UNIとITF、ドイツポストDHLとの協定強化:サプライチェーンのデューディリジェンスと人権を盛り込む

UNI と国際運輸労連(ITF)、そして ドイツポストDHL(DPDHL)グループと は、2019年に締結した経済協力開発機構(OECD)共同プロトコルを見直し、強化した。

7月25日にドイツのOECD連絡窓口によって署名された新たな協定では、UNIとITF、DPDHLは雇用や労使関係に関して継続的かつ建設的に対話を行う。DPDHLはさらに、サプライチェーンにおける労働者の権利および人権の侵害を特定、防止、緩和、救済するための手続きを強化する方法について、UNIおよびITFと有意義な関わりを継続することに合意した。

共同作業計画
対話の範囲を拡げるため、今回3者は初めて、共同作業計画に合意した。この計画では、共通の関心テーマや今後の課題に焦点が当てられている。テーマに関しては、「DPDHL人権に関するポリシーステートメント」に記載された7分野(児童労働、多様性と包摂、労働条件、データプライバシー、強制労働、結社の自由と団体交渉、環境)について、定例会議で掘り下げた議論が行われる予定だ。

UNI、ITF、DPDHLによるOECDプロトコルは、2016年に初めて締結され、2019年に改定された。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「我々は、DPDHLのデューデリジェンス・プロセスにUNIとITFが関わり、問題解決から予防へと協力を前進させていくこの新たなプロトコルを歓迎したい。結社の自由を支持するDPDHLとのこれまでの協定は、世界中で組合結成を促し、特にアフリカの国々では、多くの新しい組合員が団体協約の対象となってきた。この最新のプロトコルが、DHLのサプライチェーン全体における労働条件のさらなる改善につながることを期待する」と述べた。

また、ステファン・コットンITF書記長は、「労働者は、敬意を払われ、尊厳に満ちた生活を送るべきであり、自らが生み出した富について公正な分配を受けるのは、当然のことだ。DPDHLとITFおよびUNIとの長年にわたる関係は今、新たな段階へと歩を進めた。ともに労働者の声を支持し、労働者の仕事に意味ある影響を及ぼすよう、協力しなければならない。我々のパートナーシップの改訂は、サプライチェーンの説明責任の基準を進展させるものであり、我々は力を合わせ、世界経済の脱炭素化など、輸送業界が取組むべき問題や将来の課題の解決に向けて、協力し続けることを期待している」と語った。

DHLギニアで働く組合代表は、「グローバル・プロトコルのおかげで、我々の要求が経営トップに届き、労働者の直面する問題を正すことができるということを実感している」と述べており、その成果は確実に表れている。

3者は建設的な協議を維持し、年に3回、実務レベルの定例会議を開催することに合意した。また、ITFとUNIの書記長は、今後も少なくとも年に1回、DPDHLグループの人事担当取締役と会合を持ち、合意された主要テーマについて対話を行う予定だ。


UNI機会均等局、南アジア・東南アジアの女性リーダー育成に向けた新プログラム

UNI機会均等局が、南アジアと東南アジアの女性活動家を対象に、新たなメンタリング・プログラムを開始した。

ドイツ労働総同盟(ドイツのナショナルセンター)の連邦教育機関であるDGB Bildungswerkと提携し、UNI Apro地域で、スリランカ、インド、バングラデシュ、タイ、ベトナム、マレーシア、インドネシア、フィリピン、パキスタンの9か国の指導者とともに、4回シリーズの国内・地域ワークショップを開催した。

このプログラムでは、活動家が組合への関わりを深め、リーダーシップに関するスキルの習得を後押しすることを目指している。

一連のワークショップの最終回が、タイのバンコクで開催され、ジェンダー主流化、コミュニケーションの改善、業務上の暴力やハラスメントの解消、リーダーシップ強化のための行動計画策定に関するトレーニングセッションが行われた。

東南アジアのワークショップに参加した102人の女性活動家は、1対1のメンタリングを通じて学んだスキルを強化する、51のタンデムを組んだ。

メンターを務めるスリランカのセイロン銀行従業員労組のシャニカ・シルバ氏は、「メンタリング・プログラムは、人生を変える経験だった。他の人を支えるリーダーとして成長することができた。さらに、人脈を広げることができたことも、このプログラムから全ての参加者が得た大きなメリット」と、その成果を強調した。

ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長は、「我々が実施しているメンタリング・プログラムは、国連の持続可能な開発目標、特にジェンダー平等に関する目標5に向けて役立つものだ。平等を実現することは、開発の他の成果においても不可欠だ。近年、ジェンダー平等と女性のエンパワーメントが持続可能な開発にとって極めて重要であることが認識されるようになった。その結果、職場全体でジェンダー主流化のアプローチを制度化する取組みが高まっている」と指摘した。

UNIメンタリング・プログラムは、UNI機会均等局が、THAT’S WHY キャンペーンの一環として、より多くの女性に労働組合運動への参加を促し、エンパワーするために創設したプログラムである。この新たなワークショップにより、メンタリングに参加した女性は、世界56か国で1,200人以上に達した。

ベロニカ・フェルナンデス・メンデスUNI機会均等局長は、「自らのストーリーを共有することでエンパワーされたと感じる、強くて一所懸命な女性たちとともに取組んでいくことほど、やりがいのあることはない」と語り、「ともに笑い、泣くことを恐れない女性。強く、疲れを知らず、進しいことに取組んでいく気概にあふれた女性。同じ障壁に直面し、解決策を見つけるために協力する女性たちこそ、我々の社会をより公正で平等なものにしていく」と力説した。


国際青少年デー:世界中の若年労働者は、より良い条件を求めて組合とともに立ち上がる

国際青少年デーにあたり、UNIグローバルユニオンは、より良い尊厳ある条件、職場の声、生活賃金、意義ある仕事を求めて組織化を進め、世界中で増え続ける若い労働者たちとともに立ち上がる。

UNIユースは、世界各地で研修やメンタリング・プログラムを通じて、こうした取り組みを支援している。

「労働者であることは、自分の仕事に誇りを持つことであると同時に、私たちが組合に入れば、労働条件を改善し、より良い賃金を求めて戦うことができるということを認識することだ」と、フランスのFOのポール・ブライエは述べた。

Covid-19は特に若い労働者に大きな打撃を与えた。

OECDによれば、危機は若者の失業率を押し上げ、若年労働者は一般の2倍以上となった。

しかし、労働条件の悪化に伴い、組合への支持は高まっている。

「組合に加入していれば、バックアップや支援が必要なときに組合に頼ることができる」と、SSFアイスランドのヨハンナ・ジョンスドッティルは言う。

国際青少年デーの今日、私たちは世界中の若年労働者のために、より良い労働条件、組合による代表、強い組合を求める声に賛同する。

今こそ、すべての労働者のために組合の力と団体交渉力を高め、強化する時だ。

UNIユース動画 「若者にとって、労働者である意味、組合員である意味、とは?」


世界の労働組合、労働者の権利に関する資産運用会社への期待事項を発表

2022年7月中旬、グローバルユニオンの労働者資本委員会(CWC)が、基本的労働権についての資産運用会社への基本的期待事項(以下、「CWC基本的期待事項」と表記)を発表した。資産運用会社の説明責任イニシアティブの一環として、労働組合と年金基金理事会が策定したCWC基本的期待事項は、アセットオーナーが、契約している資産運用会社に基本的労働権に関する説明責任を持たせる上で有用だ。

グローバルな資産運用会社は、労働者の退職基金の資金を運用している。CWCネットワークに参加しているこうした基金の役員は、資産運用会社が、投資先において労働者の権利への悪影響を緩和する責任を果たすことを期待している。同様に、財団や宗教系投資家などの他のアセットオーナーも、資産運用会社に対する期待を高めている。

国際運輸労連(ITF)会長を務めるパディ・クラムリンCWC副議長は、「グローバルな資産運用会社は、結社の自由や団体交渉の権利など、労働者の基本的権利が侵害されている公共・民間市場の投資に大きな出資をしている場合がある」と指摘し、「アセットオーナーは、基本的期待事項を用いて資産運用会社が影響力を行使した行動をとるよう、促すことができるようになった。そして最終的には、権利を侵害された現場の労働者に良い結果がもたらすことができる 」と述べ、その意義を説明した。

「CWC基本的期待事項」は、「基本的事項」から「優れた実践」へと進み、資産運用会社による労働者の基本的権利の尊重と支持に関する取組みレベルを評価するための、以下4つのカテゴリーに分けられる。

