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韓国サービス労連傘下のSGS労組、労働者の権利尊重を要求

UNI加盟組織である韓国サービス労連(KFSWU)傘下のSGS労組は、スイスを拠点とするソシエテ・ジェネラル・ド・サーベイランス(SGS)の韓国経営陣が同社の職場における差別撤廃と誠実性の原則を守っていないとして、SGSを厳しく非難している。SGSは140年以上の歴史を持ち、検査、検証、認証。コンサルティング部門で世界を牽引する企業である。

非正規労働者を含む約1100人の労働者の半数近くを組織化するSGS労組は、韓国のSGSが昇進の機会を均等に与えていないという苦情を女性組合員から受けた。経営陣から満足のいく回答を得られなかったSGS労組は、改正男女雇用均等法に基づく救済を求めて、2023年に全国労働委員会に提訴した。

同委員会は、育児休暇を取得した女性従業員は、確かに昇進の機会均等を否定されたと認定した。その後、2023年10月16日に会社に対し、是正命令が出された。労働組合は経営陣に対し、委員会の調査結果を遵守し、当該労働者に謝罪し、昇進の機会を逃したために失われた賃金を補償し、会社の規定を是正するよう、求めた。

だが同社は、この問題を迅速かつ円満に解決するのではなく、委員会の命令を封じるために行政裁判所に訴訟を起こしたのである。韓国の少子化の一因として職場における女性差別の問題がトレンドになっていたため、同社によるあからさまな差別的行為と法的措置は、メディアの注目を集めることとなった。

SGS労組は報道が事態を悪化させることを恐れ、会社との直接的な交渉を望んだ。しかし、経営陣の組合に対する強硬な態度に阻まれ、それは賃金交渉の際にも表れた。

労使は、2023年の賃金交渉をめぐり、すでに10回にわたって調停会議を開いていた。しかし、経営側は組合が当初提案した賃上げ率のほぼ半額にとどまる賃上げを譲らなかった。組合側の計算は、2021年から2023年にかけて韓国SGSが記録した健全な連続増益と、加速するインフレが従業員の実質賃金に与える影響に対処する必要性に基づくものであった。

残された手段がほとんど無い中、組合は2023年11月20~27日にかけて争議行動を実施した。否定的な報道とストライキにもかかわらず、現地経営陣はいまだ実行可能な案を提示していない。

キム・ジャンシン韓国SGS労組委員長は、今回の行動を振り返って「悲しく不条理な事態だ。労働組合は会社に対し、長年にわたり、育児休暇のために労働者が昇進の機会を逃している男女差別問題の解消に向けて適切な措置を取るよう勧告していた。だが経営陣は、労使の対立をエスカレートさせるために法律事務所を雇い、無駄な出費をした」と述べた。

同委員長は、賃金交渉について次のように付言した。「韓国SGSの労働者は、妥当な賃金水準を受ける権利がある。例えば、韓国SGSで10年の経験を持つあるチーム・スーパーバイザーの月給は270万ウォンであり、これは現在の全国最低月給水準(2023年)をギリギリ上回っているに過ぎない。韓国SGSは労働者を尊重し、少なくとも市場の競合他社と同水準の賃金と手当を提供するため、もっと力を尽くすべきだ」

UNIおよびUNI Aproは2023年12月4日、SGSに対し、韓国子会社における労働者の権利の完全な尊重を確保するため、直ちに行動を起こすよう求める共同書簡を送るとともに、ジュネーブの本社でSGS幹部と面会し、今後の適切な措置について話し合うことを申し入れた。


労働者の権利に焦点を当てた資産家のグローバル・ネットワークが発足

2兆2,000億米ドルを超える運用・助言資産を持つ投資家が、投資先企業に対し、結社の自由および団体交渉に関する労働者の基本的権利を尊重するよう求めるため、結集した。

労働者の権利投資家ネットワーク(LRIN)は、スチュワードシップ(財産を管理することを任された者の責務)の実践に労働者の権利を組み込むことにコミットする、資産運用会社、資産家、投資サービス・プロバイダーを集めた世界的なイニシアティブである。LRINの参加組織には、ニューヨーク市職員退職金制度および教員退職金制度、スウェーデンのフォルクスサム、英国を拠点とする地方自治体年金基金フォーラム(LAPFF)等が含まれる。

LRINは、労働者資本の責任ある投資を提唱するグローバル・ユニオン労働者資本委員会(CWC)に置かれている。

同ネットワークの指針となる投資家声明において、労働者の権利は、国連や経済協力開発機構(OECD)によって認められているように、「人間の自由の基本的な柱」であると指摘されている。同声明は、「労働者の権利を尊重する企業は、生産性の向上、職場の安全性強化、従業員エンゲージメントの向上など、多くの利益を得ることができる」としている。

