デンマークで郵便配達が終了 – 労働者と社会的弱者に危機

デンマークの国営郵便サービスであるポストノードは、2025年末までに書簡の配達を停止すると発表した。これにより、労働者とデンマーク住民、特に重要な連絡手段として郵便を利用している最も弱い立場にある人々に深刻な影響が及ぶことになる。UNIは、デンマークの加盟組織3Fとともに、この決定を最も強い言葉で非難する。

ポストノードの書簡市場からの撤退は、郵便の全職員約4,600人のうち1,500人の雇用喪失を意味する。同社の書簡市場における事業は、デンマークの民間物流会社DAOに引き継がれる予定である。DAOは現在、デンマークの郵便物のごく一部しか扱っておらず、歴史的に個人宛郵便物の効率的管理に苦慮してきた。またDAOは非常に多くの不安定雇用の労働者に依存している。ポストノードの撤退が実現すれば、DAOは書簡市場で唯一のプロバイダーとなり、デンマーク住民にとって重要なインフラである書簡を事実上、民間企業が独占することになる。

デンマークは今、郵便の歴史において重要な岐路に立っている。今後の決定によって、郵便サービスがデンマークの重要なインフラの安定的で利用しやすい一部であり続けるのか、それとも市場の失敗によって市民や企業が信頼できる郵便システムを失うことになるのかが決まる。

デンマークの住民、特に病院、自治体、金融機関とのやり取りに物理的な書簡を使用している27万1000人の状況は、危機的なものとなっている。すでにデンマーク国内では、単純な手紙を送るだけでも4ユーロ近くかかり、高齢者、地方在住者、低所得者層には大きな負担となっている。従来の郵便ポストが撤去され、切手が廃止されれば、郵便サービスへのアクセスは、特に農村地域にとってますます困難になるだろう。

デンマークの高齢者介護における民営化の経験は、必要不可欠な公共サービスを営利追求の民間事業者に委ねることの潜在的な結果を示している。そうした民間事業者は、厳しい経済状況下で撤退し、市民を重要なサービスから置き去りにしかねないからだ。
DAOが同様の道を歩むことになれば、デンマーク政府は財政的・物流的負担の大きさに直面する可能性がある。

3Fポストのゼヴァド・ラミック議長は、「デンマークの政治家が書簡市場の自由化を決定して以来、我々はメディアや政策立案者の間で、その影響について啓発するために集中的に取組んできた。自由化の目的は、価格を引き下げ、サービスレベルを向上させることだったが、。2023年の施行以来、価格は100%以上上昇し、サービスレベルは大幅に悪化した。そして先週、究極の結末を目の当たりにした。ポストノードが市場から撤退し、重要なインフラが民間に独占されることになったのだ。住民と労働者にとって深刻な打撃だ」と指摘し、「我々は適正な賃金と労働条件を求めて闘争を強化していく。職を失った従業員が支援も機会もなく取り残されることは認めない。我々は、大きな需要がある労働市場において、従業員が前進するための最良の条件を確保するために闘っていく。そして労働者の尊厳とこれまでの仕事に対する敬意を忘れてはならない」と訴えた。

UNI世界郵便・ロジスティクス部会が6大陸で11の事例を調査したところ、郵便の民営化は、料金の上昇、配達の遅れ、雇用の悪化という悪影響をもたらすことが明らかになっている。UNIと世界中の郵便労組は、昨年の世界郵便デーにデンマークを訪れ、3Fを支援するとともに、デンマークが以前に実施したユニバーサル・サービス義務撤回による有害な影響を示した。

コーネリア・ベルガーUNI世界郵便・ロジスティクス部会担当局長は、「郵便サービスは地域社会をつなぐ基本的なものであるにもかかわらず、デンマークから英国、米国に至るまで、郵便は攻撃を受けている。デジタル化によって郵便事業は大きく変貌したが、郵便事業がその役割を責任を持って再構築できていないことは非常に問題だ。世界中の労働組合が団結し、質の高いサービスを保護し、世界中の郵便労働者のまっとうな労働条件を確保する、確固たる将来ビジョンを求めている」と訴えた。


映画・テレビ制作におけるAI利用に関する労働協約:ドイツで初めて締結

ドイツのUNI加盟組織ver.diとドイツの俳優組合(BFFS)は、ドイツの映画製作者団体Produktionsallianzとの間で、映画製作における生成AIの使用に関する画期的な新協約の交渉に成功した。

この新協約は、俳優の演技が生成AIを使用してデジタルに複製加工、変更、置き換えられる場合に、俳優に対する明確な保護を定める。ただし、制作後に映画制作者の声や映像の録音を複製・修正するために使用されてきた従来のAI技術には適用されない。

