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チリの民間ケア部門労働者、「休息権」を獲得

2023年2月上旬、チリの民間ケア部門の従事者が、歴史的な勝利を収めた。パンデミック中、休む間もなく業務に従事し続けたことが認められ、「回復のための休息」の権利を獲得したのだ。この法律により、民間の医療・介護・薬局従事者は14日間の休日を取得できるようになる。UNI加盟組織であるFENASSAPが支援したこの法律により民間部門の労働者に14日間の休日が付与され、3年間にわたって使用することができる。

COVID-19パンデミックのため、チリのケア部門では数百万人の労働条件が悪化した。2021年には、パンデミックの過酷な経験を経て、公共のケア部門の労働者に「休息権」を付与する法律が成立した。しかし、この法律では同様に厳しい状況の中で働いていた民間部門の労働者が除外されたのである。

以来、FENASSAPは民間部門の組合員にも休息の権利が与えられるよう尽力し、継続的な働きかけの結果、今回、民間部門の労働者にも同等の権利が与えられることになった。

この法律により、ストレスが多く不安定で危険なパンデミックの中で働いてきた何千人もの労働者のメンタルヘルスが改善されるだろう。

グロリア・フローレスFENASSAP委員長は、「この法律は、パンデミックの間、信じられないほどのストレスとトラウマを抱えながら働いてきた人々の精神面での打撃を回復するために極めて重要だ。今回の勝利は、元の法律から不当にも除外されてきた民間労働者にとって正義だ」と強調した。

メンタルヘルス、人員不足、ストレスは、世界中のケア部門の労働者にとって重大な問題であり、この法律は、強力な組合があれば、労働者はその労働に値する休息、経緯と尊厳を得ることができるということを証明している。

また、この法律の重要な点は、医師、看護師、事務職員、清掃・衛生スタッフに至るまで、診療所、薬局、その他の介護医療関連施設で働くすべての労働者を含んでいることだ。

エイドリアン・ドゥルチUNIケア部会担当局長は「この勝利は、組合の取組みと連帯が変化をもたらすことができることを示している」と祝福し、「チリのケア部門の労働者の歴史的勝利を実現するため、議会で、そして全国的な動員をはかって街頭で取組みを展開してきた加盟組織FENASSAPと共に歩むことを、誇りに思う」と語った。


ネパールのマンモハン記念医大・教育病院で団体協約

300の病床と約500人の労働者を擁する教育機関であるマンモハン記念医科大学・教育病院が、最近、組合結成に向けた取組みで重要な節目を迎えた。労働者は過去10年、労組結成に向けて活動してきたが、反組合主義者の経営陣の抵抗に直面してきた。こうした状況の中でも取組みを続け、また医療労組UNIPHINからの絶え間ない支援の下、2022年についに組合登録を果たした。

重要な合意事項の1つは、労働者の昇給に関するものだ。労働者は、レベル0~6では3000ルピー、レベル6~8では2000ルピー、レベル9以上では1000ルピーの昇給を受ける。さらに労働者には正式な辞令が交付され、5年以上勤務した労働者は、自動的に昇格する。通勤手段も団体協約の主要な論点であり、経営陣は労働者の自宅から職場までの往復の交通手段を提供することに同意した。夜勤者には夜勤手当として150ルピーが支給される。また必要な場合には、前払い賃金の受け取りも可能となる。

団体協約のもう一つの重要な点は、男女の労働者の出産休暇について合意したことだ。女性労働者には60日間、男性労働者には9日間の出産休暇が与えられる。また、家族が死亡した場合、葬儀のための休暇が必要となるため、労働者は経済的支援を受けられるようになる。また、団体協約には、労働者がSSF(ストライキ解決フォーラム)に訴える前に経営陣とあらゆる問題について話し合うことができる条項も含まれており、組織の成長に応じて2年ごとに昇給が行われる。経営陣はまた、差別のないより安全な労働環境づくりに取組み、研究室と放射線管理部門の労働者には危険手当として500ルピーが追加支給となる。

ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長は、「これはUNIPHINとマンモハン記念医科大学・教育病院の労働者にとって大きな勝利だ。ネパールの労働者の権利強化に向けた勝利の一歩となる、この団体協約を歓迎したい」と述べた。

シヴァ・KC委員長は、「組合が団体交渉で合意したことの多くは、我々の10年にわたる努力の成果だ。当院の労働者の権利のために闘い続け、他労組にも支援と連帯を示していく」と決意を語った。


UNI欧州ケア部会:介護部門における暴力とハラスメントに取組む

2022年11月下旬、ポーランド・ワルシャワでUNI欧州ケア部会大会が開催され、介護施設や在宅介護の労働者が直面している暴力やハラスメントへの対処が主な議題の一つとして議論された。

介護労働者に対する暴力やハラスメントの増加の要因のひとつに、労働力不足と離職率の高さがある。これは UNI欧州ケア部会の「RETAINプロジェクト」でも明らかになっている。 人手不足はサービス提供の低下につながり、最終的には介護利用者と介護労働者の双方にストレスを与えることになる。そのため、「RETAINプロジェクト」では、UNIケア部会の加盟組織が各国政府にILO第190号条約を批准するよう働きかけることを、提案してきた。

介護労働者の95%が女性であり、その多くが移民や有色人種であるため、組合は労働者の問題に取組む具体的な措置を策定する必要がある。そのため、UNI欧州ケア部会は、EUが資金提供するプロジェクト (VS/2021/0041)の一環として、UNI機会均等局と連携して今大会に臨んだ。

大会の中でアメル・ジェメイルUNI欧州機会均等部長は、EU加盟国全体でのILO第190号条約の批准に向けたUNI欧州のキャンペーンと、EUレベルで指針を策定する必要性について、説明した。

討議の中で、ポーランドの介護施設職員は、施設利用者の間でアルコール依存症が蔓延していることに触れ、酒に酔うと、職員に唾を吐きかけ、侮辱し、身体的に攻撃することさえあると言及した。また、ポーランドのケア部会加盟組織OPZZ-KPのバーバラ・ドール氏は、虐待は身体的・心理的なものであると述べた。

また、欧州各地から集まったケア部会の代表者は、在宅介護労働者が利用者宅でどのような暴力やハラスメントにさらされ、何の保護も受けられないまま放置されているかについて議論し、ある参加者は、移住してきた住み込みの介護士が、夜中に利用者が部屋に入ってくるので、モップでドアを塞がなければならなかった状況を紹介した。

ベルギーのUNIケア部会加盟組織であるSETCA-BBTKは、使用者団体と共同で、介護部門における暴力とハラスメントのモニタリングに特化したICOBAという組織を立ち上げた。SETCA-BTKは、UNIケア部会が使用者、高齢者団体、障がい者団体、その他の利用者団体と協力し、利用者宅での暴力やハラスメントに対処する指針を策定する必要性について強調する動議を提出し、採択された。

エイドリアン・ドゥルチUNI世界ケア部会担当局長は「近年、フェミニスト運動と労働組合が結びつき、女性や移民労働者の暮らしをいかに変えてきたか、我々は見てきた。だが依然として、欧州の数百万人の在宅介護労働者は、労働者として十分な保護を得ていない。UNIケア部会はこの状況を変えるべく、組合の力を使って、介護施設や在宅介護の労働者が恐怖におびえながら働く必要がないよう尽力していく」と強調した。


アルゼンチンのケア労働者、96%の賃上げを獲得

2022年11月1日、アルゼンチンのケア部門産別組織FATSAが、同部門の使用者団体との間で、3万5千人の労働者の生活の質を向上させる賃上げについて、合意に達した。

今回の協約により、5回に分けて37%の賃上げが実施されるが、これは前回の59%の賃上げ合意に加えて行われるものであり、つまり労働者は、2022年4月から2023年3月までの間に96%の賃上げを獲得したことになる。

