ブログアーカイブ

女性労働者のリーダーシップ:ペルーの銀行労組

今日、パトリシア・サラザール委員長が率いるサンタンデール銀行労組は、強力なリーダーシップと組織、そして労働組合の国際連帯が困難な状況下でも労働者の権利を守りぬくことを示す力強い事例となっている。パンデミック中、組合の下に団結した労働者は、国際連帯の力を得て、法的措置と抗議活動を通じて大量解雇に立ち向かった。UNIや連帯組織の後押しを受け、ペルーの同労組は最終的に解雇の撤回と組合員の再雇用確保に成功した。

2025年2月28日、スコシアバンクグループは金融部門をサンタンデールグループに売却することを決定し、労働者にとって新たな局面が幕を開けた。この状況下で組合は組織の継続、雇用安定の確保、企業間移動する労働者の地位保護を図りつつ、名称をクレディスコシア銀行労組からサンタンデール銀行労組に変更するプロセスを開始した。

組合の要求事項には、労働者への情報提供と組織化に不可欠な手段である組合掲示板へのアクセス権など、基本的な労働組合権の尊重が含まれた。サラザール委員長は、「些細な要求に見えるかもしれないが、この権利の承認を得るために8年以上も闘ってきた我々にとって、これは重要な成果。法律で定められた権利でありながら、多くの企業が未だに抵抗している」と述べる。今日、サンタンデール銀行は組合の闘いのおかげで、ペルーで唯一組合掲示板の使用が認められている銀行である。

同委員長は、「組合組織の強化と決定的局面における労働者支援の全過程においてUNIの支援は極めて重要だった。サンタンデール銀行労組の国際的なネットワークからの支援は、スペイン本部の組合と連携した具体的な行動を通じて、労働者の権利のための闘争を持続させ、組合員にとっての具体的な進展を確固たるものにした」と振り返り、「この経験は、労働組合の国際連帯が具体的な成果—権利保護、組織強化、より強固で民主的な組合構築の進展—につながることを示している」と結んだ。

コロナ禍からのプロセス

2020年10月、当時スコシアバンクグループ傘下だったクレディスコシア・フィナンシエラは、100人以上の組合員と執行委員全員を含む350人の労働者を対象とした集団解雇手続きを実施する計画を発表した。この措置は労働者の雇用だけでなく、労働組合そのものの存続をも脅かした。

労働者の権利を防衛する闘争を主導したサラザール委員長は、「パンデミックの最中に解雇されることは、実質的に飢え死にを意味した」と語る。その後数か月間、組合は動員と法的防衛の強力なキャンペーンを展開し、組合員は20回以上のデモ行進を組織し、国家労働監督庁(SUNAFIL)、労働省、司法機関への申し立ても行った。

この過程には困難な局面もあった。ある動員活動の中で、組合幹部は拘束され暴行を受け、数日間にわたって投獄された。組合員の約60%を占める女性労働者も抗議活動中に虐待的な扱いを受ける事態に直面し、労働者の権利を守る上で女性が直面するさらなる困難を浮き彫りにした。

この闘争で組合は最終的に、集団解雇の撤回と組合員の復職を勝ち取ったのである。パンデミック下でペルーの多くの企業が同様の措置を講じていた状況下にあって、特に意義深い成果と言える。


国際産業別労働組合組織はイラン・中東における即時停戦と軍事的エスカレーションの終結を求める

UNIは他の国際産業別労働組合組織(GUFs)と共に、米国及びイスラエルによるイランへの軍事攻撃、並びにこれらが招いた紛争の激化を非難する。共同声明は以下の通り:

共同声明に署名したGUFsは、米国とイスラエルによるイランへの最近の軍事攻撃、特に民間人の死傷や学校・医療施設を含む重要な公共インフラの破壊をもたらした空爆を非難する。

これらの行動は国連憲章及び国際人道法に対する重大な違反であり、その人的被害が圧倒的に労働者階級に押し付けられている紛争をさらに激化させるものである。

労働者、民間人、公共機関は軍事作戦の標的となってはならない。学生、教師、教育関係者の殺害・負傷、学校や病院などの保護された民間施設の破壊は許されず、断固として非難されねばならない。

GUFsは、イランによるその後の報復攻撃にも懸念を抱いている。エスカレーションは不安定化を助長し、民間人の生命を脅かすだけである。港湾・空港・海上における移民労働者や運輸労働者(既に地域全体に広がる暴力で死傷が報告されている)は交戦状態に巻き込まれており、地域をより広範で壊滅的な戦争に陥れる危険性がある。

世界の労働組合運動は、暴力の連鎖を助長し、平和・正義・多国間協力の基盤を損なう武力行使を拒否する点で結束している。武力衝突ではなく外交こそが、安全保障と恒久的な平和への唯一の正当な道である。

様々な部門・大陸の何百万もの労働者を代表する組合として、我々は国際社会に対し以下を要請する:

  • 全ての当事者による武力行使を非難し、さらなるエスカレーションを防止すること
  • 即時停戦と完全な緊張緩和を確保すること
  • 国連のより強化された調整機能を包む外交と対話を優先すること
  • 国連憲章や民間人保護を含む国際法を擁護すること
  • 学校、病院、職場などの重要な公共インフラを保護すること
  • 地域全体における人権、労働者の権利、民主的自由、結社の自由を擁護すること

GUFsは、イラン及び地域全体の労働者、独立した労働組合、コミュニティと揺るぎない連帯を表明する。権威主義的統治と軍事化の論理によってあまりにも頻繁に沈黙させられてきた労働者の声が、必ず聞き届けられるようにしなければならない。イランの未来、そして地域の未来は、外部からの侵略や内部の抑圧から解放された、その地域の人々自身によって決定されなければならない。

我々は、紛争が交渉によって解決され、多国間主義が強化され、全ての人々が安全と尊厳、民主主義と平和の中で暮らし働く権利を有する世界の構築にむけた揺るぎない決意を改めて確認する。

署名団体:

  • 教育インターナショナル
  • 国際家事労働者連盟
  • 国際公務労連
  • 国際ジャーナリスト連盟
  • 国際運輸労連
  • インダストリオール・グローバルユニオン
  • UNI グローバルユニオン
  • 国際食品関連産業労働組合連合会
  • 国際建設林業労働組合連盟

UNI、インド銀行労組の全国ストに連帯

UNIは、銀行部門における週5日労働を要求するため2026年1月27日に全国規模のストライキを準備しているインド銀行労連(UFBU)傘下の組合——AIBEA、AIBOC、AIBOA、BEFI、INBEF、INBOC、NOBW、NOBO、NCBE——に対し、完全な連帯を表明する。

