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パキスタンの銀行労組、非正規化の流れを阻止

2022年12月2日、パキスタン国家労使関係委員会(NIRC)は、農民への農業信用・融資サービスを専門とする公共部門最大の銀行であるザライ・タラキアティ銀行(ZTBL、旧農業開発銀行)で働く契約労働者を正社員として認めるべきとする判決を下し、ZTBL労組は大きな勝利を収めた。

UNI加盟組織のPBIFEF傘下であるZTBL労組は、8月初めにNIRCに対して申立てを行った。同労組は、10年以上にわたってZTBLで運転手として働いてきた3名の当該労働者に代わり、銀行に正規雇用を要請したが、繰り返し拒否されてきた。

ZTBL経営側の主張では、3名の運転手はKSSLを通じて契約・配備されており、直接の雇用関係は存在しないというものであった。他方のZTBL労組は、KSSLはZTBLによって完全 に所有・管理されており、ZTBLに労働者を派遣しているだけである実態から、ドライバーは正規雇用の社員として扱われるべきだと主張した。

NIRCは11月23日にこの申立てを審理し、 パキスタンの高等裁判所における同様の訴訟の判例に裏打ちされた主張を展開した労組側が、勝利した。

マリ・ムハマド・イスマイルZTBL労組書記長は、「我々が支援する3人の申立人は、KSSLを通じて派遣された48人の労働者グループの一部だ。今回の労使委員会の決定は、そうした他の労働者にも適用されるため、非常に重要である。彼らは今、正規の従業員として認められることを期待できるのであり、もはや銀行は、彼らの法定の福利厚生を否定することはできない」と述べた。

ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長は、ZBTL労組の率先した取組みを称賛し、「銀行のような規制の厳しい業界で、非典型労働者の権利のために闘うZTBL労組の姿勢に敬意を表したい。パキスタンの労働組合は、不当な労働慣行によって正規部門が弱体化するのを防ぐため、結集していく必要がある。従業員の側に立ってディーセントワークの確保を支えるPBIFEFとZTBL労組を祝福したい」とコメントした。

ジャヤスリ・プリヤラルUNI Apro金融部会担当部長も、「2014年に金融労連として再出発したPBIFEFは、この事案においてZTBL労組を支える上で、非常に重要な役割を担った。両組織を祝福するとともに、PBIFEFとその構成組織と協力し、非典型的な労働条件に苦しむ労働者の組織化を強化し、彼らが自身の権利のために交渉できるようにしていきたい」と述べた。


責任投資原則:投資家と多国籍企業には労働者の権利を尊重する責任と機会がある

2022年11月下旬、責任投資に関する世界有数の独立機関「PRI」(Principles for Responsible Investment=責任投資原則)の年次総会が、スペイン・バルセロナで開催された。この中で、リサ・ネイザンUNIシニア投資家活動アドバイザーは、人権と財務の両面から、株式を保有する企業において労働者の権利を強化するよう、投資家に訴えた。

パネルディスカッション『人権と社会問題に対する投資家行動の強化』の中で、同氏は、リスクの特定、防止、軽減のために、国連のビジネスと人権に関する指導原則を活用すること、人権デューデリジェンスに対する投資家の支持を得ること、人権と社会問題に体系的に取組むことなどの主要トピックを取り上げた。また、労働者の権利侵害は9年ぶりの高水準を示して世界的に危機的状況にあり、結社の自由と団体交渉の確保に向けた投資家の行動が緊急に求められていると主張した。また、労働者の権利侵害は、労働条件を低下させるだけでなく、アマゾンのような企業においては規制、業務、風評上のリスクをも生じさせる。組織率の低下は、不平等や政治的・経済的不安定の増大と関連しており、経済全体にシステミックなリスクをもたらしている。

さらに同氏は、「労働基本権に関して我々が直面している危機は、特に重大だ。結社の自由と団体交渉は、力を与える権利。労働者が組合に加入することでエンパワーされれば、安全衛生やジェンダー、人種間の平等など、他の人権を守ることができる」と述べ、「投資家は自らの責任において、労働者が自らの人権を守れるよう環境を整えることができ、その結果、人権など多くの重大なリスクを軽減することができる。 これを実現するためには、投資家や企業が、労働者や労働組合と連携して取組むことが不可欠である」と締めくくった。