協定の主な内容は以下の通り:
• 俳優の同意と透明性: 俳優のデジタル複製は、俳優の明確な同意なしに使用することはできない。制作者は、俳優の演技に対する生成AIの使用に関して、完全な透明性を確保しなければならない。
• 公正な報酬: 俳優には、撮影日数に相当する計算式に基づいて、AIが生成したシーンに対する報酬が支払われる。
• 使用制限: AIが生成したレプリカは、オリジナルのプロジェクト以外の作品に使用することはできない。

協定は2025年3月1日に発効し、2026年6月30日まで適用されるが、映画産業におけるAIの急速な発展に歩調を合わせるため、半年ごとに評価が行われる。

労働組合はこの協定を基礎に、生成AIが映画スタッフに与える影響に関する交渉を行う。第一段階として、生成AIが舞台裏の仕事に与える影響に関する共同研究が委託される。

ver.diのクリストフ・シュミッツ=デスレフセン執行委員は、「米国の映画労組の成功を受けて、BFFSとver.diは共に団体交渉の基準を設定してきた。AIの使用がもたらすすべての影響に対処できたわけではないが、我々は重要な保護規定、共同決定の強化、透明性に関する義務、そして金銭的補償について成果を得た」と述べた。


ver.di、小売業におけるAIに関する会議を開催

デジタル化と人工知能が小売部門を変革するなか、ドイツのUNI加盟組織ver.diは、2025年3月11~12日にベルリンでドイツ全土の労使協議会を対象とした会議を開催した。この会議には、メトロ、イケア、カウフランド、ザラ、アマゾン、H&Mなど、大手小売企業の労働者代表が結集した。

「小売業におけるデジタル化と人工知能」と題されたこの集会では、参加者は「小売業の労働者は、この技術的進化をどのように形づくることができるのだろうか?」という重要な問題に取り組んだ。

ver.diで小売部門を担当するシルケ・ツィマー委員は「小売部門では、技術革新のほとんどが、従業員はおろか労使協議会も関与せずに導入されてきたが、これではいけない。労働者は、デジタル変革のプロセスに積極的に関与しなければならない」と、述べた。

また同氏は、使用者がデジタル・ツールを導入する際に、労働者のプライバシーを保護する必要性を強調した。労働者のあらゆる行動を常に監視・分析することは、統制を強化することになる。このデータは従業員とのやりとりをすべて報告し、組合をつぶす可能性があり、従業員の将来の行動について管理者が予測することもできる。

さらに、「このような進展の中、労働者を無防備な状態にしてはならず、だからこそデジタル化の際には労使協議会による共同決定が必要だ。従業員は、単にデジタル技術の結果に直面するのではなく、こうしたプロセスの形成に積極的に関与しなければならない。2022年にH&Mと交渉したデジタル化に関する団体協約は、この問題に取組むことを目指すものだ」と強調した。

ビジネス、科学、政治の著名な専門家との対話やワークショップを通じて、参加者はデータ保護、共同決定とトレーニング機会の確保、デジタル移行に際して権利を主張するための労働者の動員など、新技術の利用に関するテーマに取り組んだ。

マタイアス・ボルトンUNI世界商業部会担当局長は、「サプライチェーンからロジスティクス、カスタマーサポートから店舗での体験に至るまで、AIは商業のあらゆる側面を変えつつある。ここで学んだことを世界中の組合に伝えたい」と述べた。

2025年2月にパリで開催されたAIアクション・サミットでは、クリスティ・ホフマンUNI書記長も労働者中心のAIの必要性を強調し、「人々は生活基盤だけでなく、生き方までも失うことを恐れている。だが職場で声を上げることで、恐怖に対処し、リスクを最小限に抑えることができる。労働組合はこれまでも非常に長い間、職場で新しいテクノロジーについてうまく交渉してきた」と述べている。


パンデミックから5年、UNI報告書で世界的な介護危機の深刻化が明るみに

ケア労働者を対象とした新たな世界的調査から、医療・介護分野における人材不足の危機が深刻化していることが明らかになった。労働者の70%近くが頻繁に人員不足に陥り、3分の1以上(36.4%)が常に人手不足で働いていると回答している。WHOによるCOVID-19パンデミック宣言から5年の節目にに発表されたUNI報告書は、63カ国の1万1,233人の労働者からの回答をもとに作成されたもので、崩壊の一途にあるケアのシステムを明らかにしている。パンデミック中に英雄として歓迎されたにもかかわらず、ケア労働者は慢性的な人員不足、貧困賃金、職場の暴力の急増に直面し、多くの労働者がこの職業から撤退し、利用者や患者を危険にさらしている。組合の保護を受けていない労働者は、こうした傾向の影響をさらに強く受けている。パンデミックの際に何万人もの命を奪ったのと同じ失敗が、危険なほど無視されたままになっている。

