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UNI書記長、ダボス会議で労働者エンパワーメントの重要性を発信

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、ダボスで開催された今年の世界経済フォーラムで、「分断された世界の再建には、労働組合が不可欠」との緊急メッセージを発信した。

2023年1月16日、世界経済フォーラムが 1週間におよぶ 年次会合を開幕する中、反貧困を掲げる国際NGOオックスファムが、新たな報告書を発表した。その中では、UNI書記長の指摘が強調されている。オックスファムによれば、世界の上位1%の超富裕層は2020年以降に新たに創出された富のほぼ3分の2を占め、世界人口の残りの99%の人々の約2倍に相当する資産を獲得している。

ホフマン書記長は、「労働組合は、不平等の拡大という分断の根本原因に対する、欠くことのできない解決策だ。労働者の声を抑圧し、労働者が交渉の席に着くことを否定しているビジネスエリートには、世界の分断は解決できない」と指摘し、「今年のダボス会議では、ドイツの労働大臣や米国のマーティン・ウォルシュ労働長官など、団体交渉の果たす重要な役割を認識する声が多く聞かれた。企業がこうしたメッセージを聞き届けたと願いたい」と語った。

パネル討議『万人のための生活賃金』の中で、ホフマンUNI書記長は、数十年にわたる団体交渉への持続的な攻撃が、いかに富と権力の不均衡をさらに拡大させてきたかについて、論じた。だが、世界中の労働者は、前例のない反撃を開始している。また週4日労働制に関するパネルでは、同書記長は、どのような勤務形態が最も効果的であるかを決める上で、組合と交渉することの重要性を強調し、「万能薬の解決策」は存在しないとコメントした。

「今、集団行動や労働組合に対する人々の熱意は、私がこれまで経験してきた中で、最も高まっている。世界中の労働者が、仕事で致命的なウイルスに直面し、彼らの家族は世代を超えた生活費危機のただ中を乗り切ろうとしている。人々は正当な反応として、公平な分け前を要求している」と指摘した。

人々のこうした要求に反して、各国の中央銀行は金利の引き上げによって物価上昇に対応しており、経済を不況に陥れ、何百万人もの労働者を失業の危機にさらしている。例えば、欧州中央銀行総裁はダボス会議で、利上げ「継続」の方針を言明した。

ホフマン書記長は、「多くの労働者にとって、金利上昇の影響は、以前より賃金が目減りするのではなく、賃金がなくなるということ。一時的とみられるインフレに対抗するために不況のリスクを冒すのは、病気より悪い治療法だ」と述べ、「世界各国の政府は、企業の利潤追求や価格破壊を阻止するために規制の力を行使すべきであり、賃金に関する団体交渉を支援すべきだ」と語った。だが、もし不況に陥れば「不況の力は、尊厳と経済的正義を求めるこの願いを消滅させることはないだろう。むしろ、労働者は保護の強化を求めるだろう」と述べ、「つまり労働組合は、労働者の期待に応えるため、取組みを一層強化しなければならない。組織化を支援し、団体交渉を拡大しなければならない。ストライキを闘う労働者に国際的な連帯を示す必要がある。インフレを煽る企業が暴利を貪るのを止めるよう、声を大にしなければならない。投資家に対し、結社の自由や団体交渉の権利といった基本的人権を守る責任を果たさせる必要がある。我々は、企業がサプライチェーン全体を通して労働者に対して責任を負うよう、法制化を推進していかなければならない」と力説した。


「公的資金による公共調達の底辺へ向かう競争を止めよ」 欧州議会議員が欧州委員会に意見書

欧州議会議員が、公共調達の是正に関する公式質問書を、欧州委員会に提出した。どのようにして「労働条件における、公的資金を投入した底辺に向かう競争を止める」つもりなのか、明確にするよう同委員会に求めている。

5つの政治グループからなる60名の欧州議会議員が、公共調達とディーセントワークに関する欧州委員会への質問書に共同署名を行った。議員が提出した要請書は、欧州委員会が正式な回答を行う公式な機関プロセスである。

