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UNI世界大会開幕

第5回UNI世界大会がリバプールで開幕した。アン・セリンUNI会長は、労働組合の街として知られるリバプールの歴史と精神に敬意を表した。会場となったアリーナ&コンベンションセンター、エコー・アリーナは世界中から参集した2,500人を超える労働組合リーダーで溢れかえった。「強力で誇り高き労働組合の街リバプールの歴史は、UNI世界大会を開催すのにふさわしい。会場からすぐのところにある、ビートルズ・ストーリー博物館は、最近、組合承認協定を結んだ。恐らく私たちの存在が役立ったのだろう」と喜んだ。

セリン会長は、アフリカ、アジア太平洋、米州、欧州のUNI加盟組織に、問題に直面している世界中の労働者に連帯を示し、共に立ち上がろう、と呼びかけた。「我々は日々様々な課題に直面している。デジタル革命、地球温暖化、格差や富の配分の不平等が拡大している。労働者の状況はもっとよくなっていいはずだ。」

国際連帯の重要性をあらためて強調し、セリン会長は、「事業が国内で行われていた時代は労働組合も国内課題を扱っていた。今は事業がますます国際化している。だから我々労働組合も、国際的な視野を持たねばならない。」

「我々は常に、貧困削減、正義、平等、ディーセントな仕事、公正な賃金、そして基本的人権を求める闘いの最前線にいなければならない。とりわけ、誰もが人間らしい有意義な生活を送り、職場で尊厳を得られるよう、平和を求めて闘わなければならない。」

「生態系の持続可能性も優先課題だ。子供たちのために地球を救わなければならない。地球が死んでしまえば仕事も何もない。」

「この偉大な街からインスピレーションを受けている。我々は勇敢で、挑戦する勇気があり、他とは違う。」

力強い演説の最後に、セリン会長は「何事も成功するまでは不可能に思えるものだ」というマンデラの言葉を引用した。「リバプールで大きな夢を抱こう!我々は世界中の労働者にとって希望の光となる。我々は実現している。」


UNI Apro執行委員会、パートナーシップ労使関係の重要性を再認識

第24回UNI Apro執行委員会が、2018年5月9~10日、シンガポールで開催された。

開会にあたり、野田UNI Apro会長は、「2015年のUNI Apro地域大会で採択されたブレイキングスルー戦略に基づき、アジア太平洋地域の各加盟協・各部会を中心とした活動は着実に前進をしている。アジアの時代が到来する中、労働組合の果たすべき役割もますます高まっている。本委員会の意思統一を踏まえ、更に運動を強化していこう」と挨拶した。

ジェニングスUNI書記長の代理として出席したホフマンUNI副書記長は、現下の世界政治情勢に触れ、フランスやブラジル等において労働運動や民主主義に対する攻撃が続く一方、ジャーナリスト、エコノミスト、思想家等が、「団体交渉は経済成長に寄与する社会的公共財。労働組合は格差是正の解決策になる」との認識を持ち始めるなど良い兆しもある、と述べた。野田UNI Apro会長は、39日後に迫ったUNI世界大会で選出予定のホフマン新書記長を、UNI Aproとして支えていくと激励した。

ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro書記次長から各部会の成果報告を受けた後、各国の委員から報告を受けた。

宮井UNI Apro金融部会議長は、アジア開発銀行(ADB)との関係強化の取組み成果を報告し、継続の重要性を訴えた。八野UAゼンセン副会長は、昨年の各部会大会で確認した声明に明記された、公平な成長と包摂的社会経済開発を維持するためのパートナーシップ労使関係の重要性を想起し、国や労働法は違っても、UNI Aproとして推進していくことをあらためて提起した。

これを受け、ウン地域書記長は、パートナーシップ労使関係の実践によって、労働組合が脅威とは見られず、パートナーとして経済統合プロセスへの関与を歓迎されるようになったASETUC(ASEANサービス労組協議会)の実例を繰り返し強調した。また、ADBとの関係強化については、UNI Aproの信頼性が高まるだけでなく、UNI Aproの影響力を高める上でも有益であると述べ、関係強化の取組みを継続していくと約束した。

2019年の第5回UNI Apro地域大会、女性大会については、ネパール・カトマンズでの開催を決定した。

 


女性役員の育成には共感力が必要!

