アマゾン第2本社のニューヨーク進出計画断念に対する組合の反応

アマゾンは、ニューヨーク市クィーンズ区ロングアイランドシティに第2本社を建築する計画を撤回したと伝えられた。ニューヨークに誘致するためアマゾンに30億ドルの税優遇措置がオファーされたことが引き金となり、地元の議員、労働組合、活動家グループ等が抗議行動を続けた結果、アマゾンは計画を撤退した。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「アマゾンは、過去2年間、利益をあげているにもかかわらず税金を払っていない。そして職場から労働組合を追い出すことを公言している。このような会社に優遇措置を与えることに反対の意を示した、ニューヨークのコミュニティグループや組合に敬意を表したい」と述べた。昨年、アマゾンの収益は倍増したにもかかわらず、連邦政府から税還付を受けた。これには怒りしか覚えない。ニューヨークの、そして世界中の組合は、アマゾンが、コミュニティや労働者からの正当な要求から逃げるのではなく、団体交渉に応じることを望んでいる。」

米国のRWDSU(小売・卸売・百貨店労組)とチームスター労組は、アマゾンに「ニューヨーク市から逃げることができても、労働者に対する責任からは逃れられない」と述べた。

スチュワート・アッペルバウムRWDSU委員長(UNI世界商業部会議長)は、「多くのニューヨーカーが懸念する問題に対応するどころか、アマゾンは“勝手にしろ、ニューヨーカーの懸念など構わない”とさえ言い放った。責任ある企業が取る態度ではない」と避難した。ニューヨーカーは、労働者やコミュニティを尊重しないアマゾンを歓迎しない、とはっきり示した。

世界の他の組合からも支援と連帯のメッセージが寄せられた。「強欲な企業に対する大きな勝利だ。」「アマゾンに対する勝利は、労働運動全体及び労働者にとっての勝利だ。」

世界中の労働組合は、アマゾンに責任を果たさせるため団結している。過去5年間、UNIは、世界中でアマゾン労働者を組織する、または代表する組合を束ねるUNIアマゾン労組同盟を指揮してきた。

 


UNI Apro/JP労組共同英語セミナー開催

2019年1月26~27日、東京でUNI Apro/JP労組共同英語セミナーが開催された。全国から集まったJP労組の29人の若手組合役員、組合員が、台湾、マレーシア、スリランカの郵便労組からリソースパーソンと共に、UNIを通じた国際連帯活動、そして各国の郵便事業や組合活動を学んだ。

開会挨拶で三村寿宏JP労組組織局次長は、本セミナーが長崎で開催されたUNI世界大会のフォローアップとして始まり、これまで約200人が本セミナーに参加してきたことに触れた。「英語力の向上や、海外の郵便事業や労組の活動を学び、JP労組の国際労働運動のこれまでの成果と今後の方向性を考える機会となっている。皆さんも今セミナーで学んだことを活かし、是非組合活動の活性化や豊富化に尽力していただきたい。」と参加者を激励した。

今回、海外の郵便労組から3人のリソースパーソン(講師)を招いた。台湾のリンCPWU国際処処長は、CPWUとJP労組の長年にわたる交流関係や、台湾の若い世代が直面する低賃金、長時間労働、高齢化社会などを報告した。マレーシアのムハンマド・ニザム・ハジルUPCW書記次長は、マレーシアの郵政事業は現在、物流への強化のみならず、金の売買等、事業の多角化経営も積極的に行っていることに触れ、「労組は伝統的な郵便サービスからニューエコノミーへと移行する際の課題にも対応していく」と述べた。スリランカのウデシカ・リヤナゲSLPTSU中央執行委員は、2018年にUNIに新規加盟したSLPTSUの組織や課題について触れ、特に青年の教育不足、組合活動へ政治が介入してくる現状、そして新しい技術やデジタル化に対応するニーズが高まっていることを説明した。 大崎佳奈子UNI Apro郵便・ロジスティクス部会担当部長は、UNIの成り立ちや組織化、能力開発のためのセミナー等の活動を紹介し、加盟組織がお互いに強くなり、国際連帯を進めていく重要性を訴えた。