毎年、EU域内の各国政府や公的機関は、民間企業が提供する商品やサービスに2兆ユーロを支出している。この支出は本来、労働条件を改善する決定的な役割を果たしうるが、実際には多くの場合、底辺への競争に拍車をかけている。

現在、公共調達規則は、他のすべての考慮事項よりも価格を優先させる形で作られている。UNI欧州の調査では、EUにおける入札の半数は、EU公共調達指令にのっとり、最低価格であるという事実のみに基づいて発注されていることが明らかになった。このような状況下において企業は、労働者の基本的な団体交渉権を抑圧することで、労働条件を相互に切り崩す動機が与えられているのである。

質問書の中で議員は、UNI欧州が欧州委員会とEU議長へ送った公開書簡を参照し、欧州委員会に対応を求めている。この公開書簡は、160を超える欧州議会議員が、いかに労働者のための改善を求めているか(労働協約を結んでいない企業に公契約を与えない迅速な立法措置)を伝えるものである。

社会民主進歩同盟の雇用・社会問題委員会コーディネーターを務めるオランダのヨンゲリウス議員は、「公契約を発注する際、政府にとって最も価格の低いことのみが優先されるならば、企業は契約獲得のために労働条件を引き下げ、職場の民主主義を弱体化させるだろう。EU全体で、公契約の半分が何よりも価格を優先しており、このことが底辺への競争を助長している。こうした事態が生じないよう、欧州委員会は責任をもって公共調達指令を是正しなければならない」と述べた。

オリバー・レティクUNI欧州書記長は、「我々には、EUが労働者に対する責任を果たすよう、積極的に重要な働きかけをしている議員集団がいる。欧州議会議員が、その組織的な声を活用して公共調達の是正を推し進めているという事実は、この差し迫った問題の解決に向けた議員の取組みを示している。公的資金がソーシャル・ダンピングを助長している状況は、制度が労働者を失望させているということ。今こそ公共調達指令を是正する時だ」と、強調した。


韓国労組への強制捜査は、労働運動と民主主義に対する攻撃

2023年1月18日、韓国全国民主労働組合総連盟(KCTU)と韓国保健医療労組(KHMU)の事務所が、情報機関によって大々的な抜打ち強制捜査を受けた。韓国労働運動に対する恥ずべき攻撃であり、基本的な民主主義の原則に対する冒涜である。

UNIは、今回の強制捜査を非難し、韓国の労働運動への支持と連帯を改めて表明する。

組合は民主主義の柱であり、韓国の労働組合運動は、同国の経済正義を一貫して推し進めてきた。今回の強制捜査における国家情報院の不当な実力行使は、労働運動を抑圧し、威嚇しようとする試みでしかない。

KHMUは、組合の声を封じ込めようとする権力側の動きに抗戦することを表明している。韓国の労働運動は孤立していない。UNIと世界中の加盟組織は、KHMUやKCTUとともに、働く人々に対するこの攻撃に立ち向かっていく。

KHMUの声明は以下―

1月18日の朝、国家情報局が我々の事務所に踏み込み、強制捜索を行った。 我々は、労働運動に対する公安警察の弾圧を強く非難し、徹底的に闘う。
●労働運動に対する公安警察の弾圧を強く非難する。
●国家情報院は18台もの警察バスと数十人の警察官を動員して保健医療労組の事務所に押し入り、午前9時から12時半まで3時間以上にわたり、家宅捜査と差し押さえを行った。
●保健医療労組が弁護士の立会いのもと、捜索・差し押さえに協力する意思を表明したにもかかわらず、数十人の捜査官と警察官を動員して威圧感を与えるような捜査が行われた。
●てのひらで空は隠せないのであり、我々は標的を定めた治安維持策動に決して屈しない。公安警察による労働運動への弾圧を強く糾弾し、断固としてこれに立ち向かう。


欧州労使協議会をめぐり、重要な投票

欧州議会では、欧州労使協議会(EWC)指令の改正に関する立法イニシアチブ報告書の採択を行う。UNI欧州は他の姉妹組織とともに、欧州議会議員に対し、この報告書の支持と採択を呼びかけている。