ニューデリーでインド銀行協会(IBA)、金融サービス局(DFS)、財務省、銀行経営陣の代表者との間で実施された調停協議が失敗に終わったことを受け、今回のストライキが実施される。中央労働委員会の委員長が座長を務めた詳細な協議にもかかわらず、具体的な合意は得られず、UFBUはストライキの実施を決めた。このストライキは、慢性的な人員不足、拡大する業務量、高まるコンプライアンス要求、過酷な業績目標による強いプレッシャー下で働く銀行従業員の不満の高まりを反映したものだ。組合側は、長期にわたる過重労働が労働者の心身の健康に深刻な悪影響を及ぼす一方、公的銀行制度の持続可能性を損なっていると警告している。

ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長は「UNI Aproは、週5日勤務を求めて集団行動を起こすインドの銀行労働者に全面的な連帯を表明する。これは労働の尊厳、労働者の健康、持続可能な公的銀行制度に関わる正当かつ実現が待ち望まれてきた要求だ。疲労と過重労働の上に築かれた金融システムは強固なものになれない。銀行従業員は世界の多くの部門で既に実現されているワークライフバランスを享受するに値する」とコメントした。

この立場に共鳴し、L・チャンドラセカラ全インド銀行従業員連盟(NCBE)書記長は、「ほぼ10年間にわたり、銀行従業員は辛抱強く待ち、建設的な交渉に臨み、公共の利益のために長時間労働さえも受け入れてきた。合意が成立し正式な勧告がなされているにもかかわらず、銀行部門での週5日勤務の実施はずっと遅れてきた。従業員は自らの健康と尊厳、そして銀行システムの持続可能性を守るため、集団行動を取る以外に選択肢がない」と主張する。

UNIは、週5日勤務の要求が国際労働基準と世界的な慣行に完全に合致することを強調する。世界中の銀行システムや公共機関が、規制された労働時間、十分な休息、ワークライフバランスが効率性、説明責任、制度的レジリエンスにとって不可欠であるとの認識を強めている。争議の核心は、団体交渉を通じて既に合意された内容の実施が継続的に遅延している点にある。直近の二者間交渉において、銀行労組は週5日勤務への移行を円滑化するため、労働時間の再構築(労働時間の延長を含む)に合意した。この枠組みはインド銀行協会が署名した合意案で正式に推奨されたものの、政府の承認は未だ保留中である。長年にわたる交渉、見送られてきた労働争議、そして果たされなかった約束を経て、銀行労組は集団行動以外に選択肢が残されていないと表明している。


欧州銀行部門の社会パートナー、暴力とハラスメントに関する画期的な声明に署名

UNI 欧州金融部会と欧州の銀行産業の使用者団体が、部門全体におけるより安全で敬意ある職場環境の実現に向けた共同の取り組みについて正式合意し、欧州の銀行部門において暴力やハラスメントが許されないことを改めて強調した。

2026年1月15日、ベルギー・ブリュッセルにてUNI欧州金融部会と欧州の銀行部門の使用者団体(EBF、ESBG、EACB)は、職場における暴力・ハラスメントの防止に関する共同声明に正式署名した。欧州全域における従業員保護と敬意の払われた職場環境促進に向けた大きな前進となった。

本声明は、ジェンダーに基づく暴力、ドメスティック・バイオレンス、第三者による暴力、職場ハラスメントに対処し、予防・特定・支援策を示している。また、ILO第190号条約、EU女性権利ロードマップ、欧州評議会女性に対する暴力防止条約など、EU及び国際的な主要枠組みと整合するものだ。UNI欧州の職場における暴力・ハラスメント根絶に関する部会横断ガイドラインを基盤としている。

アルネ・ホーシュタインUNI欧州金融部会銀行部門社会対話コーディネーターは、「欧州の銀行業界で働くすべての人が、安全で敬意に満ち、あらゆる形態の暴力やハラスメントのない職場で働くに値する存在だ。この声明は、ジェンダーに配慮したアプローチ、リスク評価、予防戦略が職場の安全に不可欠であることを保証するもの。社会対話は機能するのであり、使用者、労働組合、EUパートナーが協力すれば、より強力で信頼性の高い、持続可能な成果が生まれる」と指摘した。

共同宣言は、労働安全衛生に対する使用者の主な責任を強調すると同時に、予防・支援措置の実施における社会対話と団体協約の重要な役割を認識している。必要とされる研修、報告手続き、被害者支援、柔軟な勤務形態について、明確な基準を定めている。

イェンス・タウ欧州銀行連盟(EBF)欧州社会問題銀行委員会委員長兼AGV Banken(ドイツの民間銀行使用者団体)副理事長は「すべての従業員は、安全で尊重され、価値を認められる環境で働く権利を有する」と述べ、「暴力やハラスメントは我々の業界に存在すべきではない。その防止は道義的義務であるだけでなく、法的義務であり、信頼とウェルビーイングを強化し、高品質で長期的な業績の基盤となるオープンで友好的な職場環境を確保する経済的要請でもある」と指摘した。

マイケル・ブドルフセンUNI欧州金融部会議長は今回の合意を歓迎し、「この共同声明は対話と協力の力を証明するものだ。この原則に共同で取組むことで、従業員が暴力やハラスメントを恐れずに活躍できる職場が創出される。これは欧州全域の労働者にとって具体的な前進だ」と述べた。

また、エルケ・マエスUNI欧州金融部会副議長も、「予防、研修、支援が鍵となる。本声明によって全ての従業員が、尊厳、健康、ウェルビーイングを守る仕組みを利用できるようになる。銀行業界で社会対話が具体的な成果を生んだことを誇りに思う」と付言した。

署名により新たな実施段階に入り、全ての当事者は声明を国・部門・企業レベルでの実践的行動に移すことになる。UNI欧州金融部会は進捗を注視し、ベストプラクティスを共有し、加盟組織と使用者が職場の安全・尊厳・包摂性を強化する支援を継続する。

モーリーン・ヒックUNI欧州金融部会担当部長は「この共同声明は単なる紙の上の言葉ではなく、変革に向けた青写真だ。我々の今後の課題は、リスク評価から被害者支援に至るあらゆる措置が一貫して効果的に適用されるようにすることだ。共に取組むことで、欧州の銀行を全ての人にとってより安全な職場にすることができる」と強調した。


チリで銀行休業日が復活:労働組合の勝利

UNI米州は、最近チリで復活した銀行休業日を歓迎する。これは金融産業労働者の歴史的な権利であり、フィンテック法施行後に廃止されていたが、銀行・金融産業労連(CSTEBA)の結束した取り組みにより、復活した。

数十年にわたり、12月31日は銀行における対面顧客サービスが停止される日であり、年末の決算業務と従業員の内部業務に必要な時間を確保する役割を担ってきた。

チリ議会の今回の決定は、大きな後退を是正するとともに、銀行部門における休息・労働編成・業務安全を保障する労働条件保護の重要性を再確認するものである。

ルイス・メシーナCSTEBA書記長は、「休日が廃止されていたことで、労働者に不要な負担が増えていただけでなく、このことは何世代にもわたり労働者が勝ち取った権利が徐々に解体される象徴でもあった。小さくとも重要な勝利だ。労働組合は、制度的決定によって自らの利益や権利が脅かされた時、結束し闘って権利を守らなければならない」と語った。

