むために労働者に嫌がらせをしたと申し立てた。

BLEUはこうしたな敵対的な環境の中でも組織化を続けていた。同組合は2020年2月初旬、雇用労働省の長官から登録証明書を受け取り、労働者を正式に代表し団体交渉を実施できるようになった旨を、バングラリンク側に通知した。バングラリンクは直ちにバングラデシュ高等裁判所に法的措置を取り、その結果、NCPによる勧告が出されたわずか2週間後の2020年2月26日に、組合登録証が撤回された。組合は2020年7月に判決を不服として控訴したが、2年近く経った現在もその裁判は行われていない。

オランダのNCPは、勧告以降のVEONの状況について、依然として「労働者が団体交渉のために労働組合や代表組織を持つ基本的な権利や、企業は雇用条件について合意に達することを目的に、そうした代表者と建設的な交渉を行うべきであるということを認めていないようだ」と指摘している。さらに、「VEONは、国内の法や規制の適用範囲を超えて尊重されなければならない基本的な国際労働基準の関連性について誤解しているようだ。NCPは、評価期間中に提供された情報に基づき、VEONがNCPの勧告のいずれにも適切に対処していないと判断した」とし、また同社に対し、「結社の自由と団体交渉の権利という労働者の中核的権利について言及する」よう、その方針を改めることを促した。

OECD多国籍企業行動指針は、責任あるグローバルな企業行動のための原則と基準であり、OECDの各国連絡窓口(NCP)は、OECDの指針を推進し、裁判外の苦情処理メカニズムとして案件を処理するために政府が設置する事務所である。

VEONはアムステルダムに本社を置く多国籍通信企業で、2億3,500万人の顧客を有し、12か国で事業を展開している。VEON株の47.9%を 投資会社LetterOneが 保有している。 NASDAQとユーロネクスト(アムステルダム)に上場 するLetterOneは、ロシア政府と密接な関係にあるミハイル・フリードマン氏とピョートル・アベン氏という2人のロシア人投資家が実権を握っている。この両氏は、ロシアのウクライナ侵攻後、ロシア政府との関係からEUと英国の制裁リストにその名が掲載されており、フリードマン氏氏はその後、VEONの取締役を退任している。


UNI Apro、南オーストラリア州首相に当選したマリナウスカス氏を祝福

UNI Aproは、先般の南オーストラリア州選挙において、南オーストラリア労働党を勝利に導いたピーター・マリナウスカス氏を祝福する。

マリナウスカス氏が率いる労働党は、労働者の中核的な問題、特に健康とクリーンエネルギーの雇用に焦点を当て、選挙キャンペーンを展開した。

UNI Aproは、賃金窃盗の刑罰化、業務上過失致死罪の導入、偽装請負に関する規則の強化、看護師対患者比の改善など、選挙で提起された一連の労使関係政策に称賛を送る。これらは労働者の日常生活に深く影響する問題であり、有権者からの圧倒的な支持を得た。

また、政労使の三者社会対話アプローチに長年取組み、各当事者、そして最も重要な南オーストラリア州の人々の利益になるバランスをとるべく、連携して取り組んできた同氏を称える。UNI Aproは、このアプローチがマリナウスカス政権を支え、州の経済競争力を高め、働く人々の生活を向上させることにつながると確信する。

ラジェンドラ・アチャリヤUNI Apro地域書記長は、同氏が勝利演説の中で、オーストラリア自由党について「対抗関係にあるが敵ではない」と表現した、その融和的アプローチを賞賛し、 「この平和的アプローチと建設的な三者関係の構築を求める姿勢は、ますます二極化する世界において民主主義を維持する上で不可欠であり、アジア太平洋地域の政府、企業、組合にとって素晴らしい手本だ」と述べた。

