第36回UNI世界運営委員会開催。労働安全衛生、組織化など議論。ミャンマーへの支援を確認

2022年5月11~12日、スイス・ニヨンUNI本部において、第36回UNI世界運営委員会がハイブリッド開催された。

「3年ぶりに対面会議が実現し、みなさんと直接お会いできてうれしく思う。様々な議題・スピーカーを用意しているので、積極的な議論を期待したい」と、ルーベン・コルティナUNI会長の冒頭挨拶で始まった会議には、11カ国から運営委員及び地域書記長21名、オンライン参加の運営委員、UNI部会担当局長、事務局等が出席した。日本からは、松浦昭彦UNI Apro会長(UAゼンセン)、安藤京一UNI副会長(情報労連)、中野英恵UAゼンセン国際局長、木村富美子情報労連国際部長、上田智亮UNI-LCJ事務局長が出席した。

次にクリスティ・ホフマンUNI書記長が挨拶し、コロナ禍やウクライナ問題、組合員の減少や賃金が上昇しないなどの労働組合の現状に触れ、「25,000人が参加した組織化トレーニング(オンライン)は有意義であったが、複雑な議論や信頼関係の構築には対面活動は欠かせない。今後はバランスを取りつつ取組んでいくと共に、①多国籍企業との協働・対話、②組織化推進、③政策活動への取組み(新しい労働の世界、人権デューデリジェンス、労働安全衛生、気候危機)、④内部の業務改革・構造改革、⑤2023年UNI世界大会(米フィラデルフィア)を活動の柱として取組む」と述べた。

「組織化報告」のセッションで、アインディ・スノディUNI SCORE(組織化)担当局長が「組織化センターは、それぞれの地域でオルガナイザーの育成、組織化活動に取組み、成果を出している。特に中欧組織化センター(COZZ)は、活動を拡大し、ウクライナ難民の支援を行っている。」と報告した。
安藤UNI Apro ICTS部会議長は、「マレーシア系多国籍通信事業者アシアタ社の組織化に関し、6か国・2万5千人を雇用する巨大通信事業者に対し、同部会は『アシアタ労組アライアンス会議』を定期開催し情報交換を行っているが、更に強化していく。特にバングラデシュは人口が多く、今後も成長が見込まれることから対応強化が必要である」と強調した。また、ネパールで団体交渉の能力開発を実施する予定であり、カンボジアでの組織化活動も2023年初の開始を目指して準備中であることも報告し、今後のUNI本部及びSCOREの支援を求めると述べた。

「労働安全衛生」のセッションで松浦UNI Apro会長は、カスタマーハラスメント(カスハラ)撲滅に関するUAゼンセンの取組みについて報告した。「カスハラは、働く人や企業に被害・損害を与えるだけでなく、消費者など一般社会にも不快感や悪影響を及ぼしており、社会全体でカスハラをなくしていくことが重要である。この問題を解決するため、UAゼンセンでは労使で話し合うよう加盟組織に働きかけ、流通部門74組合の内、約8割がカスハラ問題に関する労使協議会を行い、相談窓口設置等などの取組みが進んでいる。我々の運動もあり、社会に認知されるようになったが、法整備には議論が不足しており、組織内国会議員と連携し、社会全体におけるカスハラ防止対策の強化と法制化を求めている。また今年2月、厚生労働省が『カスハラ対策マニュアル』を発表したことは大きな一歩だった。今後も他産別と連携し、労働界全体でこの問題に取組んでいく」と報告した。

「UNI世界大会および世界女性大会」のセッションでは、ホフマンUNI書記長より大会の準備状況の報告があり、また2023-2027年の戦略計画(※)、UNI世界大会の開催時期およびUNIの非営利団体としての明記に関する規約の改正案を動議として提案し、承認された。

※戦略計画
①全ての人のために組合の力を強化しよう(組織化・多国籍企業との関係構築・団体交渉)②企業に説明責任を負わせるため、ルールを変更しよう(人権デューデリジェンス)③公正で包摂的なグローバル経済のため、ルールを変更しよう(ディーセントワーク、社会保護、持続可能な経済、デジタル化)④安全衛生のために共に立ち上がろう(労働安全衛生、つながらない権利)⑤平和、民主主義、人権のために共に立ち上がろう⑥不平等、人種差別、不公平な扱いに反対し、共に立ち上がろう(人種差別、青年、女性、LGBTIQ+)⑦持続可能な世界のために団結しよう(気候変動)

松浦UNI Apro地域会長

これを受け松浦UNI Apro会長は、UNI Apro会長として本案に賛意を示し、「2年にも及ぶパンデミック下で、多くの国、あらゆる産業・雇用形態の労働者が影響を受けた。そして多くの国で、失業保険や退職金制度、休業中の賃金保障等の社会保護の不備が明らかとなった。特に、アジアの開発途上国ではブランドや多国籍小売企業からの発注の激減によって多くの衣料産業労働者が解雇されたが、失業保険制度がない、使用者が法律を守らず解雇補償を支払わないケースが多発した。インダストリオールではパンデミック期間中、支払われなかった賃金・補償金についてブランドが責任を負うよう要求している。しかし、社会保護は国の制度に負うところが大きく、一つのセクター・企業との交渉で国の制度を代替するのは困難である。また、社会保護はすべての産業に共通する問題である。従って、UNIで社会保護の取り組みを進めるにあたっては他のGUFやITUCとの連携を強化すべきだ」と述べた。

「地域報告」のセッションでは、UNIアフリカ、UNI米州、UNI欧州の各地域から報告があり、UNI Apro地域報告ではラジェンドラ・アチャリャ地域書記長が、昨年の6部会大会でパートナーシップ労使関係を促進し社会対話を強化するために、他の社会パートナーとのギャップを埋め、当同社の力を構築し、組織化を拡大する戦略を採択したことを報告した。また、「コロナやウクライナ問題だけではない。スリランカ経済状況やフィリピンが独裁政権になる可能性、香港などに注視しなければならない。不安定雇用に従事するエッセンシャルワーカーへの組織化の取組みおよび青年・女性のエンパワーメント活動を推進していく」と述べた。

「平和、民主主義、人権」のセッションでは、アナトリー・ヤドヴィ氏(ウクライナ、CWU)の報告に続き、カイン・ザール氏(ミャンマー、CTUM-IWFM)から「2021年2月のクーデター以来、市民権のはく奪、公務員の失職、飢餓などの市民の抑圧が続いているが、我々は民主主義を回復するために闘っている。経済制裁を含め軍事政権を止めるための支援をお願いしたい」とミャンマーの現状について報告と支援要請があった。
松浦UNI Apro会長は、「UNI Aproは、軍の弾圧に屈することなく抵抗するミャンマーの組合の仲間、市民に心からの敬意と彼らへの強い支持を表明する。その他にもアジアには、香港における民主主義の否定、フィリピンにおける組合活動家の殺害と迫害など憂慮すべき深刻な状況がある。UNI Aproとして、これからも基本的人権と平和・民主主義を守るために行動し続けなければならない。UNI及び世界のUNIの仲間の支援を引き続きお願いする」と述べ、UNI世界運営委員会でも、UNI Apro執行委員会による「ミャンマーに関する決議」が採択された。

この他、「アマゾン・キャンペーン」「ビジネスと人権」「新しい労働の世界」など様々な議論を行い、今後のスケジュール確認が行われ、閉会した。