今回の議会採決は、この権利を保護する必要性を明示的に認め、金融産業で働く数千人の労働者に安定性を取り戻した。この措置は業界に対し、労働者の権利を犠牲にしたり、機関のみに利益をもたらす業務量やペースの圧力を従業員に転嫁したりすることで近代化は実現できないという明確なメッセージも送っている。

ギジェルモ・マフェオUNI米州金融部会担当部長は、「労働時間がフレキシブルになり、既得権益が弱体化し、労働者への最低条件を伴わないサービスモデルへの移行が試みられている地域的状況において、この成果は重要な先例を確立した。集団的防衛が逆行的な決定を覆し得ることを示している」と指摘した。

UNI米州は、金融産業の労働者および尊厳ある予測可能で人間的な労働条件を求めて闘い続ける全ての労働組合へのコミットメントを、改めて表明する。


UNI Apro、永島智子新会長を歓迎

永島智子UAゼンセン会長が、UNI Aproの新会長に就任することが決定した。2025年10月28日に開催された臨時UNI Apro運営委員会での推薦を経て、UNI Apro執行委員会で承認された。

UNI Apro史上初の女性会長であり、アジア・太平洋地域の労働運動における女性のリーダーシップにとって画期的な出来事だ。

地域リーダーシップにおける歴史的節目
永島新会長の選出は、継続性と刷新の両方を体現している。継続性とは、UAゼンセンの長年にわたるUNI Aproへのコミットメントであり、刷新性とは、地域組織を率いる初の女性として永島新会長が担う先駆的役割である。永島新会長の任期は、アジア太平洋地域の労働組合が女性、若年労働者、非正規雇用・プラットフォーム労働者の代表拡大に尽力する時期に当たる。

ラジェンドラ・アチャリヤUNI Apro地域書記長は、「永島UNI Apro新会長の就任を心より歓迎したい。UNI Apro初の女性会長の誕生という、歴史的な出来事だ。同氏の就任を祝福するとともに、地域全体の運動強化に向け、緊密な連携を大いに期待している」と述べた。

永島新会長の略歴とリーダーシップ
永島UNI Apro新会長は、特に小売・商業分野において、組合指導者として深く多様な経歴を持つ。
• 2016年、イオンリテールワーカーズユニオン中央執行委員長、パートタイム労働者や非正規労働者の組織化活動を推進。
• 2018年、イオングループ労働組合連合会会長に就任、非正規労働者における同一賃金と組合加入率向上のための運動を推進。
• 2020年、UAゼンセン副会長 流通部門長。日本の商業部門の変革に対する同組織の構造的対応を主導。
• 2022年12月、UNI世界商業部会副議長に選出。
• 2024年9月、UAゼンセン第13回定期大会において会長に選出。UAゼンセンはパートタイム労働者の組織化と日本における賃金格差の縮小における功績を認められ、2024年11月に「UNIブレイキングスルー賞」を受賞。

強力なレガシーを継承
UNI Apro運営委員は、退任する松浦昭彦会長に対し深い謝意を表明した。松浦昭彦UNI Apro会長(同じくUAゼンセン)は2021年11月よりUNI Apro地域会長を務め、その任期中、地域の一体性が強化され加盟組織間の協力が推進された。同氏のリーダーシップのもと、UNI Aproはパンデミック後の複雑な復興期を乗り切りつつ、世界で最も多様性に富む地域の一つにおいて、労働者の権利、民主主義、労働組合の連帯を推進し続けてきた。
退任にあたり松浦昭彦UNI Apro会長は、「UNI Apro会長を務められたことを光栄に思う。この数年間、加盟組織の皆様からのご支援に深く感謝申し上げたい。永島新会長と新たな指導部のもと、UNI Aproが引き続きApro地域の労働者にとって不可欠な組織として成長していくことを確信している」と挨拶した。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は「永島UNI Apro新会長の就任を心よりお祝い申し上げる。我々の運動全体でより多くの女性が指導的立場に就くのは素晴らしいことであり、優れたリーダーになることを確信している。永島新会長と共に取組み、地域全体の労働者に対する新会長の力強い貢献を支援していく」とコメントした。

永島智子UNI Apro新会長は謝意を述べた後、「我々は地域的にも世界的にも多くの課題に直面している。これらに対処するには結束し協力しなければならない。運動の強化を継続する中で、皆様と協力できることを楽しみにしている」と挨拶した。

今後の展望
永島新会長の任期開始にあたり、UNI Aproは引き続き、増え続ける不安定雇用・パートタイム・プラットフォーム労働者の組織化、テクノロジーとAIが雇用に与える影響への対応、気候変動関連の混乱への対処、そして脅威にさらされているあらゆる場所での民主主義と人権の擁護に注力していく。


UNI Apro金融部会大会、アジア太平洋地域における強固な労働組合と持続可能な金融の道筋を示す

2025年10月15~16日にフィリピン・マニラで第7回UNI Apro金融部会大会が開催された。集団的な力を強化し、持続可能な金融を推進し、業界を再構築するデジタル変革に労働者として備えるべく、アジア太平洋地域の金融産業の労働者を代表する組合が結集した。

ジュリア・アングリサノUNI Apro金融部会副議長が議長を務めた本大会には、13カ国24加盟組織から27名の代表者と67名のオブザーバが参加した。『アジア太平洋地域における強い金融労組の実現に向けて共に立ち上がろう』をテーマに開催され、テクノロジーおよび環境面での前例のない課題に直面する金融労働者の力の構築に向けたUNIのコミットメントが再確認された。

ラジェンドラ・アチャリヤUNI Apro地域書記長は、歓迎挨拶の中で、金融部会の組合強化における地域協力の重要性を強調して次のように述べた。「労働組合としての我々の任務は極めて明確だ。デジタル変革が労働者にとって不利益とならぬよう、労働者の利益となるようにしなければならない。それは公正な移行の保障、再訓練・スキルアップ・リスキリングの実施、そしてディーセントワークと社会対話を保護するということだ。」また同氏は、金融産業の企業慣行への懸念が高まっていることを強調し、収益を上げている銀行がAIを活用して雇用を削減しながらオフショアリングを継続している事例を挙げ、「これはシンプルに、企業が強欲だということ。我々は団結して、これを止めるよう声をあげなければならない」と訴えた。

人工知能とデジタル変革
人工知能と自動化が銀行・金融サービスを急速に変革する中、参加者は労働者の権利を保護する公正なデジタル移行の確保について深い懸念を表明した。会議ではUNI金融部会の新冊子『AIを形作り、仕事を守る:デジタル金融時代に向けた労働組合戦略』が発表された。これはAIが雇用・技能・職場ガバナンスに与える影響に対処するための主要な組合戦略と提言をまとめたものである。