参加者は4つのグループに分かれ、定年制度や組合の意義について考えるグループワークに取り組み、その議論内容を、寸劇やフリップを作成するなどわかりやすく工夫して、グループ毎に発表した。 また、2018年6月のUNI世界大会に参加した久保田昭子JP労組東京地本支部執行委員と、同年11月のUNI Apro青年大会に出席した岸野剛JP労組北陸地方本部ユースネットワーク常任幹事、金城尚紘JP労組沖縄地方本部組合員から、UNI活動を通じて得た海外の労働組合との共通課題が報告され、学んだ内容を全体で共有した。

最後に八木和子JP労組国際部長は、「2日間のセミナーで、グループが協力し、海外講師とともに英語を通して組合活動を学ぶことができた。組合のことばで『仲間の皆さん』を英語で表現すると『ブラザーズ・アンド・シスターズ』となるが、このセミナーで知り合った仲間とのネットワークを大切にし、春闘や各種の取り組み強化など今後の活動に是非活かしてほしい」と期待を寄せた。


組合のメッセージ、ダボスで声高らかに

2019年1月22~25日、世界経済フォーラム(WEF、通称ダボス会議)がスイス・ダボスで開催され、クリスティ・ホフマンUNI書記長は、他の組合リーダーと共に、「組合はWEFに強力に関わり続けていく」というメッセージを発信し続けた。

今年のダボス会議のテーマは、「グローバリゼーション4.0」。UNIからの重要なメッセージは、「グローバリゼーション4.0は、社会契約に沿ったものであるべきだ」。労働者と民主主義のための「社会契約4.0」である。ダボス会議に合わせたかのように、ILO仕事の未来世界委員会報告が発表された。その中でも、新たな労働の未来の問題に対処するために、社会契約の再活性化が必要だ、としている。

組合にとって、社会契約の重要な要素は、全ての人のための生活賃金及び社会的保護、仕事の形態に関わらずあらゆる労働者の労働基本権を普遍的に保障すること、生涯学習の権利、団体交渉の強化、企業の説明責任等である。

WEFは年次リスク報告の中で、多国間国際機関が、欧米に蔓延する国粋主義的政権やポピュリスト政権により、危機にさらされるリスクを強調した。この懸念は多くのセッションで繰り返された。CNNのリチャード・クェスト氏から受けたインタビューに、ホフマン書記長は「労働者への富の配分が減り続ける限り、全ての民主的な組織は脅威にさらされる」と答えた。ガーディアン(英紙)のラリー・エリオット氏には、「労働者は、グローバル化はエリートのためのもの、ダボス会議もエリートのためのものだと思っている。経済のグローバル化を望むなら、企業のためだけのものであってはならない」と語った。

この何年か、ダボスの主要な話題は、格差の拡大であった。今年もなんら変わりなかった。ガーディアンには、「聞こえの良い言葉ばかり並んでいるが、行動の兆しはほとんどない。犠牲の感覚が全くない。富をひとつのポケットから別のところへ移さなければならない」と語った。

ホフマン書記長は、「富豪に課税するという新たな政策と合わせて、強力な団体交渉ができなければ、格差を無くすことはできない」と強調した。

デア・シュピーゲル(独誌)とのインタビューには、「デジタル化によって、アマゾン創業者ジェフ・ベゾスのような人々の富が莫大になった一方で、2017年、西欧の実質賃金は伸びていない」と語った。

ダボスで様々なマスコミからインタビューを受けたホフマン書記長は、新しい労働の世界へと公正な移行を実現するためには、交渉の役割が重要だと繰り返した。「私たちは、新たな技術の利活用について、デジタル技術によって加速された非現実的なスケジュールについて、過度な監視について、その他多くの問題について交渉することができる。労働者に発言権がなければ、これらの技術の活用に抵抗する。私たちは、新たな技術を恐れているわけではないが、安全で公平な環境で使われなければならない。交渉こそ様々な手段の中心だ。」

スキルの向上は、ダボスのもう1つの大きなテーマであった。あらゆる産業において、社長達は、デジタル技術を利用した既存の労働者のスキル向上へのコミットメントを表明した。今後も仕事はなくならず、むしろ新しく創出される仕事の数の方が多いだろうという楽観的な感覚が広がっていた。同時に、この移行期に失職する労働者もいるだろうとの認識もあった。ガイ・ライダーILO事務局長も参加していたパネルディスカッションで、ホフマンUNI書記長は、「このような労働者が新しい仕事に公正な移行を遂げるために、政府は、理想的には新たな三者システムを通して、スキル向上を強化する必要がある」と訴えた。