2018年4月24日、東京で、UNI-LCJ女性ネットワーク会議が開催され、10組織から40人が出席した。

目的は、UNI及びそのアジア太平洋地域組織(UNI Apro)の女性委員会が取組むジェンダー平等促進活動について、理解を深めることと、UNI-LCJ構成組織で活躍する女性役員から経験を聞き、UNI-LCJ構成組織の女性のネットワークを広げることであった。

第1部ではまず、小川UNI Apro機会均等担当部長が、UNI/UNI Aproのジェンダー平等促進活動及び6月のUNI世界女性大会について簡単に紹介した。

続いて、UNI Apro女性委員を務める、杉山真裕子全印刷中央執行委員と、新田真帆損保労連中央執行委員から、昨年11月のUNI Apro女性委員会での議論や出席した感想、組織における女性を含めた役員の育成等についての有益な経験を聞いた。

第2部では、UNI-LCJ構成組織の中央本部で役員を務める、古賀初代印刷労連副中央書記長、高橋桂子生保労連中央副執行委員長、小出真理子全労金書記次長、三木佳世子日放労中央執行委員をパネリストに迎え、組合役員になったきっかけから、ワークライフバランスの秘訣、政府が進める女性活躍推進政策に対する意見、労働組合における女性の参画の進展、更にはデジタル化によって女性労働者の働き方はどう変わるか、まで示唆に富んだ経験や意見を聞いた。また、自らの経験から、組合役員としての苦労や良かった点についても共有し、最後に後輩女性へのアドバイスがあった。

また、UNI世界女性委員会の議長を務める、英国Prospectのデニス・マクガイア委員長から、参加者にビデオメッセージが届いた。冒頭、2010年、長崎でのUNI世界大会に参加した経験を懐かしみ、リバプールでも良い思い出をつくってほしいと述べた。リバプールは「労働組合の街、強い女性の街」であると紹介し、UNI世界女性大会・世界大会で、日本の多くの女性代議員が大会議論に積極的に参加することを期待した。


UNI Apro ICTS部会タイ通信労組セミナー

2018年3月24~25日、タイ・バンコクにおいて、UNI Apro ICTS部会は通信労組セミナーを開催した。TOT労組、CAT労組から約30人が参加し、活発な議論が行われた。

現在、デジタル経済社会省は、TOTとCATにそれぞれ子会社を設置し、通信ネットワークを含む主要資産を移管させて通信事業再編を進めようとしている。子会社は当面は公社とするが、やがて民営化される見込みである。TOTは国内通信、CATは国際通信という事業区分は撤廃され、現在、両社とも総合通信事業会社として事業を展開し、両社は競合関係にある。

本セミナーは、日本とインドネシアの事例について学習し、タイ労組の対応について検討することが目的だった。

タイの労働組合組織率は低く、全体で数パーセント程度である。こうした中で、TOTとCATは旧国営時代に強固な労組を設立した名残もあり、よく組織化されている。TOTとCATはライバル関係にあるが、両労祖はUNIタイ加盟協議会の下、良好な関係を構築している。子会社に転籍した従業員については、既存のTOT労組、CAT労組で組織することができない。そのため、両労組の組織人員減少、弱体化が懸念される。新会社での身分は正社員となり、仕事内容は変わらない。賃金は15%上がるが、年金は加算されず、公務員としての恩恵は得られなくなる。

閉会にあたり、両労組委員長は、「子会社への資産移譲の不当性について訴え、裁判で無効を求めていく。臨時労組大会の開催を検討し、組合員全体での反対を行っていく」、「事業領域拡大を含めチャレンジしていく。日本やオーストラリアの経験をさらに学習する」と述べた。両労組は従業員への意識啓発や世論喚起を行う必要に触れ、将来の情報通信事業に関するセミナーの開催を希望した。UNI Aproは講師派遣等の情報提供を中心とする支援を約束した。