クリストファー・ヨンソン労働者資本委員会(CWC)委員長は、 「我々はこのネットワークによって、基本的権利を侵害されている労働者の声が、労働者の権利がポートフォリオの中で確実に守られるよう尽力している投資家の耳に届くようにしていく。これにより、投資家は人権デュー・ディリジェンスを改善し、リスクを軽減し、国際的な規範と枠組みの下で責任を果たすことができるようになる」と述べた。

投資家声明では、投資先企業の取締役会や上級管理職が労働者の権利について監督責任を負い、結社の自由や団体交渉に対する労働者の権利が尊重されるようにし、労働関連の指標に関する情報開示を行うよう、求めている。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「このネットワークは、世界中の労働者の権利を守る上で重要な役割を果たしている。介護やその他の部門において、投資家の効果的なスチュワードシップが、基本的権利の行使を望む労働者に変化をもたらすことを、我々は目の当たりにしてきた。また、投資家が投資先企業のリスクを理解し、軽減するためには、現場の組合からの情報が必要であることも分かっている」とその意義を強調した。LRINは、投資家メンバーがスチュワードシップの実践にこれを組み入れる上で必要な情報とツールを提供する。

以下は労働者の権利投資家ネットワークに参加した投資家のコメントである。
「何千人もの労働者の退職貯蓄を預かる金融資産管理者として、我々は投資先企業が確実に労働者に投資するようにしたい。基本的な労働者の権利を無視することは、長期的な株主価値を損なうリスクがある。労働者の権利が尊重されるよう求める歴史的な運動は、何十万人もの労働者に目に見える利益をもたらしてきた。我々はCWCと共に力強く立ち上がり、この重要な取組みを発表できることを誇りに思う」 — ニューヨーク市会計監査官 ブラッド・ランダー氏

「LRINは、我々のスチュワードシップ強化に真価を発揮するものであり、早期に参加できたことを嬉しく思う。投資先企業が結社の自由や団体交渉を尊重することを期待しているが、現実にはあまりに多くの場合、そうはなっていないことも知っている。情報を得たり、労働組合から直接見識を聞いたりすることで、LRINがこの問題に取組む一助になると信じている」 ―フォルクサム責任投資・コーポレートガバナンス部門責任者 エミリー・ウェストホルム氏

「LRINの発足を支援できることを大変嬉しく思う。長年にわたり、我々は労働力の管理をめぐって多くの企業や労働組合と関わってきており、こうしたテーマが提起される頻度も高まっている。また、気候変動のような問題については、協力的なネットワーキング・イニシアチブが投資家のスチュワードシップ活動の効果を高めることも分かっている。ゆえに、労働者の権利に焦点を当てたネットワークの設立については、これ以上良いタイミングはないだろう」 ―ダグ・マクマートLAPFF議長


イタリアの金融労組、新たな全国労働協定で大きな成果

イタリアのUNI金融部会加盟組織が、銀行部門の労働者約28万人を対象とする全国労働協定を更新し、大幅な賃上げ、有給訓練の拡充、労働時間の短縮、暴力やハラスメントに対する新たな保護が盛り込まれた。

UNI加盟組織であるFABI、FIRST-CISL、FISAC-CHIL、UILCA、UNISINは、新協定によって「強力な経済的承認、労働者の新たな保護、技術革新とデジタル化による産業の変化を管理するために必要なツールが導入される」としている。

労働者は、2026年3月31日に満了する協定の期間中、4回に分けて適用される月平均435ユーロの賃上げを受けることになる。2024年7月1日からは、労働時間が短縮されて週37時間となり、従業員には、1.81ユーロから4ユーロに増額された昼食券も支給される。また、技術革新に関するものを含む有給研修と能力強化の時間も、週32時間から37時間に増加する。

暴力とハラスメントに関する従来の規約が全国協定に盛り込まれ、全国安全委員会が業務上のストレスを扱うこととなった。

アンジェロ・ディ・クリストUNI世界金融部会担当局長は、「今回、更新された協定は、大幅な成果を獲得したイタリアの加盟組織の強さを改めて示している。デジタル化や職場における暴力やハラスメントの増加など、多くの同じ課題に取組んでいる世界中の金融産業の労働者の先例となるだろう」 とコメントした。


