3月 2025のお知らせ

UNIとBNPパリバのグローバル協定、台湾の事案を解決

BNPパリバ台湾の従業員が、UNIとBNPパリバの間で締結されたグローバル協定に基づく介入により、2025年3月17日に停職処分を解除された。

同行で選出された5人の従業員代表のうちの1人であるウー氏が、組織化に向けて動いていた際に、会社のリソースを不正に使用したとして2025年1月3日に停職処分を受けていた。

最近UNIとBNPパリバが締結した4年間のグローバル協定の規定により、現地およびグローバルレベルでの連携した議論が進められ、問題は解決に至った。停職処分が解除されたことを受け、ウー氏は労働省に提出していた不当労働行為の申し立てを取り下げた。

同行は台湾で約300人の従業員を雇用しており、5人の従業員代表が定期的な社内の社会対話セッションを通じて現地の経営陣と関わっている。

このような体制が確立されているにもかかわらず、ウー氏が2024年12月に組合結成の可能性を探るため、労働者の権利に関する情報や台北労働当局からの公式通知を同僚たちにEメールで共有したところ、現地経営陣が調査に乗り出した。この調査が最終的に同氏の停職処分につながった。

UNI加盟組織である台湾金融労組(TFFU)は、このプロセス全体を通じてウー氏を支援し、グローバル協定を通じたUNIの介入を要請した。

さらに心強いことに、BNPパリバ台湾の人事部とTFFUは、共同での労働教育セッションや組合結成に関する情報提供など、連携の道を模索し続けている。

ラジェンドラ・アチャリヤUNI Apro地域書記長はこの成果を称賛し、「グローバル協定に設けられた新たな改善規定のおかげで、今回の事例は近年最も迅速に解決された事案のひとつだ。和解に至ったウー氏と現地経営陣を祝福するとともに、特にTFFUの果たした役割に感謝したい。BNPパリバ台湾における組合結成に向けたあらゆる取組みを支援していきたい」と述べた。

写真:2025年2月13日、BNPパリバ経営陣がTFFU幹部と会合。左から:アンドリュー・リンBNPパリバ台湾人事部長、ハン・シュアシャンTFFU書記長、ブルーノ・ブサードBNPパリバ台湾本部長、チャン・フーチTFFU委員長、カッタ・チョウTFFU副書記長


米国で数千人の郵便労働者が結集、民営化に反対の声

2025年3月23日、米国で数千人の労働者が、郵便事業の解体に「断固反対」の声を上げるために街頭に繰り出した。

外勤労働者で構成される UNI加盟組織の全米郵便労組(NALC)は、トランプ政権による米国郵便公社(USPS)の民営化の脅威を受けて、3月23日(日)に全米の各都市で集会を主催した。

ロサンゼルスの集会で発言したブライアン・レンフロNALC委員長は、政府の動きは全米64万人の郵便労働者と、USPSに関連する800万の雇用に対する攻撃であると非難し、「米国経済の中心となる機関、5150万の地方世帯および企業、そしてUSPSを利用する3億人の米国市民に対する攻撃だ」と続けた。

集会は、退任するルイス・デジョイ郵政公社総裁が、イーロン・マスク氏の「政府効率化省」と協力し、米国郵便公社(USPS)から1万人の雇用と数十億ドルの予算を削減することに合意した後に開催された。

抗議活動には、政治的立場を問わずさまざまな政治家が郵便労働者の支援に駆け付け、「徹底抗戦!」「米国の郵便は売り物ではない」「民営化反対!」などと書かれたプラカードを掲げた。

NALCは「米国郵政公社の指導部の排除、規制監督の廃止、郵便事業の分割に関するあらゆる計画に反対する」としている。

連帯を示すため、UNI加盟組織で米国の内勤郵便労働者の組合であるAPWUのマーク・ダイアモンドスタイン委員長も、メリーランド州シルバースプリングでNALCの組合員たちとともに、リズ・シュラーAFL-CIO会長とともに集会に参加した。

