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2025年ブラックフライデー:世界中のアマゾン労働者と支援者がストライキと抗議行動を実施

2025年11月28日から12月1日にかけて、6大陸のアマゾン労働者、労働組合、支援者が#Make Amazon Payの旗印のもと結束し、UNIとプログレッシブ・インターナショナルが共同主催する世界規模の行動としてストライキと抗議活動を行う。

ニューデリーからモントリオール、そして世界中で、数千人が街頭、ピケライン、倉庫、オフィス、データセンターに集結し、労働者虐待、環境破壊、民主主義への脅威についてアマゾンに責任を問う。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「Amazon、ジェフ・ベゾス、そして彼らの政治的同盟者はテクノ権威主義的な未来に賭けているが、この『Make Amazon Pay グローバル行動デー』に、世界中の労働者が『もう十分だ』と声を上げている」と述べ、「アマゾンは長年、労働組合を通じた職場での民主的権利を、権威主義的政治家の支援を得て踏みにじってきた。そのビジネスモデルは不平等を深刻化させ、労働者が団結し、団体交渉を行い、安全で公正な職場を求める基本的権利を損なっている」と非難した。

プログレッシブ・インターナショナル共同事務局長のデイビッド・アドラー氏は、「アマゾンはもはや単なる小売業者ではない——監視と搾取を基盤とする新たな権威主義体制の支柱だ」と指摘し、「移民税関捜査局(ICE)の強制捜査からパレスチナ人弾圧まで、アマゾンの技術は世界中の暴力システムに組み込まれている。しかし『Make Amazon Payグローバル行動デー』は、労働者と地域社会がこの権力に立ち向かい——尊厳と民主主義に基づく未来を築けることを示している」と訴えた。

インドのアマゾン労働者ネハ・シン氏は、「猛暑時には倉庫は炉のように熱くなる——人が倒れてもノルマは止まらない。たとえ倒れても休んで帰れなかった。休めば給料が減額され、3日休めば解雇される。アマゾンは私たちを使い捨て扱いしている。私たちは『Make Amazon Pay』の運動に参加し、最も基本的な権利——安全、尊厳、そして生きて家に帰る機会——を要求する」と語った。

グリーンピース・インターナショナルのシニア・キャンペーン部長のサンナ・ゴトビ氏は、「ジェフ・ベゾスのアマゾンは、ビッグテックが人々や地球に及ぼす破壊的影響が拡大している明白な例だ。『Make Amazo Pay』の運動は、アマゾンがビッグテックと抑圧的な体制との同盟の中心にあることを世界に知らせている。アマゾンのような億万長者が所有するビッグテック企業は、異論を抑圧し地球を破壊しながら、私たちの権利に対する脅威を増大させている。ビッグテックが私たちの生活に介入する暴走に抵抗し、今こそアマゾンに責任を問う時だ!」と訴えた。

バングラデシュのソミルイト縫製労働者連盟のナズマ・アクタル委員長は、「アマゾンはバングラデシュの縫製労働者の労働から利益を得ながら、その労働者を守る国際アコードへの署名を拒否している」と述べ、「ラナプラザの縫製工場が崩壊してから10年以上経った今、言い訳は通用しない。アマゾンがバングラデシュで事業を展開したいなら、アコードに署名し、労働者の命を守り、団結する権利を尊重すべきだ。それ以下の対応は搾取に他ならない」と断じた。

 6年目を迎えたこのキャンペーンは、主催者らが「テクノ権威主義的未来」と呼ぶ新たな体制を直接的に標的にしている。これはビッグテックと極右勢力が融合し、権力を集中させ、民主主義を弱体化させ、労働者の権利を侵食する、新たに出現しつつあるシステムである。

30か国以上で展開されるグローバル・アクション

• インド –  ニューデリー、コルカタ、ムンバイを含む20都市で数千人が集結し、公正な賃金、安全な労働環境、酷暑からの保護を要求。インド小売業労組が調整している。

• カナダ:  モントリオールでカナダ小売業労組がアマゾン反対集会を開催。

• ドイツ : 労働組合ver.diがアマゾン倉庫でのストライキを調整。

• 米国 :シカゴ(イリノイ州)、ニューアーク(ニュージャージー州)、ニューヨーク市(ニューヨーク州)、オークランド(カリフォルニア州)、サンバーナーディーノ(カリフォルニア州)、ワシントンD.C.で、サイバーマンデー抗議活動を実施。移民税関捜査局(ICE)の強制捜査を支えるアマゾンの契約に反対する集会が行われる。アマゾンが年間で最も売上高の高い時期を迎える中、地域住民は同社がICEの監視システムの技術的基盤を提供することでトランプ政権の拘束・強制送還政策に加担している現状を終わらせるよう要求する。アテナ連合(AECJ)が調整。シアトルではAECJが、アマゾンによる大量解雇直後のホリデーシーズン開幕にあたり、1,000人以上のアマゾン社員が公開書簡を発表し、経営陣によるAI導入・開発がもたらす弊害を告発。フィラデルフィアでは11月24日(月)に、労働者と地域支援者がフィラデルフィア・センターシティ店前に集結し、アマゾン傘下のホールフーズに対し、生活可能な賃金・手頃な医療保険・職場での尊重を要求した。労働者らは、アマゾン・ホールフーズが覆そうとしている組合結成申請から1周年を迎えた日に、組合承認を求める書簡を経営陣に手渡した。

• バングラデシュ :ダッカで衣料品労働者が行進し、サプライチェーンにおける搾取を糾弾。

• インドネシア :労働組合ASPEKがジャカルタで抗議行動を実施。

• オーストラリア: ユニオンズWAの組合員が、店舗流通関連労組、TWU、MEAAと共同で全国集会を開催。労働組合が苦闘の末に勝ち取った労働条件を、アマゾンが執拗に侵食していることに抗議。

• 台湾 :グリーンピース台湾が行動。

• ネパール: カトマンズで抗議行動。

• パレスチナ:郵便労働者が占領下でのアマゾンとの連携に抗議。

• ブラジル:フランコ・ダ・ローシャで行動。

• コロンビア:ボゴタでCOEが抗議行動。

• デンマーク:グリーンピース・デンマークによる行動。

• ルクセンブルク:ルクセンブルグ・グリーンピースとグリーンピース・インターナショナルによる共同行動 。

• 南アフリカ:ケープタウン、先住民の土地に建設されたアマゾン南アフリカ本社での「聖なる土地を守れ」行動。

アマゾンは「機械の心臓部」に位置し、企業の貪欲さ、監視、組合潰し、極右的権威主義の融合を推進している。これらは、利益の追求と統制・暴力のシステムを融合させる。職場内外における民主主義と自由への攻撃である。