UNI米州地域会長を務めるヘクター・デールFATSA書記長は、「再び全国のケア部門の労組が主体的に取組み、我々が代表する労働者の権利が守られた。すべての労働者、皆さんの決意と組合の団結を信頼していることが、我々の交渉の席での我々の強みだ。まっとうな賃金なくして健康はなく、組合の団結なくして勝利はない」と力強く語った。

今回の勝利が明示しているのは、ケア部門がこれまでも、そしてこれからも必要不可欠なものであるということだ。ケア部門は、パンデミック時に最も影響を受けた部門の一つである。介護や医療の制度を支えるこれらの労働者とそのたゆまぬ努力に対する敬意は、公正な賃金と適正な労働条件に反映されなければならない。

エイドリアン・ドゥルチUNI世界ケア部会担当局長は、「FATSAは再び組織力と動員力を発揮した。そして今日、組合の力が労働者のためのこの協約に反映された」と述べ、「まっとうな賃金なくして健康はあり得ないのであり、FATSAの仲間とともに、この協約を祝福したい。FATSAに加盟する組合が全国で動員されたこと、そして賃金を守るための連盟の忍耐と決意によって、ケアに関わる従業員の労働条件を向上させることができた。FATSAは常に断固とした態度で、目的を達成するために必要な措置をとってきた」と締めくくった。


フィリピンのUNIケア部会の労組、変革に向けて団結

2022年10月13日、ケア分野の20労組が集まり、UNIフィリピン加盟協のもとにケア協議会が設立された。労働者の権利のために闘い、組合を強化し、介護部門における活動を調整し、連携して取組んでいく。

ケア協議会は、ケア部門におけるより良い労働条件を得るため、労働組合の集団としての力を活用していく。協議会の設立メンバーには、フィリピンサービス労組(UFSW)、フィリピン農工商労組(PACIWU)、独立組織会議(CIO)、全国労働組合連合(NFL)などが含まれる。

ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長は、「フィリピン全土の何千人もの病院労働者、透析クリニック看護師、医療関係者を代表し、強力な組合を通じてより良い雇用を獲得するという共通の目標に向け、一丸となって声を上げていくこの協議会は、フィリピンのケア部門に変革をもたらすものとなるだろう」と述べ、「ケア協議会の設立メンバーに連帯し、より良いケア部門を構築するために大切な一歩を踏み出したことを祝いたい」と語った。また、「今回の設立は、ケアの分野におけるUNIフィリピン加盟協の新たなマイルストーンであり、アジア太平洋地域でケアに関わる労働者を組織化し、ディーセントな雇用を求めて闘う我々の取組みを強化するものだ」とその意義を強調した。


UFSWは、同国の12の主要な民間病院ほぼ全てを組織化している。PACIWUとCIOは、バコロドの民間病院に組合員がおり、フレゼニウスの組織化プロジェクトも進行中だ。NFLは、セブおよびダバオの民間病院を組織化している。

UFSWのジーザス・S・オビエナ議長が1年の任期で 協議会を 率い、UNIフィリピン加盟協が協議会の活動を監督する。

UNIとケア部会は、フィリピンをはじめ世界各地でケアに従事する労働者の組織化に取組んでいる。


米国ペンシルバニアの介護施設労働者、強力な労働協約を獲得

大手介護事業者とUNI加盟組織SEIUの間で結ばれた労働協約には、賃上げ、福利厚生の改善、労働者と入居者に対する業界の説明責任に関する条項が盛り込まれた。

何か月にもわたる交渉と、SEIUペンシルベニア支部ヘルスケア部門では最長となる介護施設でのストライキを経て、全米2,000人以上の介護施設で働く労働者は、人員配置と入居者ケアに資金を投入する旨の協約を勝ち取った。コンプリヘンシブ・ヘルスケア、プライオリティ・ヘルスケア、シェナンドア・ハイツ・ヘルスケアの3社が所有する介護施設の労働者は、今回の勝利がペンシルバニア州および全米の介護施設産業の変革につながると期待している。

今月初めのストライキでは、州内のSEIU組合員が張るピケットに、ジョー・バイデン大統領も加わり、ディーセントな雇用と仕事における尊厳を求めて闘う介護労働者に連帯を示した。