APWUは3月20日にも独自のアクションデーを開催し、何千人もの郵便局員が参加した。ワシントンD.C.での集会で、ダイアモンドスタイン委員長は「我々は、この国の人々に、我々の郵便サービスが本当に危機に瀕していることを警告している。これは1日で終わるものではなく、継続的な闘いの始まりだ」と訴えた。

コーネリア・ベルガーUNI世界郵便・ロジスティクス部会担当局長は、「郵便局員は公共サービスの生命線であり、どんなに辺境の地であっても、すべての家庭をつないでいる。USPSを解体しようとする試みは、無謀であるだけでなく、民主主義そのものへの攻撃だ。我々はNALCおよびすべての郵便労働者と団結し、はっきりと声を大にして叫ぼう。USPSに手を出すな!」


マイクロソフト・ルーマニアが初の団体協約を締結

マイクロソフト・ルーマニアの労働者は、初の団体協約に調印し、1,500人を超える従業員は、組合代表を通じてより強力な権利、保護、および福利厚生を獲得した。2年間有効のこの協約は、SLTC(テレコム労組)がテック部門の労連ANTICと連携して交渉した。

ルーマニアの大手多国籍テック企業における労働組合として初めてのブレイクスルーを成し遂げたことになる。ルーマニアでは近年まで、民間部門における労働組合の結成には大きな障壁があった。

背景として、2022年に同国の社会対話法が改正され、民間部門の労働者が組織化しやすくなったことが挙げらえる。2024年初頭にマイクロソフト・ルーマニアで労働組合が結成されたが、裁判所による正式な組合承認にもかかわらず、会社側は組合に反対し、当初は従業員代表との交渉を試みていた。数か月にわたる遅延の後、2024年9月にようやく交渉が開始され、その後30回を超える厳しい交渉を経て、2025年1月に協約が締結した。この協約は3月にルーマニア当局に正式に登録され、正式なものとなった。

テック労働者の新たな基準
今回の協約により、マイクロソフト・ルーマニアの従業員には幅広い改善がもたらされる。
●優れた医療サービスの利用
●充実した社会給付
●職場での交渉における法的保護の強化
●メンタルヘルスおよび燃え尽き症候群の予防計画(追加の有給休暇を含む)
●グローバルな基準に準拠した競争力のある財務規定
●キャリア成長を支援する専門研修およびリスキリング計画

またこの協約では、新たに発生する問題に対処し、急速に変化するテック業界の状況に適応するため、労働組合と経営陣が四半期ごとに定期的に会合を開くことも定められている。人工知能やその他のテクノロジーが仕事の世界を急速に変えつつある中、マイクロソフト・ルーマニアにおける協約は、団体交渉がテック業界で働く人々の公平性、安定性、機会を確保するための重要な手段であり続けていることを示している。


北米のビデオゲーム開発の労働者、全米通信労組の下で業界全体の組合を発足

米国とカナダのゲーム開発に携わる労働者が、United Videogame Workers-CWA Local 9433を結成した。アメリカ音楽家連合(AFM)と提携する全米通信労組(CWA)による、直接加入可能な業界全体を網羅するビデオゲーム労働組合だ。

この強力な新組織は、サンフランシスコで開催されたビデオゲーム業界の専門家を対象とした世界最大の業界イベントである2025 Game Developer Conferenceで発表された。

UVW-CWAのミッションステートメントには「我々の使命は、自分たちを歯車のように扱う人々から、我々の生活、労働、情熱を取り戻し、同僚を力づけること、解雇された人々、フリーランサー、失望した契約社員、権利を剥奪され疎外された人々、この業界を支えるために目立たないところで働く労働者たちと手を結ぶこと。(…中略…)我々は、目先の利益を追い求めるのではなく、才能を育み、未来に投資する、我々のために機能するゲーム業界を創り出していく。ゲームを作るのは我々自身。我々がどのように働くかを決めるのは我々でなければならない」と書かれている。

またUVW-CWAの結成は、2020年以降、6,500人以上のテックおよびビデオゲーム開発に携わる労働者の組合加入を支援してきたCODE-CWAの5周年記念にも重なっている。

