ブログアーカイブ

インド郵便のデジタル化による郵便労働者へのストレスと影響

インド郵便の近代化は1990年代初頭に始まった。当時、書状の取扱量は1日あたり約2000万件だったが、以来、通信技術の利用増加によって、現在は1日あたり100万件に満たないほどに減少した。インド郵便は、取扱量減少に伴う収益減少を打開すべく多くの補助的サービスを導入したが、期待されたほどの収入を生み出すことはできなかった。それにも関わらずインド郵便は、顧客経験と収入を改善するため郵便部門のサービス革新を止めなかった。

最新の取組みは、2017年にDARPAN(新しいインドに向けた、農村部の郵便局におけるデジタル技術の促進)という形で実施された。これは、サービスの質を改善して付加価値を与え、さらに銀行口座を持たないインドの農村部に暮らす多くの人々の「金融包摂」実現を目的とするプロジェクトである。インド全土の12万9千か所の郵便局に低電力の設備を整備するため、このプロジェクトに対し政府から1億4千万ルピー(約185万米ドル)が投じられた。これまでに、4万3千以上の郵便局がDARPANプロジェクトに移行した。

最近のデジタル化の取組みによって、インドの郵便サービスは様々なレベルで影響を受けている。同時に、民間企業との競合や、アマゾンやフリップカート等の通販大手企業との協力・提携の場も開かれた。しかし、こうした変化の裏には労働者への影響がある。

課題は新たな技術と従業員のストレス

UNIに加盟するインド郵便労連(FNPO)は、これらの取組みには、農村と都市間の格差解消に向けた金融包摂の拡大という大きな目的があり、また従来の郵便事業からの収入減に対処するために導入されたものだと考えている。とはいえ、人々へのサービス提供義務と、新たなサービスの裏にある商業的意図は本質的に相いれないことから、その結果は余りはっきりしない。

FNPOはまた、デジタル化の移行により生じる大きな問題は、導入されたサービスを支えるためのインフラが十分に整っていないことだと指摘する。今日に至るまで、70〜80%の郵便局しかインターネットに接続できていない。また接続できたとしても、多くの場合、速度が遅いため、サービス提供のプロセスに影響を及ぼしている。

また新たなサービス導入によって、郵便労働者は、預金、証券、顧客への社会保険支払いに関連するデジタル決済業務を行うことが求められた。しかし、これらの業務の多くは、最低の手数料もしくは付随的な費用で行うことが期待されていた。更に、サービス提供の質を支える研修も不足していた。その結果、郵便労働者がストレスを抱える事態になった。

特に金融取引において顧客に円滑で便利なサービスを提供する目的で、郵便局のバックエンド・オペレーションのワークフローを改善するため高負荷のソフトウェアをいくつか導入した。しかし、新しい技術の導入により、手作業の取引記録といった事務作業がなくなり、郵便局の労働者の30%の余剰に直結した。

シバクマールFNPO書記長は、「労働者は皆、不十分なインフラと研修不足で行われたシステム近代化のためにストレスを抱えている。また、仕事がなくなる可能性についても心配している。デジタル技術の利用を反対するわけではないが、顧客と労働者の両方に有益でなければならない。とりわけ、新型コロナウィルスのパンデミックの間、組合員のストレス度と労働負荷が一層高まった」と訴える。

UNIはFNPOの闘いを支援する

デジタル化は顧客や社会だけでなく労働者にも利益をもたらすように利用されるべきだと主張し、UNI世界郵便・ロジスティクス部会は、オンラインの意見交換を通じて、デジタルサービス利用のメリット・デメリットのバランスを図っている加盟組織のベストプラクティスを共有してきた。ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長は、「FNPOが危機の間に労働者を守るための闘いをUNIは全面的に支持すると共に、インド郵便におけるより良いデジタル化のアプローチをFNPOが交渉するための戦略の策定を支援していく」と断言した。


グローバルユニオン評議会、リ・チャクヤン氏への正義と香港における人権尊重を要求

グローバルユニオン評議会(CGU)のメンバー組織としてUNIは、香港政府に対し、2019年逃亡犯条例改正案の撤回と普通選挙の実現を要求した労働運動の指導者や民主派活動家らへの刑事責任の取下げを要求する。7月1日に採択されたCGU声明では、同日に施行された極めて厳しい国家安全維持法の廃止も求めている。同法の下で、施行当日だけで370人以上の逮捕者が出ている。