UNI欧州、欧州労働組合連合のテレワーク法制化要求を支持

UNI欧州は、使用者による欧州社会パートナー協約の締結拒否を受け、欧州委員会がテレワークとつながらない権利に関する迅速な立法措置を開始するよう求める欧州労働組合連合(ETUC)の呼びかけを支持する。

2022年6月、欧州の3つの使用者団体はETUCとの社会対話作業プログラムに署名したが、その中には、指令の形で導入予定のテレワークに関する法的拘束力のあるEU全体レベルの協約を交渉することが盛り込まれていた。

しかし1年以上にわたる交渉の末、3つの使用者団体のうち2組織が、いかなる文書の提出も拒否し、成功への道筋を提示できないまま交渉から離脱したのである。

パンデミック以降、欧州においてテレワークに関する強力な規制の必要性は、さらに緊急性を増している。EUの労働条件調査では、常時在宅勤務をしている労働者は、自由時間に仕事をする傾向が6倍高く、48時間勤務の可能性が2倍高いことが示されているのである。

欧州委員会は、在宅勤務をする労働者のために適切な労働条件を確保するための立法措置を直ちに行うべきである。UNI欧州は欧州委員会に対し、以下のような指令の提出を求める:

・既存のつながらない権利を保証する。
・情報への権利やデジタル・アクセス権など、労働組合の権利を保証する。
・テレワークを行う人々の賃金と待遇の平等を確保する。
・プライバシーを保護し、人権侵害的な監視を防止する。
・テレワークの決定が労働者の手に委ねられ、職場を代替するものではないことを保証する。
・テレワークの設計と提供について、団体交渉を通じて労働組合の関与を保証する。


組合は、労働者がテクノロジーについて交渉できるようにしなければならない

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「AIと公共の利益」と題された幅広い討論の中で行われた基調講演において、労働者がAIの影響と導入について交渉する必要性を強調した。

2023年11月15日に オープンマーケッツ・インスティテュートとAIナウ・インスティテュートが、ワシントンDCで主催したイベントでは、AIの出現後に我々が地域社会や職場で直面する将来予測、脅威、規制上の課題について、議論が展開した。欧米から第一線の政策立案者、規制当局者、技術者、起業家、作家、音楽家、政策専門家、学者が集った。

ホフマン書記長は講演の中で、AIの使用に関する懸念について、職場における新技術の導入をめぐる集団的闘争という、より広範な歴史的文脈の中に位置づけた。産業革命の黎明期から、労働者は団結して、今日で言うところの「公正な移行」を要求してきたのである。

1980年代にホフマン書記長が交渉担当を務めたジェットエンジン工場を含め、現代の労働組合運動は1970年代からロボットやオートメーションといった技術をめぐって、本格的な交渉を開始した。同書記長は、今日のテクノロジーをめぐる闘いには、数十年前の闘いと同じ力が必要だと指摘し、次のように述べた。「我々が主に求めてきたのは、技術導入前の事前通告と、雇用、安全衛生、トレーニングの分野におけるリスクに対処する機会でした。また、新しい機械やテクノロジーを導入するための最善の方法を提案する機会も求めてきました。そして、こうした要求は現代にも通じることなのです…(中略)…しかし、より長期的には、新たな効率化によってもたらされるメリットを分かち合いたいと考えていました。実際にこの時代、自動車産業では、自動車製造に必要な労働者数が減ったという事実を踏まえ、賃金をめぐって大規模なストライキが起こりました。そしてまた、これこそ、私たちが生成AIに関して直面している重要な課題なのです」

ホフマンUNI書記長は、非常に人権侵害的なアルゴリズム管理など、他のタイプの職場技術に保護措置を設置することで、世界中の組合が成功を収めていることを指摘した。このようなプログラムは通常、継続的な監視とフィードバックによって生産性を向上させ、労働者を安全上好ましくない、持続不可能な速度で働かせている。

労働運動は、団体交渉と社会対話を必要とする規制枠組みの両方を通じて、職場監視の量と労働者のデータの使用方法を規制してきた。その例として、コールセンターにおける全米通信労組(CWA)とATTの団体協約や、ドイツの労使協議会とアマゾンの個別データに関する協約が挙げられる。

同様に、昨年登場した生成AIは、生産性の向上が期待されているが、アルゴリズム管理とは異なり、これらの利益は、単に労働者を過酷に働かせて搾り取るのではなく、作業の自動化や労働者の能力の増強によってもたらされる可能性がある。 生成AIを職場で使用することに関する唯一の大規模な調査研究のひとつは、コールセンターを対象としたもので、そこではこのテクノロジーによって通話時間が14%短縮され、顧客満足度が向上した。