トム・スミスCWA組織化担当シニア部長は「この組合は決して単独で突発的に結成されたのではなく、何年にもわたって団結することの意味を問い続け、世界最大の収益を誇る業界の一つで力を取り戻すために闘ってきた何千人ものビデオゲーム労働者による積み重ねられた努力の成果だ(…中略…)これらの労働者は、果敢に行動を起こし、我々が愛するゲームの裏方である労働者のために力を結集しているのだ」と語った。

UVW-CWAの立ち上げの一環として、組合員は、ビデオゲーム業界で働くすべての労働者、特にレイオフの危機に直面している労働者の尊厳と雇用保障を求める嘆願書への署名を集める予定だ。ビデオゲーム業界は、近年収益が大幅に増加している世界で最も急速に成長しているエンターテインメント業界の1つである。

業界全体では、2023年に10,500人以上の雇用が失われ、2024年にはさらに14,600人の雇用が失われた。GDC 2025 State of the Game Industry(ゲーム業界の現状を示す報告書)によると、2024年に解雇されたと報告したゲーム開発に関わる労働者は、調査対象の10%を超えた。30以上のスタジオが全従業員を解雇し、親会社によって閉鎖された。その中には、マイクロソフトやソニー・インタラクティブエンタテインメントといった最大かつ最も収益性の高い企業も含まれている。

請願書の全文は こちら。

直接加入の組織化(プレマジョリティー・ユニオニズムとも呼ばれる)によって、フリーランサーや近年レイオフされた何千人ものビデオゲーム労働者等が、従来の組合認証プロセスで使用者が課す障害や手続きによるタイムラグなしに業界全体で力を結集することが可能になる。また、労働者が一つのビデオゲームスタジオにとどまらず、共通の懸念事項に対処することも容易になる。

クロード・カミングス・ジュニアCWA委員長は、「UVW-CWAの結成は、ビデオゲーム業界で働く人々が業界内で力を蓄えるのを支援するという、我々の活動における次のステップとして非常に喜ばしい」と述べ、「ビデオゲームスタジオの統合が進むにつれ、ゲームに生命を吹き込む創造性、献身、スキルを持つ労働者は、ますます二の次になってきました。彼らは、企業の経営陣が持続可能な将来を犠牲にして目先の利益を追求する中で、レイオフと再雇用という終わりのないサイクルにさらされている」と指摘した。

カリー・リベックUNIシニアコーディネータは、「ビデオゲーム業界を変革する世界的な動きは、さらに強固なものになった(…中略…)世界中のビデオゲーム労働者は、過酷な労働分化による搾取、不安定な契約、そして、彼らの多大な献身や才能に釣り合わない不十分な報酬を拒絶している。我々は力を合わせて、画期的なゲームを開発するだけでなく、公正さと卓越性の新たな基準となる職場づくりに尽力していく」と強調した。


労働者の権利を強化する人権デューディリジェンス・コンピテンス・センターを開設

2025年3月20日、世界の労働組合とドイツ政府代表は、今年後半に開設予定の「人権デュー・ディリジェンス・コンピテンス・センター」の設立を正式に発表する。同センターは、グローバルなバリューチェーンや企業活動全体で労働者の権利を確保するため、サプライチェーンにおける企業のデューディリジェンス義務に関するドイツ法やEUの企業持続可能性デューディリジェンス指令(CSDDD)などの国内法・EU法を活用する労働組合を支援する。

UNIとインダストリオールは、ドイツのプロジェクト・パートナーであるフリードリヒ・エーベルト財団(FES)とドイツの労働総同盟 DGBとともに活動しており、初期資金はドイツ連邦経済協力開発省(BMZ)が支援するGIZプログラム「グローバル連帯イニシアティブ」から提供された。

アルケ・べシガーUNI副書記長は「ドイツや欧州における任意のガイドラインから人権デューディリジェンスの義務化への移行は、世界の労働者の権利にとって画期的な出来事。我々は今、多国籍企業がバリューチェーンや事業全体にわたって人権を尊重することに対して真に責任を負うべき法的枠組みを手に入れた。この転換は、労働者の権利を擁護する世界の労働組合運動の能力を大きく押し上げるだけでなく、競争の土俵を平らにすることによって企業にも役立つ。この転換は、世界中の労働者を弱い立場に置く破壊的な底辺への競争にブレーキをかけるものだ」と語り、その意義を強調した。