UNIはこうした状況が労働者を介護部門から遠ざけ、政府と使用者が対処できなかった危機が悪化していると警告する。この調査は、組合加入と団体交渉が労働者の定着と満足度を大幅に向上させることを示している。

安全な人員配置は、質の高いケアとより安全な職場環境のために不可欠だが、病院や介護施設における慢性的な人員不足は患者や利用者の健康を損ない、防ぐことのできる死さえ引き起こしている。介護労働者にとって、人員不足はモラルの低下、職場での暴力や負傷率の増加、離職率の高さにつながる。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「パンデミックから5年経った今でも、介護労働者は過重労働、低賃金、危険な状況にさらされている。この報告書は警鐘だ。賃金を引き上げ、人員配置を改善し、職場の暴力と闘うための早急な行動がなければ、介護システムは崩壊してしまう」と危惧する。

質の高いサービス、公正な賃金、増大する需要に対応できる労働力を確保するために、介護部門への公的資金を増額すること。
アラン・セーブルUNI世界ケア部会担当局長は「介護労働者が不足しているのではなく、低賃金、慢性的な人員不足、危険な状況を喜んで我慢する介護労働者が不足している」と指摘、「介護人材の危機は、単に新しい労働者を訓練したり、移民介護労働者を採用したりすることで解決できるものではない。低賃金、人員不足、暴力やハラスメントの蔓延といった、この部門から人を追い出す核心的な問題に取り組まない限り、労働者不足とケアの質の低下の連鎖は続くだろう」と述べた。

UNIは早急な対策を要求
UNIは政府と使用者に対し、早急に以下の緊急改革に着手することを求める:
●ケアの仕事を持続可能なものにし、労働者を確保するための賃上げと福利厚生の改善。
●燃え尽きを防止し、患者ケアを守るための安全な人員配置の義務化。
●ILO第190 号条約の批准と施行を含む、職場の暴力とハラスメントに対する保護の強化。
●大きな差別や危険な状況に直面する移民労働者に対する公正な待遇と法的保護。
●組合代表権と労働協約の支援
●労働条件と雇用の持続可能性を改善する組合代表権と団体交渉の支援。
●質の高いサービス、公正な賃金、増大する需要に対応できる労働力を確保するため、ケア部門に対する公的資金を増額する。

労働者の証言「我々は破綻しているのに、誰も気にとめない」
最前線で働く労働者の生の声は、この危機の人的被害を明らかにしている:

➡ 私の部署ではいじめや人種差別がありますが、いつも揉み消されています。これは人手不足が原因だと思います-英国、病院労働者
➡ 入居者から2度性的暴行を受けました。上司や同僚から話を聞いてもらえず、守ってもらえなませんでした。人手不足が原因で、1年前に性的暴行をしてきた人のケアをしなければならなくなりました-ニュージーランド、介護施設職員
➡ こんな状況であってはなりません。設備、資源、薬剤があまりに少ない中で、国民の大きな期待を背負って働いている。私たちはひどく破たんしています。政府も気にしていません-ケニヤ、病院看護師
➡ どの国の政府も医療を優先すると約束していたが、それは間違いなく実現していない。パンデミックで介護のひどい生活環境が露呈した後、事態が改善されることを期待していました。しかし、余計な事務作業と政治的なでたらめがあっただけで、何も改善されていない。私はただ、こうした人々がきちんとケアされるようにしてほしいのです。そのためにはスタッフとサポートが必要です-カナダ、介護施設労働者
➡ この仕事をとても楽しみにしていました。でもすぐに現実に思い知らされました。政府や国が医療制度に対してやってきたことにショックを受けています。訓練を受けた人はどんどん減っています。看護職をあきらめた同僚を8人知っていますが、彼らはこの職業に対する思い入れと情熱が強すぎたために、離職に追い込まれたのです-オーストリア、介護施設の看護師
➡「最低賃金より1ポンド高い給料をもらって、毎日暴行を受けています。スタッフの離職率が高すぎて、補充に苦労しています」-英国、医療補助

崖っぷちのシステム
COVID-19パンデミックは、介護や医療における構造的な深い失敗-防ぐことのできたはずの何万人もの死をもたらすという失敗を露呈した。5年経った今も、こうした失敗は危険なほど無視されたままである。UNIの報告書は、ひとつのことを明確にしている。それは、緊急の対策を講じなければ、高齢化によってすでに疲弊し、さらなるパンデミックの脅威にさらされている介護・医療制度は崩壊し、再び命が失われるということである。