今回のPRI年次総会は、労働者資本委員会(CWC)が、投資家と共に労働者の権利を向上させるためのグローバルキャンペーンを開始した数日後に開催された。CWCは、キャンペーンのキックオフの一環として、投資家向けガイド『繁栄の共有:結社の自由と団体交渉のための投資家の役割』を発表した。このガイドは、人権に関する投資家責任を概説し、労働基本権を尊重することが長期的に財務上の利益にかなうと主張するとともに、投資家の実践的な行動のロードマップを提供している。

UNIは、ネットワーク事務局のメンバーおよび報告書の共著者として、CWCの取組みに参加している。


欧州委員会に対し、議員160名が公共調達指令の是正を要求

労働者の待遇について底辺への競争を助長する公的資金の流れを阻止しようとの機運が高まっている。5つの異なる政治グループからなる160名の欧州議会議員が、ディーセントワークを実践する使用者とだけ公共調達の契約が締結されるようにするよう、求めている。UNI欧州は、欧州委員会に公開書簡を送り、この呼びかけを伝え、欧州全体の労働者を失望させている公共調達指令の是正を要求している。

公的機関は、 民間企業が提供する商品やサービスのために、毎年2兆ユーロ以上を支出している。これはEUのGDPの14%に相当する。このうち半数の契約は、価格だけを基準に締結されており、これによって底辺への競争が煽られ、企業が労働者の賃金や条件について互いに切り下げ、職場の民主主義を抑圧する誘因となっている。

欧州中の労働組合は、EUの法律が団体交渉に与える壊滅的な影響に警鐘を鳴らしている。確立された交渉文化と適正な労働条件を持つ多くの企業が、公契約への参入を阻まれている。劣悪な賃金、長時間労働、組合忌避をビジネスモデルとしている企業を相手に、競争できないのだ。

欧州議会議員の広範な連合は、シンプルで効果的な解決策を求め、労働者と労働組合を支援している。価格を最優先とするのではなく、すべての公契約は労働者と団体協約を結んでいる企業に委ねなければならない。そのためには、EUの公共調達指令は是正が必要である。

労働組合や議員だけでなく、専門家もこの指令の変更を求めている。最近、欧州議会で開催された公共調達に関する専門家の聴聞会では、「現行の法律は破綻しており、是正すべき」との明確なメッセージが示された。

公的資金がディーセントワークを確保する企業に流れるようにするキャンペーンを支援したい方は、 こちらから。


インドのUNI加盟組織AISBISF、75周年を迎える

16万人の組合員を擁するインド最大のUNI加盟組織であるインドステート銀行従業員労働組合(AISBISF)は、2022年11月26日、歴史あるコルカタで75周年記念式典を開催した。

記念式典は、インド各地から集まった5,000人近い組合員による活気あふれるパレードで開始した。一行が会場の屋内競技場までの道のりを行進し、ダンスを披露した後、式典はサンジーブ・バンドリッシュASIBISF書記長とアルン・バゴリワル同委員長が組合旗を掲げて最高潮に達した。クリスティ・ホフマンUNI書記長とラジェンドラ・アチャリヤUNI Apro地域書記長も、この祝賀行事に出席した。

ホフマンUNI書記長は、70年以上にわたって組合員や地域社会に貢献してきたAISBISFへの祝辞を述べるとともに、インドステート銀行(SBI)の経営陣と生産的な労使関係を維持してきた組合の活動を称賛し、この良好な労使関係によって組合員の労働条件を具体的に改善する団体協約が可能になったと述べた。

また同書記長は、銀行業界はEバンキングやデジタル・バンキングの出現によって新たな競争圧力に直面しており、この業界で働く多くの労働者を脅かしていると指摘する中で、国有公共銀行を保護するAISBISFのキャンペーンを支援することを約束した。さらに、「AISBISFのような強力な組合は、労働運動の懸念を表明する上で主導的な役割を果たすべき」として、来年G20がインドで開催される際には、組合が強力な役割を果たすよう激励すると同時に、「UNIやITUCが来年のG20期間中にL20会議を開催する際には、ぜひご参加いただきたい」と語った。

