「公共善のための団体交渉」世界経済フォーラムでUNIのメッセージを発信

5月下旬にダボスで開催された世界経済フォーラム年次総会において、クリスティ・ホフマンUNI書記長は、ウクライナ戦争による生活費の高騰に人々が直面する中、団体交渉、エッセンシャルワーカーの再評価、税制による富の再分配の重要性を改めて訴えた。

ホフマン書記長は、スイスの山村で開催された世界経済フォーラムにおいて、今年のテーマ「歴史的転換点」を念頭に、次のように訴えた。

「世界的に、労働者は転換点にいるのではなく、危機的状況にある。厳しい経済状況の中、もう何年も苦しんでいる。今こそ、政界・財界のエリートの行動と政策に、この現実を反映させるべき時だ。各国で物価上昇が賃金上昇より速いペースで進み、またプライバシーを侵害するようなテクノロジーが、労働者に対する圧力を高め、労働基準を引き下げている。労働者の権利に対する攻撃は強まり、企業の権力はこれまでになく少数の手の中に集中している」

また、アイルランドのレオ・バラッカー元首相も参加した『エッセンシャルワーカーの再評価』と題するパネルにおいて、同書記長は、「団体交渉が公共善であるとの認識が、パンデミックで社会が得た重要な成果でなければならない。労働組合はパンデミック時に、エッセンシャルワークを変革し、エッセンシャルワーカーを保護するために基本的な役割を果たしてきた」と強調した。

また、すでに危険なほどの資金不足・人員不足に陥っていた介護施設部門に対する投資の欠如が、パンデミックによって露呈したことをふまえ、「介護部門への投資は、さらに多くの女性が労働市場に参入する上で不可欠だ」と述べ、「だがいずれにしても、介護部門にはもっと資源を投入し、介護の仕事を良い雇用にしていく必要がある」と主張した。

2つ目のパネル『ハイブリッド・ワーキング:次に起こること』の中で、ホフマン書記長は、ほとんどのエッセンシャルワーカーにとって、選択肢は職場に出勤する以外にないが、一方で、多くの労働者が劣悪な状況でリモートワークに従事していることも指摘した。そして、コールセンター業界で働くUNI加盟組織の組合員の事例を紹介し、在宅勤務中の監視強化や人工知能による過剰な監視にさらされている状況を踏まえ、「我々が望むのは、新たなテクノロジーが、懲罰的で、プライバシーを侵害するような管理技術をデフォルトとするようなことではない」と述べ、「そうではなく、我々が望むのは、新しいテクノロジーによって繁栄が皆に共有されるようになることだ」と力説した。

さらに同書記長は、リモートワークに保護措置を講じる必要性についても提起した。多くの労働者が職場での勤務時間よりも長い時間をリモートで働く中、労働時間に際限がなくなる事態を避けるためだ。さらに、女性は育児や介護といった家庭の責任を背負っているがゆえに在宅勤務の柔軟性を活用する傾向があるが、意思決定のプロセスから孤立したり、昇進の機会を逃したりすることがないよう、対策を講じる必要があると指摘した。

ダボス会議でも、ウクライナ戦争は議論の焦点となった。戦争で貧困と所得格差が拡大し、経済的苦境がもたらされるのであり、雇用、賃金、労働条件を守るため、労働者の組織化はこれまで以上に重要性を増している。