加盟組織からは、雇用喪失、AI導入における透明性の必要性、アルゴリズム管理への懸念など差し迫った課題が提起された。参加者は、技術が労働者を置き換えるのではなく利益をもたらすものとなるよう、組合がAIリテラシー構築、公正なAIガバナンス枠組みの交渉、より強力な規制保護の提唱に取組む重要性を確認した。

持続可能な金融と気候変動への対応
大会では持続可能な金融と気候変動への対応策に重点が置かれ、参加者はグリーンファイナンス、再生可能エネルギー投資、気候レジリエンスに関する取組みを共有した。セッションでは、金融機関と労働組合が連携して責任ある融資慣行を推進しつつ、スキルアップ・再訓練プログラムを通じて労働者が環境に配慮した移行に対応できるよう準備する方策が検討された。

加盟組織は、特に排出量は少ないが気候リスクの高い脆弱地域において、労働者の再訓練、手頃な保険、気候対応戦略を含む公正な移行の緊急性を強調した。参加者は、公共資産の保険適用範囲拡大、持続可能な金融原則に関する継続的研修、環境配慮の銀行中核業務への統合など、成功事例を共有した。

デジタル時代における団体交渉
金融部会大会では、デジタル変革・アルゴリズム管理・雇用喪失に対処するため、団体交渉戦略を刷新することが急務であることが議論された。そしてテクノロジー導入に際しての透明性確保、職場変化に関する実質的な協議の実施、進化する金融産業に必要なデジタル・グリーンスキルを労働者に提供するため、組合が団体協約をどう活用できるかについて、検討がなされた。

加盟組織は、AIによる雇用削減への挑戦、持続可能性と包摂性を考慮した銀行業務に向けた影響力行使、技術変化に伴う公正な労働条件の交渉において、集団的力を活用した成功事例を共有した。セッションでは交渉力を構築し国境を越えたベストプラクティスを共有する上で、地域連帯の重要性が強調された。

2026~2030年の戦略的行動計画を採択
金融部会大会では包括的な「2026~2030年UNI Apro 金融部会戦略的行動計画」が採択された。地域全体の共同行動を導く明確な優先事項を定めた。
計画は5つの主要な柱に焦点を当てる:

  1. 南アジア・東南アジアにおける組織化を通じた組合の力の拡大
  2. リーダーシップ育成と技能訓練による能力構築
  3. デジタル変革と気候課題に対応する団体交渉
  4. 人権デュー・ディリジェンスを含む企業説明責任
  5. 公正な経済発展のための公正な移行と持続可能な金融

大会では、従来の労働者の権利を超えた企業説明責任の事例が強調された。ジュリア・アングリサノ議長は、UNIがBNPパリバに対し、占領下のパレスチナ地域で事業を行う企業への融資を停止するよう求めた事例を挙げ、金融機関に人権と倫理的金融の説明責任を問うことで組合が達成できる成果の証左とした。

行動計画は、ジェンダー平等、若年層の参加促進、そして十分な金融サービスを受けられないコミュニティに対する手頃な金融サービス提供における公的部門銀行の重要な役割に関するコミットメントを再確認している。

注目すべき大会セッション
大会では、地域の優先課題とパートナーシップに取り組む二つの重要なセッションが行われた。

アジア開発銀行(ADB)のステークホルダー協議枠組みに関する知識共有セッションでは、労働組合との協働における三つの優先分野が示された:市民社会の有意義な関与の拡大、知識共有と対話の強化、説明責任と透明性イニシアチブの推進である。本セッションでは、金融セ産業の労働組合が地域全体の持続可能な開発プロジェクトにおいてADBと連携する機会が強調された。

大会では、ミャンマーにおける人権改善に向けたUNI Aproの戦略的キャンペーンについて再確認がなされた。これには、金融産業労働者に対する権利侵害の記録、軍事政権を支援する団体の追跡、研究者・法律専門家・政策立案者による連合の構築が含まれる。加盟組織は、ミャンマー労働者の実態を広く伝え、対象を絞った制裁を推進し、ミャンマーに関するILO第33条決議の実施を各国政府に働きかけるよう尽力する。

連帯と地域支援
大会では、重大な課題に直面する加盟組織を支援する2つの連帯声明が採択された。一つ目はスリランカに関する声明であり、国有銀行の民営化と専門住宅金融機関を脅かす規制上の制約から銀行を守るための運動を展開するセイロン銀行従業員組合(CBEU)への連帯が表明された。また大会は、不利な規制変更を受けて労働権、雇用保障、独立管理退職基金を守るネパールの金融労組(FIEUN)による継続的な闘争を支持した。

リーダーシップと地域協力
大会では新たなUNI Apro金融部会委員会が選出され、中野剛損保労連委員長がUNI Apro金融部会議長として承認された。大会ではUNI世界金融部会委員会の代表者も選出された。
また、強力な団体交渉の必要性、若年層・女性の組合参加促進、新興市場における組織化活動の拡大など、グローバルな優先課題が示された。

閉会
閉会にあたりジュリア・アングリサノ大会議長は、この集まりの意義と代議員が描いたビジョンについて「私たちは単なる作業計画の見直しを超えた——ビジョンを確立した。それは強固で未来に対応し、正義と民主主義に根差した組合のビジョンだ」と振り返り、「ソウルからシドニー、バンコクからコロンボまで、地域の隅々から経験が共有された。どの物語も私たちに同じ真実を思い出させてくれた。金融労働者は団結すれば、我々は公平性を実現する上で止められない力となることができる」と述べ、地域全体の連帯の力を強調した。最後に「各組合において、意思決定レベルで女性のための場を創出し続けるよう強く求める。次回の会議ではより多くの女性が参加することを期待する」と述べた。

新たに選出された中野剛会長は、参加者全員に感謝の意を表し、「議長としての私の最初の使命は明確であり、それはこの行動計画を具体的な成果に転換すること。この場に集う全ての加盟組織の集合的な知恵、経験、そして力を結集し、共に運動を築き上げよう」と訴えた。

大会は、2026~2030年活動計画の実施と地域協力の深化を通じ、アジア太平洋地域の金融労働者全員に公正で安全かつ尊厳ある労働を実現できる強固な組合を構築することを誓って閉幕した。次回のUNI Apro金融部会委員会は2026年後半に東南アジアで開催される。


「保護主義や人口減少問題は共通の課題」UNI Apro東アジア労組フォーラムに130名が集結!