史上最も強力な企業の一つであるアマゾンは、トランプの就任式に資金を提供し、見返りとして組合潰し、規制緩和、環境保護の後退への支持を得た。アマゾンの直近の申告書によれば、2025年前半に成立した法人税減税の結果、前年同期比で14億ドルの税額削減が実現した。これはトランプ政権が議会を迂回して法人税と億万長者税をさらに引き下げようとしている最中の出来事である。

キャンペーン主催者は、アマゾンの自動化と人工知能の拡大は、数十万人の労働者を置き換える脅威となり、その巨大なデータセンターはエネルギーと水資源を浪費し、気候危機を悪化させていると警告を発する。

だが、世界中で労働者たちはアマゾンの支配に反撃する動きを見せている。

カナダでは、アマゾン労働者の組織化に向けた長年の取組みが、突破口を開いた。2025年にブリティッシュコロンビア州デルタの倉庫労働者らは、州労働委員会がアマゾンによる組合組織化運動への違法な干渉を認定したことで、労働組合の認証を獲得した。ブリティッシュコロンビア州労働関係委員会は、YVR5施設における組織化運動期間中のアマゾンの行動(急激な雇用増加や反組合メッセージを含む)が投票の公平性を損なったと判断。州労働法に基づき組合認証を認めた。この裁定により、デルタ倉庫はカナダで初めて組合が代表権を獲得したアマゾン施設となった。

オーストラリアでは、組織化された労働者が政策論争を政治的勝利へと導いた。連邦政府が公共調達規則に新設した「倫理的行動」条項(店舗流通関連労組による持続的な運動で勝ち取ったもの)は、契約授与前に労働者の権利に対する企業行動を評価することを義務付けている。2025年11月17日発効のこの措置により、労働者搾取や法令違反の疑いがある企業は数十億ドル規模の政府入札から排除される可能性がある。

米国ではアマゾンが、連邦取引委員会(FTC)による「顧客を欺いてプライム会員に加入させ、解約を妨害した」とする訴追を解決するため、25億米ドル(約230億円)の支払いに合意した。FTCによれば、和解金には民事罰金10億米ドル(同委員会史上最大の規則違反罰金)と、影響を受けた消費者への返金15億米ドルが含まれる。


オーストラリアの労組、公的支出からのアマゾン式組合潰しの排除を勝ち取る

オーストラリアで連邦調達規則に「倫理的行動」条項が導入され、公的資金の使途に対する説明責任強化を求める労働組合にとって大きな勝利となった。

2025年11月17日以降、政府機関は契約授与前に企業の労働権尊重実績、法令遵守状況、倫理的行動を審査することが義務付けられる。これにより、労働者搾取や法令違反の疑いがある企業は、数十億ドル規模の政府入札から排除される可能性がある。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「これは労働者にとって、またアマゾン等の企業が利益を人より優先させるのを阻止するために闘う全ての組合にとって、大きな勝利だ」と喜び、「公契約は企業の貪欲さではなく倫理的行動を報いるべきだ。オーストラリアの決定は、組合が団結することで何をなしうるかを示している」と述べた。

この改革は、UNI加盟組織の店舗流通関連労組(SDA)が主導し、運輸労組(TWU)およびオーストラリア労働組合評議会(ACTU)が支援した運動を受けて実施された。各組合は政府に対し、納税者の資金による公契約が、組合潰し、賃金窃盗、権利侵害で告発された企業に流れることのないよう求めてきた。

UNI会長を務めるジェラルド・ドワイヤーSDA全国書記長は、「長きにわたり、アマゾンのような企業は公契約から利益を得ながら、体系的に労働者の権利を侵害してきた(‥‥中略‥‥)今回の改革は、政府が搾取ではなく倫理的行動を評価すべきだと明確に示すものだ」とその意義を語った。

キャンペーンで名指しされた企業の一つであるアマゾンは、「体系的な労働者虐待」と批判されてきた行為について、世界中の労働組合、公職者、市民社会団体から監視を受けている。UNIと加盟組織は、安全でない労働環境、反組合的戦術、組織化活動への報復行為を白日の下に晒してきた。

インドではUNIの調査により、アマゾン倉庫労働者が適切な休憩や冷却対策なしに酷暑に晒されている実態が判明している。またカナダでは、 組合結成の動きがあるケベック州の7施設が閉鎖されたことに対し、 2兆米ドル超の資産を運用する約70の機関投資家が批判し、信用リスクと法的リスクを警告した。

労働組合はグローバルに連携して毎年、ブラックフライデーに「Make Amazon Pay」世界行動デーを実施し、公正な賃金、安全な職場環境、団体交渉権の承認を要求している。

これまでオーストラリアの調達規則は主にコストに焦点を当てていた。新たな条項はこの枠組みを拡大し、企業の労働基準、納税記録、全体的な企業行動など非財務的要素も考慮対象に加える。


UNI Apro、永島智子新会長を歓迎

永島智子UAゼンセン会長が、UNI Aproの新会長に就任することが決定した。2025年10月28日に開催された臨時UNI Apro運営委員会での推薦を経て、UNI Apro執行委員会で承認された。

UNI Apro史上初の女性会長であり、アジア・太平洋地域の労働運動における女性のリーダーシップにとって画期的な出来事だ。

地域リーダーシップにおける歴史的節目
永島新会長の選出は、継続性と刷新の両方を体現している。継続性とは、UAゼンセンの長年にわたるUNI Aproへのコミットメントであり、刷新性とは、地域組織を率いる初の女性として永島新会長が担う先駆的役割である。永島新会長の任期は、アジア太平洋地域の労働組合が女性、若年労働者、非正規雇用・プラットフォーム労働者の代表拡大に尽力する時期に当たる。

ラジェンドラ・アチャリヤUNI Apro地域書記長は、「永島UNI Apro新会長の就任を心より歓迎したい。UNI Apro初の女性会長の誕生という、歴史的な出来事だ。同氏の就任を祝福するとともに、地域全体の運動強化に向け、緊密な連携を大いに期待している」と述べた。

