戦火の中で組織化するウクライナの医療従事者を支援

ウクライナの医療従事者が、戒厳令の制約、砲撃の絶え間ない脅威、戦中に医療専門職として働くことの重圧に負けず、自らの権利を求めて立ち上がり、不正と闘い、労働組合を結成している。

2023年2月下旬、ポーランドにあるUNIの組織化センターCOZZが設立した「ユニオン・ヘルプ・レフュジーズ(UHR)」が、 Be Like Nina のリーダーやメンバー20人を対象に、会議を開催した。 Be Like Ninaは、戦争が始まる前に草の根の動員を開始し、その後、医療従事者の労働運動/労働組合へと成長した。

3日間にわたる会議では、労働組合の戦略に関するトレーニングが行わ、また心理学を専門とする2名のUHRスタッフによるワークショップでは、戦時下での生活や仕事による精神的負担に対処するための方策が共有された。

UHRにとっては、戦争によって看護師や医師が日々経験している苦難を直接聞く機会となった。多くの参加者が、2022年2月にロシアが侵攻して以来、今回ポーランドで開催された会議で初めてぐっすり眠れたと語った。ウクライナでは、今も毎日空襲警報が発令される地域があり、いつロケット攻撃があるかも分からない厳しい状況だ。

医療従事者からは、戦争や過重労働による緊張からくる不安、疲労、集中力の低下といった共通の症状が報告された。戦争のトラウマで感情が「凍りついている」と語った参加者もいた。ある看護師は、ストレスレベルが高すぎて手が震え、集中力が低下し、30年来行ってきたレントゲン撮影を正確に行うことが難しくなってしまったと言う。さらに、使用者から叱責されるのではないかという恐怖も、彼女の不安を増幅させている。

雇用の安定は、医療部門の労働者にとって大きな不安となっている。なぜなら、離職して仕事を失った他の医療従事者に、簡単に取って代わられる可能性があるからだ。労働者は、陰湿な賃金政策や看護師と医師の間の不平等な地位を報告し、看護師は医療ミスのスケープゴートとして濡れ衣を着せられたりする等の状況を語った。さらに、この部門の賃金はもともと非常に低かったが、戦争による物価の上昇で、生活が一層困難になった。

医療従事者が直面する困難にさらに拍車をかけるように、昨年7月には、ゼロ時間契約の合法化が議決され、国の労働法による保護から労働者の7割を除外する法案が可決された。また戒厳令によって、一週間の労働時間が40時間から最長60時間に引き上げられ、最低休息時間は24時間に短縮された。

しかし、Be Like Ninaの活動家たちは、恐れることなく反撃している。この運動は、2019年11月にUNIの会合に出席していたニナ・コズロフスカ氏が、医療部門の劣悪な労働条件と低賃金を是正するという政府の空約束に対する不満をFaceBookに綴り、他の医師や看護師たちにも自らの困難な経験を共有するよう、促したことから始まった。

Be Like Ninaの共同設立者であるオクサナ・スロボディアナ氏は、「以前は、医療従事者には何の影響力もなく、使用者と政府だけが政策を議論し、我々に多くの心理的圧力をかけてきていた。しかし、この状況が変わりつつある。使用者や政府は、我々が医療従事者の大きな運動であることを認識し、我々の要求に耳を傾け始めている」と振り返る。

戦争によって、多くの医療従事者が国内外に避難し、ウクライナからの脱出を余儀なくされた人もいれば、国内で数ヶ月間働いた後に再び海外で働く人もいる。ポーランドに難民として逃れてきた医療従事者だけでなく、UHRはトレーニングを通じて、国境の両側で働く人々の支援も始めている。

ラファル・トマシャクCOZZ事務局長は、「このトレーニングが、勇気ある(主に)女性たちにとって、どれほど価値のあるものであったかを、見聞きすることができ、感慨深く、やりがいのあるまたとない経験となった。逆境にもかかわらず、組合を結成しようという強い意欲を持って、会議を終えてくれたことを知り、とても嬉しい。現在ポーランドや欧州の他の国々で活動しているBe Like Nina運動のメンバーがおり、今回のトレーニングは、この12ヶ月間、UHRのプログラムがポーランドで行ってきた支援との間に明確なつながりがある。UHRがこうした素晴らしい労働者と組合を支援する新たな方法を構築したことは、誇らしい」と述べた。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「UNIは、戦争の試練やトラウマにもかかわらず、自らの権利を求めて闘い続けているウクライナの勇気ある医療従事者を支援することができ、誇りに思う。UNIの加盟組織による難民支援プログラムが、国外脱出を余儀なくされた労働者や、ウクライナで組織化する医療従事者を支援することができて、喜ばしい」と語った。