交渉委員を務め、コンプリヘンシブ・ヘルスケアが所有する介護施設の看護助手であるシャノン・マクブライド氏は、「7日間ピケットを張り終えた今、大好きな入居者と仕事のもとに戻りたい。ストライキの実施は非常に難しい決断だったが、団結することができた。我々には、組合を守り、労働力を強化し、入居者のケアを第一に考えた協約を結ぶ権利があるから」と語り、「我々の要求はあまりにも長い間、無視されてきたが、我々は諦めなかった。経営陣は最後に、我々の声に耳を傾けた。この合意は、州全体でコンプリヘンシブ・ヘルスケアが所有する施設でのケアと介護労働の水準を上げる上で、正しい方向への第一歩だ」と喜んだ。

コンプリヘンシブ、プライオリティ、シェナンドアの各社が所有する施設にはそれぞれ別の協約があるが、3社に共通するのは、以下の内容だ。

・全部門の全労働者を対象に賃金を引き上げる給与体系、全労働者の一律昇給、労働力維持に向けた経験と勤続年数を尊重した昇給。3つの協約における労働者の平均昇給率は24%である。
・健康保険料を調整し、すべての労働者がより手頃な価格で医療を受けられるようにする。
・改善が予定されている州の職員配置規制を遵守する確約。
・これらの介護施設が売却された場合に、組合との協約を破棄するのではなく、協約を維持する条項。

プライオリティ社が所有する「The Gardens at Wyoming Valley」で看護助手として働くラヒーム・アーミテージ氏は、「自分が働く施設が、別の会社に売却されるとはどういうことなのか、身をもって体験した。福利厚生はなくなり、給料が下がり、従業員はより良い仕事を求めて辞めていき、残った人材が酷使されていく」と振り返り、「明日、仕事があるのか、家族の世話はどうするのか、心配になります。文言が残ることで、我々が闘ってきた成果を維持できる、ゼロから始める必要はないということだ」と語った。

シェナンドアの協約には、使用者が負担する休日が含まれている。つまり労働者は、家族と共に休日を祝うために有給休暇を使う必要がなくなるのだ。

マシュー・ヤーネルSEIUペンシルバニア支部ヘルスケア部門委員長は、「労働者は、我々の多くが想像もできないような状況下でケアを提供し、入居者のために絶え間ない支援を行ってきた」と述べ、「全国レベルの傾向として、営利目的の介護施設事業者は、投資家の要求を満たすために税金を使用している。今回のストでは、介護施設運営事業者に対し、我々の仕事とペンシルベニア州民のケアにこそ、投資をするよう迫ってきた。我々が反対しているのは、介護施設の入居者に対する営利モデルのケアの在り方だ」と述べた。

エイドリアン・ドゥルチUNI世界ケア部会担当局長は、「この歴史的な勝利を達成するためにストライキを闘った勇敢な労働者をたたえたい」と祝福するとともに、「パンデミックの間、我々はずっと、エッセンシャルワーカーである介護労働者への早急な投資を要求してきた。不当な低賃金や慢性的な人員不足の状況で、働き続けることはできない。この画期的な勝利は、人々が組合のもとで団結し、企業責任を追及する力を示すものだ」と指摘した。

介護労働者は、9月2日~5日の「レイバーデー」に始まった、不当労働行為に対するストライキに加わった。看護助手、栄養士、居室係、活動担当者、補助員、その他地域の介護施設の運営に欠かせない職種の人々が、労働力を立て直し、介護士を業務に戻す名目であてられた州予算からの公的資金6億ドルに対する企業の説明責任を求め、職場を放棄してストを決行した。


韓国保健医療労組、医療従事者のための画期的な産別協約を締結

UNI加盟組織の韓国保健医療労組(KHMU)は、2022年8月、同国100万人以上の医療従事者の労働条件を改善させる大規模な勝利を収めた。

ナ・スンジャKHMU委員長は、「共同合意に至ったことを嬉しく思う。医療機関の体質と医療サービスの質を向上させるため、我々は政府、すべての関連機関、市民社会団体と協力し、全国的な運動として共同の取組みを実施していくことを楽しみにしている」と述べた。