シャラン・バロウITCU書記長は、組合リーダー達のダボスでの経験を総括し、「ビジネス界は、2つの陣営に分かれている」とツィートした。すなわち、組合と協力し、新たな社会契約を通して、地球を救い、格差をなくすためにルールを変えていこうとする企業がある一方、人々のことではなく利益のみ考える企業もある。ホフマン書記長は、最近UNIとグローバル枠組み協定を締結したウニクレディト(伊銀行)のように自社の労働者に責任を示す企業と協力し、アマゾンのような無責任な企業に責任を問い続けていくUNIの意志を繰り返した。

 


第18回UNI-LCJユース英語セミナー

2018年12月15~17日、湘南国際村において、第18回UNI-LCJユース英語セミナーが開催され、8組織17人(男性8人、女性9人)が参加した。海外から、ドゥルバ・ラジ・ダカル(ネパール、ラジオネパール労組出身、現在早稲田大学留学中)、リリアン・タン(シンガポール、DBS銀行労組)、シャーリー・テイ(シンガポール、DBS銀行労組)、シェ・ユーファ(台湾、中華郵政労組)の4人がリソースパーソンとして参加した。

UNI-LCJユース英語セミナーは2006年に開始され、今回で18回目を迎える。当初の目的は、2010年に長崎で開催された第3回UNI世界大会を支えるボランティアの育成であったが、今では国際労働運動に触れる最初のステップとして非常に好評な英語合宿となっている。

開会式で、松浦UNI-LCJ議長は、国や産業が違っても互いの経験から学び、国際労働運動と連帯についての理解を深め、新しく知り合った仲間とのネットワークを大切にしてほしい、と期待を寄せた。

小川UNI-LCJ事務局長と森川事務局次長が、UNIの概要について説明した後、具体的な青年活動として、先月マレーシアで開催されたUNI Apro青年大会に参加した大日本印刷労組の植野書記次長とJP労組の大芝職員が、大会とワークショップの様子を詳細に報告した。

リソースパーソンから、シンガポール、台湾、ネパールにおける労働組合運動の概要、特に青年・女性の課題と組合への参画等について説明を受けた。

参加者は4つのグループに分かれ、各国の青年・女性の組合活動への参画、ワークライフバランス、組合の社会貢献活動等について、リソースパーソンを交えて議論し、グループ発表を行った。この他、「ソーシャルファン(交流イベントを企画する)」、「エナジャイザー(息抜きのゲーム等をリードする)」、「モデレータ(司会)」、「ニュースリポーター」の4つの委員会に所属し、与えられた任務をチームワークでこなした。

昨年、福島で開催されたセミナーにリソースパーソンとして参加したスリランカ郵便労組のツッシーは、ライブ・ビデオで登場し、「UNI Aproの青年活動に参加して、私は視野を広げることができた。コミュニケーションの一手段として英語を勉強すれば、UNI Aproの青年ネットワークの仲間ともっと情報交換ができる。互いにがんばろう」と激励した。

各グループは、「UNI」、「組合」、「青年・女性」、「連帯」というキーワードをそれぞれ与えられ、全員参加と全て英語、というルールの下、最終日に寸劇やクイズ形式等、独創的なプレゼンテーションを行った。リソースパーソンからは、「異なる文化的背景を持つ人どうしが仲良くなるには、異なる点ではなく共通点を見つけることが大事だ」というアドバイスを受けた。2泊3日、様々なアクセントの英語に四苦八苦しながらも、各国の共通の課題や異なる背景を共有する中で、「連帯」の重要性について体得することができた。

 

 


第5回UNIネパール加盟協大会

2018年12月6日、「労働の未来に向けて、組合の力を高めよう」のテーマの下、第5回UNIネパール加盟協(UNI-NLC)大会がネパール・カトマンズで開催された。18加盟組織から約200人名が参集し、UNI Aproからは野田地域会長、クリストファー・ウン地域書記長が来賓として参加した。加えて、各ナショナルセンター、フリードリヒ・エーベルト財団(FES)、オランダ労働組合連盟(FNV)からも来賓が駆け付けた。