1.受託者責任の枠組み
2.上場株式における受託者責任の実践(委任状による議決権行使と株主参画)。
3.民間市場での受託者責任の実践
4.政策提言

この枠組みは、国連ビジネスと人権に関する指導原則およびOECD多国籍企業行動指針に基づくもので、デューディリジェンスを実施し、環境および社会への悪影響を防止または軽減するための投資家責任を定めている。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「資産運用会社は、結社の自由や団体交渉のような労働者の基本的権利を、自社の受託者責任の枠組みや実務慣行に組み込むため妥協のない行動を取る必要があり、これらの期待事項は、今取るべき措置の指針となる」と述べ、「組合の退職基金は、労働者の基本的権利の侵害を存続させるために使われてはならない」と強調した。

スウェーデンのFOLKSAM-LO年金基金のCEOであるクリストファー・ジョンソンCWC議長は「環境、社会、ガバナンスを考慮したESG投資のマーケティングは、人権や労働者の権利に関する受託者責任について、有言実行する資産運用会社とそうでない会社を区別するよう、アセットオーナーに求めている」と指摘し、「このツールを使って外部の資産運用会社に質問を投げかけ、トップへの競争を促したい」と語った。

CWC基本的期待事項は、組合役員および以下の組織に属する年金基金受託者が共同で策定したものである:オーストラリア労働組合評議会、米国AFL-CIO、スペイン労働者委員会、オランダFNV、国際労働組合総連合(ITUC)、UNI、国際運輸労連(ITF)、OECD労働組合諮問委員会(TUAC)

労働者資本委員会(CWC)とは、労働者資本の責任ある投資に関して対話し行動を起こす国際労働組合ネットワークである。国際労働組合総連合(ITUC)、グローバルユニオン(GUF)、OECD労働組合諮問委員会(TUAC)の共同イニシアチブであり、UNIは事務局に参加している。


欧州のICTS部門の社会パートナー、2年間の社会対話プロジェクトを完了

欧州における電気通信部門の社会パートナーであるUNI欧州ICTS部会、欧州電気通信事業者協会(ETNO)は、2年間の社会対話プロジェクト「全ての人のためのデジタルアップスキリング」(DUFA!)を終え、その成果をまとめた。

このプロジェクトで得られた知見は、欧州の電気通信部門の労働者がデジタル技術の向上に取組む上で、より有効なものとなるだろう。また、今回明らかになった優良事例は、欧州の電気通信部門における、より多様で包摂的な労働力の実現に向けて道を開くものだ。このプロジェクトは、欧州の労働力の幅広いエコシステムに目を向け、他部門がこれらの重要な問題に取組むきっかけとなることを目指している。このプロジェクトのハイライトをまとめた概要報告書は、欧州の19公用語で参照可能だ。

欧州労働者の半数がデジタル技術を習得
調査によると、2025 年までに労働力の半数が再技能教育を必要としている。現在のペースでは、欧州におけるすべての部門で、労働者の再教育に関して大きな課題に直面することになるとされる。最新の「デジタル経済・社会指標」報告によると、現在、基本的なデジタル技術を身につけている欧州人は56%にとどまっている。

この結果は、コンサルティング会社マーサーが実施した業界調査の結果とほぼ同じである。この調査結果によると、DUFA!プロジェクトに参加した専門家の54%は、現在、従業員のスキルアップに関して「分析と計画」の段階にあり、2030年に向けた欧州の「デジタルの10年」目標の達成にはまだ程遠い状況だが、EU のすべてのステークホルダーを迅速に動員すれば、この目標を実現する可能性が高まるだろう。この目標では、2030 年までに欧州の 80% の人々が少なくとも基本的なデジタル技術を身につける必要がある。

優良事例の特定に向けた2年間の取組み
2020年2月以降、このプロジェクトに参加する専門家は、通信事業部門がデジタルアップスキルに取組む上で何が不足しているのかを、ジェンダー平等、労働力の高齢化、マイノリティといったさまざまな観点から理解を深めてきた。

