ルーマニアの銀行労働者3万人、産別協定による保護の対象外となる見通し

ライファイゼン銀行、ソシエテ・ジェネラル(BRD)、INGが使用者団体を脱退し、ルーマニアの銀行業界の全従業員を対象とした産別協定が失効することを受け、UNI欧州地域書記長がブカレストを訪れ、労働省、使用者側、労働組合と会談した

2026年3月18日に欧州の労働組合は、3つの大手多国籍銀行に対し、ルーマニアにおける産別交渉への復帰を求めるため、結束して行動を起こした。ここ数ヶ月間で、ライファイゼン銀行、ソシエテ・ジェネラル(BRD)、INGがルーマニア銀行使用者協議会(CPBR)から脱退した。これにより、5月になれば、銀行労働者の60%にあたる3万人が、労働者の権利や労働条件を守るいかなる協定も持たない状態となる。

これら3つの多国籍銀行は、ルーマニアの銀行従業員の約20%を占めており、これら3行が脱退したことで、使用者団体であるCPBRは、ルーマニアの銀行業界の全労働者の基準を定める産別協定の締結に必要な35%の要件を満たせなくなってしまった。この産別協定には、具体的な最低賃金、退職金、休憩時間が盛り込まれており、企業別の協約を締結していない銀行で働く何千人もの労働者に恩恵をもたらしている。

3月17日に欧州全域の200以上の労働組合に所属する700万人の労働者を代表するUNI欧州のオリバー・レティク地域書記長は、産別交渉への復帰に向けた道筋を模索するため、ルーマニアの社会パートナーとのハイレベル会合に出席すべく首都ブカレストを訪れた。

レティク地域書記長は、フランシスク・オスカー・ガル労働省事務次官およびセルギウ・マネアCPBR会長と会談を行った。またルーマニアのUNI加盟組織である金融産業労連(FSIF)と保険・銀行労連(FSAB)、ならびにルーマニアのナショナルセンターの一つ、全国労働組合連合「カルテル・アルファ」の代表者も同席した。

銀行の離脱は、欧州最低賃金指令に明記されている「団体交渉の適用範囲を80%に引き上げる」というEUの政治的目標と真っ向から矛盾するだけでなく、EUの「回復・レジリエンス・ファシリティ(RRF)」に基づくコミットメントに沿って、ルーマニアが社会対話を強化するために行ってきた改革とも矛盾するものだ。

レティクUNI欧州地域書記長は、「ルーマニアの銀行産別協定は近隣諸国にとって模範となる輝かしいものであり、労働者に実質的な利益をもたらしてきた。(‥‥中略‥‥)UNI欧州とその加盟組織は、欧州全域のこれらの銀行と良好な関係を築いている。そうした中で3行のとった行動は、社会対話と団体交渉を強化するという我々の共通の取組みに反している。我々は、銀行業界の何万人もの労働者の賃金と労働条件を守るため、これら3行に対し交渉の席に戻るよう求める」と述べた。

フランシスク・オスカー・ガル労働省事務次官は、「今回の議論の目的は、銀行部門における新たな協定交渉プロセスを支援し、社会パートナー間の協力枠組みの強化に寄与することだ。(‥‥中略‥‥)対話への前向きな姿勢、および関係者間での建設的な意見交換を高く評価する。今回の議論が、交渉プロセスに関する建設的なアイデアを特定し、協力のための共通枠組みを概説する両面において、重要な一歩となったと確信している」と会合を振り返った。

UNIに加盟する保険銀行労連(FSAB)のダン・パラシフ委員長は、「FSABは、BRDソシエテ・ジェネラル、ING、ライファイゼンがルーマニア銀行使用者協議会から脱退したことに対し、懸念を表明する。ルーマニアの社会対話に深刻な影響を及ぼすものであり、特にルーマニアの銀行部門で働く3万人以上の従業員が、産別協定を通じて獲得した権利を今後享受できなくなるという現実を伴う。FSABは、銀行各社が対話に復帰するよう働きかけており、銀行部門の従業員の権利を確固たるものにするためにあらゆる努力を尽くしていく」と述べた。

UNI加盟組織FSIFのアデラ・バデスク委員長は「今回の会合は、産別の社会対話を強化し、銀行業界の安定における不可欠な柱として位置づけるべきであるという明確なシグナルだ。銀行業界がデジタル化、再編、労働市場への圧力によって急速な変革を遂げている今、従業員のために公正かつ予測可能な枠組みを構築することは、我々の共通の責任だ。FSIFは、団体交渉の強化と、業界の将来に関する決定への社会パートナーの真の参画を強く支持する。UNI欧州の支持は、これらの目標が単なる国内の優先事項ではなく、労働者の権利保護と社会対話の強化に向けた、より広範な欧州の取り組みの一部であることを裏付けている」と付言した。

2026年3月9日にUNI欧州は、ルーマニアのUNI加盟組織であるFSABおよびFSIFと共に、以下の4つの要求を掲げた共同声明を発表した:
●ソシエテ・ジェネラル(BRD)、ライファイゼン銀行、INGに対し、直ちにルーマニア銀行使用者協議会(CPBR)への加盟を再開し、産別交渉へのコミットメントを改めて表明すること。
●CPBRに残る銀行は、その影響力と仲介機能を駆使し、雇用者団体の代表性を回復させ、産別対話を保護すること。
●ルーマニア国立銀行、欧州中央銀行及びその他の関連金融当局は、欧州社会対話枠組みにおける公認の主体として、安定的で機能する産別社会対話構造を積極的に支援すること。
●ルーマニア政府、議会、国内規制当局及び欧州機関は、産別交渉が保護され、交渉適用範囲に関する欧州のコミットメントが実質的に遵守されるようにすること。

欧州労働組合連盟(ETUC)も、こちらで連帯声明を発表している。