永島新会長の略歴とリーダーシップ
永島UNI Apro新会長は、特に小売・商業分野において、組合指導者として深く多様な経歴を持つ。
• 2016年、イオンリテールワーカーズユニオン中央執行委員長、パートタイム労働者や非正規労働者の組織化活動を推進。
• 2018年、イオングループ労働組合連合会会長に就任、非正規労働者における同一賃金と組合加入率向上のための運動を推進。
• 2020年、UAゼンセン副会長 流通部門長。日本の商業部門の変革に対する同組織の構造的対応を主導。
• 2022年12月、UNI世界商業部会副議長に選出。
• 2024年9月、UAゼンセン第13回定期大会において会長に選出。UAゼンセンはパートタイム労働者の組織化と日本における賃金格差の縮小における功績を認められ、2024年11月に「UNIブレイキングスルー賞」を受賞。

強力なレガシーを継承
UNI Apro運営委員は、退任する松浦昭彦会長に対し深い謝意を表明した。松浦昭彦UNI Apro会長(同じくUAゼンセン)は2021年11月よりUNI Apro地域会長を務め、その任期中、地域の一体性が強化され加盟組織間の協力が推進された。同氏のリーダーシップのもと、UNI Aproはパンデミック後の複雑な復興期を乗り切りつつ、世界で最も多様性に富む地域の一つにおいて、労働者の権利、民主主義、労働組合の連帯を推進し続けてきた。
退任にあたり松浦昭彦UNI Apro会長は、「UNI Apro会長を務められたことを光栄に思う。この数年間、加盟組織の皆様からのご支援に深く感謝申し上げたい。永島新会長と新たな指導部のもと、UNI Aproが引き続きApro地域の労働者にとって不可欠な組織として成長していくことを確信している」と挨拶した。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は「永島UNI Apro新会長の就任を心よりお祝い申し上げる。我々の運動全体でより多くの女性が指導的立場に就くのは素晴らしいことであり、優れたリーダーになることを確信している。永島新会長と共に取組み、地域全体の労働者に対する新会長の力強い貢献を支援していく」とコメントした。

永島智子UNI Apro新会長は謝意を述べた後、「我々は地域的にも世界的にも多くの課題に直面している。これらに対処するには結束し協力しなければならない。運動の強化を継続する中で、皆様と協力できることを楽しみにしている」と挨拶した。

今後の展望
永島新会長の任期開始にあたり、UNI Aproは引き続き、増え続ける不安定雇用・パートタイム・プラットフォーム労働者の組織化、テクノロジーとAIが雇用に与える影響への対応、気候変動関連の混乱への対処、そして脅威にさらされているあらゆる場所での民主主義と人権の擁護に注力していく。


UNIとカルフール、グローバル協定を更新-労働者の権利に関するグローバルな取組みを再確認

2025年10月17日、UNIと世界最大級の小売企業カルフールが、グローバル協定を更新した。これにより、カルフールの直営店とフランチャイズ店舗の双方において労働者の権利を強力に保護する基盤を築いてきた24年にわたるパートナーシップが強化される。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「カルフールとのグローバル枠組み協定は、その範囲と強固さだけでなく、労働者へのプラスの影響においても成果を上げ続けている」と述べ、「更新された協定は、カルフールのグローバルな事業展開全体におけるディーセントワーク、社会対話、労働者の団結権に対する我々の共通のコミットメントを反映しており、トルコからコートジボワールに至るまで、確かな成果を生み出している」と称賛した。

更新された4年間の協定には、労働組合の権利と団体交渉、ジェンダー平等、性的指向や性自認に基づく差別を含む反差別、職場における暴力とハラスメントからの保護に関する強力な条項が含まれている。これは、仕事の世界における暴力とハラスメントに取組むILO第190号条約を統合した世界初のグローバル協定の一つだ。

クリスティ・ホフマンUNI書記長とジェローム・ナンティ・カルフール人事資産担当執行役員による更新調印式は、パリで開催されたカルフール欧州労使協議会の年次総会の最終日に行われ、フランス、スペイン、イタリア、ベルギー、ルーマニア、ポーランドの代表者が出席した。欧州労使協議会は、ジェンダー平等、女性に対する暴力その他の重要課題に関する支援文書を通じて、グローバル枠組み協定の強化に重要な役割を果たしてきた。

このグローバル協定は、カルフールとの建設的な社会対話を促進し、アルゼンチン、ルーマニア、チュニジア、トルコ、ドミニカ共和国、ウガンダ、カメルーン、ケニア、コートジボワールなどにおける労働者の組合代表権を強化してきた。

グローバル展開に変化があったにもかかわらず、同社はフランチャイズ網全体を含め、本協定のデュー・ディリジェンス義務へのコミットメントを維持している。

ホフマンUNI書記長は、「多くの企業が保護策を後退させ、労働者への責任から背を向ける中、カルフールは確固たる姿勢を示している。(‥‥中略‥‥)このグローバル協定を更新することで、カルフールは労働組合の権利、平等、包摂性を尊重することが、今日の不確実な世界で責任ある事業活動を行う上で不可欠であることを示している」と述べた。

UNIは、世界中の2000万人のサービス労働者(うち400万人が商業部門)を代表している。
カルフールは現在、フランス、スペイン、ポーランド、ベルギー、ルーマニア、アルゼンチン、ブラジルで直接事業を展開し、アフリカ、アジア、欧州、南北アメリカ全域でフランチャイズ事業を展開している。


「保護主義や人口減少問題は共通の課題」UNI Apro東アジア労組フォーラムに130名が集結!

第11回目を迎えたUNI Apro東アジア労組フォーラムが、日本、韓国、台湾、モンゴル、香港各国・地域の労働組合代表129名が済州島に集い、保護主義、AIの進展、少子高齢化、ジェンダー平等、若者のエンパワメントなど、労働者を取り巻く多様な課題について意見を交わした。各国からは、民主主義や労働権の危機、女性や若者の参画促進、国際連帯の重要性が強調された。基調講演では、保護主義の経済的影響と労働界の対応が論じられ、配送業やメディア業界における過酷な労働環境や表現の自由の問題も共有された。また、ジェンダー平等に関する取り組みとして、女性の意思決定参画や健康支援制度の整備が報告され、若年層のキャリア支援や組合活動への参加促進の重要性も確認された。本フォーラムを通じて、各国の労働組合が直面する共通課題への理解が深まり、持続可能で包摂的な社会の実現に向けた国際的な連帯の強化が再確認された。なお、次回の開催年と開催地:2026年に台湾となる。