プロジェクトの調査結果をジェンダーの観点から見ると、ターゲットとなるデジタルアップスキル戦略を妨げている主要因として、人事プロセスにおける偏見、メンタリングプログラムの欠如、創造的で革新的なIT職務への関わりに男女格差がある点などが挙げられる。高齢化した労働力のデジタルアップスキル戦略に関しては、社内における柔軟な労働政策や段階的退職にむけた戦略の欠如、新しい適切な職種が生み出されていないこと、職場の人間工学の欠如などの制約が指摘されている。

さらに、プロジェクトの参加者らは、様々な神経疾患や障がいの当時者、さまざまな民族や難民、LGBT+コミュニティ等のマイノリティには、未開拓の才能があることに同意している。

通信業界とその周辺を活性化
DUFA! は、ETNOとUNI欧州を結びつけ、電気通信部門の労働力のレジリエンス強化に成功した事例でもある。欧州委員会から資金提供を受けたこのプロジェクトは、欧州ICTS部会にとって、新たな人材を確保する手段としてデジタル技術を向上させるというアプローチに挑戦する足掛かりとなった。

通信事業部門以外にも目を向けることで、このプロジェクトは、欧州委員会が設定したデジタル技術の向上目標を達成するために活用できる優良事例を明らかにしてきた。


ネパール商業部門のオルグと組合リーダー、組織化スキルを強化

ネパールの商業労組UNICOMEは、2022年7月31日から8月2日にかけて、ネパールの商業部門の組合オルグおよび指導者20人以上を対象にワークショップを開催した。イラム地方のホテルで開催されたこのプログラムでは、オルグの役割や組織化の戦術などについて学ぶとともに、どのように国際産業別労働組合や連帯組織が現地で組合の組織化を支援しているか等が紹介された。

現地の労働局およびILOネパール事務所を代表するゲストが、労働法の関連条項や労働安全衛生の重要性について、講演を行った。また、デジタル組織化に関わる新たなモジュールの一環として、参加者は職場マッピングの実践的な手法とトレーニングを受けた。

3日間のワークショップの最後に、参加者はイラム地方調整委員会の副主任から修了証書を受け取った。ポカラ出身のUNICOME組合員であるリトゥ・ギリ氏は、「トレーニングは組織化スキルの重要な分野を理解するのに非常に役立ち、組合の発展と同様、個人の成長にも有益なものだった」と感想を語った。

UNICOMEは、ワークショップで築かれたスキルや関係性が、デパートの企業別労組の組織化や、州レベルでの社会対話の範囲拡大に貢献するだろう、と自信をのぞかせた。


広島・長崎への原爆投下から77年目-UNIは原爆犠牲者を追悼し、軍縮の要求を新たに

UNIは、77年前の今週、日本への核攻撃で亡くなった22万5千人の人々を追悼する。 

また、第二次世界大戦中の1945年8月6日に広島、9日に長崎で行われた原爆投下によって、長期にわたる放射線の影響を受け続けた数千人以上の犠牲者に心を寄せる。

アルケ・ベシガーUNI副書記長は、「原爆投下が引き起こした言いようのない恐怖を決して忘れてはならないし、世界で混乱と核の脅威が高まる中、このような非道な行為が二度と起こらぬよう、平和と核軍縮を訴え続けなければならない」と述べた。

UNIは、人権の基本要件である核兵器のない世界の実現を積極的に求めるとともに、核兵器廃絶のための国際キャンペーンに参加している。また、2010年に長崎で開催されたUNI世界大会以来、UNIは長崎市や国際平和運動と強い絆を築いてきた。

ラジェンドラ・アチャリヤUNI Apro地域書記長は、「我々はこの厳かな節目の日に、失われた人命を追悼するとともに、我々の地域、そして世界中の安全で民主的な未来のために、核兵器を歴史の灰の山に追放しなければならないのだということを改めて表明する」と語った。


英国アマゾン倉庫で労働者が座り込み

英国ティルベリーのアマゾン倉庫で働く数百人の労働者が、ここ数十年で最悪のインフレ危機のさなか、時給35ペンスというあまりに不愉快な賃上げ額の提示に抗議し、ストライキに踏み切った。

ソーシャルメディア上の動画では、アマゾンの労働者が、エセックス州ティルベリーにある同社倉庫の食堂で、経営側からのわずかな賃上げの提案に反対する声を上げ、抗議している。8月初旬にアップロードされた動画では、管理者が従業員に職場に戻るよう求め、「一晩中こんなことを続けていても、何も変わらない」と発言している様子が映っている。