ホフマン書記長は、 「これは良い話であり、労働者の離職率が下がり、雇用が安定するということになるかもしれない…(中略)…しかし、より多くの電話に応対できるようになったからといって、労働者の賃金は上がるのでしょうか? スピードアップによって、仕事のストレスはさらに増えるのでしょうか? これらの疑問は、こうした労働者が交渉の席で交渉し、ある程度の力を発揮できるかどうかによって多くの部分が決まる、未知の問いなのです」と続けた。

UNIメディア部会の加盟組織による最近の勝利が示しているのも、集団的な行動の力だ。こうした組合は、労働者の補償と雇用が完全に保護されるよう、AIの規制について交渉することができたからだ。

このことは、今後の組合闘争のモデルになるはずだ。ホフマンUNI書記長は次のように締めくくった。「米国で議論されているAIに対する規制は、組合を作るのが難しすぎるという核心的な問題を回避しています。実際、肖像権や知的財産の保護を強化する必要があるのです。 監視は継続的なものであってはならず、安全衛生規則は強力に実施されるべきであり、すべての労働者が休憩を得られるべきです。しかし最も重要なことは、労働組合結成への障壁を減らすことによって、すべての労働者がテクノロジーに関して交渉できるようにすることなのです。…(中略)…労働者には、我々が組織化の進んだ部門で何十年も行ってきたように、テクノロジーに関して使用者と交渉するための本当の力が必要です。 我々はその方法を知っています。ただ、扉を開くだけでいいのです」


第10回UNI Apro東アジア労組フォーラム(2日目)

テーマ2:各国で進む働き方改革と労働組合の対応-長時間労働、少子高齢社会、労働力不足等、東アジア共通の課題解決に向けた取組み
2-1)長時間労働の是正に向けた取組み
●日本(中島遥香 損保労連事務局次長):同労組の中期重点取組み課題において、多様な働き方の実現が掲げ、その一つに「長時間労働につながる商慣習の見直し」がある。時間外電話や至急の対応依頼などの行動を見直し、相手の働き方への配慮が重要である。連合と連携したシンポジウム開催や他産別との意見交換、労使協議等を行い、組合員の行動変革を促している。
●韓国(キム・ミュンソ KFIU副委員長):労働時間短縮に向けた同労組の取組みについて概説した。2002年に金融労使交渉の成果として同国で初の週5日制が導入され、他産業に対しても起爆剤となった。他に昼食休憩の一斉付与、パンデミック時の営業時間短縮などを要求してきた。現在は週休3日制を目指している。
●台湾(ナガオ・クナウ TPTSEU委員長):台湾の公共テレビとその組合員構成、同労組による長時間労働是正と勤務形態の多様化に向けた取組みについて、概説した。組合として次の勤務までの休息時間の確保等に取組んでいる。高齢化が進む中、交渉によって年5日の有給の介護休暇を獲得した。また「報道者」について、残業削減に向けて、超過勤務指示が直前に行われた場合には代休時間を増やすことを協約で定めた。
●モンゴル(バトチメグ・ナサンバータル 新国際空港労組):政労使で公正される国家労働安全衛生委員会があり、2023年7月に労働条件の基準が改定、これにより労働安全衛生管理に重点がおかれることになった。最近はメンタルヘルス課題にも注力している。組合として、公務員の給与水準の統一、勤務歴に応じた手当、地方勤務手当の支払い、インフレに見合わない賃金水準の改善と求めている。

2-2)女性が働きやすい職場作り
●日本(阪本裕実子 生保労連中央副執行委員長):同労組では「誰もが安心と働きがい・生きがいをもてる職場の実現」に向けて、ジェンダー平等に向けたポジティブ・アクションの推進、両立支援制度の拡充・活用推進を柱に、働き方を柔軟に選択できる制度の整備に取組んでいる。ジェンダー平等に関する意見交換会、管理職フォーラム等を開催し、今後さらに女性が活躍できる環境を整備していく。
●韓国(バン・キウォン KHMU教育委員会議長):約9万人の組合員のうち、多くが女性看護師である。過重労働ゆえに高離職率で、看護師有資格者で実際の稼働率は約5割である。組合は、長時間労働の是正、交代勤務の改善、ワークライフバランス向上について、病院や政府と交渉・闘争し、成果を勝ち取ってきた。
●台湾(リュウ・チュンハン CPWU企画部長):台湾における女性の安全衛生に関する法的保護、中華郵政による女性が働きやすい職場環境促進に向けた措置、(各種休暇や補助金、育児支援など)ワークライフバランスの取組みなどを紹介した。 