「協議や透明性のない突然の国家安全維持法の強制や、恐れずに声をあげてきた労働組合員やジャーナリストその他の民主活動家に対する厳しい罰則は、我々の世界に存在してはならない。この法律が廃止され、引き続き自治が尊重され、『一国二制度』の原則が確保される日まで、我々は香港の民衆に強く連帯していく」と、クリスティ・ホフマンUNI書記長は述べた。

またCGUは、普通選挙の実現及び言論・集会・結社の自由に対する規制の撤廃を要求している。

「香港労働組合連盟(HKCTU)のリ・チャクヤン事務局長は、民主主義と労働者の権利の戦士だ。現在、人権と自由を擁護する彼と14人の献身的な活動家達は、その信念を理由に起訴されている」と、ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長は述べ、「このような不当な告訴は撤回され、香港の人々が投獄を恐れずに政治に参加できるようにしなければならない」と訴えた。


欧州の郵便労組、必要不可欠な労働者に必要不可欠な権利を要求

パンデミックの間、郵便事業は一般の人々にとってその重要性と価値を証明した。欧州全域で国の状況は異なっていたが、郵便労働者の献身的な働きがあったからこそ、経済と社会は持続できた。多くの郵便労働者は、ユニバーサルサービスを提供するため、適切な保護もなく命を危険に晒しながら働いた。多くが新型コロナウィルスに感染したが、集団として、郵便事業者の収入を何とか維持しながら郵便サービスを継続した。

パンデミックによる緊急事態の中でも、郵便事業者はこの状況から利益を得、サービスを減らすことによってより多くの収益を出そうとしている。

欧州全域でコロナ危機の間、政治家や意思決定者は、郵便・ロジスティクス労働者に殆ど注意を払ってこなかった。彼らは、人々が危機の間にもユニバーサルサービスの恩恵を受け続け、通販のオーダーが自宅に確実に配達されるようにするため、郵便・ロジスティクス労働者がどれだけ困難な労働条件下で増大する作業量に対応しているかを認識していない。

郵便事業者は、ユニバーサルサービス義務を下方修正するために、書状量の減少という現実を利用している。同時に、欧州委員会は、郵便サービス指令の評価を延期しようとしている。そのため、活況を呈する通販の配送産業をいかに各国レベルで規制するかについて、更なる混乱を招いている。

ベルギーで組合は、社会保障へ貢献する上で公正な競争条件とするよう、郵便サービス諮問委員会の勧告を政府と規制当局に出すことを検討している。郵便サービス諮問委員会は、ベルギーの幅広い郵便・ロジスティクス部門をカバーしている。組合は、全ての市場プレーヤーが郵便物の配達に公正な方法で貢献することを要求する。郵便・物流サービスは、多くの企業(中小から大企業まで)が遠隔販売/電子商取引を通じて事業が継続できるよう支えてきた。この危機によって、健康と雇用が一般の人々にとって最優先であることが示された。組合は、全ての市場プレーヤーのために社会保障の十分な資金を要求する。

bpost(ベルギー郵便)の組合は、必要とされるシフトと労働時間の再編が段階的なコスト削減措置となることを恐れている。シフトと作業スケジュールは、大量の小包に対処するため調整する必要がある。この危機によって、小包量が増大したにもかかわらず、収入の少ない郵便事業者の収益は影響を受けている。郵便・ロジスティクス労働者は、この危機の間の努力を評価されるに値する。

ジャン・ピエール・ニン(ACOD労組)とポール・ヘレゴト(VSOA/SLFP労組)は、郵便・ロジスティクス労働者が評価されていないことに遺憾の意を表明した。「新型コロナ危機の間、ヒーローが働き続けた全ての産業で、徐々に一息つけるようになってきた。だがbpostでは、そうではない。激増する業務量に四苦八苦しているからだ」と説明した。

ポルトガルでは、郵便労働者と組合が警鐘を鳴らしている。パンデミックの最中、労働者はCTT(ポルトガル郵便)での深刻な誤った取扱いを報告した。殆どのCTT労働者は適切な防護具もなく働いた。外部委託の臨時契約は、CTTの収入が大幅に減少したことを理由に解除された。通常郵便物量の減少とは対照的に、CTTグループ会社であるCTTエクスプレスの「速達便」サービスは急増した。