UNI加盟組織であるGMBの代表は、労働者が生活費の上昇に対応するため、時給2ポンドの賃上げを求めているとしている。GMBの地域オルグであるスティーブ・ガレリック氏は、「アマゾンは地球上で最も利益を上げている企業の一つ。生活費が高騰する中、まっとうな賃金を出すことはできるはずだ」と述べ、「アマゾンは労働組合とともにより良い労働条件と公正な賃金を実現することを拒み続けている。会社側による短期雇用契約の繰り返しは、労働者の権利を弱体化させるためのものだ」と指摘した。また、「同社が好んで描くイメージと労働者の現実は、これ以上ないほどかけ離れている。賃金と労働条件を抜本的に改善しなければならない」と訴えた。

賃金や福利厚生をめぐるアマゾン倉庫でのストライキは、今に始まったことではない。ドイツでは、労働者の長年のストライキと組織化を受け、アマゾンは時間給を引き上げた。しかし、労働時間が長く、クリスマスや休暇のボーナス等の特別手当が殆どもしくは全くないため、アマゾンの従業員の収入は、団体協約で保護されている同業他社の従業員よりも数百ユーロ低いままであることが多い。

5月のプライムデーのストライキで、ver.diのナッツェンベルガー氏は、「従業員の働きを評価し、物質的な保障を与えることは、長年の懸案となっている」と述べ、「団体協約だけが労働者を守り、アマゾンが好き勝手にやっている状況を終わらせることができる」と力を込めた。

アマゾンで働くVER.DIの組合員は、賃金や労働条件をめぐって過去に何度もストを打ってきた。

UNIは、アマゾン労働者を代表するアマゾン労組アライアンスをまとめている。


UNI欧州、労働者を中心に据えたケア部門戦略を要求

UNI欧州が、労働組合の権利、団体交渉、労働条件、人員配置、質の高いケアを強化するため、欧州の来るべき介護戦略を要求している。労働者の利益が戦略の中に組み込まれるよう、UNIはEUの3つの立法機関の主要な政策決定者と連携している。

オリバー・レティクUNI欧州地域書記長は、「人々が受けるケアの質と安全性は、介護に関わる労働者の労働条件と切り離すことはできない。パンデミックの影響で、ケアを受ける人と労働者の双方に十分な資源が行き渡っていないことは、共通認識となっている。我々は、民間介護部門で働く何十万人もの人々を置き去りにはできない。今こそ改善を求める時であり、欧州ケア部門戦略は、過去2年間に欧州全域で露呈した壊滅的な欠点を修正するための、重要な手段だ」と強調した。

欧州委員会
欧州委員会は、欧州ケア部門戦略の策定において中心的な役割を担っている。UNIのアプローチの目的は、社会パートナーと株主がケア部門の水準を上げるという目的を共有し、EUが推進しうる主なツールとして、強力な団体交渉を提示することだ。そのためUNIは、UNIが支援する「ケア部門の責任ある投資家イニシアティブ」と、ニコラ・シュミット雇用・社会権担当委員との会合を設定した。2021年に開始したこのイニシアティブには、3兆7000億ユーロの資産を運用する130以上の機関投資家が参加している。

ニコラ・シュミット委員は非常に前向きな反応を示し、社会サービスにおける産別の社会対話委員会の必要性を強調した。UNI欧州は現在、包括的で労働者を代表する産別の社会対話の機構を創設するため、取組みを推進・強化している。

レティクUNI欧州地域書記長は、「患者/利用者:スタッフの安全な比率、防護具の提供、そして質の高いケアを長期に渡って提供しうる仕事量の維持のためには、強力な労働組合が必要だ。労働組合は、ケア部門の企業に変化をもたらす独自の洞察力を提供できるという認識が、あらゆる関係者間で共有されている。昨年の我々の取組みは、投資家との対話を通じ、企業方針と慣行の改善に向けた強力な基盤を築いてきた」と指摘した。

ケアに関する市民社会団体連合の一員として、UNIは欧州委員会に対し、「欧州ケア戦略は欧州議会の要求と一致しなければならない」と題する書簡を送付している。

欧州議会
UNI欧州が、欧州議会における主要な委員会のメンバーと長期的な関係を構築してきたことで、UNI欧州の意見が欧州ケア戦略に反映され、また介護労働者の集団的発言力を強化することにつながってきた。