開会にあたり、ゴルカルナ・ラジ・ビスタ労働・雇用・社会保障大臣が祝辞を述べ、ネパールの国家発展のためには労働組合の役割が大切であり、UNI-NLCの活躍に期待すると述べた。野田UNI Apro地域会長は「第4次産業革命の進展により働き方や暮らしが変化する中で、労働組合としての情報収集と分析に基づく政策立案はこれまで以上に重要だ。組合の力を高めよう」と挨拶した。また、来年11月のUNI Apro地域大会への支援と協力を要請した。ウンUNI Apro地域書記長は、UNI-NLCの組織化の取組み成果を称えると共に、次期地域書記長にラジェンドラ・アチャリャ書記次長を推薦したいと述べ、出身国のサポートを要請した。

活動報告や今後の活動に関する議論を経て、向こう4年間の行動計画を盛り込んだ決議が採択された。また、シャンカール・ラミチャーニ氏(ネパールテレコム労組)が議長に再選された。加えて副議長5人、委員5人を中心とする新執行部が選出された。

 

 


アクシアタ労組代表、各国の成功事例を共有

2018年12月2日、マレーシア・クアラルンプールにおいて、第3回アクシアタ労組アライアンス会議が開催された。アクシアタはテレコム・マレーシア・インターナショナルが分離して1992年に事業を開始した携帯通信会社で、アジア11カ国で事業展開している。グループ全体の総加入者数は3億5千万人超、組織化状況は国によりばらつきがある。

会議には、マレーシア、ネパール、インドネシア、スリランカ、バングラディシュのアクシアタ労組代表が参加し、各国の成功事例を共有すると共に、今後の活動計画を検討した。

UNIマレーシア加盟協(UNI-MLC)のモハメド・シャフィー議長は、「マハティール首相率いる新体制下においてビジネスのやり方が変わってきている。アクシアタの会社側の意向を見極めながら対応することが大切だ」と述べた。

野田UNI Apro ICTS部会議長(情報労連委員長)は、持続的な事業発展のためには強い労働組合が必要であり、組合員増加に向けて努力して欲しいと述べた。また、日本の労使関係の状況について講義し、会社との協議や協力関係の必要性について説明した。

クリストファー・ウンUNI Apro地域書記長は、アクシアタ労組アライアンスが3年間継続していることを評価し、さらに効果を高めるために新たな方策を検討すべきだと言及した。そして「2019年8月末にクアラルンプールで開催予定のUNI世界ICTS部会大会に、アクシアタの会社側にも参加を呼びかけ、労働組合への理解を求めたい」と述べた。

最後に野田議長は「従業員の雇用確保と企業の発展のためには強い労働組合と、労使信頼関係の醸成が必要だ。それぞれの立場で努力しよう」と参加者を激励した。参加者は引き続き情報共有を図りながら、戦略的に組織化活動を進めていくことを意思統一した。

 


変化を起こす原動力になれ!第5回UNI Apro青年大会

2018年11月23~24日、マレーシア・サラワクにおいて、第5回UNI Apro青年大会が開催され、アジア太平洋地域15ヵ国から、計150人(UNI-LCJより32人、女性16人、女性比率50%)が参加した。

開会式では、ノリカ・ワルナスリヤUNI Apro青年委員会議長が挨拶し、「第4次産業革命の目まぐるしい変化において、私たち青年はまさに原動力そのものだ。私たち青年こそが、青年に対する投資が果たして十分なのかを問い、若手世代を率いていかなくてはならない。そのためには、若者の組合への参画を強化するとともに、意義ある貢献をするための交流が必要である。技術革新により、私たちは膨大な情報を入手でき、物理的に参加できない仲間ともテクノロジーでつながりあえる。これらのテクノロジーも活用しながら、お互いに学び合い、青年の発言力を高めていこう」と力強く訴えた。

開催国のマレーシア加盟協(UNI-MLC)を代表して、モハメド・シャフィー・BPママル議長が連帯の挨拶に立ち、「第4次産業革命の時代に、青年は重要な役割を担っている。アウトソーシングの拡大、国境を越えた移民問題、児童労働、貧困等、青年に関わる重要課題が深刻さを増している中、青年こそが最大限関与し、社会的な変化に対処していかなければならない」と述べた。