最後に、野田UNI Apro ICTS部会議長が挨拶し、タイにあったモデルの策定、スピーディーな決断、両労組の引き続きの連携を要請し閉会した。


労働組合と平和―UNIは平和への取組みを続ける

7年ぶりに長崎を再訪したフィリップ・ジェニングスUNI書記長は、「核兵器の終わりか、それとも、私たちの終わりか」という、ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)がノーベル平和賞を受賞した際の、ベアトリス・フィン事務局長の演説の一節を引用した。長崎は、2010年のUNI世界大会の開催地。その大会でUNIは、核兵器のない世界を創る取組みを確認した。「私たちが終わる」脅威。世界中にはまだ1万5千発を超える核兵器が存在する。ジェニングスUNI書記長は、長崎の平和大使として世界に核兵器廃絶を訴え続けてきた。

UNI-LCJは3月1日、長崎で、ジェニングスUNI書記長の再訪を歓迎する会を開催し、当時のUNI長崎連絡会役員及び加盟組織役員等40人が集まった。中村法道長崎県知事、田上富久長崎市長も出席した。田上市長は挨拶の中で、「分断された世界において、平和の構築に労働組合の声は極めて重要だと認識している」と述べた。生存する被爆者が減っても、平和へのメッセージが忘れられてはならない。ジェニングスUNI書記長は、「労働組合は平和運動と連携し、長崎及び広島の被爆者の経験を語り継いでいく義務がある」と訴えた。

中村県知事は、UNIが長崎で大会を開催したことにあらためて感謝した。その上で、6月に退任するジェニングスUNI書記長に、今後も「長崎奉行」として長崎の思いを世界に発信し続けてほしいと期待を寄せた。

2010年以降も、UNIと長崎との友好関係は続いており、毎年スイスにあるUNI本部に長崎からの平和大使を受け入れ交流している。UNIはICANとIPB(国際平和ビューロー)のメンバーでもある。「平和」は6月に英国・リバプールで開催される第5回UNI世界大会の議題としても取り上げられる。平和はUNIの取組みの中心にある。なぜなら、社会正義がなければ平和が構築できるはずがないからだ。「平和なくして正義なし、正義なくして平和なし。」

UNI運動の目標は150か国から集う加盟組織の間に連帯を構築することである。2017年だけで15万7千人もの尊い命が紛争で失われた。犠牲になるのは人々であり、荒廃した国を再建するのも人々である。150年前、英国・マンチェスターで初の労働組合会議が開催された時から、労働運動は常に平和運動の推進者でもあった。

世界を見れば、労働運動はいつも勇気をもって危険をかえりみず、平和を求める闘いの中心にあった。独裁者に立ち向かい、民主主義と人権を求めて闘い、時には命を落とすこともあった。コロンビア、南アフリカ、北アイルランド、チュニジア、チリ、ブラジル、アルゼンチン、フィリピン、ネパール、インドネシア…労働組合がいかに民主主義、社会正義、そして平和のために立ち上がったかはあまり語られないが。

2007年のICAN創設以来、より多くの平和・核兵器廃絶推進団体が連携を図り、2017年7月7日、122か国が賛成し、核兵器禁止条約が採択された。現在まで50を超える国が批准した。地雷及びクラスター爆弾禁止条約もこの動きを後押しした。

2010年のUNI長崎世界大会で、核兵器のない世界の構築に向けた新たな勢いが感じられた。世界週末時計が深夜まであと2分と迫る中、我々はこの取組みを継続していかなければならない。

ジェニングスUNI書記長は最後に、2017年のノーベル平和賞受賞式で演説した広島の被爆者、サーロー節子氏の言葉を引用した。「今日私は皆さんに、広島と長崎で非業の死を遂げたすべての人々の存在を感じていただきたい。皆さんに、私たちの上にそして私たちの周りに、 25万人の魂の大きな固まりを感じ取っていただきたいと思います。その一人ひとりには名前がありました。一人ひとりが、誰かに愛されていました。彼らの死を無駄にしてはなりません。」