欧州労使協議会は極めて重要な存在であり、多国籍企業の戦略的意思決定プロセスに労働者を関与させることが、その目的である。こうした機構が適切に実施されれば、労働者の権利を保護し、企業や公共サービスの長期的な持続可能性を確保し、変化を公正に予測・管理する上で重要な役割を果たすことができる。デジタル化、脱炭素化、ウクライナ戦争やエネルギー価格危機の産業への影響など、事実上国境を越える性質の課題に取組むには、欧州労使協議会レベルでの対話が不可欠である。職場の民主主義は、社会における民主主義の道を拓くものでもあり、ポピュリズムや極右政治思想が台頭する今般、その必要性はますます高まっている。

だが実際には、労働者の情報、協議、参加に関する欧州法の文言と精神が常に遵守されているわけではなく、経営陣による不遵守を阻止する上で十分に効果的かつ強力な制裁措置がとられているわけでもない。現在、数十億規模の収益をあげる多国籍企業がEWCの権利を侵害した場合、労働者1人当たり23ユーロ(マルタ)または30ユーロ(リトアニア)といった低額の罰金が設けられている。EWCの基本的な権利の行使は、法廷でEWCの権利を守ることが多くの場合ほぼ不可能なままとなっており、課題である。

デニス・ラトケ議員の報告書は、法的枠組みの実施強化を求めており、情報と協議の要件が無視された場合の経営判断の一時停止を含む適切な制裁措置などの基本的要件と、国境を越える事項の明確な定義、そしてEWCや特別交渉機関(SNBs)が効果的に司法にアクセスできるようにすることを求めている。この報告書は、労働組合の支援がEWCの運営にプラスとなっていることを示す複数の調査結果を基に、労働組合専門家によるEWCに対する支援も奨励している。

欧州議会での投票は2023年1月19日に実施予定であったが、延期されている。UNI欧州は、この投票と重要法案の成立を確信している。


ブラジルの民主主義に対する攻撃を糾弾する

世界2000万人以上の労働者を代表し、UNIおよび加盟組織は、2023年1月8日に、テロリストとボルソナロ前大統領の極右支持者によって行われた、ブラジルの首都ブラジリアでの政治的暴力行為と公共財の破壊行為を激しく糾弾する。これはブラジルの民主主義に対するあからさまな攻撃であり、近年世界中で頻繁に見られる選挙結果の拒否と民主主義制度の弱体化という傾向に、またひとつ不名誉な事態が加わることとなった。

我々は、連邦直轄区政府、その治安部隊および軍警察司令官の責任を問うという要求を全面的に支持する。また、このような反民主主義的なテロ行為を許容し続けている国内権力者の共謀関係を非難し、ルーラ氏を大統領に選出した6000万人のブラジル人の民意を無視したこれらの行為に参加、指導、資金提供したすべての者に対し、法の完全適用と適切な処罰および制裁を要求する。

我々は、ブラジルの加盟組織を引き続き支援するとともに、社会の最貧困層への支援、労働権の尊重強化、環境保護に向けてルーラ政権が推進するすべての取組みに対する支援を強化する。

ブラジルの人々、特に貧困層および労働者は、2016年のクーデター以降、大きな被害を受けてきたのであり、ブラジルが国家再建とその対外的イメージを再構築していくプロセスにおいて、公然と混乱を生み出すような行動をとる余地などないのである。

UNIはすべての当局に対し、民主主義と民主的に選出された政府を尊重するよう求め、ブラジルと世界における我々の権利と自由を守るために行動を続けていく。

クーデターは二度と許さない!


第21回UNI-LCJユース英語セミナーを開催

UNI-LCJは、「2019~2022年度UNI-LCJアクションプラン」に掲げた「国際労働運動に参加する青年・女性メンバーを更に増やす」という目標に基づき、UNI-LCJユース英語セミナーを継続開催してきた。2006年から過去20回に渡り、合宿型の英語セミナーを開催し、のべ600人以上が参加してきた。2020年はコロナ禍により実施を見送り、2021年はオンライン開催となった。今年は当初、対面でのセミナー開催を検討していたが、企画段階でコロナ収束が予測できなかったため、前年同様、引き続きオンラインにて半日の開催とした。