第11回目を迎えたUNI Apro東アジア労組フォーラムが、日本、韓国、台湾、モンゴル、香港各国・地域の労働組合代表129名が済州島に集い、保護主義、AIの進展、少子高齢化、ジェンダー平等、若者のエンパワメントなど、労働者を取り巻く多様な課題について意見を交わした。各国からは、民主主義や労働権の危機、女性や若者の参画促進、国際連帯の重要性が強調された。基調講演では、保護主義の経済的影響と労働界の対応が論じられ、配送業やメディア業界における過酷な労働環境や表現の自由の問題も共有された。また、ジェンダー平等に関する取り組みとして、女性の意思決定参画や健康支援制度の整備が報告され、若年層のキャリア支援や組合活動への参加促進の重要性も確認された。本フォーラムを通じて、各国の労働組合が直面する共通課題への理解が深まり、持続可能で包摂的な社会の実現に向けた国際的な連帯の強化が再確認された。なお、次回の開催年と開催地:2026年に台湾となる。

 1日目 

■開会式

冒頭でホスト国を代表してキム・ヒョンスン(IFIU委員長)UNI-KLC議長が、済州(チェジュ)は正義と和解の象徴として、世界にその存在を知られるようになった。この島は、かつての苦難を乗り越え、民主主義を守り抜いた歴史を有している。米国発の新たな経済戦争の波が押し寄せ、世界的な危機が労働者に重くのしかかっている。しかし、労働者はこれまでも幾多の困難を連帯の力で乗り越えてきた。済州に集った我々は、改めてその連帯の精神を確認し、平和で公正な社会の実現に向けて歩みを進める決意を新たにしている。済州の風は、抵抗と希望の風であると連帯挨拶を述べた。

■基調講演

テグ大学 経済学部 キム・ヤンヘ准教授は、日本・台湾・韓国は輸出主導型経済を築いてきたが、現在の保護主義の台頭により国際協力が困難になっている。韓国・慶州でのAPEC開催を前に、米韓関係への注目が高まる一方、APECの交渉は実質的成果に乏しいとの批判もある。トランプ前大統領の関税政策は、統治手段として機能し、インフレや投資コストの上昇を招いた。中国との資源を巡る対立や、同盟国への圧力も強まっている。再登場の可能性があるトランプ氏の影響で、国際通商体制の不安定化が懸念される中、各国労働界の連携と米国労働界の対応が重要となる、と言及した。

■テーマ別セッション:4つのテーマについて、各国の加盟組織より報告が共有された。

サブテーマ1:東アジアの労働者が直面する現在の政治的、経済的、社会的状況と課題

  • 日本(西谷涼子 JAW国際局局長):自動車産業は関税戦争の影響が懸念され、国内販売も2012年以降500万台を下回っている。2035年までに電動車化が進む中、公正な移行が重要である。約3万点の部品で構成される自動車は、サプライチェーンの安定が不可欠。自動車総連は税制の見直しや投資支援を求め、国内需要の喚起と持続的な発展に向けて取り組んでいる。
  • 韓国(ナ・ヨンミョンKHMU保健医療労組企画室長):米国の保護主義的な圧力により、韓国経済は関税や投資条件で不利な状況に置かれ、成長率の低下や雇用不安が広がっている。社会では高齢化や格差、極右勢力の台頭も進行中。こうした中、労働組合は労働時間の短縮、非正規職の正規化、地域交渉の活性化、医療・教育負担の軽減など4つの戦略を掲げ、組織拡大と政治的連携を強化しながら、内需中心の経済と国際連帯の構築を目指している。
  • 台湾(リン・イーフン CPWU国際部長):台湾は保護主義の圧力や米国との交渉の前提に直面し、経済安全保障の強化が求められている。IT産業は成長しているが、2025年には超高齢社会に突入し、人口の30.6%が高齢者となる見通しで、経済への影響が懸念される。賃金の低下や労働力不足も課題であり、58%の人が対中貿易を望んでいる。今後は、エネルギー・AI・産業交渉など多角的な政策と社会の体系化、リスク分散、デジタル化による安定的な発展が必要である。
  • モンゴル(バンディ・バヤガルマー ICN労組):2024年、モンゴルの貿易総額は274億ドルで、中国とロシアが80%以上を占める。輸出は石炭や銅など鉱物資源が中心。2025年、トランプ米大統領は全輸入品に10%の関税を課す政策を導入し、モンゴルのカシミヤなど主要輸出品に影響が及ぶ。これにより物価上昇や経済不安が懸念され、国内では教師や医師による賃上げ要求のデモが起きている。
  • 香港(マイケル・シウ RCCIGU): 2025年4月、トランプ米大統領は「解放記念日」として相互関税の停止を発表したが、中国には145%の関税を課し、香港・マカオにも影響が及んだ。香港では米国が中国製品と同等の関税を適用し、株式市場が急落。香港政府はWTOに提訴した。労働組合は保護主義の影響から労働者の権利を守るため、企業や政府との交渉を強化し、国際連携を通じて公正な貿易ルールを求めている。

 2日目 

サブテーマ2:人口構造危機-少子化、雇用年齢や定年年齢の延長、年金制度改革および年金基金の管理

2-1)人口構造危機と少子化:労働組合は何ができるか?