 1日目 

■開会式

冒頭でホスト国を代表してキム・ヒョンスン(IFIU委員長)UNI-KLC議長が、済州(チェジュ)は正義と和解の象徴として、世界にその存在を知られるようになった。この島は、かつての苦難を乗り越え、民主主義を守り抜いた歴史を有している。米国発の新たな経済戦争の波が押し寄せ、世界的な危機が労働者に重くのしかかっている。しかし、労働者はこれまでも幾多の困難を連帯の力で乗り越えてきた。済州に集った我々は、改めてその連帯の精神を確認し、平和で公正な社会の実現に向けて歩みを進める決意を新たにしている。済州の風は、抵抗と希望の風であると連帯挨拶を述べた。

■基調講演

テグ大学 経済学部 キム・ヤンヘ准教授は、日本・台湾・韓国は輸出主導型経済を築いてきたが、現在の保護主義の台頭により国際協力が困難になっている。韓国・慶州でのAPEC開催を前に、米韓関係への注目が高まる一方、APECの交渉は実質的成果に乏しいとの批判もある。トランプ前大統領の関税政策は、統治手段として機能し、インフレや投資コストの上昇を招いた。中国との資源を巡る対立や、同盟国への圧力も強まっている。再登場の可能性があるトランプ氏の影響で、国際通商体制の不安定化が懸念される中、各国労働界の連携と米国労働界の対応が重要となる、と言及した。

■テーマ別セッション:4つのテーマについて、各国の加盟組織より報告が共有された。

サブテーマ1:東アジアの労働者が直面する現在の政治的、経済的、社会的状況と課題

  • 日本(西谷涼子 JAW国際局局長):自動車産業は関税戦争の影響が懸念され、国内販売も2012年以降500万台を下回っている。2035年までに電動車化が進む中、公正な移行が重要である。約3万点の部品で構成される自動車は、サプライチェーンの安定が不可欠。自動車総連は税制の見直しや投資支援を求め、国内需要の喚起と持続的な発展に向けて取り組んでいる。
  • 韓国(ナ・ヨンミョンKHMU保健医療労組企画室長):米国の保護主義的な圧力により、韓国経済は関税や投資条件で不利な状況に置かれ、成長率の低下や雇用不安が広がっている。社会では高齢化や格差、極右勢力の台頭も進行中。こうした中、労働組合は労働時間の短縮、非正規職の正規化、地域交渉の活性化、医療・教育負担の軽減など4つの戦略を掲げ、組織拡大と政治的連携を強化しながら、内需中心の経済と国際連帯の構築を目指している。
  • 台湾(リン・イーフン CPWU国際部長):台湾は保護主義の圧力や米国との交渉の前提に直面し、経済安全保障の強化が求められている。IT産業は成長しているが、2025年には超高齢社会に突入し、人口の30.6%が高齢者となる見通しで、経済への影響が懸念される。賃金の低下や労働力不足も課題であり、58%の人が対中貿易を望んでいる。今後は、エネルギー・AI・産業交渉など多角的な政策と社会の体系化、リスク分散、デジタル化による安定的な発展が必要である。
  • モンゴル(バンディ・バヤガルマー ICN労組):2024年、モンゴルの貿易総額は274億ドルで、中国とロシアが80%以上を占める。輸出は石炭や銅など鉱物資源が中心。2025年、トランプ米大統領は全輸入品に10%の関税を課す政策を導入し、モンゴルのカシミヤなど主要輸出品に影響が及ぶ。これにより物価上昇や経済不安が懸念され、国内では教師や医師による賃上げ要求のデモが起きている。
  • 香港(マイケル・シウ RCCIGU): 2025年4月、トランプ米大統領は「解放記念日」として相互関税の停止を発表したが、中国には145%の関税を課し、香港・マカオにも影響が及んだ。香港では米国が中国製品と同等の関税を適用し、株式市場が急落。香港政府はWTOに提訴した。労働組合は保護主義の影響から労働者の権利を守るため、企業や政府との交渉を強化し、国際連携を通じて公正な貿易ルールを求めている。

 2日目 

サブテーマ2:人口構造危機-少子化、雇用年齢や定年年齢の延長、年金制度改革および年金基金の管理

2-1)人口構造危機と少子化:労働組合は何ができるか?