クリスティUNI書記長、ラジェンドラUNI Apro地域書記長の記念講演 ~第26回 UNI-LCJ年次総会~

クリスティUNI書記長とラジェンドラUNI Apro地域書記長

★講演1:「生成AIがもたらす労働の未来」 クリスティ・ホフマン UNI書記長

現在、世界は激動の時を迎えており、米国のトランプ政権は政府機構を解体し、国際機関からの脱退を進めています。その影響は世界中に及び、AIを含む技術革新にも大きな影響を与えている。

特に、AIの職場への導入については、労働組合の関与が不可欠だ。その理由は、①最良の結果を得るため、②労働者への悪影響(解雇など)に対応するため、③生産性向上の利益を労働者と共有するためである。しかし、使用者側は「テクノロジーについて交渉するのは非現実的」として反対しているが、それでもフランスの70以上の企業が社会対話に合意するなど、前向きな動きもある。

AI技術の中でも特に影響が大きいのはアルゴリズム管理と生成AIだ。アルゴリズム管理は、監視や労働者への圧力に利用され、Amazonの倉庫やコールセンターなどで広く導入されている。一方、Chat GPTなどの生成AIは、文章作成やデータ分析などを自動化し、多くの業務の一部を代替する可能性がある。IMFの予測によると、全雇用の40~80%が何らかの形で生成AIの影響を受ける、特に事務職やバックオフィス業務がリスクが高いとされており、コールセンターやプログラマーも影響を受けており、今後、経済全体への普及が加速する可能性がある。

労働組合は、AI導入に関する交渉を進めるべきだ。既にいくつかの成功例もある。例えば、米国の脚本家組合はAIの使用を制限する協約を勝ち取り、オーストラリアやドイツの労働組合もAIに関する協議の枠組みを確立した。これにより、AIが労働者に与える影響を最小限に抑えつつ、技術の利点を生かす道が開かれると期待している。しかし、多くの国ではまだAIに関する労働規制が整っていない現状もある。そのため、労働組合の活動を奨励し、雇用主が技術導入の際に労働者と協議することを義務化するなどの政策が求められている。労働者のスキル向上を支援し、新たな仕事を創出するためのインセンティブも必要だ。

テクノロジーの発展は不可避ですが、それが労働者にとって公平で持続可能な形で進められるよう、労働組合は交渉の場に立ち、積極的に関与することが重要である。UNIは今後もこの課題に取り組み、労働者の利益を守るために国際的な対話を推進していきたい。

★講演2:「平和・人権・民主主義」 ラジェンドラ・アチャリャ UNI Apro地域書記長

アジアにおける民主主義の状況は国によって異なり、日本、韓国、インドは民主主義を維持しているが、他の国々では依然として厳しい状況が続いている。

ミャンマーでは、軍事クーデターから4年が経過し、大規模な避難、暴力的な弾圧、そして活動家の投獄が続いている。労働組合は民主主義勢力とともに、民主主義を復活させるための国民統一政府(NUG)を結成した。香港では、中国の国家安全法の下で制限が強化され、言論の自由や報道の自由が制約されている。バングラデシュでは、政治的な状況が不安定であり、前政権は反対派の声を抑圧していたことで批判された。現在の指導者は、同様の手段に頼ることなく、安定した政治運営を行うことが重要である。

アジアにおける平和は依然として不安定であり、国境を巡る争いや南シナ海での緊張や、朝鮮半島における終わりの見えない紛争の脅威が地域の安定を脅かしている。 また、ミャンマー、アフガニスタン、フィリピン、パキスタンの一部地域では内戦が続いており、平和と安全を取り戻すための障壁となっている。

人権:続く闘い

アジア全体で人権侵害が広がっており、政府は言論の自由を制限し、報道機関を弾圧し、人権活動家を迫害している。また、監視体制や強制労働、政治的抑圧が根強く存在している。多くの国々で進展が見られる一方、依然として女性やジェンダー平等に対する制約が続いている。

労働組合の権利と労働条件:

アジアの労働者は、特に労働保護が不十分な国や権威主義的な国々で重大な課題に直面しており、多くの国では団体交渉が制限され、労働者は搾取され続けている。湾岸諸国では移民労働者が非人道的な労働条件に苦しんでいる。しかし、バングラデシュのラナ・プラザ事故後、繊維業界の安全基準が改善され、国際安全衛生協定はバングラデシュとパキスタンで進展を見せている。