  • 日本(鈴木基子 JP労組中央執行委員):日本郵政グループは、少子高齢化による労働力不足や業務量の減少に直面している。社員数や新卒採用数の減少、郵便物や保険契約件数の減少が続く中、JP労組は65歳定年制度や短時間勤務制度、育児・介護休業応援一時金などを導入。地域ニーズに応じた柔軟な働き方や効率的な運営体制を提言し、持続可能な事業と安心して働ける環境づくりに取り組んでいる。
  • 韓国(シン・スンイル FKMTU):少子化は財政赤字だけでなく、社会保障制度の持続性に関わる深刻な問題である。特に交代勤務の現場では支援制度が機能せず、代替人員の確保が課題となっている。労働組合は賃金問題にとどまらず、子育て支援や制度改善に取り組む必要がある。少子化は東アジア全体の共通課題であり、労働組合の連帯によってこの危機を乗り越えることが求められている。
  • 台湾(シューチーチェンCPWU青年活動委員会議長):台湾の公共テレビとその組合員構成、同労組による長時間労働是正と勤務形態の多様化に向けた取組みについて、概説した。組合として次の勤務までの休息時間の確保、等に取組んでいる。高齢化が進む中、交渉によって年5日の有給の介護休暇を獲得した。また「報道者」について、残業削減に向けて、超過勤務指示が直前に行われた場合には代休時間を増やすことを協約で定めた。
  • 韓国(キム・ジンホン KFIU副委員長):韓国の金融労組KFIUは約10万人の組合員を擁し、産業別交渉を通じて労働環境の改善を推進している。2002年に週5日勤務制を導入し、2025年には週4.5日勤務制を提案。金曜日午後の自由時間は地域経済の活性化や少子化対策に寄与する。韓国の労働時間はOECD平均を上回り、AIの進展により事務職の働き方も変化している。KFIUはAIによる人員削減ではなく、労働時間の短縮と仕事の分かち合いを選択。6か月の交渉の末、金曜日の1時間短縮を実現し、制度化に向けた議論を開始した。
  • 香港(チェン・ライハ RCCIGU書記長):香港の出生率は世界最下位レベルで、経済的・政治的圧力や雇用環境が大きく影響している。教育環境を求めて移住する家庭も多く、若年層の流出が社会構造に影響を与えている。1997年以降、中国本土からの入国者は約203万人に達し、人口減少を部分的に補っている。2023年には新生児1人につき2万香港ドルの給付制度が導入されたが、効果には限界がある。労働組合は育児休暇や家族支援制度の拡充に取り組み、民主主義と自由の保障が出生意欲に直結することを訴えている。
    • 雇用年齢や定年年齢の延長
  • 日本(市川勝也 生保労連 中央副書記長):生保労連の組合員は約70%が営業職員、90%が女性で構成され、年7回の労使交渉で賃金や雇用制度を協議している。高齢化に伴い、65歳以降も働ける制度が整備されつつあり、一部企業では70歳定年・同水準の処遇を提案。組合員からは評価の声がある一方、若手の働きやすさや退職金制度への懸念もあり、慎重な制度設計が求められている。
  • 日本(西川由起 UAゼンセン流通部門執行委員):UAゼンセン流通部門では高齢化と人手不足に対応し、定年延長や再雇用制度の整備を推進。多くの企業が60〜65歳定年で、再雇用は97%が導入済み。「まいばすけっと」では75歳まで働ける「シニアパートナー制度」を導入し、健康診断や社保加入も実施。組合は、働き方の選択ができる社会の実現を目指している。
  • 台湾(ワン・スーユCTWU常任理事):台湾では高齢化が急速に進む中、高齢者の労働参加率は約10%と低く、労働力活用が課題となっている。CTWUは定年延長や再雇用制度の改善を提言し、2024年には抗議活動も実施。政府は補助金や再訓練支援を行っているが、年齢差別や早期退職の問題も残る。中華電信では従業員の3分の1以上が51歳以上で、若年層の採用が進まず、CTWUは柔軟な勤務制度や再教育の充実を通じて持続可能な雇用を目指している。
  • 持続可能な国民年金または年金基金の管理
  • 日本(金織すみえ 損保労連 中央執行委員): 日本の年金制度は3階建てで、公的年金(国民年金・厚生年金)に加え、企業年金やiDeCoなどの私的年金が老後を補完している。少子高齢化により公的年金の給付水準は低下傾向にあり、私的年金の重要性が高まっている。企業年金は確定給付型(DB)から確定拠出型(DC)への移行が進み、損保労連はDC制度の改善や投資教育の充実を企業に求めている。
  • KFSWU書記長):韓国では出生率の低下と高齢化が進み、2060年には労働人口1人が高齢者1人を支える社会になると予測されている。年金制度は3階建てで、退職年金の準備金は2024年に431兆ウォン、収益率は4.77%。政府は2025年に基金型退職年金制度の導入を提案し、NPSによる管理や専門機関の設立を検討。安定性と収益性の両立を目指し、海外事例も参考に制度改革が進められている。
  • 台湾(チャン・フイチェン CTWU主任):韓国では出生率の低下と高齢化が進み、2060年には労働人口1人が高齢者1人を支える社会になると予測されている。年金制度は3階建てで、退職年金の準備金は2024年に431兆ウォン、収益率は4.77%。政府は2025年に基金型退職年金制度の導入を提案し、NPSによる管理や専門機関の設立を検討。安定性と収益性の両立を目指し、海外事例も参考に制度改革が進められている。

サブテーマ3:ジェンダー平等と若者のエンパワメント

3-1)UNIの3Mキャンペーンとジェンダー平等に関する組合活動

  • 日本(浅野祥 情報労連中央執行委員):日本ではジェンダー平等の整備が遅れており、情報労連は1998年から女性参画を推進。2025年度からは「第2次ジェンダー平等推進計画」を策定し、クォータ制やトップの発信で数値目標の達成を目指している。中央執行委員会の女性参画率は46%、KDDI労組では30%以上の登用を目標に掲げ、職場の風土改革が進行中。今後はダイバーシティ推進と心理的安全性の確保に取り組む。
  • 日本(大西裕加 UAゼンセン):UAゼンセン総合サービス部門では女性組合員が60%以上を占める一方、役員比率は27%と低く、意思決定への参画が課題。2015年にダイバーシティ推進委員会を設置し、2024年からは委員会に女性枠を導入。「Uni女会」ではネットワーク構築やリーダー育成を進め、更年期などの課題も共有。女性リーダーワーキングチームによる研修も実施し、意思決定への女性参画拡大を目指している。
  • 台湾(カン・ウエンチー CPWU 三重分会理事長):台湾では女性の健康に配慮した休暇制度が整備されつつあり、月経休暇は法的に保障されているが取得率は低い。台湾金融労連は2021年に更年期休暇を提案し、2025年には診断書不要の原則が確立。制度は一般化し、企業が拒否できない仕組みとして定着しつつある。労働組合は職場文化の改善と法整備を通じて、女性が安心して働ける環境づくりを目指している。

3-2)若者のエンパワメントに関する現状報告

  • 日本(北堀卓思 全信連議長):日本企業では健康経営や社内副業制度など、従業員を尊重した柔軟な働き方が広がっている。信託銀行業界では専門性が高く、若手の焦りも見られる中、全信連はキャリア支援として異業種交流会や座談会を開催。若者が自己肯定感を高め、主体的にキャリアを築けるよう支援しており、労働組合はその後押し役として重要な存在となっている。
  • 台湾(イェ・チンユ CTWUストライキチームメンバー):台湾では一人当たりGDPが34,000米ドルに達する一方、若年層の賃金は低く生活に余裕がない。CTWUは退職金制度の改善や雇用主拠出金の引き上げを求め、2023年には2,000人以上が集会に参加し成果を上げた。青年キャンプや交流イベントを通じて若者の参加意識を高め、組合の力強化と社会への好影響を目指している。

サブテーマ4:特別報告

  • FSU-全国クーリエ労組クーパン本部議長):韓国のクーパンは自社物流子会社CLSを通じて垂直統合型配送モデルを展開し、365日・深夜配送を標準化。業界全体に過剰なサービス要求が広がり、CLSでは週60時間超の労働が常態化し過労事故も発生。2021年の社会合意を守らず、労働組合は夜間作業の制限や強制休息の法定化を求めている。「スピードより命」を掲げ、持続可能な産業構造の構築が急務となっている。
  • 韓国(リー・ホーチャンNUMW委員長):韓国では虚偽情報への制裁強化が進み、最大10億ウォンの懲罰的損害賠償を可能とする法改正が議論されている。判断の曖昧さから言論の自由が抑圧される懸念もあり、報道への捜査がメディアの萎縮を招いている。NUMWは表現の自由を守るため法改正に反対し、慎重な制度設計と社会的議論の必要性を訴えている。

■閉会式

第11回東アジア労組フォーラムには、日本、韓国、台湾、香港、モンゴルから129名が参加。保護主義の台頭、グローバル秩序の変化、少子高齢化、ジェンダー平等、若者のエンパワメントなど、労働者を取り巻く課題について活発な議論が行われた。