2-3)多様な働き方(リモートワーク、フレックス勤務、ワークライフバランス、つながらない権利等)
●日本(水野和人 情報労連書記長): 2020年よりテレワークが急速に拡大、ICT産業で特に顕著であるが、東京と地方、業種間や事業所規模により開きがある。情報労連では加盟組織では7割以上がテレワークを実施、勤務時間管理や業務に必要な現物や手当ての支援、柔軟な働き方等について取組んできた。在宅勤務によるメンタルヘルス維持、つながらない権利が課題であり、労働条件と職場環境の改善に引き続き取組む。
●日本(井上克彦 UAゼンセン常任中央執行委員/イオンフィナンシャルサービスユニオン中央執行委員長):男性の育児休業取得率は2020年以降100%であり、取得日数も増加している。全国規模でのサテライトオフィスの活用や、誰でも時短制度の導入など、多様な働き方の促進に取組んでいる。

テーマ3:賃金・労働条件交渉の成果と今後の課題-物価高騰に対応した労働者への公正な分配・労働条件の向上は実現したか?
●韓国(キム・オクラン FKMTU政治部長):全国医療産業労連は大学病院と交渉、週休3日のパイロット事業の期間と部署を拡大した。また仁荷大学病院労組は2023年に医療労組として初めて中央労働委員会の調停制度を活用、賃金引上げについて早期に協約を締結しただけでなく、適正な人材配備による業務強度の改善、及び病院サービスの質の向上等、労働条件と密接な関連がある部分に対する合意を導出できた。
●日本(徳田和宏 自動車総連国際局部長):2023年の春闘は、全体的または中小組合についてもほぼ30年ぶりとなる水準の賃上げが実現した。2023年度は自動車販売部門においても物価上昇、人手不足を背景に、高い賃上げを獲得、自動車総連全体の底上げ・底支えに確実につながった。整備士を含むサービス職についても、資格手当や役職手当の新設、手当額の引上げを獲得した組合もある。
●日本(中田綾子 UAゼンセン流通部門執行委員):物価上昇やマイナスの実質賃金などを背景に2023年には全加盟組織より署名を集め、UAゼンセンとして賃上げ促進を政府に要請した。結果、政府や経営者団体の間で賃上げの必要性について認識が広がって賃上げの機運も大きく高まり、高い賃金妥結水準となった。短時間組合員の賃金引上げも8年連続で正社員の引上げを上回り、雇用形態間格差是正につながっている。また、労働時間の改善や、カスタマーハラスメント対策などについても多くの加盟組合で交渉が行われた。
●台湾(スー・ホンティン CTWU台北支部長):中華電信および組合、台湾の経済状況、CTWUの方針や戦略枠組みについて概説した。実際の成果として、会社収益に関わらず賃上げを確保すること、育児対策と補助の拡充、永年勤続者の賞与改善などがある。また労働権益の向上にむけた取組みとして、労使協議や政府陳情、労働者教育という3つのチャネルを説明した。
●モンゴル(バトチメグ・ナサンバータル 新国際空港労組):組合の意見も反映した上で2021年に改定された同国の労働法では、雇用契約、労働時間、賃金・手当、柔軟な労働条件などの点において改善が見られた。リモートワークやパートタイムの環境整備を団協協約で決められるようになり、超過勤務や深夜勤務の手当、同一労働同一賃金も明記された。また一度のシフトにおける勤務上限は12時間となり、健康面で大きな成果である。また、男性の育休や障がい者の雇用割合についても規定された。

■閉会式
砂川翔UNI Apro青年委員(JP労組)より、今回のフォーラムを総括し「今後もUNI、UNI Aproと連携し、東アジアの加盟組織間の情報交換を継続しながら、政労使の社会対話を促進し、労働者の声を政府および使用者に届けていく」ことを確認する共同声明が読み上げられ、採択された。また、次回フォーラムホスト国である韓国のキム・ドンホKPWU委員長が、次回は2025年にキョンジュで開催することを発表した。最後に、安藤京一UNI-LCJ副議長が、二日間で学んだことを生かし、UNIファミリーとして「共にこの地域の社会・経済の発展に貢献していこう」と挨拶し、閉会した。

なお、各セッションでは以下の方々が司会を務めた。
• 開会/基調講演:(日本)山下茂美 日放労中央執行委員
• サブテーマ1 :(日本)加藤友樹 全印刷組織部長
• サブテーマ2 :(韓国)ヨン・ユンギュ KHMUプサン支部長 
• サブテーマ3 :(台湾)ジュリア・ロー CPWU書記長 
• 閉会 :(日本)大澤佳之 全労金ろうきんセントラル労組 執行委員