参加者・講師等

  • 5組織(情報労連、UAゼンセン、自動車総連、大日本印刷労組、JP労組)から9人(男性5人、女性4人)
  • UNI講師:フィリピンよりミシェル・ベリーノUNI Apro青年委員会担当部長/メディア部会担当部長、インドよりキマヤ・ウキタブUNI Apro青年委員会副議長(バローダ銀行労組)、インドネシアより、ガディス・レズマナUNI Apro青年委員(ASPEK)
  • UNI-LCJ事務局3人 ※事務局の特別アシスタントとして、過去にも同セミナー講師を務めたトム・シューマッハ氏が参加。

プログラム

冒頭、石川議長より動画で激励の挨拶を受けた。続いて、全参加者が2グループに分かれ、自己紹介を行うとともに、今回の目標を語り、セミナー中のニックネームとグループ目標を決めた。

続いて、3人のリソースパーソンが行ったプレゼンテーションについて、グループに分かれてディスカッションの時間を持った。その後、グループの代表者が全体セッションで自分のグループで出た意見について報告した。

・ミシェル・ベリーノUNI Apro青年委員会担当部長は、UNIやUNI Aproの取組み、青年委員会による組織化やスキル開発などの取組み、フィリピン加盟協の社会運動組合主義について説明した。

・ガディス・レズマナUNI Apro青年委員は、自身の所属するASPEKの組織構成や青年活動、慈善活動などについて報告した。またインドネシアの育児休暇や、青年層における組合の認識など、課題についても指摘した。

・キマヤ・ウキダブUNI Apro青年委員会副議長は、インドの多様性を言語や宗教、民族等の点で説明するとともに、インドの全人口の66%が35歳以下の青年層であると強調した。その後、バローダ銀行従業員労連による青年層の組織化の取組みや研修活動などについて紹介した。  

グループワークでは、「政治活動など重たいイメージがあり、青年の間でポジティブな印象はない」との意見が出る一方で、「若い人にもっと政治に興味を持ってもらうため、新しい形の活動も必要」等の意見が出され、また「インドやインドネシアの育児休暇は父親も取得できるのか?」等の質問が出るなど、参加者は英語に苦労しつつも、積極的に自分の意見や気持ちを伝えようと挑戦する姿が見られた。最後にUNI講師から総括を受け、4時間英語漬けというハードなセミナーを終了した。


グリーンとデジタル:欧州で双子の移行プロジェクト

グリーンとデジタルの双子の移行は、EUの優先課題として認識されている。「欧州社会権の柱」アクションプランの中では、「社会対話、情報、協議、そして様々なレベル(企業や産別を含む)における労働者と労働者代表の参加は、特に進行中の2つの移行と仕事の世界の変化を視野に入れ、経済の移行を形作り、職場の革新を促進する上で、重要な役割を果たす」と説明されている。

これを実現するため、UNI 欧州は、EUから資金を得た 2年間の プロジェクト「双子の移行を実現する:商業部門における2つの移行に関する社会対話の強化方法」を立ち上げた。このプロジェクトの一環として、商業部門におけるグリーンおよびデジタルの移行をどのように形成するかについて、組合に対する指針と提言を盛り込んだツールキットを作成予定である。

またこのプロジェクトは、2つの移行が、新たな雇用機会、生産性の向上、労働条件の改善、新たな業務編成など、労使に明確な利益をもたらすようにすることを目的としている。

このプロジェクトでは、イタリア、ハンガリー、スウェーデン、オランダの4つの対象国に焦点を当てているが、2024年に完成予定のツールキットは、すべての欧州加盟組織、社会パートナー、商業部門の主要ステークホルダーを対象とし、使用者、労働者とその代表者を動機付け、指針となって支えるものとなる。

2022年10月24日に開催されたプロジェクト運営グループの第 1 回会合に続いて、UNI欧州商業部会加盟組織に対するオンライン調査が間もなく開始する。調査では、2つの移行を扱う社会対話と団体協約に関するこれまでの事例、課題、戦略に関して、情報提供を求める。調査結果は、専門家の政策報告とともに、2023年春に予定されている対象国における一連の国内ワークショップにおいて、概要報告書として示される予定だ。ワークショップでは、参加者は優良事例を共有し、ツールキットの原案作成に必要な情報を提供していく。