ラジェンドラ・アチャリヤUNI Apro地域書記長は、AISBISFの功績を称え、「AISBISFは、UNIの貴重な加盟組織。インドの新興産業における労働組合の結成を促進する取組みの中で、AISBISFから頂いた支援に大変感謝している。我々が力を合わせれば、この国の不安定労働を減らすことができる」と述べた。


グリーンとデジタル:欧州で双子の移行プロジェクト

グリーンとデジタルの双子の移行は、EUの優先課題として認識されている。「欧州社会権の柱」アクションプランの中では、「社会対話、情報、協議、そして様々なレベル(企業や産別を含む)における労働者と労働者代表の参加は、特に進行中の2つの移行と仕事の世界の変化を視野に入れ、経済の移行を形作り、職場の革新を促進する上で、重要な役割を果たす」と説明されている。

これを実現するため、UNI 欧州は、EUから資金を得た 2年間の プロジェクト「双子の移行を実現する:商業部門における2つの移行に関する社会対話の強化方法」を立ち上げた。このプロジェクトの一環として、商業部門におけるグリーンおよびデジタルの移行をどのように形成するかについて、組合に対する指針と提言を盛り込んだツールキットを作成予定である。

またこのプロジェクトは、2つの移行が、新たな雇用機会、生産性の向上、労働条件の改善、新たな業務編成など、労使に明確な利益をもたらすようにすることを目的としている。

このプロジェクトでは、イタリア、ハンガリー、スウェーデン、オランダの4つの対象国に焦点を当てているが、2024年に完成予定のツールキットは、すべての欧州加盟組織、社会パートナー、商業部門の主要ステークホルダーを対象とし、使用者、労働者とその代表者を動機付け、指針となって支えるものとなる。

2022年10月24日に開催されたプロジェクト運営グループの第 1 回会合に続いて、UNI欧州商業部会加盟組織に対するオンライン調査が間もなく開始する。調査では、2つの移行を扱う社会対話と団体協約に関するこれまでの事例、課題、戦略に関して、情報提供を求める。調査結果は、専門家の政策報告とともに、2023年春に予定されている対象国における一連の国内ワークショップにおいて、概要報告書として示される予定だ。ワークショップでは、参加者は優良事例を共有し、ツールキットの原案作成に必要な情報を提供していく。

プロジェクトの活動は、グリーンおよびデジタルの移行がもたらす仕事の世界におけるリスク、機会、課題について、使用者、労働者とその代表の意識を啓発し、理解を向上させることにつながるだろう。同時に、このプロジェクトの重要なメッセージは、今後の政策決定プロセスにおいて 社会対話は 不可欠な要素であるということだ。


リモートワーカーの権利を守るには、グローバルな解決策が必要

OECDのグローバルディール・フォーラムの中で行われた「ポストコロナの仕事の世界におけるテレワークに関する取組み:社会対話の役割」と題するハイレベルパネルにおいて、クリスティ・ホフマンUNI書記長は、リモートワークという新たな現実に対応するためには、団体交渉の拡大、社会対話の改善、雇用法の強化が明確に必要であると指摘した。

ホフマン書記長は、すべての在宅勤務の形態が一様ではないことを踏まえ、十分なスペースと人間工学に基づいた家具、安定したインターネットを備え、比較的快適かつフレキシブルに在宅勤務ができる従業員もいるが、他方で、コロンビアやフィリピンのような国では、例えば低賃金で不安定な仕事であるコールセンター業界では、フルタイムでリモートで業務を行う労働者も存在すると指摘し、「組合や団体交渉があるところでは、あらゆる種類のリモートワーカーの状況に進展が見られるが、大多数を占めている組合のない労働者には、深刻な問題が残っている」と、強調した。

11月中旬にUNIは、25か国のリモートワークに関する約120の団体協約のデータを分析し、公表する予定だ。この報告書では、パンデミック時に爆発的に増加したリモートワークに対し、世界中の組合が確固たる対応をとってきたことが示されている。つながらない権利など、ますます普遍的になっている課題もあるが、他方で、DVや監視など、労働組合の交渉として新たな分野も浮上して生きている。