国際労働基準と人権デューデリジェンス:

アジアにおける国際労働基準の施行は国によって異なる。いくつかの国々は主要な国際労働機関(ILO)の条約を批准しているが、その実施は一貫していない。強制労働、児童労働、そして安全でない労働環境は、繊維、農業、建設業、さらにはサービス業でも依然として続いている。人権デューデリジェンスは注目を集めており、日本、韓国、オーストラリアは企業責任規制を強化している。

デジタル時代における労働と労働組合の権利:

技術革新、デジタル化、自動化はアジアの労働市場に変革をもたらし、製造業やサービス業で雇用の安定性が脅かされている。ギグエコノミーの拡大に伴い、特に新興経済国で労働者保護が不十分だ。職場の監視やアルゴリズム管理には倫理的懸念があり、強力な規制が求められている。労働組合は、技術革新が労働者の権利を守りつつ進むよう役割を果たすべきである。

UNI Apro: 私たちの役割と取り組み

UNI Aproは、民主主義、人権、労働組合の自由を守るため、ミャンマーの強制労働問題やフィリピンの労働組合弾圧に対する活動を行っている。インドネシアのオムニバス法に挑戦し、香港のRCCGUを支援。さらに、フィリピン、インド、パキスタン、ネパールで労働組合権利強化を進めている。

アジアにおける民主主義、平和、人権、労働組合の自由の闘いは続いており、権威主義や労働搾取は依然として課題である。労働組合の強化、国際労働基準の施行、デジタル変革の責任ある導入が重要だ。

講演後には、福井洋損保労連事務局長は、アルゴリズムによる労働管理が日本に導入される可能性について言及し、「その際に労働者の納得感や働きがいに差が生じるかどうか。もし差が生じる場合、労使協議で特に重視される観点は何か、またアルゴリズム導入後に従業員からフィードバックを得る仕組みや、働きがいを高めるためにどのような工夫がされているか」と質問した。

また、UNI Apro青年委員を務めている横内愛咲UAゼンセン運動推進局局員は、UAゼンセンの多くの組合が若者への教育機会を設けているものの、意思決定機関に若者を参加させる進展が低い現状を報告し、「青年が意思決定機関に参加するために一番大切なことは何か、また海外での先進的な青年活動の事例」について質問した。


第26回UNI-LCJ年次総会開催~変革のために、共に立ち上がろう!

クリスティUNI書記長、ラジェンドラUNI Apro地域書記長とUNI-LCJ幹部会メンバー

2025年2月26日(水)、第26回UNI-LCJ年次総会が全電通労働会館ホール(東京都千代田区)で開催され、各加盟組織より運営委員、総会代議員、オブザーバー等約60人が出席した。

UNI-LCJ年次総会と監査報告をする戸口監査委員

2024年度活動報告、会計報告の後、UNI-LCJ内部監査員である戸口剛全印刷書記長より2024年度の会計監査報告があった。続いて2025年度活動計画および予算が承認された。

質疑で発言する川口日放労書記長、古賀印刷労連副書記長、中田UNI Apro女性委員会議長(UAゼンセン国際局副部長)

質疑の時間において、川口哲矢日放労中央書記長は、昨年11月タイ・バンコクで開催されたUNI Apro地域大会・女性大会と併催のメディア部会委員会の内容に触れ、「組合の役割は注目度が高まっており、連帯を高めるための活動は重要である。海外の仲間と様々な知見を共有し議論できるのは、日本の組合員にとってもとても有益である。今年度は、自組織の若手組合員と海外メディア労組との交流会の開催を期待したい」と述べた。

古賀初代印刷労連副中央書記長は、UNI Apro女性大会で中田綾子UAゼンセン国際局副部長がUNI Apro女性委員会議長に就任したことに触れ、「UNIの女性の取組みについては、印刷労連でも方針の柱の1つにしている。毎年UNI-LCJが開催している、青年・女性ネットワーク会議やユース英語セミナーを通じて、産業や組織の枠を超えたコミュニティの場が設けられており、非常に有益に感じている。グローバル化やDXなど新たな課題が山積だが、これからも、しっかり取り組んでいただきたい」と期待した。

中田UNI Apro女性委員会議長がこれに続き、インドネシアASPEK訪問の際聞いた、ASPEKが新しく始めた女性支援の取組みについて報告し「とても良い事例なので5月にシンガポールで開催されるUNI Apro女性委員会で報告ができるよう働きかけている。良い事例などあったら、今後も積極的に取り込んで情報共有していきたい」と述べた。

クリスティUNI書記長とラジェンドラUNI Apro地域書記長
(UNI-LCJ年次総会 記念講演)