6月12日、組合はストを呼びかけた。組合によれば、昼食手当を食事カードで支給されることに反対するCTT労働者の多くがストを支持したという。ポルトガル郵便では2週間前にもストが行われた。(前回のストは5月29日だった。)2回目のストには、より良い労働条件を求める要求や、同社の事業分野の「不始末」と賃金凍結等への抗議も加わった。

労働者は、食事手当の支給形式として食事カードを割り当てるという提案を受け入れない。これまで食事手当は月給の一部として銀行振込みされていた。組合は、労働者が(危機の間)余計な出費を負わねばならないかもしれない時に、CTTはコスト節約の大胆な動きをとろうとしていると見ている。この決定により、国の最賃よりも低い手取り収入となるリスクのある労働者が何百人もいることを組合は懸念している。

組合員と会社の提案について話し合うことができない中、3つのUNI加盟組織、SNTCT労組、SINDETELCO労組及びSINTTAV労組は、団結し力を合わせてCTTで2回のストを呼びかけることを決めた。CTTは一方的に「既に有効な」カードを従業員の自宅に送って、その計画を強行しようとした。驚いたことに、複数の労働者が、勤務スケジュールや配達エリアを変更するとか、別の郵便局/職場へ異動させる等の脅迫やSMSメッセージによる心理的虐待によって、職場で定期的に標的にされていると報告している。

ホセ・オリベイラ(SNTCT労組)とホセ・アルセニオ(SINDETELCO労組)は、「CTT経営陣は、郵便配達員が(高価な)「速達便」サービスを配達できるよう、(優先扱い郵便及び書留を含む)何千件もの郵便物を配達せず、ユニバーサルサービス義務提供に対する軽視を示したに過ぎない。CTTのやり方は、効果的な社会対話を拒否する等、初めから間違っている」と指摘する。組合は、交渉の拒否を、政府、規制当局、政党そして一般市民に報告した。組合はCTT経営陣の反応を待っているが、更なるストも予想される。

「ベルギーやポルトガルの件は、目先の利益を追求して、郵便サービスを解体しようとする試みの一例だ。郵便・ロジスティクス労働者がパンデミックの中で市民や企業が存続できるよう貢献しているのに、このような状況は受け入れられない。郵便会社は効果的な社会対話と団体交渉に向き合わなければならない」と、オリバー・レティクUNI欧州地域書記長は訴えた。

「各国の経済が徐々に再開される中で、明日の仕事をどうしていくか、至急団体交渉を行う必要がある。頑張って働く郵便・ロジスティクス労働者は感謝されるに値する。しかし、既に困難な労働条件を悪化させようとする試みがなされているのは非常に残念だ。郵便サービスの提供を強化する方がもっと効果的だ」とオリバー・レティクは断言した。

「欧州では、パンデミックによって書状の更なる減少と小包の急増という緊急事態が発生したにも関わらず、欧州委員会は郵便サービス指令の改訂を先延ばしにしている。欧州委員会は、必要な改訂プロセスを更に遅らせる口実としてパンデミックを利用してはならない。パンデミックによって、ユニバーサルサービス義務を再定義し拡大する緊急の必要性が示された。国レベルでは、郵便会社は郵便・ロジスティクス労働者に劇的な影響を及ぼすコスト削減を考えている。欧州委員会は美辞麗句はやめ、更なる規制緩和と労働条件の悪化を阻止しなければならない」と、UNI欧州郵便・ロジスティクス部会のデミトリス・テオドラキスは述べた。

UNI世界郵便・ロジスティクス部会は、「#我々の郵便を守ろう」キャンペーンを通じて、グローバル及び欧州レベルで一貫して、強力なユニバーサルサービス義務の重要性を主張している。我々の郵便を守るために、嘆願書に署名してほしい。

UNI世界郵便・ロジスティクス部会は、コロナ禍からの教訓を収集し、組合員がコロナ後に備えることができるように支援していく。


南アフリカ金融労組、キャピテック銀行で組合承認を勝ち取る

UNI加盟組織の南アフリカ金融労組(Sasbo)が、10年近くにおよぶ組織化キャンペーンの末、南アフリカのキャピテック銀行との間で組合承認協定を締結した。

6月24日に締結したこの協定は、同国で最も急速に成長中のリテール銀行キャピテックにおける、組合員獲得と労働者代表性を目指した非常に困難な闘いの成果である。これによって組合は、労働条件や賃金などの問題について、団体交渉権が保証されることになる。

