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オンライン上の暴力やハラスメントに対抗する!

UNIは2025年の「ジェンダーに基づく暴力に反対する16日間の行動」で、急速に拡大しつつも見過ごされがちな脅威、すなわちテクノロジーを悪用したジェンダーに基づく暴力(TFGBV)に焦点を当てる。11月25日の「女性に対する暴力撤廃の国際デー」から12月10日の「国際人権デー」にかけて、世界中の労働組合に対し、オンライン上の嫌がらせやネットいじめから労働者を守るための行動を呼びかける。キャンペーンツールキットはこちらから。組合向けガイドは下記からダウンロードできる。

2025年11月下旬に発表された世界保健機関(WHO)の報告書は、女性と少女に対する暴力がいまだに世界で最も根強く放置されている人権危機の一つであり、過去20年間でほとんど進展が見られないことを示している。しかし、得られる情報に限界があることから研究では増大するデジタル暴力の危険性が考慮されていないため、実態はさらに深刻である可能性が危惧される。

TFGBVとは何か?

テクノロジーを悪用したジェンダーに基づく暴力(TFGBV)とは、デジタルツールやオンラインプラットフォームを通じて実行または増幅され、性別を理由に標的とされるあらゆる暴力や虐待行為を指す。

国連人口基金UNFPAの定義によれば、TFGBVは情報通信技術を通じて「実行、助長、悪化、増幅」される暴力行為が発生した際に成立する。

TFGBVには、オンライン上の嫌がらせや性差別的侮辱、ストーキングや迷惑メッセージ、個人情報の流出、ディープフェイクを含む画像ベースの虐待、同意のない親密な画像の共有、デジタル監視・追跡などが含まれる。

こうした攻撃は家庭・職場・公共空間などあらゆる場所で発生し、被害者の生活のあらゆる場面に及ぶことが多い。ヴェロニカ・フェルナンデス・メンデスUNI機会均等局長は、「現状が明らかにしているのは、オンライン虐待が職場の安全衛生問題であるということだ」と指摘し、「TFGBVは人々のメンタルヘルス、自信、仕事遂行能力を蝕む。職場から人々を追い出し、特に女性、若年労働者、LGBTQ+労働者を排除する。だからこそ労働組合が立ち上がらなければならない。オンライン上の嫌がらせが決して許されない職場を構築する必要がある」と訴えた。

世界中で深刻化する課題

国際的な調査は問題の規模を明らかにしている:

  • 世界的に、16%から58%の女性と少女が何らかのオンライン暴力や嫌がらせを経験しており、一部の報告ではその割合が66%に達するとされている。
  • 米国では、4人に1人の女性が個人情報流出、ディープフェイク、リベンジポルノなどのオンライン虐待を経験している。
  • 欧州では、女性がオンライン上の嫌がらせに直面する確率は男性より27倍高い。
  • オーストラリアでは、女性の3人に1人が職場でのオンライン上の嫌がらせを報告しており、特にメディアやエンターテインメントなど対外的な業務に従事する女性で顕著である。

デジタル暴力は技術の普及と同じ速さで増加しており、労働組合はこれに対応する準備を整える必要がある。

UNI加盟組織からの報告

職場における問題をより深く理解するため、UNI機会均等局は世界中のサービス産業の労働者に調査を実施し、430件の回答を集めた。その結果、テクノロジーを悪用したジェンダーに基づく暴力は職場において深刻かつ拡大していることが明らかになった。回答者の16%が業務外でオンライン・ハラスメントを経験し、10%が職場で被害に遭ったと回答した。加害者は上司や同僚が最も多く、時には顧客や利用者も含まれる。多くの労働者は恐怖、屈辱感、燃え尽き症候群、不安など強い精神的影響を訴えた。

勤務時間外に発生した嫌がらせ行為でさえ、集中力・睡眠・自信・職場での安全感覚に影響を及ぼした。回答者はオンライン・ハラスメントが職業上の評判を損ない、同僚との関係を悪化させ、士気と生産性を低下させると述べた。労働者はソーシャルメディア、メッセージアプリ、職場のコミュニケーションツール、さらには偽アカウントや匿名アカウントを通じて標的にされたと報告し、多くの人が「暴力は職場で始まらないかもしれないが、そこへついてくる」と強調した。

労働組合ができること

保護策の交渉と実施

  • 団体協約を通じて、テクノロジーを悪用したジェンダーに基づく暴力に対処する包括的な職場方針を交渉する。
  • ILO第190号条約および第206号勧告の完全実施を提唱する。
  • あらゆる形態のジェンダーに基づく暴力に対するゼロトレランス方針を確立する。

能力構築と意識啓発

  • 労働者と労働者代表が技術を悪用したジェンダーに基づく暴力を認識し、これに対応できるよう、研修やワークショップを実施する。
  • 職場代表者や組合代表者に対し、トラウマに配慮したアプローチと安全なデジタルコミュニケーションを訓練する。
  • オンライン・オフラインを問わずジェンダーに基づく暴力の形態に対する認識を高めるデジタルキャンペーンを展開する。

支援体制を提供する

  • 被害者向け秘密厳守相談窓口、紹介ネットワーク、メンタルヘルス支援を提供する。
  • 被害者が報復を恐れることなく保護されるようにする(特に女性、若年労働者、LGBTQ+労働者、デジタルを利用する労働者に配慮)。

制度的変革を求める運動

  • 職場安全基準へのデジタル空間の組み込みを求める。
  • オンラインでのいやがらせ対策のため、デジタル説明責任の強化、法的保護・規制を提唱する。
  • デジタルプラットフォームの責任ある利用と個人データ保護を促進する。

UNIの16日間の行動キャンペーンに参加しよう

UNIが準備した印刷物・ソーシャルメディアツールを活用し、#16Daysキャンペーン期間中のオンラインいじめ・嫌がらせへの意識向上にご協力ください。組合向けガイドは下記からダウンロード可能です。共に、テクノロジーを悪用したジェンダーに基づく暴力を止め、デジタル空間を全ての人にとって安全な場としましょう。


職場におけるトランスジェンダーの人々を守る

国際トランスジェンダー追悼の日に、UNIは姉妹組織であるGUFsと共に、トランスジェンダー労働者を守る。以下はグローバルユニオン評議会LGBTI委員会による声明である。