クリストファー・ウンUNI Apro地域書記長は、「UNI Apro、変化のチャレンジに対応するため、労働組合を一新する」と題する基調講演を行い、「第4次産業革命の中で、雇用の非正規化はさらに進むだろう。多くの人が労働法の保護を受けられなくなり、格差が拡大し、組織化率も低下している。この変化に対し、抵抗するだけでは労働運動は前進しない。これらの状況を先読みし、最善の努力によって変化がもたらす影響にきちんと準備をしていかなくてはならない。今日のスピーチは、私が青年大会で話す最後の機会となる。青年の皆さんには、自らが困難な課題に対処していくのだというコミットメントが重要だ、ということを伝えたい」と述べた。

大会では、「2018~2022年度UNI Apro青年委員会アクションプラン」を決定するとともに、「組織化と青年の能力開発」や「第4次産業革命時代の変化の担い手としての青年」、「UNI Aproの中核的活動へ青年労働者を完全に統合させていくための包括的支援」等に焦点を当てたセッションが開催され、活発な議論を経て、各種動議が確認された。

UNI-LCJから3人がパネリストとして報告を行った。UAゼンセン・中川代議員は、若手組合員の組合活動への参画向上に向け、青年活動の広報誌への積極的な掲載や新入社員交流会を通じ、組合の認知度向上を図る等の取組み事例について、JP労組・飯澤青年委員は、全国にまたがるJP労組のユースネットワークの組織体制や青年による社会貢献活動について、情報労連・齋藤青年委員は、日本のクラウド・ワーカーやITエンジニアを取り巻く課題を共有し、彼らとの接点拡大に向けた情報労連の取組みについて報告した。

大会の最後に、UNI Apro青年委員会の役員選挙が行われた。東アジア、東南アジア、南アジア、オセアニアの4地区からそれぞれ指名された候補者が選出された。東アジアは日本の4人の委員(情報労連・齋藤委員、UAゼンセン・寺嶋委員、日放労・釘本委員、JP労組・飯澤委員)が再選され、東アジアを代表する副議長に釘本日放労副委員長が再選された。レイズ新議長(フィリピン加盟協・金融労組)のもと、新体制を確立した。

本大会で築き上げたネットワークを礎に、大会参加者が連帯して運動を前進させ、4年後の青年大会でその成果を持ち寄ることを誓い合い、2日間に渡る大会を終了した。


インドにおける労使パートナーシップの普及

2015年から開始した4年間の支援プロジェクトの最終年となるUNIインド加盟協との共同セミナーが、2018年11月18~19日、インドの首都・デリーで開催され、松浦UNI-LCJ議長を団長に9人の講師が参加した。インド側からは、ナドカルニUNIインド加盟協(UNI-ILC)議長、サンジーブ・ステートバンクオブインディア(SBI)労組書記長をはじめ、銀行労組、郵便労組、セキュリティ印刷労組、新聞労組、メディア労組、IT労連等から28人(うち女性5人)が参加した。

セミナー1日目(18日)は、日本人講師から日本の労働運動、格差是正の取組み、労使関係、組織化等について講義を行い、産業別グループに分かれてグループ討議を行った。

日本人講師からの講義

  • 松浦団長(UAゼンセン):「日本の労働運動の概要と今日的課題」
  • 松本講師(損保労連):「“⾮正規雇⽤社員の処遇向上(正社員との格差是正)”に向けた取組み」
  • 栗田講師(JP労組):「日本のパートナーシップ労使関係」
  • 浦講師(情報労連):「青年・女性の組織化」
  • 鈴木講師(自動車総連):「非正規労働者の組織化」
  • 甲斐講師(全信連):「日本の銀行部門におけるフィンテックと雇用への影響、仮想通貨の現状と課題」

グループ討論テーマ

  • 「労働組合の今日的課題」
  • 「家庭、学校、職場、社会における格差、不平等-格差是正、不平等をなくすため、労働組合はどのような役割を発揮できるか?」

社会パートナー対話セッション:「グローバル経済におけるインドの課題と労使による戦略的対応」

セミナー2日目(19日)午前中は、初の試みとして、インドでも模範的なパートナーシップ労使関係を築いているステートバンクオブインディア(SBI)から、アロック・クマール・チョードリーSBIデリー地区統括本部長、インド社会保障協会からプラビン・シンハ事務局長(元FESインド支部長)を招き、「グローバル経済におけるインドの課題と労使による戦略的対応」と題する“社会パートナー対話セッション”を行った。労働側代表として松浦UNI-LCJ議長、ナドカルニUNI-ILC議長、サンジーブSBI労組書記長がそれぞれの立場から意見を述べた。