3月20日のイベントでは、組合指導者、政策立案者、使用者が、デューディリジェンス法がグローバル・サプライチェーンをより弾力的で公正かつ説明責任のあるものにするためのセンターの役割について議論する。

アトレ・ホーイ・インダストリオール書記長は、「グローバルな労働組合運動は、人権デューディリジェンス法を活用し、世界中で労働者の権利を強化することに強い関心がある。他のグローバル・ユニオンと協力することで、ドイツなどのこれらの法律が生まれた国の組合と、人権侵害が最も蔓延しているサプライチェーンの組合との間のギャップを埋めることができる。新しいコンピテンスセンターは、人権デューディリジェンス義務がグローバル・バリューチェーン全体の労働条件の具体的な改善につながるよう、能力構築と法的専門知識を提供する重要なリソースとなる」と語った。

ヤスミン・ファヒミDGB書記長は「強力な法律が労働者に真の変化をもたらすためには、強力な連携が必要だ。人権デューディリジェンス・コンピテンス・センターの設立は、法的枠組みを具体的な行動に移す中での、労働組合、連邦経済協力開発省、FES財団の連携の力を証明するものです。専門知識とリソースを結集することで、このセンターは人権デューディリジェンス法が単なる机上の空論ではなく、グローバル・サプライチェーンにおける労働者の権利と企業の説明責任を強化する強力なツールとなることを保証することになる」と述べた。

UNI、インダストリオール、DGBで構成されるセンターの運営委員会は、以下3つの主要目標に焦点を当てる:

  1. 人権デューディリジェンス法を導入している国(ドイツを皮切りにグローバル・サプライチェーン全体)で労働組合の能力を構築し、労働者の権利擁護において企業のデューディリジェンス義務をより効果的に活用できるようにする。
  2. 優先順位の高いバリューチェーンにおいて、労働者の権利を保護し違反を防止するために 人権デューディリジェンスを利用した戦略的介入を支援する。
  3. 企業や政策立案者による効果的な人権デューディリジェンスの実施を提唱する。

幅広い代表性と連携を確保するため、労働組合や専門家を顧問グループに招き、センターの戦略策定や必要な行動の調整に役立てる。
コンピテンス・センターはオランダの非営利財団として登録され、事務所を持たずにバーチャルに運営される。2025年第4四半期に正式に発足する予定である。

背景
ドイツのサプライチェーン・デューディリジェンス法は2023年1月から施行されており、当センターの活動の重要な焦点となる。サプライチェーン法では、大企業(従業員1,000人以上)に対し、グローバルな事業活動やサプライチェーンにおける人権侵害や環境破壊のリスクを特定、緩和、防止するための人権デューディリジェンスの実施を義務付けている。

EUの企業サステナビリティ・デューディリジェンス指令(CSDDD)は2024年6月に採択され、2026年以降すべてのEU加盟国が実施しなければならない。CSDDDが施行されれば、センターの任務は拡大される。2025年2月、欧州委員会は、CSDDDを含む複数のサステナビリティ関連法を改正する「オムニバス提案」を発表した。オムニバス提案の目的は官僚主義を削減することだとされているが、提案されている改正案は指令の主要な条項を弱めるものであり、労働組合や市民社会団体からはオムニバス提案に大きな反対の声が上がっている。


イタリアでイケア従業員が大規模なストライキを実施

イタリアのイケア従業員が2025年3月半ばの週末に24時間ストライキを実施し、労働組合によると一部店舗では80%以上の従業員が参加した。UNI加盟組織のFILCAMS CGIL、FISASCAT CISL、UILTUCSが呼びかけた今回のストでは、3月15日に数千人の従業員が職場を放棄し、複数の店舗で業務が停止した。ミラノ、ローマ、ナポリのイケア店舗では大規模な抗議デモが行われ、公正な賃金とより良い労働条件を求める数百人のデモ参加者が結集した。