トランスジェンダー追悼の日にあたり、職場におけるトランスジェンダーの人々を守る

11月20日は国際トランスジェンダー追悼の日(TDoR)であり、我々は亡き同胞を悼み、正義を求める。これはまた、「一人への攻撃は全員への攻撃である」ことを思い起こす機会でもある。労働組合にはトランスジェンダー労働者を守る義務がある。

多くの国で台頭する極右勢力は、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、インターセックス(LGBTI)コミュニティの権利に壊滅的な影響を与えている。誤解のないように言うと、極右勢力の攻撃はLGBTIコミュニティに止まらない。移民労働者は既に標的となっており、他の周縁化されたグループも次々と狙われるだろう。

Trans Murder Monitoring(TMM)プロジェクトがTDoRにあたり発表した最新の情報によれば、
• 2024年10月1日から2025年9月30日までに、281名のトランスジェンダー及びジェンダー多様性を持つ人々が殺害されたと報告されている。
• 職業別では、セックスワーカー(34%)が依然として最も標的とされるグループである。
• 活動家やトランス権利の擁護者に対する殺害が顕著に増加し、今年は職業別で2番目に標的とされるグループとなり、全事件の14%を占めた(2024年は9%、2023年は6%)。
• 殺害事件の68%は中南米・カリブ海地域で発生し、ブラジルは総事件数の30%を占め、18年連続で最多を記録した。
• 過去数年の傾向と同様に、報告された殺害の90%はフェミニサイド(被害者がトランス女性またはトランス女性的な人々)であった。

TTMの最新情報によると、殺害されたトランスおよびジェンダー多様性を持つ人々の数は281人と、2024年の更新時(350人)から減少しているものの、この減少は必ずしも安全性の向上を示しているわけではない。むしろ、検索エンジンやソーシャルメディアのアルゴリズム変更、あるいはメディアの広範な無関心が原因で、こうした殺害事件が報道で目立たなくなり、特定・検証が困難になっている傾向を反映している可能性が高い。

今こそ連帯が必要である——労働組合は全ての労働者にとって安全で包摂的な職場環境の実現を主張し続けなければならない。

トランスジェンダーコミュニティへの攻撃への懸念は、LGBTIコミュニティ内だけに留まるべきではない。こうした攻撃は全ての人に影響を与え、市民的自由や労働者の権利に対する広範な攻撃の最初の戦線である。トランスフォビア的な言説が他の保護すべきものや権利を攻撃する手段であるということを理解させることは、世界中の労働組合運動の責任である。特定の集団が基本的権利に値しないと見なすことは、団体交渉、結社の自由、労働安全衛生といった他の分野で悪用されうる危険な前例を確立する。

「歴史は沈黙を許さないことを教えてくれている。我々は社会のあらゆる人々に、可能なあらゆる形で行動を起こし、トランスジェンダー及びジェンダー多様性を持つ人々の命を守り、全ての命が尊重されるより良い世界を要求するよう呼びかける」-グローバルユニオン評議会LGBTI委員会委員長ミシェル・ケスラー

トランスジェンダーの権利はLGBTIの権利であり、LGBTIの権利は労働組合の権利であり、労働組合の権利は人権である。

(声明文ここまで)

本声明はグローバルユニオン評議会(CGU)による共同声明であり、以下組織が署名している:
国際建設林業労働組合連盟(BWI)
教育インターナショナル(EI)
国際芸術・エンターテイメント連盟(IAEA)
インダストリオール・グローバルユニオン
国際ジャーナリスト連盟(IFJ)
国際運輸労連(ITF)
国際労働組合総連合(ITUC)
国際食品関連産業労働組合連合会(IUF)
国際公務労連(PSI)
OECD労働組合諮問委員会(TUAC)
UNIグローバルユニオン
国際家事労働者連盟(IDWF)


「保護主義や人口減少問題は共通の課題」UNI Apro東アジア労組フォーラムに130名が集結!

第11回目を迎えたUNI Apro東アジア労組フォーラムが、日本、韓国、台湾、モンゴル、香港各国・地域の労働組合代表129名が済州島に集い、保護主義、AIの進展、少子高齢化、ジェンダー平等、若者のエンパワメントなど、労働者を取り巻く多様な課題について意見を交わした。各国からは、民主主義や労働権の危機、女性や若者の参画促進、国際連帯の重要性が強調された。基調講演では、保護主義の経済的影響と労働界の対応が論じられ、配送業やメディア業界における過酷な労働環境や表現の自由の問題も共有された。また、ジェンダー平等に関する取り組みとして、女性の意思決定参画や健康支援制度の整備が報告され、若年層のキャリア支援や組合活動への参加促進の重要性も確認された。本フォーラムを通じて、各国の労働組合が直面する共通課題への理解が深まり、持続可能で包摂的な社会の実現に向けた国際的な連帯の強化が再確認された。なお、次回の開催年と開催地:2026年に台湾となる。

 1日目 

■開会式

冒頭でホスト国を代表してキム・ヒョンスン(IFIU委員長)UNI-KLC議長が、済州(チェジュ)は正義と和解の象徴として、世界にその存在を知られるようになった。この島は、かつての苦難を乗り越え、民主主義を守り抜いた歴史を有している。米国発の新たな経済戦争の波が押し寄せ、世界的な危機が労働者に重くのしかかっている。しかし、労働者はこれまでも幾多の困難を連帯の力で乗り越えてきた。済州に集った我々は、改めてその連帯の精神を確認し、平和で公正な社会の実現に向けて歩みを進める決意を新たにしている。済州の風は、抵抗と希望の風であると連帯挨拶を述べた。

■基調講演

テグ大学 経済学部 キム・ヤンヘ准教授は、日本・台湾・韓国は輸出主導型経済を築いてきたが、現在の保護主義の台頭により国際協力が困難になっている。韓国・慶州でのAPEC開催を前に、米韓関係への注目が高まる一方、APECの交渉は実質的成果に乏しいとの批判もある。トランプ前大統領の関税政策は、統治手段として機能し、インフレや投資コストの上昇を招いた。中国との資源を巡る対立や、同盟国への圧力も強まっている。再登場の可能性があるトランプ氏の影響で、国際通商体制の不安定化が懸念される中、各国労働界の連携と米国労働界の対応が重要となる、と言及した。