キャピテック労働者6,300人を代表する同組合は「この協定は、Sasboと南アフリカの金融部門の組合員にとって大きな勝利として組合の歴史に刻まれることになるだろう」と述べた。

Sasboは2019年12月、ついに過半数代表に必要な数の組合員を組織化した。しかし、銀行が団体協定のための交渉を先延ばしにしたため、Sasboは2020年2月のストライキ実施について投票を実施した。その結果、ストライキの実施は組合員の圧倒的な支持を得て、経営側に対する交渉再開の圧力となった。

国内でのCOVID-19大流行による遅れをよそに、組合はオンラインで経営側とやりとりし、協定締結に必要な進展を得ることができた。

キース・ジェイコブスUNIアフリカ地域書記長は、「キャピテックからの組合承認獲得を目指すSasboによる断固としたキャンペーンを支援する中で、UNIアフリカが果たした役割を誇りに思う。長く困難な道のりであったが、Sasboは決して諦めなかった。Sasboの勝利は当然だ」と述べた。

クリスティ・ホフマンUNI書記長は次のように述べた。「今回のSasboの重要な勝利を心から祝福する。南アフリカのキャピテック銀行で働く何千人もの金融労働者に恩恵をもたらすものとなるだろう。Sasboの不屈の努力が報われた。多くの場合、非常に困難な反組合的状況の中、現場で労働者を組織化してきた確固たる取組みを讃えたい」


香港大手商社リー&フォンの労働者、公正な処遇を要求

世界中のビジネスに影響を与えてきたCOVID-19パンデミックだが、最も深刻な影響が雇用及び労使関係に及んでいる。多くの人々が「新たな日常」がやってくると言っているが、古いしきたりや習慣はそう簡単にはなくならない。会社が危機の際に労働者を祖末に扱うやり方もそうだ。100年以上の歴史をもつ香港のリー&フォンは、残念な事例の1つとなってしまった。

リー&フォングループのスペンサー・フォン最高経営責任者は最近、10億米ドルを投じて発行済株式を自社株買いし、上場廃止した。同時に同社は、世界の従業員の10%を解雇すると発表した。解雇対象の大部分は香港や中国の従業員であり、1,000人に影響が及ぶ。

この解雇のし方は、極めて非人道的で陰湿だ。リー&フォンの従業員らから相談を受けた香港のチュン・ライハ流通・商業・繊維・一般労組(RCCIGU)書記長は、労働者の多くが3〜35年同社に勤務していたという。非人道的とされるのは、1ヶ月前という直前の解雇通知と、長年勤続した従業員に公正な補償が支払われないことだ。

RCCIGUは会社との対話を試みたが無視された。最後の手段として、組合と解雇された労働者はストライキに入った。6月19日にはリー&フォンタワー前で街宣活動を行い、スタッフ署名キャンペーンにより集められた従業員390人分の請願署名を、同社のアンナ・テハン広報担当副社長に渡すことができた。

労働者たちの要求は公正なものだ。会社は自らの経営指針を忠実に実行し、最低でも3か月分の退職金を払うべきである。雇用契約上の義務として、2019年の賞与及び「5年勤続」手当を該当する従業員に支払うべきである。また、対話の要求を無視せず、解雇対象となった従業員とは速やかに連絡を取るべきである。

ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長は、RCCIGUと影響を受けたリー&フォン労働者に連帯の意を表明し、次のように述べた。「112年もの輝かしい伝統を持つ会社が、従業員に対してこのような対応を取っているとは残念だ。労働者の多くは何年も、或いは何十年も会社のために尽くしてきた。何ら協議や補償もなく、このような直前の通知で解雇されるのは、労働者にとって非常に不当だ。特にこのパンデミック危機の今、労働者の声に耳を傾けなくてはならない。」


UNIフィリピン加盟協、報道の自由を求め、連帯の声

6月15日、フィリピンのニュース配信サイト「ラップラー」のCEO兼編集長のマリア・レッサ氏及び同社の元記者レイナルド・サントス・ジュニア氏に対し、マニラ地方裁判所からネット上の名誉棄損で有罪判決が下った。これはフィリピンの不安定な報道の自由が更に侵食されていることを示すものだ。2019年1月から2020年4月までに、報道関係者に対する61の立件があり、同時期に少なくとも3人のジャーナリストが殺害されている。