政界入りする前、同氏はUNI加盟組織の店舗流通関連労組(SDA)の南オーストラリア支部の役員を務めた。そこでの最大の功績のひとつは、クリスマスと大晦日の半日祝日を法制化するキャンペーンを展開したことだ。マリナウスカス氏は、2018年にクロイドンの議員に初当選し、その直後に同州の労働党首となった。

UNI Aproは、南オーストラリア州新政府の今後の活躍を期待する。


テレパフォーマンス従業員、年間1000万ユーロ相当の無給労働-新たな報告書が推定

3月25日にUNIが発表した報告書『働きがいのある会社ではない:テレパフォーマンスでのより良い職場作りに向けた事例』には、全世界で40万人の従業員を抱えるテレパフォーマンスのコールセンター事業における広範な労働者の権利問題が詳述されており、中でも労働者が同社のシステムにログインする際の無給の労働時間は年間推定1000万ユーロにのぼるとしている。

この調査では、11か国における無給労働、安全衛生に関する苦情、労働者に対する過度の監視、積極的な労働組合回避が報告されており、3月下旬に行われた同社主要株主との非公開会議で初めて発表された。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「この報告書は、世界中の労働者がテレパフォーマンス社の雇用改善を求めて組織化している理由を示している」と述べ、「同社の労働慣行には根本的な問題がある。同社の巨大な事業規模、グローバルな展開、仕事の未来に対する影響力の増大を考えると、組合や株主を含むすべての利害関係者が一丸となって変革を推し進めることが急務だ」と力を込めた。

英国に拠点を置くコーポレート・ガバナンスの分野で優れたコンサルティング会社PIRCが、「ソーシャル・ウォッシング」に関する調査結果を発表した1週間後に、今回の報告書『働きがいのある会社ではない』が発表された。PIRCの調査報告では、テレパフォーマンスが『働きがいのある会社』認定を労働力管理に関する主要な指標として使用していることが不適切である点が強調されている。

UNIの調査は、フランスのOECD連絡窓口が2021年8月に、結社の自由と安全衛生に関して労働慣行を改善するようテレパフォーマンスに勧告を出した後も、同社に深刻な問題が残っていることを示すものだ。これらの継続的な懸念に取組むため、UNIは社会的責任のある投資家に対し、同社への関与を強化するよう求めている。

同社の年次株主総会は4月14日に開催される予定だ。

数百万ドルの未払い労働

推定1000万ユーロ相当の無給の労働時間は、テレパフォーマンスの未払い賃金全体のごく一部であると考えられる。この数字は、同社が事業展開する80か国以上のうち、7か国でのログイン時間に対するものである。これらの国の従業員によると、業務に必要な複数のモニタリングやカスタマーサービス・プログラムへのログインは1日に10〜20分かかるが、この作業は 「勤務時間外」になるという 。

無給のログイン時間に加えて、同社では他にも数種類の無給労働が確認されている。例えば、シフト終了時刻を過ぎても通話が続く場合には賃金が支払われない、厳しいノルマを達成するために休憩時間も仕事にあてられる、インターネットや電力網が停止した場合も給与が差し引かれる在宅勤務、支払われるはずの賞与を受け取れない、無給のトイレ休憩などだ。

ポルトガルのある労働者は次のように語っている。「定時に仕事を開始できるよう、シフトの15~20分前にログインしなければならないのですが、このログイン時間には賃金が支払われません。(中略)シフトの終了時刻を過ぎても電話の応対をしている場合、その分の賃金も支払われません(中略)もちろん、これはきつい状況です。わずかな賃金しか払われていない上に、会社はこの時間外労働も支払わないので」

テレパフォーマンスで働く厳しい現実

パンデミック第一波の際のテレパフォーマンスにおける安全性の問題はよく知られているが、それに加えてこの報告書は、労働者の健康に影響を与える新たな危険、すなわち人間工学的に適切でない在宅勤務環境に関連する問題にも触れている。

