2025年9月15日、UNIは80以上の市民社会組織からなる連合体とともに、「Stop Trade with Settlements =入植地との貿易を止めよ」キャンペーンを開始する。占領下のパレスチナ地域(oPt)における違法なイスラエル入植地とのあらゆる貿易を禁止するよう各国に要求する。これには入植事業を支える主要多国籍企業や金融機関による取引も含まれる。
この連合体は同時に報告書『 Trading with Illegal settlements (違法入植地との取引)』を発表。外国政府や企業が違法入植地との継続的な取引を通じて、イスラエルによる長期占領が引き起こす人道危機を直接助長している実態を明らかにしている。
クリスティ・ホフマンUNI書記長は「グローバル企業は、パレスチナ人の権利と未来を奪う収奪と強制労働のシステムから利益を得ている」と指摘し、「各国政府は、他の占領や併合事例で断固とした行動を取ったのと同じように、違法入植地との取引を禁止すべきだ」と強調する。
このキャンペーンが入植地貿易を特に標的とするのは、イスラエルが西岸地区(東エルサレムを含む)でパレスチナ人に対する抑圧を継続・強化し、その経済を分断し、将来のパレスチナ国家の存続可能性を損なっているためだ。入植地との取引を終わらせることが、人権を守り、パレスチナ人の生計を保護し、イスラエルの入植地拡大を止め、違法な占領を終わらせるための必要不可欠な一歩である。
UNIは長年、ヨルダン川西岸地区の違法占領を非難してきた。過去3回のUNI世界大会において、加盟組織は圧倒的多数で「違法入植地の拡大を阻害し、その成長・建設資金へのアクセスを制限する」ためのUNI行動要請を支持した。具体的には「違法入植地の建設・開発を資金援助する企業からの投資撤退」などが挙げられる。
過去4年間、イスラエルは東エルサレムを含むヨルダン川西岸地区における入植活動を大幅に加速させ、入植地建設と土地の収奪を驚異的な速さで実施した。2023年には、イスラエル政府が東エルサレムを含むヨルダン川西岸地区における30,682戸の住宅建設を承認し、わずか5年間で180%の増加となった。2024年6月にはイスラエル政府はヨルダン川流域の12.7平方キロメートルを「国有地」に指定した。そして2025年5月、イスラエルは占領下のヨルダン川西岸地区に22の新入植地を建設することを決定した。こうした動きは過去の記録を大幅に上回り、オスロ合意(1993-1995年)以降で最高水準の入植地拡大となった。承認の大半は「ヨルダン川西岸地区の奥深く」に位置する入植地に対して行われ、パレスチナ領土の断片化をさらに進めるとともに、パレスチナ人に対する新たな移動制限を課すものである。
2012年以降、国際的な反対により凍結されていた「E1計画」が復活し、東エルサレムとマアレ・アドゥミム入植地を結ぶブロックに3,400戸の新規住宅建設が承認された。これは事実上、ヨルダン川西岸北部と南部の間のパレスチナ人の移動を遮断するものだ。
国際法違反で設立されたイスラエルの入植事業は、土地収用、強制移住、パレスチナ人労働者の組織的な搾取の上に成り立っている。こうした入植地との取引は占領を永続させるだけでなく、パレスチナ人の生計を損ない、人道危機を助長し、継続的な人権侵害を可能にしている。
イスラエルは、安価な土地賃貸、技術・賃金への補助金、税制優遇、現金給付などの優遇措置を通じて、東エルサレムを含むヨルダン川西岸全域の入植地へ企業投資を誘致している。以下に挙げる国際企業・金融機関は、サービス提供や投資を含め、イスラエル入植地との取引を継続中、あるいは最近まで行っており、その維持と正当化に貢献している:
ドイツの旅行会社大手のTUIは、違法なイスラエル入植地への複数のツアーを現在も実施している。TUIは「防弾入植者バス」で西岸地区ヘブロンの入植者と面会する「デュアル・ナラティブツアー」を提供し続けている。
英国の建設会社JCバムフォード・エクスカベーターズ(JCB)製の重機は、パレスチナ人の建造物・住宅・農作物の破壊、および違法入植地建設にイスラエルが使用している。JCB のような建設会社は、パレスチナ人の強制移送と入植地の拡大から利益を得ている。
ドイツの巨大多国籍企業シーメンスは、10 億ユーロ以上の鉄道契約を含む、入植地関連の交通インフラに機器とサービスを提供している。
フランスの小売業者カルフールは、イェノット・ビタン社と、イスラエルでカルフール製品を生産・販売する契約を結んでいる。占領地には、少なくとも 9 店舗のイェノット・ビタン店があり、そのうち 2 店舗はカルフールのブランドを全面的に掲げている。
融資や資金援助を通じて入植地貿易に資金を提供し続けている外国銀行のうち、英国のバークレーは、2021年1月から2024年8月にかけて、入植地関連企業に181億ドルの融資とサービスを提供しており、BNPパリバ、HSBCに次ぐ、入植地貿易に加担する企業への第3位の債権者となっている。
デンマークの海運会社Maerskは、国連が「入植地経済に加担している企業」としてデータベースに登録している 4 社、すなわち Comasco、Extal、Ofertex Industries、Twitoplast の商品を輸送している。
世界最大の旅行会社の一つであるスペインの eDreams Odigeo とその子会社 Opodoは、ヨルダン川西岸地区全域のイスラエル入植地にあるホテルや宿泊施設を紹介している。
国際司法裁判所(ICJ)は最近、全ての国家が「占領下パレスチナ地域(OPT)におけるイスラエルの不法な存在から生じる違法な状況を、承認したり維持を支援したりしない」ことを確保する義務を再確認した。したがって、入植地との取引を継続する政府や企業は、道義的だけでなく法的にも共犯関係にある。
イスラエル最大の貿易相手である欧州連合(EU)は、アイルランドやフランスなどの加盟国や市民からの支持が高まる中、こうした禁止措置の検討を開始した。UNIや欧州労働組合連合(ETUC)などの労働組合は、政府に対し言動を行動に移すよう強く求めている。
UNIはパレスチナ労働者と地域社会に連帯し、企業と各国政府が違法入植地維持への加担を止め、国際法を守るための緊急措置を講じるよう要求する。
UNIは提言活動、連帯、集団行動を通じて、パレスチナ人の基本的権利を否定する占領構造に挑み続ける。世界中の労働者と組合を動員し、平和・正義・平等の推進に努め、パレスチナ人とイスラエル人が共に自由と尊厳、安全の中で生きられる未来を目指す。
編集者注 :報告書発表に先立ち、キャンペーン担当者は報告書で言及されている企業に連絡を取った。報告書における具体的な記述内容を企業に送付後、eDreamsとMaerskは違法なイスラエル入植地における事業活動に関する方針変更を発表した。Opodoは本稿発表時点で提供サービスを撤回している。これらの変更は報告書に反映されている。