このストライキは、2018年以降宙に浮いたまま失効状態となっている団体協約の更新をイケアに迫るキャンペーンの一環だ。18か月にわたる交渉にもかかわらず、イケアは有意義な話し合いに応じず、主要な要求を拒否している。

労使紛争の主な問題
イケアはイタリア国内の40店舗、8つの遠隔カスタマーサービス拠点、2つの配送センター、および本社で約7,500人の従業員を雇用している。労働組合は、以下を含む複数の懸念を提起している。
●不平等な賃金:新規採用の従業員は、同僚と同じ業務を行っていても、賃金が低い。
●キャリア形成の欠如:イケアは職業能力開発の機会を縮小している。
●病欠に対する保護縮小:イタリアでは一般的な慣行に反して、イケアは病欠1日につき医師の診断書提出の義務化を提案している。
●休日出勤の義務化:従業員は祝祭日にも出勤を求められ、公私のバランスが崩れている。
●組合に対する弾圧と雇用保障への懸念:イケアは、都市部の小規模店舗における組合活動を制限し、追加の労働時間を提示せずにパートタイム契約の割合を高く維持し、地元の労働代表者との関わりを最小限にしているとして批判されている。

継続中の労働者の行動
2025年3月15日のストライキは、2月24日の24時間ストライキ(複数のイケア店舗で抗議行動が行われた)に続く過去最大の動員であった。3月17日には、イケアの遠隔地のカスタマーサービス拠点および本社の労働者もストに参加し、交渉の場に戻るよう同社への圧力を強めた。

多くの労働者が参加したものの、イケアは未だに組合の要求に応えていない。組合側は、イケアが公正な交渉に応じない限り、さらなる動員を行うと警告している。

マタイアス・ボルトンUNI世界商業部会担当局長は、ストライキ中の労働者たちに連帯を示し、「イタリアのイケア労働者は、強力なメッセージを発信している。公正な団体協約を勝ち取るまで、決して諦めないというメッセージだ。今回のストライキには多数の従業員が参加し、団結と決意、そして強さを示した。イケアは従業員を無視するのをやめ、誠意を持って交渉のテーブルに戻らなければならない。公正な賃金、雇用の安定、組合の権利の尊重は、妥協の余地がない。オランダからイタリアまで、イケアの従業員は反撃に出ている。UNIは、彼らをあらゆる面で支援していく」と語気を強めた。


デンマークで郵便配達が終了 – 労働者と社会的弱者に危機

デンマークの国営郵便サービスであるポストノードは、2025年末までに書簡の配達を停止すると発表した。これにより、労働者とデンマーク住民、特に重要な連絡手段として郵便を利用している最も弱い立場にある人々に深刻な影響が及ぶことになる。UNIは、デンマークの加盟組織3Fとともに、この決定を最も強い言葉で非難する。

ポストノードの書簡市場からの撤退は、郵便の全職員約4,600人のうち1,500人の雇用喪失を意味する。同社の書簡市場における事業は、デンマークの民間物流会社DAOに引き継がれる予定である。DAOは現在、デンマークの郵便物のごく一部しか扱っておらず、歴史的に個人宛郵便物の効率的管理に苦慮してきた。またDAOは非常に多くの不安定雇用の労働者に依存している。ポストノードの撤退が実現すれば、DAOは書簡市場で唯一のプロバイダーとなり、デンマーク住民にとって重要なインフラである書簡を事実上、民間企業が独占することになる。

デンマークは今、郵便の歴史において重要な岐路に立っている。今後の決定によって、郵便サービスがデンマークの重要なインフラの安定的で利用しやすい一部であり続けるのか、それとも市場の失敗によって市民や企業が信頼できる郵便システムを失うことになるのかが決まる。

デンマークの住民、特に病院、自治体、金融機関とのやり取りに物理的な書簡を使用している27万1000人の状況は、危機的なものとなっている。すでにデンマーク国内では、単純な手紙を送るだけでも4ユーロ近くかかり、高齢者、地方在住者、低所得者層には大きな負担となっている。従来の郵便ポストが撤去され、切手が廃止されれば、郵便サービスへのアクセスは、特に農村地域にとってますます困難になるだろう。