同書記長は、「つながらない権利にどのように対処するか、使用者はどのように安全なリモートワーク空間を確保するか、監視が労働者の心理社会的な健康に与える影響は何か、カメラやアルゴリズムによって収集された労働者のデータを誰が管理するか、などの課題がある。これらに加え、ジェンダー平等への取組みや、若い労働者が必要な指導を受けられるようにする取組みも必要」と指摘し、「こうした問題には、グローバルな解決策が必要だ。 新しい仕事の世界とはどのようなものか?という問いに答えるためには、規制、結社の自由、社会対話が必要」と訴えた。

ホフマン書記長の指摘は、ヌールディン・タブビ・チュニジア労働総同盟(UGTT)書記長をはじめとする他のパネリストからも支持を得た。タブビ書記長は、チュニジアのリモートワーカーに対して、より公正な成果をもたらす社会対話における組合の役割について、詳しく説明した。また、BNPパリバのスペイン統括責任者であるセシリア・ボネッド氏は、欧州労使協議会や組合と協力し、より広範なデジタル化の一環としてリモートワークを導入していることを説明した。


団体交渉の復活:成功に向けた必要条件とは

1938年に著名な経済学者ジョン・メイナード・ケインズは、ルーズベルト米大統領に宛てた書簡の中で、「団体交渉の拡大を不可欠なものと考えます。最低賃金と労働時間に関する規制を支持します」と述べている。

それから80年を待たずして、団体交渉が不可欠なものであることについて、さらに多くの人々が同意している。近年、EU委員会のフォン・デア・ライエン委員長は、団体交渉の「強力な擁護者」であると宣言しており、また最近のOECD、ILO、欧州労働組合研究所(ETUI)の調査では、団体交渉は危機に強い経済と適正な賃金水準の構築に貢献すると同時に、平等かつ民主的社会の実現に不可欠であることが示されている。

欧州で団体交渉制度を強化・再構築するためのコンセンサスが確立された今、明確なターゲットが盛り込まれた適正な最低賃金に関するEU指令により、政治的突破口も開かれている。すべての加盟国は、自国の労働者の80%が団体協約の適用対象となることを目指さなければならないのである。現時点でこの野心的目標を達成できているのは、ほんの一握りの国だけである。この水準に達しない場合は、団体交渉の強化方法を示す国別行動計画を策定しなければならず、EU加盟国27か国のうち19か国が、これに該当する。

国別行動計画が効果的なものであるためには、まず複数使用者交渉制度の構築に集中し、次にサービス部門における団体交渉の具体的な課題に対処する必要がある。このような重点的な取組みなしには、国別行動計画は無駄に終わってしまうだろう。

複数使用者交渉:目標達成のための必要条件
団体交渉は、1ないし複数の労働組合と1企業との間で行われることもあるが、 同時に複数企業との間で実施されることもある。よくあるのは、同じ部門(例えば、すべての小売企業)または特定の場所(例えば、空港)で事業を展開する使用者との間での交渉である。後者のタイプの団体交渉(複数使用者間交渉または部門別交渉)には、明確な利点がある。必要となる交渉の回数が減ること、より多くの従業員が団体協約に適用されるようになること、そして何よりも、企業間競争によって、労働条件に不利益が生じないようにできる、という点だ。部門別交渉によって、事実上、賃金は競争から切り離される。

そのため、多くのEU諸国が、法制度または部門レベルの労働組合・使用者団体に対する積極的支援を通じて、この種の制度を支援している。

この図が明確に示すのは、団体交渉の適用範囲を80%に到達させる上で、複数使用者による交渉が必要条件であるということだ。その結果は自明である。国別行動計画には、法整備、行政による促進、社会パートナーの自主的な能力開発を通じて、複数使用者間交渉を強化または(再)構築するための何らかの措置が盛り込まれなければならないだろう。

成功の鍵を握るのは、サービス部門
国別行動計画を成功させるには、さらにサービス部門の団体交渉に焦点を当てる必要があるだろう。過去数十年間、サービス部門の従業員数は増加し、製造業・農業部門の労働者数は減少している。2020年には、欧州の労働者のほぼ 2 人に 1 人が、何らかのサービス部門に従事している。

さらに、サービス部門の団体交渉の適用範囲は、例えば製造業や公共部門などと比べて低い。ETUIの研究者ウーター・ズワイセン氏の調査によると、すべてのサービス部門で適用率は平均以下であり、例えばIT部門では、適用率が欧州の平均を20%下回っている。