UNIフィリピン加盟協(UNI-PLC)は、同国でますます高まる報道の自由及び表現の自由に対する脅威に対し、声を挙げている。報道の自由に対する攻撃は、健全に機能するメディアの情報が人々に届けられる必要があるこのパンデミック期に、深刻な問題となっている。更にドゥテルテ政権は、合法的な反対意見を抑えるために使われかねない条項を持つ、新たな2020年「反テロ法」の成立を急いでいる。

ラジェンドラ・アチャリャUNI Apro地域書記長は次のように懸念を表明した。「UNI Aproは、フィリピンにおいて、基本的自由が絶え間なく攻撃されていることを非常に憂慮している。特に、ITUC(国際労働組合総連合)の2020年度世界権利指標で、フィリピンは労働者にとって最悪の国トップ10に入っている。我々は、報道の自由及び表現の自由に対する攻撃を止めるよう政府に要求するUNI-PLCの闘いを強く支持する。」

UNI-PLCは、マリア・レッサ氏とレイナルド・サントス・ジュニア氏の有罪判決と、政権によるジャーナリストやメディアへの攻撃を非難し、これらの攻撃を止めるよう要求する声明を発表した。


メンタルヘルスと若年労働者

6月29日、「メンタルヘルスと若年労働者」をテーマに、UNI世界青年委員会ウェビナー第2弾が開催された。

最初に、WHO(世界保健機関)のアイシャ・マリカ博士及びノルウェーのライフマネジメント・公衆衛生センターのイングリッド・ブルン氏から、メンタルヘルスの概要について聞いた。

アイシャ博士は、若年層は精神的に影響を受けやすく、支援も行き届かない中、コロナ禍で状況は悪化しており、若年層の自殺の半分はメンタルヘルスが原因だと述べた。「仕事との関連では、精神的に不健康な労働者は本人の生産性だけでなく職場全体にも悪影響を及ぼす。その解決には、国連やWHOが推進するような世界各国を関与させるアクションが不可欠であり、コミュニティサービスを強化したり、職場においてはメンタルヘルスへの偏見をなくす取組みを行ったり、皆それぞれにできることがある。」

イングリッド氏は、若年層の精神的苦痛の要因や、成人のメンタルヘルスとの違い、その後の人生への影響等を概説し、コロナ禍で孤立感・否定的思考が強まり、かつ適切なケアが受けにくい状況にあると指摘した。こうした若年層をメンタルヘルスから守るには、オープンなコミュニケーションとメンタルヘルスに関する正しい情報、若年層に寄り添ったサービスが重要だと述べた。

続いて、ベロニカ・フェルナンデス・メンデスUNI機会均等局長は、コロナ禍がメンタルヘルスに及ぼす影響についてジェンダーの視点から分析した。無給の家事労働の他に、登校できない子供の世話が加わり、負担が倍増するが、女性の仕事だと思い込み助けをなかなか求めない。家庭内暴力の被害者である場合、加害者から逃れられない。こうしたことから女性の方が男性より影響を受けやすく、コロナ禍で状況は悪化している。

ベルナデット・レイズUNI Apro青年委員会議長(フィリピン銀行労組)は、アジア太平洋地域の若年労働者がコロナ禍により受けている精神的ストレス(失業、仕事の不確実性、収入減、休業要請、賃金支払いの遅延等)により、恐れ、不安、鬱等に陥り、自殺に至る例もあると述べた。既に警戒すべきレベルに達しており、組合は組合員及びコミュニティを守るため手を差し伸べなければならないと主張した。

チェコの東欧組織化センターのオルグである、パブラ・ジェンコバによれば、コンタクトセンター労働者はコロナ禍のためテレワークを強いられ、オンラインアンケートでもストレスの増大やメンタルヘルスの悪化が浮き彫りになった。しかし、メンタルヘルスはタブー視されており、相談すら躊躇するため、オンラインカウンセリングを実施しても誰からも支援の要請がなかった。そこで、「メンタルヘルスの問題は異常なことではなく、誰にでも起こり得るもの」と意識を変えさせ、自由に話せる雰囲気を作ることが重要だと述べ、支援を必要とする労働者にどうアクセスし、どう支援していくかを検討していると報告した。