基調講演では保護主義の影響と労働界の対応が取り上げられ、各国からは政変、産業構造の変化、生活費高騰への対応が報告された。特別報告では、過労死対策や言論の自由の擁護についても認識が共有された。

韓国加盟協議長のキム・ヒョンスン氏はクロージングメッセージで、「韓国の悩みを分かち合えたことに感謝する。保護主義や人口減少問題は共通の課題であり、皆で解決策を見出し、共に道を切り拓いていこう」と語った。

次回フォーラムは2026年に台湾で開催される予定で、CTWUとCPWUの両委員長がホスト国として歓迎をしますとメッセージを参加者に送った。

なお、各セッションでは以下の方々が司会を務めた。

  • サブテーマ1:(韓国)シン・キオン    KFIU国際担当部長
  • サブテーマ2:(日本)豊福麻実      労済労連 副書記長 
  • サブテーマ3:(台湾)トゥー・ユーウェン CPWU書記長 
  • サブテーマ4:(韓国)キム・オクラン   FKMTU政策企画部長
  • 閉会:        UNI-KLC ジェイ・チョイ事務局長

第2回、UNI Apro東アジア金融労組フォーラムを韓国・済州島で開催!

2025年10月、韓国・済州島にて日本と韓国のUNI加盟金融労組より30名が一堂に会し、第2回UNI Apro東アジア金融労組フォーラムが開催された。2023年10月に開催されてから、2年振り2回目の開催となった。LCJ金融部会からは、*敬称略(損保労連)中野剛、原田龍人、山口悠、金織すみれ、(全信連)北堀卓思、塩谷麻子、西村匡史、植田莉帆、(生保労連)市川勝也、植木英之、(労済労連)豊福麻美、(全労金)深見正弘、(JP労組)安達正美、中野博之、鈴木基子、宮城千絵、事務局上田が参加した。

■開会

歓迎の挨拶では、キム・ヒョンスンKFIU委員長は、関税政策による分断が労働者に影響を与える中、東アジア金融フォーラムは連帯と民主主義の強化を通じて、新たな経済秩序の構築を目指す重要な機会である、と述べた。連帯の挨拶では、中野剛 UNI Apro金融部会議長は、フォーラム開催に尽力したKFIUとKFSWUへの感謝を述べ、韓国・日本の金融労組が連携し、地政学リスクや気候変動、AI・デジタル化など歴史的転換期にある課題に共に取り組む重要性を強調。金融機関には社会的責任が求められており、雇用安定とディーセント・ワークの確保には国際連帯と協力の強化が不可欠だと訴えた。ラジェンドラ地域書記長は、現在の課題は過去の問題の積み重ねであり、今後の予測も困難だと指摘。気候変動による災害は保険業に影響を与えているが、すべてが気候要因ではないとし、UNI Apro金融部門は労働・環境・持続可能性の観点から積極的に関与していると述べた。金融は経済の中心であり、組合やプラットフォーム間の連帯が不可欠であると強調。台湾では公的部門の弱さが課題であり、過去にはパリバ銀行の紛争解決にも関与したことに触れ、中野議長の尽力に感謝を表した。

■概要

今回のフォーラムでは、JP労組の中野副委員長が司会を務め、開会の挨拶を通じて金融産業の課題の重要性が共有された。続いて、保険・銀行・郵政・協同組合など各労組から現状や課題、取り組みについて報告が行われた。議論では、少子高齢化、地政学的リスク、技術革新、金融の公共性といった共通課題が確認され、CMIM(チェンマイ・イニシアティブ・マルチ化)の強化やILO条約の活用、地域連携による安定化策などが提案された。協力と構造改革を通じて、持続可能な金融モデルの構築を目指す方向性が共有された。

■基調講演

ジャヤスリ・プリヤラルUNI Apro金融部会担当部長は、金融は経済のOSであり、2008年以降もグローバル金融システムは脆弱性を抱えている。ビッグテックやAI、ブロックチェーン、デジタル通貨の進化により、銀行は従来の仲介モデルからの脱却を迫られ、非銀行金融の台頭も加速。公共性と安定性が問われる中、地域連帯と協同の強化が重要となる。東アジアでは過去の金融危機を教訓に協力体制の構築が進み、地政学的緊張下での連携も課題。量的緩和や暗号資産の影響も含め、持続可能で責任ある金融モデルの確立が求められている、とした。

■加盟組織より報告

日本から金融部会6組織(生保労連、損保労連、全信連、JP労組、全労金、労済労連=発表順)が、韓国からKFSWUが、それぞれ組織紹介および重点取り組み等の報告をし、互いの組織と重点取り組み活動などについて理解を深めた。

  • 韓国(全国事務金融サービス労働組合)イ・ドングン事務総長:韓国の保険産業は、超高齢化・気候変動・低成長・資本規制強化などのリスクに直面。MG損保の清算問題や外資系の撤退もあり、AIや介護・ヘルスケア分野への関心が高まっている。保険の役割は事後対応から生活の質向上へと変化し、日本と韓国の市場は類似。収益源の多様化が課題であり、労働組合は産業活性化に向けた取り組みを進めている。

以下、日本の加盟組織

  • 生保労連(植木英之 中央副執行委員長):生保労連は生命保険産業唯一の産業別労組として発足し、19組合・25万人が加盟。営業職7割・女性9割が特徴で、年7回の労使交渉を通じて賃金や産業課題を協議。震災やコロナ対応では1兆円超の給付を実施し、金融教育や地域安全活動、ジェンダー平等推進を通じて社会的理解の拡大に努めている。
  • 損保労連(原田龍人 中央執行委員):損保労連は、保険代理店による不正請求や料率操作などの業界不祥事に対応。代理店が保険の90%を扱う中、自動車事故での過剰修理や不適切な加入推奨が問題化し、金融庁から是正指導を受けた。信頼失墜を経営任せにせず、説明会やユニオンミーティング、労使懇談会を通じて信頼回復と産業別組織としての役割強化を全国で進めている。
  • 全信連(塩谷麻子 副議長):銀行業界は急激な人口減少と若年層の減少により、企業活動や人材確保に影響を受けている。従来の終身雇用型制度から脱却し、年功序列に依らないキャリア形成が求められる中、労働組合は制度改革や組織風土の変革を支え、組合員の意識変容を促す重要な役割を担っている。
  • JP労組(宮城千絵 中央執行委員):JP労組は郵政関連企業の雇用安定や福祉社会の実現を目指し、職場環境改善に取り組む。金融業界では少子高齢化や金融排除が課題。ゆうちょ銀行は金利変動による収益不安定やデジタル化の遅れ、かんぽ生命は契約減少や人材確保が課題。組合ではユニオンショップ協定や組織活性化を推進している。
  • 全労金(深見正弘 中央執行委員長):全労金は13の労働金庫と関連会社で構成される協同組織金融機関の労組連合で、利益はメンバーに還元される。非正規職員の組織化、ジェンダー平等推進、平和行動、災害支援に加え、若年層の離職対策としてポジティブキャンペーンを展開。金利上昇やデジタル化への対応、業界の将来像について10年を見据えた視点で経営陣と協議している。
  • 労済労連(豊福麻実 副書記長):労済労連は、こくみん共済co-opと関連会社の労組で構成され、9組合が加盟。2026年度はWEB活用など新たな活動スタイルを模索し、次世代活性化と効率性を追求。国際協同組合年への参画や組織統合への対応、協同組合の理解促進を重点に、社会課題に柔軟に取り組む姿勢を強めている。