第10回UNI Apro東アジア労組フォーラムを東京で開催!(1日目)

UNI Apro東アジア労組フォーラムは第10回目を迎え「Rising Together! 共に立ち上がろう!東アジアにおける公正な分配と働き方改革の実現を目指して」をテーマに、2023年10月26~27日、東京・神田明神ホールにて開催され、日本、韓国、台湾、香港、モンゴルより延べ約160名(日本から14組織約100名)が参加した。

■開会式
ホスト国を代表し、石川幸德UNI-LCJ議長は4年ぶりの対面開催となった今回のフォーラム参加者を歓迎し、「実り多い経験の共有と交流の機会になることを期待する」と冒頭の挨拶をした。各国代表より、韓国からシン・ソンイルUNI-KLC議長が、台湾からジョン・フージー台湾金融労連(TFFU)委員長が、モンゴルからオユンバヤル・チュルテムドルジUNI-MLC議長が、そして香港から挨拶があった。続いて、松浦昭彦UNI Apro会長は「UNIファミリーのネットワークを活用し、東アジア共通の諸課題の解決に向けて、労働者の声をよりよく反映させていこう」と連帯挨拶を述べた。

■基調講演
「アジア太平洋地域の労働者を取り巻く環境と課題」と題して、ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長がについて講演した。デジタル化等によって急速に変化する仕事の世界において、労働者の新たなスキルを強化して公正な移行を確保すること、ギグ・エコノミーやリモートワークの普及によって組織化が困難になった労働者層を代表していくこと、監視によるプライバシー侵害から労働者を保護すること、正規雇用であったものが非正規化されていくことを阻止すること、などの重要性に言及した。

■テーマ別セッション:3つのテーマについて、各国の加盟組織より報告が共有された。

テーマ1:東アジアの労働者を取り巻く政治・経済・社会の現状と課題
●日本(浅香朋子 JP労組中央執行委員):デフレ経済と停滞する賃金水準、格差拡大、少子高齢化と生産年齢人口の減少といった日本ンの社会経済の抱える課題、政府政策等を概説した。賃上げ機運を継続するために組織拡大が重要である。
●韓国(ユン・チャン KFIU/KDB銀行労組副委員長):反労働保守政権による労働政策改悪の状況と韓国の経済状況や少子高齢社会について言及し、労働弾圧に立ち向かう組合の活動や韓国産業銀行移転阻止に向けた取組みについて紹介した。
●台湾(ハン・シューシェン TFFU事務局長):台湾におけるメーデーの取組み、Mee too運動、インフレに伴う基本給の引き上げについて触れるとともに、2024年の総統選に向けて与党が最低賃金法を提出していること、交渉中の台米貿易協定の状況等について概説した。
●モンゴル(バトチメグ・ナサンバータル 新国際空港労組):政府は経済発展、人材育成、産業推進などの分野で2050年の達成を目標に掲げている。全人口の約半数が労働可能人口であるが、高度人材の不足が課題となっている。組合は賃上げ実現に尽力し、2023年7月に国家公務員の賃上げを獲得、高齢者の年金の均一化も図られた。また都市部での渋滞解消のためにも組合として柔軟な勤務時間の導入に取組んでいる。


第1回UNI Apro東アジア金融労組フォーラムを東京で開催!

2023年10月26日午前、東京・神田明神ホールにて、日本、韓国、台湾、香港のUNI加盟金融労組より約50名が一同に会し、第1回UNI Apro東アジア金融労組フォーラムが開催された。2021年3月の準備会合以来、2回の延期を経て初めての開催となった。

■開会 
冒頭、北村聡太UNI Apro金融部会議長は、これまで様々な形で東アジアの仲間と交流を図ってきたことが2020年の台湾金融労連(TFFU)のUNI加盟、更にはこの第1回フォーラム開催に繋がったとして、友好関係の構築に貢献いただいた諸先輩に感謝の意を表した。また「今フォーラムはあえて特定のテーマを設定せず、お互いを知り合い各国組織の取組みを共有し、意見交換を行うことからスタートしたい。東アジアの金融労組が国境を越えて連携し、未来に向けて共に歩む一歩として、このフォーラムを位置付けたい」と述べた。続いて、キム・ヒュンスン韓国金融労組(KFIU)副会長とジョン・フージー台湾金融労連(TFFU)会長が挨拶した。