団体交渉に関する国別行動計画は、必然的にサービス部門に焦点を当て、これらの部門が直面する、以下のような特有の課題に対処しなければならない。
●リモートワーク環境における団体交渉:パンデミック以降のリモートワークの急増により、労働組合がリモートワーカー、特に常時、在宅で勤務する労働者に接触を図り、連絡を取り、組織化し、動員する上での具体的な課題が明らかになった。
●分散型雇用における団体交渉:従業員が無数の場所で少人数チームまたは単独で働く部門(小売業や清掃業など)でも、労働者に接触して組織化することは、労働者を団体交渉に参加させることと同様、特に困難である。
●個人事業主の団体交渉:ほぼ同じ業務を行う一般従業員と同じ職場で肩を並べて働く個人事業主が増加する中、団体交渉は必然的に包摂的なものになる必要があり、その結果、特定の法的および実務的な問題への対処が必要になってくる。
●予測不可能なシフトを組む部門における団体交渉:従業員の勤務時間やシフトが直前に知らされるような環境では、統一した団体交渉要求や交渉の場を設けることが非常に困難である。
●低賃金部門における団体交渉:最後になるが、一部のサービス部門は特に低賃金であり、労働者が組合費を支払ったり、自発的な組合活動に時間を割いたりする余裕は、ほとんどない。

実効的な国内行動計画を策定するための明確な条件
適正な最低賃金に関する指令において、行動計画は80%の目標に向けて団体交渉適用率を漸進的に引き上げるべきであることが明記されている。加盟国がこの目標に真剣に取組むのであれば、行動計画には部門別交渉に向けた明確なステップを盛り込み、サービス部門における団体交渉に特有の課題に取組んでいく必要があるだろう。こうした要素が盛り込まれない場合、加盟国は指令に沿った形で計画を修正するため、振り出しに戻されるべきである。


「労働者の声に耳を傾けよ」:ローマから呼びかけ

2022年10月上旬、イタリア労働総同盟(CGIL)本部へのファシストによる襲撃から1年を迎え、何千人ものデモ隊がローマの街頭に結集した。デモ参加者は、イタリアや欧州各国の政策決定者に対し、労働者のニーズに耳を傾けるよう求めた。

労働者が提示した10項目の要求の中でも、生活費危機に対処するための団体交渉の強化と公正な税制、そしてイタリアにおける不安定な状況に対処し、社会保障と公共サービスを強化することは、特に優先課題だ。ここには、公共契約や民間企業への補助金に対する社会的条件の導入も含まれている。

UNI欧州は、デモ行進に加わるとともに、集会「労働者の権利と民主主義のための反ファシスト国際ネットワーク」にも参加した。オリバー・レティクUNI欧州地域書記長が講演を行い、極右グループによる分裂を煽る企てを阻止するための、欧州各地の労組の戦略・戦術について、洞察を語った。

マリア・グラツィア・ガブリエリFILCAMS書記長は、「改めて仕事を中心に据えたプロジェクトが必要だ。不安定な状況との闘い、そしてより良い労働条件や尊厳ある賃金も必要だ。この国に別の未来を切り開くということは、若者、女性、そしてすべての働く人々に展望と未来を与えるということだ」と訴えた。

レティク地域書記長は、「ローマの街頭から、欧州全体に向けて、働く人々は警鐘を鳴らし、尊厳を要求している。生活費の危機は、多くの人々を深刻な経済難に陥れている。労働者を主役に据えることで、この問題に取り組まなければならない。団体交渉はその解決策だ。今こそ、職場の民主主義を強化するための行動を起こすべき時だ」と力強く呼びかけた。


第9回UNI Apro東アジア労組フォーラム (2022年10月13~14日、台湾(ハイブリッド開催))

第9回UNI Apro東アジア労組フォーラムは、2022年10月13~14日、台湾においてハイブリッド開催された。日本、韓国、台湾、香港、モンゴルより述べ約200人が参加した。日本からは14組織73人(うち女性26人、女性参加率38%)が参加した。前回(2019年)、デモの影響で参加できなかった香港が参加し、モンゴルも前回に続き2回目の参加となった。

「東アジアにおけるポストコロナ時代の新たな課題と労働組合の対応」というスローガンの下、「ポストコロナの労働安全衛生と組合の対応」、「ポストコロナで加速するデジタル化に対応した人材育成と組合の対応」、「ポストコロナの職場におけるハラスメントと組合の対応」というテーマで、各国が取組みを共有した。