デンマークの高齢者介護における民営化の経験は、必要不可欠な公共サービスを営利追求の民間事業者に委ねることの潜在的な結果を示している。そうした民間事業者は、厳しい経済状況下で撤退し、市民を重要なサービスから置き去りにしかねないからだ。
DAOが同様の道を歩むことになれば、デンマーク政府は財政的・物流的負担の大きさに直面する可能性がある。

3Fポストのゼヴァド・ラミック議長は、「デンマークの政治家が書簡市場の自由化を決定して以来、我々はメディアや政策立案者の間で、その影響について啓発するために集中的に取組んできた。自由化の目的は、価格を引き下げ、サービスレベルを向上させることだったが、。2023年の施行以来、価格は100%以上上昇し、サービスレベルは大幅に悪化した。そして先週、究極の結末を目の当たりにした。ポストノードが市場から撤退し、重要なインフラが民間に独占されることになったのだ。住民と労働者にとって深刻な打撃だ」と指摘し、「我々は適正な賃金と労働条件を求めて闘争を強化していく。職を失った従業員が支援も機会もなく取り残されることは認めない。我々は、大きな需要がある労働市場において、従業員が前進するための最良の条件を確保するために闘っていく。そして労働者の尊厳とこれまでの仕事に対する敬意を忘れてはならない」と訴えた。

UNI世界郵便・ロジスティクス部会が6大陸で11の事例を調査したところ、郵便の民営化は、料金の上昇、配達の遅れ、雇用の悪化という悪影響をもたらすことが明らかになっている。UNIと世界中の郵便労組は、昨年の世界郵便デーにデンマークを訪れ、3Fを支援するとともに、デンマークが以前に実施したユニバーサル・サービス義務撤回による有害な影響を示した。

コーネリア・ベルガーUNI世界郵便・ロジスティクス部会担当局長は、「郵便サービスは地域社会をつなぐ基本的なものであるにもかかわらず、デンマークから英国、米国に至るまで、郵便は攻撃を受けている。デジタル化によって郵便事業は大きく変貌したが、郵便事業がその役割を責任を持って再構築できていないことは非常に問題だ。世界中の労働組合が団結し、質の高いサービスを保護し、世界中の郵便労働者のまっとうな労働条件を確保する、確固たる将来ビジョンを求めている」と訴えた。


映画・テレビ制作におけるAI利用に関する労働協約:ドイツで初めて締結

ドイツのUNI加盟組織ver.diとドイツの俳優組合(BFFS)は、ドイツの映画製作者団体Produktionsallianzとの間で、映画製作における生成AIの使用に関する画期的な新協約の交渉に成功した。

この新協約は、俳優の演技が生成AIを使用してデジタルに複製加工、変更、置き換えられる場合に、俳優に対する明確な保護を定める。ただし、制作後に映画制作者の声や映像の録音を複製・修正するために使用されてきた従来のAI技術には適用されない。

協定の主な内容は以下の通り:
• 俳優の同意と透明性: 俳優のデジタル複製は、俳優の明確な同意なしに使用することはできない。制作者は、俳優の演技に対する生成AIの使用に関して、完全な透明性を確保しなければならない。
• 公正な報酬: 俳優には、撮影日数に相当する計算式に基づいて、AIが生成したシーンに対する報酬が支払われる。
• 使用制限: AIが生成したレプリカは、オリジナルのプロジェクト以外の作品に使用することはできない。

協定は2025年3月1日に発効し、2026年6月30日まで適用されるが、映画産業におけるAIの急速な発展に歩調を合わせるため、半年ごとに評価が行われる。

労働組合はこの協定を基礎に、生成AIが映画スタッフに与える影響に関する交渉を行う。第一段階として、生成AIが舞台裏の仕事に与える影響に関する共同研究が委託される。

ver.diのクリストフ・シュミッツ=デスレフセン執行委員は、「米国の映画労組の成功を受けて、BFFSとver.diは共に団体交渉の基準を設定してきた。AIの使用がもたらすすべての影響に対処できたわけではないが、我々は重要な保護規定、共同決定の強化、透明性に関する義務、そして金銭的補償について成果を得た」と述べた。


ver.di、小売業におけるAIに関する会議を開催

デジタル化と人工知能が小売部門を変革するなか、ドイツのUNI加盟組織ver.diは、2025年3月11~12日にベルリンでドイツ全土の労使協議会を対象とした会議を開催した。この会議には、メトロ、イケア、カウフランド、ザラ、アマゾン、H&Mなど、大手小売企業の労働者代表が結集した。