プロジェクトの活動は、グリーンおよびデジタルの移行がもたらす仕事の世界におけるリスク、機会、課題について、使用者、労働者とその代表の意識を啓発し、理解を向上させることにつながるだろう。同時に、このプロジェクトの重要なメッセージは、今後の政策決定プロセスにおいて 社会対話は 不可欠な要素であるということだ。


リモートワーカーの権利を守るには、グローバルな解決策が必要

OECDのグローバルディール・フォーラムの中で行われた「ポストコロナの仕事の世界におけるテレワークに関する取組み:社会対話の役割」と題するハイレベルパネルにおいて、クリスティ・ホフマンUNI書記長は、リモートワークという新たな現実に対応するためには、団体交渉の拡大、社会対話の改善、雇用法の強化が明確に必要であると指摘した。

ホフマン書記長は、すべての在宅勤務の形態が一様ではないことを踏まえ、十分なスペースと人間工学に基づいた家具、安定したインターネットを備え、比較的快適かつフレキシブルに在宅勤務ができる従業員もいるが、他方で、コロンビアやフィリピンのような国では、例えば低賃金で不安定な仕事であるコールセンター業界では、フルタイムでリモートで業務を行う労働者も存在すると指摘し、「組合や団体交渉があるところでは、あらゆる種類のリモートワーカーの状況に進展が見られるが、大多数を占めている組合のない労働者には、深刻な問題が残っている」と、強調した。

11月中旬にUNIは、25か国のリモートワークに関する約120の団体協約のデータを分析し、公表する予定だ。この報告書では、パンデミック時に爆発的に増加したリモートワークに対し、世界中の組合が確固たる対応をとってきたことが示されている。つながらない権利など、ますます普遍的になっている課題もあるが、他方で、DVや監視など、労働組合の交渉として新たな分野も浮上して生きている。

同書記長は、「つながらない権利にどのように対処するか、使用者はどのように安全なリモートワーク空間を確保するか、監視が労働者の心理社会的な健康に与える影響は何か、カメラやアルゴリズムによって収集された労働者のデータを誰が管理するか、などの課題がある。これらに加え、ジェンダー平等への取組みや、若い労働者が必要な指導を受けられるようにする取組みも必要」と指摘し、「こうした問題には、グローバルな解決策が必要だ。 新しい仕事の世界とはどのようなものか?という問いに答えるためには、規制、結社の自由、社会対話が必要」と訴えた。

ホフマン書記長の指摘は、ヌールディン・タブビ・チュニジア労働総同盟(UGTT)書記長をはじめとする他のパネリストからも支持を得た。タブビ書記長は、チュニジアのリモートワーカーに対して、より公正な成果をもたらす社会対話における組合の役割について、詳しく説明した。また、BNPパリバのスペイン統括責任者であるセシリア・ボネッド氏は、欧州労使協議会や組合と協力し、より広範なデジタル化の一環としてリモートワークを導入していることを説明した。


「労働者の声に耳を傾けよ」:ローマから呼びかけ

2022年10月上旬、イタリア労働総同盟(CGIL)本部へのファシストによる襲撃から1年を迎え、何千人ものデモ隊がローマの街頭に結集した。デモ参加者は、イタリアや欧州各国の政策決定者に対し、労働者のニーズに耳を傾けるよう求めた。

労働者が提示した10項目の要求の中でも、生活費危機に対処するための団体交渉の強化と公正な税制、そしてイタリアにおける不安定な状況に対処し、社会保障と公共サービスを強化することは、特に優先課題だ。ここには、公共契約や民間企業への補助金に対する社会的条件の導入も含まれている。

UNI欧州は、デモ行進に加わるとともに、集会「労働者の権利と民主主義のための反ファシスト国際ネットワーク」にも参加した。オリバー・レティクUNI欧州地域書記長が講演を行い、極右グループによる分裂を煽る企てを阻止するための、欧州各地の労組の戦略・戦術について、洞察を語った。