 開会冒頭、ホスト国を代表し、ウー・ウェンフォン中華郵政労組(CPWU)委員長および、来賓としてワン・アンバン台湾労働省副大臣より歓迎挨拶を受けた。石川 幸德UNI-LCJ議長は、ウー委員長をはじめ、台湾の準備ともてなしに感謝した。そしてラジェンドラ・アチャリャUNI Apro書記長就任後、初めての開催となること、また、香港およびモンゴルから再び参加を得ることができた。3年ぶり開催となる今フォーラムの成功を祈念すると述べた。また松浦 昭彦UNI Apro会長は、特に「仕事の世界における暴力及びハラスメントの撤廃に関するILO190号条約」に関するテーマが本フォーラムで初めて取り上げられることを強調し、東アジアでは同条約の批准に至った国はなく、批准に向けた各国の取組みなどを共有したい旨述べた。この他、クリスティ・ホフマンUNI書記長、ユン・チャンヒョンUNI-KLC議長(韓国)、チェン・ライハUNI-HKLC議長(香港)、オユンバヤール・チェルテムドルチUNI-LCM議長(モンゴル)から連帯挨拶があった。

 アチャリャUNI Apro地域書記長は「アジア太平洋地域におけるポストコロナ時代の新たな課題と労働組合の対応」と題した基調講演において、ポストコロナ時代は対面接触の仕事やリモートワークと出勤との複合的な仕事形態、Eコマースの需要増加がある。雇用形態は複雑化することが予測され、労働組合の関与が不可欠である。新たな課題に対応するため、労働組合は有識者とも連携して組合の影響力を強化すべきだ」と述べ、日本のロビー活動や政策提案などの事例を挙げて強調した。また各国と連携して、青年や女性の地位を高める取組みも継続して行っていく旨述べた。

 続いて、「ポストコロナの労働安全衛生と組合の対応(サブテーマ1)」の冒頭、ホフマンUNI書記長より「労働安全衛生を「人権」に:新たな働き方に伴う新たな労働安全衛生課題に対するUNIの取組み」と題する特別報告を受けた。ILO労働安全衛生の基準の説明やサービス部門での安全衛生、ケア部門のメンタルケアの重要性など事例を挙げて説明し、「労働安全衛生は世界中どの国でも課題になっておりUNIは重要視している。来年開催するUNI世界大会でもテーマに取り上げる。我々が結束することにより、新たな問題解決方法を見つけていきたい」と述べた。

★討論のポイント

サブテーマ1:「ポストコロナの労働安全衛生と組合の対応」

(1)リモートワークにおける労働安全衛生の課題と組合の対応

  • 日本(辻 耕平 情報労連中央執行委員): 2点の課題、①「つながらない権利」は、日本において働き方をめぐる大きなテーマであり、海外での事例も参考にしながら当該企業労使の対応を強化していくことが必要である。②「AIによる労働監視の課題」は、日本でのAI活用は積極的な社会実装を進めようとしているが、データに関するルール制約などがAI利活用を阻む要因となっており、法的拘束力のある横断的な規制は不要との政府の考え方がある。労働分野におけるAI導入については、「事前の労使協議の徹底」や「従業員への同意確認」などを担保することが重要であり、論理的側面からの法整備について政策アクションを行っていきたいと報告した。
  • 韓国(キム・ジョンウ 韓国事務金融労連(KFCLU)オラクル韓国労組委員長):在宅および遠距離勤務、アルコリズム、災害保険などポストコロナの労働組合の対応を報告し、組織化や対面相談など在宅勤務での労組対応の難しさを説明した。
  • 台湾(チャン・フーチ 台湾金融労連(TFFU)委員長):コロナ禍における職場の安全や長時間労働、交代勤務などの労働安全衛生の状況を説明し、メーデーを活用した組合の対応など報告した。