UNIリバプール世界大会では、 時が流れても、犠牲者の死が決して無駄にならないよう、我々は取組みを進めていくことを示す。


UNI Apro ICTS部会IT組織化ネットワーク会議

 

2018年2月21~22日、ネパール・カトマンズにおいて、初のIT組織化ネットワーク会議が開催され、インド、スリランカ、インドネシア、日本、ネパールから、アジア太平洋地域のIT企業で働く労働者や組合員、彼らを代表する組合の役員らが参集した。本ネットワークは、2017年8月に開催されたUNI Apro ICTS部会大会で設立が確認された。

スウェーデンのUNI加盟組織Unionenの後援を受け、参加者は、アジアのIT市場の現状、各国の状況、IT専門職を組織化する際の機会と課題について議論した。

参加者はまた、ネパールの主要IT企業、F1ソフト・インターナショナルを訪問した。同社は、ネパールでe-Sewaと呼ばれる携帯ウォレットのアプリを開発したことで知られる。


UNIの新たな未来に、ブレイキングスルー!

2018年2月27日、第19回UNI-LCJ年次総会が東京で開催され、各加盟組織より運営委員及び総会代議員、オブザーバー等約80人が出席した。2017年度活動報告、会計報告に続き、「UNIの新たな未来に、ブレイキングスルー!」をコンセプトとした2018年度活動計画及び予算が承認された。また、新メンバーを歓迎した。

UNI本部からフィリップ・ジェニングスUNI書記長、UNI Aproからクリストファー・ウン地域書記長が来賓として出席した。今年6月にリバプールで開催される第5回UNI世界大会で退任予定のジェニングスUNI書記長は、他の友誼組織からの参加者も含めた約130人を前に、「労働の未来を私たちの手に」と題して講演を行った。松浦議長が司会を務め、釘本UNI Apro青年委員会副議長(日放労中央執行委員)、杉山UNI Apro女性委員(全印刷企画部長)がインタビューする形で進められた。ジェニングスUNI書記長は、UNI世界大会の舞台となる英国・リバプールの街と世界大会の概要、英国の労働運動が直面する課題、UNIの『労働の未来』の取組み等について熱く語った。

リバプールは、英国の北西部に位置し、綿や機械製品輸出の拠点であり、新大陸への移民を乗せた船が出発し、アフリカからの奴隷貿易の中継港として発展してきた世界遺産にも登録されている歴史的な都市。世界大会は港近くのコンベンションセンターで開催され、大会テーマ「Making It Happen!(実現しよう)」の下、組織化、労働の未来、平和等について議論が行われる。また、ネルソン・マンデラ生誕100周年、女性参政権獲得100周年、英国ナショナルセンターTUC設立150周年等を祝い、コービン労働党党首やノーベル平和賞を受賞したICAN代表等、多彩な来賓を迎える予定である。

英国の労働運動は18世紀の産業革命がきっかけで発展し、今年はTUC設立150周年にあたる。TUCが強さを誇るのは公共部門で、民間部門は20%の組織率に留まり、労働協約で守られている労働者は30%に過ぎない。こうした状況を打破するため英国の労働組合は組織化に力を入れ、公共部門では17万人、民間部門では、一般労働者10万人、運輸労働者12万人、小売店労働者8万人の組織化に成功している。現在、英国はEU離脱がもたらす経済の影響や、ゼロ時間契約(オンコール労働)、格差拡大などの課題に直面している。

「労働の未来」は非常に重要な問題であるが、そもそも国際社会において「労働」を政治的な議論の場の中心におくこと自体が困難であり、「賃上げがなければ経済回復はない」という国際労働運動のメッセージは長年軽視されてきた。そうした中で、UNIは「労働の未来」について他に先駆けて取組みを始め、AIの倫理的活用、労働者/消費者データの保護の必要性等を訴えてきた。ジェニングスUNI書記長は退任後も2019年まで、ILOの仕事の未来世界委員会の委員として、デジタル化が進む中で労働者が「誰一人取り残されない社会」を目指していく、と抱負を述べた。