■テーマ別セッション:4つのテーマについて、各国の加盟組織より報告が共有された。

サブテーマ1:東アジアの労働者が直面する現在の政治的、経済的、社会的状況と課題

  • 日本(西谷涼子 JAW国際局局長):自動車産業は関税戦争の影響が懸念され、国内販売も2012年以降500万台を下回っている。2035年までに電動車化が進む中、公正な移行が重要である。約3万点の部品で構成される自動車は、サプライチェーンの安定が不可欠。自動車総連は税制の見直しや投資支援を求め、国内需要の喚起と持続的な発展に向けて取り組んでいる。
  • 韓国(ナ・ヨンミョンKHMU保健医療労組企画室長):米国の保護主義的な圧力により、韓国経済は関税や投資条件で不利な状況に置かれ、成長率の低下や雇用不安が広がっている。社会では高齢化や格差、極右勢力の台頭も進行中。こうした中、労働組合は労働時間の短縮、非正規職の正規化、地域交渉の活性化、医療・教育負担の軽減など4つの戦略を掲げ、組織拡大と政治的連携を強化しながら、内需中心の経済と国際連帯の構築を目指している。
  • 台湾(リン・イーフン CPWU国際部長):台湾は保護主義の圧力や米国との交渉の前提に直面し、経済安全保障の強化が求められている。IT産業は成長しているが、2025年には超高齢社会に突入し、人口の30.6%が高齢者となる見通しで、経済への影響が懸念される。賃金の低下や労働力不足も課題であり、58%の人が対中貿易を望んでいる。今後は、エネルギー・AI・産業交渉など多角的な政策と社会の体系化、リスク分散、デジタル化による安定的な発展が必要である。
  • モンゴル(バンディ・バヤガルマー ICN労組):2024年、モンゴルの貿易総額は274億ドルで、中国とロシアが80%以上を占める。輸出は石炭や銅など鉱物資源が中心。2025年、トランプ米大統領は全輸入品に10%の関税を課す政策を導入し、モンゴルのカシミヤなど主要輸出品に影響が及ぶ。これにより物価上昇や経済不安が懸念され、国内では教師や医師による賃上げ要求のデモが起きている。
  • 香港(マイケル・シウ RCCIGU): 2025年4月、トランプ米大統領は「解放記念日」として相互関税の停止を発表したが、中国には145%の関税を課し、香港・マカオにも影響が及んだ。香港では米国が中国製品と同等の関税を適用し、株式市場が急落。香港政府はWTOに提訴した。労働組合は保護主義の影響から労働者の権利を守るため、企業や政府との交渉を強化し、国際連携を通じて公正な貿易ルールを求めている。

 2日目 

サブテーマ2:人口構造危機-少子化、雇用年齢や定年年齢の延長、年金制度改革および年金基金の管理

2-1)人口構造危機と少子化:労働組合は何ができるか?

  • 日本(鈴木基子 JP労組中央執行委員):日本郵政グループは、少子高齢化による労働力不足や業務量の減少に直面している。社員数や新卒採用数の減少、郵便物や保険契約件数の減少が続く中、JP労組は65歳定年制度や短時間勤務制度、育児・介護休業応援一時金などを導入。地域ニーズに応じた柔軟な働き方や効率的な運営体制を提言し、持続可能な事業と安心して働ける環境づくりに取り組んでいる。
  • 韓国(シン・スンイル FKMTU):少子化は財政赤字だけでなく、社会保障制度の持続性に関わる深刻な問題である。特に交代勤務の現場では支援制度が機能せず、代替人員の確保が課題となっている。労働組合は賃金問題にとどまらず、子育て支援や制度改善に取り組む必要がある。少子化は東アジア全体の共通課題であり、労働組合の連帯によってこの危機を乗り越えることが求められている。
  • 台湾(シューチーチェンCPWU青年活動委員会議長):台湾の公共テレビとその組合員構成、同労組による長時間労働是正と勤務形態の多様化に向けた取組みについて、概説した。組合として次の勤務までの休息時間の確保、等に取組んでいる。高齢化が進む中、交渉によって年5日の有給の介護休暇を獲得した。また「報道者」について、残業削減に向けて、超過勤務指示が直前に行われた場合には代休時間を増やすことを協約で定めた。
  • 韓国(キム・ジンホン KFIU副委員長):韓国の金融労組KFIUは約10万人の組合員を擁し、産業別交渉を通じて労働環境の改善を推進している。2002年に週5日勤務制を導入し、2025年には週4.5日勤務制を提案。金曜日午後の自由時間は地域経済の活性化や少子化対策に寄与する。韓国の労働時間はOECD平均を上回り、AIの進展により事務職の働き方も変化している。KFIUはAIによる人員削減ではなく、労働時間の短縮と仕事の分かち合いを選択。6か月の交渉の末、金曜日の1時間短縮を実現し、制度化に向けた議論を開始した。
  • 香港(チェン・ライハ RCCIGU書記長):香港の出生率は世界最下位レベルで、経済的・政治的圧力や雇用環境が大きく影響している。教育環境を求めて移住する家庭も多く、若年層の流出が社会構造に影響を与えている。1997年以降、中国本土からの入国者は約203万人に達し、人口減少を部分的に補っている。2023年には新生児1人につき2万香港ドルの給付制度が導入されたが、効果には限界がある。労働組合は育児休暇や家族支援制度の拡充に取り組み、民主主義と自由の保障が出生意欲に直結することを訴えている。
    • 雇用年齢や定年年齢の延長
  • 日本(市川勝也 生保労連 中央副書記長):生保労連の組合員は約70%が営業職員、90%が女性で構成され、年7回の労使交渉で賃金や雇用制度を協議している。高齢化に伴い、65歳以降も働ける制度が整備されつつあり、一部企業では70歳定年・同水準の処遇を提案。組合員からは評価の声がある一方、若手の働きやすさや退職金制度への懸念もあり、慎重な制度設計が求められている。
  • 日本(西川由起 UAゼンセン流通部門執行委員):UAゼンセン流通部門では高齢化と人手不足に対応し、定年延長や再雇用制度の整備を推進。多くの企業が60〜65歳定年で、再雇用は97%が導入済み。「まいばすけっと」では75歳まで働ける「シニアパートナー制度」を導入し、健康診断や社保加入も実施。組合は、働き方の選択ができる社会の実現を目指している。
  • 台湾(ワン・スーユCTWU常任理事):台湾では高齢化が急速に進む中、高齢者の労働参加率は約10%と低く、労働力活用が課題となっている。CTWUは定年延長や再雇用制度の改善を提言し、2024年には抗議活動も実施。政府は補助金や再訓練支援を行っているが、年齢差別や早期退職の問題も残る。中華電信では従業員の3分の1以上が51歳以上で、若年層の採用が進まず、CTWUは柔軟な勤務制度や再教育の充実を通じて持続可能な雇用を目指している。
  • 持続可能な国民年金または年金基金の管理
  • 日本(金織すみえ 損保労連 中央執行委員): 日本の年金制度は3階建てで、公的年金(国民年金・厚生年金)に加え、企業年金やiDeCoなどの私的年金が老後を補完している。少子高齢化により公的年金の給付水準は低下傾向にあり、私的年金の重要性が高まっている。企業年金は確定給付型(DB)から確定拠出型(DC)への移行が進み、損保労連はDC制度の改善や投資教育の充実を企業に求めている。
  • KFSWU書記長):韓国では出生率の低下と高齢化が進み、2060年には労働人口1人が高齢者1人を支える社会になると予測されている。年金制度は3階建てで、退職年金の準備金は2024年に431兆ウォン、収益率は4.77%。政府は2025年に基金型退職年金制度の導入を提案し、NPSによる管理や専門機関の設立を検討。安定性と収益性の両立を目指し、海外事例も参考に制度改革が進められている。
  • 台湾(チャン・フイチェン CTWU主任):韓国では出生率の低下と高齢化が進み、2060年には労働人口1人が高齢者1人を支える社会になると予測されている。年金制度は3階建てで、退職年金の準備金は2024年に431兆ウォン、収益率は4.77%。政府は2025年に基金型退職年金制度の導入を提案し、NPSによる管理や専門機関の設立を検討。安定性と収益性の両立を目指し、海外事例も参考に制度改革が進められている。