SBIは、インド国内に約2万の店舗を持ち、銀行部門の利益の25%を占めるインド最大手の国営銀行である。パートナーシップ労使関係の長い歴史を持っており、今回は労使の協力を得て、特別に対話セッションが実現した。

アロック氏は、自由化が進展し益々厳しいグローバル競争に晒される困難な時代を生き延びるためには、労使双方が対立ではなく、市場競争力を高めるため、戦略的・建設的に協力し、イノベーションに対応し労働者への影響を配慮しつつ効率化を図っていくことが鍵となると力説した。

これを受けサンジーブSBI労組書記長は、労働者にとっても困難な時代を迎えており、雇用を守るためには毅然とした態度で臨むが、企業の発展に貢献するため、SBIの良き伝統である対話を軸とした労使関係を維持・強化していくと述べた。

シンハ氏は、現在のインドが直面する課題として、自由化・デジタル化の進展、社会保障の削減、インフォーマル経済及び格差の拡大、労働者の非正規化等を挙げ、企業が健全に存続するためには、労働者の能力開発と生産性向上を支える建設的な労使関係の構築・維持が欠かせないと述べた。

ナドカルニUNI-ILC議長は、UNIの下、サービス産業の労組が、政治・イデオロギー等、様々な違いを乗り越え結集する必要性を繰り返し強調した。国内外のUNI加盟組合とタイムリーな情報・経験交流を行い、UNI Aproや日本が推進するパートナーシップ労使関係構築を推進していきたいと述べた。

松浦UNI-LCJ議長は、日本の高度経済成長の鍵となった生産性三原則の労使合意、UAゼンセンの組織化の進め方、産業別労働組合の役割等について、実践的に分かりやすく紹介した。「枯れた井戸から水は汲めない」との諺を引用し、労働組合として最も優先すべきは「雇用を守ること=企業を存続させること」であり、労働組合も業績向上に向けて真摯に取組むことにより、ひいては企業の発展と労働条件の維持向上につながるとの考えを繰り返し示した。

インド側からは、「欧米の多国籍企業がハイデラバードに多く進出しているが、プロジェクトが終わると労働者を解雇することが多い。過労死も発生している。これに対してUNIや労組はどのように対応しているのか?日本にはこうした労働者を保護する制度はあるか?」、「移民労働者の問題に労組としてどう対応すべきか」という質問が出された。日本からは「経済成長のために、どのような産業の外資系企業を誘致したいか?」と質問する等、活発な質疑応答と意見交換が行われた。

アチャリャUNI Apro書記次長は、UNI Aproが推進する労使パートナーシップ協力の1つの手段として、多国籍企業とのグローバル枠組協定の締結と日本の実践事例を紹介した。

閉会式で、松浦UNI-LCJ議長は、「それぞれ状況は異なるが、雇用を守り、労働条件を良くすることは日印労組共通の課題だ。共にがんばっていこう」とまとめた。

ミリンドUNI-ILC議長は、UNI-LCJ講師陣の貢献に感謝し、インド人参加者に「日本から学んだことを各職場に持ち帰り、他の仲間に共有し組合活動に活かして欲しい」と激励した。また日本側には、「インドに進出する日本企業には是非グローバル枠組協定を締結して、日本の労使関係をインドに普及させてほしい」と期待して、閉会した。

この他、19日午後から20日にかけて、UNI-LCJ代表団は、銀行、郵便局、テレビ・ラジオ局等の職場視察と経営側との懇談、新聞労組役員との意見交換等を行い、インドの様々なサービス産業における労働環境、労使関係等についての理解を深めた。

 


第22回UNI世界執行委員会

第5回UNI世界大会で選出された、コルティナ会長、ホフマン書記長、ベシガー副書記長ら新体制で初の世界執行委員会が、2018年11月14~15日、スイス・ニヨンのUNI本部において開催された。日本からは、増田UNI副会長、野田UNI Apro会長、松浦UNI世界執行委員、金子UNI世界執行委員、宮井UNI世界執行委員、中村UNI世界執行委員(メディア部会選出)、オブザーバーが出席した。