  • 日本(鈴木基子 JP労組中央執行委員):日本郵政グループは、少子高齢化による労働力不足や業務量の減少に直面している。社員数や新卒採用数の減少、郵便物や保険契約件数の減少が続く中、JP労組は65歳定年制度や短時間勤務制度、育児・介護休業応援一時金などを導入。地域ニーズに応じた柔軟な働き方や効率的な運営体制を提言し、持続可能な事業と安心して働ける環境づくりに取り組んでいる。
  • 韓国(シン・スンイル FKMTU):少子化は財政赤字だけでなく、社会保障制度の持続性に関わる深刻な問題である。特に交代勤務の現場では支援制度が機能せず、代替人員の確保が課題となっている。労働組合は賃金問題にとどまらず、子育て支援や制度改善に取り組む必要がある。少子化は東アジア全体の共通課題であり、労働組合の連帯によってこの危機を乗り越えることが求められている。
  • 台湾(シューチーチェンCPWU青年活動委員会議長):台湾の公共テレビとその組合員構成、同労組による長時間労働是正と勤務形態の多様化に向けた取組みについて、概説した。組合として次の勤務までの休息時間の確保、等に取組んでいる。高齢化が進む中、交渉によって年5日の有給の介護休暇を獲得した。また「報道者」について、残業削減に向けて、超過勤務指示が直前に行われた場合には代休時間を増やすことを協約で定めた。
  • 韓国(キム・ジンホン KFIU副委員長):韓国の金融労組KFIUは約10万人の組合員を擁し、産業別交渉を通じて労働環境の改善を推進している。2002年に週5日勤務制を導入し、2025年には週4.5日勤務制を提案。金曜日午後の自由時間は地域経済の活性化や少子化対策に寄与する。韓国の労働時間はOECD平均を上回り、AIの進展により事務職の働き方も変化している。KFIUはAIによる人員削減ではなく、労働時間の短縮と仕事の分かち合いを選択。6か月の交渉の末、金曜日の1時間短縮を実現し、制度化に向けた議論を開始した。
  • 香港(チェン・ライハ RCCIGU書記長):香港の出生率は世界最下位レベルで、経済的・政治的圧力や雇用環境が大きく影響している。教育環境を求めて移住する家庭も多く、若年層の流出が社会構造に影響を与えている。1997年以降、中国本土からの入国者は約203万人に達し、人口減少を部分的に補っている。2023年には新生児1人につき2万香港ドルの給付制度が導入されたが、効果には限界がある。労働組合は育児休暇や家族支援制度の拡充に取り組み、民主主義と自由の保障が出生意欲に直結することを訴えている。
    • 雇用年齢や定年年齢の延長
  • 日本(市川勝也 生保労連 中央副書記長):生保労連の組合員は約70%が営業職員、90%が女性で構成され、年7回の労使交渉で賃金や雇用制度を協議している。高齢化に伴い、65歳以降も働ける制度が整備されつつあり、一部企業では70歳定年・同水準の処遇を提案。組合員からは評価の声がある一方、若手の働きやすさや退職金制度への懸念もあり、慎重な制度設計が求められている。
  • 日本(西川由起 UAゼンセン流通部門執行委員):UAゼンセン流通部門では高齢化と人手不足に対応し、定年延長や再雇用制度の整備を推進。多くの企業が60〜65歳定年で、再雇用は97%が導入済み。「まいばすけっと」では75歳まで働ける「シニアパートナー制度」を導入し、健康診断や社保加入も実施。組合は、働き方の選択ができる社会の実現を目指している。
  • 台湾(ワン・スーユCTWU常任理事):台湾では高齢化が急速に進む中、高齢者の労働参加率は約10%と低く、労働力活用が課題となっている。CTWUは定年延長や再雇用制度の改善を提言し、2024年には抗議活動も実施。政府は補助金や再訓練支援を行っているが、年齢差別や早期退職の問題も残る。中華電信では従業員の3分の1以上が51歳以上で、若年層の採用が進まず、CTWUは柔軟な勤務制度や再教育の充実を通じて持続可能な雇用を目指している。
  • 持続可能な国民年金または年金基金の管理
  • 日本(金織すみえ 損保労連 中央執行委員): 日本の年金制度は3階建てで、公的年金(国民年金・厚生年金)に加え、企業年金やiDeCoなどの私的年金が老後を補完している。少子高齢化により公的年金の給付水準は低下傾向にあり、私的年金の重要性が高まっている。企業年金は確定給付型(DB)から確定拠出型(DC)への移行が進み、損保労連はDC制度の改善や投資教育の充実を企業に求めている。
  • KFSWU書記長):韓国では出生率の低下と高齢化が進み、2060年には労働人口1人が高齢者1人を支える社会になると予測されている。年金制度は3階建てで、退職年金の準備金は2024年に431兆ウォン、収益率は4.77%。政府は2025年に基金型退職年金制度の導入を提案し、NPSによる管理や専門機関の設立を検討。安定性と収益性の両立を目指し、海外事例も参考に制度改革が進められている。
  • 台湾(チャン・フイチェン CTWU主任):韓国では出生率の低下と高齢化が進み、2060年には労働人口1人が高齢者1人を支える社会になると予測されている。年金制度は3階建てで、退職年金の準備金は2024年に431兆ウォン、収益率は4.77%。政府は2025年に基金型退職年金制度の導入を提案し、NPSによる管理や専門機関の設立を検討。安定性と収益性の両立を目指し、海外事例も参考に制度改革が進められている。

サブテーマ3:ジェンダー平等と若者のエンパワメント

3-1)UNIの3Mキャンペーンとジェンダー平等に関する組合活動

  • 日本(浅野祥 情報労連中央執行委員):日本ではジェンダー平等の整備が遅れており、情報労連は1998年から女性参画を推進。2025年度からは「第2次ジェンダー平等推進計画」を策定し、クォータ制やトップの発信で数値目標の達成を目指している。中央執行委員会の女性参画率は46%、KDDI労組では30%以上の登用を目標に掲げ、職場の風土改革が進行中。今後はダイバーシティ推進と心理的安全性の確保に取り組む。
  • 日本(大西裕加 UAゼンセン):UAゼンセン総合サービス部門では女性組合員が60%以上を占める一方、役員比率は27%と低く、意思決定への参画が課題。2015年にダイバーシティ推進委員会を設置し、2024年からは委員会に女性枠を導入。「Uni女会」ではネットワーク構築やリーダー育成を進め、更年期などの課題も共有。女性リーダーワーキングチームによる研修も実施し、意思決定への女性参画拡大を目指している。
  • 台湾(カン・ウエンチー CPWU 三重分会理事長):台湾では女性の健康に配慮した休暇制度が整備されつつあり、月経休暇は法的に保障されているが取得率は低い。台湾金融労連は2021年に更年期休暇を提案し、2025年には診断書不要の原則が確立。制度は一般化し、企業が拒否できない仕組みとして定着しつつある。労働組合は職場文化の改善と法整備を通じて、女性が安心して働ける環境づくりを目指している。

3-2)若者のエンパワメントに関する現状報告

  • 日本(北堀卓思 全信連議長):日本企業では健康経営や社内副業制度など、従業員を尊重した柔軟な働き方が広がっている。信託銀行業界では専門性が高く、若手の焦りも見られる中、全信連はキャリア支援として異業種交流会や座談会を開催。若者が自己肯定感を高め、主体的にキャリアを築けるよう支援しており、労働組合はその後押し役として重要な存在となっている。
  • 台湾(イェ・チンユ CTWUストライキチームメンバー):台湾では一人当たりGDPが34,000米ドルに達する一方、若年層の賃金は低く生活に余裕がない。CTWUは退職金制度の改善や雇用主拠出金の引き上げを求め、2023年には2,000人以上が集会に参加し成果を上げた。青年キャンプや交流イベントを通じて若者の参加意識を高め、組合の力強化と社会への好影響を目指している。

サブテーマ4:特別報告

  • FSU-全国クーリエ労組クーパン本部議長):韓国のクーパンは自社物流子会社CLSを通じて垂直統合型配送モデルを展開し、365日・深夜配送を標準化。業界全体に過剰なサービス要求が広がり、CLSでは週60時間超の労働が常態化し過労事故も発生。2021年の社会合意を守らず、労働組合は夜間作業の制限や強制休息の法定化を求めている。「スピードより命」を掲げ、持続可能な産業構造の構築が急務となっている。
  • 韓国(リー・ホーチャンNUMW委員長):韓国では虚偽情報への制裁強化が進み、最大10億ウォンの懲罰的損害賠償を可能とする法改正が議論されている。判断の曖昧さから言論の自由が抑圧される懸念もあり、報道への捜査がメディアの萎縮を招いている。NUMWは表現の自由を守るため法改正に反対し、慎重な制度設計と社会的議論の必要性を訴えている。