サブテーマ3:ジェンダー平等と若者のエンパワメント

3-1)UNIの3Mキャンペーンとジェンダー平等に関する組合活動

  • 日本(浅野祥 情報労連中央執行委員):日本ではジェンダー平等の整備が遅れており、情報労連は1998年から女性参画を推進。2025年度からは「第2次ジェンダー平等推進計画」を策定し、クォータ制やトップの発信で数値目標の達成を目指している。中央執行委員会の女性参画率は46%、KDDI労組では30%以上の登用を目標に掲げ、職場の風土改革が進行中。今後はダイバーシティ推進と心理的安全性の確保に取り組む。
  • 日本(大西裕加 UAゼンセン):UAゼンセン総合サービス部門では女性組合員が60%以上を占める一方、役員比率は27%と低く、意思決定への参画が課題。2015年にダイバーシティ推進委員会を設置し、2024年からは委員会に女性枠を導入。「Uni女会」ではネットワーク構築やリーダー育成を進め、更年期などの課題も共有。女性リーダーワーキングチームによる研修も実施し、意思決定への女性参画拡大を目指している。
  • 台湾(カン・ウエンチー CPWU 三重分会理事長):台湾では女性の健康に配慮した休暇制度が整備されつつあり、月経休暇は法的に保障されているが取得率は低い。台湾金融労連は2021年に更年期休暇を提案し、2025年には診断書不要の原則が確立。制度は一般化し、企業が拒否できない仕組みとして定着しつつある。労働組合は職場文化の改善と法整備を通じて、女性が安心して働ける環境づくりを目指している。

3-2)若者のエンパワメントに関する現状報告

  • 日本(北堀卓思 全信連議長):日本企業では健康経営や社内副業制度など、従業員を尊重した柔軟な働き方が広がっている。信託銀行業界では専門性が高く、若手の焦りも見られる中、全信連はキャリア支援として異業種交流会や座談会を開催。若者が自己肯定感を高め、主体的にキャリアを築けるよう支援しており、労働組合はその後押し役として重要な存在となっている。
  • 台湾(イェ・チンユ CTWUストライキチームメンバー):台湾では一人当たりGDPが34,000米ドルに達する一方、若年層の賃金は低く生活に余裕がない。CTWUは退職金制度の改善や雇用主拠出金の引き上げを求め、2023年には2,000人以上が集会に参加し成果を上げた。青年キャンプや交流イベントを通じて若者の参加意識を高め、組合の力強化と社会への好影響を目指している。

サブテーマ4:特別報告

  • FSU-全国クーリエ労組クーパン本部議長):韓国のクーパンは自社物流子会社CLSを通じて垂直統合型配送モデルを展開し、365日・深夜配送を標準化。業界全体に過剰なサービス要求が広がり、CLSでは週60時間超の労働が常態化し過労事故も発生。2021年の社会合意を守らず、労働組合は夜間作業の制限や強制休息の法定化を求めている。「スピードより命」を掲げ、持続可能な産業構造の構築が急務となっている。
  • 韓国(リー・ホーチャンNUMW委員長):韓国では虚偽情報への制裁強化が進み、最大10億ウォンの懲罰的損害賠償を可能とする法改正が議論されている。判断の曖昧さから言論の自由が抑圧される懸念もあり、報道への捜査がメディアの萎縮を招いている。NUMWは表現の自由を守るため法改正に反対し、慎重な制度設計と社会的議論の必要性を訴えている。

■閉会式

第11回東アジア労組フォーラムには、日本、韓国、台湾、香港、モンゴルから129名が参加。保護主義の台頭、グローバル秩序の変化、少子高齢化、ジェンダー平等、若者のエンパワメントなど、労働者を取り巻く課題について活発な議論が行われた。

基調講演では保護主義の影響と労働界の対応が取り上げられ、各国からは政変、産業構造の変化、生活費高騰への対応が報告された。特別報告では、過労死対策や言論の自由の擁護についても認識が共有された。

韓国加盟協議長のキム・ヒョンスン氏はクロージングメッセージで、「韓国の悩みを分かち合えたことに感謝する。保護主義や人口減少問題は共通の課題であり、皆で解決策を見出し、共に道を切り拓いていこう」と語った。

次回フォーラムは2026年に台湾で開催される予定で、CTWUとCPWUの両委員長がホスト国として歓迎をしますとメッセージを参加者に送った。

なお、各セッションでは以下の方々が司会を務めた。

  • サブテーマ1:(韓国)シン・キオン    KFIU国際担当部長
  • サブテーマ2:(日本)豊福麻実      労済労連 副書記長 
  • サブテーマ3:(台湾)トゥー・ユーウェン CPWU書記長 
  • サブテーマ4:(韓国)キム・オクラン   FKMTU政策企画部長
  • 閉会:        UNI-KLC ジェイ・チョイ事務局長

第2回、UNI Apro東アジア金融労組フォーラムを韓国・済州島で開催!