KHMUは、全国約80の医療機関を代表する使用者側との、第7回目となる10時間にわたる長丁場の交渉を経て、8月3日に画期的な産別協約に達した。協約は、長年にわたって医療業界を悩ませてきた、以下のような重要な問題を取り上げ、改善するものだ。

●本来医師免許を持つ者のみが行うべき処置を、診療補助要員が行うという違  法行為をなくし、医療従事者の業務範囲についてより正確な定義を吟味することで、政府ガイドラインへのコンプライアンス課題に対処する。
●夜勤が重なることによる疲労回復のための睡眠時間、健康診断の時間、献血のための有給休暇を保障する。
●役職や職階に関係なく、職場における暴力やハラスメントについては、加害者を懲戒処分の対象となるようにすることで、これらを撲滅する。

またこの協定は、以下に取組むことで、雇用条件と職場の安全性を向上させる。
●非正規契約の労働者を、雇用を中断することなく正規契約に転換する。また、団体協約の適用範囲をこうした労働者にも拡大する。
●危険を伴う業務を行う場合、最低2人の労働者を確保する。
●生活賃金制度を導入する。
●2021 年9月2日に政府との間で達した合意を尊重し、その実施を支援するために協力する。

今回の合意で最も重要な成果は、パンデミックの最前線で犠牲を払い、献身的に尽くしてきた医療従事者に対し、正当な補償を行うべきであるという認識で一致した点である。ただしKHMUは、医療機関ごとの様々な特徴を考慮し、賃上げについては、中央レベルの交渉で設定するのではなく、地方レベルで交渉できるという点に合意した。

ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長は、「KHMUは、医療従事者の生活だけでなく、韓国の保健医療部門全体を変えるような合意を勝ち取った」と祝福し、「我々はパンデミックや交渉の中で、医療や介護に関わる労働者たちとともに歩んできた。これからも、前進を続ける彼らと共に歩み続ける」と連帯を示した。


UNI欧州、労働者を中心に据えたケア部門戦略を要求

UNI欧州が、労働組合の権利、団体交渉、労働条件、人員配置、質の高いケアを強化するため、欧州の来るべき介護戦略を要求している。労働者の利益が戦略の中に組み込まれるよう、UNIはEUの3つの立法機関の主要な政策決定者と連携している。

オリバー・レティクUNI欧州地域書記長は、「人々が受けるケアの質と安全性は、介護に関わる労働者の労働条件と切り離すことはできない。パンデミックの影響で、ケアを受ける人と労働者の双方に十分な資源が行き渡っていないことは、共通認識となっている。我々は、民間介護部門で働く何十万人もの人々を置き去りにはできない。今こそ改善を求める時であり、欧州ケア部門戦略は、過去2年間に欧州全域で露呈した壊滅的な欠点を修正するための、重要な手段だ」と強調した。

欧州委員会
欧州委員会は、欧州ケア部門戦略の策定において中心的な役割を担っている。UNIのアプローチの目的は、社会パートナーと株主がケア部門の水準を上げるという目的を共有し、EUが推進しうる主なツールとして、強力な団体交渉を提示することだ。そのためUNIは、UNIが支援する「ケア部門の責任ある投資家イニシアティブ」と、ニコラ・シュミット雇用・社会権担当委員との会合を設定した。2021年に開始したこのイニシアティブには、3兆7000億ユーロの資産を運用する130以上の機関投資家が参加している。

ニコラ・シュミット委員は非常に前向きな反応を示し、社会サービスにおける産別の社会対話委員会の必要性を強調した。UNI欧州は現在、包括的で労働者を代表する産別の社会対話の機構を創設するため、取組みを推進・強化している。