(2)エッセンシャルワーカーの労働安全衛生の課題と組合の対応

  • 日本(坂根 元彦 JP労組中央執行委員):安全衛生の取組み、長時間労働および時間外労働の取組み、感染症対策について報告した。また無人搬送車・搬送ロボットAGV(Automatic Guided Vehicle)の導入を紹介し、郵便・物流の自動化進展の影響を報告した。
  • 韓国(ソン・クミ 全国保健医療産業労働組合(KHMU)書記長):感染対策、長時間労働などのストレス、交代勤務などの保険医療産業の現状と、政府や産業別交渉などの労組の対応報告をした。
  • 韓国(チュン・ハナ 韓国サービス労連(KFSU)政策局長):小売店の休業義務の現状と制度を説明し、休業義務の制度は変更せず、現行を維持しながら多様な意見をとりまとめる方針の政府に対して、政府HPや抗議の公文書などで意見表明をしている報告をした。
  • 台湾(ジャオ・リンユ 嘉義医療財団法人関連企業組合(CYCHCU)委員長):医療現場の現状を説明し、感染リスクの低減や適切な報酬など必要であり、組合は医療スタッフの感染リスクの低減を主張していると報告した。

サブテーマ2:「ポストコロナで加速するデジタル化に対応した人材育成と組合の対応

(1)各国・各産業におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の現状と課題

  • 日本(村上 瑞紀 自動車総連国際局部長):オンラインによる販売および商談、顧客がHPやSNSから情報を入手し購入の意思を固めてから来店する形態のマーケティング、電子制御車両や電気自動車増加による点検・整備のデジタル化の現状を紹介し、それぞれの課題を報告した。
  • 韓国(パク・ホンベ 韓国金融労組(KFIU)委員長):非対面金融サービスの拡張による店舗閉鎖の加速化などで発生した雇用縮小、業務負担の増加、金融消費者保護の弱体化等の問題点を挙げ、労働組合の取組みを説明した。
  • 台湾(リン・イーフン 中華郵政労組(CPWU)国際局長:DXの課題を業界別に挙げ、労働組合は、新たなテクノロジーは、より価値の高い生産的で創造的な仕事に集中できる職場環境になることを望んでいると説明した。また建設中のポスタル・スマートロジスティクス・パーク(物流オペレーションセンター)の紹介とその特長を説明した。
  • 香港(チェン・ライハUNI-HKLC議長):デジタル技術が全面に押し出され社会機能が維持することが可能になった反面、課題も多い。限られた資金の中小企業やデジタル技術を持たない労働者など。教育の在り方、技術分野に進出するのはまだ困難な女性など、デジタル技術の関心を高めていく必要性を説明した。

(2)DXに求められる人材育成と組合の役割(雇用の安定、リスキリングなど)

  • 日本(須齋 弥緒 損保労連事務局次長):技術革新が進む現状で、「人」ならではの付加価値を生み出す環境整備(雇用の安定)および「人への投資」の重要性やリスキリングの更なる拡充(人材育成)が重要であるとし、その取組みを報告した。
  • 韓国(キム・オクラン 医療産業労組(FKMTU)教育担当部長):非対面診療を充実させるため、デジタル医療の技術開発を進めており、労働組合として、デジタル技術に対応する人材育成を行っている旨述べた。
  • 台湾(ハミルトン・チェン 公共テレビ労組(PRTSFEU)執行委員:公共テレビ放送の現状を説明し、労働組合としては非デジタル業務をDXの方針に合わせて従業員の教育・研修を行い、働き方改革をする。また人材開発への転換や賃金体制の構築に取組みたいと述べた。

サブテーマ3:「ポストコロナの職場におけるハラスメントと組合の対応」

(1)職場における暴力の実態とILO第190号条約批准に向けた各国の取組みについて

  • 日本(桐田 真弓 全労金書記次長):法律を上回る「禁止」を盛り込んだ「労働金庫業態におけるあらゆるハラスメントの禁止ガイドライン」の策定と取組みを報告した。ILO第190号条約をどう具現化するか、①ハラスメントは人権問題である、②業務に関わる全ての人を対象とする、③全ての場所・ツールを対象とすることを盛り込んだものである旨報告した。
  • 台湾(リー・ハンチー 中華電信労組(CTWU)国際局長):反職場暴力・ハラスメント機構の構築や男女雇用平等法、ジェンダー平等教育法、セクハラ防止法など、CTWUと中華電信の連携した取組みを報告した。
  • 香港(キャロル・チャン 小売商業被服一般労組(RCCIGU)委員長):ILO190号条約について、中国返還前はイギリス政府によりILO条約を批准していたが、現在は中国の一部であり、国連人権報告書によると中国は条約に批准しないと思うと説明した。