英国通信労組(CWU)のルーク・エルガーも、「自分が弱いから、自分に問題があるから、メンタルヘルスに異常をきたすわけではない」と述べた。CWUでは若手が主導してメンタルヘルス対策チームを設置し、700人の職場代表がこれまでメンタルヘルスの研修を受けたという。身体的健康を維持するため、自宅での運動や十分な睡眠も奨励し、「みんなで困難を克服していこう」というメッセージを発信している。研修を受けた職場代表が身近におり、組合は不安を抱える他の人の問題に耳を傾ける体制を整えている、と知らせることが重要だと述べた。

最後に、マルタ・オチョアUNI青年委員会担当局長は、コロナ禍で更に浮き彫りになったメンタルヘルスの問題は、孤立を防ぐコミュニケーションや、メンタルヘルスに関する正しい情報、タブー視や偏見をなくす努力等、組合が解決に向けて取組むことのできる課題だとまとめた。


ブラジルのサンタンデール銀行、組合との約束を反故にし、労働者を解雇

スペインのサンタンデール銀行は2020年3月、ブラジルのイタウ銀行、ブラデスコ銀行とともにUNIの加盟組織であるContraf-CUTとの間で約束を取り交わし、COVID-19危機の期間中、ブラジルにおける雇用を維持し、解雇を避けるとした。これはパンデミック期における労働組合にとって、最も重要な要求の1つであった。

しかし6月10日にサンタンデール銀行は、ブラジルの銀行としては初めて、パンデミック中に解雇を実施したのみならず、COVID-19感染者が増加し続けている最中に、ブラジル国内の支店業務再開を指示した。

サンタンデール銀行はすでに160人の従業員を解雇し、その理由を経済危機の影響としている。しかし、ブラジル連邦政府は流動性資産にして1兆レアル以上(1695億米ドル)を金融機関に対して支援してきた。また、同行は最近、2020年の1〜3月に38億5千万レアル(6億5260万米ドル)の利益を計上しており、これは2019年の同時期から10.5%、第4四半期から3.4%の増加である。ブラジルにおけるサンタンデール銀行の利益率は22.3%に達しており、同行の世界規模での第1四半期収益の29%はブラジルにおけるものだ。

ブラジルのサンタンデール銀行は、国内従業員のうち9千人以上に相当する2割を解雇する予定だと発表した。この人員削減計画によって解雇された労働者の1人は、次のように説明した。

「解雇は電話で告げられた。私はサンタンデールで20年以上働いのだから、少しは配慮してもらえるかと期待していたのに。特に健康状態を理由にされた。私は従業員の中でもリスクの高いグループに入っているとされ、会社はこのグループの人たちを守りたいからだと言ってきた。しかし本当のところは誰のことも守っていない。従業員を解雇しなければならないという時、躊躇がなかったのだから。」

マルシオ・モンザネUNI米州地域書記長は、強く非難した。「世界的パンデミックの中、感染拡大の中心地となったブラジルで今、労働者を解雇するとは、非人道的な経営以外の何物でもない。通常の状況下でも新たな職に就くことは困難なのに、このような状況で解雇されるとは、労働者にとってどれほどの意味があるか。サンタンデールが他国で労働者を解雇しないならば、ブラジルでも同じ待遇を要求する。労働者代表との交渉および署名された合意が尊重されることを求める。」

リタ・ベルロファUNI世界金融部会議長も、怒りを顕わにした。「ブラジルでサンタンデールがとっている態度は決して容認できない。非常に深刻な政治的・経済的・健康的な危機に直面しているこの時期こそ、労働者は守られていると実感を得たいであろう。にもかかわらず、我々が目にしているのは何か。多額の利益を得、役員へ巨額の報酬を払う一方で、労働者を軽視する使用者だ。解雇は社会全体に影響を及ぼし、危機を悪化させる。パンデミック中に解雇を行わないとの合意を反故にするのみならず、サンタンデールはこの機を利用し、社会保障権を脅かし、従業員に販売目標の達成を要求し、それを満たさない者は解雇するとの脅しすらかけてきた。労働者に対するこのような処遇は、サンタンデールが存在する他の国では見られないことだ。ブラジルの労働者と社会を尊重し、社会対話を行い、組合との合意を守るべきだ」と要求した。