マリア・グラツィア・ガブリエリFILCAMS書記長は、「改めて仕事を中心に据えたプロジェクトが必要だ。不安定な状況との闘い、そしてより良い労働条件や尊厳ある賃金も必要だ。この国に別の未来を切り開くということは、若者、女性、そしてすべての働く人々に展望と未来を与えるということだ」と訴えた。

レティク地域書記長は、「ローマの街頭から、欧州全体に向けて、働く人々は警鐘を鳴らし、尊厳を要求している。生活費の危機は、多くの人々を深刻な経済難に陥れている。労働者を主役に据えることで、この問題に取り組まなければならない。団体交渉はその解決策だ。今こそ、職場の民主主義を強化するための行動を起こすべき時だ」と力強く呼びかけた。


第9回UNI Apro東アジア労組フォーラム (2022年10月13~14日、台湾(ハイブリッド開催))

第9回UNI Apro東アジア労組フォーラムは、2022年10月13~14日、台湾においてハイブリッド開催された。日本、韓国、台湾、香港、モンゴルより述べ約200人が参加した。日本からは14組織73人(うち女性26人、女性参加率38%)が参加した。前回(2019年)、デモの影響で参加できなかった香港が参加し、モンゴルも前回に続き2回目の参加となった。

「東アジアにおけるポストコロナ時代の新たな課題と労働組合の対応」というスローガンの下、「ポストコロナの労働安全衛生と組合の対応」、「ポストコロナで加速するデジタル化に対応した人材育成と組合の対応」、「ポストコロナの職場におけるハラスメントと組合の対応」というテーマで、各国が取組みを共有した。

 開会冒頭、ホスト国を代表し、ウー・ウェンフォン中華郵政労組(CPWU)委員長および、来賓としてワン・アンバン台湾労働省副大臣より歓迎挨拶を受けた。石川 幸德UNI-LCJ議長は、ウー委員長をはじめ、台湾の準備ともてなしに感謝した。そしてラジェンドラ・アチャリャUNI Apro書記長就任後、初めての開催となること、また、香港およびモンゴルから再び参加を得ることができた。3年ぶり開催となる今フォーラムの成功を祈念すると述べた。また松浦 昭彦UNI Apro会長は、特に「仕事の世界における暴力及びハラスメントの撤廃に関するILO190号条約」に関するテーマが本フォーラムで初めて取り上げられることを強調し、東アジアでは同条約の批准に至った国はなく、批准に向けた各国の取組みなどを共有したい旨述べた。この他、クリスティ・ホフマンUNI書記長、ユン・チャンヒョンUNI-KLC議長(韓国)、チェン・ライハUNI-HKLC議長(香港)、オユンバヤール・チェルテムドルチUNI-LCM議長(モンゴル)から連帯挨拶があった。

 アチャリャUNI Apro地域書記長は「アジア太平洋地域におけるポストコロナ時代の新たな課題と労働組合の対応」と題した基調講演において、ポストコロナ時代は対面接触の仕事やリモートワークと出勤との複合的な仕事形態、Eコマースの需要増加がある。雇用形態は複雑化することが予測され、労働組合の関与が不可欠である。新たな課題に対応するため、労働組合は有識者とも連携して組合の影響力を強化すべきだ」と述べ、日本のロビー活動や政策提案などの事例を挙げて強調した。また各国と連携して、青年や女性の地位を高める取組みも継続して行っていく旨述べた。

 続いて、「ポストコロナの労働安全衛生と組合の対応(サブテーマ1)」の冒頭、ホフマンUNI書記長より「労働安全衛生を「人権」に:新たな働き方に伴う新たな労働安全衛生課題に対するUNIの取組み」と題する特別報告を受けた。ILO労働安全衛生の基準の説明やサービス部門での安全衛生、ケア部門のメンタルケアの重要性など事例を挙げて説明し、「労働安全衛生は世界中どの国でも課題になっておりUNIは重要視している。来年開催するUNI世界大会でもテーマに取り上げる。我々が結束することにより、新たな問題解決方法を見つけていきたい」と述べた。