「小売業におけるデジタル化と人工知能」と題されたこの集会では、参加者は「小売業の労働者は、この技術的進化をどのように形づくることができるのだろうか?」という重要な問題に取り組んだ。

ver.diで小売部門を担当するシルケ・ツィマー委員は「小売部門では、技術革新のほとんどが、従業員はおろか労使協議会も関与せずに導入されてきたが、これではいけない。労働者は、デジタル変革のプロセスに積極的に関与しなければならない」と、述べた。

また同氏は、使用者がデジタル・ツールを導入する際に、労働者のプライバシーを保護する必要性を強調した。労働者のあらゆる行動を常に監視・分析することは、統制を強化することになる。このデータは従業員とのやりとりをすべて報告し、組合をつぶす可能性があり、従業員の将来の行動について管理者が予測することもできる。

さらに、「このような進展の中、労働者を無防備な状態にしてはならず、だからこそデジタル化の際には労使協議会による共同決定が必要だ。従業員は、単にデジタル技術の結果に直面するのではなく、こうしたプロセスの形成に積極的に関与しなければならない。2022年にH&Mと交渉したデジタル化に関する団体協約は、この問題に取組むことを目指すものだ」と強調した。

ビジネス、科学、政治の著名な専門家との対話やワークショップを通じて、参加者はデータ保護、共同決定とトレーニング機会の確保、デジタル移行に際して権利を主張するための労働者の動員など、新技術の利用に関するテーマに取り組んだ。

マタイアス・ボルトンUNI世界商業部会担当局長は、「サプライチェーンからロジスティクス、カスタマーサポートから店舗での体験に至るまで、AIは商業のあらゆる側面を変えつつある。ここで学んだことを世界中の組合に伝えたい」と述べた。

2025年2月にパリで開催されたAIアクション・サミットでは、クリスティ・ホフマンUNI書記長も労働者中心のAIの必要性を強調し、「人々は生活基盤だけでなく、生き方までも失うことを恐れている。だが職場で声を上げることで、恐怖に対処し、リスクを最小限に抑えることができる。労働組合はこれまでも非常に長い間、職場で新しいテクノロジーについてうまく交渉してきた」と述べている。


パンデミックから5年、UNI報告書で世界的な介護危機の深刻化が明るみに

ケア労働者を対象とした新たな世界的調査から、医療・介護分野における人材不足の危機が深刻化していることが明らかになった。労働者の70%近くが頻繁に人員不足に陥り、3分の1以上(36.4%)が常に人手不足で働いていると回答している。WHOによるCOVID-19パンデミック宣言から5年の節目にに発表されたUNI報告書は、63カ国の1万1,233人の労働者からの回答をもとに作成されたもので、崩壊の一途にあるケアのシステムを明らかにしている。パンデミック中に英雄として歓迎されたにもかかわらず、ケア労働者は慢性的な人員不足、貧困賃金、職場の暴力の急増に直面し、多くの労働者がこの職業から撤退し、利用者や患者を危険にさらしている。組合の保護を受けていない労働者は、こうした傾向の影響をさらに強く受けている。パンデミックの際に何万人もの命を奪ったのと同じ失敗が、危険なほど無視されたままになっている。

UNIはこうした状況が労働者を介護部門から遠ざけ、政府と使用者が対処できなかった危機が悪化していると警告する。この調査は、組合加入と団体交渉が労働者の定着と満足度を大幅に向上させることを示している。