2025年10月、韓国・済州島にて日本と韓国のUNI加盟金融労組より30名が一堂に会し、第2回UNI Apro東アジア金融労組フォーラムが開催された。2023年10月に開催されてから、2年振り2回目の開催となった。LCJ金融部会からは、*敬称略(損保労連)中野剛、原田龍人、山口悠、金織すみれ、(全信連)北堀卓思、塩谷麻子、西村匡史、植田莉帆、(生保労連)市川勝也、植木英之、(労済労連)豊福麻美、(全労金)深見正弘、(JP労組)安達正美、中野博之、鈴木基子、宮城千絵、事務局上田が参加した。

■開会

歓迎の挨拶では、キム・ヒョンスンKFIU委員長は、関税政策による分断が労働者に影響を与える中、東アジア金融フォーラムは連帯と民主主義の強化を通じて、新たな経済秩序の構築を目指す重要な機会である、と述べた。連帯の挨拶では、中野剛 UNI Apro金融部会議長は、フォーラム開催に尽力したKFIUとKFSWUへの感謝を述べ、韓国・日本の金融労組が連携し、地政学リスクや気候変動、AI・デジタル化など歴史的転換期にある課題に共に取り組む重要性を強調。金融機関には社会的責任が求められており、雇用安定とディーセント・ワークの確保には国際連帯と協力の強化が不可欠だと訴えた。ラジェンドラ地域書記長は、現在の課題は過去の問題の積み重ねであり、今後の予測も困難だと指摘。気候変動による災害は保険業に影響を与えているが、すべてが気候要因ではないとし、UNI Apro金融部門は労働・環境・持続可能性の観点から積極的に関与していると述べた。金融は経済の中心であり、組合やプラットフォーム間の連帯が不可欠であると強調。台湾では公的部門の弱さが課題であり、過去にはパリバ銀行の紛争解決にも関与したことに触れ、中野議長の尽力に感謝を表した。

■概要

今回のフォーラムでは、JP労組の中野副委員長が司会を務め、開会の挨拶を通じて金融産業の課題の重要性が共有された。続いて、保険・銀行・郵政・協同組合など各労組から現状や課題、取り組みについて報告が行われた。議論では、少子高齢化、地政学的リスク、技術革新、金融の公共性といった共通課題が確認され、CMIM(チェンマイ・イニシアティブ・マルチ化)の強化やILO条約の活用、地域連携による安定化策などが提案された。協力と構造改革を通じて、持続可能な金融モデルの構築を目指す方向性が共有された。

■基調講演

ジャヤスリ・プリヤラルUNI Apro金融部会担当部長は、金融は経済のOSであり、2008年以降もグローバル金融システムは脆弱性を抱えている。ビッグテックやAI、ブロックチェーン、デジタル通貨の進化により、銀行は従来の仲介モデルからの脱却を迫られ、非銀行金融の台頭も加速。公共性と安定性が問われる中、地域連帯と協同の強化が重要となる。東アジアでは過去の金融危機を教訓に協力体制の構築が進み、地政学的緊張下での連携も課題。量的緩和や暗号資産の影響も含め、持続可能で責任ある金融モデルの確立が求められている、とした。

■加盟組織より報告

日本から金融部会6組織(生保労連、損保労連、全信連、JP労組、全労金、労済労連=発表順)が、韓国からKFSWUが、それぞれ組織紹介および重点取り組み等の報告をし、互いの組織と重点取り組み活動などについて理解を深めた。

  • 韓国(全国事務金融サービス労働組合)イ・ドングン事務総長:韓国の保険産業は、超高齢化・気候変動・低成長・資本規制強化などのリスクに直面。MG損保の清算問題や外資系の撤退もあり、AIや介護・ヘルスケア分野への関心が高まっている。保険の役割は事後対応から生活の質向上へと変化し、日本と韓国の市場は類似。収益源の多様化が課題であり、労働組合は産業活性化に向けた取り組みを進めている。

以下、日本の加盟組織

  • 生保労連(植木英之 中央副執行委員長):生保労連は生命保険産業唯一の産業別労組として発足し、19組合・25万人が加盟。営業職7割・女性9割が特徴で、年7回の労使交渉を通じて賃金や産業課題を協議。震災やコロナ対応では1兆円超の給付を実施し、金融教育や地域安全活動、ジェンダー平等推進を通じて社会的理解の拡大に努めている。
  • 損保労連(原田龍人 中央執行委員):損保労連は、保険代理店による不正請求や料率操作などの業界不祥事に対応。代理店が保険の90%を扱う中、自動車事故での過剰修理や不適切な加入推奨が問題化し、金融庁から是正指導を受けた。信頼失墜を経営任せにせず、説明会やユニオンミーティング、労使懇談会を通じて信頼回復と産業別組織としての役割強化を全国で進めている。
  • 全信連(塩谷麻子 副議長):銀行業界は急激な人口減少と若年層の減少により、企業活動や人材確保に影響を受けている。従来の終身雇用型制度から脱却し、年功序列に依らないキャリア形成が求められる中、労働組合は制度改革や組織風土の変革を支え、組合員の意識変容を促す重要な役割を担っている。
  • JP労組(宮城千絵 中央執行委員):JP労組は郵政関連企業の雇用安定や福祉社会の実現を目指し、職場環境改善に取り組む。金融業界では少子高齢化や金融排除が課題。ゆうちょ銀行は金利変動による収益不安定やデジタル化の遅れ、かんぽ生命は契約減少や人材確保が課題。組合ではユニオンショップ協定や組織活性化を推進している。
  • 全労金(深見正弘 中央執行委員長):全労金は13の労働金庫と関連会社で構成される協同組織金融機関の労組連合で、利益はメンバーに還元される。非正規職員の組織化、ジェンダー平等推進、平和行動、災害支援に加え、若年層の離職対策としてポジティブキャンペーンを展開。金利上昇やデジタル化への対応、業界の将来像について10年を見据えた視点で経営陣と協議している。
  • 労済労連(豊福麻実 副書記長):労済労連は、こくみん共済co-opと関連会社の労組で構成され、9組合が加盟。2026年度はWEB活用など新たな活動スタイルを模索し、次世代活性化と効率性を追求。国際協同組合年への参画や組織統合への対応、協同組合の理解促進を重点に、社会課題に柔軟に取り組む姿勢を強めている。