■閉会式

第11回東アジア労組フォーラムには、日本、韓国、台湾、香港、モンゴルから129名が参加。保護主義の台頭、グローバル秩序の変化、少子高齢化、ジェンダー平等、若者のエンパワメントなど、労働者を取り巻く課題について活発な議論が行われた。

基調講演では保護主義の影響と労働界の対応が取り上げられ、各国からは政変、産業構造の変化、生活費高騰への対応が報告された。特別報告では、過労死対策や言論の自由の擁護についても認識が共有された。

韓国加盟協議長のキム・ヒョンスン氏はクロージングメッセージで、「韓国の悩みを分かち合えたことに感謝する。保護主義や人口減少問題は共通の課題であり、皆で解決策を見出し、共に道を切り拓いていこう」と語った。

次回フォーラムは2026年に台湾で開催される予定で、CTWUとCPWUの両委員長がホスト国として歓迎をしますとメッセージを参加者に送った。

なお、各セッションでは以下の方々が司会を務めた。

  • サブテーマ1:(韓国)シン・キオン    KFIU国際担当部長
  • サブテーマ2:(日本)豊福麻実      労済労連 副書記長 
  • サブテーマ3:(台湾)トゥー・ユーウェン CPWU書記長 
  • サブテーマ4:(韓国)キム・オクラン   FKMTU政策企画部長
  • 閉会:        UNI-KLC ジェイ・チョイ事務局長

第2回、UNI Apro東アジア金融労組フォーラムを韓国・済州島で開催!

2025年10月、韓国・済州島にて日本と韓国のUNI加盟金融労組より30名が一堂に会し、第2回UNI Apro東アジア金融労組フォーラムが開催された。2023年10月に開催されてから、2年振り2回目の開催となった。LCJ金融部会からは、*敬称略(損保労連)中野剛、原田龍人、山口悠、金織すみれ、(全信連)北堀卓思、塩谷麻子、西村匡史、植田莉帆、(生保労連)市川勝也、植木英之、(労済労連)豊福麻美、(全労金)深見正弘、(JP労組)安達正美、中野博之、鈴木基子、宮城千絵、事務局上田が参加した。

■開会

歓迎の挨拶では、キム・ヒョンスンKFIU委員長は、関税政策による分断が労働者に影響を与える中、東アジア金融フォーラムは連帯と民主主義の強化を通じて、新たな経済秩序の構築を目指す重要な機会である、と述べた。連帯の挨拶では、中野剛 UNI Apro金融部会議長は、フォーラム開催に尽力したKFIUとKFSWUへの感謝を述べ、韓国・日本の金融労組が連携し、地政学リスクや気候変動、AI・デジタル化など歴史的転換期にある課題に共に取り組む重要性を強調。金融機関には社会的責任が求められており、雇用安定とディーセント・ワークの確保には国際連帯と協力の強化が不可欠だと訴えた。ラジェンドラ地域書記長は、現在の課題は過去の問題の積み重ねであり、今後の予測も困難だと指摘。気候変動による災害は保険業に影響を与えているが、すべてが気候要因ではないとし、UNI Apro金融部門は労働・環境・持続可能性の観点から積極的に関与していると述べた。金融は経済の中心であり、組合やプラットフォーム間の連帯が不可欠であると強調。台湾では公的部門の弱さが課題であり、過去にはパリバ銀行の紛争解決にも関与したことに触れ、中野議長の尽力に感謝を表した。

■概要

今回のフォーラムでは、JP労組の中野副委員長が司会を務め、開会の挨拶を通じて金融産業の課題の重要性が共有された。続いて、保険・銀行・郵政・協同組合など各労組から現状や課題、取り組みについて報告が行われた。議論では、少子高齢化、地政学的リスク、技術革新、金融の公共性といった共通課題が確認され、CMIM(チェンマイ・イニシアティブ・マルチ化)の強化やILO条約の活用、地域連携による安定化策などが提案された。協力と構造改革を通じて、持続可能な金融モデルの構築を目指す方向性が共有された。

■基調講演

ジャヤスリ・プリヤラルUNI Apro金融部会担当部長は、金融は経済のOSであり、2008年以降もグローバル金融システムは脆弱性を抱えている。ビッグテックやAI、ブロックチェーン、デジタル通貨の進化により、銀行は従来の仲介モデルからの脱却を迫られ、非銀行金融の台頭も加速。公共性と安定性が問われる中、地域連帯と協同の強化が重要となる。東アジアでは過去の金融危機を教訓に協力体制の構築が進み、地政学的緊張下での連携も課題。量的緩和や暗号資産の影響も含め、持続可能で責任ある金融モデルの確立が求められている、とした。

■加盟組織より報告

日本から金融部会6組織(生保労連、損保労連、全信連、JP労組、全労金、労済労連=発表順)が、韓国からKFSWUが、それぞれ組織紹介および重点取り組み等の報告をし、互いの組織と重点取り組み活動などについて理解を深めた。

  • 韓国(全国事務金融サービス労働組合)イ・ドングン事務総長:韓国の保険産業は、超高齢化・気候変動・低成長・資本規制強化などのリスクに直面。MG損保の清算問題や外資系の撤退もあり、AIや介護・ヘルスケア分野への関心が高まっている。保険の役割は事後対応から生活の質向上へと変化し、日本と韓国の市場は類似。収益源の多様化が課題であり、労働組合は産業活性化に向けた取り組みを進めている。

