経済再開に伴い、在宅勤務を選択する労働者の賃金を削減するという、マレーシア経営者連盟(MEF)のショッキングな提案に対し、 UNIマレーシア加盟組織連絡協議会(UNI MLC)が 反発している。
モハメド・シャフィーUNI MLC議長は、この提案に対し「在宅勤務は、安い賃金で働くということではない」と猛反発し、地元メディアもこの発言を取り上げている。
「パンデミックの2年間、労働者は使用者に協力し、賃金が減らされても文句を言わず、状況が厳しいことを理解して、昇給やボーナスを要求することもなく、いつも通り在宅勤務を続けてきた。使用者のために犠牲を払い続けた後、今MEFは労働者に不当な扱いをしようとしている。従業員は休暇をとっていたわけではなく、仕事を家に持ち帰っていたのだ」と語気を強めた。
MEFは、在宅勤務の従業員の賃金を10~12%減額することを提案している。会社によっては交通費を支給し続けており、通勤しないならば支給額を減らすべきだとして、この不必要な賃金カットを正当化しようとしている。
これに対してシャフィー議長は、パンデミック時に多くの労働者がリモートワークを行うことで家計の負担が増え、健全でない環境で仕事をしていたことを引き合いに出し、反論している。
組合がパンデミック時に団体協約を交渉する際の指針となるよう、UNIは2021年2月初旬にリモートワーク主要原則を発表している。この原則は10の勧告からなり、そのうち4つは今回のMEFの提案に特に関連している。
・リモートワークは、雇用の権利と雇用関係を損なうものであってはならない。
・作業機器とリモートワークスペースの費用は、使用者が負担しなければならない。
・ リモートワークは「ジェンダーに中立」で、全ての人に開かれたものでなければならない。
・リモートワークのルールを導入または拡大する前に、労使はその影響を徹底的に評価し、文書化しなければならない。
ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長は、「UNI MLCがこの提案に強く反対していて頼もしい。マレーシアの使用者側の動きは非常に残念なことだ。パンデミックはまだ正式に収束しているわけではなく、状況によっては在宅勤務への復帰が求められる可能性があることを忘れてはならない」と述べた。