続いて開催された記念講演には、UNI本部よりクリスティ・ホフマンUNI書記長、UNI Aproよりラジェンドラ・アチャリャ地域書記長が来賓として出席した。クリスティ書記長は「生成AIがもたらす労働の未来」について、またラジェンドラ地域書記長は「平和・人権・民主主義」について講演した。

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レセプションで乾杯の発声をする永島智子UNI-LCJ副議長(UAゼンセン会長)

記念講演終了後、会場近くのレストラン(グッドビューダイニング Good View Dinning、中央大学駿河台キャンパス19F)に場所を移し、レセプションを開催した。

レセプション開会の挨拶をする石川UNI-LCJ議長(JP労組中央執行委員長)

UNI-LCJ議長である石川幸徳JP労組中央執行委員長は「厚生労働省、連合、ITUCのご来賓に迎え、またUNI書記長・地域書記長から貴重な講演をいただだいた御礼を述べ、「今後もパートナーシップ労使関係を基盤とした労働運動の発展に向け、UNI-LCJも尽力していきたい」と冒頭の挨拶した。

来賓および連帯挨拶

続いて、秋山伸一厚生労働省大臣官房統括審議官(国際担当)に来賓の挨拶を、また、清水秀行日本労働組合総連合会事務局長、および、郷野晶子国際労働組合総連合会長より連来の挨拶をうけた。

全国農団労への感謝と司会進行を務めた永渕達也UNI Apro青年委員(情報労連中央執行委員)

また上田智亮UNI-LCJ事務局長は、全国農団労の川岸正徳代表および大谷篤史氏へ感謝の意を述べ「いつでもUNIファミリーに戻ってきてほしい」と言葉を贈った。

レセプションの中締めをする安藤京一UNI-LCJ副議長(情報労連中央執行委員長)

国際女性デー:女性労働者の福利を求めて取組もう

UNIは国際女性デー(IWD)にあわせ、世界中の女性労働者の職場におけるメンタルヘルス保護に関する権利を支援する新しいマニュアルを発表する。

2024年に発表された生理、妊娠、更年期に関するガイドと同様に、『職場のメンタルヘルス:基本的人権』は、労働組合がタブー視されがちな問題に取り組む手助けとなる。このガイドは、職場の心理社会的リスクを特定、予防、管理するためのツールを提供している。

ストレスや過剰な業務量、職場での暴力やハラスメント、不平等な待遇、雇用の不安定さは、根強く、かつ不均衡な、女性の職場のメンタルヘルスに対する脅威である。

新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックは、これらの課題を悪化させ、わずか1年で不安障害やうつ病性障害が25%増加した。世界的に見ると、うつ病について女性の生涯有病率は男性の約2倍、不安障害の生涯有病率はほとんどの疾患で男性の2倍となっている。それにもかかわらず、メンタルヘルス問題に対する偏見が、多くの女性が必要な支援を求めることを妨げている。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「経済分野や国境を越えて、メンタルヘルスの危機が特に女性労働者に深刻な影響を与えている。この危機の根底には、不平等や職場でのハラスメント、過剰な業務量など、労働組合が最も対処しやすい多くの不平等や不当な扱いがある」と指摘した。

また、ヴェロニカ・フェルナンデス・メンデスUNI機会均等局長は、「女性のメンタルヘルスは、単に個人の問題ではなく、我々全員に影響を及ぼすもの。使用者と政策立案者は、職場におけるメンタルヘルス保護の緊急性を認識し、サポートのある、安全で包摂的な環境を整える必要がある。労働組合は、偏見を打破し、福利を優先する政策を提唱し、すべての女性が活躍できる職場を創出する上で重要な役割を果たす存在だ」と訴えた。

このガイドには、以下の戦略が含まれている。
●女性に大きな影響を及ぼす仕事関連のストレス要因を認識し、緩和する
●メンタルヘルスに関する偏見や差別と闘う
●柔軟な勤務形態、有給休暇、メンタルヘルス支援制度を促進する
●労働者および使用者を対象としたメンタルヘルスに関する意識向上と研修を強化する
●独立した職域保健サービスを利用できるようにする

UNIは引き続き、職場での暴力やハラスメントに対する保護を強化するために、ILO第190号条約および第206号勧告の批准と実施を継続的に要求していく。これらは、メンタルヘルスに大きな影響を与える職場での暴力やハラスメントに対する保護を強化するものだ。

職場のメンタルヘルスガイドをダウンロード


UNI欧州の調査:人々は公的資金が賃金と労働条件の改善につながることを望んでいる

2025年3月上旬に発表された欧州全域を対象とした調査(UNI欧州が委託したもの)の結果によると、EU市民の大多数(72%)が、団体交渉を通じて労働者の生活を強化する公共調達を支持していることが明らかになった。