■閉会

報告の締めくくりとして、中野副委員長は「韓国と日本が直面する課題には多くの共通点がある。社会のサイクルは数カ月で大きく変化し、金融も過渡期にある。今後、フォーラムのさらなる活性化に取り組んでいきたい」と語った。


UNI、BNPパリバに占領下パレスチナ地域との関係断絶を求める

世界300万人の金融労働者を代表するUNIは、フランスの多国籍銀行BNPパリバに対し、占領下パレスチナ地域(OPT)で事業を展開する企業への融資を停止し、同地域におけるイスラエルの違法な入植活動を支援しないよう、人権デューディリジェンスを強化するよう要請している。

2023年10月以降、イスラエルはヨルダン川西岸地区における違法入植地の拡大を加速させ、土地の接収、パレスチナ人コミュニティの強制移住、抑圧キャンペーンの強化を進めている。

2025年9月、オックスファムの報告書『入植地との取引(Trading with Settlements)』において、BNPパリバは「入植地関連企業への上位3大債権者」の一つとして名指しされた。報告書によれば、同行は2021年1月から2024年8月にかけて、入植地関連企業に対し280億米ドルの融資および引受サービスを提供した。これにはシーメンス社への12億米ドルの引受サービスが含まれており、同社はイスラエルのA1鉄道線向けに車両と保守サービスを提供することで、違法入植地への輸送を可能にしている。

同報告書は「占領下パレスチナ地域(OPT)における人権侵害に加担する企業への金融サービス提供や投資を通じて、金融機関自体がパレスチナ人コミュニティが被る人権侵害に寄与しているか、直接関与している可能性がある」と指摘している。

2024年7月の国際司法裁判所の勧告は、軍事占領と入植地を含むイスラエルの占領地域における全存在が違法であり、可能な限り速やかに終結させねばならないと断じている。

2024年11月にUNIはBNPパリバとのグローバル枠組み協定を更新し、世界中の人権・労働権尊重に向けた共同の誓約を次のように定めている。
「本協定の枠組みにおいて、両当事者は国際的に認められた人権の尊重を継続的に支援・促進する。両者は『保護・尊重・救済』という参照枠組みに基づき、企業と人権に関する国連指導原則への支持を確認する。BNPパリバは影響を及ぼす範囲(従業員、サプライヤー、顧客、事業活動を行う地域社会)における人権尊重の促進を約束する。特に、当グループは投資・融資活動を通じて、いかなる形態の人権侵害にも関与しないことを望む。」

UNIは2025年10月8日付でBNPパリバのジャン=ローラン・ボナフェCEO宛てに書簡を送り、同行に対し「この約束を履行し、影響力の範囲内でパレスチナ人民に対する人権侵害及び国際犯罪への関与が確認された、あるいは疑われる事例を終わらせるため、緊急かつ断固たる措置を講じる」よう要請した。

BNPパリバが出した人権に関する声明では、同グループが「グループが資金提供する企業やプロジェクトの影響を受ける可能性のある住民」を含む、ステークホルダーとのあらゆる関係において、BNPパリバの影響力の範囲内で最高水準の人権尊重と促進に取り組むことを説明している。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「BNPパリバは人権侵害に加担しないことを約束した。今こそその言葉を守り、占領下のパレスチナ地域におけるイスラエルの違法な拡張を支援する金融関与を終了すべき時だ。同銀行に対し、西岸地区に関わる厳格なデューディリジェンスを実施し、人権を侵害しパレスチナ人民の土地剥奪を助長する融資活動を停止するためのあらゆる必要な措置を講じるよう求める」と述べた。

同行が人権の擁護・保護を誓約していることを踏まえ、UNIはBNPパリバに対し、占領下パレスチナ地域(OPT)における人権侵害を軽減するための5つの措置の実施を要請する:

1. パレスチナ占領地域(OPT)などの紛争影響地域において、人権デューディリジェンスの強化を公に約束し実施するとともに、OPTにおける入植地関連企業へのBNPパリバのリスクを検証すること。

2.  同行の業務が入植活動を支援したり、イスラエルによるパレスチナ領土の不法占領維持に寄与したりする可能性のある領域を特定すること。金融投資や取引が不法占領(違法な入植地を含む)への実質的支援を伴い、BNPパリバがその関連性を認識しているか認識すべき状況にある場合、関与を停止するための措置を講じること。リスクを軽減できない場合には、責任を持って取引関係を終結させることも含む。

3.人権デューディリジェンスを強化した結果を公表すること。これには特定された問題に対処するためにBNPパリバが講じた措置の詳細を含めること。

4.業界団体、規制当局、政策立案者、基準設定機関と連携し、紛争影響地域における人権デューディリジェンスの強化を業界標準として推進すること。

5. BNPパリバが資金提供および/または投資を行う入植地関連企業(特にシーメンス)に対し、影響力を行使して入植地関連活動の終了を促すこと。

UNIは、フランス国内の加盟組織(FBA-CFDT、FEC-FO、FSPBA-CGTを含む)を通じてBNPパリバの労働者を代表している。

ベアトリス・ルパニョールCFDT銀行・保険労連(FBA CFDT)書記長は、「CFDT銀行・保険労連はBNPパリバとのグローバル協定の締結を歓迎したが、西岸地区における違法入植地関連の投資・融資活動の存在を知り深く衝撃を受けている。これらは占領下のパレスチナ地域で既に侵害されてきた人権に対するさらなる極めて重大な侵害であり、国連指導原則及びOECDガイドラインの両方に反する。(…中略…)FBA CFDTはBNPパリバに対し、デューディリジェンス義務を完全に遵守するための徹底的な監査を実施し、これらの慣行への直接的・間接的関与を終了させるために必要なあらゆる措置を講じ、再発防止のための内部手続きを強化するよう求める。FBA CFDTは、このプロセスの進捗を各段階で厳密に監視していく」とコメントした。

またセバスチャン・ブシリスFEC FO書記長は、「FEC FOは2025年9月15日付オックスファム報告書を確認した上で、西岸地区における違法入植地との関連性についてBNPパリバに対して求めるUNIの取組みを支持する。我々は金融関係者が国際法と人権を尊重する絶対的必要性を改めて強調する。デューディリジェンスの強化、是正措置の公表、そして必要に応じた責任ある関与の撤回を求める。これらの約束は、検証可能かつ透明性のある行動として、可能な限り早期に具体化されねばならない」と述べた。


uni logo
最近のコメント
    アーカイブ