最後に、日本の加盟組合へのメッセージとして、「UNI-LCJの皆さんには今後もいっそう国際労働運動に積極的に取組み、UNI、UNI Aproにおいてリーダーシップを発揮してほしい」と、アジアおよび世界の労働運動の牽引役としての役割を期待した。また、2010年の長崎世界大会以来UNIとしても力を入れている平和の取組みの重要性にも言及し、「日本から世界へ平和のメッセージを発信し続けてほしい」と訴えた。

レセプションでは、本多厚生労働省総合政策・政策評価審議官、逢見連合会長代行、ウンUNI Apro地域書記長から連帯挨拶を受けた。また、ジェニングスUNI書記長の長年の功績に感謝し、野田UNI-LCJ副議長から記念品が贈呈された。2010年のUNI世界大会の長崎開催にあたり、地元の取りまとめ役を務めた宮崎連合長崎会長(元情報労連長崎県連絡協議会議長)は、長崎大会開催にまつわるジェニングスUNI書記長との思い出を振り返り、国際労働運動に直に触れることができた貴重な体験だったと感謝した。


第6回UNI Apro東アジア労組フォーラム

第6回UNI Apro東アジア労組フォーラムが、2017年10月26~27日、台湾・台北の中華電信本社体育館で開催された。日本、韓国、台湾、香港より136人(うち女性21人、女性参加率15%)が出席し、「第4次産業革命の時代に、包括的な成長を遂げるために」というメインテーマの下、報告・議論を行なった。日本からは、12加盟組合より総勢48人(うち女性17人、女性参加率35%)が参加した。

開会式では、ホスト国・台湾のUNI加盟3労組代表、中華電信社長等から歓迎挨拶を受けた。松浦昭彦UNI-LCJ議長は、フォーラム開催の準備に尽力した台湾の3加盟組織に感謝を述べ、「政労使の対話を通じ、我々の未来は我々が創るという意気込みでデジタル化のメリットを最大化し、デメリットを最小化する取組みを始めよう」と、東アジアにおいて建設的かつ有意義な意見交換ができることを期待した。

まず各国の最近の「政治・経済・社会的課題への対応」を共有した。日本については金子晃浩UNI-LCJ副議長が、先の衆議院議員選挙の結果を報告すると共に、労働力が不足する中、日本経済の持続可能性を高めるためには生産性の向上が喫緊の課題であり、政府の「働き方改革実現計画」の下、労働組合としても長時間労働の是正や多様な働き方への意識改革を推進していること等を説明した。韓国、台湾、香港からも、急激な少子高齢化、労働人口の減少、長時間労働、非正規労働の増加、男女間格差、若年労働者の失業問題等、類似の課題が挙げられた。韓国からは、労働組合や市民による「ろうそく革命」によって10年近く続いた保守政権を打倒し、革新系政権の下で労働者寄りの政策へと転換を図っていく決意が述べられた。一方、中国返還後20年が経過した香港では、団体交渉権をはじめとする労働者の基本的権利が侵害されている苦境が報告され、連帯支援が要請された。

「デジタル化の、雇用と仕事への影響:企業、産業、国レベルでの対応」のセッションでは、リウ・シーハオ銘伝大学教授が基調講演を行った。特にクラウドワークの増加により、多くの企業は新規採用の必要性がなくなり、雇用・労働形態の変化により、従来の労使関係の対象外の労働者が増加する。また、プライバシーの保護も課題であり、インターネットにアクセスすることにより個人情報が流出するリスクが高まっていると警鐘を鳴らした。梅原貴司全印刷委員長は、デジタル化による、日本の労働者や労働法制への影響について分析し、テレワークの普及等により、勤務時間や勤務場所の自由度が高まる反面、長時間労働が懸念される点や、複数企業に所属する場合の雇用・労使関係に課題を提起した。渡辺由美子JP労組書記次長は、支払審査業務やコールセンター業務へのAI(ワトソン)導入事例、作業負担軽減のためのロボットスーツ導入事例について紹介した。技術の進化により、労働力不足や労働時間短縮等、組合員が働きやすい環境づくりに役立つと期待するものの、働き方や労働力の在り方、価値観も大きな影響を受けることから、柔軟な対応が必要だと述べた。