安全な人員配置は、質の高いケアとより安全な職場環境のために不可欠だが、病院や介護施設における慢性的な人員不足は患者や利用者の健康を損ない、防ぐことのできる死さえ引き起こしている。介護労働者にとって、人員不足はモラルの低下、職場での暴力や負傷率の増加、離職率の高さにつながる。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「パンデミックから5年経った今でも、介護労働者は過重労働、低賃金、危険な状況にさらされている。この報告書は警鐘だ。賃金を引き上げ、人員配置を改善し、職場の暴力と闘うための早急な行動がなければ、介護システムは崩壊してしまう」と危惧する。

質の高いサービス、公正な賃金、増大する需要に対応できる労働力を確保するために、介護部門への公的資金を増額すること。
アラン・セーブルUNI世界ケア部会担当局長は「介護労働者が不足しているのではなく、低賃金、慢性的な人員不足、危険な状況を喜んで我慢する介護労働者が不足している」と指摘、「介護人材の危機は、単に新しい労働者を訓練したり、移民介護労働者を採用したりすることで解決できるものではない。低賃金、人員不足、暴力やハラスメントの蔓延といった、この部門から人を追い出す核心的な問題に取り組まない限り、労働者不足とケアの質の低下の連鎖は続くだろう」と述べた。

UNIは早急な対策を要求
UNIは政府と使用者に対し、早急に以下の緊急改革に着手することを求める:
●ケアの仕事を持続可能なものにし、労働者を確保するための賃上げと福利厚生の改善。
●燃え尽きを防止し、患者ケアを守るための安全な人員配置の義務化。
●ILO第190 号条約の批准と施行を含む、職場の暴力とハラスメントに対する保護の強化。
●大きな差別や危険な状況に直面する移民労働者に対する公正な待遇と法的保護。
●組合代表権と労働協約の支援
●労働条件と雇用の持続可能性を改善する組合代表権と団体交渉の支援。
●質の高いサービス、公正な賃金、増大する需要に対応できる労働力を確保するため、ケア部門に対する公的資金を増額する。

労働者の証言「我々は破綻しているのに、誰も気にとめない」
最前線で働く労働者の生の声は、この危機の人的被害を明らかにしている:

➡ 私の部署ではいじめや人種差別がありますが、いつも揉み消されています。これは人手不足が原因だと思います-英国、病院労働者
➡ 入居者から2度性的暴行を受けました。上司や同僚から話を聞いてもらえず、守ってもらえなませんでした。人手不足が原因で、1年前に性的暴行をしてきた人のケアをしなければならなくなりました-ニュージーランド、介護施設職員
➡ こんな状況であってはなりません。設備、資源、薬剤があまりに少ない中で、国民の大きな期待を背負って働いている。私たちはひどく破たんしています。政府も気にしていません-ケニヤ、病院看護師
➡ どの国の政府も医療を優先すると約束していたが、それは間違いなく実現していない。パンデミックで介護のひどい生活環境が露呈した後、事態が改善されることを期待していました。しかし、余計な事務作業と政治的なでたらめがあっただけで、何も改善されていない。私はただ、こうした人々がきちんとケアされるようにしてほしいのです。そのためにはスタッフとサポートが必要です-カナダ、介護施設労働者
➡ この仕事をとても楽しみにしていました。でもすぐに現実に思い知らされました。政府や国が医療制度に対してやってきたことにショックを受けています。訓練を受けた人はどんどん減っています。看護職をあきらめた同僚を8人知っていますが、彼らはこの職業に対する思い入れと情熱が強すぎたために、離職に追い込まれたのです-オーストリア、介護施設の看護師
➡「最低賃金より1ポンド高い給料をもらって、毎日暴行を受けています。スタッフの離職率が高すぎて、補充に苦労しています」-英国、医療補助

崖っぷちのシステム
COVID-19パンデミックは、介護や医療における構造的な深い失敗-防ぐことのできたはずの何万人もの死をもたらすという失敗を露呈した。5年経った今も、こうした失敗は危険なほど無視されたままである。UNIの報告書は、ひとつのことを明確にしている。それは、緊急の対策を講じなければ、高齢化によってすでに疲弊し、さらなるパンデミックの脅威にさらされている介護・医療制度は崩壊し、再び命が失われるということである。


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