責任投資原則:投資家と多国籍企業には労働者の権利を尊重する責任と機会がある

2022年11月下旬、責任投資に関する世界有数の独立機関「PRI」(Principles for Responsible Investment=責任投資原則)の年次総会が、スペイン・バルセロナで開催された。この中で、リサ・ネイザンUNIシニア投資家活動アドバイザーは、人権と財務の両面から、株式を保有する企業において労働者の権利を強化するよう、投資家に訴えた。

パネルディスカッション『人権と社会問題に対する投資家行動の強化』の中で、同氏は、リスクの特定、防止、軽減のために、国連のビジネスと人権に関する指導原則を活用すること、人権デューデリジェンスに対する投資家の支持を得ること、人権と社会問題に体系的に取組むことなどの主要トピックを取り上げた。また、労働者の権利侵害は9年ぶりの高水準を示して世界的に危機的状況にあり、結社の自由と団体交渉の確保に向けた投資家の行動が緊急に求められていると主張した。また、労働者の権利侵害は、労働条件を低下させるだけでなく、アマゾンのような企業においては規制、業務、風評上のリスクをも生じさせる。組織率の低下は、不平等や政治的・経済的不安定の増大と関連しており、経済全体にシステミックなリスクをもたらしている。

さらに同氏は、「労働基本権に関して我々が直面している危機は、特に重大だ。結社の自由と団体交渉は、力を与える権利。労働者が組合に加入することでエンパワーされれば、安全衛生やジェンダー、人種間の平等など、他の人権を守ることができる」と述べ、「投資家は自らの責任において、労働者が自らの人権を守れるよう環境を整えることができ、その結果、人権など多くの重大なリスクを軽減することができる。 これを実現するためには、投資家や企業が、労働者や労働組合と連携して取組むことが不可欠である」と締めくくった。

今回のPRI年次総会は、労働者資本委員会(CWC)が、投資家と共に労働者の権利を向上させるためのグローバルキャンペーンを開始した数日後に開催された。CWCは、キャンペーンのキックオフの一環として、投資家向けガイド『繁栄の共有:結社の自由と団体交渉のための投資家の役割』を発表した。このガイドは、人権に関する投資家責任を概説し、労働基本権を尊重することが長期的に財務上の利益にかなうと主張するとともに、投資家の実践的な行動のロードマップを提供している。

UNIは、ネットワーク事務局のメンバーおよび報告書の共著者として、CWCの取組みに参加している。