
医療管理、診断、患者ケアへの人工知能(AI)の導入が進む中、UNI加盟組織である韓国保健医療労組(KHMU)は、デジタル移行の在り方を決定する過程で労働者の声が反映されるよう取り組んでいる。
KHMUは 2026年6月26日、ソウルで政府関係者、病院経営者、労働組合指導者を一堂に集めたハイレベルな社会対話フォーラムを開催した。この画期的なイベントは、「医療分野における公正なAI移行のための労使合同作業部会」の正式発足を記念するものとなった。
AIを活用した医療技術の普及が進むにつれ、看護師、医療技術者、事務職員の仕事や業務体制が変化しており、雇用の安定性への懸念や、職場における役割と責任をめぐる混乱が生じている。KHMUは、技術による職の置き換えが実際に発生してから対応するのではなく、労働者と経営陣が共同で仕事の未来を形作るための枠組みを構築している。
チェ・ヒスンKHMU委員長は、「AI移行の真髄は、『公正な移行』でなければならない。技術変革の過程で、いかなる労働者も一方的に犠牲にされてはならない。労使が共同で、この移行の方向性とペースを決定しなければならない。テクノロジ―は人類のための道具であり続けなければならず、労働者を置き換える口実であってはならない」と強調した。
政府と雇用主が「対話4.0」を支持
新設された作業部会は、「対話4.0」というアプローチの下で活動しており、紛争が発生してから解決する姿勢から脱却し、労使共同による解決策の積極的な共同設計へと移行している。このアプローチは、政府と病院側の使用者双方から強い支持を得た。
韓国のキム・ヨンフン雇用労働大臣は、祝辞の中でこの取組みを支持し、「AIへの移行は、労働と人間の尊厳がこの変革の中心に据えられて初めて、持続可能な成長につながる」と述べた。そして、AI移行が雇用に与える影響を政府が積極的に監視し、脆弱な分野を保護するための『産業転換期における雇用保障のための国家基本計画』の策定を加速させることを約束した。
韓国病院協会、国立医療センター、および地方公立病院の代表者らも、このイニシアチブへの支持を表明した。使用者側は、AIを人員削減の手段としてではなく、第一線で働く医療従事者の過重な業務負担を軽減し、患者の安全性を向上させるための手段として活用すべきであるという点で合意した。
ロードマップと今後の取り組み
作業部会は、江原国立大学が主導する包括的な研究プロジェクトを委託しており、同プロジェクトは2026年11月まで実施される。この研究では、病院におけるAIの現状の導入状況を検証し、さまざまな医療職種における労働条件、専門的責任、法的責任への影響を評価する。
作業部会は、以下の3つの主要な取り組みを実施する:
- 研究: AIが雇用および労働条件に与える影響に関する詳細な調査を実施
- 公開セミナー: 意識向上と議論の促進を目的とした、月1回の全11回にわたるセミナーシリーズを配信
- グリーンペーパー: 共通の立場を策定するための支援として、様々な職種グループの労働者から意見を収集
この取り組みは2026年11月に集大成を迎え、作業部会は「医療部門における公正なAI移行のための労使共同ガイドライン」を提示する予定である。
ラジェンドラ・アチャリヤUNI Apro地域書記長はこの取り組みを称賛し、「KHMUによるこの画期的な取組みを誇りに思う。これは、強固な政策立案能力を持つ労働組合が、大きな変革の時代にAIの導入を形作る上で、いかに積極的かつ建設的な役割を果たしうるかを示している。適切に管理されれば、AIは労働を変革し、公共の利益に貢献する可能性を秘めている。しかし管理が不適切な場合、労働者を支援する持続可能な政策がなければ、労働者は職と生計を失う恐れがある。すべての人のための公正な移行を確保するためには、労働者が労働組合を通じ、意思決定の場に参画しなければならない。」と述べた。
(2026年7月15日)