テレパフォーマンスは、おそらく世界で最も多くの在宅勤務従業員を抱える企業の一つであり、UNIは、キッチンテーブルやプラスチック製の庭用家具、さらにはスーツケースを在宅勤務用に使用している労働者の事例を集めた。適切な人間工学的配慮を欠いた長時間のシフトは、手根管症候群や筋骨格系の問題、長期的な痛みを労働者に引き起こす恐れがある。

テレパフォーマンスの労働者は、過度の自宅監視によるストレスの増加や、ノンストップの仕事文化による身体的負担の増加についても報告している。ジャマイカのある労働者は、「10時間勤務で15分間の休憩すらないこともありました。(中略)会社は労働者を酷使しているし、精神的に虐待している。だって、36歳の大人の女性が、トイレで用を足しに行くのにも立ち上がれないなんて言われたら、笑えませんよね。(中略)多くの人が膀胱炎を訴えています。(中略)膀胱炎になって医者にかかると、給料がすっかり消えてしまいます」と証言している。

根強く残る組合忌避

組合による代表と団体交渉が実施されれば、労働者はこうした問題によりよく対処することができるだろう。だが、強力な組織化の取組みにもかかわらず、テレパフォーマンスが事業展開する80か国以上の国の大半で、労働者は組合に代表されていない。そして、ポーランドやアルバニア、コロンビアなどのように組織化されている場合には、報復、組合との交渉・対話の拒否、組織化に対する妨害などを経験してきた。

「OECDガイドラインに規定されている労働者の結社の自由と団体交渉の権利を尊重する」よう勧告が出ているにもかかわらず、労働者による組織化の取組みを挫き、テレパフォーマンスは従来の行動パターンを今も継続しているのである。

提言

UNIはテレパフォーマンスに対し、世界の従業員に以下の点を保証し、報告書に記載された問題に対処するよう求める。

・ ログイン時間やシフト終了後の延長時間分を含む、すべての労働時間に対する賃金の支払い 
・ 選出された労働者安全衛生委員会
・ 労働者に対する監視は、会社のセキュリティ上の必要性を超えない範囲であること
・ 在宅勤務の場合でも、労働組合を組織する結社の自由があること
・ UNIとのグローバル枠組み協定を通じ、あらゆる国で結社の自由や団体交渉の自由など、ILOの中核的労働基準を尊重し、適用すること


ジェニングス前UNI書記長、スイスの地方紙ラ・コートの「パーソナリティ・オブ・ザ・ディケード」賞を受賞

2018年まで、18年間にわたりUNI書記長を務めたフィリップ・ジェニングス氏は、UNIを労働者の権利のための強力な組織に育て上げ、人生をかけて平和と世界の労働者のために闘っている。

ジェニングス氏は、労働組合の強化に尽力してきた長年にわたる優れた経歴の中で、労働者の権利、平和、正義の世界的な闘士として知られるようになった。

ジェニングス前書記長は、「この賞を受賞することができて、本当に光栄だ」と喜びを語り、「ここで生まれたわけではないが、ラ・コートを故郷と呼べることを大変嬉しく、誇りに思う」と述べた。また、UNI本部のあるニヨンを含むラ・コートについて「このような活気に満ちた、国際的で心地よいコミュニティに根ざしていなければ、これほどグローバルなインパクトを与えることはできなかったと思う」と触れた。

国際平和ビューローの共同代表として、ジェニングス氏は受賞の機に、ウクライナの和平推進を全ての関係者に呼びかけた。

ジェニングス氏は、2018年のリバプール世界大会でUNI書記長を退任後、国際平和ビューローの共同代表として強力に平和を擁護し、スポーツ人権センターの理事としてスポーツにおける人権を推進し、ILOの仕事の未来世界委員会の委員として労働者の声を代弁するなど、多忙を極めている。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「フィリップの受賞を誇りに思う。彼は常にUNIとラ・コートのコミュニティの間に強い根を張ることに尽力しており、今回の受賞は、その取組みが大きな成果を収めていることが認められたものだ」と語った。


uni logo
最近のコメント
    アーカイブ