■閉会

報告の締めくくりとして、中野副委員長は「韓国と日本が直面する課題には多くの共通点がある。社会のサイクルは数カ月で大きく変化し、金融も過渡期にある。今後、フォーラムのさらなる活性化に取り組んでいきたい」と語った。


コロンビア:下院がILO第190号条約を最終審議で承認

2025年6月11日にコロンビア下院は、ILO第190号条約を批准する法案を全会一致で可決した。この条約は仕事の世界における暴力とハラスメントの根絶を目的としている。

2019年6月にジュネーブで開催された第108回ILO総会で採択されたこの条約は、職場におけるあらゆる形態の暴力とハラスメントを防止し、対処し、根絶するためのグローバルな法的枠組みを確立した。

アンドレア・ガルシアUNI米州機会均等コーディネータは、「我々と加盟組織、労働組合、社会団体が長年取り組んできた啓発と提言活動が実を結んだ」と喜び、「今回のILO190号条約の批准によって、いま沈黙の中で苦悩に耐えている数千人の労働者にとって希望の道が拓かれる。これは、安全で包摂的で暴力のない職場を築くための重要なツールだ」とその意義を強調した。

現在までに40カ国以上が同条約を批准しており、コロンビアは大統領の署名後、このリストに加わる。その後、政府は文書をILOに提出し、使用者、労働組合、市民社会と協調して実施のための国家ロードマップを策定する必要がある。


「EU は緊急に行動を起こすべき」:欧州労働組合連盟、EU-イスラエル連合協定の見直しを支持

2025年5月下旬、EU外務理事会は、残虐行為、人権侵害、人道法に対する重大な違反の証拠が相次ぐ中、EUとイスラエル間の広範な貿易・協力協定の見直しを決定した。EU 連合協定第 2 条は、両者の関係は「人権と民主主義の原則の尊重に基づくもの」であると規定している。

5月21日に欧州労働組合連盟(ETUC) 執行委員会はこの決定を歓迎し、欧州委員会に対して「協定の見直しが完了次第、適切な措置を講じる」よう求めた。ETUC は声明の中で次のように述べている。

この決定は、イスラエルによるガザ地区への破壊行為、その結果としての多数の死者とインフラや建物の破壊、ガザ住民追放に関する協議の継続などを背景に下されたものである。 (…中略…)EUは、ガザと占領下パレスチナで進行している状況に対し、緊急に行動を起こす必要がある。…信頼できる国際的な情報源による十分な証拠に基づき、EUはEU-イスラエル連合協定の第2条に違反があると結論付けることができる。(…中略…)ETUCは、イスラエルとパレスチナの間で交渉による合意に達し、持続可能で平和的な『二国家解決』を実現し、人道支援のための国境の開放と国際法への完全な尊重を伴う即時かつ永久的な停戦を改めて呼びかける。我々は強制的な移住を非難し、すべての捕虜の解放を求める声を支持する。(…中略…)ETUCは世界中で行われているあらゆる人権侵害を非難し、紛争地域における労働者および労働組合との連帯を表明する。ETUCとその加盟組織は、公正で持続可能な平和の基盤として、社会正義と国際法の尊重を追求し続ける。」

クリスティ・ホフマンUNI書記長は次のようにコメントした。「ETUCの行動呼びかけを歓迎する。EUでの前進は喜ばしいニュースだ。ガザで飢餓の脅威が迫る中、世界は危機的状況にあり、我々はこの危機が展開するのをリアルタイムで注視している。封鎖を非難する強い言葉が繰り返し表明され、深刻な人道危機の終結を求める多くの声が上がっている中、この動きは長年待ち望まれてきた具体的で必要な一歩だ。」


UNI Apro、ILO総会に対しミャンマーに対するILO憲章第33条の支持を要請

2025年5月21~22日にシンガポールで開催された第34回UNI Apro執行委員会で、ILO憲章第33条のミャンマーに対する措置の発動を求める国際的な呼びかけについて、強い支持を表明する連帯声明が採択された。この問題は、今年6月に開催される第113回ILO総会で議論される予定だ。

声明において、UNI Apro執行委員会は、2021年2月1日に発生した軍事クーデターにより被害を受け続けているミャンマー国民との連帯を再確認した。

同執行委員会はまた、2025年3月28日に発生したマグニチュード7.7の地震後に、援助の妨害や民間人に対する空爆の継続など、人道危機の悪化に対し深刻な懸念を表明した。

UNI Apro執行委員会は、2025年6月2日から13日まで開催される第113回ILO総会に参加するすべての政府、使用者団体、労働組合に対し、ILO憲章第33条措置に賛成票を投じるよう求める。また、国連システムや二国間・多国間機関を含む国際社会全体に対し、第33条に基づき採択される措置と政策・行動を一致させるよう呼びかける。


UNI LGBTI+ ウェビナーを開催、高まる差別に立ち向かうため、グローバルな連帯を!

2025年5月14日、UNI は世界中から115人を超える労働組合のリーダー、活動家、専門家をオンラインで結集し、世界中で拡大するLGBTI+差別と不平等に立ち向かうため、連帯の必要性を訴えた。

講演者は、LGBTI+の労働者が直面する制度的な課題について議論し、職場における包摂性、保護、権利の推進を目的とした労働組合主導の取組みを紹介しました。特にメンタルヘルスに重点が置かれた。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、なぜ今これらの取組みが必要なのかを説明し、「今は特に困難な時期。これまで苦労の末に獲得した権利が脅かされており、我々の社会を後退させる攻撃に直面している」と指摘した。また「このネットワークは、我々を守り、数十年にわたって闘って獲得してきた権利を擁護する上で非常に重要」とコメントした。

差別、メンタルヘルス、そして労働組合の役割

スティグマ、ハラスメント、排除は、多くのLGBTI+労働者にとって日々の現実であり、深刻なメンタルヘルス問題の要因となっている。

ヴェロニカ・フェルナンデス・メンデスUNI機会均等局長は「世界中でLGBTI+労働者は攻撃を受け、孤立させられている」と述べ、「我々の答えは労働組合の連帯だ。組織化し、団結し、行動する」と強調した。