最近、欧州議会の2つの委員会(雇用・社会問題委員会、女性の権利・男女機会均等委員会)が、「ケアに関する欧州共通行動に向けて」と題する独自報告書を共同で提出し、組合が介護部門で果たすべき重要な役割を強調している。この報告書は欧州議会で採択されており、特に労働者の組織化の権利を強化することを目指している。

独自報告書は、欧州議会が立法措置を開始するための主要な手段となっている(そのためには欧州委員会も必要である)。この内容がEU法に反映されれば、個人・訪問介護労働者を含む広範な介護部門における団体交渉について、 欧州全域で新たな枠組みが生まれることになる。この報告書は、欧州ケア部門戦略について、介護労働者が集団的に強力な発言権を持つことを保証するよう、欧州委員会に強いメッセージを送るものである。UNI欧州が複数の欧州議会議員や政党に働きかけたことで、組合の権利などの重要項目が盛り込まれることとなった。

エイドリアン・ドゥルチUNI世界ケア部会担当局長は、「この欧州議会の報告書は、UNI欧州ケア部会の中東欧や南東欧での組織化の取組みや、EUレベルでの政策提言活動やロビー活動が、いかに労働者の権利を強化し、組合の力を構築しているかを示すものだ」と述べた。

加盟国
EU理事会を通じて加盟国も、欧州ケア部門戦略の策定に対して発言権を持っている。UNIは主要な協力団体と連携し、組合の要求が最終版に盛り込まれるよう、強力に働きかけている。

スペインの労働組合は、介護部門の危機を政府の最優先課題として取り上げることに成功した。最近では、UNIはスペインの組合CCOOが主催した、同国副首相を務めるヨランダ・ディアス労働・社会経済大臣とのハイレベル・セミナーに参加した。セミナーでは、フェミニズムと労働組合の視点から、ケア部門の欧州戦略を策定することに焦点が当てられ、ディアス副首相は、「フェミニズムを核としたケア部門の専門化を実現する上で必要な変化を起こすため、我々は協力していかなければならない」と述べた。

また、ウナイ・ソルドCCOO書記長は、「ケアに関する協定は、21世紀の新しい社会契約を構成する中心的要素の一つだ」と述べ、パンデミックの観点からケアに対する投資の重要性を強調した。

セミナーに参加したベロニカ・フェルナンデス・メンデスUNI機会均等局長は、「全ての大陸、全ての国で、ケアの仕事は女性が担っている。管理職の大半が男性で、労働者の大半が女性である現状においては、制度的な性差別の存在を無視することはできない」と指摘した。

また、団体交渉を通じて労働者に発言権を与えることが、ケア部門の労働者が抱える主な課題、特に低水準の賃金と人員配置を改善する最も効果的な方法であると指摘し、「産別団体交渉によって労働者は、業界全体の労働条件を改善し、解決策に加わる可能性を与えられる。EUは、労働条件を抑圧する構造的な問題に覚醒しつつある。EUが本気で状況を変えようとするならば、政策決定者はまず、ケア部門の主な政治的圧力の対象である公共調達を、労働者の団体交渉権を尊重する企業に限定するよう要求しなければならない」と訴えた。


UNI Apro 青年委員会 & 青年ワークショップ、バンコクで開催

2020年初頭に始まった世界的なコロナ禍以降、UNI Aproとしては初の対面の機関会議として、2022年7月22~23日の2日間に渡り、第18回UNI Apro青年委員会がタイ・バンコクで開催された。この間、委員の交代等もあったため、今次会議では、まず「お互いを知ること」を重視し、ロールプレイやブレインストーミング等、対面のメリットを生かしたインタラクティブで参加型の手法を多く取入れて進められた。各国の青年活動報告に加え、この間に国政選挙が実施されたフィリピン、日本、インドネシア、オーストラリア、スリランカから国政報告も行われ、各国の労働運動の背景となる政治・経済事情についても理解を深めた。また、加盟組織及びUNI機構における青年の代表性を高めることを目指し、UNI世界青年委員会として2023年8月のUNI世界大会に提出する動議案についても内容を確認した。最後に、9月13~14日にオンラインで開催されるUNI Apro青年大会の準備状況について確認し、特に各国の青年活動報告で出された成果及び今後取り組むべき課題を踏まえ、2022~2026年の行動計画案について討議した。

