
UNIは2025年の「ジェンダーに基づく暴力に反対する16日間の行動」で、急速に拡大しつつも見過ごされがちな脅威、すなわちテクノロジーを悪用したジェンダーに基づく暴力(TFGBV)に焦点を当てる。11月25日の「女性に対する暴力撤廃の国際デー」から12月10日の「国際人権デー」にかけて、世界中の労働組合に対し、オンライン上の嫌がらせやネットいじめから労働者を守るための行動を呼びかける。キャンペーンツールキットはこちらから。組合向けガイドは下記からダウンロードできる。
2025年11月下旬に発表された世界保健機関(WHO)の報告書は、女性と少女に対する暴力がいまだに世界で最も根強く放置されている人権危機の一つであり、過去20年間でほとんど進展が見られないことを示している。しかし、得られる情報に限界があることから研究では増大するデジタル暴力の危険性が考慮されていないため、実態はさらに深刻である可能性が危惧される。
TFGBVとは何か?
テクノロジーを悪用したジェンダーに基づく暴力(TFGBV)とは、デジタルツールやオンラインプラットフォームを通じて実行または増幅され、性別を理由に標的とされるあらゆる暴力や虐待行為を指す。
国連人口基金UNFPAの定義によれば、TFGBVは情報通信技術を通じて「実行、助長、悪化、増幅」される暴力行為が発生した際に成立する。
TFGBVには、オンライン上の嫌がらせや性差別的侮辱、ストーキングや迷惑メッセージ、個人情報の流出、ディープフェイクを含む画像ベースの虐待、同意のない親密な画像の共有、デジタル監視・追跡などが含まれる。
こうした攻撃は家庭・職場・公共空間などあらゆる場所で発生し、被害者の生活のあらゆる場面に及ぶことが多い。ヴェロニカ・フェルナンデス・メンデスUNI機会均等局長は、「現状が明らかにしているのは、オンライン虐待が職場の安全衛生問題であるということだ」と指摘し、「TFGBVは人々のメンタルヘルス、自信、仕事遂行能力を蝕む。職場から人々を追い出し、特に女性、若年労働者、LGBTQ+労働者を排除する。だからこそ労働組合が立ち上がらなければならない。オンライン上の嫌がらせが決して許されない職場を構築する必要がある」と訴えた。
世界中で深刻化する課題
国際的な調査は問題の規模を明らかにしている:
- 世界的に、16%から58%の女性と少女が何らかのオンライン暴力や嫌がらせを経験しており、一部の報告ではその割合が66%に達するとされている。
- 米国では、4人に1人の女性が個人情報流出、ディープフェイク、リベンジポルノなどのオンライン虐待を経験している。
- 欧州では、女性がオンライン上の嫌がらせに直面する確率は男性より27倍高い。
- オーストラリアでは、女性の3人に1人が職場でのオンライン上の嫌がらせを報告しており、特にメディアやエンターテインメントなど対外的な業務に従事する女性で顕著である。
デジタル暴力は技術の普及と同じ速さで増加しており、労働組合はこれに対応する準備を整える必要がある。
UNI加盟組織からの報告
職場における問題をより深く理解するため、UNI機会均等局は世界中のサービス産業の労働者に調査を実施し、430件の回答を集めた。その結果、テクノロジーを悪用したジェンダーに基づく暴力は職場において深刻かつ拡大していることが明らかになった。回答者の16%が業務外でオンライン・ハラスメントを経験し、10%が職場で被害に遭ったと回答した。加害者は上司や同僚が最も多く、時には顧客や利用者も含まれる。多くの労働者は恐怖、屈辱感、燃え尽き症候群、不安など強い精神的影響を訴えた。
勤務時間外に発生した嫌がらせ行為でさえ、集中力・睡眠・自信・職場での安全感覚に影響を及ぼした。回答者はオンライン・ハラスメントが職業上の評判を損ない、同僚との関係を悪化させ、士気と生産性を低下させると述べた。労働者はソーシャルメディア、メッセージアプリ、職場のコミュニケーションツール、さらには偽アカウントや匿名アカウントを通じて標的にされたと報告し、多くの人が「暴力は職場で始まらないかもしれないが、そこへついてくる」と強調した。
労働組合ができること
保護策の交渉と実施
- 団体協約を通じて、テクノロジーを悪用したジェンダーに基づく暴力に対処する包括的な職場方針を交渉する。
- ILO第190号条約および第206号勧告の完全実施を提唱する。
- あらゆる形態のジェンダーに基づく暴力に対するゼロトレランス方針を確立する。
能力構築と意識啓発
- 労働者と労働者代表が技術を悪用したジェンダーに基づく暴力を認識し、これに対応できるよう、研修やワークショップを実施する。
- 職場代表者や組合代表者に対し、トラウマに配慮したアプローチと安全なデジタルコミュニケーションを訓練する。
- オンライン・オフラインを問わずジェンダーに基づく暴力の形態に対する認識を高めるデジタルキャンペーンを展開する。
支援体制を提供する
- 被害者向け秘密厳守相談窓口、紹介ネットワーク、メンタルヘルス支援を提供する。
- 被害者が報復を恐れることなく保護されるようにする(特に女性、若年労働者、LGBTQ+労働者、デジタルを利用する労働者に配慮)。
制度的変革を求める運動
- 職場安全基準へのデジタル空間の組み込みを求める。
- オンラインでのいやがらせ対策のため、デジタル説明責任の強化、法的保護・規制を提唱する。
- デジタルプラットフォームの責任ある利用と個人データ保護を促進する。
UNIの16日間の行動キャンペーンに参加しよう
UNIが準備した印刷物・ソーシャルメディアツールを活用し、#16Daysキャンペーン期間中のオンラインいじめ・嫌がらせへの意識向上にご協力ください。組合向けガイドは下記からダウンロード可能です。共に、テクノロジーを悪用したジェンダーに基づく暴力を止め、デジタル空間を全ての人にとって安全な場としましょう。