韓国の、キム・ヨンスKPWU労使交渉部長は、無人郵便局等のAI導入事例や物流網の改変に伴う人員削減への反対、韓国政府による第4次産業革命への対応策について報告した。コン・クワンキュKFIU副委員長は、金融部門におけるフィンテックの拡大等、急激なデジタル化への移行状況と金融労働者の雇用危機、労働組合の対応について、シティ銀行の店舗閉鎖問題を例に報告した。台湾のハミルトン・チェンTPTSEU執行委員は、公共放送部門のデジタル化に関する投資及び労働者教育が不十分であることを懸念した。香港のキャロル・チャンRCCIGU委員長は、政府主導で進む小売業におけるデジタル化によって、雇用削減や返品不可能という消費者へのサービス低下等の弊害が発生していると指摘した。

「デジタル経済における組織化」と題するセッションの導入報告として、柴田謙司情報労連書記長は、日本に200万人以上存在するクラウドワーカーの現状について、2016年12月の連合による調査をもとに報告した。収入面に不満がありながらも、時間や場所を選ばず働ける点に魅力を感じている労働者が多いが、半数近くがトラブルを経験している。今後求められる対応として、政府による更なる実態把握と法整備、個人加盟ユニオンの設置、SNS等インターネットを活用した組織化等を提言した。中村正敏日放労委員長は、デジタル経済における新しい組織化について、産業、会社、個人の各レベルにおける持続可能性の視点から、ディーセントワークに基づく労働の概念の問い直しが求められていると提起した。

カン・ヨンベ韓国KHMU教育宣伝部長は、「高齢化が進み介護人材が不足する中、組合員拡大の機運は高まっており、組織拡大に注力している。SNS等を通じたデジタル化時代に対応した組織化が課題だ」と報告した。リン・シューフェン台湾CTWU執行委員は、中華電信の子会社「宏華会社」へのアウトソーシングによって雇用危機に直面したものの、会社との協議により解決した経験を挙げ、デジタル経済においても労働者の権利擁護と代弁という組合の基本理念と存在意義は変わらない、と地道な活動の重要性を訴えた。

「労働の未来―未来に向けて労働者はいかに備えるべきか」のセッションは、ウンUNI Apro地域書記長が導入報告を行い、「デジタル化による変化や雇用代替は不可避だが、労働者がいかに包括的で公正かつ持続可能な方法で変化に対応し、長期的な雇用可能性(エンプロイアビリティー)を構築できるかが鍵だ」と強調した。安藤賢太UAゼンセン流通部門執行委員は、深刻な人手不足に直面する日本の流通産業におけるAIの活用事例として、レジの無人化や無人店舗、ロボットによる接客、気象データ分析を利用した効率的な発注等を紹介し、AI活用により産業全体を高度化させ、生産性と労働価値を向上させるためにも、産業の未来を創造できる人材育成を推進すべきだと述べた。谷知美損保労連中執は、損保産業や組合員を取り巻く環境変化や多様な価値観に対応するため、組合員自らが働き方を考え行動することが重要だとして、損保労連が推進する「めざす働き方」の実現に向けた取組みを紹介した。

ピーター・チョイUNI Aproインターン(仁川大学)は、技術革新による失業が一定程度発生することは避けられず、社会全体の問題として解決するための一つの方策として、ユニバーサル・ベーシック・インカム(UBI)の可能性を提起した。UBIは、政府が収入・仕事の有無に関わらず基本所得を無条件に全ての市民に支給する制度で、年金や生活保護等、既存の社会保障制度に比べ透明性が高く、行政の負担軽減、貧困削減効果といったメリットがある一方、働く意欲の喪失やインフレを引き起こす懸念といったデメリットも指摘されている。世界では試験的な導入も始まっており、格差が拡大し非正規労働者が増加する中で、一選択肢として検討の価値があるのではないかと提言した。続く質疑応答では、韓国の政権交代による今後の労働政策面での期待感や、日本の正規・非正規労働の格差、UBIの課題等について質問やコメントが出された。