そしてUNIのメンタルヘルス・マニュアルを、メンタルヘルスに関する労働組合の行動を強化するための重要なツールとして改めて紹介した。

グローバルな労働組合の抵抗

グローバルユニオン評議会のLGBTI+労働者グループコンサルタントを務めるクレア・トレバー氏は、集団的な抵抗の必要性を強調し、「グローバルな労働運動は団結している。我々は米国政府の差別的な政策を非難し、5月17日のIDAHOBIT(国際反ホモフォビア・トランスフォビア・バイフォビアの日)に再び声を上げていく。前進を続けなければ、苦労して勝ち取った進歩を失いかねない」と訴えた。

三﨑由香里UNI Apro女性委員(大日本印刷労組)は、LGBTIについて理解を促進するためのセミナーを開催するなど、包摂的な職場実践を通じて多様性を促進する同労組の「MiMoSaプロジェクト」を紹介した。

マリア・アパレシダ・ダ・シルバUNI米州女性委員(ブラジル、SIEMACO)は、LGBTI+コミュニティを支援する強固な同盟関係を築くための革新的な労働組合の取り組み事例として、『多様性を支援する母親たち』を共有した。

イグナシオ・ドレスト氏( 欧州労働組合連盟=ETUC)は、LGBTI+ の労働者は職場での差別や心理社会的リスクの影響を大きく受けていることを参加者に再認識させた。

 南アフリカ・SACCAWU のメンバーは、同国の LGBTI+ 労働者が特に高いメンタルヘルスのリスクにさらされていること、そして労働組合運動の支援が LGBTI+ 労働者の生活を大幅に改善できることを述べた。

労働安全衛生専門家であるロリー・オニール氏は、「重要な点は、メンタルヘルスであれその他の問題であれ、安全衛生の問題は、強力な労働組合と労働者の参加によってのみ克服できる」と述べた。

統一戦線

参加者は、LGBTI+ 差別が労働者に与える影響についてだけでなく、労働組合がどのように差別と闘っているかについても理解を深めた。職場で安全に働き、必要なメンタルヘルス保護を受けることは、すべての労働者の権利である。特にその属性のために差別を受けている労働者にとって、自らの権利を推進するため上で、集団行動は不可欠だ。

労働組合は、LGBTI+の権利と福祉のためのグローバルな闘いを先導していく準備ができている。


クリスティUNI書記長、ラジェンドラUNI Apro地域書記長の記念講演 ~第26回 UNI-LCJ年次総会~

クリスティUNI書記長とラジェンドラUNI Apro地域書記長

★講演1:「生成AIがもたらす労働の未来」 クリスティ・ホフマン UNI書記長

現在、世界は激動の時を迎えており、米国のトランプ政権は政府機構を解体し、国際機関からの脱退を進めています。その影響は世界中に及び、AIを含む技術革新にも大きな影響を与えている。

特に、AIの職場への導入については、労働組合の関与が不可欠だ。その理由は、①最良の結果を得るため、②労働者への悪影響(解雇など)に対応するため、③生産性向上の利益を労働者と共有するためである。しかし、使用者側は「テクノロジーについて交渉するのは非現実的」として反対しているが、それでもフランスの70以上の企業が社会対話に合意するなど、前向きな動きもある。

AI技術の中でも特に影響が大きいのはアルゴリズム管理と生成AIだ。アルゴリズム管理は、監視や労働者への圧力に利用され、Amazonの倉庫やコールセンターなどで広く導入されている。一方、Chat GPTなどの生成AIは、文章作成やデータ分析などを自動化し、多くの業務の一部を代替する可能性がある。IMFの予測によると、全雇用の40~80%が何らかの形で生成AIの影響を受ける、特に事務職やバックオフィス業務がリスクが高いとされており、コールセンターやプログラマーも影響を受けており、今後、経済全体への普及が加速する可能性がある。

労働組合は、AI導入に関する交渉を進めるべきだ。既にいくつかの成功例もある。例えば、米国の脚本家組合はAIの使用を制限する協約を勝ち取り、オーストラリアやドイツの労働組合もAIに関する協議の枠組みを確立した。これにより、AIが労働者に与える影響を最小限に抑えつつ、技術の利点を生かす道が開かれると期待している。しかし、多くの国ではまだAIに関する労働規制が整っていない現状もある。そのため、労働組合の活動を奨励し、雇用主が技術導入の際に労働者と協議することを義務化するなどの政策が求められている。労働者のスキル向上を支援し、新たな仕事を創出するためのインセンティブも必要だ。

テクノロジーの発展は不可避ですが、それが労働者にとって公平で持続可能な形で進められるよう、労働組合は交渉の場に立ち、積極的に関与することが重要である。UNIは今後もこの課題に取り組み、労働者の利益を守るために国際的な対話を推進していきたい。

★講演2:「平和・人権・民主主義」 ラジェンドラ・アチャリャ UNI Apro地域書記長

アジアにおける民主主義の状況は国によって異なり、日本、韓国、インドは民主主義を維持しているが、他の国々では依然として厳しい状況が続いている。

ミャンマーでは、軍事クーデターから4年が経過し、大規模な避難、暴力的な弾圧、そして活動家の投獄が続いている。労働組合は民主主義勢力とともに、民主主義を復活させるための国民統一政府(NUG)を結成した。香港では、中国の国家安全法の下で制限が強化され、言論の自由や報道の自由が制約されている。バングラデシュでは、政治的な状況が不安定であり、前政権は反対派の声を抑圧していたことで批判された。現在の指導者は、同様の手段に頼ることなく、安定した政治運営を行うことが重要である。

アジアにおける平和は依然として不安定であり、国境を巡る争いや南シナ海での緊張や、朝鮮半島における終わりの見えない紛争の脅威が地域の安定を脅かしている。 また、ミャンマー、アフガニスタン、フィリピン、パキスタンの一部地域では内戦が続いており、平和と安全を取り戻すための障壁となっている。

人権:続く闘い

アジア全体で人権侵害が広がっており、政府は言論の自由を制限し、報道機関を弾圧し、人権活動家を迫害している。また、監視体制や強制労働、政治的抑圧が根強く存在している。多くの国々で進展が見られる一方、依然として女性やジェンダー平等に対する制約が続いている。

労働組合の権利と労働条件:

アジアの労働者は、特に労働保護が不十分な国や権威主義的な国々で重大な課題に直面しており、多くの国では団体交渉が制限され、労働者は搾取され続けている。湾岸諸国では移民労働者が非人道的な労働条件に苦しんでいる。しかし、バングラデシュのラナ・プラザ事故後、繊維業界の安全基準が改善され、国際安全衛生協定はバングラデシュとパキスタンで進展を見せている。