■基調講演
アンジェロ・ディ・クリストUNI世界金融部会担当局長が「アジア太平洋地域における金融労働者の課題」をテーマに講演し、雇用不安、賃金格差、長時間労働とストレス、デジタル化、金融規制、金融包摂、持続可能な金融などのキーワードについて概説し、「労働者の権利が守られるようにするためには、団体交渉を強化し、拡大する必要がある」と訴えた。出席者からは、感情労働やストレス管理の観点から金融労働者に対する保護の取組みや、フィンテック企業に対する規制について、質問が出された。

■加盟組織より報告
日本から金融部会7組織(全信連、生保労連、全国農団労、労済労連、全労金、損保労連、JP労組=発表順)が、韓国からKFIUが、台湾からTFFUが、それぞれ組織紹介および重点取組み等の報告をし、互いの組織と重点取り組み活動などについて理解を深めた。

●台湾金融労連 ジョン・フージー会長:1993年に結成、2001年に労働委員会に承認された。組合として最近の重要課題は、「企業の吸収・合併と労働者の権利保護」「繰延賞与と賃金の定義と退職金への反映」「保険業務員の雇用契約と業績保護」の3つである。

●韓国金融労組 キム・ヒュンスン副会長:組合員約9万4千人を擁する産別労組であり、週5日勤務制等がこれまでの大きな成果である。2023年度には感情労働者の業務中断権、家族看護勤務時間短縮制度の新設等を獲得した。現在、韓国産業銀行の移転について、阻止闘争を展開している。また、反金融・反労働弾圧政策に対し、二大産別が共同で連帯闘争を進めている。

以下、日本の加盟組織
●全信連(小川道知議長、福本耕介副議長):全信連としての主な取組みは、対外交流・調査研究、組合員向けの講演会や役員対象の勉強会の開催、情報交換である。単組としては、それぞれ職場環境・労働条件の維持改善に向けた会社との協議や組織の一体感醸成、組合員の意見収集などに取組んでいる。

●生保労連(松田惣佑中央副書記長):組合員の7割が生保営業職であり、9割が女性である。2023年の春闘では多くの組合で賃金改善に繋がる成果を獲得、今後も賃金改善の流れを継続すべく、組合員の賃金・処遇、そして働く環境の改善を目指していく。また生保産業や営業職員の社会的理解拡大に向けた取組み、産業政策推進、ジェンダー平等推進などが重点課題である。

●全国農団労 (川岸正徳中央執行委員長代行):1989年に結成、農協等の従事者11000人を組織している。農協事業や農業再建により、農協経営の改善から賃金水準や労働条件の引き上げを目指す方針である。また、法案に則した職員教育などを課題について、農水省との意見交換も行う。

●労済労連(古川伸平中央副執行委員長):こくみん共済coopグループの9労組で構成され、「協同組合運動・労働者自主福祉運動の推進を柱とする政策実現に向けて、協同組織産別・単組連絡会の取り組み、全労金との定期協議、事業体への政策反映・提言活動を行う。ジェンダー平等推進、環境活動や社会貢献活動について、専門委員会を設置して取組んでいる。

●全労金(櫻井大介書記長):重点課題である「ジェンダー平等と男女平等参画社会の実現に向けた取組み」では、DVやハラスメントの根絶や被害者支援の活動を行い、2021年にはハラスメントの禁止ガイドラインを制定した。また高年齢者雇用に関しては、定年退職年齢を65歳とすべく協議を進めており、これに併せて退職金制度や人事・賃金制度の改定についても協議中である。

●損保労連(上山慶事務局長):22単組、約85,000人の組合員を擁する。労働条件の維持向上、健全な産業発展を目的に掲げ、労連としては、各種法規制等の課題について対外的な働きかけや、加盟単組に対する支援に注力している。中期重点取組み課題として多様性の受容を掲げ、業界経営との定期的な意見交換、地域の組合委員同士のつながり構築、広報活動などに取組んでいる。

●JP労組(中西望中央執行委員):組合としてジェンダー平等推進計画を策定し、女性役員の増強に努めている。また労使交渉の成果である各種休業制度は、法を上回る内容であり、今後も多様な従業員が安心して働ける職場作りに取組んでいく。人材発掘と育成、組合員の声が届きにくいこと等が課題であり、組織拡大と環境整備による職場活動の活性化、労使関係の高度化が重要である。

■閉会
韓国KFIUから採択要請が出された「韓国産業銀行本店の移転問題に関する連帯声明」について、参加者は拍手をもって採択した。続いて、北村議長がフォーラムについて総括し、「日本、韓国、台湾の金融産業で働く仲間が共に集い、未来に向けての連携と協力を模索する重要な一歩になったと確信している」と語った。