閉会式では、フォーラム参加者は満場一致で共同宣言を採択した。第7回フォーラムは2018年に日本で開催する予定で、労組だけでなく社会パートナーを招待することが確認された。合わせて、韓国メディア労組/KBS労組及びMBC労組への連帯、香港の団体交渉法復活闘争への連帯を表明する声明を採択した。


UNIインド加盟協/UNI-LCJ共同セミナー

2015〜2018年度UNI-LCJ海外活動の方向性に沿って、3年目となるUNIインド加盟協(UNI-ILC)との共同セミナーが、インドのUNI組織化センター(UNI-DOC)の所在地ハイデラバードで開催された。UNI-LCJからは、宮井UNI-LCJ副議長(損保労連委員長、UNI Apro金融部会議長)を団長に、才木情報労連/KDDI労組副委員長、柴田UAゼンセン短時間組合員総合局副部長、岡田自動車総連政治局部長が講師として参加した。UNI-ILCからは、ミリンドUNI-ILC議長をはじめ加盟組織役員、銀行・保険労組、郵便労組、商業労組、IT労連(NCU)・ITを専攻する学生等総勢40人が参加した。

宮井UNI-LCJ副議長は、グローバルな政治・経済課題やデジタル化に対応するには、労働組合もグローバルに結束して情報・経験交換し、世界中の労働者の明るい未来のために英知を出し合うことが重要だと挨拶した。

UNI-DOCは、長年インドのIT労働者の組織化に取組んできた。IT業界の使用者は反労組的であり、IT労働者は組合に加入すれば解雇されると思っているため、組合結成は非常に難しかった。そのような中、ハイデラバード、バンガロール、ムンバイ等が存在する5州でIT労組を組織し、2013年に全国レベルのNCU(全国IT労連)を結成するに至った。今回初めて、商業労組、全国IT労連から多くの若手・女性組合員が参加した。プラサドUNI-DOC所長は、両国のIT労働者の現状と課題について活発な情報交換ができることを期待した。

開会式に続いて、ジャワハルワール・ネルー技術大学(ハイデラバード・エンジニアリング学部)のゴバルダン学長から「インドのIT産業における労働環境」について基調講演を受けた。欧米に比べIT人材の人件費が安いため、インドではIT関連の仕事が急成長し、若年層に雇用の機会を提供し、インド経済に大きく貢献してきた。しかし高給だが、ピラミッド型の労働力構成で、年齢を重ねるほどポジションが少なくなり、突然解雇通知をつきつけられることが多い。IT産業に就職する若者は、そのような将来を予測しておらず、60歳まで同じ仕事ができると思っていた。技術の進化によって、新しい機会が創出され、機械化・自動化により、人間の作業が楽になる反面、新しい技術を常に学び続け、マルチスキルでなければ、失職するプレッシャーもある。50歳になれば20代の若者と同じように学ぶことはできないが、経験を活かした別の機会もあるだろう。どのようなキャリアパスがあり、そのために何をすべきか予測ができれば、適切な対応も可能だ。ゴバルダン学長は、将来を予測する必要性とビジョンの重要性を強調し、2日間のセミナーでの議論が労働組合の政策提言に活かされることを期待すると共に、政府の諸機関でデジタル化が推進され、様々な公的サービスもオンライン化されているが、インフラとそれを使いこなす人材の研修が不十分である点も指摘した。

日本からは、宮井団長が「日本の労働運動の概要と今日的課題」、柴田講師が「職場や社会における格差の是正のために労働組合ができること」、才木講師が「デジタル化時代におけるデジタル化ツールを活用した組織化」、岡田講師が「日本のパートナーシップ労使関係」、小川UNI-LCJ事務局長が「UNIの紹介、労働組合の国際連帯・国際協力」についてそれぞれ講演した。また、講演を受けて、インド人参加者は産業別にグループ討論を行い、発表した。