レティクUNI欧州地域書記長は、「患者/利用者:スタッフの安全な比率、防護具の提供、そして質の高いケアを長期に渡って提供しうる仕事量の維持のためには、強力な労働組合が必要だ。労働組合は、ケア部門の企業に変化をもたらす独自の洞察力を提供できるという認識が、あらゆる関係者間で共有されている。昨年の我々の取組みは、投資家との対話を通じ、企業方針と慣行の改善に向けた強力な基盤を築いてきた」と指摘した。

ケアに関する市民社会団体連合の一員として、UNIは欧州委員会に対し、「欧州ケア戦略は欧州議会の要求と一致しなければならない」と題する書簡を送付している。

欧州議会
UNI欧州が、欧州議会における主要な委員会のメンバーと長期的な関係を構築してきたことで、UNI欧州の意見が欧州ケア戦略に反映され、また介護労働者の集団的発言力を強化することにつながってきた。

最近、欧州議会の2つの委員会(雇用・社会問題委員会、女性の権利・男女機会均等委員会)が、「ケアに関する欧州共通行動に向けて」と題する独自報告書を共同で提出し、組合が介護部門で果たすべき重要な役割を強調している。この報告書は欧州議会で採択されており、特に労働者の組織化の権利を強化することを目指している。

独自報告書は、欧州議会が立法措置を開始するための主要な手段となっている(そのためには欧州委員会も必要である)。この内容がEU法に反映されれば、個人・訪問介護労働者を含む広範な介護部門における団体交渉について、 欧州全域で新たな枠組みが生まれることになる。この報告書は、欧州ケア部門戦略について、介護労働者が集団的に強力な発言権を持つことを保証するよう、欧州委員会に強いメッセージを送るものである。UNI欧州が複数の欧州議会議員や政党に働きかけたことで、組合の権利などの重要項目が盛り込まれることとなった。

エイドリアン・ドゥルチUNI世界ケア部会担当局長は、「この欧州議会の報告書は、UNI欧州ケア部会の中東欧や南東欧での組織化の取組みや、EUレベルでの政策提言活動やロビー活動が、いかに労働者の権利を強化し、組合の力を構築しているかを示すものだ」と述べた。

加盟国
EU理事会を通じて加盟国も、欧州ケア部門戦略の策定に対して発言権を持っている。UNIは主要な協力団体と連携し、組合の要求が最終版に盛り込まれるよう、強力に働きかけている。

スペインの労働組合は、介護部門の危機を政府の最優先課題として取り上げることに成功した。最近では、UNIはスペインの組合CCOOが主催した、同国副首相を務めるヨランダ・ディアス労働・社会経済大臣とのハイレベル・セミナーに参加した。セミナーでは、フェミニズムと労働組合の視点から、ケア部門の欧州戦略を策定することに焦点が当てられ、ディアス副首相は、「フェミニズムを核としたケア部門の専門化を実現する上で必要な変化を起こすため、我々は協力していかなければならない」と述べた。

また、ウナイ・ソルドCCOO書記長は、「ケアに関する協定は、21世紀の新しい社会契約を構成する中心的要素の一つだ」と述べ、パンデミックの観点からケアに対する投資の重要性を強調した。

セミナーに参加したベロニカ・フェルナンデス・メンデスUNI機会均等局長は、「全ての大陸、全ての国で、ケアの仕事は女性が担っている。管理職の大半が男性で、労働者の大半が女性である現状においては、制度的な性差別の存在を無視することはできない」と指摘した。

また、団体交渉を通じて労働者に発言権を与えることが、ケア部門の労働者が抱える主な課題、特に低水準の賃金と人員配置を改善する最も効果的な方法であると指摘し、「産別団体交渉によって労働者は、業界全体の労働条件を改善し、解決策に加わる可能性を与えられる。EUは、労働条件を抑圧する構造的な問題に覚醒しつつある。EUが本気で状況を変えようとするならば、政策決定者はまず、ケア部門の主な政治的圧力の対象である公共調達を、労働者の団体交渉権を尊重する企業に限定するよう要求しなければならない」と訴えた。


