
OECDのグローバルディール・フォーラムの中で行われた「ポストコロナの仕事の世界におけるテレワークに関する取組み:社会対話の役割」と題するハイレベルパネルにおいて、クリスティ・ホフマンUNI書記長は、リモートワークという新たな現実に対応するためには、団体交渉の拡大、社会対話の改善、雇用法の強化が明確に必要であると指摘した。
ホフマン書記長は、すべての在宅勤務の形態が一様ではないことを踏まえ、十分なスペースと人間工学に基づいた家具、安定したインターネットを備え、比較的快適かつフレキシブルに在宅勤務ができる従業員もいるが、他方で、コロンビアやフィリピンのような国では、例えば低賃金で不安定な仕事であるコールセンター業界では、フルタイムでリモートで業務を行う労働者も存在すると指摘し、「組合や団体交渉があるところでは、あらゆる種類のリモートワーカーの状況に進展が見られるが、大多数を占めている組合のない労働者には、深刻な問題が残っている」と、強調した。
11月中旬にUNIは、25か国のリモートワークに関する約120の団体協約のデータを分析し、公表する予定だ。この報告書では、パンデミック時に爆発的に増加したリモートワークに対し、世界中の組合が確固たる対応をとってきたことが示されている。つながらない権利など、ますます普遍的になっている課題もあるが、他方で、DVや監視など、労働組合の交渉として新たな分野も浮上して生きている。
同書記長は、「つながらない権利にどのように対処するか、使用者はどのように安全なリモートワーク空間を確保するか、監視が労働者の心理社会的な健康に与える影響は何か、カメラやアルゴリズムによって収集された労働者のデータを誰が管理するか、などの課題がある。これらに加え、ジェンダー平等への取組みや、若い労働者が必要な指導を受けられるようにする取組みも必要」と指摘し、「こうした問題には、グローバルな解決策が必要だ。 新しい仕事の世界とはどのようなものか?という問いに答えるためには、規制、結社の自由、社会対話が必要」と訴えた。
ホフマン書記長の指摘は、ヌールディン・タブビ・チュニジア労働総同盟(UGTT)書記長をはじめとする他のパネリストからも支持を得た。タブビ書記長は、チュニジアのリモートワーカーに対して、より公正な成果をもたらす社会対話における組合の役割について、詳しく説明した。また、BNPパリバのスペイン統括責任者であるセシリア・ボネッド氏は、欧州労使協議会や組合と協力し、より広範なデジタル化の一環としてリモートワークを導入していることを説明した。