以下、日本の加盟組織

  • 生保労連(植木英之 中央副執行委員長):生保労連は生命保険産業唯一の産業別労組として発足し、19組合・25万人が加盟。営業職7割・女性9割が特徴で、年7回の労使交渉を通じて賃金や産業課題を協議。震災やコロナ対応では1兆円超の給付を実施し、金融教育や地域安全活動、ジェンダー平等推進を通じて社会的理解の拡大に努めている。
  • 損保労連(原田龍人 中央執行委員):損保労連は、保険代理店による不正請求や料率操作などの業界不祥事に対応。代理店が保険の90%を扱う中、自動車事故での過剰修理や不適切な加入推奨が問題化し、金融庁から是正指導を受けた。信頼失墜を経営任せにせず、説明会やユニオンミーティング、労使懇談会を通じて信頼回復と産業別組織としての役割強化を全国で進めている。
  • 全信連(塩谷麻子 副議長):銀行業界は急激な人口減少と若年層の減少により、企業活動や人材確保に影響を受けている。従来の終身雇用型制度から脱却し、年功序列に依らないキャリア形成が求められる中、労働組合は制度改革や組織風土の変革を支え、組合員の意識変容を促す重要な役割を担っている。
  • JP労組(宮城千絵 中央執行委員):JP労組は郵政関連企業の雇用安定や福祉社会の実現を目指し、職場環境改善に取り組む。金融業界では少子高齢化や金融排除が課題。ゆうちょ銀行は金利変動による収益不安定やデジタル化の遅れ、かんぽ生命は契約減少や人材確保が課題。組合ではユニオンショップ協定や組織活性化を推進している。
  • 全労金(深見正弘 中央執行委員長):全労金は13の労働金庫と関連会社で構成される協同組織金融機関の労組連合で、利益はメンバーに還元される。非正規職員の組織化、ジェンダー平等推進、平和行動、災害支援に加え、若年層の離職対策としてポジティブキャンペーンを展開。金利上昇やデジタル化への対応、業界の将来像について10年を見据えた視点で経営陣と協議している。
  • 労済労連(豊福麻実 副書記長):労済労連は、こくみん共済co-opと関連会社の労組で構成され、9組合が加盟。2026年度はWEB活用など新たな活動スタイルを模索し、次世代活性化と効率性を追求。国際協同組合年への参画や組織統合への対応、協同組合の理解促進を重点に、社会課題に柔軟に取り組む姿勢を強めている。

■閉会

報告の締めくくりとして、中野副委員長は「韓国と日本が直面する課題には多くの共通点がある。社会のサイクルは数カ月で大きく変化し、金融も過渡期にある。今後、フォーラムのさらなる活性化に取り組んでいきたい」と語った。


ドイツでの調査:低賃金とストレスが小売業労働者を追い詰める

UNI加盟組織ver.diがドイツの、ドイツの小売業労働者11,732人を対象に大規模調査を実施した。低賃金、業務量の多さ、デジタルツールの悪影響などによって人材確保に苦戦する業界の厳しい実態が浮き彫りになった。

主な調査結果

  • 生活水準に見合わない賃金:79%が「不十分、あるいはかなり不十分」と回答。52%が「月収はかろうじて生活できる程度」、19%が「全く足りない」と回答。
  • 将来への不安:68%が年金だけでは生活できないと懸念。
  • 業務の健康への悪影響:67%が「仕事による健康への負担が非常に大きい」と回答。
  • 離職意向:62%が転職を希望し、78%が「業務量のため定年まで働き続けるのは困難」と回答。
  • デジタル化による負担増:63%がデジタル化の影響を大きく感じ、49%は負担軽減どころか増加したと回答。管理ツールとして利用されさらなるストレスを生むケースが多い。
  • 職場での敬意が欠如:46%が見下した扱いを受けたと報告(顧客からが51%、上司からが47%)。

ver.diのシルケ・ツィマー商業部門長は、「調査結果は衝撃的で、小売業界が人材を確保・維持するには早急な改革が必要であることを示している」と延べ、「小売業におけるデジタル化は主に管理ツールとして利用されている。従業員の負担軽減ではなく、デジタルプロセスがさらなる圧迫を生んでいる」と指摘した。

労働者が求めていること

ver.diの結論は明確だ。それは、人々に日用品を供給する中核を担うドイツの小売業界は、以下のような良好な労働条件によって定義されなければならないということだ。

  • 賃金を引き上げ、健康増進を促すリーダーシップと持続可能な人員配置を確保する、より強力な団体協約。
  • 家族に優しいフルタイム契約により、労働者が今、尊厳を持って生活し、将来は安心して退職できるようにすること。
  • 真に労働負荷を軽減し、労働者の自律性を尊重し、労働者の意見を反映させ安全策を講じた上で導入される、責任あるデジタル化。
  • 虐待を一切許容しない—使用者は顧客による嫌がらせを予防・対応する方針・研修・人員配置を確保し、管理職は従業員を擁護する。

ツィマー氏は、「小売業には、従業員を擁護し支援する管理職が必要だ…良質な労働は贅沢品ではなく、従業員が長期にわたり職に留まるための権利だ。我々が闘うのはこのためだ」と述べた。

マタイアス・ボルトンUNI世界商業部会担当局長は、「ver.diの調査は小売労働者の実態を痛烈に描き出し、世界中の数百万人の小売労働者の生活を反映している。組織化が進めば進むほど、労働者から搾り取れるものは最後の一滴まで搾り取ろうとする多国籍小売企業に立ち向かう力を強めることができる。我々はver.diが尊厳ある仕事を求めて闘うことを支持する」とコメントした。

調査結果はこちら:ver.di小売業調査2025


断片的な権利から公正なフランチャイズへ 

EUが資金を提供するプロジェクト「野心的で公正なフランチャイズのための支援ツール」の一環として、UNI欧州商業部会は2025年9月2~3日に2つのワークショップを開催し、フランチャイズ慣行に関する認識向上と知識強化を図った。

議論は、フランチャイズ小売企業で働く労働者が直面する課題を浮き彫りにした調査結果に基づいて行われた。

このワークショップは協働の場を提供し、参加者はフランチャイズが労働条件に与える影響への理解を深めるだけでなく、業界の公平性を確保するための支援ツールに関する具体的な提案を示すことができた。ワークショップはまた、各国労組が優れた実践例を交換し、ネットワークを強化し、野心的かつ公正なフランチャイズに関する今後の政策提言に直接関与する貴重な機会となった。

明らかになった重要な教訓の一つは、フランチャイズ店と直営店の労働者が同じ制服を着て同じブランドロゴの下で働いているように見えても、フランチャイズ店では賃金・福利厚生・雇用保護が著しく劣る場合が多いという点だ。この権利の断片化は多くの労働者を脆弱な立場に置き、改革の緊急性が浮き彫りとなっている。

だからこそ商業労組は、全ての商業労働者を平等に保護し、フランチャイズ店舗の従業員にもブランド直営店と同等の権利を保証する強力な欧州フランチャイズ規制を求めている。公正で野心的なフランチャイズは単に可能であるだけでなく、業界全体でディーセントワークと平等な待遇を確保する上で必要不可欠なものなのである。