国際労働基準と人権デューデリジェンス:

アジアにおける国際労働基準の施行は国によって異なる。いくつかの国々は主要な国際労働機関(ILO)の条約を批准しているが、その実施は一貫していない。強制労働、児童労働、そして安全でない労働環境は、繊維、農業、建設業、さらにはサービス業でも依然として続いている。人権デューデリジェンスは注目を集めており、日本、韓国、オーストラリアは企業責任規制を強化している。

デジタル時代における労働と労働組合の権利:

技術革新、デジタル化、自動化はアジアの労働市場に変革をもたらし、製造業やサービス業で雇用の安定性が脅かされている。ギグエコノミーの拡大に伴い、特に新興経済国で労働者保護が不十分だ。職場の監視やアルゴリズム管理には倫理的懸念があり、強力な規制が求められている。労働組合は、技術革新が労働者の権利を守りつつ進むよう役割を果たすべきである。

UNI Apro: 私たちの役割と取り組み

UNI Aproは、民主主義、人権、労働組合の自由を守るため、ミャンマーの強制労働問題やフィリピンの労働組合弾圧に対する活動を行っている。インドネシアのオムニバス法に挑戦し、香港のRCCGUを支援。さらに、フィリピン、インド、パキスタン、ネパールで労働組合権利強化を進めている。

アジアにおける民主主義、平和、人権、労働組合の自由の闘いは続いており、権威主義や労働搾取は依然として課題である。労働組合の強化、国際労働基準の施行、デジタル変革の責任ある導入が重要だ。

講演後には、福井洋損保労連事務局長は、アルゴリズムによる労働管理が日本に導入される可能性について言及し、「その際に労働者の納得感や働きがいに差が生じるかどうか。もし差が生じる場合、労使協議で特に重視される観点は何か、またアルゴリズム導入後に従業員からフィードバックを得る仕組みや、働きがいを高めるためにどのような工夫がされているか」と質問した。

また、UNI Apro青年委員を務めている横内愛咲UAゼンセン運動推進局局員は、UAゼンセンの多くの組合が若者への教育機会を設けているものの、意思決定機関に若者を参加させる進展が低い現状を報告し、「青年が意思決定機関に参加するために一番大切なことは何か、また海外での先進的な青年活動の事例」について質問した。


第26回UNI-LCJ年次総会開催~変革のために、共に立ち上がろう!

クリスティUNI書記長、ラジェンドラUNI Apro地域書記長とUNI-LCJ幹部会メンバー

2025年2月26日(水)、第26回UNI-LCJ年次総会が全電通労働会館ホール(東京都千代田区)で開催され、各加盟組織より運営委員、総会代議員、オブザーバー等約60人が出席した。

UNI-LCJ年次総会と監査報告をする戸口監査委員

2024年度活動報告、会計報告の後、UNI-LCJ内部監査員である戸口剛全印刷書記長より2024年度の会計監査報告があった。続いて2025年度活動計画および予算が承認された。

質疑で発言する川口日放労書記長、古賀印刷労連副書記長、中田UNI Apro女性委員会議長(UAゼンセン国際局副部長)

質疑の時間において、川口哲矢日放労中央書記長は、昨年11月タイ・バンコクで開催されたUNI Apro地域大会・女性大会と併催のメディア部会委員会の内容に触れ、「組合の役割は注目度が高まっており、連帯を高めるための活動は重要である。海外の仲間と様々な知見を共有し議論できるのは、日本の組合員にとってもとても有益である。今年度は、自組織の若手組合員と海外メディア労組との交流会の開催を期待したい」と述べた。

古賀初代印刷労連副中央書記長は、UNI Apro女性大会で中田綾子UAゼンセン国際局副部長がUNI Apro女性委員会議長に就任したことに触れ、「UNIの女性の取組みについては、印刷労連でも方針の柱の1つにしている。毎年UNI-LCJが開催している、青年・女性ネットワーク会議やユース英語セミナーを通じて、産業や組織の枠を超えたコミュニティの場が設けられており、非常に有益に感じている。グローバル化やDXなど新たな課題が山積だが、これからも、しっかり取り組んでいただきたい」と期待した。

中田UNI Apro女性委員会議長がこれに続き、インドネシアASPEK訪問の際聞いた、ASPEKが新しく始めた女性支援の取組みについて報告し「とても良い事例なので5月にシンガポールで開催されるUNI Apro女性委員会で報告ができるよう働きかけている。良い事例などあったら、今後も積極的に取り込んで情報共有していきたい」と述べた。

クリスティUNI書記長とラジェンドラUNI Apro地域書記長
(UNI-LCJ年次総会 記念講演)

続いて開催された記念講演には、UNI本部よりクリスティ・ホフマンUNI書記長、UNI Aproよりラジェンドラ・アチャリャ地域書記長が来賓として出席した。クリスティ書記長は「生成AIがもたらす労働の未来」について、またラジェンドラ地域書記長は「平和・人権・民主主義」について講演した。

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レセプションで乾杯の発声をする永島智子UNI-LCJ副議長(UAゼンセン会長)

記念講演終了後、会場近くのレストラン(グッドビューダイニング Good View Dinning、中央大学駿河台キャンパス19F)に場所を移し、レセプションを開催した。

レセプション開会の挨拶をする石川UNI-LCJ議長(JP労組中央執行委員長)

UNI-LCJ議長である石川幸徳JP労組中央執行委員長は「厚生労働省、連合、ITUCのご来賓に迎え、またUNI書記長・地域書記長から貴重な講演をいただだいた御礼を述べ、「今後もパートナーシップ労使関係を基盤とした労働運動の発展に向け、UNI-LCJも尽力していきたい」と冒頭の挨拶した。

来賓および連帯挨拶

続いて、秋山伸一厚生労働省大臣官房統括審議官(国際担当)に来賓の挨拶を、また、清水秀行日本労働組合総連合会事務局長、および、郷野晶子国際労働組合総連合会長より連来の挨拶をうけた。

全国農団労への感謝と司会進行を務めた永渕達也UNI Apro青年委員(情報労連中央執行委員)

また上田智亮UNI-LCJ事務局長は、全国農団労の川岸正徳代表および大谷篤史氏へ感謝の意を述べ「いつでもUNIファミリーに戻ってきてほしい」と言葉を贈った。

レセプションの中締めをする安藤京一UNI-LCJ副議長(情報労連中央執行委員長)

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