この調査結果は、民間企業への公契約の発注を管理するEU調達規則の改革に 欧州委員会が着手した矢先の発表となった。調査結果は、調達規則の中に団体協約を有する企業を優先し、労働組合潰しやダンピングを行う企業を排除する社会的条項を求める労働者や組合の声を後押しするものとなる。

オリバー・レティクUNI欧州地域書記長は「今回の調査結果は、緊急の行動を求める呼びかけであり、欧州委員会は欧州の有権者の声を聞くべきだ。公的資金は、公正な競争を阻害し労働組合を弱体化させる企業ではなく、質の高い雇用を支援すべきだ」と述べ、「最善の方法は、労働組合と団体協約を結んでいる良心的な雇用主を優先することだ」と付言した。

EUでは、公契約を通じて何百万人もの労働者が雇用されている。公共調達は、民間部門全体の賃金や労働条件に影響を与える基準をつくっている。

調査の主な結果:
• 回答者の65%が、公契約は価格、品質、環境、社会基準に基づいて発注されるべきだと回答
• これらの基準のうち、賃金と労働条件は最優先事項であり、回答者の46.4%が、価格が高くても正当化されると回答
• 回答者の83%が、組合潰しの企業や低賃金の企業を排除することを希望
• 回答者の72%が、公共機関が団体協約のある企業を優先することを希望
• 公共入札において価格以外の要素を考慮することを希望する市民の割合は、2011年の同様の調査以来、52%から65%へと大幅に増加

この調査は、欧州全域で700万人の労働者を代表するUNI欧州の委託により、独立系の世論調査会社オピニアが実施した。チェコ、フランス、ドイツ、アイルランド、ポーランド、スペインの6か国より6,080人以上の回答者から回答を得た。

調達をより社会的なものにするという人々の希望は、労働者や労働組合の要求と一致している。2024年10月1日、9か国から1,000人以上のエッセンシャルワーカーが賃金と労働条件の改善を目指す公共調達改革のためにブリュッセルに結集した。しかし、UNI欧州の調査では、EU全域の公共入札の半数が、最低価格のみに基づいて行われており、これは調達規則に起因する場合が多い。

トマ・ピケティやイザベラ・ウェーバーなど100人以上の世界屈指の経済学者が、公開書簡の中で「入札において最低価格のみにフォーカスしすぎること」を批判し、規則の改革に向けて「団体交渉の強化」を求める労働者の要求を支持した。労働集約型の清掃、警備、ケータリング産業の使用者団体ですら、価格のみに焦点を当てることをやめる必要性を強調している。

レティクUNI欧州地域書記長は「欧州の人々は、エッセンシャルワーカー、世界有数の経済学者、そして使用者とともに、EU規則は最低価格のみに焦点を当てるのではなく、労働条件、賃金、サービスの質に関する欧州全体の基準を設定すべきだ、と訴えている」と主張した。そして、「これは規則を簡素化するという欧州委員会の目標を推し進めることにもつながる。例えば団体協約の尊重といった明確な基準は、単に煩雑な役所仕事を減らすだけでなく、ヨーロッパの数百万人のサービス労働者の賃金と労働条件を改善することにもつながる」と訴えた。


オランダの労働者がイケアの合意回避に抗議

UNIは、公正な昇給と増大する業務量への対策を求めてIKEAとの間で合意のとりまとめに取組んでいるオランダのイケア労働者に連帯する。

オランダのUNI加盟組織FNVは、従業員の購買力を守るために7%の賃上げを要求してきた。しかしイケアの最新の提示額は、2025年1月1日からのわずか0.4%の昇給に続き、2025年7月1日には2%の昇給というものであり、これはオランダ統計局が1月に報告した3.3%のインフレ率を考慮すると、労働者が必要としている額を大幅に下回るものだ。

昨年FNVはイケアに最終通告を突き付けたが、クリスマス休暇直前に合意に達することなく期限切れとなった。以来、組合は活動を活発化させ、この抗議の象徴的なビジュアル・シンボルである巨大な6メートルの黄色いアヒルのバルーンが登場するなど、話題を呼んでいる。過去2週間、ハーレム、ユトレヒト、グローニンゲン、デルフトのイケア店舗で、従業員による終日ストライキが行われるなど、活動は拡大している。