今回は参加者構成が、既存の確立された国営企業労組(銀行、生保、郵便等)と、新たに結成された民間のITや流通部門の労組に分かれており、固有の課題をそれぞれ共有し、新たな視点から議論を行うことができた。例えば、「既存の労働法が適用されないIT産業で働く契約労働者や派遣労働者こそ組合に入るべき」であり、「彼らに組合に関する正しい情報を伝え、組合のブランディング(知名度向上)やマーケティング(勧誘)をするには、SNSのようなデジタルツールの活用は効果がある」という意見もあれば、「デジタルツールはあくまでも補完的なもので、対面する会議や紙のニュースは必要だ」という意見もあった。また、政府は、諸機関や国営企業でデジタル化を推進しているが、そのためにマルチタスクを要求されること、新しいソフトや導入されたシステムの使い方を習得しなければならないこと、そのための職員への訓練が不足していること、デジタル技術の習熟度に世代間で差があること、デジタル化のインフラが未整備であること、システムエラー等により労働時間が長時間化すること等の課題が挙げられた。

2日間という短い時間ではあったが、組合の歴史の異なる部門の青年男女が、組合の意義、身近な課題の認識から、日本のパートナーシップ労使関係に基づく労働組合運動、UNIを通じた組合のグローバルな連帯の必要性、デジタル化等、若い世代の雇用・労働に影響する課題等について、若い世代の視点から幅広く意見を交換し、「組合は保険ではなく投資だ」、「職場に変化を起こしたいなら、自分自身がまず変わらなければ」、「組合にどのような改革が必要かを、組合の中で議論にしなければ」といった前向きな議論が展開された。

宮井団長は最後に、「労働組合の役割は、現場から綺麗な情報だけ経営陣に伝えるのではなく、事実を伝えることだ」、「企業の発展無くして労働者の明るい未来はない」と、パートナーシップに基づく労使関係の意義を強調した。ミリンドUNI-ILC議長からは、UNI-LCJ講師陣の有益な情報提供に感謝が述べられた他、来年のセミナーをデリーで開催する提案を受けた。


UNI Apro、ミャンマー労働省と「パートナーシップ労使関係」に関する三者社会対話

2017年8月3~4日、UNI Aproはミャンマー労働省と共催で、ミャンマーにおける健全な労使関係の構築と、「パートナーシップ労使関係」の理念を普及する目的で、三者社会対話会議をネピドーで開催した。労働省、商工会議所、労働組合から70人が参加し、UNI Aproからは野田地域会長、ウンUNI Apro地域書記長ら、更には講師として、イオン労使、フィリピン、インドネシア、米国等から使用者または労組代表が出席した。

次の4つのテーマについて、パネルディスカッション形式で報告、議論した。

  • 第四次産業革命の新たな波において発生した経済・社会問題:いかに使用者と労働組合組合は対応すべきか
  • AECからRCEPへと地域経済統合の新たな波において発生した経済・社会問題:いかに使用者と労働組合は対応すべきか
  • 調整とパートナーシップに関する経験
  • 「労働の未来」への挑戦における、変化するミャンマーの社会契約

議論の中で認識されたのは、民主化、市場開放後に労働組合が急激に増加したが、労働法制面で不備があること、労使関係構築の営みに政府が参画していくことは有意義であること、各国の経験を参考にしながら、ミャンマーらしい制度を作り上げるべきこと、技術革新、第四次産業革命が労働者に与える影響を考慮する必要があること、等である。

閉会式には、ウー・テイン・スウェー労働大臣が挨拶し、「政労使三者構成主義の意義を認識している。ミャンマーにおいてパートナーシップ労使関係の普及に労働省も取組んでいく」と述べた。

「AECの中で経済・社会が変化しており、第四次産業革命により、更なる市場変革が起こる。労働法の適正化に取組む必要がある。」


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