主な議題は、第5回UNI世界大会・女性大会の振り返り、第6回UNI世界大会・女性大会(2022年)の開催地変更、2018~2022年度行動計画の実施状況と主な成果、デジタル化の影響に関する取組み経過報告、等であった。

UNI Apro地域の報告として野田UNI Apro会長は、シンガポールにあるUNI Apro地域事務所の法人化について経過を報告すると共に、2019年11月にカトマンズで開催予定の第5回UNI Apro地域大会は、リーダーシップ交代の歴史的大会になると述べた。世代交代の重要な時期であり、本部からの支援に感謝した。続いて、アチャリャ書記次長は、RCEP(東アジア地域包括的経済連携)にSAARC(南アジア地域協力連合)を加えた“SARCEP”(RCEP+SAARC。更に広域かつ前例のない成長のポテンシャルを秘め、グローバル経済にも大きく影響を及ぼし得る経済圏ができるだろうというUNI Aproの推測)への進化を視野に入れ、UNI Aproにとって、南アジアのまだ組合の無いアフガニスタン、モルディブ、ブータン等での組織化及び、SAARCとの対話に積極的に関与できるよう南アジアの労組の能力強化が重点課題だと述べた。ASEANにおける年次三者対話会議は9回目を数え、ASETUC(ASEANサービス労組協議会)はASEAN政府間人権委員会における労働組合を代表する唯一のパートナーとして認められている。このように、ASEANにおいてASETUCが長年とってきたソフトアプローチは成功しており、SAARCに対してもこのアプローチを採用していく。

世界執行委員会は、テレパフォーマンスへの「労働者の権利に国境無し」キャンペーン、カナダ郵便への抗議キャンペーン、コロンビアで医療介護労働者を弾圧している会社と政府への抗議キャンペーンに対する連帯支援を表明した。

 


UNIとUPU(万国郵便連合)、新しいグローバル協定に署名

クリスティー・ホフマンUNI書記長とビシャー・A・フセインUPU事務局長が2018年10月25日、スイス・ベルンのUPU本部で開催中の管理理事会の場でグローバル協定に署名した。

新しい協定では、郵便部門における持続可能な開発とイノベーションを強化するための、UNIとUPUの協力のアジェンダが盛り込まれている。また、世界の郵便労働者と国際郵便コミュニティーを強い絆で結び、将来的に強化していくことを約束している。

クリスティー・ホフマンUNI書記長は「郵便部門は、現在進行中のデジタル革命により数多くの課題に直面している。しかし本質的な問題の核心は変わらず、それはディーセント・ワークの権利である。UNIは、新しい労働の未来において、革新するための計画、特に郵便ではポテンシャルの高い雇用分野の拡大を歓迎する」と挨拶した。

「郵便部門は世界で最大の従業員である。そして社会における活発な構成員でもある。今回の協力では、各国の郵便オペレーターが職員にどのように仕事をさせるのかではなく、我々がコミュニティーに対してどのようなサービスを提供するかに焦点を当てている」とビシャー・A・フセインUPU事務局長は述べた。

新しい協定は郵便産業の労働者の価値を認め、UNIとUPUが郵便労働者のディーセントな労働条件を促進することに深くコミットすると強調している。

デーブ・ウォードUNI郵便・ロジスティクス世界議長は次のように述べた。「世界には60万もの郵便局があり、地球上の最果ての地域もカバーし、他に比類のない、人的なネットワークを形成している。このネットワークは郵便配達員や郵便内務職員の頑張り、そして、連携とイノベーションの精神によって形成されている。新しい協定は、職員そして私たちのコミュニティーのために郵便産業のスタンダードをおし上げることを約束し、業務を高く評価している」

「UPUは協力と連携を進めるために設立された。そしてUNIは、本協定の原則を実現するためにUPUとの協力に期待している」とコーネリア・ブロースUNI郵便・ロジスティクス部会担当局長は述べた。

UPUは国連の専門機関のひとつ。世界の郵便事業者間の協力を醸成し、真にグローバルな郵便のユニバーサルネットワークを確保している。

UNIはUPUとその加盟国に関する幅広いステークホルダー団体、UPU諮問委員会の活発な構成員で、毎年ベルンで開催される会議に出席し、規則、総務、法制、法律問題に関する活動や研究を監督している。


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