こうした取組みによってIKEAは交渉のテーブルに戻ったものの、同社は当初の提示額を改善していない。

さらなる行動
IKEAが譲歩しないため、FNVは労働者の要求をさらに強めるためのさらなる行動を計画している。ダニエル・ヴィークFNV Handel役員は、公正な賃金とより良い労働条件を求める闘いはまだ終わっていないと明言し、「これまでの行動やストライキにもかかわらず、オランダのイケア経営陣は依然として、労働者に公正で適切な労働協約を提示することを拒否している。我々の要求が満たされるまで、行動を継続していく。提示されている2.4%の賃上げ率2.4%は、到底受け入れられるものではない。イケアの労働者は、家賃や食料品を買う余裕がなければならない。すべての波は行動から始まる。我々は力を合わせて、この波をより大きく、より強力なものとし、労働者にふさわしい公正な待遇と補償を勝ち取るまで闘い続ける」と述べた。

闘いが続く中、FNVの支援を受けるイケアの従業員は、正当な賃金と職場保護を勝ち取るまで、断固として立ち向かう決意だ。

UNI の支援
マタイアス・ボルトンUNI世界商業部会担当局長は、「オランダのイケア従業員は、自らのためだけでなく、企業による人員削減や不当な賃金と闘うすべての労働者のために立ち上がっている。UNIは、尊厳と敬意、公正な賃金を要求すべく行動を起こすFNVと勇敢なイケア従業員を全面的に支援する。イケアは非常に利益率の高い企業であり、従業員により良い待遇を提供しなければならない。公正な待遇を勝ち取るまで、我々はあらゆる面で闘争を支援していく」と述べて、公正な待遇を求めるFNVとイケア労働者に連帯を表明した。


労働組合、米郵政公社の民営化を狙うトランプ大統領に抵抗

UNIに加盟する米国の郵便労組が、米国郵政公社(USPS)の民営化を目論むトランプ大統領の意向が最近改めて示されたことを受け、反撃に出ている。

マーク・ディモンドスタイン米郵便労組(APWU、内勤従業員の組合)委員長は、「紛れもない事実として、郵便事業は攻撃にさらされている」と警告を発し、「これは郵便局だけの問題ではない。郵便局を利用する人々、我々の地域社会、公共の利益に関わる問題だ」と、雑誌『マザー・ジョーンズ』のインタビューで続けた。さらに民間企業に利益をもたらすためにUSPSを弱体化させようとする動きについて、「権力掌握」であるとして批判した。

トランプ米大統領は、2024年度には95億ドルに上るUSPSの財政赤字を政府が補填することを望まないと発言している。しかし組合側は、長期的な効率化を図るために多額の投資を行ってきたこと、年間800億ドルの収益と拡大の可能性があることから、財政的に安定していると主張している。

こうした中で2025年2月13日、全米郵便労組(NALC、外勤従業員の組合)は、公正な契約、労働者の安全、民営化の阻止などを求める「徹底抗戦」キャンペーンを開始した。

ブライアン・L・レンフロNALC委員長は、「郵便事業の民営化の動きには組合として何としてでも抗戦する準備ができている。民営化の考えは完全に誤っており、郵便配達員や我々が提供するユニバーサルサービス、そして安全で信頼性の高いUSPSを直接攻撃するものだ。我々の仕事は地域社会を結びつけるものであり、切手やサービスによる収益によって支えられている。納税者の税金によるものではない。郵便サービスは米国の歴史よりも古く、米国憲法に定められている。我々はすべての連邦議会議員がH.Res.70(民営化反対の決議案)の共同提案者となるまで、民営化反対の闘いを続ける」と語気を強めた。

1775年に設立され 2025年に250周年を迎えるUSPSは、国民から最も愛され、信頼されている機関のひとつであり、72%の支持率を誇る。USPSは最低でも週6日間、1億6800万以上の住所に、3億7600万通の郵便物と小包を配達している。64万人の従業員を擁し、退役軍人の雇用者としては国内最大である。またUSPSのネットワークは、AmazonやFedExなどの民間配送業者にとっても重要な役割を果たしている。こうした企業がUSPSと提携しているのは、USPSが全米のあらゆる企業および個人顧客に対して独自のラストワンマイル配送サービスを提供しているためだ。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は「我々は欧州における郵便事業の民営化の危険を目の当たりにしてきた。民営化によってサービスの低下、料金の値上げ、雇用削減、郵便配達が採算に合わない地方コミュニティの切り捨てにつながっている。トランプ大統領は、USPSを民営化するのではなく、Eコマースの機会を捉え、特に疎外された地域や遠隔地へのサービスを拡大し、かけがえのない公共の通信ネットワークを保護するため、郵便事業を支援すべきだ」と述べ、米国の郵便労組の闘いを支持した。


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