(2)ハラスメントや暴力の撲滅に向けた組合の取組み

  • 日本(中島 麻紀子 生保労連中央副執行委員長):「職場におけるジェンダー平等」および「ワーク・ライフ・バランスの実現」を中期取組み方針とし、ハラスメント対策の強化は、双方の取組みの柱として位置付けている。組織としての取組み紹介や、法改正の動きを踏まえたハラスメント防止に向けた対応を強化する必要性がある旨述べた。
  • 日本(佐藤 宏太 UAゼンセン流通部門執行委員):厚生労働省に働きかけた結果、2022年度に厚生労働省「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」が完成した。秋田県での事例やUAゼンセンの活動を紹介し、産別を超えた取組みが推進されるよう連合とも連携しながら進めたい旨報告した。
  • 韓国(オ・スジョン 韓国郵政労組(KPWU)委員長):職場内のパワハラやいじめ根絶に向けて、2022年2月、「労使合同パワハラ根絶宣言式」を開催し、毎月11日を相互尊重の日として、パワハラ改善に努力することを説明した。
  • 台湾(パトリシア・フン 公共テレビ労組(PTSFEU)):セクハラ、パワハラの事例をそれぞれ挙げ、前者は『ジェンダー平等委員会』を立ち上げて会議を行い、申立て後2か月で解決するよう対応しており、後者は現状明確なルールがないので今後は策定していきたいと説明した。

閉会では、ハン・シーフェン 台湾金融労組(TFFU)書記長より統括があり、フォーラムのまとめとして共同宣言を採択した 。次回、第10回フォーラムは、2023年、日本で開催する予定。

【司会者】

  • 開会/基調講演:(台湾)ロー・フェジュ 中華郵政労組(CPWU)書記長
  • サブテーマ1:(日本)古賀 初代 印刷労連 副中央書記長
  • サブテーマ2:(台湾)チア・パオリン 中華電信労組(CTWU)委員長
  • サブテーマ3:(韓国)カン・ヨンベ 保険医療労働組合(KHMU)情宣部長
  • 閉会:(台湾)ウー・ウェンフォン 中華郵政労組(CPWU)委員長

南アSASBO、金融機関オールド・ミューチュアルと協定を締結

長期にわたる闘争の末、南アフリカのUNI加盟組織SASBOが、保険大手オールド・ミューチュアルと協定を締結し、SASBO組合員が交渉のテーブルに直接立つことになった。協定は、SASBO組合員であるオールド・ミューチュアル社の3793人の労働者を対象とし、協約期間は今後5年間である。

2017年に組合に限定的な権利を与える協定が締結されたものの、同社におけるすべての団体交渉からSASBOは排除されていた。

今回、中央協議会や事業別協議会に参加する上で必要な組合員数に達したことで、この新協定によって、ついにオールド・ミューチュアルのSASBO組合員は、会社で労働条件を交渉するための集団的発言権を持つことができるということだ。

ジョー・コケラSASBO書記長は、「長い間待ち望まれていた。ようやく交渉のテーブルにつくことができ、オールド・ミューチュアルの組合員のディーセントな労働条件を求めて闘うことができるようになり、感激している」と喜んだ。

この新しい承認協定により、SASBOはオールド・ミューチュアルで働くSASBO組合員の権利を効果的に保護し、利益を代表し、団体交渉を開始することができるようになった。

しかし、団体交渉に必要となる組織率25%の基準に達するまで、賃上げ交渉からは除外されたままだ。

キース・ジェイコブスUNIアフリカ地域書記は「これは非常に大きなブレイクスルーだ。交渉の席につけるということは、SASBOが南アフリカの何千人もの労働者のために、ディーセントワークと職場の尊厳を求めて効果的に闘えるということだ」と述べ、「UNIアフリカは、オールド・ミューチュアルの労働者が承認され、当然の権利と利益を得られるようにするためのSASBOの闘いを全面的に支持する」と後押しした。

オールド・ミューチュアルは、南アフリカ・ケープタウンに本社を置く投資・預貯金・保険を扱う総合金融機関であり、アフリカ・アジアの14か国で事業を展開し、3万人以上の従業員を擁している。


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