医療・介護部門の女性の収入は、同部門の男性より24%も少ない

男女間の賃金格差を是正する方法は、団体交渉

世界保健機関と国際労働機関による新たな共同報告書によると、医療・介護部門の女性は、他の経済部門と比べて男女間賃金格差が大きく、同部門の男性の収入より平均24%も少ないことが明らかになった。

この調査は、医療・介護部門における男女間の賃金格差について、世界で最も包括的な分析を行ったものである。女性は医療・介護部門の労働力の67%を占めており、介護部門に特化して見ると、女性の占める割合はさらに高く、約90%にのぼる。

賃金格差の多くは説明のつかないものであり、おそらくは女性に対する差別が原因であると報告書は指摘している。医療・介護部門の賃金は、他の経済部門と比較して全般的に低い傾向にあり、女性が大半を占める経済部門では賃金が低いことが多いとの調査結果と一致している。

『医療・介護部門における男女賃金格差:COVID-19時代におけるグローバル分析』では、COVID-19パンデミックが発生し、医療・介護部門の労働者が非常に重要な役割を果たしているにもかかわらず、2019~2020年の間にみられた賃金格差の改善は、ごく僅かなものであったことが分かった。

この調査について、エイドリアン・ドゥルチUNIケア部会担当局長は、「介護部門における男女間の賃金格差を是正する最も効果的な方法は、労働組合そして団体交渉だ。使用者と交渉する際、同一賃金に関する強力な条項を盛り込むことで、個人単位ではなく、集団単位で女性の賃金水準を押し上げていくことができる。UNIがブラジル、チェコ、コロンビア、インド、ネパール、ポーランドなど16か国で介護労働者を組織化しているのは、そのためだ」と強調した。


介護施設の変革に向けた投資家イニシティチブ1年目、変化に向けた基礎を構築

介護施設における労働条件とケアの質の改善に向けた革新的なキャンペーンの開始から1年、「ケア部門の責任ある投資家イニシアティブ(IIRC)」は、2021年3月の開始以来の進捗状況を評価するとともに、今後の改革を展望した。

IIRCに署名した投資家(現在133社、運用資産額3.8兆米ドル)に提供された最新情報の中で、この取組みの創設メンバー(脚注)と、コーディネーターを務めるUNIは、介護部門において基準を引き上げるような実質的な取組みが数多く行われていることに触れた。

開始当初、IIRCは投資先企業に対し、十分な人員配置、団体交渉と組合代表の拡大、安全衛生の改善、生活できる賃金、ケアの質の向上など、パンデミックによって悪化した介護業界の長年の問題に対応する、共通の期待を発表した。

これまでにIIRCは、介護施設を運営する世界最大手のチャートウェル、フレゼニウス、ヒューマナ、コリアン、LNAサンテ、オルペア、シエナ・シニア・リビングの7社において、役員レベルでこれらの期待を高めきた。IIRCは、ウェルタワー、ヴェンタス、ヴォノヴィアなどの介護施設部門で大きな存在感を示している不動産投資信託(REITs)への働きかけも開始している。

さらに、IIRCに署名した機関投資家は、カナダのチャートウェルの株主総会決議により、取締役会レベルで説明責任が果たされるよう、働きかけてきた。また、フランス責任投資フォーラム(FIR)と共同で、約50名の投資家が参加する説明会を開催し、介護部門の危機に対する解決策を議論した。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「IIRCは1年という短い期間で、業界を苦しめる根深く危険な問題に対し、責任ある投資家が取組んでいくための強固な基盤を構築した」としてその成果を強調しつつ、「だが、もっと多くのことをしなければならないのは明らかだ。介護の中心に人間の命と人々を据えるというIIRCの期待に、こうした使用者やREITsが応えていくようにするためには、大規模で複数の利害関係者が関与していくアプローチを、継続的に行うことが必要だ」と訴えた。

脚注) IIRCの創設に関わり署名したのは、BMOグローバル・アセット・マネジメント、コロンビア・ スレッドニードル・インベスツメントの一部、エトス財団、PIRC、シコモア・アセット・マネジメントの各社。


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