その後、3か国の労組代表とジャヤスリ・プリヤラルUNI Apro金融部会担当部長が「UNI Apro東アジア金融労組フォーラム協定書」に署名し、本フォーラムが今後も継続して開催されることが確認された。最後にプリヤラル担当部長が、「アジア地域における労働組合の組織化を進め、より多くの金融労組を仲間に加えていきたい。私たち全員が結集し、互いに学び合いながら、効果的かつ効率的な方法で目標を達成するために、共に協力していこう」と挨拶し、締めくくった。


イスラエルとガザにおける戦争に関するUNI声明

以下の声明が、2023年11月8日に開催されたUNI世界執行委員会で採択された。

UNIは、イスラエルとガザで生じている悲劇に衝撃を受け、驚愕している。我々は、イスラエルとパレスチナのすべての暴力による犠牲者に思いを寄せ、連帯する。我々は、国際法の完全な適用に基づく平和と民主主義が実現する恐怖のない平和な世界に強くコミットしている。この目的を達成するため、我々全員が取り組みを強化する必要性は、かつてないほど高まっている。

敵対行為の即時停止が不可欠であり、国際社会は、すべての当事者が国際法の基本原則を守り、すべての民間人が保護されるよう、介入すべきである。

我々は、ハマスによるイスラエル市民に対する残忍な攻撃と殺害を非難し、すべての人質を即時且つ無条件に無事解放することを要求する。

ハマスによるイスラエル市民の殺害も、イスラエル政府によるガザ市民への砲撃も、恒久的な和平をもたらすものとはならない。

ガザでは今、破滅的な状況が続いている。 住民は容赦ない爆撃下に追い込まれ、ガザの医療体制は、必死に助けを求める人々を治療することがますます困難となり、電気、水、食料の遮断は、多数の男性、女性、子どもの死を引き起こしかねない広範な人道危機につながっている。ガザへの人道回廊を開き、切実に支援が必要な人々に援助を提供することが急務である。

UNIは、国連安全保障決議に則った公正で持続可能な和平と、占領の終結を求める長年の方針を掲げている。イスラエル、パレスチナ、そして国際社会が、何世代にもわたって続いてきたこの紛争の公正な解決の実現にこれまで失敗し続けてきたことは、あらゆる立場の多くの人々に影響を与えてきた暴力、トラウマ、殺戮の継続を意味する。

すべての国々は今、平等、民主主義、人権と労働権の尊重を促進する包括的かつ恒久的な和平に向けた取り組みを一層強化しなければならない。我々は、この地域全体のコミュニティを荒廃させてきた暴力の連鎖を終わらせなければならない。

世界中で反ユダヤ主義やイスラムへの嫌悪がエスカレートしていることに我々全員が警鐘を鳴らしている。だが我々は、この危機を利用して分断を煽ろうとする勢力を決して許さない。戦争、暴力、そしてあらゆる形の人種差別に反対する我々の断固たる姿勢は、すべての人のための平和と正義を希求する闘いにおいて、我々全員を団結させるに違いない。

ガザへの人道支援、人質の解放、そして即時停戦は、この危機を脱するための第一歩である。戦争と暴力から抜け出し、我々を平和な未来へと導く道である。


UNI、AI安全サミットに労働者の声を反映させるよう呼びかけ

2023年10月末、UNIとUNI欧州は、世界中の100を超える市民団体とともに、英国政府が開催するAI安全サミットについて「チャンスを逃した」と非難した。

リシ・スナク英国首相に宛てた公開書簡の中で、各団体は、AIによって最も影響を受ける地域社会や労働者がサミットから疎外されている一方で、一部の企業がルールを形作ろうとしている、と警鐘を鳴らした。

2023年11月1日、2日にロンドン近郊で開催予定のAI安全サミットでは、政治家やテック企業幹部を中心に、オープンAIのChatGPTのような高度なAI技術のリスクについて、議論がなされる予定だ。

ケイト・ベルTUC書記次長は、「AIはすでに、我々の働き方、雇用や解雇のされ方など、人々の人生を変えるような決定を下している。しかし、働く人々にはまだその交渉の席が与えられていない」と述べ、「このイベントは、幅広い声を集め、差し迫った脅威にどう対処し、いかにしてAIがすべての人に利益をもたらすようにするかを議論する機会となるべきだった。AIの未来を形作るのは、技術者や政治家だけであってはならない」と指摘した。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「サミットから労働者の声を排除することは恥ずべきこと」と批判し、「AIを経済全体に展開する計画があるなら、労働者は初日からそのテーブルにつく必要がある。 AIは多くの人々にとって仕事が改善される機会を提供するが、それは適切な保護が導入され、労働者が利益を共有する場合に限られる」と強調した。


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