★討論のポイント

サブテーマ1:「ポストコロナの労働安全衛生と組合の対応」

(1)リモートワークにおける労働安全衛生の課題と組合の対応

  • 日本(辻 耕平 情報労連中央執行委員): 2点の課題、①「つながらない権利」は、日本において働き方をめぐる大きなテーマであり、海外での事例も参考にしながら当該企業労使の対応を強化していくことが必要である。②「AIによる労働監視の課題」は、日本でのAI活用は積極的な社会実装を進めようとしているが、データに関するルール制約などがAI利活用を阻む要因となっており、法的拘束力のある横断的な規制は不要との政府の考え方がある。労働分野におけるAI導入については、「事前の労使協議の徹底」や「従業員への同意確認」などを担保することが重要であり、論理的側面からの法整備について政策アクションを行っていきたいと報告した。
  • 韓国(キム・ジョンウ 韓国事務金融労連(KFCLU)オラクル韓国労組委員長):在宅および遠距離勤務、アルコリズム、災害保険などポストコロナの労働組合の対応を報告し、組織化や対面相談など在宅勤務での労組対応の難しさを説明した。
  • 台湾(チャン・フーチ 台湾金融労連(TFFU)委員長):コロナ禍における職場の安全や長時間労働、交代勤務などの労働安全衛生の状況を説明し、メーデーを活用した組合の対応など報告した。

(2)エッセンシャルワーカーの労働安全衛生の課題と組合の対応

  • 日本(坂根 元彦 JP労組中央執行委員):安全衛生の取組み、長時間労働および時間外労働の取組み、感染症対策について報告した。また無人搬送車・搬送ロボットAGV(Automatic Guided Vehicle)の導入を紹介し、郵便・物流の自動化進展の影響を報告した。
  • 韓国(ソン・クミ 全国保健医療産業労働組合(KHMU)書記長):感染対策、長時間労働などのストレス、交代勤務などの保険医療産業の現状と、政府や産業別交渉などの労組の対応報告をした。
  • 韓国(チュン・ハナ 韓国サービス労連(KFSU)政策局長):小売店の休業義務の現状と制度を説明し、休業義務の制度は変更せず、現行を維持しながら多様な意見をとりまとめる方針の政府に対して、政府HPや抗議の公文書などで意見表明をしている報告をした。
  • 台湾(ジャオ・リンユ 嘉義医療財団法人関連企業組合(CYCHCU)委員長):医療現場の現状を説明し、感染リスクの低減や適切な報酬など必要であり、組合は医療スタッフの感染リスクの低減を主張していると報告した。

サブテーマ2:「ポストコロナで加速するデジタル化に対応した人材育成と組合の対応

(1)各国・各産業におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の現状と課題

  • 日本(村上 瑞紀 自動車総連国際局部長):オンラインによる販売および商談、顧客がHPやSNSから情報を入手し購入の意思を固めてから来店する形態のマーケティング、電子制御車両や電気自動車増加による点検・整備のデジタル化の現状を紹介し、それぞれの課題を報告した。
  • 韓国(パク・ホンベ 韓国金融労組(KFIU)委員長):非対面金融サービスの拡張による店舗閉鎖の加速化などで発生した雇用縮小、業務負担の増加、金融消費者保護の弱体化等の問題点を挙げ、労働組合の取組みを説明した。
  • 台湾(リン・イーフン 中華郵政労組(CPWU)国際局長:DXの課題を業界別に挙げ、労働組合は、新たなテクノロジーは、より価値の高い生産的で創造的な仕事に集中できる職場環境になることを望んでいると説明した。また建設中のポスタル・スマートロジスティクス・パーク(物流オペレーションセンター)の紹介とその特長を説明した。
  • 香港(チェン・ライハUNI-HKLC議長):デジタル技術が全面に押し出され社会機能が維持することが可能になった反面、課題も多い。限られた資金の中小企業やデジタル技術を持たない労働者など。教育の在り方、技術分野に進出するのはまだ困難な女性など、デジタル技術の関心を高めていく必要性を説明した。

(2)DXに求められる人材育成と組合の役割(雇用の安定、リスキリングなど)