参加者:来賓、青年委員、オブザーバー、事務局を合わせ計19人が出席。内訳は以下の通り。

  • 来賓:スウィット・ミンモル(タイUNI加盟協議長、UNIメディア部会運営委員)
  • UNI Apro青年委員: 14人の委員の内、東アジア(日本)、東南アジア(インドネシア、フィリピン、シンガポール)、南アジア(インド)より計8人が出席。日本からは、松波清美副議長(日放労)、太田佳織委員(情報労連)、藤原尚子委員(UAゼンセン)、齋藤優輔委員(JP労組)の4人が出席。(スリランカ、オーストラリアの委員は出席できなかったがビデオで国政報告及び青年活動報告を行った。)
  • オブザーバー:3人(辻耕平・情報労連中央執行委員、ネパール、フィリピン)
  • 事務局:7人(ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長、マルタ・オチョアUNI青年活動担当局長、ベロニカ・フェルナンデス・メンデスUNI機会均等局長、ミシェル・ベリーノUNI Apro青年活動担当部長、ソンブーンUNIタイ加盟協スタッフ、上田UNI-LCJ事務局長、森川UNI-LCJ事務局次長)

●国政選挙報告

松波清美副議長(日放労)は、7月10日の参院選では各産別が様々なチャネルを通じて政治活動の重要性と組織内候補への投票を呼びかけ、LCJ構成組織の候補者は全員当選することができたが、与党が過半数を獲得する厳しい結果となったと報告した。投票率の低さ、支持政党分裂による労組集票率の低下に加えて、SNSの活用によりいかに若年層や無党派層を取り込んでいくかが課題であり、今後も政策実現のため組織拡大と共に政治活動の強化が重要だと述べた。

●各国青年活動報告

  • 太田佳織委員(情報労連)は、若手役員向け研修コースについて紹介し、課題として、①組合活動へ参加する組合員が少なく、②組合役員の担い手が少ないことを挙げた。解決策として、青年役員による新規組合員の勧誘活動、SNSでの親しみやすい情報発信、魅力的なレク企画、職場の枠に留まらない出会いや学びの楽しさを体感する機会の提供が重要であり、若年層が挑戦したいと思えるよう、組合活動自体の工夫や見直しを行う必要性も指摘した。
  • 藤原尚子委員(UAゼンセン)は、35歳以下の組合員で構成されるヤングリーブスとして、コロナ禍に実施した若年層向けのオンラインイベントについて紹介した。若年層の関心が高いフェアトレードやSDGs等のテーマでのオンライン学習会に加え、参院選期間中には、「若年層の投票率」、「カスタマーハラスメント」、「男性育児休業」等をテーマにした交流会を集中的に実施し、若手組合員に組織内候補者の政策への理解を深めてもらうとともに、政治への興味・関心の向上を図ることができたと成果を報告した。
  • 松波清美副議長(日放労)は、柔軟で多様な働き方を望む若年層を意識した労使交渉に力を入れており、サバティカル休暇や自己啓発休職制度、リモートワークを活用した遠隔地勤務制度の拡充等を勝ち取ったことを報告した。組合役員の担い手不足という課題解決のためにも、こうした労使交渉を通じて「組合は自分たちの役に立つ存在だ」と実感を持ってもらうことが重要であり、リモート会議の実施や代理制等、役員を担いやすい組合運営の改革にも取り組んでいることを紹介した。
  • 齋藤優輔委員(JP労組)は、30歳以下の組合で構成されるユースネットの活動として、若手役員育成研修、リサイクル活動や書損葉書集約活動等の社会貢献活動、全国規模のレク開催、参院選での組織内候補者をモザイクアートで応援する取組み等を紹介した。また、課題として、新規採用者数の減少に伴い青年組合員数も減少する中、ユースネット役員の固定化や組合役員の担い手不足を挙げた。

委員会終了の翌日、2022年7月24日にUNI Apro青年委員向けワークショップが開催され、参加者は様々なゲームやディスカッションを通じて、「団体交渉」における効果的なコミュニケーション方法について学び、国際青年デーに向けた動画作成等に協力して取り組んだ。


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