オーストラリア店舗流通関連労組、心理社会的リスクに取組むキャンペーンを開始

オーストラリアの店舗流通関連労組(SDA)が、職場における心理社会的リスク対策として5項目からなる新計画を柱とする大規模キャンペーンを開始した。SDAはオーストラリア最大のUNI 加盟組織で で、小売、ファーストフード、倉庫労働者などを代表する。

SDAが求める項目は以下の通り:

  1. 安全な人員配置水準
  2. 持続可能な業務量
  3. 現場労働者への支援の強化
  4. 職場改革に関する真摯な協議
  5. 協働的な業務設計

このキャンペーンは、小売業労働者が慢性的な人員不足、デジタル化、アルゴリズム管理、過剰な業務量、不十分な職場改革管理、顧客による虐待の増加から常に心理社会的リスクに直面しているという衝撃的な調査結果を受けて実施された。

SDAの報告書『プレッシャーの下で:小売業の隠れたコスト』(11,000人以上の労働者調査に基づく)は以下の事実を明らかにした:

  • 労働者の77%が心理社会的危険による被害の高リスク状態にある
  • 72%がバーンアウトを報告(他業界の2倍)
  • 人員不足、顧客からの虐待、持続不可能な業務量が最も切迫したリスク要因

UNI会長を務めるジェラルド・ドワイヤーSDA全国書記長は、「小売業はオーストラリアで2番目に大きな雇用を創出している産業であるにもかかわらず、我々の調査では労働者が人員不足に陥り、持続不可能な業務量と増加する顧客の攻撃に直面している。これは安全ではなく持続不可能な状態であり、政府・使用者・規制当局による緊急の対策を必要としている」と述べた。


インド・パトナでギグワーカーとプラットフォーム労働者のための歴史的法案が可決

ギグワーカーとプラットフォーム労働者にとって画期的な勝利として、インド・ビハール州政府は「ビハール州プラットフォームベース・ギグワーカー(登録・社会保障・福祉)法案2025」を可決した。これにより、州内の数千人の配達員やプラットフォーム労働者が長年待ち望んでいた保護が保証されることになる。

2025年7月下旬に成立したこの法案は、UNI加盟組織であるギグワーカー協会(GIGWA)とアマゾン・インド労組(AIWU)が主導した1年以上にわたる組織的な動員、抗議活動、交渉の末に勝ち獲った成果である。

闘いの集大成

この 闘争は2023年12月、労働組合が州労働資源大臣にモデル法案の草案を提出し、プラットフォーム労働者の法的承認・福祉・社会保障を要求したことから始まった。直後にパトナで開かれた記者会見では州全域でのストライキが宣言され、2024年1月18日にストが実施され、メディアで広く報じられた。

抗議活動は2025年1月28日の大規模ストライキで激化し、スウィギー、ゾマト、アマゾンの配送サービスがパトナの主要地域(ボーリング・ロード、パトリプトラ、サグナ・モール、カンカルバグなど)で停止した。数千人の労働者が座り込みを行い、公正な賃金、最低限の社会保障、アカウントの恣意的な停止からの保護を要求した。

これに対して企業は一時的なインセンティブで労働者を呼び戻そうとしたが、ストライキは継続した。労働者は報復的なアカウント停止について労働委員会に正式な苦情を申し立て、これらの件に関する審理は現在も継続中である。

法案の主な規定

この新法は、インドのギグエコノミー規制における画期的な進展である。

  • プラットフォームおよび仲介業者に対し、60日以内の登録を義務付ける。
  • すべてのギグワーカーに固有IDを付与し、国家福祉制度を利用できるようにする。
  • 女性ギグワーカーに対し、90日間の産休を付与する。
  •  補償・福祉給付内容:

             1. 死亡事故の場合:40万ルピー(4,600.44米ドル)の補償金

             2. 1週間を超える入院で16,000ルピー(184.02米ドル)の給付

             3. 短期入院で5,400ルピー(62.11米ドル)の給付

             4.障害給付:障害の程度に応じて74,000ルピー~25万ルピー(851~2875米ドル)の給付

労働者の要求が法に明文化

 本法は、長年にわたる労働者の要求に直接応えるものであり、その内容は以下の通り:

  • 従業員州保険(ESI)および積立基金による社会保障適用
  • 事故・健康保険
  • 最低賃金保証と透明性のあるインセンティブ方針
  • 労働者代表を含む規制委員会の設置
  •  恣意的なアカウント停止や罰則からの保護

ダルメンドラ・クマール・アマゾン・インド労組会長は、「アマゾンの配送ドライバーは既存の労働法の保護対象外だった。この法案は労働者の勝利であり、インドで最も急成長している職種に向けた新たな規制枠組みを形作るものだ。労働者なくしてこれらの企業は機能しないのに、最も基本的な権利さえも否定されてきた。この法律は我々の共同闘争の直接的な成果だ」と述べた。

この運動を支援するチャンドラ・プラカシュ・シン全インドギグ・プラットフォーム労組議長は、連帯を表明して次のように述べた。「ビハール州でのこの勝利は、パトナのギグワーカーにとって勝利であるだけではない。団結と集団的闘争が持続的な変化をもたらし得るという証明である。あまりに長きにわたり、ギグワーカーは見えない存在として保護されずに扱われてきたが、組織化と連帯を通じて自らの権利の認知を勝ち取った。この法律は大きな突破口だが、始まりに過ぎない。全インドギグ・プラットフォーム労組は、UNI、AIWU、GIGWA、そしてこれを可能にした全ての労働者と連帯する。我々はこの勢いを全国に広げ、インドの全てのギグ・プラットフォーム労働者に社会保障、公正な賃金、正義を保証する強力な中央立法を求める」

ラジェンドラ・アチャリヤUNI Apro地域書記長は、この勝利をインドのギグワーカーにとっての画期的な出来事と称賛し、「これは歴史的な勝利であり、パトナのギグワーカーがあまりに長い間待ち望んできたものだ。彼らは闘争において驚くべき勇気と団結を示した。この法案の成立は、労働者が団結し、組合が圧力を維持すれば、変化が可能であることを証明している。ビハール州でのこの画期的な成果を祝う一方で、我々の闘いは続いていく。今後はインド全土のギグワーカー、プラットフォーム労働者を保護する全国的な法律の制定を期待している。この突破口を開いた組合と労働者の決意と粘り強さに、心から祝福を送りたい」と述べた。


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