  • 日本(須齋 弥緒 損保労連事務局次長):技術革新が進む現状で、「人」ならではの付加価値を生み出す環境整備(雇用の安定)および「人への投資」の重要性やリスキリングの更なる拡充(人材育成)が重要であるとし、その取組みを報告した。
  • 韓国(キム・オクラン 医療産業労組(FKMTU)教育担当部長):非対面診療を充実させるため、デジタル医療の技術開発を進めており、労働組合として、デジタル技術に対応する人材育成を行っている旨述べた。
  • 台湾(ハミルトン・チェン 公共テレビ労組(PRTSFEU)執行委員:公共テレビ放送の現状を説明し、労働組合としては非デジタル業務をDXの方針に合わせて従業員の教育・研修を行い、働き方改革をする。また人材開発への転換や賃金体制の構築に取組みたいと述べた。

サブテーマ3:「ポストコロナの職場におけるハラスメントと組合の対応」

(1)職場における暴力の実態とILO第190号条約批准に向けた各国の取組みについて

  • 日本(桐田 真弓 全労金書記次長):法律を上回る「禁止」を盛り込んだ「労働金庫業態におけるあらゆるハラスメントの禁止ガイドライン」の策定と取組みを報告した。ILO第190号条約をどう具現化するか、①ハラスメントは人権問題である、②業務に関わる全ての人を対象とする、③全ての場所・ツールを対象とすることを盛り込んだものである旨報告した。
  • 台湾(リー・ハンチー 中華電信労組(CTWU)国際局長):反職場暴力・ハラスメント機構の構築や男女雇用平等法、ジェンダー平等教育法、セクハラ防止法など、CTWUと中華電信の連携した取組みを報告した。
  • 香港(キャロル・チャン 小売商業被服一般労組(RCCIGU)委員長):ILO190号条約について、中国返還前はイギリス政府によりILO条約を批准していたが、現在は中国の一部であり、国連人権報告書によると中国は条約に批准しないと思うと説明した。

(2)ハラスメントや暴力の撲滅に向けた組合の取組み

  • 日本(中島 麻紀子 生保労連中央副執行委員長):「職場におけるジェンダー平等」および「ワーク・ライフ・バランスの実現」を中期取組み方針とし、ハラスメント対策の強化は、双方の取組みの柱として位置付けている。組織としての取組み紹介や、法改正の動きを踏まえたハラスメント防止に向けた対応を強化する必要性がある旨述べた。
  • 日本(佐藤 宏太 UAゼンセン流通部門執行委員):厚生労働省に働きかけた結果、2022年度に厚生労働省「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」が完成した。秋田県での事例やUAゼンセンの活動を紹介し、産別を超えた取組みが推進されるよう連合とも連携しながら進めたい旨報告した。
  • 韓国(オ・スジョン 韓国郵政労組(KPWU)委員長):職場内のパワハラやいじめ根絶に向けて、2022年2月、「労使合同パワハラ根絶宣言式」を開催し、毎月11日を相互尊重の日として、パワハラ改善に努力することを説明した。
  • 台湾(パトリシア・フン 公共テレビ労組(PTSFEU)):セクハラ、パワハラの事例をそれぞれ挙げ、前者は『ジェンダー平等委員会』を立ち上げて会議を行い、申立て後2か月で解決するよう対応しており、後者は現状明確なルールがないので今後は策定していきたいと説明した。

閉会では、ハン・シーフェン 台湾金融労組(TFFU)書記長より統括があり、フォーラムのまとめとして共同宣言を採択した 。次回、第10回フォーラムは、2023年、日本で開催する予定。

【司会者】

  • 開会/基調講演:(台湾)ロー・フェジュ 中華郵政労組(CPWU)書記長
  • サブテーマ1:(日本)古賀 初代 印刷労連 副中央書記長
  • サブテーマ2:(台湾)チア・パオリン 中華電信労組(CTWU)委員長
  • サブテーマ3:(韓国)カン・ヨンベ 保険医療労働組合(KHMU)情宣部長
  • 閉会:(台湾)ウー・ウェンフォン 中華郵政労組(CPWU)委員長

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