サンタンデール銀行は、販売目標の達成を従業員に要求し、これを達成しない従業員には、解雇をちらつかせて脅してきた。

アンジェロ・デクリストUNI世界金融部会担当局長は、「サンタンデール銀行は、COVID-19危機の間に雇用を守るという約束を破り、労働者に対して極度に敬意を欠いた態度を示している。我々は銀行に対し、約束を守り、労働者を解雇する言い訳にパンデミックを持ち出さないことを強く求める」と述べた。

UNI米州はブラジルのサンタンデール銀行副頭取に書簡を送り、今回の解雇措置および同行の頭取による「在宅勤務労働者の賃金は引き下げるべき」との公式声明を認めない姿勢を示した。

オンライン署名はこちらから:

https://www.labourstartcampaigns.net/show_campaign.cgi?c=4389


世界選手会:安全な競技再開に必要な6要件

世界選手会は6月4日、COVID-19による世界的な競技中止を受け、選手、チーム、リーグ、放送局が、プロスポーツの無観客試合再開を交渉する中、あらゆるスポーツが対処すべき6つの必須条件があると主張した。

世界選手会は、各選手会と集中的な協議を行い、医療や公衆衛生の専門家、スポーツ医、疫学者、労働安全衛生の専門家、弁護士等の専門的な知見を盛り込んだ「安全に仕事及び競技を再開するための指針とすべき検討事項」を策定してきた。

この検討事項は、各選手会が競技再開に向けた交渉を行い、競技が再開した際に選手の安全衛生を慎重にモニタリングすることを支援する目的で作られ、安全に仕事及び競技を再開するための包括的な枠組みを示している。

次に挙げる6つの原則の下、検討事項として考慮すべき重要な問題が提起されている。

  1. 関連市場における公衆衛生上の危機が収束していること。
  2. 選手は、自身の安全衛生に関してCOVID-19が要因となる固有の個人的及び環境のリスクから保護され、もし感染した場合には、最高水準の治療を受けられること。
  3. 選手は、プレー復帰の法的、経済的、健康上のリスクを負わないこと。
  4. メンタルヘルスや社会福祉に関する適切な支援のメカニズムがあること。
  5. スポーツの現場に内在するリスクを前提とすれば不可欠な、選手の安全衛生に関する通常の高い基準は、今後も維持されること。
  6. パンデミック第2波が起こる可能性を仮定し、各スポーツは透明性のある「次善の策」を備えておくこと。

UNIのブレンダン・シュワブ世界選手会担当局長は、「世界中で多くの選手達が現場に戻るために努力してきたが、いかなる犠牲も払ってはならない。競技再開の経済的圧力によって、選手の権利と安全が損なわれてはならない」と訴える。

「COVID-19は未知な点が多く、未だ感染性の高い病気であり、確立した治療法や有効なワクチンがない。スポーツをプレーすることは、ウィルス感染拡大を抑えるために社会が規律をもってとっている措置とは相反する。現場に戻ることで、選手は自身と家族を危険な状況にさらす可能性に置かれる。」

「我々がまとめた『指針とすべき検討事項』は、選手会が安全な競技再開に向けた交渉を行う際に役立つだけでなく、劇的に進化し変化していく環境の中で競技再開を注意深く監視する上でも有効なものだ。」

また、クリスティ・ホフマンUNI書記長は、「労働組合は、パンデミックの間に労働者の安全と権利を保護する上で非常に大きな役割を果たしており、それはスポーツの世界でも同様だ。UNIの仲間である世界選手会が提示する6つの必須条件は、安全な競技再開に向けた非常に有益な枠組みを示すものだ」と述べた。

世界選手会は、プロスポーツ選手や競技者を組織し、意見を代弁する唯一の国際組織で、60か国以上、100を超える選手会の85,000人もの選手が結集している。その役割は、組織化された選手の意見が、国際スポーツの意思決定機関の最高レベルに届くようにすることである。


ILO第190号条約がついに現実のものに!

ウルグアイ、フィジーの批准により、この重要な条約がついに現実のものに!

2020年6月25日、ILO第190号条約が現実のものとなった。この条約は2019年6月のILO総会において圧倒的多数の加盟国の支持によって採択された。ウルグアイが初めて批准し、この日、フィジーが2か国目の批准国となったことにより、第190号条約は2021年6月に発効することとなる。仕事の世界で労働者を暴力やハラスメントから守るための重要な国際基準となる。更に多くの国が批准するよう、共に働きかけていこう!第190号条約は、人々の生活を変えることができるのだから。


uni logo
最近のコメント
    アーカイブ